説明

原料投入方法

【課題】生産に関する管理を容易にするとともにコンパウンドの品質も安定させることが可能な、原料投入方法を提供する。
【解決手段】本発明の原料投入方法は、先ずはじめに各原料1、11、21を個別に計量する。次に、所定量毎に袋5、15、25に袋詰めして定量原料6、16、26を得る。ここまでは予め別工程で行う。続いて、各原料の必要量に応じて定量原料6、16、26を準備し、この準備した定量原料6、16、26を混練機31に投入する。複数種の原料が定量的に混練機31に投入され、混練及び造粒がなされると、品質の安定したコンパウンドを使用することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂コンパウンドの連続混練に係る技術に関し、詳しくは、複数種の原料を定量的に混練機に投入する原料投入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続式混練工程において、原料の計量・投入に容量制御式又は重量制御式の計量機が用いられている。容量制御式の計量機では、スクリュー・テーブルを低速にて回転させることによって決められた容量を計量し、これを混練機に投入するような手法になっている。一方、重量制御式の計量機では、ロードセルにて原料供給重量を検知し、この原料供給重量がフィードバックされるとモータ制御がなされ、これによって所定重量の原料が混練機に投入されるような手法になっている(例えば下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−71640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
容量制御式の計量機にあっては、容積にて制御がなされているため、原料の見かけ比重に精度が依存してしまい、結果、生産に関する管理が難しくなるという問題点を有している(フィードバック制御が追いつかなくなる:嵩比重の異なる原料をフィードする際、頻繁にフィードバックによる回転数制御を掛けるため、その制御が追いつかなくなる)。
【0004】
また、重量制御式の計量機にあっては、一般的にロードセルが外部からの衝撃等に弱いことから、例えば原料の投入時やフィード部の稼働時に発生する衝撃によって精度面に影響が出てしまい、結果、コンパウンドの品質が安定しなくなるという問題点を有している(回転・振動などによる原料フィード時は、原料の噛み込みによる振動が発生する)。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、生産に関する管理を容易にするとともにコンパウンドの品質も安定させることが可能な、原料投入方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の原料投入方法は、複数種の原料を定量的に混練機に投入する方法において、各原料を個別に計量し所定量毎に袋詰め又は容器詰めしてなる定量原料を予め別工程で準備し、この準備した定量原料を各原料の必要量に応じて前記混練機に投入することを特徴としている。
【0007】
また、上記課題を解決するためになされた請求項2記載の本発明の原料投入方法は、複数種の原料を定量的に混練機に投入する方法において、予め別工程で各原料を個別に計量するとともに、この計量した各原料をブレンドし所定量毎に袋詰め又は容器詰めしてなる定量ブレンド原料を準備し、この準備した定量ブレンド原料を必要量に応じて前記混練機に投入することを特徴としている。
【0008】
このような特徴を有する本発明によれば、原料が定量的に混練機に投入されることになる。原料が定量的に投入され混練された後に使用されることとなるコンパウンドは、品質が安定したものとなる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、2に記載されたそれぞれの本発明によれば、従来に比べて生産に関する管理を容易にすることができるとともに、コンパウンドの品質に対しても従来より安定させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の原料投入方法の一実施の形態を示す図であり、(a)〜(g)は原料を投入するまでの説明図である。尚、本明細書において、原料は3種類挙げることにするが、これに限定されないものとする。
【0011】
図1において、本発明の原料投入方法は、先ずはじめに各原料を個別に計量する。次に、所定量毎に袋詰め(又は容器詰め)をして定量原料を得る。ここまでは予め別工程で行う。続いて、各原料の必要量に応じて定量原料を準備し、この準備した定量原料を混練機に投入する。複数種の原料が定量的に混練機に投入され、混練及び造粒がなされると、品質の安定したコンパウンドを使用することができるようになる。以下、もう少し詳細に本発明の原料投入方法について説明する。
【0012】
図1(a)において、原料1は、原料供給装置2から計量容器3へと供給される。原料1は、計量機4を用いて計量を行いながら計量容器3へと供給される。原料1が所定量分だけ計量容器3に溜まったら、この溜まった原料1を、図1(d)に示す如く袋5に詰めて定量原料6にする。
【0013】
尚、袋5は、図示の如く個別の袋であっても良いし、連続的に続く袋であっても良いものとする。袋5は、熱可塑性樹脂により成形されており、封は溶着によってなされるようになっている。袋5は、中身の原料1が透けて見えるような透明な袋であることが好ましいものとする。
【0014】
原料1の供給から定量原料6を得るまでの工程は、後に使用するコンパウンドに応じた必要量の定量原料6が得られるまで行われる。ここまでの工程は、後述する混練・造粒工程の前に予め別工程で行われるようになっている。
【0015】
図1(b)及び(c)において、原料11、21も上記原料1と同様に、原料供給装置12、22から計量容器13、23へと供給される。原料11、21は、計量機14、24を用いて計量を行いながら計量容器13、23へと供給される。原料11、21が所定量分だけ計量容器13、23に溜まったら、この溜まった原料11、21を、図1(e)及び(f)に示す如く袋15、25に詰めて定量原料16、26にする。
【0016】
尚、袋15、25は、図示の如く個別の袋であっても良いし、連続的に続く袋であっても良いものとする。袋15、25は、熱可塑性樹脂により成形されており、封は溶着によってなされるようになっている。袋15、25は、中身の原料11、21が透けて見えるような透明な袋であることが好ましいものとする。
【0017】
原料11、21の供給から定量原料16、26を得るまでの工程は、後に使用するコンパウンドに応じた必要量の定量原料16、26を得るまで行われる。ここまでの工程は、後述する混練・造粒工程の前に予め別工程で行われるようになっている。
【0018】
図1(g)において、各原料1、11、21の必要量に応じて定量原料6、16、26を準備し、この準備した定量原料6、16、26を混練機31に投入すると、この後に混練・造粒工程が行われる。
【0019】
以上、本発明によれば、原料1、11、21が定量的に混練機31に投入されることになる。原料1、11、21が定量的に投入され混練された後に使用されることとなるコンパウンドは、品質が安定したものとなる。本発明によれば、原料1、11、21の見かけ比重に精度が依存してしまうものではないことから、生産に関する管理も従来に比べて容易になる。
【0020】
図2を参照しながら本発明の原料投入方法の他の一実施の形態を説明する。図2は他の一実施の形態を示す図であり、(a)〜(g)は原料を投入するまでの説明図である。
【0021】
図2において、本発明の原料投入方法は、先ずはじめに各原料を個別に計量する。次に、この計量した各原料をブレンドし所定量毎に袋詰め(又は容器詰め)をして定量ブレンド原料を得る。ここまでは予め別工程で行う。続いて、必要量に応じて定量ブレンド原料を準備し、この準備した定量ブレンド原料を混練機に投入する。複数種の原料が定量的に混練機に投入され、混練及び造粒がなされると、品質の安定したコンパウンドを使用することができるようになる。以下、もう少し詳細に本発明の原料投入方法について説明する。
【0022】
図2(a)において、原料41は、原料供給装置42から計量容器43へと供給される。原料41は、計量機44を用いて計量を行いながら計量容器43へと供給される。原料1が所定量分だけ計量容器43に溜まったら(コンパウンドの配合に必要な量が溜まったら)、この溜まった原料41を、図2(d)に示す如くブレンド装置71に入れる。
【0023】
図2(b)及び(c)において、原料51、61も上記原料41と同様に、原料供給装置52、62から計量容器53、63へと供給される。原料51、61は、計量機54、64を用いて計量を行いながら計量容器53、63へと供給される。原料51、61が所定量分だけ計量容器53、63に溜まったら(コンパウンドの配合に必要な量が溜まったら)、この溜まった原料51、61を、図2(d)に示す如くブレンド装置71に入れる。
【0024】
ブレンド装置71では、原料41、51、及び61をブレンドし、そして、十分にブレンドがなされた状態になったら、このブレンド原料72を図2(e)に示す袋詰め装置73に投入する。袋詰め装置73では、ブレンド原料72を所定量毎に袋74に袋詰め(又は容器詰め)して定量ブレンド原料75(図2(f)参照)を得る。
【0025】
尚、袋74は、図2(f)に示す如く、個別の袋であっても良いし、連続的に続く袋であっても良いものとする。袋74は、熱可塑性樹脂により成形されており、封は溶着によってなされるようになっている。袋74は、中身のブレンド原料72が透けて見えるような透明な袋であることが好ましいものとする。
【0026】
原料41、51、61の供給から定量ブレンド原料75を得るまでの工程は、後に使用するコンパウンドに応じた必要量の定量ブレンド原料75を得るまで行われる。ここまでの工程は、後述する混練・造粒工程の前に予め別工程で行われるようになっている。
【0027】
図2(g)において、後に使用するコンパウンドの必要量に応じて定量ブレンド原料75を準備し、この準備した定量ブレンド原料75を混練機31に投入すると、この後に混練・造粒工程が行われる。
【0028】
以上、本発明によれば、原料41、51、61が定量ブレンド原料75の形で定量的に混練機31に投入されることになる。定量ブレンド原料75が投入され混練された後に使用されることとなるコンパウンドは、品質が安定したものとなる。本発明によれば、原料41、51、61の見かけ比重に精度が依存してしまうものではないことから、生産に関する管理も従来に比べて容易になる。
【0029】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0030】
尚、上記説明の中の袋5、15、25、58は混練機31に投入してもコンパウンドの品質等に影響を来さないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の原料投入方法の一実施の形態を示す図であり、(a)〜(g)は原料を投入するまでの説明図である。
【図2】本発明の原料投入方法の他の一実施の形態を示す図であり、(a)〜(g)は原料を投入するまでの説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1、11、21 原料
2、12、22 原料供給装置
3、13、23 計量容器
4、14、24 計量機
5、15、25 袋
6、16、26 定量原料
31 混練機
41、51、61 原料
42 原料供給装置
43 計量容器
44 計量機
71 ブレンド装置
72 ブレンド原料
73 袋詰め装置
74 袋
75 定量ブレンド原料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の原料を定量的に混練機に投入する方法において、
各原料を個別に計量し所定量毎に袋詰め又は容器詰めしてなる定量原料を予め別工程で準備し、この準備した定量原料を各原料の必要量に応じて前記混練機に投入する
ことを特徴とする原料投入方法。
【請求項2】
複数種の原料を定量的に混練機に投入する方法において、
予め別工程で各原料を個別に計量するとともに、この計量した各原料をブレンドし所定量毎に袋詰め又は容器詰めしてなる定量ブレンド原料を準備し、この準備した定量ブレンド原料を必要量に応じて前記混練機に投入する
ことを特徴とする原料投入方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−51106(P2009−51106A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220473(P2007−220473)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】