説明

原液から熱い飲料及び冷たい飲料を分配する方法及びシステム

本発明は、液体、例えば水、及び少なくとも1つの原液の混合物を含む飲料を分配する装置であって、第1の経路に沿って空気中に第1の液体ジェットを、第2の経路に沿って空気中に第2の液体ジェットを作り出すように、少なくとも1つの液体源にそれぞれ連結された少なくとも2つの液体ノズルと、第3の経路に沿って空気中に原液流を運ぶように少なくとも1つの原液源に連結された少なくとも1つの濃縮液ノズルとを備える装置に関し、液体ノズル及び濃縮液ノズルは互いに対して向いており、それによって第1、第2、及び第3の経路は共通の交差点で容器の上で交差し、それによって混合物はそれぞれのジェット及び(1つ又は複数の)流れの衝突によって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して飲料分配装置に関する。より詳細には、本発明はディスペンサ・システム、及び混合チャンバも泡立チャンバも使用しない、原液から水を加えて戻した熱い又は冷たい飲料などを分配する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱い又は冷たい飲料分配システムは、会社、コンビニエンス・ストア、レストラン、家庭などで広く使用されている。
【0003】
広く使用されている1つのタイプの飲料ディスペンサ・システムは、カップに分配する前に、泡立ボウル又はチャンバ内で液体などの熱い又は冷たい液体とコーヒー又は紅茶粉末などの粉末或いはシロップを混合する電気モータによって回転駆動される羽根、ディスクなどの羽根車を使用している。このタイプのシステムは、例えば米国特許第4,676,401号に記載されている。
【0004】
このタイプのシステムは時に、高価で扱いにくい。というのは、混合ボウル又は泡立チャンバ及び羽根車エンジンに空間が必要であるからである。さらに、衛生上の問題を避けるため、泡立チャンバ内及び/又は羽根車上に残された残留製品により、これらのシステムは特定の保守及び定期的な洗浄が必要である。さらに、粉末を使用する場合、非溶解粉末粒子の沈殿と、カップ内の液体の層化が分配後に、特に室温で起こることがある。この用法での「層化」とは、製品の液体部分での異なるレベルの異成分量のことを言う。
【0005】
回転羽根などの機械的泡立機構を使用することなく、ホット・チョコレート及び飲料などの泡立てたソフト・ドリンクを製造及び分配する別のタイプのシステムが、米国特許第6,305,269号で提案されている。このシステムでは、飲料を製造するのに使用されるシロップ及び水の混合物の泡立ては、通気式混合チャンバ内で、圧力をかけて交差点に向けられたシロップ及び水の交差流を混合することによって実現される。このシステムにより混合チャンバ内での羽根車の使用がなくなるが、使用後の混合チャンバの壁面は残留物によってすぐ汚され、したがって衛生面はまだ問題であり、混合チャンバの定期的な洗浄がまだ必要である。洗浄動作はしばしば混合チャンバを取り除く必要があるので、大きな労力及び費用がかかる。さらに、1つの水ジェット及び1つの濃縮液ジェットを使用してこのシステムで得られる泡は普通は、大きな泡寸法の石鹸のような外観を有しており、安定性が極めて悪いことが示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最適な泡層を備えたカプチーノ・タイプの飲料などの特定の製品を製造するのにより適しており、必要な洗浄を少なくすることができることが好ましい改良型のシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、食品製品ディスペンサに関する。ディスペンサの好ましい一実施例は、流体源、流体ノズル、流動性食品成分源、食品成分ノズル、及び運搬装置を有する。運搬装置は、それぞれの源からの流体及び食品成分をそれぞれのノズルに運搬するように、流体源を流体ノズルに、成分源を成分ノズルに連結させる。流体及び成分がそれぞれ、少なくとも一方の流れがほぼ自由落下状態、有利には非支持状態である交差位置で互いに交差する流体及び成分流内で流体及び成分ノズルから噴射されるように、運搬装置及びノズルは構成されていることが好ましい。交差位置では、流れは実質的に流れの方向を変えることができるものなどのあらゆる中実構造物から取り外されていることが好ましい。運搬装置及びノズルは、流れが容器の中などの分配位置に案内される食品製品を製造するように衝突によって混合するような構造で流れを噴射するように構成されていることが好ましい。好ましい容器はコップであるが、他の実施例はすぐに人が消費するような少ない杯数、好ましくは1杯又は2杯を容器内に分配するように構成されていることが好ましく、他の実施例は5杯又は10杯未満などのより多くの杯数を分配することができる。好ましいディスペンサは食品供給ディスペンサである。好ましい実施例では、交差位置での流れは流路を制御することができるいかなる構造物にも支持されていない。
【0008】
好ましい実施例では、流体流はジェットであり、流れの平均速度は交差位置の下流側で小さくなる。また、ディスペンサの分配溝は分配位置で容器を受けて食品製品を受けるように構成されていることが好ましく、食品製品は飲料である。流体は水であり、成分は原液などの濃縮液であることが好ましい。
【0009】
流体ノズルは少なくとも2つのノズルを備えることができ、流体流は交差位置で交差する少なくとも2つの流体流を含むことができる。成分ノズルの噴射オリフィスは、交差位置を通して延びる流れの共通の中心軸に対して流体ノズルの噴射オリフィスより近くに配置されていることが好ましい。中心軸はほぼ垂直であってもよく、成分ノズルは一実施例では実質的に中心軸に沿って濃縮液流を案内するように構成されている。一実施例では、オリフィスでの第1と第2の流れの間の角度は約20から60度の間である。一実施例では各流体ノズルのオリフィスを通して運ばれる流量及び線速度は、それぞれ約5から15ml/秒までと、600から1300cm/秒までの間であり、成分は約300から1500cPの間の粘度の原液である。流体ノズルのオリフィスは約0.5から1.5mmまでの直径であることが好ましく、成分ノズルは直径が約1から3.5mmまでである。流体ノズルと交差位置の間の好ましい距離は、約1から200mmまでの間である。
【0010】
運搬装置は、流体流を作り出すのに十分な流量で流体を流体源から流体ノズルに汲み上げるように構成された流体ポンプと、成分流を作り出すのに十分な流量で成分を成分源から成分ノズルに汲み上げるように構成された成分ポンプとを備えることができる。ポンプの少なくとも一方は、蠕動ポンプなどの、流体又は成分のパルスを運ぶように構成されていることが好ましい。コントローラが、流量を制御するようにポンプに結合されていることが好ましい。
【0011】
成分源は複数の成分源を備えていることが好ましく、成分ノズルは異なる成分を成分源から交差位置に分配する複数の成分ノズルを備えていることが好ましい。好ましい一実施例では、運搬装置は成分ノズルからの流れを選択的に作動及び停止させて、分配用に選択された食品製品のタイプによって交差位置に成分の1つ又は複数の選択した組合せを分配するように構成されている。コントローラは、運搬装置を制御して成分を交差位置に連続して同時に分配するように構成することができる。加えて、分配される流体を加熱又は冷却するように構成された熱交換ユニットを設けることができる。
【0012】
食品製品を用意する本発明の好ましい方法では、流体及び食品成分の流れは、流れが実質的に非支持の自由落下状態にある交差位置に向かってディスペンサから案内され、それによって流れが衝突により混合し、食品製品を準備するように容器内に落ちる。流れの平均速度は交差位置の下流側で小さいことが好ましく、流体流は交差位置に向かって案内される複数の流体ジェットを含むことが好ましい。
【0013】
複数の成分流を交差位置に向けて案内することができ、成分流は異なる成分を含んでいる。好ましい一実施例では、この方法はユーザ・インターフェイスなどを通して分配される食品製品のタイプの選択を入力するステップと、選択される食品製品のタイプによって、交差位置に成分の1つ又は複数の選択した組合せを分配するように異なる成分流を選択的に作動及び停止させるステップとを含む。
【0014】
本発明はしたがって、複雑性が少ないが、高品質で分配された食品製品を運搬することが可能なディスペンサ及び方法を提供する。
【実施例】
【0015】
本発明は、衛生的、効率的、小型、及び運用・保守が比較的低い費用である熱い又は冷たい飲料を分配する装置を提供することができる。これは、結果としてほとんど保守が必要なく非常に衛生的である、混合又は泡立チャンバを使用することなく得ることができる。本発明の好ましい一実施例は、機械的な泡立機構の使用を必要とすることなくかなり高温(普通は65℃以上)で優れた泡立ちを有する飲料を運ぶことが可能な熱い又は冷たい飲料を分配する装置を提供して、濃縮液から均一で高品質の飲料を作り出す。好ましい実施例はまた、大規模大量使用に適していることが好ましい。
【0016】
本発明は、水及び少なくとも1つの濃縮液、好ましくは原液の混合物を含む飲料を分配する装置に関する。好ましい装置は、第1の経路に沿って空気中に第1の流体ジェットを、また第2の経路に沿って空気中に第2の流体ジェットを作り出すように、水源であることが好ましい少なくとも1つの流体源にそれぞれ連結された少なくとも2つの水ノズルと、第3の経路に沿って空気中の好ましくは原液流を運ぶように少なくとも1つの濃縮液、好ましくは原液源に連結された少なくとも1つの濃縮液ノズルとを備えている。流体又は水ノズルと濃縮液ノズルは、互いに対して向いており、それによって第1、第2、及び第3の経路は共通の交差点、好ましくは容器の上で交差し、混合物がそれぞれのジェット及び(1つ又は複数の)流れの衝突によって形成されて、混合物流は好ましくは小さな速度であり、容器内に案内されることになることが好ましい。
【0017】
これらの特徴の結果、2つ以上の水流がカップなどの容器上の合流点で空気中で衝突して、好ましくは水/空気の細かい泡の扇形噴霧又はシャワー群を提供する、飲料分配及び混合装置を得ることができる。水ジェット及び(1つ又は複数の)濃縮液流の合流点は、ノズルを離れた後に、水ジェット及び(1つ又は複数の)濃縮液流が容器に到達する前に空気中で衝突及び混合するように位置決めされている。合流点での跳ね返りは驚くほど少なく、それによって混合チャンバの使用は必要ない。実際、合流点の後の水及び濃縮液の流速はかなり遅くなり、跳ね返りがかなり少なくなることが分かった。これは、例えば氷の上に分配する時に特に有利である。1つ又は複数の濃縮液の流れを2つ以上の水ジェットの合流点に向けることができ、それによって有利には二次汚染の危険なく大きな選択幅の飲料タイプを分配するのに利用することができる。いくつかの実施例は加えてこれらを使用することができるが、本発明の好ましい実施例はまた操作するのに混合ボウル、羽根車又は混合チャンバを使用する必要がなく、それによって衛生面性能を良くしつつ費用のかかる洗浄過程がなくなるという利点がある。
【0018】
本発明の装置の別の利点は、単純性、より詳細には機械及び電気部品の数が少なく、それによって信頼性が良くなり、保守が簡単になることにある。本発明の装置のさらに別の利点は、水と濃縮液の間の接触が装置内で起こる必要がなく、それによってその構造により保管安定性がある濃縮液を使用することが可能になることである。
【0019】
また、本発明の装置は合流点での高い乱流を生成させることを可能にし、それによって高温及び室温両方で均一な液体飲料が作り出されることに留意されたい。加えて、本発明の装置により高温の優れた泡を有する飲料(例えば、60〜100℃のお湯を使用して)を用意することが可能になり、泡立ちは容器に到達する前に流れが合流する点で空気混入によって起こる。この性質は、濃縮液からコーヒー又は液体チョコレート飲料などの熱い飲料を用意し分配するのに望ましい。
【0020】
本発明の装置の好ましい一実施例によれば、濃縮液ノズル及び水ノズルはそれぞれ噴射オリフィスを備えている。濃縮液ノズルの噴射オリフィスは、この実施例では、原液に対してほぼ対称に延びるように互いに対して空間的に配置されていることが好ましい水ノズルの噴射点及び水ジェットより、垂直軸であり容器の支持体に垂直であることが好ましい共通の交差点を通過する軸に近いことが好ましい。分配装置が濃縮液ノズルを1つのみ備えている場合、原液流は共通の交差点に向かう濃縮液の運搬を簡単にするように、垂直軸に沿って延びていることが好ましい。本発明の装置は、水流量を制御するように水源と水ノズルの間に配置された第1のポンプ機構と、原液の流量を制御するように前記各原液源と前記濃縮液ノズルの間に配置された第2のポンプ機構とを備えることができる。ある量の水及びある量の濃縮液はしたがって、適当且つ的確な方法で供給及び投与することができる。ポンプ機構は、蠕動ポンプなどのパルス運搬タイプのポンプであることが好ましい。実際、このタイプのポンプの使用により、パルシングを作り出すことによって、分配された液体の改良型の混合及び泡立が可能になる。
【0021】
有利には、本発明の装置はさらに、必要に応じて熱い又は冷たい飲料を分配する選択肢を提供するように、源を加熱又は冷却する熱交換ユニットを備えることができる。
【0022】
本発明の装置は、複数の濃縮液経路に沿って空気中に複数の原液流を運ぶように複数の原液源にそれぞれ連結された複数の濃縮液ノズルを備えており、前記複数の濃縮液経路はそれぞれ前記交差点に向けられており、ポンプ機構は原液の望ましい所定の組合せにしたがって各原液源を制御し、好ましくは原液源のスイッチを入れたり切ったりするようにコントローラに結合されていることが好ましい。コントローラは、連続的又は同時の何れかで原液源のスイッチを入れたり切ったりするように配置されていることが好ましい。したがって、装置により所望の最終製品に基づくコントローラによる適当な制御によって、複数の濃縮液を同時又は次々に連続して運ぶことが可能になる。好ましい濃縮液は、コーヒー、ココア、牛乳濃縮液、又はこれらの組合せ、又は他の適切な濃縮液であってもよい。
【0023】
本発明はまた、水及び少なくとも1つの原液の混合物を含む飲料を用意する方法に関する。好ましい一実施例は、それぞれ第1及び第2の水ノズルを通して水源から第1及び第2の経路に沿ってそれぞれ空気中に少なくとも第1及び第2の水ジェットを作り出すステップと、濃縮液ノズルを通して少なくとも1つの原液源から第3の経路に沿って空気中に少なくとも1つの原液流を運ぶステップを含み、前記原液運搬は前記第1及び第2の水ジェットの生成中に起こり、前記第1、第2、及び第3の経路は共通の交差点で容器の上で交差し、それによって前記混合物が前記それぞれのジェット及び前記(1つ又は複数の)流れの衝突によって形成され、混合物流は小さな速度であり、容器内に案内されることになる。
【0024】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照した、本発明による分配システムの好ましい実施例の以下の説明を読めばより明らかになろう。
【0025】
図1を参照すると、本発明の方法を実施することが可能な本発明による飲料分配装置の第1の実施例が図示され、全体的に参照番号1で示されている。飲料は本明細書では、ソフト・ドリンク、コーヒー飲料などの消費に適した飲料を作り出すように水などの液体と混合された、シロップ、コーヒー濃縮液、ココア濃縮液、牛乳濃縮液、紅茶濃縮液など、又はその組合せなどの少なくとも1つの濃縮液から用意することができる熱い又は冷たいあらゆる飲料を意味するものと理解されたい。これ以下に説明するように、本発明による飲料分配装置はまた、優れた濃度及び安定性の泡層を有する飲料を作り出し分配することが可能である。
【0026】
図1に示す実施例では、分配装置1は水などの液体6を供給する第1のノズル2及び第2のノズル4を備えている。水6はこの実施例では、水噴射オリフィスから大気を通して水の第1の流れ又はジェット6a及び第2の流れ又はジェット6bの形で供給される。水以外の流体を別の方法で使用することができる。水ジェット6a、6bはそれぞれ、混合領域8に向かって第1の経路及び第2の経路に沿って向けられる。ノズル2、4は互いに対して向いており、それによって第1のジェット6a及び第2のジェット6bは混合領域8内に配置された共通の交差点IPで交差し、それによって扇形の噴霧群7が形成される。
【0027】
混合領域とジェット及び流れは、噴霧群7内の飲料成分が容器10内に向けられるように位置決めされていることが好ましい。混合領域8は、中で分配装置1によって分配された飲料を集めるように容器10の上に配置されていることが好ましい。例えば、容器10は装置部品の取付台が取り付けられることが好ましい装置1のフレームに取り付けられた支持体12上に配置されている。
【0028】
分配装置はさらに、濃縮液噴射オリフィスから第3の経路に沿って大気を通して濃縮液のジェット又は流れ16の形で濃縮液を供給する第3のノズル14を備えている。ノズル14は、流れ16が交差点IPまで延び、それによって水ジェット6a、6b及び濃縮液流16が交差点IPで衝突して、好ましくは水ジェット6a、6bに対してかなり小さな速度を有する、結果として生じる混合物流を形成するように水及び濃縮液が空気中及び自由落下状態で混合されるような方向を向いている。混合物流は容器10内で集められることが好ましく、交差点IPは装置の表面から離れて配置され、それによってジェット6a、6b及び流れ16は基本的には自由落下状態で、好ましくは空気を通って、装置又は容器10の表面と接触しない位置で混合することが好ましい。水ジェット及び濃縮液流の衝突後の混合物の流速はかなり小さいので、跳ね返りが避けられ、混合チャンバの使用をなくすことができる。
【0029】
液体ノズル2、4は、本実施例では水などの液体源18に供給管路20を介してそれぞれ連結されている。熱い飲料及び冷たい飲料の両方の製造を可能にするこの実施例では、供給管路20は、熱交換ユニット22と、ポンプ24と、弁26とを備えており、これらは全て図面中ではマイクロコントローラCMなどの制御ユニット28によって制御されている。熱交換ユニット22は、給水栓管に連結されたオン・デマンドのタンクなし水加熱/冷却タイプであることが好ましい。代替実施例では、熱湯タンク又は冷却タンクを熱交換ユニット22の代わりに、又はこれに加えて使用することができる。水流量を制御することを可能にするポンプ20は、蠕動ポンプなどのパルス水運搬タイプであることが好ましい。このタイプのポンプにより、パルス化された水ジェットを発生させることが可能になり、水及び濃縮液の混合、分配された飲料に形成される泡層の製造、量、及び品質に寄与する利点が提供される。しかし、蠕動ポンプを、絞りポンプなどの別のタイプのポンプに交換することができる、又は水道水圧が適当な水流量を発生させるのに十分なだけ高い場合には省くことができることに留意されたい。
【0030】
濃縮液ノズル14は、制御ユニット28によって制御されるポンプ34及び弁36を含む、供給管路32を介して原液源30に連結されている。濃縮液流量を制御することを可能にするポンプ34は、上記のポンプ24と同じタイプであることが好ましい。原液源30は普通は、簡単に補充できるように適当なホルダ内に配置された原液が充填された小袋でできている。分配に使用される濃縮液は、その構造により保管安定性があることが好ましい。普通は、適当な原液は0.1〜0.2%ソルビン酸カリウムを含有し、pHは6.3未満で、水活性度は0.85未満である。
【0031】
水ジェット6a、6bの互いに対する方向は、水及び濃縮液の優れた混合を達成し、準備する飲料の上部に優れた泡層を形成するように選択されることが好ましく、濃縮液流は水ジェット6a、6bの衝突点IPに向けられている。互いに対する水ジェット6a、6bの方向はまた重要であり、分配中の跳ね返りを避けるように選択されることが好ましい。したがって、共通の合流交差点IPの後の飲料速度、及び扇形群7の拡散角度は水ジェットの方向に左右される。図2aに示す水ジェット6aと6bの間の角度αは、約1度、より好ましくは約20度、さらに最も好ましくは約25度から、好ましくは約80度、より好ましくは約60度、さらに最も好ましくは約35度まで変化することができる。2つの水ジェット6a、6bを使用する図示した実施例では、ジェット6a、6bは共通の交差点IPを通過する垂直軸Vに対して対称に向いており、角度αは30度になるように選択する。したがって、垂直軸Vは角度αを二分することが好ましい。ノズルの噴射オリフィスと共通の交差点IPの間の距離H(図2a)はまた混合に影響を与え、水及び濃縮液の十分な混合を保証し、跳ね返りを最小限に抑えるように選択されることが好ましい。普通、距離高さは2〜5cmの範囲で設定され、約2.5cmであることが好ましい。
【0032】
濃縮液ノズルを1つだけ備えるこの実施例では、濃縮液流14は垂直軸Vに沿って延びる。より一般的には、水噴射オリフィスの位置に対する濃縮液噴射オリフィスの好ましい位置は、濃縮液ノズルの噴射オリフィスが前記液体ノズルの噴射点より垂直軸Vに近いようになっている。カップなどの容器10と水ノズル・ジェットの間の距離は、従来の直径のカップの外側での飲料運搬を防ぐような所望の範囲になるように調節されていることが好ましく、普通は約10cm未満であるが、群7の幅はボウルなどの幅が広い容器内での運搬ではより大きくし、小さい又は異なる形状の容器ではより狭くすることが可能である。また、水及び濃縮液ジェットの経路は単一の平面内に位置していることが好ましい(図2b)が、別の方法では円錐表面に沿って規則的に分布されたような他の方向に位置決めすることができる。
【0033】
水ノズル2、4及び濃縮液ノズル14は、それぞれの方向を簡単に調節することが可能なように、互いに構造的に独立していてもよい。しかし、水ノズル及び濃縮液ノズルは別の方法では単一の一体型又は単一ユニットで構成することができ、それによってこれらのノズルの保守及び/又は交換を簡単にすることができる。
【0034】
満足のいく混合効果を得るため、各水ノズル2、6を通して運ばれる水流量はまた重要であり、好ましくは約5ml/秒、より好ましくは約7.5ml/秒、さらに最も好ましくは約9ml/秒から、好ましくは約25ml/秒、より好ましくは約14又は15ml/秒、さらに最も好ましくは12ml/秒まで変化するように、ポンプ24を介して制御ユニット28によって制御される。各ノズルの水流量はほぼ同じであることが好ましいが、これらの水流量は例えば、ノズルの噴射オリフィスが交差点IPから離れている距離によって異なっていてもよい。
【0035】
普通、水ノズル2、4の噴射オリフィスの直径は約0.5から1.5mmまでの範囲であり、約1.2mmであることが好ましい。水流量は、初期泡/液体比及び運搬後の泡の安定性に関して、飲料の上部に泡を製造する際に役割を果たす。
【0036】
以下の表1は、初期泡/液体比、すなわち運搬の直後のカップなどの容器内の飲料の液体部の高さに対する飲料の液体部に製造された泡層の高さ又は厚さの比に関する水流量の影響を図示した実験結果を示している。
【0037】
【表1】

【0038】
以下の表2は、運搬後の飲料の液体部上に作られた泡層の安定性、すなわち運搬の直後の泡層の高さ又は厚さに対する運搬の10秒後の飲料の液体部上に作られた泡層の高さ又は厚さの比に関する水流量の影響を図示した実験結果を示している。
【0039】
【表2】

【0040】
表1及び2から、特に優れた初期泡/液体比の泡層、及び優れた安定性の泡層を有する飲料を約10ml/秒から12ml/秒までの間の水流量で得ることができることが分かる。
【0041】
原液の粘度はまた、高品質の飲料を製造するように水との優れた混合及び希釈を達成するのに重要な役割を果たす。好ましい一実施例では、濃縮液の粘度は好ましくは約1cP、より好ましくは約300cP、また最も好ましくは約400cPから好ましくは約5,000cP、より好ましくは約1500cP、また最も好ましくは約600cPまでの範囲内で選択される。
【0042】
普通は、濃縮液ノズル14の噴射オリフィスの直径は、約1から3.5mm、好ましくは約1.2から2.4mm、また最も好ましくは約1.3から1.9mmの範囲である。さらに、濃縮液流量はポンプ34を介して制御ユニット28によって制御されて、好ましくは約2ml/秒、より好ましくは約2.5ml/秒、また最も好ましくは約3ml/秒から好ましくは約45ml/秒、より好ましくは約10ml/秒、また最も好ましくは約5ml/秒まで変化する。
【0043】
ノズル2、4を通した水線速度は優れた混合を達成することだけでなく、飲料の上部に作り出された泡の量を制御することに影響を及ぼすことに留意されたい。試験では、水線速度は、より高い水速度がより高い泡の量を作り出すことを考慮して、好ましくは約10cm/秒、より好ましくは約650cm/秒、また最も好ましくは約800cm/秒から好ましくは約2000cm/秒、より好ましくは1250cm/秒、さらに最も好ましくは1100cm/秒の範囲であるように制御されるべきであることが示された。しかし、これに関して、極めて高い線速度により望ましくない泡の外観(極めて大きな泡)及びきめになることに留意されたい。例えば、500から1500cPの粘度の粘性液体から用意されたカプチーノ・タイプの飲料では、泡の生成及び安定性に対する好ましい線速度は900から1050cm/秒である。より白い泡を得るため、水は濃縮液より僅かに長い期間運ぶことができる。一方、線速度は泡のない飲料を用意するのに、約500cm/秒を超えるべきではないことが好ましい。水線速度は、制御ユニット28によってポンプ24の適切な制御により簡単に調節することができる。
【0044】
また、試験では濃縮液の粘度と流量の間の関係は特に室温での混合に重大な役割を果たすことが示された。約1,500cPの粘度を有する高い粘度の濃縮液では、水との濃縮液の優れた混合には約400cm/秒の水の線速度が必要であり、約300cPの粘度を有する粘度の低い濃縮液では、約100cm/秒の水の線速度が同成分の飲料を作り出す。
【0045】
さらに、飲料の液体部、すなわち液体部の異成分の量の層化を避けるため、また原液の粘度の機能としてノズル2、6により水線速度を調節するのに注意を払わなければならない。試験では、水線速度の増加と共に層化が減少し、1500cP以上の原液粘度では600cm/秒以上の水線速度で層化はほとんど観察されなかったことが示された。
【0046】
次に図3、3a、3bを参照すると、3つの濃縮液ノズル及び2つの水ノズルを備えた本発明を実施することが可能な本発明による飲料分配装置の別の実施例が示されている。図1、2a、2bに関連して説明したこれらと同様又は同一の要素は、図3、3a、3bと同じ参照番号を有する。
【0047】
この実施例では、飲料分配装置は、好ましくは実質的に非支持の自由落下状態で、複数の濃縮液経路に沿って空気中に原液Ca、Cb、Ccの複数の流れ16a、16b、16c(図3a及び3b)を運搬するように、複数の異なる原液源30a、30b、30cにそれぞれ連結された3つの濃縮液ノズル14a、14b、14cを備えている。3つの濃縮液経路はそれぞれ、水ジェット6a、6bがまた原液と水を混合させるように合流する共通の交差点IPに向けられている。図3では、全ての濃縮液経路及び水経路が合流する交差点IPの前で濃縮液が合流し、経路は図3aでは全て交差点IPで実質的に初めて合流する。第1の実施例と同様に、濃縮液ノズル14a、14b、14cはそれぞれ、所望の飲料を用意するように原液の望ましい所定の選択又は組合せにより、対応する原液源30a、30b、30cのスイッチを入れる又は切る制御装置として設けられることが好ましい、制御ユニット28によって制御されたそれぞれのポンプ34a、34b、34c及び弁36a、36b、36cを介して濃縮液源30a、30b、30cに連結されている。所望の飲料により、制御ユニット28は2つ以上の濃縮液を連続的に又は同時に運搬するようにプログラミングすることができる。例えばモカ飲料を用意するのに、フレンチ・バニラ及びホット・チョコレート濃縮液が普通は同時に分配される。
【0048】
同じ又は異なる濃縮液源から、1つ又は複数のノズルを使用して1つの同じ濃縮液を運ぶことができることに留意されたい。図1に関連して説明した実施例と同様に、制御ユニット28はそれぞれのポンプを介して水及び原液運搬の様々なパラメータを制御するように構成することができる。水及び/又は濃縮液ジェットの数は、図1及び2に示すものに限るものではない。図3a、3bを参照すると、水ジェット6a、6b及び濃縮液ジェットの方向の例が互いに対して示されている。この例では、2つの水ジェット6a、6b及び濃縮液ジェット16a、16b、16cは単一の平面に位置決めされており、濃縮液ジェット16a、16b、16cは水ジェット6aと6bの間に配置されている。したがって、水ジェット6aと6bの間の角度は1つ又は2つの濃縮液ノズルのみが、水ノズル2と4の間に配置された濃縮液ノズルの数に対応するのに十分な空間を残すのに使用される場合よりも僅かに大きい。必要な空間によって、角度は1から180度まで、好ましくは20から60度まで、また最も好ましくは25から35度までの間で変化することができる。この実施例では、選択された角度は約60度であった。また、本実施例の分配装置が2つ以上の濃縮液ノズルを備えている場合、これらのノズルは好ましくは対称的に、またノズル及びその供給管路の設計及び制限を考慮に入れてできるだけ近く配置されることが好ましいことに留意されたい。
【0049】
図4a、4bは、3つの濃縮液ノズル14a、14b、14c及び4つの水ノズル15a、15b、15c、15dを備えた飲料分配装置のノズルの空間的方向の別の例を示しており、これらのノズルによって運ばれる流れ又はジェットは水及び少なくとも1つの原液の混合が起こる共通の交差点で合流する。この実施例では、4つの水ジェットが3つの濃縮液ジェット16a、16b、16cの周りで対になって垂直軸に対して対称に配置されている。第1の実施例と同様に、各対の水ジェット間に形成される角度は、1から180度まで、好ましくは20から60度まで、さらに最も好ましくは25から35度までの間で変化することができ、この角度の選択は水ノズルによって画定された周内に配置された濃縮液ノズルの数に対応するのに必要な空間に左右される。
【0050】
次に、液体及び少なくとも1つの原液の混合物を含む飲料を用意する方法をこれ以下に図1に示す実施例に関連して説明する。第1のステップでは、容器10は交差点IPの下流側で分配された水及び濃縮液の経路内に、好ましくは水ノズル2、4及び濃縮液ノズル14の水及び原液噴射オリフィスのほぼ下にあるように、分配装置1の支持体12上の供給位置に配置される。ノズルが垂直対称に水及び濃縮液を分配する場合、容器10は水ジェット6a、6b及び濃縮液流16の共通の交差点IPの周りで芯合わせされることが好ましい。
【0051】
制御ユニット28に結合されたスイッチの作動の際、制御ユニット28によりまず水ポンプ24が作動され、また水弁26が開口されて、水源18からそれぞれ第1及び第2の経路に沿って水ノズル2、4を介して空気中に水ジェット6a、6bが作り出される。水ノズル2、4は、そのようにして作り出された水ジェット6a、6bが混合領域8内の共通の交差点IPで容器10の上で交差するように向いている。
【0052】
ユーザ入力などに基づいて熱い飲料を所望の場合、制御ユニット28はまた水を所望の温度まで加熱するように、熱交換ユニット22を作動させる。制御ユニット28はまた、濃縮液ポンプ34を作動させ、濃縮液弁36を開口させて、濃縮液源30から第3の経路32に沿って濃縮液ノズル14を介して空気中に濃縮液流16が作り出される。濃縮液ノズル14は、そのようにして作り出された濃縮液流16が混合領域8内の共通の交差点IPで容器10の上で水ジェット6a、6bと交差し、それによって水及び濃縮液の同質の混合物が水ジェット及び濃縮液流の衝突によって形成されるように配向される。したがって、得られる混合物流は速度が小さく、跳ね返ることなく容器10内に簡単に案内することができる。
【0053】
運搬される水及び濃縮液の量に到達すると、制御ユニット28により弁26、36とポンプ24、34が停止される。水及び1つの濃縮液の混合物で作られた飲料で満たされた容器10はその後、支持体12から取り除くことができる。
【0054】
制御ユニット28は、水ジェットが作り出される場合にのみ、濃縮液が運搬されるように配置されていることが好ましいことに留意されたい。この点で、複数の水ポンプが使用される場合、これらの水ポンプのコントロール部は少なくとも濃縮液の運搬中に同期して水ジェットを運搬して、所望の混合効果を達成するように配置されていることが好ましいことに留意されたい。しかし、飲料中の所望使用量の濃縮液によれば、制御ユニット28は水の運搬の開始と同時に、又はその後の何れかで濃縮液の運搬を開始する、また水の運搬の前、又はそれと同時の何れかで濃縮液の運搬を停止させるように配置することができる。この点で、濃縮液の運搬は水の前に停止させることができ、それによって作り出される泡がより白くなることに留意すべきである。コントローラはしたがって、最終混合物構造要件により、所望の調合時間間隔で連続的に又は同時に原液源のスイッチを入れる又は切るように配置することができる。
【0055】
以下の実施例では、様々な飲料が本発明の分配装置及び方法に関連して用意されたが、様々な準備パラメータが実験された。
【0056】
(実施例1)
(カップの上で互いに衝突する)2つの水ジェット、及び(2つの水ジェットの合流点IPに向けられた)1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意した。水ジェット間の角度は30度であった。水流量及び線速度はそれぞれ、10ml/秒及び900cm/秒であった。使用した原液の粘度は300cPであった。水温は85℃であり、濃縮液は室温で使用した。水ジェット及び濃縮液流の共通の交差点IPは、カップの上であった。水ノズルの噴射オリフィスと水ジェット合流点IPの間の距離は15mmであった。
【0057】
分配されたカプチーノ飲料には、液体層化は観察されず、所望の外観の泡での高い泡量(1の割合の泡及び2の割合の液体)、及び安定性が観察された。
【0058】
(実施例2)
実施例1で与えた条件で2つの水ジェット及び1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意したが、水ジェット間の角度は5度である。
【0059】
液体層化は観察されず、高い泡量が確認された。しかし、泡安定性は悪く、泡外観は石鹸状泡が生成されたことにより望ましくなかった。
【0060】
(実施例3)
実施例1で与えた条件で2つの水ジェット及び1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意したが、水ジェット間の角度は70度である。
【0061】
液体層化は観察されなかった。しかし、泡量は低く、カップの周りに多くの跳ね返りが観察された。
【0062】
(実施例4)
実施例1で与えた条件でカプチーノ飲料を用意したが、水線速度は1250cm/秒であり、原液の粘度は2000cPであった。
【0063】
分配されたカプチーノ飲料には、液体層化は観察されず、所望の外観の泡での高い泡量、及び安定性が観察された。
【0064】
(実施例5)
実施例1で与えた条件でカプチーノ飲料を用意したが、水線速度は1250cm/秒であり、原液の粘度は2500cPであった。
【0065】
分配されたカプチーノ飲料には、液体層化が確認された。
【0066】
(実施例6)
本発明の飲料分配装置を牛乳の泡立てに使用した。2つの水ジェット(カップの上で互いに衝突する)、及び(2つの水ジェットの合流点に向けられた)牛乳濃縮液(30%全固体物)流を使用して、製品を用意した。水ジェット間の角度は30度であった。水流量及び線速度はそれぞれ、10ml/秒及び900cm/秒であった。使用した牛乳濃縮液の粘度は600cPであった。水温は85℃であり、牛乳濃縮液は室温で使用した。水ジェット及び濃縮液流の合流点は、カップの上であった。水ノズルの噴射オリフィスと水ジェット合流点の間の距離は15mmであった。
【0067】
分配された牛乳濃縮液には、液体層化は観察されず、所望の外観の泡での高い泡量(0.7〜0.8の泡/液体比)、及び安定性が観察された。
【0068】
(実施例7)
(カップの上で互いに衝突する)2つの水ジェット、及び(2つの水ジェットの合流点に向けられた)1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意した。水ジェット間の角度は30度であった。水流量及び線速度はそれぞれ、10.2ml/秒及び1,000cm/秒であった。使用した原液の粘度は540cPであった。水温は85℃であり、濃縮液は室温で使用した。水ジェット及び濃縮液流の共通の合流点は、カップの上であった。水ノズルの噴射オリフィスと水ジェット合流点IPの間の距離は15mmであった。
【0069】
分配されたカプチーノ飲料には、液体層化は観察されず、所望の外観の泡での高い泡安定性(15分後で50%以上)が観察された。
【0070】
(実施例8)
実施例7で与えた条件で2つの水ジェット及び1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意したが、水流量は14.0ml/秒である。
【0071】
分配されたカプチーノ飲料には、液体層化は観察されず、所望の外観の泡での高い泡安定性(15分後で50%以上)が観察された。
【0072】
(実施例9)
実施例7で与えた条件で2つの水ジェット及び1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意したが、水流量は5.1ml/秒である。
【0073】
液体層化は観察されなかった。しかし、泡量は低く、安定性は悪かった。
【0074】
(実施例10)
実施例7で与えた条件で2つの水ジェット及び1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意したが、水流量は25.2ml/秒である。
【0075】
液体層化は観察されなかった。しかし、泡の安定性は悪かった。
【0076】
(実施例11)
(カップの上で互いに衝突する)2つの水ジェット、及び(2つの水ジェットの合流点に向けられた)1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意した。水ジェット間の角度は30度であった。水流量及び線速度はそれぞれ、13.5ml/秒及び1,000cm/秒であった。使用した原液の粘度は540cPであった。水温は85℃であり、濃縮液は室温で使用した。水ジェット及び濃縮液流の共通の合流点は、カップの上であった。水ノズルの噴射オリフィスと水ジェット合流点IPの間の距離は15mmであった。
【0077】
分配されたカプチーノ飲料には、液体層化は観察されず、所望の外観の泡での高い泡量、及び高い安定性が観察された。
【0078】
(実施例12)
実施例11で与えた条件で2つの水ジェット及び1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意したが、水線速度は200cm/秒である。
【0079】
分配されたカプチーノ飲料には、液体層化及び低い泡量が観察された。
【0080】
(実施例13)
実施例11で与えた条件で2つの水ジェット及び1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意したが、水線速度は1350cm/秒である。
【0081】
分配されたカプチーノ飲料には、液体層化は観察されなかったが、実施例11より低い泡量が観察された。
【0082】
(実施例14)
(カップの上で互いに衝突する)2つの水ジェット、及び(2つの水ジェットの合流点に向けられた)1つの原液流を使用して、カプチーノ飲料を用意した。水ジェット間の角度は30度であった。水流量及び線速度はそれぞれ、13.5ml/秒及び1,000cm/秒であった。使用した原液の粘度は540cPであった。原液流量は5.0ml/秒であった。水温は85℃であり、濃縮液は室温で使用した。水ジェット及び濃縮液流の共通の合流点は、カップの上であった(水ノズルの噴射オリフィスと水ジェット合流点の間の距離は15mmであった)。
【0083】
分配されたカプチーノ飲料には、液体層化は観察されず、所望の外観の泡での高い泡量、及び高い安定性が観察された。
【0084】
(実施例15)
実施例14で与えた条件でカプチーノ飲料を用意したが、濃縮液流量は20ml/秒である。
【0085】
分配されたカプチーノ飲料には、液体層化は観察されず、所望の外観の泡での高い泡量、及び高い安定性が観察された。
【0086】
(実施例16)
(カップの上で互いに衝突する)2つの水ジェット、及び(2つの水ジェットの合流点に向けられた)1つのコーヒー原液流を使用して、コーヒー飲料を用意した。水ジェット間の角度は30度であった。水流量及び線速度はそれぞれ、10ml/秒及び900cm/秒であった。使用したコーヒー原液の粘度は870cPであった。水温は85℃であり、濃縮液は室温で使用した。水ジェット及び濃縮液流の共通の合流点は、カップの上であった。水ノズルの噴射オリフィスと水ジェット合流点の間の距離は15mmであった。分配された飲料には、液体層化は観察されなかった。
【0087】
本発明は、本発明の原理の例示である、特定の実施例を参照して説明したことを理解されたい。いくつかの変更を、頭記の特許請求の範囲に規定された本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって行うことができる。例えば、用意する飲料の数及びタイプによって、水ノズル及び濃縮液ノズルの数を変更することができ、制御ユニットを好ましくは、用意する飲料を集めるように容器上の1つの共通の交差点で合流する少なくとも2つの水ジェット及び1つの原液流を提供する分配装置に適応させることができる。生成された水ジェット及び濃縮液流の形状は円筒形であることが好ましいが、例えば、星形、四角形、三角形、楕円形、矩形、又は他の断面形状などの異なる形状の水ジェット及び/又は濃縮液流を使用することを変更形態で考えることができる。変更形態ではまた、濃縮液ノズルよりも垂直軸に近くに液体ノズルの噴射オリフィスを配置することを考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明による飲料分配装置の一実施例を示す略図である。
【図2a】1つの濃縮液ノズル及び2つの水ノズルを備えた、本発明による飲料分配装置のノズルの空間的方向の実施例を示す、図1の詳細正面図である。
【図2b】図2aに示す水及び濃縮液ノズルの底部断面図である。
【図3】3つの濃縮液ノズル及び2つの水ノズルを備える、本発明による飲料分配装置の別の実施例を示す略図である。
【図3a】図3に示した飲料分配装置のノズルの空間的方向の実施例を略図的に示す、図3の詳細正面図である。
【図3b】図3aに示す水及び濃縮液ノズルの底部断面図である。
【図4a】3つの濃縮液ノズル及び4つの水ノズルを備えた飲料分配装置のノズルの空間的方向の実施例を略図的に示す、図3aと同様の正面図である。
【図4b】図4aに示す水及び濃縮液ノズルの底部断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体源と、
流体ノズルと、
流動性食品成分源と、
食品成分ノズルと、
前記それぞれの源から前記それぞれのノズルに流体及び食品成分を運ぶように、前記流体源を前記流体ノズルに、前記成分源を前記成分ノズルに連結させる運搬装置とを備える食品製品ディスペンサであって、
前記運搬装置及びノズルは、少なくとも1つの流れが実質的に自由落下状態にある交差位置で互いに交差する流体及び成分流内でそれぞれ前記流体及び成分が前記流体及び成分ノズルからそれぞれ噴射されるように構成されており、
前記運搬装置及びノズルは、衝突によって前記流れが混合して分配位置に向けられた食品製品を製造するような構成で前記流れを噴射するように構成されているディスペンサ。
【請求項2】
前記流体及び成分流は両方とも、前記交差位置で実質的に自由落下状態にある、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記交差位置での前記流れは、いかなる中実構造物にも支持されず、容器を充填する前に混合する、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記流体流はジェットであり、前記流れは前記交差位置の下流側で平均速度が小さい、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記分配位置で容器を受けて、中に前記食品製品を受けるように構成された分配溝をさらに備える、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記食品製品は飲料である、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項7】
前記流体は水であり、前記成分は液体飲料濃縮液である、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記流体ノズルは少なくとも2つの流体ノズルを備えており、前記流体流は前記交差位置で交差する少なくとも2つの流体流を含む、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記ノズルは噴射オリフィスを備えており、前記成分ノズルの前記噴射オリフィスは、前記交差位置を通して延びる前記流れの共通の中心軸に前記流体ノズルの前記噴射オリフィスより近くに配置されている、請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記中心軸はほぼ垂直である、請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記成分ノズルは、前記成分流をほぼ前記中心軸に沿って向けるように構成されている、請求項9に記載のディスペンサ。
【請求項12】
前記オリフィスから出る前記第1及び第2の流れは、約20から60度の間の角度をなす、請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項13】
各流体ノズルのオリフィスを通して運ばれる前記流れは流量及び線速度が、それぞれ約5から15ml/秒まで及び600から1300cm/秒までの間であり、成分は約300から1500cPまでの間の粘度を有する原液である、請求項12に記載のディスペンサ。
【請求項14】
前記流体ノズルのオリフィスは直径が約0.5から1.5mmまでの間であり、前記成分ノズルは直径が約1から3.5mmまでの間である、請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項15】
前記流体ノズルは、約1から200mmまでの間の距離で前記交差位置から離れて配置された、請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項16】
前記運搬装置は、前記流体流を作り出すのに十分な流量で、前記流体源から前記流体ノズルまで前記流体を汲み上げるように構成された流体ポンプと、
前記成分流を作り出すのに十分な流量で、前記成分源から前記成分ノズルまで前記成分を汲み上げるように構成された成分ポンプとを備える、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項17】
前記ポンプの少なくとも1つは、前記流体又は成分のパルスを運ぶように構成されている、請求項16に記載のディスペンサ。
【請求項18】
前記ポンプは蠕動ポンプである、請求項17に記載のディスペンサ。
【請求項19】
前記流量を制御するように前記ポンプに結合されたコントローラをさらに備える、請求項16に記載のディスペンサ。
【請求項20】
前記成分源は複数の成分源を備えており、
前記成分ノズルは、前記成分源から前記交差位置に異なる成分を分配する複数の成分ノズルを備え、
前記運搬装置は、前記成分ノズルから前記流れを選択的に作動及び停止させて、分配用に選択された食品製品のタイプによって前記交差位置に前記成分の1つ又は複数の選択した組合せを分配するように構成されている、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項21】
前記運搬装置を制御して、前記成分を前記交差位置に連続的に分配するように構成されたコントローラをさらに備えた、請求項20に記載のディスペンサ。
【請求項22】
前記運搬装置を制御して、前記成分を前記交差位置にほぼ同時に分配するように構成されたコントローラをさらに備えた、請求項20に記載のディスペンサ。
【請求項23】
分配される前記流体を加熱又は冷却するように構成された熱交換ユニットをさらに備える、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項24】
流れが衝突によって混合し、容器内に落ちて、中で食品製品を用意するように、流れがほぼ自由落下状態である交差位置に向かってディスペンサから流体及び食品成分の流れを向けるステップを含む、食品製品を用意する方法。
【請求項25】
前記流れの前記平均速度は、前記交差位置の下流側で小さい、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記流体流は、前記交差位置に向けられた複数の流体ジェットを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記成分流は前記交差位置に向けられた複数の成分流を含み、前記成分流は異なる成分を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
さらに、分配される食品製品のタイプの選択を前記ディスペンサに入力するステップと、
選択した食品製品の前記タイプによって、前記交差位置に前記成分の1つ又は複数の選択した組合せを分配するように前記異なる成分流を選択的に作動及び停止させるステップとを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
組み合わせた前記異なる成分は連続的に分配される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記異なる成分はほぼ同時に分配される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記流れは、互いに対して約20から60度までの間の角度で前記ディスペンサから噴射される、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記流体流の前記流量及び線速度はそれぞれ、約5から15ml/秒まで及び600から1300cm/秒までの間であり、前記成分は約300から1500cPまでの間の粘度を有する原液である、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記食品製品は飲料である、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【公表番号】特表2007−513019(P2007−513019A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541826(P2006−541826)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013092
【国際公開番号】WO2005/054116
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】