説明

原稿圧着板開閉装置並びに事務機器

【課題】 原稿圧着板の中折れ防止手段を支持部材の中に外部へ突出しないように設けた原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器を提供する。
【解決手段】 装置本体側へ取り付ける取付部材と、その両側板を前記取付部材の両側板へヒンジピンを介して回転可能に連結した支持部材と、前記支持部材の両側板の自由端側に連結ピンを介して該支持部材とは異なる方向へ回転可能となるように軸着したところの原稿圧着板を取り付けるリフト部材と、このリフト部材の前記連結ピンを支点に旋回する位置に設けられた作動部材と、前記取付部材側の両側板間に軸架させた受圧部材と、この受圧部材と前記作動部材の間に弾性手段を作用させつつ前記支持部材内に収容されてスライド可能に設けられたカムスライダー及びスプリング受け部材とから成る原稿圧着板開閉装置において、前記中折れ防止手段を前記カムスライダー及びスプリング受け部材のそれぞれ設けた収装部内部へ収装させて設けることにより解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機や印刷機等の事務機器の原稿圧着板の開閉時にその中折れを防止する機構を備えた原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、とくに複写機の原稿圧着板開閉装置として、取付ベースとこの取付ベースの両側より立ち上げた両側板を有し、前記取付ベースを装置本体側へ取り付ける取付部材と、少なくとも背板とこの背板より折り曲げた両側板を有し、この両側板を前記取付部材の両側板へヒンジピンを介して回転可能に連結した支持部材と、原稿圧着板を取り付ける背板とこの背板より折り曲げた両側板とを有し、前記支持部材の両側板の自由端側に連結ピンを介して該支持部材とは異なる方向へその両側板を回転可能となるように軸着したリフト部材と、このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回転時に前記連結ピンを支点に旋回する位置に設けられた作動部材と、前記取付部材側の両側板間にヒンジピンとは異なる位置に軸架させた受圧部材と、この受圧部材にカム部を当接させて前記支持部材内部に摺動可能に収装されたカムスライダーと、前記支持部材内の自由端側に前記作動部材に当接させて摺動可能に収装されたスプリング受け部材と、前記カムスライダーと前記スプリング受け部材との間に弾設させることにより、前記リフト部材を支持部材と重なり合う方向へ回転付勢させつつ前記支持部材を少なくとも原稿圧着板の開成方向へ付勢させる弾性手段とで構成したもの、並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器が、下記特許文献1により公知である。
【0003】
この従来公知の原稿圧着板開閉装置並びに事務機器は、弾性手段がスプリング受カム部材を介して作動部材を押し、リフト部材を支持部材と重なり合う方向へ回転付勢させて押圧しているので、自動原稿送り装置付きの重量のある原稿圧着板の開閉操作をその重さを感じさせることなく行うことができる。そして、原稿が本のような厚物原稿の場合には、当該厚物原稿を事務機器の装置本体の原稿載置台の上に載置させた後、原稿圧着板をその下面が厚物原稿に当接するまで閉じ、さらに下押しすると、原稿圧着板は作動部材が弾性手段の弾力に抗してスプリング受け部材をスライドさせることによって、連結ピンを支点にリフト部材の反転を許容するので、このリフト部材に取り付けられている原稿圧着板はリフト部材と共に連結ピンを支点に反転して、厚物原稿の上面を水平に覆うことができることから、外光が装置本体内部の露光系に侵入するのを可及的に防止できるように構成されている。
【0004】
しかしながら、時として開いた原稿圧着板を閉じる際に手で強く押圧して急激に閉じた場合には、原稿が厚物原稿でない場合でも、原稿圧着板がリフト部材と共に弾性手段の弾力に抗して連結ピンを支点に反転してしまう場合が生ずることがあった。この現象を原稿圧着板の中折れ現象いい、この中折れ状態のまま原稿圧着板が閉じられてしまうと、原稿圧着板を正しい姿勢で閉じることができなかったり、或は原稿に位置ずれが生じてしまうといった問題が生じた。
【0005】
そこで、本願特許出願人は下記特許文献2において、この中折れ現象を防止する中折れ防止手段を備えた原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-154287号公報
【特許文献2】特開2008-257167号公報
【0007】
上記特許文献2で本願出願人が提案した原稿圧着板開閉装置のうち実施例1のものは、支持部材及び前記リフト部材のいずれか一方に設けられる係合受部と、この係合受部と係合すると共に前記支持部材及び前記リフト部材のいずれか他方に移動可能に設けられる係合部とから成る係合手段と、支持部材に移動可能に設けられ、前記原稿圧着板を閉成方向に回転させてこの原稿圧着板が機器本体の上面に載置した原稿に接触する前に前記係合部を移動させてこの係合部と前記係合受部との係合を解除させる係合解除部材から成る係合解除手段を備えて成るものであったが、係合手段がリフト部材の背板の上部に大きく突出する構成であったことから、外観状のスマートさにかけるきらいがある上に、原稿圧着板の下面に係合手段を収容させるスペースを設けなくてはならないという問題点があった。
【0008】
また、実施例2のものは、支持部材の背板部分に大きな収装孔を設けて、この収装孔に中折れ防止手段を装着するものであったので、支持部材の強度に影響が出るおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記問題点を解決するために成されたもので、中折れ防止手段を支持部材の中に外部へ突出しないように設けることにより、支持部材にその強度に影響を与えるほどの大きな収装孔を設ける必要がなく、原稿圧着板開閉装置の外観上をすっきりとした印象を見る人に与え、かつ、原稿圧着板の方に係合手段の収容スペースを設ける必要のない原稿圧着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、装置本体側へ取り付ける取付部材と、その両側板を前記取付部材の両側板へヒンジピンを介して回転可能に連結した支持部材と、前記支持部材の両側板の自由端側に連結ピンを介して該支持部材とは異なる方向へ回転可能となるように軸着したところの原稿圧着板を取り付けるリフト部材と、このリフト部材の前記連結ピンを支点に旋回する位置に設けられた作動部材と、前記取付部材側の両側板間に軸架させた受圧部材と、この受圧部材と前記作動部材の間に弾性手段を作用させつつ前記支持部材内に収容されてスライド可能に設けられたカムスライダー及びスプリング受け部材とから成るものにおいて、前記中折れ防止手段を前記カムスライダー及びスプリング受け部材のそれぞれ設けた収装部内部へ収装させて設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明はまた、取付ベースとこの取付ベースの両側より立ち上げた両側板を有し、前記取付ベースを装置本体側へ取り付ける取付部材と、少なくとも背板とこの背板より折り曲げた両側板を有し、この両側板を前記取付部材の両側板へヒンジピンを介して回転可能に連結した支持部材と、背板とこの背板より折り曲げた両側板を有し、前記支持部材の両側板の自由端側に連結ピンを介して該支持部材とは異なる方向へその両側板を回転可能となるように軸着したところの原稿圧着板を取り付けるリフト部材と、このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回転時に前記連結ピンを支点に旋回する位置に設けられた作動部材と、前記取付部材側の両側板間に軸架させた受圧部材と、この受圧部材にカム部を当接させて前記支持部材内部に摺動可能に収装されたカムスライダーと、前記支持部材内の自由端側に前記作動部材に当接させて摺動可能に収装されたスプリング受け部材と、前記カムスライダーと前記スプリング受け部材との間に弾設させることにより、前記リフト部材を支持部材と重なり合う方向へ回転付勢させつつ前記支持部材を少なくとも原稿圧着板の開成方向へ付勢させるコイルスプリングと、前記原稿圧着板の所定の開閉角度以上において当該原稿圧着板の中折れを防止する中折れ防止手段と、から成り、この中折れ防止手段を前記カムスライダーと及び前記スプリング受け部材のそれぞれ設けた収装部内部へ収装させて設け、前記原稿圧着板の所定開閉角度以上において前記リフト部材に作用してその反転を防止するように成したことを特徴とする。
【0012】
以上いずれの場合にも、本発明は、前記中折れ防止手段を、スプリング受け部材を介して前記リフト部材に作用して前記原稿圧着板の所定の開閉角度範囲において、当該原稿圧着板の中折れを防止するように構成することができる。
【0013】
本発明はさらに、前記中折れ防止手段を、前記原稿圧着板の所定の開閉角度範囲において、前記スプリング受け部材に作用して前記作動部材に対する押圧動作を規制することにより、前記原稿圧着板の所定の開閉角度範囲において、当該原稿圧着板の中折れを防止するように構成することもできる。
【0014】
本発明はさらに、前記中折れ防止手段を、前記カムスライダーの側の第1収装部内に収容させた第1リンクベースと、前記スプリング受け部材の側の第2収装部内に収容させた第2リンクベースと、前記第2収装部内に前記第2リンクベースと重ね合わせて収容させつつ前記支持部材の方向へスライド可能に成したロックプレートと、前記第1リンクベースと前記第2リンクベース及びロックプレートとの間に揺動可能に連結されたリンクアームとで構成し、前記原稿圧着板の所定開閉角度以上において、前記ロックプレートに設けた係止片が前記支持部材に設けた係止孔と係合して、前記リフト部材の反転を阻止するように成したことを特徴とする。
【0015】
本発明はさらに、前記中折れ防止手段を、前記カムスライダーの側の第1収装部内に収容された第1リンクベースと、前記スプリング受け部材の側の第2収装部内に収容させた第2リンクベースと、中央部に設けスリットに前記第2リンクベースを直交する方向へ挿通させつつ前記支持部材の方向へスライド可能となるように設けたロックプレートと、前記第1リンクベースと前記第2リンクベースとの間に揺動可能に連結されたリンクアームとで構成し、前記原稿圧着板の所定開閉角度以上において、前記ロックプレートに設けた係止片が前記支持部材に設けた係止孔と係合して、前記リフト部材の反転を阻止するように成したことを特徴とする。
【0016】
そして、本発明は、上記に各記載の原稿圧着板開閉装置を装置本体と原稿圧着板との間に用いた事務機器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以上のように構成したので、中折れ防止手段によって原稿圧着板の所定の開閉角度以上の開閉角度において、原稿圧着板の中折れ現象を防止することができる上に、中折れ防止手段が支持部材の中にスライド可能に収められたカムスライダーとスプリング受け部材の各収装部内に収容されていることから、中折れ防止手段が外部へ突出することなく原稿圧着板開閉装置の外観がすっきりとしたものになり、さらに、この中折れ防止手段を収容するスペースを原稿圧着板に設ける必要がなくなったので、従来の原稿圧着板に設計変更を加える必要がなくそのままのものを用いることができ、さらに、中折れ防止手段を設けても支持部材の強度に影響を与えるおそれがないという作用効果を奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る原稿圧着板開閉装置を備えた事務機器の原稿圧着板90°を開いて見た斜視図である。
【図2】本発明に係る実施例1の原稿圧着板開閉装置の側面図である。
【図3】図2に示した原稿圧着板開閉装置の分解斜視図である。
【図4】図2に示した原稿圧着板開閉装置の中折れ防止手段の要部の斜視図であり、(a)図はロックプレートの動作前の状態、(b)図はロックプレートの動作後の状態を表している。
【図5】図2に示した原稿圧着板開閉装置の中折れ防止手段の部品を示し、(a)図はカムスライダーの平面図、(b)図はスプリング受け部材の底面図、(c)図はリンクアームの平面図である。
【図6】図2に示した原稿圧着板開閉装置を弾性手段の部分で割って見た側断面図である。
【図7】図2に示した原稿圧着板開閉装置を中折れ防止手段の部分で割ってみた側断面図である。
【図8】図2に示した原稿圧着板開閉装置の中折れ防止手段の動作を説明するための側断面図である。
【図9】図2に示した原稿圧着板開閉装置を用いて厚物原稿を複写する際に動作を説明する側断面図である。
【図10】図2に示した原稿圧着板開閉装置を用いて原稿圧着板を75°まで開いて見た状態の側断面図である。
【図11】本発明に係る第2実施例の原稿圧着板開閉装置の分解斜視図である。
【図12】図11に示した原稿圧着板開閉装置のスプリング受け部材を逆方向から見た斜視図でありガイドピンも図示してある。
【図13】図11に示した原稿圧着板開閉装置の中折れ防止手段の要部の斜視図であり、(a)図はロックプレートの動作前の状態、(b)図はロックプレートの動作後の状態を表している。
【図14】図11に示した原稿圧着板開閉装置を中折れ防止手段の部分で割ってみた側断面図である。
【図15】図11に示した原稿圧着板開閉装置の中折れ防止手段の動作を説明するための側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明では複写機或は複合機に用いられる原稿圧着板開閉装置として説明するが、本発明に係る原稿圧着板開閉装置は、複写機或は複合機以外の印刷機やファクシミリ、スキャナーなどの事務機器にも用いられるものである。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明に係る事務機器の一例としての複写機或いは複合機(以下単に複合機という。)を示す。図面によれば、本発明に係る複合機Aの装置本体イ上には、一対の原稿圧着板開閉装置B、Cを介して、自動原稿送り装置ロ付の原稿圧着板Dが開閉可能に取り付けられている。この原稿圧着板開閉装置B、Cのうちの、一方の自動原稿送り装置ロが取り付けられている図中左側の原稿圧着板開閉装置Bは、後述するように、原稿圧着板Dの開閉操作時に当該原稿圧着板開閉装置Bへ加わる荷重が大きいので、弾性手段12を構成するコイルスプリングは径の異なる大小12a、12bのものを重ね合わせ、この重ね合わせたものを2本用いているが、右側の原稿圧着板開閉装置Cは加重が軽いので図示はしてないが、径の異なる大小のコイルスプリングを重ね合わせたものを1本用いているのみである。しかしながら、本発明に係る原稿圧着板開閉装置は、原則的に横幅が異なるのみで、基本的な構成は同じであるので、以下の説明ではもっぱら左側の原稿圧着板開閉装置B或はFに後述する中折れ防止手段E或はGを設けた場合について説明する。尚、本発明を右側の原稿圧着板開閉装置Cへ実施する場合には、スプリング受け部材とスライダーカムの片側へそれぞれ収装部を設け、この各収装部内へ中折れ防止手段を収容させることが考えられよう。
【0021】
図2乃至図10は、本発明の実施例1に係る原稿圧着板開閉装置Bの一例を具体的に示す図である。本発明に係る原稿圧着板開閉装置Bは、複合機Aの装置本体イ 側へ取り付けられる取付部材1と、この取付部材1の両側板1b、1bへその両側板2b、2bをヒンジピン3を介して回転可能に連結した支持部材2と、この支持部材2の両側板2b、2bの自由端側へ連結ピン4を介して該支持部材2とは異なる方向へ回転可能となるように軸着したところの、原稿圧着板Dを取り付けるリフト部材6と、取付部材1の両側板1b、1b間に設けた受圧部材5と、この受圧部材5にカム部10aを当接させて前記支持部材2内部に抱持板2i、2iに抱えられ手摺動可能に収装されたカムスライダー10と、リフト部材6の両側板6b、6b間に設けた作動部材9と、この作動部材9に当接させて支持部材2内部に摺動可能に収装されたスプリング受け部材11と、カムスライダー10とスプリング受け部材11との間に弾設させることにより、前記リフト部材6を支持部材2と重なり合う方向へ回転付勢させつつ、支持部材2を少なくとも原稿圧着板Dの開成方向へ付勢させる弾性手段12、12と、カムスライダー10とスプリング受け部材11と支持部材2の間に設けられた中折れ防止手段Eと、を有するように構成したものである。
【0022】
さらに詳しくは、取付部材1は、装置本体イ上に取り付けられる取付ベース1aと、この取付ベース1aの両側端部からそれぞれ当該取付ベース1aに対して直交する上方向(略直交する方向も含む)に折り曲げた両側板1b、1bと、取付ベース1aの一端部(後端部)から該取付ベース1aに対して直交する上方向(略直交する方向も含む)に折り曲げて、その両側部の一部を取付部材1の両側板1b、1bに係止させた略矩形状の後板1cと、から構成されている。この後板1cには必要に応じて、原稿圧着板Dの開閉操作時における支持部材の最大開成角度(60°)を決めるストッパー部材8が取付ビス8a、8aを介して取り付けられている。その他、指示記号1d、1dのものはヒンジピン取付孔であり、指示記号1e、1eのものは受圧部材取付孔であり、さらに指示記号1f、1fのものは図示してない係止ピンの挿通孔である。
【0023】
支持部材2は、背板2aと、この背板2aの両端部から下方へ折り曲げ両側板2b、2bと、この両側板2b、2bの下端側からは共に内側へ曲げられた抱持板2i、2iから構成されており、両側板2b、2bは上述したように、ヒンジピン3によって取付部材1の両側板1b、1bへ回転可能に連結されている。両側板2b、2bの自由端側には、連結ピン4を介してリフト部材6が回転可能に軸着されると共に、作動部材9の両端側が入り込むガイド溝2d、2dが設けられている。その他、指示記号2e、2eはヒンジピン挿通孔、指示記号2f、2fのものは連結ピン挿通孔、指示記号2g、2gは係止孔、指示記号2h、2hは組立時に用いるストッパー孔である。
【0024】
ヒンジピン3は、その両端部に周溝3d、3dを設けた金属製の丸棒で、取付部材1のヒンジピン取付孔1d、1dに取り付けられた軸受部材3a、3aの軸受孔3e、3eを貫通して支持部材2のヒンジピン挿通孔2e、2eを連結し、ワッシャー3b、3bを介して周溝3d、3dに係止させたEリング3c、3cで抜け止め規制されている。
【0025】
リフト部材6は背板6aと、この背板6aの両端部からそれぞれ当該背板6aに対して直交する下方向(略直交する方向も含む)に折り曲げた両側板6b、6bと、この両側板6b、6bよりさらに外側へ折り曲げた取付板6d、6dとから成り、支持部材2を覆うように構成されている。リフト部材6の両側板6b、6bの連結ピン4で軸着されている側には、作動部材取付孔6c、6cが設けられ、この作動部材取付孔6c、6cには、ピン状の作動部材9が取り付けられると共に、取付板6d、6dには原稿圧着板Dが取り付けられる構成である。尚、背板6aに取り付けられている調節ネジ7aとナット7bからなるものは、高さ調節手段7であり、原稿圧着板Dの原稿載置台g(コンタクトガラス)に対する高さを微調整して、原稿圧着板Dが均等に原稿載置台g(コンタクトガラス)の上面へ圧着するようにするためのものである。さらに、指示記号6fはストッパーピン挿通孔である。
【0026】
連結ピン4は、金属製の丸棒で、両端部側に周溝4c、4cを有し、支持部材2の連結ピン挿通孔2f、2fとリフト部材6の連結ピン取付孔6e、6eへ挿通されることにより、リフト部材6を支持部材2に連結し、ワッシャー4a、4aを介して周溝4c、4cへEリング4b、4bを係止させることにより抜け止め規制されている。
【0027】
支持部材2内には、抱持板2i、2iに抱えられてカムスライダー10とスプリング受け部材11が、摺動可能に収納されている。カムスライダー10とスプリング受け部材11は、断面矩形の有底筒体状に形成されており、カムスライダー10の一端部側の受圧部材5側には、一方向へ傾斜させて上面が平坦なカム部10aが設けられると共に、受圧部材5の露出側を覆うカバー10bが設けられている。スプリング受け部材11の一端部側の作動部材9側には、当接部11aが隆起して設けられている。尚、この当接部11aは必須ではなく一面に平坦部としても良い。カムスライダー10とスプリング受け部材11は、互いの開口部10c、10cと11b、11b(一方のみ表示)が向き合うように支持部材2内に摺動可能に収納されて、カムスライダー10のカム部10aの側は受圧部材5と当接し、スプリング受け部材11の当接部11aの側は作動部材9と当接している。
【0028】
尚、作動部材9は、実施例のものは、両端部側に周溝9b、9bを有し、作動部材取付孔6c、6cに挿通させ、周溝9b、9bにEリング9a、9aを係止させることによりリフト部材6の両側板6b、6bへ抜け止め規制されて取り付けられている。この作動部材9は金属製の丸棒であるが、上記実施例のほかに、リフト部材6に頂板を設け、この頂板を内側へ折り曲げて作動部材を構成することもできる。また、作動部材9は両側板6b、6b間に回転可能或は固定して取り付けることができる。
【0029】
カムスライダー10とスプリング受け部材11の間に、互いの両端部側を当該カムスライダー10とスプリング受け部材11の開口部10c、10cと11b、11b(一方のみ表示)内に挿入させて、大径コイルスプリング12a、12aと小径コイルスプリング12b、12bから成る弾性手段12、12が弾設されており、これにより、カム部10aは受圧部材5と圧接し、当接部11aは作動部材9と圧接状態にある。この弾性手段12、12は、1個でも2個以上でもよく、例えば2個並列、或は図面に示したように、大径コイルスプリング12a、12aと小径コイルスプリング12b、12bとが重合して設けられており、カムスライダー10とスプリング受け部材11をそれぞれ互いに離間する方向に付勢している。
【0030】
受圧部材5は、取付部材1の両側板1b、1b間に軸架した金属製の受圧ピン5aと、この受圧ピン5aを軸方向に設けた挿通孔5dに通して、当該受圧ピン5aに対して回転可能に取り付けられた合成樹脂性のスライドローラ5bとで構成されている。スライドローラ5bは外形が断面略4角形状に構成されており、長径の側の片面を摺接部5cとしてカムスライダー10の平坦なカム部10aに当接させている。カム部10aとスライドローラ5bの接触面には図示してないが潤滑用のグリスが塗布されている。また、挿通孔5dはスライドローラ5bの下側寄りに設けられており、各角部にはアール部5eが設けられている。尚、このスライドローラ5bの材料は、合成樹脂に限られず、焼結金属、セラミック、機械加工物その他のものであっても良い。
【0031】
尚、受圧ピン5aは、その両端部をかしめることによって、受圧部材取付孔1e、1eに固定しても良く、Eリングを用いて抜け止め規制しても良い。また、回転可能に受圧部材取付孔1e、1eへ取り付けるようにしても良い。さらに、受圧部材5は、受圧ピン5aとスライドローラ5bを一体或は一体的に構成して、受圧部材取付孔1e、1eへ回転可能に取り付けるようにしても良い。さらに、カム部を湾曲したアール形状に構成し、スライドローラがカム部と当接する摺接部側をカム部のアール形状と面接触する形状に構成することもできる。
【0032】
中折れ防止手段Eは、その本体がカムスライダー10とスプリング受け部材11とのそれぞれ対向する中央部の一対の弾性手段12、12の開口部10c、10c・11b、11bの間に設けられた第1収装部10d及び第2収装部11cの内部に収容されており、カムスライダー10の側の第1収装部10d内部に収容された第1リンクベース25と、スプリング受け部材11の側の第2収装部11c内に重ね合わせて収容させた第2リンクベース26及びロックプレート27と、第1リンクベース25と第2リンクベース26の間を揺動可能に連結するリンクアーム28とで構成されている。即ち、第1リンクベース25は下端部側に折曲片25aを設けた平面矩形状のもので、連結ピン25bが取り付けられている。第2リンクベース26とロックプレート27は各平面部に大きさの異なる略Z型を呈した第1ガイド溝26aと第2ガイド溝27aを有し、この各第1及び第2ガイド溝26aと27aを重ね合わせて第2収装部11c内に収容されており、さらに第2リンクベース26の方には一対のガイド突起26bが設けられ、ロックプレート27の方にはこのガイド突起26bをガイドする一対のガイド長孔27bが設けられている。
【0033】
さらに、第2リンクベース26の方にも折曲片26eが設けられると共に、ロックプレート27の方には支持部材2の背板2aに設けた係止孔2cに支持部材2の回転角度によって係合する係止片27cが設けられている。そして、リンクアーム28は、第1リンクベース25に設けた連結ピン25bにその一端部に設けた連結孔28aを連結させると共に、その他端部に設けた連結ピン28bを第2リンクベース26とロックプレート27の第1及び第2ガイド溝26a、27aに連結させることによって、第1リンクベース25と第2リンクベース26及びロックプレート27の間を連結させて揺動可能である。そして、第1ガイド溝26aと第2ガイド溝27aの始端部aとc側から上方へ設けられている上向溝26cと27dと、終端部bとdの側から下方へ設けられている下向溝26dと27eは、リンクアーム28の連結ピン25bの逃がし用の溝である。
【0034】
次に、上記実施例1に係る原稿圧着板開閉装置Bの動作について説明する。今、図2と図6に示したように、原稿圧着板Dを閉じた状態においては、主として当該原稿圧着板Dの重量により、弾性手段12、12の弾力に抗して原稿圧着板Dは閉じられ、安定した閉成状態を保っている。尚、ここのところは、弾性手段12、12の作用線を受圧部材5の下方へずらすことにより、原稿圧着板Dを閉成方向へ回転付勢させることもできる。この閉成状態において、受圧部材5のスライドローラ5bはその長径部側の摺接部5cをカムスライダー10のカム部10aと面接触させており、最も圧縮された状態の弾性手段12、12の弾力を面で受けている。
【0035】
この閉成状態において、カムスライダー10とスプリング受け部材11との間の対向間隔が最も狭くなっていることから、図7に示したように、中折れ防止手段Eを構成するリンクアーム28は、揺動して第2リンクベース26とロックプレート27の各第1及び第2ガイド溝26a、27aの下向溝26d、27eの始端部aとcの位置にあって、ロックプレート27の係止片27cは支持部材2の係止孔2cと係合していない。この係止片27cが支持部材2の係止孔2cと係合していない状態は、図8と図9に示したように、原稿圧着板Dの開閉角度の30°当たりまで続く。原稿圧着板Dをさらに開いて行くと、カムスライダー10とスプリング受け部材11の対向間隔が開いて行くので、リンクアーム28は第1リンクベース25の連結ピン25bに連結された箇所を支点に揺動して起き上がって行き、ロックプレート27の第1ガイド溝26aの終端部に達し、さらに、第2リンクベース26に対してロックプレート27を押すので、このロックプレート27の係止片27cは支持部材2に設けた係止孔2cと係合することになる。この開成角度は図示してないがこの実施例1のもので大体30°以上であるがこの開成角度に限定されない。
【0036】
ロックプレート27の係止片27cが支持部材2の係止孔2cと係合した状態から原稿圧着板Dをさらに開いて行くと、図10に示したように、第2リンクベース26とロックプレート27の第1ガイド溝26aと第2ガイド溝27aの下向溝26dと27eの位置が一致することから、リンクアーム28の連結ピン28bの側へ入り込み、スプリング受け部材11のスライドを許容し、原稿圧着板Dのさらなる開成動作を許容することになる。この開成状態を示したものが図10である。
【0037】
ロックプレート27の係止片27cが支持部材2の係止孔2cと係合している原稿圧着板Dの開成角度範囲においては、スプリング受け部材11のスライド動作が規制され、原稿圧着板Dを反転させようとしても、この反転動作に伴うリフト部材6の連結ピン4を介しての反転が出来なくなるので、原稿圧着板Dの反転動作、即ち、中折れ現象が阻止されることになる。この中折れ動作が阻止される原稿圧着板Dの開成角度は、実施例のもので略30°から90°の間である。即ち、この中折れ動作が阻止される開成角度の間、つまり開成角度以上からは、リンクアーム28の連結ピン28bは第2リンクプベース26とロックプレート27の第1及び第2ガイド溝26a及び27aの終端部b、d側へ移動するので、ロックプレート27の係止片27cと支持部材2の係止孔2cとの係合は維持される結果、原稿圧着板Dの反転は阻止される。
【0038】
したがって、ロックプレート27の係止片27cが支持部材2の係止孔2cと係合する開成角度以上に原稿圧着板Dを開いた状態で当該原稿圧着板Dを閉じる場合には、強く閉成操作を行っても、スプリング受け部材11の閉成方向へ向けてのスライド動作が阻止されるので、中折れ現象が生じてしまうのを防止できるものである。
【0039】
上述したロックプレート27の係止片27cが支持部材2の係止孔2cと係合する略30°の開成角度より、さらに原稿圧着板Dを閉じると、リンクアーム28が、第1リンクベース25の連結ピン25bを支点に下方へ揺動してロックプレート27の係止片27cと支持部材2の係止孔2cとの間の係合を外すので、スプリング受け部材11のスライドが可能となり、リフト部材6の連結ピン4を支点とする反転が許容される結果、厚物原稿に対応するための原稿圧着板Dの反転が可能になる。また、上記した30°の閉成角度以降になると、弾性手段12、12の弾力が強まり、かなり強く原稿圧着板Dを下押ししても、当該原稿圧着板Dが反転して中折れしてしまうことがない。
【0040】
よって、以上説明したように、本発明に係る原稿圧着板開閉装置Bは、開閉操作時における不必要な原稿圧着板Dの中折れ現象を防止して、原稿圧着板Dの不正常な開閉操作を防止できるものである。
【0041】
次に、スライドローラ5bの機能について説明する。図2と図6及び図7に示した状態から原稿圧着板Dを開くと、カムスライダー10のカム部10aのスライドローラ5bの摺接部5cに対する当接位置が、該カム部10aの高い方から低い方へ面接触状態を維持させたまま移動することから、弾性手段12、12の弾力により原稿圧着板Dは、その本来の重量を減殺された状態で開かれる。開いた原稿圧着板Dより手を離すと、スライドローラ5bの摺接部5cの当接位置が弾性手段12、12によって一方向へ摺動を付勢されているカムスライダー10のカム部10aの高い方へ移動するフリクション抵抗に遭遇することにより、原稿圧着板Dが支持部材2を介してヒンジピン3の周りに発生させる回転モーメントと、弾性手段12、12の弾力と、カムスライダー10のカム部10aに当接している受圧部材5のスライドローラ5bとによって創出される回転トルクが均衡する。実施例のものは原稿圧着板Dの10°以上の開成角度で、当該原稿圧着板Dを安定停止保持する。
【0042】
次に、開いた原稿圧着板Dを閉じる際には、当該原稿圧着板Dはスライドローラ5bの摺接部5cが弾性手段12、12の弾力に抗してカム部10aの高い方へスライドする際の抵抗に遭遇するが、手による原稿圧着板Dに対する押圧力と、当該原稿圧着板Dの重量と、慣性力により閉じられ、所定の閉成角度、例えば10°になると、原稿圧着板Dの閉成方向のモーメントが勝り始め、手を離しても自動的に閉じられることになる。そして、原稿圧着板Dの開閉操作時の間中スライドローラ5bの摺接部5cとカムスライダー10のカム部10aとは面接触を維持するので、カムスライダー10に加わる荷重が分散されると共に、潤滑用のグリスの保持状態が保持されることから、カムスライダー10に過大な荷重がかかるのを防止して、かつ永年使用時においてもグリス切れによる磨耗や異音が発生することを防止できるものである。
【0043】
この際、スライドローラ5bとカムスライダー10のカム部10aとの摺動面にグリス溜まりを設けると、尚一層グリスの保持能力が向上するものである。このグリス溜まりは、スライドローラ、或はカム部の一方或は双方に設けることができる。グリス溜まりの形状と位置については限定はない。
【0044】
原稿が本のように厚い厚物原稿の場合には、この厚物原稿を原稿載置台g(コンタクトガラス)上へ載せて原稿圧着板Dを下押しすると、30°以上の開成角度において、上述した中折れ防止手段Eのロックプレート27の係止片27cと支持部材2の係止孔2cとこの間の係合は解除されているので、連結ピン4を支点に回転するリフト部材6の両側板6b、6bに取り付けた作動部材9によってスプリング受け部材11が押され、弾性手段12、12の弾力に抗してカムスライダー10側に摺動すると共に、原稿圧着板Dが、図9に示したように、リフト部材6と共に連結ピン4を軸に回転して、厚物原稿の上面を水平に覆うことになる。従って、この発明の原稿圧着板開閉装置Bは、原稿の厚さに関係なく原稿を装置本体イ の上面に安定して圧着させ、とくに厚物原稿の場合には、外光がコンタクトガラスから装置本体内の露出系に侵入するのを可及的に防止することができるものである。
【実施例2】
【0045】
図11〜図15は、本発明に係る原稿圧着板開閉装置並びに事務機器の他の実施例を示す。尚、図中、中折れ防止手段以外の構成は、実施例1のものと同じであるので、その詳しい説明は省略する。指示記号の同じものは実施例1のものと同じ部材を表している。
【0046】
図面において、この実施例2に係る原稿圧着板開閉装置Fの中折れ防止手段Gは、カムスライダー10とスプリング受け部材11のそれぞれ対向する中央部に設けられた第1収装部10dと第2収装部11c内部に収容されており、カムスライダー10の側の第1収装部10d内部に収容された第1リンクベース30と、スプリング受け部材11の側の第2収装部11c内に収容させた第2リンクベース31と、中央部に設けスリット32aに第2リンクベース31を直交する方向へ挿通させると共に、このスリット32aを挟んで左右にスプリング挿通孔32b、32bを設けたロックプレート32と、第1リンクベース30と第2リンクベース31の間を揺動可能に連結するリンクアーム33とで構成されている。即ち、第1リンクベース30は下端部側に折曲片30aを設けた平面矩形状のもので、連結ピン30bが取り付けられている。第2リンクベース31は一端部側に折曲片31bとその平面部に略Z型を呈したガイド溝31aを有し手いる。ロックプレート32の側には、4隅にガイド長孔32c、32c、32c、32cが設けられ、このガイド長孔32c、32c、32c、32cに、とくに図12に示したように、スプリング受け部材11の下面側の4隅に設けた取付孔11d、11d、11d、11dへ取り付けられるフランジ付きのガイドピン34、34、34、34が挿通される構成である。さらに、リンクアーム33は、その一端に設けた連結孔33aを第1リンクベース30に取り付けた連結ピン30bと連結させ、他端部に設けた連結ピン33bを第2リンクベース31のガイド溝31aと連結させることにより、原稿圧着板Dの開閉操作により、ガイド溝31aの上向き溝31cと下向き溝31dとの間を移動して、第2リンクベース31を動かしてロックプレート32をスライドさせるものである。尚、ロックプレート32のスリット32aの一端部側が切れているのは、当該ロックプレート32の支持部材との係合を行なうためのスライドを許容するためである。
【0047】
次に、上記実施例2に係る原稿圧着板開閉装置F及び中折れ防止手段Gの動作について説明する。図14に示した原稿圧着板Dの閉成状態において、この中折れ防止手段Gを構成するリンクアーム33は、カムスライダー10とスプリング受け部材11との間の対向間隔が最も狭くなっていることから、揺動して第2リンクベース31のガイド溝31aの上向き溝31cの位置にあって、ロックプレート32の係止片32dは支持部材2の係止孔2cと係合していない。この係止片32dが支持部材2の係止孔2cと係合していない状態は、実施例1のもののように、原稿圧着板Dの開閉角度の30°まで続く。原稿圧着板Dをこの30°よりさらに開いて行くと、カムスライダー10とスプリング受け部材11の間隔が開いて行くので、リンクアーム33は、第1リンクベース30の連結ピン30bに連結された箇所を支点に揺動して起き上がって行き、第2リンクベース31のガイド溝31aの下向き溝31dに到達し、さらに、第1リンクベース30に対して当該第2リンクベース31をスライドさせるので、第2リンクベース31はロックプレート32を押してその係止片32dが支持部材に設けた係止孔2cと係合を継続することになる。このように原稿圧着板Dをさらに開いた状態のものが図15である。開成角度は実施例のもので30°以上であるがこの開成角度に限定されない。
【0048】
ロックプレート32の係止片32dが支持部材の係止孔2cと係合する原稿圧着板Dの開成角度になると、スプリング受け部材11のスライド動作が規制され、原稿圧着板Dを反転させようとしても、この反転動作に伴うリフト部材6の連結ピン4を介しての反転が出来なくなるので、原稿圧着板Dの反転動作、即ち、中折れ動作が生じなくなる。この中折れ動作が阻止される原稿圧着板Dの開成角度は、実施例のもので30°から90°の間である。この中折れ動作が阻止される開成角度からは、リンクアーム33の連結ピン33bは第2リンクベース31のガイド溝31aの下向き溝31dへ移動するので、ロックプレート32の係止片32dと支持部材2の係止孔2cとの係合は維持される結果、原稿圧着板Dの反転は阻止される。
【0049】
したがって、ロックプレート32の係止片32dが支持部材2の係止孔2cと係合する開成角度以上に原稿圧着板Dを開いた状態で当該原稿圧着板Dを閉じる場合には、強く閉成操作を行っても、スプリング受け部材11の閉成方向へ向けてのスライド動作が阻止されるので、中折れ現象が生じてしまうのを防止できるものである。
【0050】
上述したロックプレート32の係止片32dが支持部材2の係止孔2cと係合している30°の開成角度より、さらに原稿圧着板Dを閉じると、リンクアーム33が、第1リンクベース30の連結ピン30bを支点に下方へ自重で揺動してロックプレート32の係止片32dと支持部材2の係止孔2cとの間の係合を外すので、スプリング受け部材11のスライド動作が可能となり、リフト部材6の連結ピン4を支点とする反転が許容される結果、厚物原稿に対応するための原稿圧着板Dの反転が可能になる。また、上記した30°の閉成角度以降になると、弾性手段12の弾力が強まることから、受圧部材20を介してリフト部材6が反転しない方向へ回動付勢させる力が強まり、かなり強く原稿圧着板Dを下押ししても、当該原稿圧着板Dが反転して中折れしてしまうことがない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
よって、以上説明したように、本発明に係る中折れ防止手段は、従来公知の原稿圧着板開閉装置の外観を損なうことなく、原稿圧着板の開閉操作時における不必要な中折れ現象を防止して、原稿圧着板Dの不正常な開閉操作を防止できることから、複写機や印刷機或は印刷機やファクシミリ、スキャナー等の事務機器の原稿圧着板開閉装置並びに係る原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器に好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0052】
A 複合機
イ 装置本体
B、C、F 原稿圧着板開閉装置
D 原稿圧着板
E、G 中折れ防止手段
1 取付部材
1a 取付ベース
1b 両側板
2 支持部材
2a 背板
2b 両側板
2c 係止孔
2g 係止孔
3 ヒンジピン
4 連結ピン
5 受圧部材
6 リフト部材
6a 背板
6b 両側板
9 作動部材
10 カムスライダー
10a カム部
10d 第1収装部
11 スプリング受け部材
11c 第2収装部
12a 大径コイルスプリング
12b 小径コイルスプリング
20 受圧部材
25 第1リンクベース
25b 連結ピン
26 第2リンクベース
27 ロックプレート
27c 係止片
28 リンクアーム
28b 連結ピン
30 第1リンクベース
30b 連結ピン
31 第2リンクベース
32 ロックプレート
32a スリット
32d 係止片
33 リンクアーム
33b 連結ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体側へ取り付ける取付部材と、その両側板を前記取付部材の両側板へヒンジピンを介して回転可能に連結した支持部材と、前記支持部材の両側板の自由端側に連結ピンを介して該支持部材とは異なる方向へ回転可能となるように軸着したところの原稿圧着板を取り付けるリフト部材と、このリフト部材の前記連結ピンを支点に旋回する位置に設けられた作動部材と、前記取付部材側の両側板間に軸架させた受圧部材と、この受圧部材と前記作動部材の間に弾性手段を作用させつつ前記支持部材内に収容されてスライド可能に設けられたカムスライダー及びスプリング受け部材とから成るものにおいて、前記中折れ防止手段を前記カムスライダー及びスプリング受け部材のそれぞれ設けた収装部内部へ収装させて設けたことを特徴とする、原稿圧着板開閉装置。
【請求項2】
取付ベースとこの取付ベースの両側より立ち上げた両側板を有し、前記取付ベースを装置本体側へ取り付ける取付部材と、少なくとも背板とこの背板より折り曲げた両側板を有し、この両側板を前記取付部材の両側板へヒンジピンを介して回転可能に連結した支持部材と、背板とこの背板より折り曲げた両側板を有し、前記支持部材の両側板の自由端側に連結ピンを介して該支持部材とは異なる方向へその両側板を回転可能となるように軸着したところの原稿圧着板を取り付けるリフト部材と、このリフト部材の前記支持部材に対する軸着部側であって前記リフト部材の回転時に前記連結ピンを支点に旋回する位置に設けられた作動部材と、前記取付部材側の両側板間に軸架させた受圧部材と、この受圧部材にカム部を当接させて前記支持部材内部に摺動可能に収装されたカムスライダーと、前記支持部材内の自由端側に前記作動部材に当接させて摺動可能に収装されたスプリング受け部材と、前記カムスライダーと前記スプリング受け部材との間に弾設させることにより、前記リフト部材を支持部材と重なり合う方向へ回転付勢させつつ前記支持部材を少なくとも原稿圧着板の開成方向へ付勢させるコイルスプリングと、前記原稿圧着板の所定の開閉角度以上において当該原稿圧着板の中折れを防止する中折れ防止手段と、から成り、この中折れ防止手段を前記カムスライダーと及び前記スプリング受け部材のそれぞれ設けた収装部内部へ収装させて設け、前記原稿圧着板の所定開閉角度以上において前記リフト部材に作用してその反転を防止するように成したことを特徴とする、原稿圧着板開閉装置。
【請求項3】
前記中折れ防止手段は、スプリング受け部材を介して前記リフト部材に作用して前記原稿圧着板の所定の開閉角度範囲において、当該原稿圧着板の中折れを防止するように構成したことを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項4】
前記中折れ防止手段は、前記原稿圧着板の所定の開閉角度範囲において、前記スプリング受け部材に作用して前記作動部材に対する押圧動作を規制することにより、前記原稿圧着板の所定の開閉角度範囲において、当該原稿圧着板の中折れを防止するように構成したことを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項5】
前記中折れ防止手段は、前記カムスライダーの側の第1収装部内に収容させた第1リンクベースと、前記スプリング受け部材の側の第2収装部内に収容させた第2リンクベースと、前記第2収装部内に前記第2リンクベースと重ね合わせて収容させつつ前記支持部材の方向へスライド可能に成したロックプレートと、前記第1リンクベースと前記第2リンクベース及びロックプレートとの間に揺動可能に連結されたリンクアームとで構成し、前記原稿圧着板の所定開閉角度以上において、前記ロックプレートに設けた係止片が前記支持部材に設けた係止孔と係合して、前記リフト部材の反転を阻止するように成したことを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項6】
前記中折れ防止手段は、前記カムスライダーの側の第1収装部内に収容された第1リンクベースと、前記スプリング受け部材の側の第2収装部内に収容させた第2リンクベースと、中央部に設けたスリットに前記第2リンクベースを直交する方向へ挿通させつつ前記支持部材の方向へスライド可能となるように設けたロックプレートと、前記第1リンクベースと前記第2リンクベースとの間に揺動可能に連結されたリンクアームとで構成し、前記原稿圧着板の所定開閉角度以上において、前記ロックプレートに設けた係止片が前記支持部材に設けた係止孔と係合して、前記リフト部材の反転を阻止するように成したことを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項7】
請求項1〜6に各記載の原稿圧着板開閉装置を装置本体と原稿圧着板との間に用いたことを特徴とする、事務機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−50551(P2013−50551A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187917(P2011−187917)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000124085)加藤電機株式会社 (117)
【Fターム(参考)】