説明

原稿読取装置

【課題】原稿の表側の面と裏側の面を異なる読取位置で読み取るように構成された原稿読取装置において、モノクロ原稿がカラー原稿と誤判定されてしまうことを表裏両面について防止できる構成を提供する。
【解決手段】複合機20は、ADFと、読取センサ56,57と、カラーモノクロ判定部47と、を備える。第1読取センサ56は、ADFによって搬送される原稿の第1面を、第1読取位置においてカラーで読取可能である。第2読取センサ57は、ADFによって搬送される原稿の第2面を、第2読取位置においてカラーで読取可能である。カラーモノクロ判定部47は、除外領域の座標を入力可能に構成され、入力された前記除外領域の座標が示す領域を除外した領域に含まれる画素に基づいて、読取センサ56,57が読み取った原稿がカラーかモノクロかを判定する。前記除外領域は、原稿の第1面を読み取る場合と第2面を読み取る場合とで異ならせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置に関する。詳細には、カラー読取が可能な原稿読取装置において、読み取った原稿がカラーかモノクロかを判定するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動原稿送り装置(オートドキュメントフィーダ、ADF)によって原稿を搬送し、当該搬送される原稿をイメージセンサによって走査して読み取る原稿読取装置が知られている。また、このような原稿読取装置においては、イメージセンサとして3ラインCCDを採用し、モノクロ原稿及びカラー原稿の両方を読取可能としたものが知られている。この3ラインCCDは3原色(RGB)に対応した3つのラインを備え、白色光を原稿に当てて反射させた光を3成分に色分解して読み取ることにより、カラー原稿の読取りを実現している。
【0003】
また、上記のようにモノクロ原稿及びカラー原稿の読取りが可能な原稿読取装置においては、読み取られた原稿がカラー原稿かモノクロ原稿かを自動的に判別する機能を有する構成が知られている。このカラーモノクロ判定は、例えば、読み取った画像データにおけるカラー画素(有彩色画素)の数を計数し、この計数値が所定の閾値以上であるか否かを調べることにより行うことができる。
【0004】
ところで、前記3ラインCCDにおいて、それぞれの色成分を読み取るためのラインは互いに異なった位置に配置されているので、各ラインは同時刻では原稿の異なる位置を読み取ることになる。この読取位置のズレは、各色成分のデータを一時メモリに蓄積しておき、3色成分のデータを合成して画像データを生成する際に、前記ライン間のギャップに対応するライン数だけ遅延させて読み出すことにより補正することができる(ラインギャップ補正)。
【0005】
しかしながら、ADFによる原稿の搬送では、複数の搬送ローラの間で原稿が受け渡される瞬間、又は原稿搬送路に配置されたガイド壁等に原稿が接触した瞬間等に、原稿にブレが生じ、色ズレが発生する場合がある。ここで、色ズレとは、ラインギャップ補正を行った結果、当該ブレが発生した瞬間に読み取っていた箇所で3成分の色の位置が一致しない画像が形成されてしまうことをいう。
【0006】
従って、例えばモノクロ文書原稿において、文字の白と黒の境界を読み取っている時に色ズレが発生した場合、ラインギャップ補正後の画像データには有彩色(偽色)がその境界部分に発生してしまう。このため、読取原稿のカラーモノクロ判定において、モノクロ原稿をカラー原稿と誤判定してしまう原因となっていた。
【0007】
この点、特許文献1及び2は、原稿の読取時に、原稿読取位置に応じたゲート信号(除去対象領域信号)を発生させ、当該信号がONになっている間はカラーモノクロ判定機能を動作させない(又は原稿色種の判定対象から除外する)構成の画像読取装置を開示する。一方、特許文献3は、原稿の読取時に、原稿読取位置に応じた有効エリア信号を発生させ、当該信号がONになっている場合のみ色検知を行う自動色検知方式を開示する。
【0008】
また、特許文献4は、原稿の先端からの距離及び後端からの距離に応じた読取むら発生領域を特定し、当該読取むら発生領域においては黒判別処理の閾値を変更する構成の画像処理装置を開示する。
【0009】
上記特許文献の構成によれば、色ズレ等が発生し易い領域を予め考慮することができるので、カラーモノクロ判定時の誤判定を低減できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−80101号公報
【特許文献2】特開2003−259133号公報
【特許文献3】特開平8−18801号公報
【特許文献4】特開2003−18373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献4が開示する画像処理装置は、両面コピーモードが選択されると、スリットガラスの位置で表側の面を読み取られた原稿が、ローラによって反転され、再びスリットガラスの位置まで搬送されて、裏側の面を読み取られるように構成されている。この構成の場合、原稿の表側の面と裏側の面は同じ位置で読み取られるため、表裏どちらの面を読み取る時でも、色ズレが発生し易い領域は同じである。
【0012】
一方、原稿の表側の面と裏側の面を異なる読取位置で読み取るように構成された、ワンパス方式の両面ADFを備えた原稿読取装置が知られている。このように表側の面の読取位置と裏側の面の読取位置とが異なる場合、表側の面の読取時と裏側の面の読取時とでは、色ズレの発生し易い領域が異なる。従って、上記特許文献1から4の構成では、表側の面と裏側の面とで読取位置が異なる原稿読取装置において、表裏両面のカラーモノクロ判定を適切に行うことができなかった。
【0013】
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、原稿の表側の面と裏側の面を異なる読取位置で読み取るように構成された原稿読取装置において、モノクロ原稿がカラー原稿と誤判定されてしまうことを表裏両面について防止できる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0015】
本発明の観点によれば、以下のように構成された原稿読取装置が提供される。即ち、この原稿読取装置は、自動原稿搬送装置と、第1読取センサと、第2読取センサと、カラーモノクロ判定部と、を備える。前記第1読取センサは、前記自動原稿搬送装置によって搬送される原稿の第1面を、所定の読取位置においてカラーで読取可能である。前記第2読取センサは、前記自動原稿搬送装置によって搬送される原稿の第2面を、前記第1読取センサの読取位置とは異なる読取位置においてカラーで読取可能である。前記カラーモノクロ判定部は、除外領域の座標を入力可能に構成され、入力された前記除外領域の座標が示す領域を除外した領域に含まれる画素に基づいて、前記第1読取センサ又は前記第2読取センサが読み取った原稿がカラーかモノクロかを判定する。そして、前記除外領域は、前記原稿の第1面を読み取る場合と第2面を読み取る場合とで異ならせることが可能である。
【0016】
即ち、原稿を読み取る際に色ズレが発生した場合、カラーモノクロ判定を行う際に、モノクロ原稿をカラー原稿と誤判定してしまう場合がある。ここで、色ズレが発生し易い領域は決まっているので、この色ズレが発生し易い領域を除外領域として指定しておく。そして、当該除外領域を除外してカラーモノクロ判定を行うことにより、モノクロ原稿をカラー原稿と誤判定してしまうことを防ぎ、判定の確度を向上させることができる。また、原稿の表裏を別々の読取位置で読み取る構成の原稿読取装置においては、第1面を読み取る際に色ズレが発生し易い領域と、第2面を読み取る際に色ズレが発生し易い領域とは、それぞれ異なる。従って、上記のように構成することにより、第1面読取時と第2面読取時のそれぞれの場合において、カラーモノクロ判定の確度を良好に向上させることができる。
【0017】
上記の原稿読取装置においては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この原稿読取装置は、下流側ガイドを備える。前記下流側ガイドは、前記第1読取センサの読取位置の下流側に配置され、前記第1読取センサの読取位置で読み取られた原稿を、搬送方向下流側に案内する。そして、前記除外領域は、前記原稿の先端が前記下流側ガイドに当たる時に前記第1読取センサが当該原稿を読み取っているラインを含む。
【0018】
即ち、搬送される原稿の先端が下流側ガイドに衝突することにより、当該原稿がブレて色ズレが発生してしまう。しかしながら、当該下流側ガイドの位置は変化しないから、当該下流側ガイドに起因して色ズレが発生する領域は決まっている。従って、当該領域を除外領域として予め設定しておくことにより、カラーモノクロ判定の確度を良好に向上させることができる。
【0019】
上記の原稿読取装置においては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この原稿読取装置は、上流側ガイドを備える。前記上流側ガイドは、前記第1読取センサの読取位置の上流側に配置され、搬送される前記原稿を前記第1読取センサの読取位置に案内する。そして、前記除外領域は、前記原稿の後端が前記上流側ガイドを抜ける時に前記第1読取センサが当該原稿を読み取っているラインを含む。
【0020】
即ち、搬送される原稿の後端が上流側ガイドを抜けるときに、当該後端が跳ねることにより、当該原稿がブレて色ズレが発生してしまう。しかしながら、当該上流側ガイドの位置は変化しないから、当該上流側ガイドに起因して色ズレが発生する領域は決まっている。従って、当該領域を除外領域として予め設定しておくことにより、カラーモノクロ判定の確度を良好に向上させることができる。
【0021】
上記の原稿読取装置においては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この原稿読取装置は、下流側ローラを備える。前記下流側ローラは、前記第2読取センサの読取位置の下流側に配置され、前記第2読取センサの読取位置で読み取られた原稿を、搬送方向下流側に案内する。そして、前記除外領域は、前記原稿の先端が前記下流側ローラに当たる時に前記第2読取センサが当該原稿を読み取っているラインを含む。
【0022】
即ち、搬送される原稿の先端が下流側ローラに衝突することにより、当該原稿がブレて色ズレが発生してしまう。しかしながら、当該下流側ローラの位置は変化しないから、当該下流側ローラに起因して色ズレが発生する領域は決まっている。従って、当該領域を除外領域として予め設定しておくことにより、カラーモノクロ判定の確度を良好に向上させることができる。
【0023】
上記の原稿読取装置においては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この原稿読取装置は、上流側ローラを備える。前記上流側ローラは、前記第2読取センサの読取位置の上流側に配置され、搬送される前記原稿を前記第2読取センサの読取位置に案内する。そして、前記除外領域は、前記原稿の後端が前記上流側ローラを抜ける時に前記第2読取センサが当該原稿を読み取っているラインを含む。
【0024】
即ち、搬送される原稿の後端が上流側ローラを抜けるときに、当該後端が跳ねることにより、当該原稿がブレて色ズレが発生してしまう。しかしながら、当該上流側ローラの位置は変化しないから、当該上流側ローラに起因して色ズレが発生する領域は決まっている。従って、当該領域を除外領域として予め設定しておくことにより、カラーモノクロ判定の確度を良好に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るコピーファクシミリ複合機の外観斜視図。
【図2】イメージスキャナ装置の正面断面図。
【図3】原稿搬送経路の模式図。
【図4】複合機の電気的構成を示すブロック図。
【図5】RGBの3成分が色ズレを起こさずに一致しているときの様子を示す説明図。
【図6】R成分にズレが発生したときの様子を示す説明図。
【図7】偽色が発生し易い領域を例示する概念図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る原稿読取装置としてのイメージスキャナ装置10を含むコピーファクシミリ複合機(複合機)20の外観斜視図である。図2はイメージスキャナ装置10の正面断面図である。
【0027】
図1に示すように、コピーファクシミリ複合機20は、ブックスキャナ及びオートドキュメントフィードスキャナとして機能するイメージスキャナ装置10を備える。また、複合機20は、コピー部数、ファクシミリ送信先及び原稿読取等を指示するための操作パネル77と、記録媒体としての用紙に画像を形成する画像形成部等を内蔵した本体78と、前記用紙を順次供給する給紙カセット79と、を備えている。前記本体78は、通信回線を介して画像データを伝送するための図略の送受信部を備える。
【0028】
前記複合機20が備えるイメージスキャナ装置10は、図2に示すように、プラテンガラス22と原稿台カバー21とを備えている。この原稿台カバー21には自動原稿搬送装置(オートドキュメントフィーダ、ADF)25が備えられている。また、イメージスキャナ装置10は、原稿の画像を読み取るための第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット(読取部)60を備えている。これら第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット60は、何れも縮小光学系のスキャナユニットとして構成されている。
【0029】
このイメージスキャナ装置10をオートドキュメントフィードスキャナとして使用する場合は、前記ADF25によって原稿を1枚ずつ搬送する。そして、原稿の表側の面(第1面)の画像は第1スキャナユニット50によって読み取られ、裏側の面(第2面)の画像は第2スキャナユニット60によって読み取られる。
【0030】
一方、イメージスキャナ装置10をブックスキャナとして使用する場合は、読み取るべきブック原稿をユーザがプラテンガラス22上に載置して、その上から原稿台カバー21によって押圧し、ブック原稿が動かないように固定する。この状態で、フラットベッド方式により第1スキャナユニット50によって原稿の画像を読み取ることができるようになっている。
【0031】
図2に示すように、前記原稿台カバー21が備えるADF25は、原稿台カバー21の上部に設けられた原稿トレイ23と、この原稿トレイ23の下方に設けられた排出トレイ24と、を備える。
【0032】
図2に示すように、前記原稿台カバー21の内部には、原稿トレイ23と排出トレイ24とを繋ぐ湾曲状の原稿搬送経路30が構成されている。この構成で、表側の面を上向きにして原稿トレイ23に重ねてセットされた原稿は、1枚ずつ分離されて湾曲状の前記原稿搬送経路30に沿って搬送され、表側の面を下向き(裏側の面を上向き)にして排出トレイ24へ排出される。原稿の読取りの開始等の指示は、図1に示す操作パネル77によって行うことができる。
【0033】
次に、図2及び図3を参照して、ADF25の各部の構成を原稿搬送経路30に沿って詳細に説明する。図3は、原稿搬送経路30の様子をより分かり易く示すための模式図である。
【0034】
図2に示すように、原稿トレイ23から原稿搬送経路30に原稿が供給される箇所にはピックアップローラ31が配置されている。このピックアップローラ31の下流側には分離ローラ32が備えられ、この分離ローラ32に対向して対向ローラ37が配置されている。ピックアップローラ31は原稿トレイ23上の最上層の原稿を繰り込み、下流の分離ローラ32へ向かって搬送する。分離ローラ32は、原稿を対向ローラ37との間でニップしながら駆動することで、原稿を1枚ずつ分離し、更に下流側へ搬送する。
【0035】
図3に示すように、分離ローラの下流には原稿サイズセンサ91が配置されている。原稿サイズセンサ91は、原稿の先端が通過してから、当該原稿の後端が通過するまでの時間間隔を測定することにより、当該原稿のサイズを測定するためのものである。
【0036】
分離ローラ32の下流側には、レジストローラ39と、このレジストローラ39と対になる対向ローラと、が配置されている。また、図3に示すように、レジストローラ39のすぐ上流側には、原稿レジストセンサ92が配置されている。レジストローラ39は前記対向ローラとともに、分離ローラ32によって搬送されてくる原稿の先頭側を一時的に止めて弛ませる。そして、レジストローラ39及び前記対向ローラは、原稿レジストセンサ92が原稿の先端を検知してから所定時間後に、当該原稿の弛みを除去しつつ下流側に搬送する。これにより、原稿の斜行が矯正される。
【0037】
レジストローラ39の下流側には、複数の搬送ローラ33,34,35が設けられる。また、この搬送ローラ33,34,35のそれぞれに対向するようにローラが配置されている。前記レジストローラ39の駆動によって下流側へ搬送された原稿は、搬送ローラ33,34,35とそれらに対向するローラとによりニップされて、更に下流側へ搬送される。
【0038】
2つの搬送ローラ34,35の間には第1原稿読取位置80が設定されており、この第1原稿読取位置80を通過する原稿は、以下に説明する第1スキャナユニット50によって表側の面を走査され、読み取られる。なお、この第1原稿読取位置80には、プラテンガラス22に対向するようにしてプラテンローラ29が配置されており、このプラテンローラ29によって、原稿が第1原稿読取位置を搬送される。
【0039】
図2及び図3に示すように、搬送ローラ34から第1原稿読取位置80を経由して搬送ローラ35に至るまでの原稿搬送経路30は、プラテンガラス22側に凸となるように湾曲して構成されている。この湾曲した原稿搬送経路に沿って原稿をスムーズに搬送するため、原稿の先端を第1原稿読取位置80まで案内するための上流側ガイド71が第1原稿読取位置80のすぐ上流側に設けられている。また、原稿の先端を搬送ローラ35の方向に案内するための下流側ガイド72が、第1原稿読取位置80のすぐ下流側に配置されている。
【0040】
また、搬送ローラ34の近傍には、第1スキャナユニット50による読取開始のタイミングを決定するための表面原稿センサ93が配置されている。第1スキャナユニット50は、表面原稿センサ93が原稿の先端を検出してから所定時間経過後に、原稿の表側の面の読取りを開始する。
【0041】
次に、第1スキャナユニット50について説明する。図2に示すように、この第1スキャナユニット50は本体78側に設置されるとともに、ADF25及びプラテンガラス22の下方に配置されている。また、この第1スキャナユニット50は、光源51と、反射ミラー52,53,54と、集光レンズ55と、第1読取センサ56と、を備えている。
【0042】
光源51は前記ADF25の前記第1原稿読取位置80(又はプラテンガラス22)に対して光を照射し、反射ミラー52,53,54は原稿のからの反射光を反射させる。そしてこの反射光を集光レンズ55で収束させて、この収束光が第1読取センサ56の部分で結像するように構成されている。
【0043】
第1読取センサ56は電荷結合素子(CCD)を備えており、このCCDは、具体的には3ライン式のカラーCCDとされている。詳細に説明すると、第1読取センサ56は、主走査方向(原稿の幅方向)に細長く延びる一次元ラインセンサが赤、緑、青(RGB)の各色について設けられるとともに、各ラインセンサに対応して異なるカラーフィルタを備えた構成となっている。以上の構成の第1読取センサ56により、原稿のカラー読取りが実現される。
【0044】
第1スキャナユニット50の光源51及び反射ミラー52等は移動可能に構成されている。そして、イメージスキャナ装置10をブックスキャナとして使用する場合は、第1スキャナユニット50の光源51及び反射ミラー52等をプラテンガラス22に沿って移動させる。これによって、プラテンガラス22上に載置された原稿を読み取ることができるようになっている。
【0045】
一方、イメージスキャナ装置10をオートドキュメントフィードスキャナとして使用する場合(ADF25を用いて原稿を読み取る場合)は、光源51及び反射ミラー52等は、図2に示すように、前記第1原稿読取位置80に対向する位置まで移動させて静止させておく。この状態でADF25を駆動することにより、原稿搬送経路30を搬送されて第1原稿読取位置80を通過する原稿の表側の面(第1面)を、第1スキャナユニット50が走査して読み取ることができる。
【0046】
第1スキャナユニット50において、原稿からの反射光は前述のとおり第1読取センサ56へ導かれて結像し、第1読取センサ56は原稿の画像情報に応じた電気信号を出力する。第1読取センサ56からの信号は適宜変換処理され、複合機20が備える画像形成部に送信される。そして、この送信された画像情報が画像形成部によって記録媒体としての用紙に転写されることで、複合機20のコピー機能等が実現される。
【0047】
原稿搬送経路30において、搬送ローラ35の下流側には第2原稿読取位置90が設定されている。なお、搬送ローラ35は、第2原稿読取位置90のすぐ上流側にあるという意味で、上流側ローラであるということができる。第2原稿読取位置90を通過する原稿の裏側の面は、次に説明する第2スキャナユニット60によって走査されて読み取られる。また、図3に示すように、搬送ローラ35と第2原稿読取位置90との間の位置には、裏面原稿センサ94が配置されている。第2スキャナユニット60は、裏面原稿センサ94が原稿の先端を検出してから所定時間経過後に、原稿の裏側の面の読取りを開始する。
【0048】
第2スキャナユニット60について説明する。この第2スキャナユニット60は、内部の光学系を構成する部品等を保持する樹脂製のスキャナフレーム12を備えている。このスキャナフレーム12は、第2スキャナユニット60の構成部品の外側を覆うように構成されている。
【0049】
スキャナフレーム12の底部には、原稿の裏側の面を読み取るための読取ガラス42が備えられる。この読取ガラス42は、前記第2原稿読取位置90に対応する位置に配置される。また、ADF25本体側に備えられた排出ローラ36と対向する位置において、前記スキャナフレーム12には対向排出ローラ40が備えられている。
【0050】
スキャナフレーム12の内部には、第2スキャナユニット60の構成部品が配置される。この第2スキャナユニット60は前記第1スキャナユニット50と同様に、光源61と、反射ミラー62,63,64,65と、集光レンズ67と、第2読取センサ57と、を備えている。
【0051】
前記光源61は前記読取ガラス42を介して第2原稿読取位置90に光を照射し、原稿の裏側の面(第2面)からの反射光は反射ミラー62,63,64,65によって反射し、更に集光レンズ67で収束して第2読取センサ57の部分に結像する。第2読取センサ57は、第1スキャナユニット50における第1読取センサ56と同様に、3ライン式のカラーCCDを備えて構成される。第2読取センサ57は原稿の画像情報に応じた電気信号を出力し、この信号は適宜変換処理されて、複合機20が備える画像形成部に送信される。
【0052】
また、スキャナフレーム12の第2原稿読取位置90(前記読取ガラス42)に対向するように、プラテンローラ38がADF25本体部分に配置されている。この構成で、前記搬送ローラ35により搬送された原稿がプラテンローラ38の部分に差し掛かると、当該原稿はプラテンローラ38により搬送されながらその裏側の面が走査されて読み取られる。
【0053】
以上のようにして2つの原稿読取位置で表裏両面の内容を読み取られた原稿は、第2原稿読取位置90の下流側に配置された排出ローラ36によって搬送され、排出トレイ24へ排出される。なお、排出ローラ36は、第2原稿読取位置90のすぐ下流側にあるという意味で、下流側ローラであるということができる。
【0054】
このようにして、原稿搬送経路30に原稿を1回通過させるだけで両面読取りが可能な構成の、いわゆるワンパス方式の両面ADFスキャナが構成されている。
【0055】
次に、複合機20の各構成を制御するための構成について説明する。図4は複合機20の電気的構成を示すブロック図である。図4に示すように、複合機20は前記第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット60のほか、CPU41と、ROM45と、画像処理部43と、イメージメモリ66と、データ解析部44と、符号変換部69と、出力制御部70と、を備えている。
【0056】
CPU41は、複合機20に備えられる第1スキャナユニット50、第2スキャナユニット60、データ解析部44、出力制御部70等を制御するための制御部として設けられている。この制御のためのプログラム及びデータ等は、記憶部としてのROM45に格納されている。
【0057】
第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット60はアナログフロントエンド(AFE)49を備えており、このAFE49は各読取センサ56,57に接続されている。原稿読取時において、読取センサ56,57が備えるRGB各色の前記ラインセンサは、原稿内容を主走査方向に走査して1ライン分を読み取り、各ラインセンサの信号は前記AFE49によってアナログ信号からデジタル信号に変換される。この主走査により、1ライン分の画素のデータがRGB各色の階調値としてAFE49から出力される。そして、原稿が副走査方向に所定距離だけ送られるごとに、第1スキャナユニット50又は第2スキャナユニット60が上記の処理を反復することで、原稿全体の画像データをデジタル信号として得ることができる。
【0058】
第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット60はデータ補正部46を備えており、前記AFE49が出力する画像データのデジタル信号は、このデータ補正部46に入力される。このデータ補正部46は、主走査ごとに1ラインずつ入力される画素データに対しシェーディング補正を行って、第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット60の光学系に起因する読取ムラの補正を行う。またデータ補正部46は、前記画素データに対し、読取センサ56,57におけるRGB各色のラインセンサの配置間隔(ラインギャップ)を原因とする読取位置のズレを矯正する補正を行う。
【0059】
前記イメージメモリ66は、第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット60で読み取った画像を蓄積するためのものである。第1スキャナユニット50及び第2スキャナユニット60で読み取られた画像データは、画像処理部43において公知の画像処理(フィルタ処理等)が更に行われた後、イメージメモリ66に入力されて蓄積される。
【0060】
前記データ解析部44は、入力部73と、画像変換部11と、カラーモノクロ判定部47と、を備えている。入力部73は第1スキャナユニット50又は第2スキャナユニット60からのデジタル画像データを受け取る。画像変換部11は、前記デジタル画像データに対して、公知の色空間変換処理等を行う。
【0061】
カラーモノクロ判定部47は、第1スキャナユニット50又は第2スキャナユニット60で読み取った画像に係る原稿がカラー原稿かモノクロ原稿かを識別する。カラーモノクロ判定の方法は公知であるので詳細な説明は省略するが、例えば、カラーモノクロ判定部47は、カラー(有彩色)の画素とモノクロ(無彩色)の画素の数をそれぞれ計数し、カラーの画素の割合が所定の割合以上であった場合に、当該原稿がカラー原稿であると判定する。
【0062】
符号変換部69は、イメージメモリ66に保存された画像データに対し、例えばJPEG等の公知の圧縮処理を行って符号化する。
【0063】
出力制御部70は、符号化された画像データを、複合機20が備える画像形成部に送信する。
【0064】
次に図5及び図6を参照して、色ズレの発生について簡単に説明する。図5及び図6は、モノクロ読取原稿において副走査方向に白色、黒色、白色と切り換わる部分を3ラインCCDによって走査したRGB信号の様子を概念的に示した説明図である。なお、このRGB信号は、前記データ補正部46によってラインギャップ補正を行った後の信号である。
【0065】
図5は、RGBの3成分が色ズレを起こさずに一致しているときの様子を示している。即ち、図5の場合では、読取原稿の黒色部分は黒色画素([R,G,B]=[0,0,0])として読み取られ、白色部分は白色画素([R,G,B]=[255,255,255])として読み取られる。なお、黒色画素及び白色画素のRGB値は説明を判り易くするために上記のように述べたが、実際の画像データのRGB値はこのように黒色と白色で最小値及び最大値とならないこともある。
【0066】
一方、図6は、R成分にズレが発生したときの様子を示している。図6に示すように、R成分が他の成分(G及びB)に対してズレると、画像データに偽色が発生する。具体的には、読取原稿がモノクロ原稿であった場合、黒色画素の一側に隣接して赤色画素([R,G,B]=[255,0,0])が、他側に隣接して赤色の補色であるシアン色の画素([R,G,B]=[0,255,255])が現れる。このように、読取原稿における黒色と白色との境界に有彩色(偽色)が発生することになる。また、図示は省略するが、G成分がズレた場合は緑色とその補色であるマゼンタ色が現れ、B成分がズレた場合は青色とその補色である黄色が現れる。
【0067】
このように、モノクロ原稿であっても色ズレによって有彩色(偽色)が現れる。色ズレによる偽色は、カラーモノクロ判定部47によって本来モノクロ原稿と判定すべきところを、カラー原稿であると誤って判定してしまう原因となる。
【0068】
次に、色ズレが発生する原因について説明する。色ズレは、原稿の読取時に、当該原稿にブレが発生することにより発生する。即ち、原稿にブレが発生することにより、原稿の搬送速度が局所的に変化し、3ラインCCDのラインギャップが一時的に変化してしまう。このため、データ補正部46によってラインギャップ補正を行っても、RGB3色の位置を一致させることができなくなってしまうのである。
【0069】
このような原稿のブレは、主に、読取中の原稿の先端がガイド又はローラに衝突するとき、或いは当該原稿の後端がガイド又はローラから抜けて跳ねたときに発生する。ところで、複合機20が備えるガイド及びローラの位置は変化することがないから、原稿画像の中で偽色の発生し易い領域は決まっている。そこで、本実施形態においては、偽色が発生し易い領域を予め特定しておき、カラーモノクロ判定部47における原稿色の判定の際に、当該領域を除外してカラーモノクロ判定を行うように構成されている。なお、このようにカラーモノクロ判定時に除外する領域のことを、以下の説明で除外領域と呼ぶことがある。
【0070】
具体的には以下のとおりである。即ち、本実施形態の複合機20は、前記除外領域の座標を予め記憶しておく除外領域座標記憶部48を備えている。そして、除外領域座標記憶部48が記憶している除外領域の座標は、カラーモノクロ判定部47に入力される。カラーモノクロ判定部47は、前記除外領域の座標を参照し、当該除外領域内の画素の情報は無視してカラーモノクロ判定を行う。これにより、色ズレによる偽色の影響によって、モノクロ原稿をカラー原稿と誤判定してしまうことを防止することができる。
【0071】
上記除外領域について、具体的に説明する。例えば本実施形態の複合機20において、原稿搬送経路30は図3のように構成されているから、原稿のブレが読取りに与える影響については、以下の(1)〜(4)の点を指摘することができる。即ち、(1)原稿の先端が下流側ガイド72に衝突した場合、原稿がブレて、第1原稿読取位置80において原稿の表側の面を読み取る際に影響する。(2)原稿の後端が上流側ガイド71を抜けるときに当該後端が跳ねた場合、原稿がブレて、第1原稿読取位置80において原稿の表側の面を読み取る際に影響する。(3)原稿の先端が排出ローラ36に衝突した場合、原稿がブレて、第2原稿読取位置90において原稿の裏側の面を読み取る際に影響する。(4)原稿の後端が搬送ローラ35から抜けるときに当該後端が跳ねた場合、原稿がブレて、第2原稿読取位置90において原稿の裏側の面を読み取る際に影響する。なお、原稿の先端及び後端とは、原稿の搬送方向の先頭側及び末尾側を意味する。
【0072】
図7に、表側の面を読み取る場合と裏側の面を読み取る場合のそれぞれの場合について、原稿画像に偽色が発生し易い領域を概念的に示す。図7(a)に示すのが原稿の表側の面を読み取る場合、図7(b)に示すのが原稿の裏側の面を読み取る場合である。なお、図7の縦方向(y軸方向)は副走査方向であり、上側が原稿先端側、下側が原稿後端側を示す。また、横方向(x軸方向)は主走査方向である。
【0073】
なお、色ズレによる偽色は、原稿にブレが発生した瞬間に、第1読取センサ56又は第2読取センサ57によって読取りが行われているラインの近傍に発生するものである。従って、偽色が発生し易い領域には、原稿にブレが発生するときに第1読取センサ56又は第2読取センサ57によって読取りが行われているラインが、少なくとも含まれている。
【0074】
図7(a)に示す領域101は、表側の面の読取中に、原稿の先端が下流側ガイド72に衝突して当該原稿がブレたときに偽色が発生し易い領域である。領域102は、表側の面の読取中に、原稿の後端が上流側ガイド71を抜け、当該後端が跳ねて原稿がブレたときに偽色が発生し易い領域である。図7(b)に示す領域103は、裏側の面の読取中に、原稿の先端が排出ローラ36に衝突して当該原稿がブレたときに偽色が発生し易い領域である。また、領域104は、裏側の面の読取中に、原稿の後端が搬送ローラ35を抜け、当該後端が跳ねて原稿がブレたときに偽色が発生し易い領域である。
【0075】
そして、除外領域座標記憶部48は、偽色が発生し易い領域101〜104を除外領域として、当該領域101〜104の座標を記憶しておく。領域101〜104の座標は、工場出荷時にプリセットしておくが、本実施形態では、オペレータが複合機20に対して当該領域の座標を入力することによって変更することが可能に構成されている。これにより、複合機20の個体差等に応じて、適切な除外領域を設定することができる。
【0076】
なお、図7に示すように、色ズレによる偽色は主走査方向のライン状に発生し易い。そこで、除外領域の座標としては、副走査方向の座標のみを指定できれば十分である。具体的には、原稿の先端ラインからのライン数(即ち、原稿を読み取った画像データのy座標)によって、除外領域の位置を特定する。例えば図7の場合においては、領域101はy1ライン目からy2ライン目までの範囲、領域102はy3ライン目からy4ライン目までの範囲、・・・というように、除外領域の範囲の開始と終了を示すy座標(ライン数)を除外領域座標記憶部48に記憶しておく。
【0077】
また、本実施形態の複合機20が備えるイメージスキャナ装置10は、表側の面と裏側の面を別々の読取位置で読み取るように構成されたワンパスタイプの両面ADFを備えた構成であるから、表側の面を読み取るときと裏側の面を読み取るときでは、色ズレが発生し易い領域が異なる。
【0078】
そこで、本実施形態の除外領域座標記憶部48は、表側の面を読み取るときの除外領域の座標を記憶する表面用座標記憶部58と、裏側の面を読み取るときの除外領域の座標を記憶する裏面用座標記憶部59と、を備えている。例えば図7の場合においては、表面用座標記憶部58は領域101及び領域102の座標を、裏面用座標記憶部59は領域103及び領域104の座標を、それぞれ記憶しておく。表面用座標記憶部58が記憶している除外領域の座標と、裏面用座標記憶部59が記憶している除外領域の座標は、それぞれカラーモノクロ判定部47に入力される。
【0079】
そして、カラーモノクロ判定部47が原稿の表側の面のカラーモノクロ判定を行うときは、表面用座標記憶部58が記憶している除外領域の座標を参照し、領域101及び領域102に含まれる画素の情報を除外して、カラーモノクロ判定を行う。同様に、カラーモノクロ判定部47が原稿の裏側の面のカラーモノクロ判定を行うときは、裏面用座標記憶部59が記憶している除外領域の座標を参照し、領域103及び領域104に含まれる画素の情報を除外して、カラーモノクロ判定を行う。
【0080】
以上のように、表側の面のカラーモノクロ判定を行う場合と、裏側の面のカラーモノクロ判定を行う場合とで、除外領域を異ならせることができる。従って、本実施形態の複合機20においては、ADF25によって搬送される原稿の表側の面と裏側の面のどちらを読み取った場合であっても、モノクロ原稿をカラー原稿と誤判定してしまうことを良好に防止することができる。
【0081】
以上で説明したように、本実施形態の複合機20は、ADF25と、第1読取センサ56と、第2読取センサ57と、カラーモノクロ判定部47と、を備える。第1読取センサ56は、ADF25によって搬送される原稿の第1面を、第1原稿読取位置80においてカラーで読取可能である。第2読取センサ57は、ADF25によって搬送される原稿の第2面を、前記第1原稿読取位置80とは異なる第2原稿読取位置90においてカラーで読取可能である。カラーモノクロ判定部47は、除外領域の座標を入力可能に構成され、入力された前記除外領域の座標が示す領域を除外した領域に含まれる画素に基づいて、第1読取センサ56又は第2読取センサ57が読み取った原稿がカラーかモノクロかを判定する。そして、前記除外領域は、前記原稿の第1面を読み取る場合と第2面を読み取る場合とで異ならせることが可能である。
【0082】
即ち、原稿を読み取る際に色ズレが発生した場合、カラーモノクロ判定を行う際に、モノクロ原稿をカラー原稿と誤判定してしまう場合がある。ここで、色ズレが発生し易い領域は決まっているので、この色ズレが発生し易い領域を除外領域として指定しておく。そして、当該除外領域を除外してカラーモノクロ判定を行うことにより、モノクロ原稿をカラー原稿と誤判定してしまうことを防ぎ、判定の確度を向上させることができる。また、原稿の表裏を別々の読取位置で読み取る構成の原稿読取装置においては、第1面を読み取る際に色ズレが発生し易い領域と、第2面を読み取る際に色ズレが発生し易い領域とは、それぞれ異なる。従って、上記のように構成することにより、第1面読取時と第2面読取時のそれぞれの場合において、カラーモノクロ判定の確度を良好に向上させることができる。
【0083】
また、本実施形態の複合機20は、下流側ガイド72を備える。下流側ガイド72は、第1原稿読取位置80の下流側に配置され、当該第1原稿読取位置80で読み取られた原稿を、搬送方向下流側に案内する。そして、前記除外領域は、原稿の先端が下流側ガイド72に当たる時に第1読取センサ56が当該原稿を読み取っているラインを含む。
【0084】
また、本実施形態の複合機20は、上流側ガイド71を備える。上流側ガイドは、第1原稿読取位置80の上流側に配置され、搬送される原稿を第1原稿読取位置80に案内する。そして、前記除外領域は、原稿の後端が上流側ガイド71を抜ける時に第1読取センサ56が当該原稿を読み取っているラインを含む。
【0085】
また、本実施形態の複合機20は、排出ローラ36を備える。排出ローラ36は、第2原稿読取位置90の下流側に配置され、当該第2原稿読取位置90で読み取られた原稿を、搬送方向下流側に案内する。そして、前記除外領域は、原稿の先端が排出ローラ36に当たる時に第2読取センサ57が当該原稿を読み取っているラインを含む。
【0086】
また、本実施形態の複合機20は、搬送ローラ35を備える。搬送ローラ35は、第2原稿読取位置90の上流側に配置され、搬送される前記原稿を第2原稿読取位置90に案内する。そして、前記除外領域は、前記原稿の後端が搬送ローラ35を抜ける時に第2読取センサ57が当該原稿を読み取っているラインを含む。
【0087】
即ち、搬送される原稿の先端が下流側ガイド72又は排出ローラ36に衝突することにより、当該原稿がブレて色ズレが発生してしまう。また、搬送される原稿の後端が上流側ガイド71又は搬送ローラ35を抜けるときに、当該後端が跳ねることにより、当該原稿がブレて色ズレが発生してしまう。しかしながら、上流側ガイド71、下流側ガイド72、搬送ローラ35及び排出ローラ36の位置は変化することがないから、これらに起因して色ズレが発生する領域は決まっている。従って、当該領域を除外領域として予め設定しておくことにより、カラーモノクロ判定の確度を良好に向上させることができる。
【0088】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0089】
図7に示した領域101〜104は除外領域を例示するものであり、これ以外にも偽色が発生し易い領域がある場合には除外領域座標記憶部48に記憶して良いことは勿論である。
【0090】
偽色が発生し易い領域を除外領域座標記憶部48に設定する方法としては、工場出荷時に作業者が当該領域の座標値等を設定する方法のほか、例えば、テストチャートをADF25によって読み込ませることにより偽色の発生を検出して、その領域を偽色が発生し易い領域として自動的に設定するように構成しても良い。
【0091】
また例えば、紙質等に応じて除外領域を切り替えることができるように構成されていても良い。
【0092】
また、本発明の構成は複合機に限らず、ファクシミリ専用機、コピー専用機などの他の構成の画像読取装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
10 イメージスキャナ装置(原稿読取装置)
20 コピーファクシミリ複合機
25 ADF(自動原稿搬送装置)
35 搬送ローラ(上流側ローラ)
36 排出ローラ(下流側ローラ)
47 カラーモノクロ判定部
49 除外領域座標記憶部
56 第1読取センサ
56 第2読取センサ
58 表面用座標記憶部
59 裏面用座標記憶部
71 上流側ガイド
72 下流側ガイド
80 第1読取位置
90 第2読取位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動原稿搬送装置と、
前記自動原稿搬送装置によって搬送される原稿の第1面を、所定の読取位置においてカラーで読取可能な第1読取センサと、
前記自動原稿搬送装置によって搬送される原稿の第2面を、前記第1読取センサの読取位置とは異なる読取位置においてカラーで読取可能な第2読取センサと、
除外領域の座標を入力可能に構成され、入力された前記除外領域の座標が示す領域を除外した領域に含まれる画素に基づいて、前記第1読取センサ又は前記第2読取センサが読み取った原稿がカラーかモノクロかを判定するカラーモノクロ判定部と、
を備え、
前記除外領域は、前記原稿の第1面を読み取る場合と第2面を読み取る場合とで異ならせることが可能であることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原稿読取装置であって、
前記第1読取センサの読取位置の下流側に配置され、前記第1読取センサの読取位置で読み取られた原稿を、搬送方向下流側に案内する下流側ガイドを備え、
前記除外領域は、前記原稿の先端が前記下流側ガイドに当たる時に前記第1読取センサが当該原稿を読み取っているラインを含むことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の原稿読取装置であって、
前記第1読取センサの読取位置の上流側に配置され、搬送される前記原稿を前記第1読取センサの読取位置に案内する上流側ガイドを備え、
前記除外領域は、前記原稿の後端が前記上流側ガイドを抜ける時に前記第1読取センサが当該原稿を読み取っているラインを含むことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の原稿読取装置であって、
前記第2読取センサの読取位置の下流側に配置され、前記第2読取センサの読取位置で読み取られた原稿を、搬送方向下流側に案内する下流側ローラを備え、
前記除外領域は、前記原稿の先端が前記下流側ローラに当たる時に前記第2読取センサが当該原稿を読み取っているラインを含むことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の原稿読取装置であって、
前記第2読取センサの読取位置の上流側に配置され、搬送される前記原稿を前記第2読取センサの読取位置に案内する上流側ローラを備え、
前記除外領域は、前記原稿の後端が前記上流側ローラを抜ける時に前記第2読取センサが当該原稿を読み取っているラインを含むことを特徴とする原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−245688(P2010−245688A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90167(P2009−90167)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】