説明

厨房機器

【課題】食器洗い乾燥機の使用時の台所環境を改善する。
【解決手段】厨房機器1は、食器洗い乾燥機10および調理機器の排気を促進するための送風手段9を有し、食器洗い乾燥機10は、被洗浄物を収納する洗浄槽12と、洗浄槽内に設けられ、被洗浄物を洗浄する洗浄手段16と、被洗浄物に供給される洗浄水および空気を加熱する加熱手段15と、洗浄槽12に設けられるとともに洗浄槽12内の空気が排気されるための排気口18とを備え、排気口18と調理機器の排気経路を接続する連結経路19を備え、調理機器の操作部近傍に食器洗い乾燥機10の操作部を設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭における誘導加熱調理機や食器洗い乾燥機を備えた厨房機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の食器洗い乾燥機食器101や誘導加熱調理機102を供えた厨房機器103は図8、図9に示すような構成をしている。以下その構成について説明する。
【0003】
まず、食器洗い乾燥機食器101は図9に示すように、前方に開口する前方開口部104を有すると共に、箱状に形成された本体105と上方に開口する上方開口部106を有すると共に、前方開口部104から本体105内に出し入れ自在の洗浄槽107と、洗浄槽107の前方に設けられた排気口108と操作パネル109と操作パネル109の下方に設けられ本体105の前方を覆う蓋体110と蓋体110の洗浄槽107への固定部(図示せず)を覆う前板112を設けたもので、蓋体110に化粧パネル(図示せず)を取り付ける場合、化粧パネルの上部端面を前板112で覆うことができるので、その分、操作パネル109をコンパクトにすることができ、食器洗い乾燥機101のシステムキッチン全体との統一感を向上させるというものであった。
【0004】
一方、誘導加熱調理機102はシステムキッチンのトッププレート113に埋め込まれた天板114と、天板114下部に誘導コイル115と誘導コイル115の励磁用の制御装置(図示せず)、制御装置冷却用のファン(図示せず)を有するものであり、天板後方の吸気口116から冷却ファンで吸い込んだ空気を排気口117から排気するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−178446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図8、図9に示す前記従来の構成では、食器洗い乾燥機食器101ならびに誘導加熱調理機102はシステムキッチンに組み込まれ、デザインとしての統一感は配慮されてはいるものの機能的には何らの互いに何らの連携もなく、それぞれ独立して使用されているものであった。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、食器洗い乾燥機の操作部を調理機器の操作部の近傍に設けることによって、使用者が食器洗い乾燥機と調理機器の両方の機器を用意に操作することができ、台所の使用の改善を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の厨房機器は、被洗浄物の洗浄、すすぎ、乾燥を行う食器洗い乾燥機と排気を行う調理機器とを備えた厨房機器であって、厨房機器は、食器洗い乾燥機および調理機器の排気を促進するための送風手段を備え、食器洗い乾燥機は、被洗浄物を収納する洗浄槽と、洗浄槽内に設けられ、被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、被洗浄物に供給される洗浄水および空気を加熱する加熱手段と、洗浄槽に設けられるとともに洗浄槽内の空気が排気されるための排気口とを備え、排気口と調理機器の排気経路を接続する連結経路が形成され、食器洗い乾燥機の操作部が調理機器の操作部近傍に設
置されたものである。
【0009】
これによって、使用者が食器洗い乾燥機と調理機器の両方の機器を用意に操作することができる。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の厨房機器は、使用者が食器洗い乾燥機と調理機器の両方の機器を用意に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における厨房機器の模式図
【図2】本発明の第1の実施の形態における厨房機器の平面図ならびに正面図
【図3】本発明の実施の形態1における厨房機器の制御系統を示す模式図
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるターボファンコントローラ動作のフローチャート
【図5】本発明の第2の実施の形態における厨房機器の操作部の模式図
【図6】本発明の第2の実施の形態における厨房機器の赤外線伝送部の模式図
【図7】本発明の第2の実施の形態における食器洗い乾燥機の操作部の模式図
【図8】従来の厨房機器の模式図
【図9】従来の食器洗い乾燥機の模式図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、被洗浄物の洗浄、すすぎ、乾燥を行う食器洗い乾燥機と排気を行う調理機器とを備えた厨房機器であって、食器洗い乾燥機および調理機器の排気を促進するための送風手段を有し、(食器洗い乾燥機および調理機器の少なくともいずれか一方に送風手段が設けられ、)食器洗い乾燥機は、被洗浄物を収納する洗浄槽と、洗浄槽内に設けられ、被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、被洗浄物に供給される洗浄水および空気を加熱する加熱手段と、洗浄槽に設けられるとともに洗浄槽内の空気が排気されるための排気口とを備え、排気口と調理機器の排気経路を接続する連結経路を備え、調理機器の操作部近傍に前記食器洗い乾燥機の操作部を設置したものであって、食器洗い乾燥機の動作中に発生する蒸気を誘導加熱調理機の冷却用ファンによって排気経路に導き、一括して外部に排気することによって、快適な台所環境を実現するものである。
【0013】
第2の発明は、特に第1の発明において、食器洗い乾燥機の動作時には、調理機器の送風手段を動作させる送風機動作手段を有するものであり、厨房機器動作の連携を図り、操作の利便性を高めるものである。
【0014】
第3の発明は、特に第1の発明において、調理器の天板上に操作部を設置するものであり、厨房機器の操作の利便性を高めるものである。
【0015】
第4の発明は、特に第1の発明において、食器洗い乾燥機への指示は無線伝送で行うものであり、配線の煩わしさを除き、システムの構成を容易にするものである。
【0016】
第5の発明は、特に第4の発明において、食器洗い乾燥機への無線伝送は赤外線伝送で行うものであり、安価にシステムを構成すると共に、光伝送によって耐ノイズの向上を図ることができ、信頼性の高いシステムを実現するものである。
【0017】
第6の発明は、特に第1の発明において、厨房機器の操作部と食器洗い乾燥機の扉部にも食器洗い乾燥機の操作部を有するものであり、操作部を複数設けて、食器洗い乾燥機の使用者の利便性を向上するものである。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における厨房機器1の模式図であり、図2は本発明の第1の実施の形態における厨房機器1の平面図ならびに正面図である。図1ならびに図2において、食器洗い乾燥機について説明する。
【0020】
図1、図2において、システムキッチンのトッププレート2には誘導加熱調理機3(調理機器)がはめ込まれており、その後方には、誘導加熱調理機3の吸気口4と排気口5が設置されている。耐熱性ガラスでできた天板6の下には3個の誘導コイル7と誘導コイル7の制御装置8が設置され、制御装置8の冷却手段であり、送風手段でもあるターボファン9も設置されている。また誘導加熱調理機3の下方には食器洗い乾燥機10が設置されている。また、トッププレート2には、誘導加熱調理機3と食器洗い乾燥機10の操作部11が設置されている。
【0021】
食器洗い乾燥機10には、上方に開口する洗浄槽12が収納され、洗浄槽12は、食器洗い乾燥機10の両内側面と洗浄槽12間に取り付けられたレール機構(図示せず)によって、前後に移動可能で、前方開口部から引き出すことができるように構成されている。洗浄槽12の内部には被洗浄物13(食器)を収納する食器かご14が設けてある。また洗浄槽12内には、洗浄水を加熱する加熱手段(たとえばシーズヒータなど)15を設けるとともに、洗浄手段16(洗浄ポンプ)が洗浄水を加圧して、洗浄ノズル17より洗浄水を噴射し、食器かご14に収納した被洗浄物13(食器)を洗浄するように構成されている。
【0022】
そして洗浄工程が終了すると、汚れた水を排水し、清浄水ですすぐ工程が実行される。このすすぎ工程を何度か繰り返し、すすぎ後の水が十分清浄になったことが確認されたら、乾燥工程に移行する。
【0023】
乾燥工程では、食器洗い乾燥機10の送風手段(図示せず)によって外気が洗浄槽12の内部に送り込まれ、洗浄槽12の側面に設置された食器洗い乾燥機の排気口18から、連結通路19を通って誘導加熱調理機3の排気口5から外部に排気される。
【0024】
この乾燥工程においては、誘導加熱調理機3が使用中、使用中でないに関わらず誘導加熱調理機3の冷却手段であるターボファン9を動作させ、連結通路19を通る食器洗い乾燥機の排気口18からの蒸気を含んだ空気を吸い上げ、強力に外部に排気する助けをさせている。
【0025】
図3は本発明の実施の形態1における厨房機器1の制御系統を示す模式図である。
【0026】
図3において、食器洗い乾燥機10には被洗浄物13の洗浄、すすぎおよび乾燥を制御する食器洗い乾燥機コントローラ20があり、食器洗い乾燥機コントローラ20から食器洗い乾燥機10の動作状態を食器洗い乾燥機動作信号ライン21によって出力している。また、誘導加熱調理機3には、誘導加熱調理機3の加熱状態を制御する誘導加熱調理機コントローラ22があり、誘導加熱調理機コントローラ22からは、誘導加熱調理機3の動作状態が誘導加熱調理機動作信号ライン23によって、出力されている。誘導加熱調理機コントローラ22は、誘導加熱調理機3内部に設置されたターボファン9を制御する。食器洗い乾燥機動作信号ライン21および誘導加熱調理機動作信号ライン23はターボファンコントローラ28への入力になり、ターボファンコントローラ28は入力信号に応じて
、誘導加熱調理機3内部のターボファン9を制御する。
【0027】
ここで誘導加熱調理機3が動作中の時は、誘導加熱調理機コントローラ22がターボファン9を「強」出力で動作させ、吸気口4から吸い込んだ風で、誘導加熱調理機3内部の制御装置8(図示せず)などから発生した熱を強力に冷却し、排気口5から誘導加熱調理機3の外部に排気させている。この時、連結通路19には、食器洗い乾燥機10の排気口18が接続されているので、食器洗い乾燥機10からの蒸気、熱、においなどが外部に排出される。
【0028】
誘導加熱調理機3が動作中でなく食器洗い乾燥機10が乾燥工程を実行中の時のみ、ターボファンコントローラ28は、ターボファン9を「弱」出力で動作させ、食器洗い乾燥機10の排気口18からの蒸気や熱を連結通路19、排気口5を介して外部に逃がしている。
【0029】
図4は本発明の第1の実施の形態におけるターボファンコントローラ28動作のフローチャートである。
【0030】
誘導加熱調理機動作信号ライン23の信号で誘導加熱調理機3が動作中であると判定した時はターボファン9に対して何の指令も行わないが、誘導加熱調理機3が動作していないと判断した時には食器洗い乾燥機動作信号ライン21の信号を判定する。食器洗い乾燥機動作信号ライン21の信号で食器洗い乾燥機10が乾燥工程を実行中と判定した時のみターボファン9を「弱」出力で動作させる。
【0031】
以上のように、誘導加熱調理機3内部のターボファン9の動作によって、食器洗い乾燥機10と誘導加熱調理機3をつなぐ連結通路19の風の流れを制御することで、食器洗い乾燥機10の乾燥工程から出る蒸気や匂いを連結通路19、排気口5を経て外部に導くことができ、排気部の結露を防ぎ、空気の流れを加速することができるので、乾燥工程の時間短縮、乾燥効率の向上を図れるほか、台所の湿度も低減でき、食器洗い乾燥機10動作中の騒音も低減することができる。また、誘導加熱調理機3側から風が吹き出しているので、匂いが逆流することもないなど、台所環境を快適に保つことができる。
【0032】
(実施の形態2)
図5は本発明の第2の実施の形態における厨房機器1の平面図ならびに正面図である。
【0033】
厨房機器1の操作部11は誘導加熱調理機3のトッププレート2の上に形成されている。どのキイを押したかは、キイの静電容量の変化から読み取られ、その情報は無線送信部30へ送られ、送信アンテナ31から食器洗い乾燥機10の扉32内部に設置されている受信アンテナ33を有する制御部34に送信され、食器洗い乾燥機10の機能が制御される。
【0034】
図6は赤外線伝送方式の模式図である。
【0035】
厨房機器1の操作部11のどのキイを押したかは、キイの静電容量の変化から読み取られ、その情報は赤外線情報送信部35へ送られ、赤外線LED36から赤外線受光部37を有する制御部38に送信され、食器洗い乾燥機10の機能が制御される。
【0036】
図7は本発明の第2の実施の形態における食器洗い乾燥機10の模式図である。図7においてトッププレート2上に形成された操作部11の食器洗い乾燥機10の操作に対応するキイ操作部39が洗浄槽12の入り口に設置されており、洗浄槽12を引っ張り出し、被洗浄物13(食器)を洗浄槽12にセットしている状態でも手前で入力できるようにし
ている。
【0037】
以上のように、厨房機器1の操作部11を集約化し、入力指示を無線伝送することによって、配線などの制約のないシステムの構成が可能となり、また赤外線伝送によって、誘導加熱調理機3の誘導コイル7からの電磁ノイズなどにも影響されない信頼性の高い伝送が実現できる。トッププレート2上のキイ操作によって厨房機器1としての統一した操作性が確保できると共に、トッププレート2上の操作部11と洗浄槽12の近傍に置かれたキイ操作部39の2箇所から食器洗い乾燥機10操作を行うことができるので、被洗浄物13を洗浄槽12にセットする手前でキイ操作も行うこともでき、使い勝手の良い厨房機器を実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
このように、本構成によると、機器の送風機能を他の機器が利用することが可能となるので排気を伴う産業熱機器などのシステムなどにも使用が可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 厨房機器
2 トッププレート
3 誘導加熱調理機(調理機器)
4 吸気口
5 排気口
6 天板
9 ターボファン(冷却手段、送風手段)
10 食器洗い乾燥機
11 操作部
12 洗浄槽
15 加熱手段
16 洗浄手段
19 連結通路
28 ターボファンコントローラ
30 無線送信部
34、38 制御部
37 赤外線情報送信部
39 キイ操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物の洗浄、すすぎ、乾燥を行う食器洗い乾燥機と排気を行う調理機器とを備えた厨房機器であって、前記厨房機器は、前記食器洗い乾燥機および前記調理機器の排気を促進するための送風手段を備え、前記食器洗い乾燥機は、被洗浄物を収納する洗浄槽と、前記洗浄槽内に設けられ、被洗浄物を洗浄する洗浄手段と、被洗浄物に供給される洗浄水および空気を加熱する加熱手段と、前記洗浄槽に設けられるとともに前記洗浄槽内の空気が排気されるための排気口とを備え、前記排気口と前記調理機器の排気経路を接続する連結経路が形成され、前記食器洗い乾燥機の操作部が前記調理機器の操作部近傍に設置された厨房機器。
【請求項2】
前記食器洗い乾燥機の動作時には、前記調理機器の送風手段を動作させる送風機動作手段を有する請求項1記載の厨房機器。
【請求項3】
前記調理器の天板上に操作部を有する請求項1記載の厨房機器。
【請求項4】
前記食器洗い乾燥機への指示は無線伝送で行う請求項1記載の厨房機器。
【請求項5】
前記食器洗い乾燥機への無線伝送は赤外線伝送で行う請求項4記載の厨房機器。
【請求項6】
前記厨房機器の操作部と食器洗い乾燥機の扉部にも食器洗い乾燥機の操作部を有する請求項1に記載の厨房機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−167430(P2011−167430A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35586(P2010−35586)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】