厨房用下方吸引式排煙設備
【課題】高所に位置する天井フードでは、空調済の店内空気も多く吸引されてしまうため、空調コストが高く成る。また、固定設備で内部の清掃が略無理に等しい天井ダクト内に油脂が付着してしまう。
【解決手段】加熱調理器Wの後方に横長状のボックス1を配置し、トッププレート4の上部に吸引ダクトを設け、吸引口3を加熱調理器W側の調理面に近接させる様に形成することによって、店内空気の吸引量を少量に抑えることを可能にし、且つカウンターより上方へ油煙が立ち上る前に殆ど全てを吸引可能にする。而も、ボックス1の一端に垂直な連結ダクト5を、フィルター48を内蔵する油脂回収ボックス6に通気可能に接続して、連結配管A及び連結配管Aより下流側の固定配管への不純物の流入、付着を極めて少量に抑制可能にする。
【解決手段】加熱調理器Wの後方に横長状のボックス1を配置し、トッププレート4の上部に吸引ダクトを設け、吸引口3を加熱調理器W側の調理面に近接させる様に形成することによって、店内空気の吸引量を少量に抑えることを可能にし、且つカウンターより上方へ油煙が立ち上る前に殆ど全てを吸引可能にする。而も、ボックス1の一端に垂直な連結ダクト5を、フィルター48を内蔵する油脂回収ボックス6に通気可能に接続して、連結配管A及び連結配管Aより下流側の固定配管への不純物の流入、付着を極めて少量に抑制可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房用の排煙ダクトであって、特に対面式カウンターで加熱調理する、例えば焼鳥の様な串焼き店舗で有効な下方吸引式排煙設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厨房のガスレンジ、IHクッキングヒーター等の加熱調理器具による調理時に発生する燃焼排ガスを含む油煙(食材からの油脂成分を含む煙)は、天井に設けられた天井フードで集煙され、天井ダクトを通過させて屋外へ排出するのが一般的であり、油煙は上昇気流により拡散しながら上昇することから、集煙エリアが広くなるため、自ずと大型の天井フードが必要となり、而も天井フードは高所となり、燃焼排ガスは上方拡散するため、確実に捕集するためには大出力の排気フアンが必要となる。
【0003】
例えば、調理部の上方にフードを設け、該フードの頂部に吸引筒を接続し、該吸引筒に吸引ダクト及び空函を介して排風機を接続し、排気ダクトによって排風機から屋外に排気し、吸引ダクト、排気ダクト及び排風機空函を天井裏に配設した、営業用調理部(焼鳥、かば焼等)1から発生する多量の煙類の熱や火焔を放熱消火し、静粛安全に上記煙類を屋外に多量排出し得る調理用排気装置が見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特に焼鳥店では、一般的にカウンター方式が多く、客席に座った客とカウンター越しに店員が調理を行っており、カウンターの内側に設置された串焼き器が、平行した2本の棒鋼(鉄久)に多数の串物を並べ、その下に赤熱した木炭や着火状態のガスバーナーを配した状態での加熱調理する形態であること、脂身の多い部位の鶏肉を使用するケースが多いこと、更に鳥を焼く過程において味付けのためにタレを付けることから、焼かれた食材からの煙に加え、食材から発生した肉汁とタレが炭火やガスバーナー上に直接滴下して多量の煙が発生し、特に炭火の場合では、灰等が舞い上がるため、油煙に燃焼排ガスの他、臭気成分、燃焼灰塵等の不純物が多く含まれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−82541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術にあっては、下記の通り、解決せねばならない課題があった。
(1)高所に位置する天井フードでは、空調済の店内空気も多く吸引されてしまうため、空調コストが高く成る。
(2)大出力の排気フアンによる排気では、ランニングコストが高くなる。
(3)吸引された油煙の排煙通路に当る天井ダクトは固定設備であって、該天井ダクト内に不純物を多く含んだ油脂が付着し、使用期間の経過に伴に付着量が増加するが、この天井ダクト内の清掃は略無理に等しい。
(4)カウンター方式の焼鳥店では、煙が客席側に流れてしまい、これを防止するために仕切りガラスを設けてしまえば、客と店員のコミュニケーションが取れなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記従来技術に基づく、上記(1)〜(4)の課題に鑑み、加熱調理器の後方に配置される横長状のボックスの上方開口部を、1枚又は複数枚のトッププレートで閉鎖し、該トッププレートの上部に、上記ボックスの長手方向に幅広い吸引ダクトを設け、該吸引ダクトは、先端に形成されたボックスの長手方向に幅広い吸引口を加熱調理器側の調理面に近接させる様に形成することによって、調理面に対し極めて近い位置で油煙を吸引可能にし、店内空気の吸引量を少量に抑えることを可能にし、且つカウンターより上方へ油煙が立ち上る前に殆ど全てを吸引可能にして、上記(1)、(2)及び(4)の課題を解決し、而も上記ボックスの一端に垂直な連結ダクトの下端を通気可能に接続し、該連結ダクトの上端を、フィルターを内蔵する油脂回収ボックスの下部に通気可能に接続し、該油脂回収ボックスの上部を、固定配管に連結された連結配管の下端に接続することによって、連結配管及び該連結配管より下流側に位置する天井ダクト等の固定配管への不純物の流入、付着を極めて少量に抑制可能にして、上記(3)の課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
要するに本発明は、加熱調理器の後方に配置される横長状のボックスの上方開口部を、1枚又は複数枚のトッププレートで閉鎖し、該トッププレートの上部に、上記ボックスの長手方向に幅広い吸引ダクトを設け、該吸引ダクトは、先端に形成されたボックスの長手方向に幅広い吸引口を加熱調理器側の調理面に近接させる様に形成したので、油煙を調理面近傍から効率よく吸引捕捉することが出来、而も上記吸引口が長い矩形状になるため、拡散前の油煙を少ない吸引量で効率よく吸引することが出来るため、厨房側及び客席側への油煙の漏れを防止するか極めて少量に抑止することが出来、よって客及び店員が漏れた煙に曝されず、煙の臭いと目痛から開放される店内環境の改善が図られた店舗を提供出来、而もカウンター式の焼鳥店であれば、客席と厨房の仕切りガラス備えも要らず、客席と厨房の「一体感」を演出した店舗を提供出来る。
又、吸引ダクトの直下にボックスを設けているので、吸引口から入る比較的重い灰、煤、焼けカスなどをボックス内に溜めて、それより下流への流入を防止出来るため、灰、煤、焼けカスなどの殆どを調理台上で捕集することが出来る。
【0009】
上記ボックスの一端に垂直な連結ダクトの下端を通気可能に接続し、該連結ダクトの上端を、フィルターを内蔵する油脂回収ボックスの下部に通気可能に接続し、該油脂回収ボックスの上部を、固定配管に連結された連結配管の下端に接続したので、吸引口から吸引された油煙はボックスから連結ダクトヘと水平移動し、上記連結ダクト内を重力に逆らって天井方向に流れるため、比較的重い灰塵等を連結ダクトの下端に内に落下させ溜めることが出来、更に油脂回収ボックス内のフィルターでは、残存する軽いオイルミストや灰塵を濾過除去することが出来るため、連結配管及び該連結配管より下流側に位置する天井ダクト等の固定配管への不純物の流入、付着を極めて少量に抑制することが出来、清浄化した空気を店外に排出することが出来る。
【0010】
よって、本発明に係る厨房用下方吸引式排煙設備によれば、組立て分解が容易で、且つ分解することで洗浄し易くなることから、付着油脂類を確実に清掃除去することが出来るため、ダクト火災の危険性を排除し防火安全対策に万全を期すことが出来、構造をシンプル化して製造コストを抑制出来、更に設置工事も天井ダクトへの連結配管の配管作業が必要になるだけで、カウンターと串焼き器の間に隙間を空けてボックスを設置するだけで殆ど対応出来ることから、設置コストを抑制出来るため、初期投資を抑制出来、調理面の近くで吸引することで、吸引量を大幅に削減しても油煙の殆どを吸引出来ることから、吸引ファンを従来より低出力で稼働させても対応出来るほか、低出力の吸引ファンに交換しても対応できるため、ランニングコストを抑えることが出来、室内の清浄空気の吸引量を大幅に抑制出来るため、空調コストを抑えることが出来、省エネルギー対策として有効な、経費節減を実現する厨房用排煙器具を提供出来る。
【0011】
上記ボックスを、上方開口状の外ボックスと、該外ボックス内の上方部位に嵌挿された上下方開口状の内ボックスとを有し、該内ボックスの上方開口を上記ボックスの上方開口部とし、外ボックスに対する内ボックスの高さ位置を調整可能にしたので、前方に位置する加熱調理器(串焼き器)の高さに応じて吸引口の位置を調節することが出来る。
【0012】
吸引ダクトの上部に、吸引口より前方突出する庇部を進退自在に設けたので、加熱調理器(串焼き器)の発煙状況に合せて、庇部の突出量を調整すれば、油煙を確実且つ効率的に捕捉することが出来る。
【0013】
連結ダクトは、上記ボックスに一側部に通気可能に連結される連結ボックスと、該連結ボックスの上部に通気可能に接続されるダクト本体とで構成したので、ダクト本体を連結ボックス上に載置させた状態でボックスに接続することが出来るため、連結配管側に吊り下げずに設置出来、該連結配管側への負担を軽減することが出来る。
【0014】
上記連結ボックスは、上記ボックスとは反対側の側方に別のボックスを通気可能に連結可能にしたので、連結ダクトの両側にボックスを接続出来るため、店舗の形態に合せて適宜設置することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る厨房用排煙ダクトの正面(前面)図である。
【図2】図1の厨房用排煙ダクトの設置状態を示す平面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4(a)】内ボックスが最下状態のボックスの断面図である。
【図4(b)】内ボックスが最上状態のボックスの断面図である。
【図5】図1の厨房用排煙ダクトの分解状態を示す正面(前面)図である。
【図6(a)】左側のトッププレートの平面図である。
【図6(b)】図6(a)のX−X断面の中間部を省略した要部拡大図である。
【図7(a)】外ボックスの平面図である。
【図7(b)】図7(a)の正面(前面)図の中間部を省略した拡大図である。
【図7(c)】図7(b)のY−Y断面拡大図である。
【図8(a)】内ボックスの平面図である。
【図8(b)】図8(a)の正面(前面)図の中間部を省略した拡大図である。
【図8(c)】図8(b)のZ−Z断面図である。
【図9(a)】ダクト連結ボックスの平面図である。
【図9(b)】図9(a)のダクト連結ボックスの横断面の端面図である。
【図9(c)】図9(a)のダクト連結ボックスの縦断面図である。
【図10】図1の厨房用排煙ダクトの下方部位の概略断面図である。
【図11(a)】図1の厨房用排煙ダクトの上方部位の概略断面図である。
【図11(b)】上方連結筒体をずらして取り付けた状態の油脂回収ボックスの断面図である。
【図12】ダクト連結ボックスの両側にボックスを連結した厨房用排煙ダクトの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
本発明に係る厨房用下方吸引式排煙設備にあっては、加熱調理器具Wの後方に配置される横長状のボックス1と、該ボックス1の上方開口部2を塞ぐ、吸引口3を有する1枚又は複数枚のトッププレート4と、上記ボックス1の一端に通気可能に下端が連結された垂直な連結ダクト5と、該連結ダクト5の上端部が連結される油脂回収ボックス6とを有し、上記連結ダクト5は、上記ボックス1に連結されるダクト連結ボックス7と、該ダクト連結ボックス7の上部に連結されたダクト本体8とを有し、上記油脂回収ボックス6は、天井ダクト(図示せず)に連結された連結配管Aの下端に設置されている。
【0017】
上記ボックス1にあっては、金属製で、図5に示す様に、外ボックス1aと、該外ボックス1a内の上方部位に嵌挿された、図4(a)、(b)に示す様に、外ボックス1aに対する高さ位置が調整可能な内ボックス1bとを有している。
上記外ボックス1aは、図7(a)〜(c)に示す様に、横長矩形状の底板10と、該底板10の長辺部に設けた前後方外壁板11、11a と、底板10の短辺部に設けた側端外壁板12、12a とを有し、上記ダクト連結ボックス5側の側端外壁板12a の下方部位に通気口13を形成し、該通気口13に第1フィルター14を交換可能に嵌め込んでいる。
上記内ボックス1bは、図8(a)〜(c)に示す様に、上記外ボックス1aの前後方外壁板11、11a の内側に位置する前後方内壁板15、15a と、上記外ボックス1aの側端外壁板12、12a の内側に位置する側端内壁板16、16a とを有して上下開口し、上方開口を上記ボックス1の上方開口部2とし、上端部位を上記外ボックス1aの上端より突出させ、下端が上記外ボックス1aの通気口13より上方に位置している。
【0018】
そして、上記外ボックス1aにおける前後方外壁板11、11a の上方部位の両側部及び中央部にネジ挿通孔17、17a 、17b を貫設し、上記内ボックス1bにおける前後方内壁板15、15a の、上記ネジ挿通孔17、17a 、17b に対応する位置の夫々に、複数個のネジ孔18、18a …を上下方向に所定間隔毎に配列形成し、外ボックス1aにおけるネジ挿通孔17、17a 、17b と内ボックス1bにおける任意のネジ孔18、18a …を合せ、外ボックス側の各ネジ挿通孔17、17a 、17b を貫通させたネジ19を内ボックス側の任意のネジ孔18、18a …に螺入して、外ボックス1aに対し内ボックス1bを固定している。
【0019】
上記トッププレート4にあっては、図6(a)、(b)に示す様に、左右対称の2枚1組として、並列状態で上記内ボックス1bの上部に載置し、両者共に、矩形状の閉鎖板20の上部に吸引ダクト21を突設し、該吸引ダクト21は左右幅が広く、閉鎖板20の上面より上方突出した縦ダクト22と該縦ダクト22の上端より前方へ水平突出した横ダクト23とを有し、該横ダクト23の先端に上記吸引口3を形成し、上記縦ダクト22は後方板を前方へ傾斜させて前後幅が上方へ徐々に狭くなる様にしている。
【0020】
上記横ダクト23の上部に、先端部が上記吸引口3より前方へ突出する庇部24を載置し、該庇部24は前後方向にスライド可能にして、その突出量を調節自在とし、具体的には、横ダクト23の上部に載置される前後方向に長い矩形板状の庇板25と、該庇板25の両側部より横ダクト23の外側に垂下形成された両側板26、26a とを有し、該両側板26、26a に前後方向に長いスライド孔27、27a を形成し、横ダクト23の両側板の、スライド孔27、27a に対応する位置にネジ孔28、28a を形成し、庇部24側のスライド孔27、27a を貫設させたネジ29、29a を横ダクト側のネジ孔28、28a に螺入して、横ダクト23に対し庇部24をスライド・固定可能且つ取外し可能に取り付けている。
【0021】
又、上記閉鎖板20の前後縁部及び外側縁部に内ボックス1b外側への折返し部30、30a 、31を形成している。
【0022】
上記ダクト連結ボックス7にあっては、図9(a)〜(c)に示す様に、矩形状の底板32及び天板33と、上記ボックス側を除く3方に前後方壁板34、34a 及び側壁板35とを有して、上記ボックス側を側方開口部36として、上記ボックス1及びダクト連結ボックス7を上記通気口13及び側方開口部36により連通状態とし、天板33に上方開口部37を形成し、前方壁板34に上記ボックス1の第1フィルター14の交換口38を形成し、該交換口38は着脱自在に取り付けられたカバー39により閉鎖されている。
【0023】
上記ボックス1の上記ダクト連結ボックス7側の側端外壁板12a の外面に、上記ダクト連結ボックス7の側方開口部36に差し込まれる一対の連結板40、40a を設け、該連結板40、40a の夫々の上下2箇所にネジ孔41、41a を形成し、上記ダクト連結ボックス7の前後方壁板34、34a に、上記ネジ孔41、41a に対応するネジ挿通孔42、42a を形成し、該ネジ挿通孔42、42a を貫通させたネジ43、43a を上記連結板40、40a のネジ孔41、41a に螺入して、上記ボックス1に対し上記ダクト連結ボックス7を連結固定している。
【0024】
又、図面上、側壁板35は取外し可能であることから、該側壁板35を取り外して両側方に側方開口部36、36a を形成しダクト連結ボックス7の両側方に上記ボックス1、1を連結することが可能で、この場合、前後方壁板34、34a の両側方にネジ挿通孔42、42a を形成し、ダクト連結ボックス7の一側方だけに上記ボックス1を接続する場合、前後方壁板34、34a の他側方のネジ挿通孔42、42a を適宜手段で閉鎖する様にし、図面上、側壁板35の内側面に設けた突片により閉鎖しているが、ネジ挿通孔42、42a に対し着脱自在とするキャップの様もので閉鎖するなど、要するにネジ挿通孔42、42a を閉鎖し、望ましくは再利用可能なものであれば良い。
又、外した側壁板35で反対側の側方開口部36を塞ぐことを可能にすることで、串焼き器Wのどちらの側方にでも上記ダクト連結ボックス7を、交換口38を正面側に向けた状態で配置することを可能にし、上記ボックス1はトッププレート4の向きを換えて前後逆向きにすれば対応可能である。
【0025】
上記ダクト本体8にあっては、図1、5に示す様に、下方ダクト44と、該下方ダクト44内に上端側より下端部を挿通した上方ダクト45と、上下ダクト44、45の継目部に外嵌するシールリング46とを有し、上記下方ダクト44は、外径が上記ダクト連結ボックス7における天板33の上方開口部37より小径で、下端側寄りの外周面に、外径が天板33の上方開口部37より大径な鍔部47を周設し、該鍔部47と上記ダクト連結ボックス7における天板33をボルト及びナットにより固定している。
【0026】
上記油脂回収ボックス6にあっては、図1、5、11(a)、(b)に示す様に、内部に第2フィルター48を収容し、底板48の中央に下方開口部49を形成し、前面板50に開閉可能な第2フィルター48の取出口51を形成し、上記第2フィルター48は、基本的には、多数の通気孔を有した内外筒体の間に、油脂が内部浸透する多孔質で、粒径を1mm以上に揃えたセラミック製(無機質材料)の吸着材が充填され、上方開口部を閉塞するキャップを装着し、上記下方開口部49を取り囲む様に配置されている。
【0027】
上記上方ダクト45は、上端面の複数位置に、縦切込52と該縦切込52の下端より一側方へ連続形成された横切込53とからなる略L字型の切込54を有し、油脂回収ボックス6の底板48の下面に一体形成された下方連結筒体55の外周部で、上記上方ダクト45の切込54に対応する位置に嵌合ピン56を外方突設し、上記上方ダクト45を持ち上げて嵌合ピン56を切込54の縦切込52内に差し込み、次に上方ダクト45を回転させて、嵌合ピン56を横切込53内に移行させて、油脂回収ボックス6に対し上方ダクト45を吊り下げ状態で設置する。
【0028】
油脂回収ボックス6の上部に、連結配管Aを接続する上方連結筒体57を設け、該上方連結筒体57内に防火ダンパー58を配設している。
尚、上記上方連結筒体57は、筒部材59と該筒部材59の下端外周部に一体周設された鍔部60とを有し、油脂回収ボックス6の天板61の中央に設けた、鍔部60の外径より小径な上方開口部62に挿通させ、油脂回収ボックス6の天板61の上部に、内径が筒部材59の外径より若干大径で、外径が上方開口部62より大径なリング板63を配置し、該リング板63と上方連結筒体57の鍔部60とで油脂回収ボックス6の天板61を、ボルト及びナットの締結により挟着して、油脂回収ボックス6に対し上方連結筒体57を固定し、且つ油脂回収ボックス6に対する上方連結筒体57と上記連結配管Aとの施工誤差をある程度の範囲内で調節可能にしている。
【0029】
次に、本発明に係る厨房用下方吸引式排煙設備の作用について説明する。
先ず、固定配管(天井配管)(図示せず)に連結配管Aを配管し、該連結配管Aの下端に、第2フィルター48及び防火ダンパー58をセットした油脂回収ボックス6の上方連結筒体57を接続し、次に第1フィルター14をセットしたボックス1にダクト連結ボックス7を連結すると共に、該ダクト連結ボックス7の上方開口部37に収縮状態のダクト本体8における下方ダクト44の下端を差し込んで固定し、この状態のボックス1を加熱調理器具Wの後方に配置し、収縮状態のダクト本体8を伸長させて、上方ダクト45の上端を油脂回収ボックス6における下方連結筒体55に固定すると共に、下方ダクト44及び上方ダクト45の継目部にシールリング46を嵌めて、本発明に係る厨房用下方吸引式排煙設備を設置する。
【0030】
そして調理時に、排気ファン(図示せず)を稼働させると、調理面に近い吸引口3から立ち上ったばかりの油煙をボックス1内に吸引し、吸引された油煙中の比較的重い成分はボックス1内に落下し、その後第1フィルター14を通過する過程である程度の不純物を吸着除去し、次にダクト連結ボックス7を経てダクト本体8を通過する過程で、比較的重い灰塵等がダクト連結ボックス7内に落下し、次に油脂回収ボックス6内に流入した油煙は第2フィルター48を通過する過程で、残存する軽いオイルミストや灰塵を濾過除去し清浄な空気として連結配管A及びその下流の固定配管(天井配管)に流入するため、該固定配管(天井配管)内は油脂成分等が付着しないか、極めて少量に抑えることが可能になる。
【0031】
又、本発明に係る厨房用下方吸引式排煙設備は、外ボックス1a、内ボックス1b、トッププレート4、庇部24、第1フィルター14、ダクト連結ボックス7、下方ダクト44、上方ダクト45、シールリング46、油脂回収ボックス6、第2フィルター48及び防火ダンパー58に分解可能にすることで、小部品化して洗浄作業が簡易になる。
【符号の説明】
【0032】
1 ボックス
1a 外ボックス
1b 内ボックス
2 上方開口部
3 吸引口
4 トッププレート
5 連結ダクト
6 油脂回収ボックス
7 ダクト連結ボックス
8 ダクト本体
21 吸引ダクト
24 庇部
48 第2フィルター
A 連結配管
W 加熱調理器
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房用の排煙ダクトであって、特に対面式カウンターで加熱調理する、例えば焼鳥の様な串焼き店舗で有効な下方吸引式排煙設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厨房のガスレンジ、IHクッキングヒーター等の加熱調理器具による調理時に発生する燃焼排ガスを含む油煙(食材からの油脂成分を含む煙)は、天井に設けられた天井フードで集煙され、天井ダクトを通過させて屋外へ排出するのが一般的であり、油煙は上昇気流により拡散しながら上昇することから、集煙エリアが広くなるため、自ずと大型の天井フードが必要となり、而も天井フードは高所となり、燃焼排ガスは上方拡散するため、確実に捕集するためには大出力の排気フアンが必要となる。
【0003】
例えば、調理部の上方にフードを設け、該フードの頂部に吸引筒を接続し、該吸引筒に吸引ダクト及び空函を介して排風機を接続し、排気ダクトによって排風機から屋外に排気し、吸引ダクト、排気ダクト及び排風機空函を天井裏に配設した、営業用調理部(焼鳥、かば焼等)1から発生する多量の煙類の熱や火焔を放熱消火し、静粛安全に上記煙類を屋外に多量排出し得る調理用排気装置が見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特に焼鳥店では、一般的にカウンター方式が多く、客席に座った客とカウンター越しに店員が調理を行っており、カウンターの内側に設置された串焼き器が、平行した2本の棒鋼(鉄久)に多数の串物を並べ、その下に赤熱した木炭や着火状態のガスバーナーを配した状態での加熱調理する形態であること、脂身の多い部位の鶏肉を使用するケースが多いこと、更に鳥を焼く過程において味付けのためにタレを付けることから、焼かれた食材からの煙に加え、食材から発生した肉汁とタレが炭火やガスバーナー上に直接滴下して多量の煙が発生し、特に炭火の場合では、灰等が舞い上がるため、油煙に燃焼排ガスの他、臭気成分、燃焼灰塵等の不純物が多く含まれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−82541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術にあっては、下記の通り、解決せねばならない課題があった。
(1)高所に位置する天井フードでは、空調済の店内空気も多く吸引されてしまうため、空調コストが高く成る。
(2)大出力の排気フアンによる排気では、ランニングコストが高くなる。
(3)吸引された油煙の排煙通路に当る天井ダクトは固定設備であって、該天井ダクト内に不純物を多く含んだ油脂が付着し、使用期間の経過に伴に付着量が増加するが、この天井ダクト内の清掃は略無理に等しい。
(4)カウンター方式の焼鳥店では、煙が客席側に流れてしまい、これを防止するために仕切りガラスを設けてしまえば、客と店員のコミュニケーションが取れなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記従来技術に基づく、上記(1)〜(4)の課題に鑑み、加熱調理器の後方に配置される横長状のボックスの上方開口部を、1枚又は複数枚のトッププレートで閉鎖し、該トッププレートの上部に、上記ボックスの長手方向に幅広い吸引ダクトを設け、該吸引ダクトは、先端に形成されたボックスの長手方向に幅広い吸引口を加熱調理器側の調理面に近接させる様に形成することによって、調理面に対し極めて近い位置で油煙を吸引可能にし、店内空気の吸引量を少量に抑えることを可能にし、且つカウンターより上方へ油煙が立ち上る前に殆ど全てを吸引可能にして、上記(1)、(2)及び(4)の課題を解決し、而も上記ボックスの一端に垂直な連結ダクトの下端を通気可能に接続し、該連結ダクトの上端を、フィルターを内蔵する油脂回収ボックスの下部に通気可能に接続し、該油脂回収ボックスの上部を、固定配管に連結された連結配管の下端に接続することによって、連結配管及び該連結配管より下流側に位置する天井ダクト等の固定配管への不純物の流入、付着を極めて少量に抑制可能にして、上記(3)の課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
要するに本発明は、加熱調理器の後方に配置される横長状のボックスの上方開口部を、1枚又は複数枚のトッププレートで閉鎖し、該トッププレートの上部に、上記ボックスの長手方向に幅広い吸引ダクトを設け、該吸引ダクトは、先端に形成されたボックスの長手方向に幅広い吸引口を加熱調理器側の調理面に近接させる様に形成したので、油煙を調理面近傍から効率よく吸引捕捉することが出来、而も上記吸引口が長い矩形状になるため、拡散前の油煙を少ない吸引量で効率よく吸引することが出来るため、厨房側及び客席側への油煙の漏れを防止するか極めて少量に抑止することが出来、よって客及び店員が漏れた煙に曝されず、煙の臭いと目痛から開放される店内環境の改善が図られた店舗を提供出来、而もカウンター式の焼鳥店であれば、客席と厨房の仕切りガラス備えも要らず、客席と厨房の「一体感」を演出した店舗を提供出来る。
又、吸引ダクトの直下にボックスを設けているので、吸引口から入る比較的重い灰、煤、焼けカスなどをボックス内に溜めて、それより下流への流入を防止出来るため、灰、煤、焼けカスなどの殆どを調理台上で捕集することが出来る。
【0009】
上記ボックスの一端に垂直な連結ダクトの下端を通気可能に接続し、該連結ダクトの上端を、フィルターを内蔵する油脂回収ボックスの下部に通気可能に接続し、該油脂回収ボックスの上部を、固定配管に連結された連結配管の下端に接続したので、吸引口から吸引された油煙はボックスから連結ダクトヘと水平移動し、上記連結ダクト内を重力に逆らって天井方向に流れるため、比較的重い灰塵等を連結ダクトの下端に内に落下させ溜めることが出来、更に油脂回収ボックス内のフィルターでは、残存する軽いオイルミストや灰塵を濾過除去することが出来るため、連結配管及び該連結配管より下流側に位置する天井ダクト等の固定配管への不純物の流入、付着を極めて少量に抑制することが出来、清浄化した空気を店外に排出することが出来る。
【0010】
よって、本発明に係る厨房用下方吸引式排煙設備によれば、組立て分解が容易で、且つ分解することで洗浄し易くなることから、付着油脂類を確実に清掃除去することが出来るため、ダクト火災の危険性を排除し防火安全対策に万全を期すことが出来、構造をシンプル化して製造コストを抑制出来、更に設置工事も天井ダクトへの連結配管の配管作業が必要になるだけで、カウンターと串焼き器の間に隙間を空けてボックスを設置するだけで殆ど対応出来ることから、設置コストを抑制出来るため、初期投資を抑制出来、調理面の近くで吸引することで、吸引量を大幅に削減しても油煙の殆どを吸引出来ることから、吸引ファンを従来より低出力で稼働させても対応出来るほか、低出力の吸引ファンに交換しても対応できるため、ランニングコストを抑えることが出来、室内の清浄空気の吸引量を大幅に抑制出来るため、空調コストを抑えることが出来、省エネルギー対策として有効な、経費節減を実現する厨房用排煙器具を提供出来る。
【0011】
上記ボックスを、上方開口状の外ボックスと、該外ボックス内の上方部位に嵌挿された上下方開口状の内ボックスとを有し、該内ボックスの上方開口を上記ボックスの上方開口部とし、外ボックスに対する内ボックスの高さ位置を調整可能にしたので、前方に位置する加熱調理器(串焼き器)の高さに応じて吸引口の位置を調節することが出来る。
【0012】
吸引ダクトの上部に、吸引口より前方突出する庇部を進退自在に設けたので、加熱調理器(串焼き器)の発煙状況に合せて、庇部の突出量を調整すれば、油煙を確実且つ効率的に捕捉することが出来る。
【0013】
連結ダクトは、上記ボックスに一側部に通気可能に連結される連結ボックスと、該連結ボックスの上部に通気可能に接続されるダクト本体とで構成したので、ダクト本体を連結ボックス上に載置させた状態でボックスに接続することが出来るため、連結配管側に吊り下げずに設置出来、該連結配管側への負担を軽減することが出来る。
【0014】
上記連結ボックスは、上記ボックスとは反対側の側方に別のボックスを通気可能に連結可能にしたので、連結ダクトの両側にボックスを接続出来るため、店舗の形態に合せて適宜設置することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る厨房用排煙ダクトの正面(前面)図である。
【図2】図1の厨房用排煙ダクトの設置状態を示す平面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4(a)】内ボックスが最下状態のボックスの断面図である。
【図4(b)】内ボックスが最上状態のボックスの断面図である。
【図5】図1の厨房用排煙ダクトの分解状態を示す正面(前面)図である。
【図6(a)】左側のトッププレートの平面図である。
【図6(b)】図6(a)のX−X断面の中間部を省略した要部拡大図である。
【図7(a)】外ボックスの平面図である。
【図7(b)】図7(a)の正面(前面)図の中間部を省略した拡大図である。
【図7(c)】図7(b)のY−Y断面拡大図である。
【図8(a)】内ボックスの平面図である。
【図8(b)】図8(a)の正面(前面)図の中間部を省略した拡大図である。
【図8(c)】図8(b)のZ−Z断面図である。
【図9(a)】ダクト連結ボックスの平面図である。
【図9(b)】図9(a)のダクト連結ボックスの横断面の端面図である。
【図9(c)】図9(a)のダクト連結ボックスの縦断面図である。
【図10】図1の厨房用排煙ダクトの下方部位の概略断面図である。
【図11(a)】図1の厨房用排煙ダクトの上方部位の概略断面図である。
【図11(b)】上方連結筒体をずらして取り付けた状態の油脂回収ボックスの断面図である。
【図12】ダクト連結ボックスの両側にボックスを連結した厨房用排煙ダクトの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
本発明に係る厨房用下方吸引式排煙設備にあっては、加熱調理器具Wの後方に配置される横長状のボックス1と、該ボックス1の上方開口部2を塞ぐ、吸引口3を有する1枚又は複数枚のトッププレート4と、上記ボックス1の一端に通気可能に下端が連結された垂直な連結ダクト5と、該連結ダクト5の上端部が連結される油脂回収ボックス6とを有し、上記連結ダクト5は、上記ボックス1に連結されるダクト連結ボックス7と、該ダクト連結ボックス7の上部に連結されたダクト本体8とを有し、上記油脂回収ボックス6は、天井ダクト(図示せず)に連結された連結配管Aの下端に設置されている。
【0017】
上記ボックス1にあっては、金属製で、図5に示す様に、外ボックス1aと、該外ボックス1a内の上方部位に嵌挿された、図4(a)、(b)に示す様に、外ボックス1aに対する高さ位置が調整可能な内ボックス1bとを有している。
上記外ボックス1aは、図7(a)〜(c)に示す様に、横長矩形状の底板10と、該底板10の長辺部に設けた前後方外壁板11、11a と、底板10の短辺部に設けた側端外壁板12、12a とを有し、上記ダクト連結ボックス5側の側端外壁板12a の下方部位に通気口13を形成し、該通気口13に第1フィルター14を交換可能に嵌め込んでいる。
上記内ボックス1bは、図8(a)〜(c)に示す様に、上記外ボックス1aの前後方外壁板11、11a の内側に位置する前後方内壁板15、15a と、上記外ボックス1aの側端外壁板12、12a の内側に位置する側端内壁板16、16a とを有して上下開口し、上方開口を上記ボックス1の上方開口部2とし、上端部位を上記外ボックス1aの上端より突出させ、下端が上記外ボックス1aの通気口13より上方に位置している。
【0018】
そして、上記外ボックス1aにおける前後方外壁板11、11a の上方部位の両側部及び中央部にネジ挿通孔17、17a 、17b を貫設し、上記内ボックス1bにおける前後方内壁板15、15a の、上記ネジ挿通孔17、17a 、17b に対応する位置の夫々に、複数個のネジ孔18、18a …を上下方向に所定間隔毎に配列形成し、外ボックス1aにおけるネジ挿通孔17、17a 、17b と内ボックス1bにおける任意のネジ孔18、18a …を合せ、外ボックス側の各ネジ挿通孔17、17a 、17b を貫通させたネジ19を内ボックス側の任意のネジ孔18、18a …に螺入して、外ボックス1aに対し内ボックス1bを固定している。
【0019】
上記トッププレート4にあっては、図6(a)、(b)に示す様に、左右対称の2枚1組として、並列状態で上記内ボックス1bの上部に載置し、両者共に、矩形状の閉鎖板20の上部に吸引ダクト21を突設し、該吸引ダクト21は左右幅が広く、閉鎖板20の上面より上方突出した縦ダクト22と該縦ダクト22の上端より前方へ水平突出した横ダクト23とを有し、該横ダクト23の先端に上記吸引口3を形成し、上記縦ダクト22は後方板を前方へ傾斜させて前後幅が上方へ徐々に狭くなる様にしている。
【0020】
上記横ダクト23の上部に、先端部が上記吸引口3より前方へ突出する庇部24を載置し、該庇部24は前後方向にスライド可能にして、その突出量を調節自在とし、具体的には、横ダクト23の上部に載置される前後方向に長い矩形板状の庇板25と、該庇板25の両側部より横ダクト23の外側に垂下形成された両側板26、26a とを有し、該両側板26、26a に前後方向に長いスライド孔27、27a を形成し、横ダクト23の両側板の、スライド孔27、27a に対応する位置にネジ孔28、28a を形成し、庇部24側のスライド孔27、27a を貫設させたネジ29、29a を横ダクト側のネジ孔28、28a に螺入して、横ダクト23に対し庇部24をスライド・固定可能且つ取外し可能に取り付けている。
【0021】
又、上記閉鎖板20の前後縁部及び外側縁部に内ボックス1b外側への折返し部30、30a 、31を形成している。
【0022】
上記ダクト連結ボックス7にあっては、図9(a)〜(c)に示す様に、矩形状の底板32及び天板33と、上記ボックス側を除く3方に前後方壁板34、34a 及び側壁板35とを有して、上記ボックス側を側方開口部36として、上記ボックス1及びダクト連結ボックス7を上記通気口13及び側方開口部36により連通状態とし、天板33に上方開口部37を形成し、前方壁板34に上記ボックス1の第1フィルター14の交換口38を形成し、該交換口38は着脱自在に取り付けられたカバー39により閉鎖されている。
【0023】
上記ボックス1の上記ダクト連結ボックス7側の側端外壁板12a の外面に、上記ダクト連結ボックス7の側方開口部36に差し込まれる一対の連結板40、40a を設け、該連結板40、40a の夫々の上下2箇所にネジ孔41、41a を形成し、上記ダクト連結ボックス7の前後方壁板34、34a に、上記ネジ孔41、41a に対応するネジ挿通孔42、42a を形成し、該ネジ挿通孔42、42a を貫通させたネジ43、43a を上記連結板40、40a のネジ孔41、41a に螺入して、上記ボックス1に対し上記ダクト連結ボックス7を連結固定している。
【0024】
又、図面上、側壁板35は取外し可能であることから、該側壁板35を取り外して両側方に側方開口部36、36a を形成しダクト連結ボックス7の両側方に上記ボックス1、1を連結することが可能で、この場合、前後方壁板34、34a の両側方にネジ挿通孔42、42a を形成し、ダクト連結ボックス7の一側方だけに上記ボックス1を接続する場合、前後方壁板34、34a の他側方のネジ挿通孔42、42a を適宜手段で閉鎖する様にし、図面上、側壁板35の内側面に設けた突片により閉鎖しているが、ネジ挿通孔42、42a に対し着脱自在とするキャップの様もので閉鎖するなど、要するにネジ挿通孔42、42a を閉鎖し、望ましくは再利用可能なものであれば良い。
又、外した側壁板35で反対側の側方開口部36を塞ぐことを可能にすることで、串焼き器Wのどちらの側方にでも上記ダクト連結ボックス7を、交換口38を正面側に向けた状態で配置することを可能にし、上記ボックス1はトッププレート4の向きを換えて前後逆向きにすれば対応可能である。
【0025】
上記ダクト本体8にあっては、図1、5に示す様に、下方ダクト44と、該下方ダクト44内に上端側より下端部を挿通した上方ダクト45と、上下ダクト44、45の継目部に外嵌するシールリング46とを有し、上記下方ダクト44は、外径が上記ダクト連結ボックス7における天板33の上方開口部37より小径で、下端側寄りの外周面に、外径が天板33の上方開口部37より大径な鍔部47を周設し、該鍔部47と上記ダクト連結ボックス7における天板33をボルト及びナットにより固定している。
【0026】
上記油脂回収ボックス6にあっては、図1、5、11(a)、(b)に示す様に、内部に第2フィルター48を収容し、底板48の中央に下方開口部49を形成し、前面板50に開閉可能な第2フィルター48の取出口51を形成し、上記第2フィルター48は、基本的には、多数の通気孔を有した内外筒体の間に、油脂が内部浸透する多孔質で、粒径を1mm以上に揃えたセラミック製(無機質材料)の吸着材が充填され、上方開口部を閉塞するキャップを装着し、上記下方開口部49を取り囲む様に配置されている。
【0027】
上記上方ダクト45は、上端面の複数位置に、縦切込52と該縦切込52の下端より一側方へ連続形成された横切込53とからなる略L字型の切込54を有し、油脂回収ボックス6の底板48の下面に一体形成された下方連結筒体55の外周部で、上記上方ダクト45の切込54に対応する位置に嵌合ピン56を外方突設し、上記上方ダクト45を持ち上げて嵌合ピン56を切込54の縦切込52内に差し込み、次に上方ダクト45を回転させて、嵌合ピン56を横切込53内に移行させて、油脂回収ボックス6に対し上方ダクト45を吊り下げ状態で設置する。
【0028】
油脂回収ボックス6の上部に、連結配管Aを接続する上方連結筒体57を設け、該上方連結筒体57内に防火ダンパー58を配設している。
尚、上記上方連結筒体57は、筒部材59と該筒部材59の下端外周部に一体周設された鍔部60とを有し、油脂回収ボックス6の天板61の中央に設けた、鍔部60の外径より小径な上方開口部62に挿通させ、油脂回収ボックス6の天板61の上部に、内径が筒部材59の外径より若干大径で、外径が上方開口部62より大径なリング板63を配置し、該リング板63と上方連結筒体57の鍔部60とで油脂回収ボックス6の天板61を、ボルト及びナットの締結により挟着して、油脂回収ボックス6に対し上方連結筒体57を固定し、且つ油脂回収ボックス6に対する上方連結筒体57と上記連結配管Aとの施工誤差をある程度の範囲内で調節可能にしている。
【0029】
次に、本発明に係る厨房用下方吸引式排煙設備の作用について説明する。
先ず、固定配管(天井配管)(図示せず)に連結配管Aを配管し、該連結配管Aの下端に、第2フィルター48及び防火ダンパー58をセットした油脂回収ボックス6の上方連結筒体57を接続し、次に第1フィルター14をセットしたボックス1にダクト連結ボックス7を連結すると共に、該ダクト連結ボックス7の上方開口部37に収縮状態のダクト本体8における下方ダクト44の下端を差し込んで固定し、この状態のボックス1を加熱調理器具Wの後方に配置し、収縮状態のダクト本体8を伸長させて、上方ダクト45の上端を油脂回収ボックス6における下方連結筒体55に固定すると共に、下方ダクト44及び上方ダクト45の継目部にシールリング46を嵌めて、本発明に係る厨房用下方吸引式排煙設備を設置する。
【0030】
そして調理時に、排気ファン(図示せず)を稼働させると、調理面に近い吸引口3から立ち上ったばかりの油煙をボックス1内に吸引し、吸引された油煙中の比較的重い成分はボックス1内に落下し、その後第1フィルター14を通過する過程である程度の不純物を吸着除去し、次にダクト連結ボックス7を経てダクト本体8を通過する過程で、比較的重い灰塵等がダクト連結ボックス7内に落下し、次に油脂回収ボックス6内に流入した油煙は第2フィルター48を通過する過程で、残存する軽いオイルミストや灰塵を濾過除去し清浄な空気として連結配管A及びその下流の固定配管(天井配管)に流入するため、該固定配管(天井配管)内は油脂成分等が付着しないか、極めて少量に抑えることが可能になる。
【0031】
又、本発明に係る厨房用下方吸引式排煙設備は、外ボックス1a、内ボックス1b、トッププレート4、庇部24、第1フィルター14、ダクト連結ボックス7、下方ダクト44、上方ダクト45、シールリング46、油脂回収ボックス6、第2フィルター48及び防火ダンパー58に分解可能にすることで、小部品化して洗浄作業が簡易になる。
【符号の説明】
【0032】
1 ボックス
1a 外ボックス
1b 内ボックス
2 上方開口部
3 吸引口
4 トッププレート
5 連結ダクト
6 油脂回収ボックス
7 ダクト連結ボックス
8 ダクト本体
21 吸引ダクト
24 庇部
48 第2フィルター
A 連結配管
W 加熱調理器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器の後方に配置される横長状のボックスの上方開口部を、1枚又は複数枚のトッププレートで閉鎖し、該トッププレートの上部に、上記ボックスの長手方向に幅広い吸引ダクトを設け、該吸引ダクトは、先端に形成されたボックスの長手方向に幅広い吸引口を加熱調理器側の調理面に近接させる様に形成し、上記ボックスの一端に垂直な連結ダクトの下端を通気可能に接続し、該連結ダクトの上端を、フィルターを内蔵する油脂回収ボックスの下部に通気可能に接続し、該油脂回収ボックスの上部を、固定配管に連結された連結配管の下端に接続したことを特徴とする厨房用排煙ダクト。
【請求項2】
上記ボックスを、上方開口状の外ボックスと、該外ボックス内の上方部位に嵌挿された上下方開口状の内ボックスとを有し、該内ボックスの上方開口を上記ボックスの上方開口部とし、外ボックスに対する内ボックスの高さ位置を調整可能にしたことを特徴とする請求項1記載の厨房用排煙ダクト。
【請求項3】
吸引ダクトの上部に、吸引口より前方突出する庇部を進退自在に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の厨房用排煙ダクト。
【請求項4】
連結ダクトは、上記ボックスに一側部に通気可能に連結されるダクト連結ボックスと、該ダクト連結ボックスの上部に通気可能に接続されるダクト本体とで構成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の厨房用排煙ダクト。
【請求項5】
上記ダクト連結ボックスは、上記ボックスとは反対側の側方に別のボックスを通気可能に連結可能にしたことを特徴とする請求項4記載の厨房用排煙ダクト。
【請求項1】
加熱調理器の後方に配置される横長状のボックスの上方開口部を、1枚又は複数枚のトッププレートで閉鎖し、該トッププレートの上部に、上記ボックスの長手方向に幅広い吸引ダクトを設け、該吸引ダクトは、先端に形成されたボックスの長手方向に幅広い吸引口を加熱調理器側の調理面に近接させる様に形成し、上記ボックスの一端に垂直な連結ダクトの下端を通気可能に接続し、該連結ダクトの上端を、フィルターを内蔵する油脂回収ボックスの下部に通気可能に接続し、該油脂回収ボックスの上部を、固定配管に連結された連結配管の下端に接続したことを特徴とする厨房用排煙ダクト。
【請求項2】
上記ボックスを、上方開口状の外ボックスと、該外ボックス内の上方部位に嵌挿された上下方開口状の内ボックスとを有し、該内ボックスの上方開口を上記ボックスの上方開口部とし、外ボックスに対する内ボックスの高さ位置を調整可能にしたことを特徴とする請求項1記載の厨房用排煙ダクト。
【請求項3】
吸引ダクトの上部に、吸引口より前方突出する庇部を進退自在に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の厨房用排煙ダクト。
【請求項4】
連結ダクトは、上記ボックスに一側部に通気可能に連結されるダクト連結ボックスと、該ダクト連結ボックスの上部に通気可能に接続されるダクト本体とで構成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の厨房用排煙ダクト。
【請求項5】
上記ダクト連結ボックスは、上記ボックスとは反対側の側方に別のボックスを通気可能に連結可能にしたことを特徴とする請求項4記載の厨房用排煙ダクト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図9(c)】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図9(c)】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【公開番号】特開2012−149806(P2012−149806A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7929(P2011−7929)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(591031902)シンポ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(591031902)シンポ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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