説明

厨房装置

【課題】収納状態においてリモコンが人目につかず、外観が良好であり、外部に露出せず、汚れが生じない厨房装置を提供する。
【解決手段】開閉自在に設けられた前板21の上部に、上方に向かって開口した凹部を有するリモコン収納部27が設けられ、リモコン19がリモコン収納部に収納自在とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厨房装置の上方には、照明をはじめ、電動昇降式の吊戸棚やレンジフード等の各種電気機器が配設される。これらの電気機器は、リモコンによる手元操作が可能とされ、操作性が高められている。リモコンは、たとえば厨房装置に備えた収納部や引き出し等にしまわれ、必要なときに取り出して使われる。だが、リモコンについては、しまい忘れや紛失等の問題が常にあり、そこで、本出願人は、その問題を解決するために、レンジフード操作用リモコン発信装置を組み込んだ台所用キッチン装置をこれまでに提案している(特許文献1)。
【0003】
上記レンジフード操作用リモコン発信装置を組み込んだ台所用キッチン装置では、キャビネットの上部にガスレンジを組み込んだ場合に生じるガスレンジの側部の空所にホルダー部材を内装して取り付け、ホルダー部材にレンジフードを操作するリモコン発信装置を着脱自在に取り付けている。こうして、キャビネットの上部に組み込んだ場合に生じるガスレンジの側部の空所を有効利用しながら、リモコン発信装置の紛失を防止し、かつリモコン発信装置が邪魔にならないようにしている。
【特許文献1】特開2000−274761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その一方で、上記レンジフード操作用リモコン発信装置を組み込んだ台所用キッチン装置には、リモコン発信装置はキャビネットの表面部に取り付けられて収納されるので、見栄えが良好であるとはいいがたく、また、リモコン発信装置が、外部に露出しているので汚れやすいという改善点が見出される。
【0005】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、収納状態においてリモコンが人目につかず、外観が良好であり、外部に露出せず、汚れが生じない厨房装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の厨房装置は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
【0007】
第1に、開閉自在に設けられた前板の上部に、上方に向かって開口した凹部を有するリモコン収納部が設けられ、リモコンがリモコン収納部に収納自在とされている。
【0008】
第2に、上記において、前板はシンク下のスペースを開閉する。
【0009】
第3に、上記において、リモコン収納部の前面は前板と面一に配置され、リモコン収納部の後端部は前板の後方側に突出している。
【0010】
第4に、上記において、前板は下端に回動軸を有し、前後に回動して開閉する。
【0011】
第5に、上記において、リモコン収納部の後端部に水受け部が設けられている。
【0012】
第6に、上記において、リモコンの信号送信部は、前板を開けた状態において厨房装置の上方に配設された吊戸棚に向かうように、ハウジングに斜めに設けられている。
【発明の効果】
【0013】
上記第1の発明によれば、リモコンを開閉自在な前板の上部に設けられたリモコン収納部に収納することができ、収納時に前板を閉じればリモコンは露出せず、厨房装置内に置かれるので、収納状態においてリモコンは人目につかず、外観が良好となる。すっきりした外観となる。また、リモコンは汚れにくくなる。さらに、リモコンは、リモコン収納部から取り出すだけでなく、リモコン収納部に収めた状態においても前板を開ければ操作することができる。
【0014】
上記第2の発明によれば、上記の発明の効果に加え、厨房装置では通常使用しないシンク下のスペースをリモコン収納に利用することができ、シンク下のスペースを有効に利用することができる。
【0015】
上記第3の発明によれば、上記の発明の効果に加え、前板の厚さ分をリモコン収納に有効に利用することができ、リモコン収納部の厨房装置での収まりが良く、意匠性に優れる。また、リモコン収納部が厨房装置の前側に配置されるので、リモコンの操作がしやすい。
【0016】
上記第4の発明によれば、上記の効果に加え、前板の開閉を簡易な構造で実現することができる。
【0017】
上記第5の発明によれば、上記の効果に加え、前板を開いたときにカウンターの前端縁を伝って滴る水がシンク下のスペースに浸入するのを防止することができる。
【0018】
上記第6の発明によれば、上記の効果に加え、リモコンのリモコン収納部に収めた状態における通信性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の厨房装置の一実施形態を示した斜視図である。図2、図3は、それぞれ、図1に示した厨房装置におけるシンク下のスペースを手前側と奥側とから示した要部斜視図である。図4は、図1に示した厨房装置におけるリモコン収納部周辺を示した要部断面図である。
【0020】
厨房装置1は、図1に示したように、上端部に、横長のカウンター2を備えるとともに、カラン3が設けられたシンク4およびガスレンジ、電磁調理器等の加熱調理機器5を備えている。カウンター2の下部には、引き出し等の収納部6を備えている。また、図1に示した厨房装置1は、椅子7を備えてもおり、洗浄作業等を椅子7に座って行えるようにしている。椅子7は、シンク4の下の収納スペース8に収納することができ、収納状態では厨房装置1として一体感のある外観を形成する。
【0021】
厨房装置1の後部上方には吊戸棚9およびレンジフード10が設置されている。吊戸棚9は下方に開口する箱体11を備え、食器、調理用具等を収納する収納棚12が箱体11に対して昇降自在に配設されている。収納棚12は、下降時には、作業者の手の届く位置に配置され、シンク4で洗い、すすいだ後の食器、調理用具等を収納することができる。収納棚12に収納された食器、調理用具等は、収納棚12の上昇によって箱体11の内部にしまうことができる。収納棚12の昇降は電動式である。
【0022】
収納棚12には、洗いすすいだ後の水に濡れた食器、調理用具等をそのまま収納することができるように、高さ方向の中ほどに網棚13が収納棚12の左右の両側板14間に架設され、底部に排水部15が設けられている。排水部15は、上部に、上下に貫通する複数の孔16が格子状に配置された孔あきプレート17を有している。孔あきプレート17および網棚13に載せられた食器、調理用具等から滴る水は、孔あきプレート17の孔16を通じて排水部15に導かれる。排水部15には、前方への引き出しが自在とされた水受けトレー18が設けられている。水受けトレー18は上方に開口しており、排水部15の下方に移動する水を受け、一定量溜めることができるようになっている。水受けトレー18に溜まった水は、水受けトレー18を排水部15から引き出し、取り外すことによって、シンク4に排出することができる。
【0023】
また、吊戸棚9は、カウンター2を照らし出す照明を備えてもいる。
【0024】
レンジフード10は、加熱調理機器5の上方に設置されている。
【0025】
そして、厨房装置1は、吊戸棚9の収納棚12の電動昇降および照明を手元で操作するリモコン19を図2、図3および図4に示したシンク4下のスペース20に収納することができるようになっている。
【0026】
シンク4下のスペース20には、収納部6の前板と面一に配置される前板21が設けられ、下端においてヒンジ22を介して厨房装置1の駆体23に連結している。したがって、前板21は、ヒンジ22により形成される回動軸を有し、前後に回動してシンク4下のスペース20を開閉自在としている。前板21の開閉が簡易な構造により実現されている。
【0027】
また、前板21にはプッシュ式の開閉機構が採用されている。すなわち、図2および図3に示したように、ラッチ24、バネ25およびダンパー26が設けられている。ラッチ24は、前板21を後方へ押すことによりロックが解除されるようになっている。バネ25は、前板21を前方へ押し、開く方向に付勢している。ダンパー26は、バネ25の弾性力によって前板21が勢いよく開かないように前板21を閉じる方向に付勢し、緩衝している。したがって、前板21をわずかに後方へ押すと、ラッチ24のロックが解除され、バネ25の弾性力とダンパー26の緩衝力との差分の力を受けて前板21はゆっくりと前方へ回動して開く。一方、前板21を後方に押し戻し、ラッチ24をロックさせると、前板21は直立し、閉じる。このように、取っ手を取り付けなくとも前板21の開閉はスムーズに行われる。
【0028】
以上の前板21の上木口面上にリモコン収納部27が設けられている。リモコン収納部27は、前板21の横幅にわたって延び、図4に示したように、断面略コ字型形状の凹部27aと下端から下方に延設された垂直板部27bとを有する。リモコン収納部27を前板21の上木口面に載せ、前面を前板21の前面と面一に配置し、垂直板部27bを前板21の上端部裏面に当接させ、垂直板部27bに形成された孔28を通じてビス29を前板21にねじ込むことにより、リモコン収納部27が前板21に固定される。リモコン収納部27の後端部は前板21の後方側に突出する。リモコン収納部27は、前板21の厚さ分を有効に利用して前板21に取り付けられており、厨房装置1において収まりが良好であり、意匠性に優れている。また、リモコン19は、リモコン収納部27の凹部27aに横向きにして収納される。したがって、収納されたリモコン19は厨房装置1の前側に位置し、図2および図3に示したように、前板21の回動角度を余り大きくしなくともリモコン19を容易に取り出して使用し、また、リモコン収納部27に収納することができる。操作性に優れている。
【0029】
リモコン19の収納は、次のようにして行われている。リモコン収納部27の凹部27aには、前側裏面および左右両側裏面にリブ30が形成され、後端部にリブ30と同じ高さで段部31が形成されている。凹部27a内に、上端外周部に係合片32を有し、断面略コ字型形状でリモコン19のハウジング19aの外形形状に略等しい形状を有するホルダー33が、係合片32をリブ30および段部31に係合させて取り付けられる。そして、ホルダー33内にリモコン19が挿入され、ハウジング19aがホルダー33と係合してリモコン19がリモコン収納部27に横向きに収納される。
【0030】
なお、ホルダー33の内底面には上方に突出するリブ34が設けられ、リモコン19とホルダー33との間にわずかな隙間が形成されるようにしている。
【0031】
このように、図1〜図4に示した厨房装置1では、リモコン19を開閉自在な前板21の上部に設けられたリモコン収納部27にいわゆるカンガルーポケット式で収納することができ、収納時に前板21を閉じればリモコン19は露出せず、厨房装置1内に置かれるので、収納状態においてリモコン19は人目につかず、外観が良好となる。すっきりした外観となる。また、リモコン19は汚れにくくなる。しかも、厨房装置1では通常使用しないシンク4下のスペース20をリモコン19の収納に利用することができ、シンク4下のスペース20を有効に利用することができる。
【0032】
さらに、リモコン19は、リモコン収納部27から取り出すだけでなく、リモコン収納部27に収めた状態においても前板21を開ければ操作することができる。この場合、図5に示したように、リモコン19の信号送信部35が、前板21を開けた状態において、図1に示した厨房装置1の上方に配設された吊戸棚9に向かうように、基板36をハウジング19aに斜めに設けることができる。リモコン19のリモコン収納部27に収めた状態における通信性能が向上し、リモコン19をリモコン収納部27から取り外さずに、リモコン19に設けられた上下・照明・乾燥等のスイッチ37を押し、吊戸棚9の作動および停止ならびに照明の点灯および消灯を行うことができる。
【0033】
また、図1〜図4に示した厨房装置1では、リモコン収納部27の後端部の段部31から水平に延設され、後端部において上方に折れ曲がった水受け部38が設けられている。水受け部38は、図5に示したように、前板21が開いたときにカウンター2の前端縁付近に位置し、カウンター2の前端縁を伝って滴る水を受け、水がシンク4下のスペース20に浸入するのを防止する。受けた水は拭き取ることにより除去することができる。また、水受け部38で受けた水は、図4に示したリモコン収納部27の後端部の段部31近くに溜まる。ホルダー33の上端部39は係合片32より上方に位置するため、水がホルダー33の内部に浸入しにくくなっている。万一浸入したとしても、リモコン19は、ホルダー33の内底面のリブ34の上に載っており、リモコン19とホルダー33の内底面との間には隙間があるため、リモコン19が水濡れする危険性はほとんどない。
【0034】
なお、図1〜図5に示したように、前板21の横幅にわたって延びるリモコン収納部27の左右両端には端面カバー40が設けられている。端面カバー40は、隣接する収納部6との間の隙間を消失させて水や埃の浸入を防止するとともに、前板21を閉じる際に物を挟まないようにしている。
【0035】
また、図1〜図3に示した厨房装置1では、2個のリモコン19の収納が可能となっているが、リモコン収納部27で収納するリモコン19の数は特に制限はない。操作する電気機器の台数や厨房装置1の大きさ等に応じて適宜な数とすることができる。1個または3個以上も可能である。
【0036】
図6は、本発明の厨房装置の別の実施形態を示した要部断面図である。
【0037】
図6に示した厨房装置1において図1〜図5に示した厨房装置1と共通する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
図6に示した厨房装置1では、リモコン収納部27が前板21の上端裏面に配設されている。垂直板部27bは、リモコン収納部27の上端前面と同一平面上に配置されている。凹部27aには前後両端部に段部31が設けられ、ホルダー33の係合片32を受けることができるようにしている。このようなリモコン収納部27は、上端前面および垂直板部27bを前板21の上端部裏面に当接させ、前面上端が前板21の上木口面と面一となるように配置し、図4に示したようなビス29によって取り付けられる。ビス29による固定を可能とするために、リモコン収納部27の上端前面部および垂直板部27bには孔を形成しておく。
【0039】
このようにリモコン収納部27を前板21の上端部裏面に配設しても、リモコン19を開閉自在な前板21の上部に設けられたリモコン収納部27にいわゆるカンガルーポケット式で収納することができる。収納時に前板21を閉じればリモコン19は露出せず、厨房装置1内に置かれるので、収納状態においてリモコン19は人目につかず、外観が良好となる。すっきりした外観となる。また、リモコン19は汚れにくくなる。しかも、厨房装置1では通常使用しないシンク4下のスペース20をリモコン19の収納に利用することができ、シンク4下のスペース20を有効に利用することができる。
【0040】
一方、リモコン19を使用する際には、図7に示したように、図1〜5に示した厨房装置1に比べ、前板21の回動角度をやや大きめにしなければならないが、それでもリモコン19の使用は容易であり、特に問題はない。また、リモコン19は、リモコン収納部27から取り出すだけでなく、リモコン収納部27に収めた状態においても前板21を開ければ操作することができる。この場合、図5に示したリモコン19と同様に、リモコン19の信号送信部35が、前板21を開けた状態において、図1に示した厨房装置1の上方に配設された吊戸棚9に向かうように、基板36をハウジング19aに斜めに設けることができる。リモコン19のリモコン収納部27に収めた状態における通信性能が向上し、リモコン19をリモコン収納部27から取り外さずに、リモコン19に設けられた上下・照明・乾燥等のスイッチ37を押し、吊戸棚9の作動および停止ならびに照明の点灯および消灯を行うことができる。
【0041】
なお、本発明の厨房装置1のリモコン収納部27に収納するリモコン19は、吊戸棚9の収納棚12の昇降および照明の点灯・消灯を行うものばかりでなく、レンジフード10の作動・停止を行うものとすることもできる。レンジフード10用のリモコン19をリモコン収納部27に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の厨房装置の一実施形態を示した斜視図である。
【図2】図1に示した厨房装置におけるシンク下のスペースを手前側から示した要部斜視図である。
【図3】図1に示した厨房装置におけるシンク下のスペースを奥側から示した要部斜視図である。
【図4】図1に示した厨房装置におけるリモコン収納部周辺を示した要部断面図である。
【図5】図1に示した厨房装置においてリモコンを使用する際のリモコン収納部周辺を示した要部断面図である。
【図6】本発明の厨房装置の別の実施形態を示した要部断面図である。
【図7】図6に示した厨房装置においてリモコンを使用する際のリモコン収納部周辺を示した要部断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 厨房装置
9 吊戸棚
19 リモコン
19a ハウジング
20 シンク下のスペース
21 前板
27 リモコン収納部
27a 凹部
35 信号送信部
38 水受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在に設けられた前板の上部に、上方に向かって開口した凹部を有するリモコン収納部が設けられ、リモコンがリモコン収納部に収納自在とされていることを特徴とする厨房装置。
【請求項2】
前板はシンク下のスペースを開閉することを特徴とする請求項1に記載の厨房装置。
【請求項3】
リモコン収納部の前面は前板と面一に配置され、リモコン収納部の後端部は前板の後方側に突出していることを特徴とする請求項1または2に記載の厨房装置。
【請求項4】
前板は下端に回動軸を有し、前後に回動して開閉することを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の厨房装置。
【請求項5】
リモコン収納部の後端部に水受け部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載の厨房装置。
【請求項6】
リモコンの信号送信部は、前板を開けた状態において厨房装置の上方に配設された吊戸棚に向かうように、ハウジングに斜めに設けられていることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一項に記載の厨房装置。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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