説明

双方向無線通信のための光ネットワーク

【課題】アップリンクへのパワー損失の発生を抑制することができる遠隔アンテナユニットを含む光ネットワークを提供する。
【解決手段】本発明は、双方向通信のための光ネットワークであって、下り光信号を生成し、上り光信号を検出する基地局と、下り光信号を送信し、受信した上り無線信号を上り光信号に変換して基地局に出力するための遠隔アンテナユニットと、を備え、遠隔アンテナユニットは、下り光信号を下り無線信号に変換するための光検出器と、下り無線信号を外部に無線送信し、上り無線信号を受信するアンテナと、上り無線信号を上り光信号に変換して基地局に出力するための半導体光増幅器と、複数のポートを備え、ポートがアンテナと光検出器と半導体光増幅器とにそれぞれ接続する循環装置とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワークに関して、特に、無線信号を中継するための双方向光ネットワークに関するものである
【背景技術】
【0002】
無線信号を中継するための従来の光ネットワークは、ROF(Radio of Fiber)と呼ばれる。ROF方式の光ネットワークは、無線信号を光信号に変換して光ファイバーなどを通じて送受信する光通信網と無線網とが結合した形態である。
【0003】
上述したような光ネットワークは、下り伝送する信号を下り(downlink)光信号の形態で出力し、受信した上り(uplink)光信号からデータを検出する基地局と、この基地局と接続する遠隔アンテナユニットと、を含む。
【0004】
遠隔アンテナユニットは、下り光信号を下り無線信号に変換して無線伝送し、受信した上り無線信号を上り光信号に変換して基地局に出力する。
【0005】
図1は、従来技術による無線信号を中継するための光ネットワークを示す図である。図1を参照すれば、従来の光ネットワーク100は、下り光信号を生成し、上り光信号を検出する基地局140と、この基地局140に光ファイバーを通じて接続する遠隔アンテナユニット110と、を含む。
【0006】
基地局140は、下り光信号を生成する光送信器120と、遠隔アンテナユニット110で出力された上り光信号からデータを検出するための光受信器130と、を含む。
【0007】
遠隔アンテナユニット110は、電界吸収型光変調器(Electro-Absorption Modulator:以下、“EAM”とする)111と、アンテナ112とを含む。電界吸収型光変調器111は、下り光信号を下り無線信号に変換してアンテナ112に出力する。アンテナ112は、下り無線信号を外部に無線伝送し、外部から上り無線信号を受信して電界吸収型光変調器111に出力する。
【0008】
電界吸収型光変調器111は、上り無線信号を上り光信号に変換させて基地局140に出力する。電界吸収型光変調器111は、アップリンクでは光受信器として機能し、ダウンリンクでは光送信器として機能する。
【0009】
図2は、従来技術による無線信号を中継するための光ネットワークを示す図である。図2を参照すれば、従来の光ネットワーク200は、下り光信号を生成し、上り光信号を検出する基地局240と、この基地局240に第1及び第2の光ファイバーを通じて接続される遠隔アンテナユニット210と、を含む。
【0010】
基地局240は、下り光信号を生成する光送信器220と、遠隔アンテナユニット210で出力された上り光信号からデータを検出するための光受信器230と、を含む。
【0011】
遠隔アンテナユニット210は、電界吸収型光変調器212と、アンテナ211と、半導体光増幅器213と、を含む。アンテナ211は、下り無線信号を外部に無線伝送し、外部から上り無線信号を受信して電界吸収型光変調器212に出力する。
【0012】
電界吸収型光変調器212は、下り光信号を下り無線信号に変換してアンテナ211に出力する。アンテナ211は、下り無線信号を外部に無線伝送する。また、アンテナ211は、外部から受信された上り無線信号を上り光信号に変換し、半導体光増幅器213にこの上り光信号を出力する。電界吸収型光変調器212は、アンテナ211と半導体光増幅器213とに接続し、上り無線信号を上り光信号に変換するだけでなく、下り光信号を下り無線信号に変換する。
【0013】
半導体光増幅器213は、電界吸収型光変調器212で変換された上り光信号を増幅して基地局240に出力する。
【0014】
上述したように、電界吸収型光変調器は、光信号から電気信号に変換する役割と電気信号から光信号に変換する役割とを遂行する。しかしながら、電気信号から光信号に変換する際には、その受信効率が低下するという問題点があった。すなわち、電界吸収型光変調器を用いてアップリンク及びダウンリンクの光信号をすべて処理することによって、特に、アップリンクへのパワーマージンの確保が容易でないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明の目的は、アップリンクへのパワー損失の発生を抑制することができる遠隔アンテナユニットとそれを含む光ネットワークを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために本発明は、双方向通信のための光ネットワークであって、下り光信号を生成し、上り光信号を検出する基地局と、下り光信号を下り無線信号に変換して送信し、受信した上り無線信号を上り光信号に変換して基地局に出力するための遠隔アンテナユニットとを備え、遠隔アンテナユニットは、下り光信号を下り無線信号に変換するための光検出器と、下り無線信号を外部に無線送信し、上り無線信号を受信するアンテナと、上り無線信号を上り光信号に変換して基地局に出力するための半導体光増幅器と、少なくとも3つのポートを備えており、ポートがアンテナと光検出器と半導体光増幅器とにそれぞれ接続する循環装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明による無線通信のための光ネットワークにおいて、遠隔アンテナユニットは、フォトダイオードを光検出に使用し、半導体光増幅器を光送信及び光増幅に使用する。これによって、無線通信のための光ネットワークにおいて、アップリンクへの光信号のパワーマージンを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。以下に、本発明に関連した公知の機能又は構成に関する具体的な説明が、本発明の要旨を不明確にすると判断された場合には、その詳細な説明を省略する。
【0019】
図3は、本発明の望ましい実施形態による双方向無線中継のための光ネットワークを示す図である。図3を参照すれば、本実施形態による光ネットワーク300は、下り光信号を生成し、上り光信号を検出する基地局320と、下り無線信号を送信し、上り無線信号を外部から受信する遠隔アンテナユニット310と、を含む。この遠隔アンテナユニット310は、受信した上り無線信号を上り光信号に変換して基地局320に出力する。光ネットワーク300は、遠隔アンテナユニット310と基地局320とを接続するための光ファイバー1(第1の光ファイバー)及び光ファイバー2(第2の光ファイバー)をさらに含む。
【0020】
基地局320は、下り光信号を生成するための光送信器321と、この上り光信号を検出するための光受信器322と、を含む。光送信器321は、光ファイバー1を通じて遠隔アンテナユニット310と接続し、光受信器322は光ファイバー2を通じて半導体光増幅器313と接続する。
【0021】
基地局320は、前もって変調された電気信号から高周波電気信号形態の下り無線信号を生成する。このようにして、光送信器321は、生成された下り無線信号を下り光信号に変換する。
【0022】
下り光信号は、光ファイバー1を通じて遠隔アンテナユニット310に伝送され、上り光信号は、光ファイバー2を通じて遠隔アンテナユニット310から基地局320に伝送される。
【0023】
遠隔アンテナユニット310は、下り光信号を下り無線信号に変換するための光検出器312と、アンテナ311と、半導体光増幅器313と、第1〜第3ポートを有する循環装置314と、を含む。
【0024】
光検出器312は、光ファイバー1を通じて基地局320と接続し、光ファイバー1を通じて入力された下り光信号を下り無線信号に変換してアンテナ311に出力する。光検出器312は、例えば、平面導波路(planar waveguide)型のフォトダイオード又は進行導波路(travelling waveguide)型のフォトダイオードを含む。
【0025】
アンテナ311は、下り無線信号を外部に無線送信する。また、アンテナ311は、外部から上り無線信号を受信して半導体光増幅器313に出力する。
【0026】
半導体光増幅器313は、光ファイバー2を通じて光受信器322と接続することで、上り無線信号を上り光信号に変換して基地局320に出力する。
【0027】
循環装置314は、アンテナ311と接続した第1のポートを通じて上り無線信号を受信し、半導体光増幅器313と接続した第2のポートにこの上り無線信号を出力する。また、循環装置314は、光検出器312と接続した第3のポートを通じて下り無線信号を受信して第1のポートに出力する。循環装置314は、例えば、サーキュレータ又は超高周波信号結合器(ultra high frequency combiner)などを含む。
【0028】
遠隔アンテナユニット310は、無線送信機能を備える無線装置を有する。この無線装置は、アンテナ311を通じて半導体光増幅器313に入力される上り無線信号を生成することができる。
【0029】
本実施形態による遠隔アンテナユニット310は、FDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)方式又はTDD(Time Division Duplex:時分割複信)方式が使用可能である。FDD方式は、相互に異なる周波数を有する下り無線信号及び上り無線信号を使用する方式である。TDD方式は、同一の周波数を使用する代わりに時間的に上り及び下り無線信号が区別可能な方式である。
【0030】
上述したFDD方式は、下り無線信号から変換された下り光信号を上り光信号に変換するために、基地局320に電気的なフィルターをさらに備えることによって、上り光信号と下り光信号とが混在した信号から上り光信号のみを取り出すことができる。
【0031】
また、TTD方式は、上り及び下り無線信号が相互に異なる時間帯に伝送されるため、上り無線信号が半導体光増幅器で上り光信号に変換される間には上り無線信号の検出が容易である。
【0032】
アンテナ311を通じて受信された上り無線信号は、半導体光増幅器313に至る前に、電気増幅器のような様々な電気素子によって増幅され、或いは、必要に応じて変形ができる。
【0033】
光検出器312として使用可能な平面光導波路型のフォトダイオードは、半導体光増幅器313と、一つのチップ又は基板に集積することができる。
【0034】
遠隔アンテナユニット310で変換された上り光信号は、半導体光増幅器313で増幅された後に、基地局320に伝送される。したがって、アップリンクも十分なパワーマージンを確保することができる。
【0035】
上り光信号は、光受信器322で電気信号に変換された後に、電気的フィルターなどを通じて必要とする信号のみを分離する。以後、ミキサーを通じてダウンコンバージョンされてデータを取り出すようになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来技術による無線信号を中継するための光ネットワークを示す図である。
【図2】従来技術による無線信号を中継するための光ネットワークを示す図である。
【図3】本発明の望ましい実施形態による双方向無線中継のための光ネットワークを示す図である。 ・
【符号の説明】
【0037】
300:光ネットワーク
310:遠隔アンテナユニット
311:アンテナ
312:光検出器
313:半導体光増幅器
314:循環装置
320:基地局
321:光送信器
322:光受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下り光信号を生成し、上り光信号を検出する基地局と、
前記下り光信号を下り無線信号に変換して送信し、受信した上り無線信号を前記上り光信号に変換して前記基地局に出力するための遠隔アンテナユニットと、
を備え、
前記遠隔アンテナユニットは、
前記下り光信号を下り無線信号に変換するための光検出器と、
前記下り無線信号を外部に無線送信するとともに、前記上り無線信号を受信するアンテナと、
前記上り無線信号を上り光信号に変換して前記基地局に出力するための半導体光増幅器と、
複数のポートを備えており、前記ポートが前記アンテナと前記光検出器と前記半導体光増幅器とにそれぞれ接続する循環装置と、を備える、
ことを特徴とする双方向無線通信のための光ネットワーク。
【請求項2】
前記循環装置は、
前記アンテナと接続した第1のポートを通じて入力する前記上り無線信号を前記半導体光増幅器と接続した第2のポートに出力し、前記光検出器と接続した第3のポートに入力する前記下り無線信号を前記第1のポートに出力するためのサーキュレータであることを特徴とする請求項1記載の双方向無線通信のための光ネットワーク。
【請求項3】
前記循環装置は、超高周波信号結合器であることを特徴とする請求項1記載の双方向無線通信のための光ネットワーク。
【請求項4】
前記光検出器は、平面導波路型のフォトダイオードであることを特徴とする請求項1記載の双方向無線通信のための光ネットワーク。
【請求項5】
前記光検出器は、進行導波路型のフォトダイオードを含むことを特徴とする請求項1記載の双方向無線通信のための光ネットワーク。
【請求項6】
前記遠隔アンテナユニットは、周波数分割複信方式又は時分割複信方式を使用することを特徴とする請求項1記載の双方向無線通信のための光ネットワーク。
【請求項7】
前記光検出器は、平面導波路型のフォトダイオードを備え、前記半導体光増幅器と単一のチップ又は基板に集積されることを特徴とする請求項1記載の双方向無線通信のための光ネットワーク。
【請求項8】
前記基地局は、前記下り光信号を生成するための光送信器と、上り光信号を検出するための光受信器と、を備えることを特徴とする請求項1記載の双方向無線通信のための光ネットワーク。
【請求項9】
前記光受信器は、前記上り光信号を電気信号に変換した後に、必要な信号のみを分離することを特徴とする請求項8記載の双方向無線通信のための光ネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−148904(P2006−148904A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327909(P2005−327909)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】