説明

反射板及び反射フレーム

【課題】位置検出装置からの照明光が反射面に入射する際の入射角が大きくなる場合があり、その場合、プリズム構造を採用する反射面では再帰反射率が低下し、誤検出の原因となる。
【解決手段】光学式の位置検出装置から入射した照明光を入射方向へ再帰反射する反射面を有する反射板に、幅方向に同一の断面三角形状を有する凹凸パターンが、反射板の長手方向に連続的に出現する表面構造と、凹凸パターンの少なくとも一方の斜面に反射ビーズを均一に配置した再帰反射層とを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式位置検出装置と共に使用される反射板及び当該反射板を反射面に有する反射フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子黒板(IWB:Interactive White Board)の採用が進められている。IWBは、指や電子ペン等を入力物体として使用し、黒板に文字等をチョークで描画するのと同様の結果を画面上に表示させることができる。また、IWBは、入力物体による操作入力をマウス入力として検出することもできる。
【0003】
IWBは、表示装置と座標入力装置の組み合わせにより構成される。入力物体には、例えば指、スタイラスペン、電子ペン等が用いられる。表示装置には、PDP(Plasma Display Panel)、LCD(Liquid Crystal Display)、プロジェクター等が用いられる。座標入力装置には、例えばタブレット式、タッチパネル式、電磁誘導式、超音波式、光学式等の位置検出装置が用いられる。なお、いずれの座標入力装置の場合でも、入力物体の座標計算には、コンピュータ等の演算装置が用いられる。
【0004】
本明細書では、入力物体の像をイメージセンサによって撮像する光学式の位置検出技術を採用する座標入力装置について着目する。イメージセンサを採用する座標入力装置は、描画応答性の良さ、赤外線、太陽光線、温度変化等の外部ノイズに対する耐性の強さから採用数が年々増加している。
【0005】
イメージセンサを利用する座標入力装置を採用する電子黒板に関する特許には、特許文献1及び2がある。この種の座標入力装置は、位置検出装置と再帰性の反射板との組み合わせで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3931030号公報
【特許文献2】特許第3986710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種の位置検出装置は、イメージセンサ、光源ユニット、制御基板(演算装置)で構成される。イメージセンサは、位置検出面の周囲に取り付けられる。イメージセンサを2つ以上設置することにより、位置検出面上の入力物体を複数の視点位置より撮像することができる。制御基板は、これら複数のイメージセンサから撮像画像を入力し、三角測量の原理により入力物体の位置を計算する。
【0008】
光源ユニットは、LED等の複数の光源の集合体として構成され、各イメージセンサの近傍位置に配置される。各LEDは、位置検出面を取り囲むように配置された再帰性の反射板に光線を照射する。ここで、再帰性の反射板には、プリズム構造等の再帰反射性を有する微小構造体を表面に配置した反射テープが一般に使用される。LEDから照射された光線は、再帰性を有する反射テープにより入射方向と同じ方向に反射される。イメージセンサは、この反射光を受光する。すなわち、反射テープの全長を撮像する。なお、位置検出面に入力物体が接近すると、入力物体が照射光を遮断する。この遮光は、撮像画像上の影として検出される。
【0009】
制御基板(演算装置)は、複数の撮像画像に出現した影の位置を基に、位置検出面上における入力物体の位置を算出する。
【0010】
ところで、従来型の位置検出装置は、イメージセンサの撮像範囲内に反射テープの全長を収めるために受光面にレンズを設置するのが一般的である。これは、イメージセンサを構成する個々の受光素子の撮像角が数ミリ〜10数ミリ角程度の大きさしかないためである。なお、レンズもそれに見合った大きさとする必要がある。以前は、小さいサイズの広角レンズが存在しなかった。このため、位置検出装置用の撮像レンズには、入手が容易である、画角が90度程度のものを用いることが多かった。
【0011】
このため、イメージセンサを、検出面の左右両端に設置する必要があった。実際、左上隅に設置されたイメージセンサは、検出面の右辺及び下辺に設置された反射テープ面を撮像することができるが、左辺の反射テープ面は画角外となるため撮像することができなかった。同様に、右上隅に設置されたイメージセンサは、検出面の左辺及び下辺に設置された反射テープ面を撮像することができるが、右辺の反射テープ面は画角外となるため撮像することができなかった。
【0012】
ところが、従来装置の場合、検出面の面積が大きくなると、左上隅に設置されるイメージセンサと右上隅に設置されるイメージセンサの間の距離が大きくなる。このため、位置検出装置(2つのイメージセンサ、2つの光源ユニット、制御基板(演算装置))の筺体サイズが大型化する問題があった。また、検出面の大きさに応じて、専用の位置検出装置を用意する必要があった。
【0013】
この技術的課題を解決するため、本願出願人は、位置検出面の大きさによらない位置検出装置を提案している(特願2010−125813号)。すなわち、位置検出装置の水平方向長が、位置検出面の水平方向サイズに対して短く済む位置検出装置を提案している。
【0014】
この位置検出装置の実現により、1つの位置検出装置を任意の検出面サイズの座標入力装置に使用することが可能になった。ところが、反射テープ面を構成するプリズム構造(3面体プリズム素子を配置した構造)は、再帰反射可能な入射角条件が比較的厳しいという問題がある。特に、位置検出面に向かって左右両側の下端付近は、照明光の入射角が再帰範囲可能な範囲を超える可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる技術的課題を鋭意検討した結果、発明者らは、光学式の位置検出装置から入射した照明光を入射方向へ再帰反射する反射面を有する反射板として、以下に示す構造を有するものを発明した。
(1) 幅方向に同一の断面三角形状を有する凹凸パターンが、反射板の長手方向に連続的に出現する表面構造
(2) 凹凸パターンの少なくとも一方の斜面に反射ビーズを均一に配置した再帰反射層
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、従来構成に比して安価でありながら、再帰反射可能な設置条件が緩やかな反射板を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電子黒板システムを構成する反射フレームと反射面の一部分を説明する図。
【図2】反射フレームを構成する反射板の拡大断面図(凸形状型)。
【図3】反射フレームを構成する反射板の拡大斜視図。
【図4】露出(オープン)レンズ型の再帰反射テープの構造例を示す図。
【図5】封入(クローズド)レンズ型の再帰反射テープの構造例を示す図。
【図6】カプセルレンズ型の再帰反射テープの構造例を示す図。
【図7】反射面の構造と入射角の関係を説明する図。
【図8】反射フレームを構成する反射板の拡大断面図(凹形状型)。
【図9】反射フレームを構成する反射板の拡大断面図(他の形状)。
【図10】反射フレームを構成する反射板の拡大断面図(他の形状)。
【図11】反射板の配置構造例を説明する図。
【図12】電子黒板システムの他の構成例を示す図。
【図13】撮像ユニットの構造例を示す図。
【図14】図12に示すシステムで使用する位置検出装置の位置検出方法を説明する図。
【図15】電子黒板システムの構成例を示す図。
【図16】ユニット型反射板の壁面への取付例を説明する図。
【図17】ユニット型反射板の背面構造例を示す図。
【図18】反射板ユニットの組み合わせによる位置検出面の構成例を示す図。
【図19】反射面長の調整機構を有するユニット型反射板の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明に係る反射板及び反射フレームの形態例を説明する。なお、以下に説明する形態例は発明の説明のみに用いるものであり、発明の実施に際しては、周知若しくは公知の技術や機能を組み合わせた様々な形態が考えられる。
【0019】
<形態例1>
(反射面の構造)
図1に、電子黒板システムに用いて好適な反射フレーム1と、その反射面11の断面構造例を示す。この形態例の場合、後述する反射板を枠体に取り付けた構造体を反射フレームと呼ぶ。図1は、利用者側から見た図を表している。また、位置検出面は、紙面と平行とする。反射フレーム1は、位置検出面の左辺、下辺及び右辺に配置される。図1は、左辺と下辺の反射フレーム1のみを表している。不図示の位置検出装置(照明光源、イメージセンサ及び座標演算装置で構成される。詳細については後述する。)は、位置検出面の上辺に配置されている。
【0020】
図1に示すように、本形態例に係る反射フレーム1の反射面11は、長手方向に沿って連続する凹凸パターンの表面に形成される。図2及び図3に、反射面11を構成する反射板12の部分拡大図を示す。図2は、位置検出面に対して垂直の方向(図1の場合、紙面に垂直の方向)から反射面11を見た場合の断面構造を表している。図3は、反射面11を斜め上方から見た図である。
【0021】
図2及び図3に示すように、反射板12は、平坦なベース層(面)13の表面に断面正三角形状の三角柱(凸パターン14)を一列に配置した構造を有している。この明細書の場合、反射面11(又は「再帰反射層」)が形成される下地形状を反射板12の表面構造という。この形態例の場合、正三角形の高さは約1mmとする。因みに、この場合、一辺は約1.15mmとなる。勿論、正三角形の寸法は一例であり、高さが1mm近傍であれば、一般に良好な再帰反射特性が得られる。
【0022】
凸パターン14の各斜辺(以下、凸パターン14のうちベース層13と接する辺を底辺と呼ぶ。)には、微小なガラスビーズ15が均一に配置される。すなわち、反射ビーズとして機能するガラスビーズ15は、凸パターン14の斜面全体に配置される。ガラスビーズ15は、プリズム構造と同様に再帰反射材として知られ、その構造がプリズム構造に比して単純である。このため、本形態例の反射板12は、微小なプリズム構造を一面に配置した反射面を使用する場合に比して構造が単純となり、安価に製造することができる。
【0023】
この形態例の場合、ガラスビーズ15の直径は約70μmとする。勿論、ガラスビーズ15の直径はこれに限られるものではなく、より小さくても、より大きくても構わない。例えば直径は、60μmから80μmでも良い。なお、直径の測定には、例えば遠心沈殿法、レーザ解析法、電気的検知体法等を使用する。
【0024】
図2の場合、凸パターン14の表面にガラスビーズ15が直接配置されるかのように表現しているが、実際には、ガラスビーズ15を均一に配置した再帰反射テープを、凸パターン14の斜面に貼り付ける構造を採用しても良い。この他、ガラスビーズ15を接着性の樹脂を介して凸パターン14の表面に塗布又は付着させた構造を採用しても良い。なお、ガラスビーズ15は、下地となる平面に対して47°の入射角までは再帰強度があまり変化しない特性を有している。一方、プリズム構造の場合、その再帰反射可能な入射角(プリズム構造の配列面に対する入射角)は、ガラスビーズ15よりも狭い。
【0025】
図4〜図6に、ガラスビーズ15を再帰反射層に使用する再帰反射テープの構造例を例示する。図4は、露出型又はオープン型と呼ばれる再帰反射テープに対応する。この場合、その下面に半球面状の反射膜16を配置したガラスビーズ15が合成樹脂層17の表面に配置される。
【0026】
図5は、封入型又はクローズド型と呼ばれる再帰反射テープに対応する。この場合、ガラスビーズ15の表面は、トップフィルムと呼ばれる保護膜18で覆われている。この構造は、汚れや水滴が付着した場合の反射性能の低下が露出型よりも小さい特性がある。なお、図5には、合成樹脂層17の下層としての接着層19と、その保護膜である剥離紙20も表している。
【0027】
図6は、カプセルレンズ型と呼ばれる再帰反射テープに対応する。この構造は、封入型の改善形である。具体的には、ガラスビーズ15と保護膜18の間に空気層21を設けた点を特徴とする。なお、保護膜18を支えるための支柱22が適当な間隔で配置される。この構造の場合、反射光の輝度が封入型よりも高くなる。
【0028】
(反射面の角度と入射角の関係)
続いて、反射面の角度と入射角の関係を説明する。なお、一般に、入射光量が同じ場合、再帰反射光量は、入射角度が小さいほど大きくなる傾向がある。
【0029】
図7の(A)は、従来システムで採用されている反射面の下地構造を示している。この場合、下地面に対する入射角はθ1となる。本図に示す入射関係は、電子黒板システムの左右両側の下端付近に現われ易い。このように入射角θ1が大きい場合、プリズム構造の再帰反射面は、入射光を十分大きい輝度で反射することができなくなる。
【0030】
図7の(B)は、本形態例における照明光の入射角θ2を表している。すなわち、反射面の下地となる凸パターン14の断面が正三角形の場合の入射角θ2を表している。なお、光源からの照明光の射出角は図7の(A)と(B)で同じである。図7の(B)に示すように、反射面11の下地を正三角形に加工する場合、同じ角度で照明光が射出される場合でも反射面11に対する入射角は非常に小さくなる。その理由は、反射面が照明光の入射方向に立ち上がるためである。
【0031】
本形態例のように、断面形状が正三角形の場合、入射角θ1がほぼ90°の場合でも、入射角θ2は30°までにしかならない。一方、入射角θ1がほぼ0°の場合でも、入射角θ2は30°までにしかならない。このように、凸パターン14の断面形状が正三角形の場合、入射角θ2の最大値は30°となる。本形態例に係る反射面構造の採用により、反射板12の取り付け可能な範囲の制限をほぼ無くすことができる。
【0032】
ただし、入射角θ1が大きくなると、光源寄りの凸パターン14が光源より遠い側の凸パターン14に対する照明光の入射を遮るようになる。すなわち、影が発生するようになる。このため、凸パターン14の高さは低いほうが望ましい。ただし、当然ながら高さが低くなると正三角形の一辺長も短くなる。すなわち、凸パターン14のサイズが小さくなる。一方で、凸パターン14のサイズが小さくなると、凸パターン14の加工精度、再帰反射テープの膜厚の影響、テープ強度の低下が無視できなくなる。このため、本形態例においては、凸パターン14の高さを約1mmとしている。なお、凸パターン14の高さは、0.5mmから1.2mmが好ましく、例えば0.8mm、0.9mmでも良い。
【0033】
(反射面に用いて好適な他の形状)
図7の(B)に示す入射角θ2は、凸パターン14以外でも実現することができる。図7の(C)に、正三角形の断面構造(溝構造)を有する凹パターン23の表面に反射面11を形成する場合について説明する。この場合、照明光は、光源から遠い側の斜面に入射することを除き、図7の(B)に示す構造と同じ入射角θ3(=θ2)が得られる。以上の関係から、反射面の下地構造は、凸パターンに限らず、凹パターンでも良いことが分かる。従って、図8に示すように、ベース層13の表面に凹パターン23を連続的に形成した反射板12を用いても良い。
【0034】
この他、反射面11の表面形状は、図9に示すように、その断面が直角二等辺三角形状でも良い。この形状は、断面が正三角形の場合に比して凸パターン14の高さを低くできるため、影の発生を小さくすることができる。また、直角二等辺三角形は、前述した正三角形と同じく左右対称形状である。このため、照明光の光源が図中の左右のいずれに位置する場合でも、左右両辺について同じ再帰反射性能を実現できる。反射面11が形成される下地の断面形状が左右対称型の場合、反射フレーム1への取り付け方向を問わないため、製造コストを低下させることができる。
【0035】
この反対に、反射面11に対する光源位置が事前に定まっている場合には、図10の(A)及び(B)に示すように、光源と対面する側の斜面長を反対側の斜面長より長くしても良い。因みに、図10の(A)は凸パターン型の例であり、図10の(B)は凹パターン型の例である。この場合、パターンの高さ(深さ)を低くでき(浅くでき)、影の影響を小さくすることができる。勿論、前述の構造例と同様、反射面11には微小なガラスビーズ15を均一に配置する。なお、本例のように、照明光の入射方向が予め分かっている場合には、照明光が入射される斜面側にのみガラスビーズ15を配置する構成としても良い。他の構造例の場合にも同様である。
【0036】
(まとめ)
以上説明したように、形態例に係る反射板12においては、その表面を幅方向に同一形状を有する凹凸パターンの繰り返し形状とすると共に、その再帰反射材にガラスビーズ15を採用する。この構成の採用により、反射板12の設置面に対する入射角θ1が大きくなる場合でも、従来に比して良好な再帰反射性能を維持することができる。
【0037】
<形態例2>
ここでは、形態例1で説明した反射板12の電子黒板システムへの使用例を説明する。
【0038】
図11の(A)は、位置検出面31の上辺中央付近に位置検出装置32を配置した場合における反射板12の取り付け例を示している。図11の(A)の場合、位置検出面31の左辺、右辺、下辺の3辺に反射板12が取り付けられる。なお、反射板12は、図1に示すように、断面三角形状の凹凸パターンが各辺の延長方向に連続して出現するように配置される。この場合、プリズム構造では位置検出精度が低下することがあった左右両側の下部付近の位置検出精度を向上させることが可能になる。
【0039】
図11の(A)に示すように、一般に、左右両側の下部において入射角θ1が大きくなり、位置検出誤差が発生するようになる。一方、位置検出面31の下辺に対する入射角θ1は、位置検出誤差が発生するほど大きくはならない。従って、図11の(B)に示すように、左右両辺についてのみ断面三角形状に加工された凹凸パターン面にガラスビーズ15を配置した反射板12を使用し、下辺についてはプリズム構造の反射板33を使用しても良い。
【0040】
<形態例3>
以下、前述した反射板12を使用した電子黒板システムの構成例を説明する。
【0041】
(電子黒板システム1)
図12に、電子黒板システムの基本構成を示す。図12に示す基本構成は、後述する他の電子黒板システムにおいても共通する。電子黒板システム100は、座標入力装置101、指示物体102、演算装置105、表示装置106で構成される。
【0042】
座標入力装置101は、位置検出装置103と反射フレーム104で構成される。反射フレーム104は、図1の反射フレーム1に対応し、その反射面は前述した反射板12によって形成されている。この形態例の場合、位置検出装置103は不図示の枠体に固定されている。反射フレーム104は位置検出面の右辺、左辺、下辺の外縁を規定する。
【0043】
位置検出装置103は、制御デバイス111と、撮像ユニット(左)112と、撮像ユニット(右)113とを有している。図13に、撮像ユニット112及び113の内部構造例を示す。図13に示すように、撮像ユニットは、イメージセンサ121と複数個のLED122で構成される。LED122は、照射方向が広角になるように複数配置されている。この形態例の場合、LED122は、赤外線光源である。イメージセンサ121には、CCDセンサ、CMOSセンサその他の撮像素子が用いられる。イメージセンサ121は、反射板12の反射面で再帰反射された赤外光を受光し、反射面に対応する画像を撮像する。
【0044】
なお、撮像ユニット112及び113の画角は、図14の上図に示すように約180度である。従って、撮像ユニット(左)112は、位置検出面の左辺、下辺及び右辺を規定する反射フレーム104の各反射面を撮像することができる。一方の撮像ユニット(右)113の画角も約180度である。従って、撮像ユニット(右)113も、位置検出面の右辺、下辺、左辺を規定する反射フレーム104の各反射面を撮像することができる。撮像ユニットの取り付け位置と撮像画面の関係を図14の下図に示す。図14に示すように、撮像画面には赤外線を遮光する指示物体102(この場合は、先が円錐形状のペン)が影として撮像される。なお、指示物体102は、指や棒でも良い。
【0045】
この形態例の場合、画角の一例として180度を挙げているが、例えば160度以上でも良いし、その他の画角でも良い。いずれにしても、撮像ユニット112及び113は、それぞれの取り付け位置に対して左右両方向を撮像範囲に含み、2つの撮像範囲が重複する領域部分を位置検出面として使用する。なお、三角測量が可能であれば、例えば180度を超える画角を有していても良い。
【0046】
図12の説明に戻る。制御デバイス111は、撮像ユニット112及び113の撮像画像に出現した影の位置に基づいて指示物体102の位置座標(X,Y)を計算する。ここで、制御デバイス111は、三角測量の原理に基づいて位置座標を計算する。なお、座標原点は、位置検出面の左上隅とする。計算された位置座標(X,Y)は、コンピュータその他の演算装置105に座標情報として送信される。
【0047】
演算装置105は、受信した座標情報に基づいて、描画情報(文字、線、図形等)を生成し、表示装置106に出力する。表示装置106は、図12に示すようにプロジェクターを用いても良いし、PDPやLCD等のフラットディスプレイを用いることも可能である。
【0048】
(電子黒板システム2)
前述の形態例では、位置検出装置103の水平方向の長さが、位置検出面の水平方向の一辺長より短い場合を想定した。すなわち、撮像ユニット112及び112が、位置検出面の左右両端より内側に位置する場合について説明した。しかし、図15に示すように、撮像ユニット112及び113が、位置検出面の左右両端に位置しても良い。
【0049】
この配置の場合、撮像ユニット112及び113の撮像範囲はいずれも約90度で良い。従って、撮像ユニット(左)112は、位置検出面の下辺及び右辺を規定する反射フレーム104の各反射面を撮像する。一方、撮像ユニット(右)112は、位置検出面の左辺及び下辺を規定する反射フレーム104の各反射面を撮像する。
【0050】
(電子黒板システム3)
前述した2つの電子黒板システムは、いずれも反射フレーム104が位置検出面に対して固定的に設置される場合を想定する。ここでは、反射板12をユニット化することにより、利用者自身が、位置検出面のサイズを自由に変更できるタイプの電子黒板システムについて説明する。ここで、反射面12の長さは、例えば30cmの固定長とする。
【0051】
図16に、ユニット型反射板141の使用例を示す。図16に示すユニット型反射板141は、断面L字形状の本体142に反射板12(本明細書で提案する反射板)を張り付けた構造を有する。なお、反射板12は壁面131に対して垂直に配置される筺体面に張り付けられている。さらに、図16の場合、壁面側に反射板12を配置する。ユニット型反射板141の背面は平坦である。
【0052】
図17に、取り付け対象である壁面131が鉄その他の磁性体を含む場合に好適なユニット型反射板141の背面構造を示す。この場合、磁石143をユニット型反射板141の背面に配置する。なお、取付具には、壁面側に配置した係止具に筺体本体を引っ掛けるタイプのものやネジや釘を用いて壁面に取り付けるものも含むものとする。
【0053】
図18に、前述したユニット型反射板141を用いた位置検出面の構成例を示す。なお、位置検出装置103も壁面131に対して着脱自在とし、背面には取付具として磁石が配置されているものとする。
【0054】
図18の上段は、位置検出面の下面を3個のユニット型反射板141で構成し、位置検出面の右辺と左辺を各2個のユニット型反射板141で構成する例である。図18の中段は、位置検出面の下面を4個のユニット型反射板141で構成し、位置検出面の右辺と左辺を各3個のユニット型反射板141で構成する例である。図18の下段は、位置検出面の下面を8個のユニット型反射板141で構成し、位置検出面の右辺と左辺を各5個のユニット型反射板141で構成する例である。
【0055】
このように、ユニット型反射板141を用いれば、位置検出面のサイズ毎に枠体を用意する必要がなく、使用者の必要に応じて位置検出面のサイズを自由に変更できる。また、ユニット型反射板141や位置検出装置103の背面に取付具を配置することにより、任意の壁面を電子黒板として使用することができる。勿論、ユニット型反射板141の各反射面は、前述した形態で説明した表面構造を有する反射板12を用いるため、位置検出面のサイズが変更しても、その全域において位置検出精度を高い状態に維持することが可能になる。
【0056】
なお、前述の説明においては、ユニット型反射板141の設置枚数で位置検出面のサイズを調整する場合について説明したが、図19に示すように、可変長型のユニット型反射板145を用いても良い。図19に示すユニット型反射板145は、長手方向に断面コ字状(U形状)の外側本体145Aと、その内側に収納され、必要に応じて出し入れ可能な内側本体145Bとで構成される。
【0057】
勿論、外側本体145Aと内側本体145Bのうち反射面として使用される表面には、長手方向に沿って反射板12が張り付けられている。また、外側本体145Aと内側本体145Bの取付面には、それぞれ取付具が配置されている。
【0058】
例えば外側本体145Aの長さが30cmの場合、内側本体145Bは最長で25cmほど引き出すことが可能である。すなわち、ユニット型反射板145は、30cmから55cmの範囲で反射板12の長さを調整することができる。従って、設置場所の制約に対して柔軟に対応することが可能となる。
【0059】
<他の形態例>
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものでなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成を追加、削除又は置換することも可能である。
【0060】
また、上述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現しても良い。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することにより実現しても良い。すなわち、ソフトウェアとして実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
【0061】
また、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示すものであり、製品上必要な全ての制御線や情報線を表すものでない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。
【符号の説明】
【0062】
1…反射フレーム
11…反射面
12…反射板(形態例)
13…ベース層
14…凸パターン
15…ガラスビーズ
23…凹パターン
31…位置検出面
32…位置検出装置
33…反射板(プリズム構造)
100…電子黒板システム
101…座標入力装置
102…指示物体
103…位置検出装置
104…反射フレーム
105…演算装置
106…表示装置
111…制御デバイス
112…撮像ユニット
113…撮像ユニット
121…イメージセンサ
122…LED
131…壁面
141…ユニット型反射板
142…本体
143…磁石
145…ユニット型反射板
145A…外側本体
145B…内側本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式の位置検出装置から入射した照明光を入射方向へ再帰反射する反射面を有する反射板において、
幅方向に同一の断面三角形状を有する凹凸パターンが、反射板の長手方向に連続的に出現する表面構造と、
前記凹凸パターンの少なくとも一方の斜面に反射ビーズを均一に配置した再帰反射層と
を有することを特徴とする反射板。
【請求項2】
請求項1に記載の反射板において、
前記反射面は、前記反射板のベース面に対して凸形状のパターン面上に形成される
ことを特徴とする反射板。
【請求項3】
請求項1に記載の反射板において、
前記反射面は、前記反射板のベース面に対して凹形状のパターン面上に形成される
ことを特徴とする反射板。
【請求項4】
請求項1に記載の反射板において、
前記三角形の高さは1.2mm以下である
ことを特徴とする反射板。
【請求項5】
請求項1に記載の反射板において、
前記三角形は二等辺三角形である
ことを特徴とする反射板。
【請求項6】
請求項1に記載の反射板において、
前記三角形は左右非対称である
ことを特徴とする反射板。
【請求項7】
請求項1に記載の反射板は、
組合せ自在なユニット型の反射板である
ことを特徴とする反射板。
【請求項8】
光学式の位置検出装置から入射した照明光を入射方向へ再帰反射する反射面を、位置検出面の左辺、下辺、右辺の3辺に沿って配置した反射フレームであって、
少なくとも位置検出面の左辺及び右辺の枠体に、請求項1に記載の反射板を配置した
ことを特徴とする反射フレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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