説明

反射防止膜の製造方法

【課題】生産性に優れ、大面積化にも対応できる、光透過性、反射防止性、及び密着性に優れる屈折率傾斜膜を有する反射防止膜を製造する方法を提供すること。
【解決手段】基材上に、厚み方向において前記基材に最も遠い側から前記基材に最も近い側に向かって可視光領域の屈折率が1.0から2.5の範囲で連続的に大きくなる屈折率傾斜膜を有し、可視光領域の透過率が70%以上の反射防止膜の製造方法であって、屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料をインクジェット法により前記基材上に吐出して前記屈折率傾斜膜を形成する、反射防止膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット方式の技術を用いて、大面積化が容易な、光透過性及び基材密着性の高い屈折率傾斜膜を有する反射防止膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反射防止膜は、例えば、画像表示装置やサイン媒体などにおいて、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するためにディスプレイや表示面の表面に配置される。
反射防止膜は、一般的に、基材上に低屈折率層を有し、光学干渉により反射率を低減させるものであるが、更に基材と低屈折率層の間に高屈折率層を有するものや、基材と低屈折率層の間に表面凹凸による防眩効果を期待した防眩層を有するものなど、様々なものが知られている。例えば、特許文献1には、より高い反射防止性能を得るために、基材上に屈折率の異なる層を膜厚方向で屈折率が段階的に変化するように3層以上積層した屈折率傾斜多層薄膜が記載されている。
また、特許文献2には、基材上に防眩層、高屈折率層、及び低屈折率層をこの順で有する3層構造の防眩性反射防止膜を、インクジェット法により製造できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−52345号公報
【特許文献2】特開2009−139465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の屈折率傾斜多層薄膜は、屈折率の異なる層をそれぞれスピンコート法で塗工して成膜することで作成されており、屈折率の変化をより連続的に近づけようとすると非常に多くの層を設けなければならないため、生産性に劣るとともに、ディスプレイや表示面の大面積化に対応するのが困難である。
特許文献2に記載の防眩層を含む防眩性反射防止膜では、乱反射による光の透過性が低下し、表示物が見えにくくなるという問題が避けられない。また、引用文献2には、屈折率の異なる2層をインクジェット法に形成することができると記載されているが、これを実現するには非常に精密な層形成技術が必要であり、特許文献2に開示された技術では実用化が難しく、大面積化に対応することは更に困難である。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、生産性に優れ、大面積化にも対応できる、光透過性、反射防止性、及び密着性に優れる屈折率傾斜膜を有する反射防止膜を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、下記手段によって達成された。
【0007】
[1]
基材上に、厚み方向において前記基材に最も遠い側から前記基材に最も近い側に向かって可視光領域の屈折率が1.0から2.5の範囲で連続的に大きくなる屈折率傾斜膜を有し、可視光領域の透過率が70%以上の反射防止膜の製造方法であって、
屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料をインクジェット法により前記基材上に吐出して前記屈折率傾斜膜を形成する、反射防止膜の製造方法。
[2]
前記屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料として、少なくとも、第1の有機材料と該第1の有機材料より高い屈折率の第2の有機材料を用い、
前記インクジェット法が、少なくとも第1のインクジェットヘッドと第2のインクジェットヘッドを用いるものであり、
前記第1の有機材料を含む第1のインクを第1のインクジェットヘッドに供給する工程と、
前記第2の有機材料を含む第2のインクを第2のインクジェットヘッドに供給する工程と、
前記第1のインクジェットヘッドから吐出される前記第1のインクの吐出量と前記第2のインクジェットヘッドから吐出される前記第2のインクの吐出量との比率を決定する制御工程と、
前記決定された比率に従って、前記第1のインクジェットヘッド及び前記第2のインクジェットヘッドの少なくとも一方から前記第1のインク又は前記第2のインクを吐出させて1つの層を形成する形成工程と、
前記形成工程を繰り返して前記基材上に前記層を複数層積層して前記屈折率傾斜膜を得る積層工程と、
を備え、
前記制御工程において、前記複数層の厚み方向において前記基材に近い層から遠い層に向かって、前記第1のインクの吐出量の比率が大きくなり、かつ前記第2のインクの吐出量の比率が小さくなるように前記比率を決定する、上記[1]に記載の反射防止膜の製造方法。
[3]
前記形成工程において、前記第1のインクの吐出量と第2のインクの吐出量のうち前記比率が大きい方のインクを先に吐出させる、上記[2]に記載の反射防止膜の製造方法。
[4]
前記形成工程において、前記第1のインクジェットヘッド及び前記第2のインクジェットヘッドのうち一方のヘッドから吐出させたインクの着弾位置に、他方のヘッドから吐出させたインクが重なって着弾するようにインクを吐出させる、上記[2]又は[3]に記載の反射防止膜の製造方法。
[5]
前記形成工程において、前記第1及び第2のインクジェットヘッドから吐出するインク滴の液滴量を0.3〜100pLとする、上記[2]〜[4]のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法。
[6]
前記形成工程において、前記第1及び第2のインクジェットヘッドから吐出するインク滴の液滴径を1〜300μmとする、上記[2]〜[5]のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法。
[7]
前記形成工程において、前記第1のインクと第2のインクのうち前記比率が小さい方のインクについて、インクジェットヘッドから吐出するインク滴の液適量及び液滴径の少なくとも一方を前記比率が大きなインクより小さくする、上記[5]又は[6]に記載の反射防止膜の製造方法。
[8]
前記屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料として、少なくとも、第1の有機材料と該第1の有機材料より高い屈折率の第2の有機材料を用い、
前記インクジェット法が、複数のインクジェットヘッドを用いるものであり、
前記第1の有機材料を含む第1のインクと前記第2の有機材料を含む第2のインクとが混合された混合インクであって、それぞれ異なる比率で混合された複数の混合インクを前記複数のインクジェットヘッドのそれぞれのインクジェットヘッドに供給する工程と、
前記複数のインクジェットヘッドから1つのインクジェットヘッドを順に選択する選択工程であって、前記第1のインクの比率の低い混合インクが供給されるインクジェットヘッドから順に選択する選択工程と、
前記選択されたインクジェットヘッドから混合インクを吐出させて1つの層を形成する形成工程と、
前記形成工程を繰り返して前記基材上に前記層を複数層積層して前記屈折率傾斜膜を得る積層工程と、
を備える、上記[1]に記載の反射防止膜の製造方法。
[9]
前記形成工程において、前記インクジェットヘッドから吐出するインク滴の液滴量を0.5〜150pLとする、上記[8]に記載の反射防止膜の製造方法。
[10]
前記形成工程において、前記インクジェットヘッドから吐出するインク滴の液滴径を2〜450μmとする、上記[8]又は[9]に記載の反射防止膜の製造方法。
[11]
前記複数層の、任意の隣り合う2つの層の屈折率差が0.5以下である、上記[2]〜[10]のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法。
[12]
前記第1及び第2のインクが、硬化型インクジェットインク組成物である、上記[2]〜[11]のいずれか1項に記載の屈折率傾斜膜の作成方法。
[13]
前記第1及び第2のインクが、溶剤型インクジェットインク組成物である、上記[2]〜[11]のいずれか1項に記載の屈折率傾斜膜の作成方法。
[14]
前記形成工程において吐出された層を半乾燥又は半硬化させる工程を有する、上記[2]〜[12]のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法。
[15]
前記形成工程において、吐出された前記第1のインクと前記第2のインクを拡散混合させる工程を有する、上記[2]〜[14]のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生産性に優れ、大面積化にも対応できる、光透過性、反射防止性、及び密着性に優れる屈折率傾斜膜を有する反射防止膜を製造する方法を提供することができる。また、本発明では必要な部分にのみ屈折率傾斜膜が形成可能である反射防止膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】屈折率傾斜膜を備える反射防止膜の模式図
【図2】屈折率傾斜膜を備える反射防止膜の模式図
【図3】屈折率傾斜膜作成装置の全体構成図
【図4】屈折率傾斜膜作成装置の描画部の概略図
【図5】描画混合法による屈折率傾斜膜形成を説明するための図
【図6】描画混合法の他の実施形態を説明するための図
【図7】インク混合法の実施形態に係る屈折率傾斜膜作成装置の全体構成図
【図8】インク混合法による屈折率傾斜膜形成を説明するための図
【図9】描画混合法における各機能性インクの着弾位置を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、可視光領域の屈折率は、波長590nmでの屈折率で代表させることができる。
【0011】
本発明は、基材上に、厚み方向において前記基材に最も遠い側から前記基材に最も近い側に向かって可視光領域の屈折率が1.0から2.5の範囲で連続的に大きくなる屈折率傾斜膜を有し、可視光領域の透過率が70%以上の反射防止膜の製造方法であって、屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料をインクジェット法により前記基材上に吐出して前記屈折率傾斜膜を形成する、反射防止膜の製造方法に関する。
【0012】
[反射防止膜(屈折率傾斜膜)]
図1に、本発明に係る方法で形成される反射防止膜の一例を模式的に示す。
本発明に係る反射防止膜1は、基材2上に屈折率傾斜膜3を有する。屈折率傾斜膜3は、その厚み方向において基材2に最も遠い側Aから基材2に最も近い側Bに向かって(即ち、図1中の矢印の方向に)、可視光領域の屈折率が1.0から2.5の範囲で連続的に大きくなっている。この屈折率の変化は、1.0から2.5の範囲で変化していれば特に限定されないが、良好な反射防止機能を得る上で、好ましくは1〜2.2の範囲であり、また、屈折率傾斜膜3内での屈折率の最大値(B側での屈折率)と最小値(A側での屈折率)との差は、0.5〜1.5であることが好ましく、0.5〜1.0であることがより好ましい。
ここで、「屈折率が連続的に変化する」とは、屈折率傾斜膜の厚み方向において厚み10nm〜500nmの領域毎に区切った場合に、隣接する領域間の屈折率差が0.5以下、好ましくは0.3以下であることを意味する。屈折率の差が0.6より大きくなると、屈折率が段階的となってしまい、高い反射防止効果を得ることができない。各領域の屈折率は、各領域の塗布液を3〜5μmの厚みになるようにガラス板に塗布し、多波長アッベ屈折計DR−M2(アタゴ(株)製)にて測定することができる。なお、ある2つの隣接する領域間の屈折率差が0であってもよい。
【0013】
屈折率傾斜膜3の構成は、上記の屈折率の連続的変化があれば、特に限定されないが、図2に示すような屈折率の異なる複数の層が積層した構成を好ましい例として挙げられる。
図2に示す反射防止膜1aは、基材2上に屈折率傾斜膜3を有し、該屈折率傾斜膜3は、屈折率の異なる複数の層3−1、3−2、3−3、3−4、3−5を有する。層3−1、3−2、3−3、3−4、3−5は、基材2に最も遠いA側の層3−5から基材2に最も近いB側の層3−1に向かって(即ち、図2中の矢印の方向に)、可視光領域の屈折率が1.0から2.5の範囲で連続的に大きくなっている。
良好な反射防止機能を得る上で、層3−1、3−2、3−3、3−4、3−5のうち、隣り合う2層の屈折率差は0.5以下であり、好ましくは0.3以下である。また、基材2に最も遠いA側の層3−5の屈折率は1.0〜1.7であることが好ましく、1.0〜1.5であることがより好ましい。基材2に最も近いB側の層3−1の屈折率は1.5〜2.5であることが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましい。
図2では、層3−1、3−2、3−3、3−4、3−5の5層を積層して屈折率傾斜膜3を形成しているが、積層する層の数は特に限定されない。好ましくは4〜10層であり、より好ましくは5〜10層である。また、各層の厚みは10nm〜5000nmが好ましく、20nm〜4000nmがより好ましい。各層の厚みは実質的に等しい(厚みの誤差が±10nmの範囲)であることが好ましい。
なお、層間の界面が明確でない場合には、屈折率傾斜膜3の厚み方向において厚み10nm〜500nmで区切った領域を「層」とみなしてもよい。
各層の屈折率は、各層と同組成の層を3〜5μmの厚みになるようにガラス板に形成し、多波長アッベ屈折計DR−M2(アタゴ(株)製)にて測定することができる。
【0014】
(光透過率)
屈折率傾斜膜は、可視光全域(400〜700nm)の透過率が70%以上であることが好ましい。透過率が70%未満になると、表示物の視認性が悪くなる。視認性の観点から、可視光全域での透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
また、本発明における反射防止膜の可視光全域(400〜700nm)の透過率が70%以上である。透過率が70%未満になると、表示物の視認性が悪くなる。視認性の観点から、可視光全域での透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
【0015】
(膜厚)
本発明における屈折率傾斜膜の膜厚は、適応物の性能、商品価値を損なわないという観点から10nm〜5000nmが好ましく、20nm〜4000nmがより好ましい。
【0016】
本発明では、屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料をインクジェット法により基材上に吐出して屈折率傾斜膜を形成する。
以下、有機材料について説明する。
【0017】
(低屈折率有機材料)
屈折率が異なる有機材料のうち、屈折率の低い有機材料としては、特に限定されるものではないが、フッ素原子含有官能基及び珪素原子含有官能基を有する化合物などが好ましく、特に好ましくは、フッ素系化合物、及びシロキサン系化合物である。これら低屈折率有機材料の屈折率は1.0〜2.0が好ましく、1.0〜1.7がより好ましい。
【0018】
<フッ素系化合物>
フッ素系化合物としては含フッ素モノマー又は含フッ素ポリマーが好ましい。含フッ素モノマーはインクジェット法により基材上に吐出された後、重合させることで含フッ素ポリマーとすることができる。
【0019】
(含フッ素モノマー)
フッ素系化合物のうち含フッ素モノマーとしては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CHCFCF,−CH(CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF,−CHCF(CF,−CH(CH)CFCF,−CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
【0020】
含フッ素モノマーは、重合性基を有している。該重合性基は1つでも2つ以上でも良く、複数個ある場合は互いに同一であっても異なっていても良い。好ましい重合性基の例としてはアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、アリル基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられ、アクリロイル基、メタアクリロイル基がより好ましい。
フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。
含フッ素モノマーの具体例としては、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレートなどが好ましく挙げられる。
【0021】
(含フッ素ポリマー)
フッ素系化合物は、含フッ素ポリマーであってもよい。
含フッ素ポリマーとしては、前記含フッ素モノマーの重合体が好ましい。
また、含フッ素ポリマーは、少なくとも一種の含フッ素ビニルモノマーを重合して得ることも好ましい。
含フッ素ビニルモノマーとしては、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やR−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
【0022】
含フッ素ポリマーの好ましい分子量は、重量平均分子量が5000以上500000未満であり、より好ましくは10000以上500000未満であり、更に好ましくは15000以上200000未満であり、最も好ましくは15000以上100000未満である。
含フッ素ポリマーは含フッ素モノマーとフッ素原子を含まないモノマーとのポリマーであってもよい。
含フッ素ポリマーの具体例としては、ポリ(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート)、ポリ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート)などが好ましく挙げられる。
【0023】
<シロキサン系化合物>
シロキサン系化合物としては、シロキサン構造を有する化合物が挙げられ、ポリシロキサン化合物が好ましい。
シロキサン構造を有する化合物としては、反応性基含有ポリシロキサン{例えば“KF−100T”,“X−22−169AS”,“KF−102”,“X−22−3701IE”,“X−22−164B”,“X−22−5002”,“X−22−173B”,“X−22−174D”,“X−22−167B”,“X−22−161AS”(商品名)、以上、信越化学工業(株)製;“AK−5”,“AK−30”,“AK−32”(商品名)、以上東亜合成(株)製;、「サイラプレーンFM0725」,「サイラプレーンFM0721」、「サイラプレーンFM0711」、「サイラプレーンFM7725」、(商品名),以上チッソ(株)製等}、反応性基含有シロキサン{例えば「サイラプレーンTM0701」(商品名),以上チッソ(株)製等}が好ましい。また、特開2003−112383号公報の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。
【0024】
(高屈折率有機材料)
屈折率が異なる有機材料のうち、屈折率の低い有機材料としては、特に限定されるものではないが、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シアネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせを含むことが好ましい。具体的には、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルビフェニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレートなどが好ましい。
また、高屈折率有機材料としては、重合により上記樹脂を形成する低分子有機材料であっても良い。例としては、スチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどが好ましく挙げられる。これら高屈折率有機材料の屈折率は1.8〜2.5が好ましく、2〜2.5がより好ましい。
【0025】
(インク組成物)
本発明において、上記有機材料はインクジェット用インクに好適なインク組成物を構成する材料となる。インク組成物は、上記有機材料の他、光重合開始剤、溶媒、表面張力調整剤、防汚剤、耐水性付与剤、耐薬品性付与剤、界面活性剤等を含むことができる。
本発明の製造方法を用いる上では、硬化型のインク組成物(屈折率の異なる少なくとも2種の有機材料として硬化性化合物を含有するインク組成物)を用いて、光重合によるインクの硬化をしながら屈折率傾斜膜を作成することもでき、硬化型インク組成物には、重合性基を有する低分子有機材料と光重合開始剤を含むことが好ましい。また、溶剤型インク組成物(屈折率の異なる少なくとも2種の有機材料として非硬化性化合物と溶剤を含有するインク組成物)を用いて、溶剤の乾燥を行いながら屈折率傾斜膜を作成することもでき、溶剤型インク組成物には、高分子有機材料と溶媒を含むことが好ましい。
【0026】
(光重合開始剤)
硬化型インク組成物には、光重合開始剤が含まれることが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。光重合開始剤については、特開2008−134585号公報の段落[0141]〜[0159]にも記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア1870」(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤)、「イルガキュア500」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」、「イルガキュア127」、“OXE01”等;日本化薬(株)製の「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」、「カヤキュアーMCA」など;サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KTO46,KT37,KIP150,TZT)”、BASF製の「Lucirin TPO」等、及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
【0027】
光重合開始剤は、重合性基を有する有機材料100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
【0028】
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントンなどを挙げることができる。更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DMBI,EPA)」などが挙げられる。
【0029】
(界面活性剤)
本発明におけるインク組成物には界面活性剤を添加することもできる
界面活性剤としては特に限定はないが、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤がより好ましい。
【0030】
(溶媒)
溶剤型インク組成物には、高分子有機材料及び溶媒が含まれることが好ましい。溶媒としては、特に限定されないが、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤が好ましく用いられる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、メチルイソプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、ジアセチル、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、メシチルオキサイド、クロロアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、n−メチルピロリドン等をあげることができる。この中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−メチルピロリドンが好ましい。これらの溶媒は単独で用いても、任意の混合比で混合して用いてもよい。
また、補助溶媒として、適宜、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、又はフッ素系溶剤(フッ素系アルコールなど)を用いることができる。これらの溶媒は単独で用いても、任意の混合比で混合して用いてもよい。
【0031】
(インク物性)
本発明に係るインクの粘度は、成膜時の均一性、インクジェット吐出時の安定性、インクの保存安定性の観点から、5〜40cPが好ましく、5〜30cPがより好ましく、8〜20cPが更に好ましい。
また、インクの表面張力は、成膜時の均一性、インクジェット吐出時の安定性、インクの保存安定性の観点から、10〜40mN/mが好ましく、15〜35mN/mがより好ましく、20〜30mN/mが更に好ましい。
【0032】
(基材)
次に、本発明の製造方法により作成される反射防止膜を構成する基材について説明する。
本発明における基材としては、透明な支持体であることが好ましく、透明基材フィルムがより好ましい。透明基材フィルムとしては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルムポリオレフィン、脂環式構造を有するポリマー(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製))、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有するポリマーが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。
透明支持体の幅は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることが更に好ましい。透明支持体はロール形態の長尺で取り扱うことができ、通常100m〜5000m、好ましくは500m〜3000mのものである。
透明支持体の表面は平滑であることが好ましく、平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることが更に好ましい。
透明支持体については、特開2009−98658号公報の段落[0163]〜[0169]に記載されており、本発明においても同様である。
【0033】
(インクジェット法による屈折率傾斜膜の作成)
以下、本発明のインクジェット法による屈折率傾斜膜の作成について説明する。
本発明においては、屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料をインクジェット法により基材上に吐出する。
【0034】
インクジェット法としては、インクジェットプリンターにより画像記録を行う方法であれば、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインク組成物を吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインク組成物に照射して放射圧を利用してインク組成物を吐出させる音響インクジェット方式、及びインク組成物を加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等に用いられる。
インクの液滴の制御は主にプリントヘッドにより行われる。例えばサーマルインクジェット方式の場合、プリントヘッドの構造で打滴量を制御することが可能である。すなわち、インク室、加熱部、ノズルの大きさを変えることにより、所望のサイズで打滴することができる。またサーマルインクジェット方式であっても、加熱部やノズルの大きさが異なる複数のプリントヘッドを持たせることで、複数サイズの打滴を実現することも可能である。ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式の場合、サーマルインクジェット方式と同様にプリントヘッドの構造上打滴量を変えることも可能であるが、ピエゾ素子を駆動する駆動信号の波形を制御することによっても、同じ構造のプリントヘッドで複数のサイズの打滴を行うことができる。
【0035】
インクの基材上への吐出方法(描画方法)としては、低屈折有機材料を含有する低屈折率インク、高屈折有機材料を含有する高屈折率インクを別々のインクジェットヘッドに供給し、両者の比率を調節しながら、同時に吐出させて基材上で混合させる描画混合法が挙げられる。また、それとは別の方法としては、予め低屈折率インクと高屈折率インクとを混合させた混合インクで両者の比率が異なるものを複数種類調製したものをインクジェットヘッドに供給し、ヘッドを順番に選択して、低屈折率インクと高屈折率インクとの比率が異なる混合インクを順次吐出させて描画するインク混合法が挙げられる。
【0036】
(インクの調製)
後述する描画混合法に用いられる低屈折有機材料を含有する低屈折率インク、高屈折有機材料を含有する高屈折率インクの調製について説明する。
前記インクは、各材料を混合することで調製することができる。各材料を混合する際には攪拌機により攪拌してもよい。攪拌時間は特に限定されないが、通常30分〜60分であり、30分〜40分が好ましい。また混合する際の温度は、通常10〜40℃であり、20〜35℃が好ましい。
低屈折率インクにおける低屈折有機材料の含有率は、有効な反射防止効果発現の観点から低屈折率インクの全固形分中、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。
高屈折率インクにおける高屈折有機材料の含有率は、有効な反射防止効果発現の観点から高屈折率インクの全固形分中、60〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましい。
後述するインク混合法においては、上述のように調製したインクを混合して用いることができる。
【0037】
〜描画混合法〜
本発明は、基材上に、厚み方向において前記基材に最も遠い側から前記基材に最も近い側に向かって可視光領域の屈折率が1.0から2.5の範囲で連続的に大きくなる屈折率傾斜膜を有し、可視光領域の透過率が70%以上の反射防止膜の製造方法であって、
屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料をインクジェット法により前記基材上に吐出して屈折率傾斜膜を形成する、反射防止膜の製造方法であって、
前記屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料として、少なくとも、第1の有機材料と該第1の有機材料より高い屈折率の第2の有機材料を用い、
前記インクジェット法が、少なくとも第1のインクジェットヘッドと第2のインクジェットヘッドを用いるものであり、
前記第1の有機材料を含む第1のインクを第1のインクジェットヘッドに供給する工程と、
前記第2の有機材料を含む第2のインクを第2のインクジェットヘッドに供給する工程と、
前記第1のインクジェットヘッドから吐出される前記第1のインクの吐出量と前記第2のインクジェットヘッドから吐出される前記第2のインクの吐出量との比率を決定する制御工程と、
前記決定された比率に従って、前記第1のインクジェットヘッド、及び前記第2のインクジェットヘッドの少なくとも一方から前記第1のインク、又は前記第2のインクを吐出させて1つの層を形成する形成工程と、
前記形成工程を繰り返して前記基材上に前記層を複数層積層して前記屈折率傾斜膜を得る積層工程と、
を備え、
前記制御工程において、前記複数層の厚み方向において前記基材に近い層から遠い層に向かって、前記第1のインクの吐出量の比率が大きくなり、かつ前記第2のインクの吐出量の比率が小さくなるように前記比率を決定する、描画法が好ましい。
【0038】
上記描画法によれば、第1のインクジェットヘッドから吐出される第1のインクの吐出量と第2のインクジェットヘッドから吐出される第2のインクの吐出量との比率を決定し、決定された比率にしたがってインクを吐出させて1つの層を形成する工程を繰り返して基材上に複数の層を積層し、この複数の層が上層にいくほど前記第1のインクの吐出量の比率が大きい層であって前記第2のインクの吐出量の比率が小さい層となるようにすることで、インクジェット方式の技術を用いて屈折率傾斜膜を製造することができる。
【0039】
〜描画混合法による実施形態〜
【0040】
図3は、描画混合法に係る屈折率傾斜膜作成装置100の全体構成図であり、図4は、屈折率傾斜膜作成装置100の描画部10の概略図である。これらの図に示すように、屈折率傾斜膜作成装置100は、描画部10を含んで構成され、描画部10は、フラットベッドタイプのインクジェット描画装置が用いられている。詳細には、描画部10は、基材である透明支持体が載置されるステージ30、ステージ30に載置された透明支持体を吸着保持するための吸着チャンバー40、透明支持体20に向けて各インクを吐出するインクジェットヘッド50Ln(以下、インクジェットヘッド1)及びインクジェットヘッド50Hn(以下、インクジェットヘッド2)を含み構成されている。
【0041】
ステージ30は、透明支持体20の直径よりも広い幅寸法を有しており、図示しない移動機構により水平方向に自在に移動可能に構成されている。移動機構としては、例えばラックアンドピニオン機構、ボールネジ機構等を用いることができる。ステージ制御部43(図4では不図示)は、移動機構を制御することにより、ステージ30を所望の位置に移動させることができる。
【0042】
また、ステージ30の透明支持体保持面には多数の吸引穴31が形成されている。ステージ30下面には吸着チャンバー40が設けられており、この吸着チャンバー40がポンプ41(図4では不図示)で真空吸引されることによって、ステージ30上の透明支持体20が吸着保持される。また、ステージ30はヒータ42(図4では不図示)を備え、ヒータ42によりステージ30に吸着保持された透明支持体20を加熱することが可能である。
【0043】
インクジェットヘッド1及び2は、インクタンク60Ln(以下、インクタンク1)及びインクタンク60Hn(以下、インクタンク2)から供給されるインクを透明支持体20の所望の位置に対して吐出するものであり、ここではピエゾ方式のアクチュエータを持つヘッドを用いている。インクジェットヘッド1と2とは、図示しない固定手段により、それぞれができるだけ近づけて配置されて固定されている。
【0044】
インクタンク1及び2からインクジェットヘッド1及び2に供給されるインクを、それぞれインク1、インク2とする。本発明においては、インク1を低屈折率有機材料を含有するインク、インク2を高屈折率有機材料を含有するインクとする。
【0045】
〔描画混合法による屈折率傾斜膜の作製〕
このように構成された反射防止膜作成装置100を用いた屈折率傾斜膜の作成について、図5を用いて説明する。
【0046】
まず、窒素雰囲気中に置かれた描画部10のステージ30上に、透明支持体20を載置する。透明支持体20は、裏面がステージ30に接するように載置される。そして、吸着チャンバー40により、透明支持体20のステージ30への吸着及び加熱を行う。ここでは、透明支持体20を70℃に加熱することが好ましい。
【0047】
次に、吸着・加熱された透明支持体20上に、インクジェットヘッド2から供給されるインク(インク2)を1層若しくは数層分積層して24−1を形成する。このインク2の積層は、図5(a)に示すように、移動機構によりステージ30を移動させながら(図では左方向に移動)、インクジェットヘッド2によりインク2を吐出する。ここでは、インクジェットヘッド1からはインクの吐出を行わない。
【0048】
このように形成したインク2層24−1を、インク1中の溶剤成分を完全には蒸発しない程度に乾燥(半乾燥・半硬化)させることが好ましい。具体的には、通常に乾燥させるとき(全乾燥・全硬化)に与えるエネルギーよりも少ないエネルギーで乾燥を行う。半乾燥・半硬化状態では、インク2に含まれる有機材料の表面が十分に硬化していない状態となる。
すなわち、前記形成工程において吐出された層を半硬化させる工程を有することが好ましく、半硬化させるためには、例えばメタルハライドランプ使用で、積算露光量が50〜1000mJ/cmが好ましく、100〜750mJ/cmがより好ましい。
また、前記形成工程において吐出された層を半乾燥させる工程を有することが好ましく、半乾燥させるためには、例えばインク吐出終了後、40〜120℃の環境温度に一定時間保持することが好ましく、50〜100℃の環境温度に一定時間保持することが好ましい。該保持する時間としては、10〜120秒が好ましく、20〜90秒がより好ましい。
【0049】
次に、半乾燥状態となったインク2層24−1の上に、インク1とインク2との混合層24−2を形成する。この混合層24−2の形成は、図5(b)に示すように、ステージ30を移動させながら、インクジェットヘッド1によりインク1を吐出し、同時にインクジェットヘッド2によりインク2を吐出して行う。このとき、インク1の吐出量とインク2の吐出量を、所望の比率に調整する。ここでは、インク2の吐出量が75%、インク1の吐出量が25%となるように、インクジェットヘッド1と2の各ノズルの吐出量を調整して吐出している。なお、本明細書における、インクの「吐出量」は、各層を形成するために吐出されるインクの全量を意味する。一方、後述する、インクジェットヘッドより吐出されるインク滴の「液滴量」は1つのインク液滴の量である。
【0050】
なお、インクジェットヘッドからのインクの吐出量の比率の調整は、描画のドットピッチ密度によって調整してもよい。例えば、インクジェットヘッド1と2の各ノズルの吐出量を一定としたまま、インクを吐出するノズルの数をインクジェットヘッド1と2とで75:25となるように制御することにより、吐出量の比率の調整を行うことも可能である。
【0051】
インク吐出後、図5(c)に示すように、それぞれの吐出量で吐出されたインク1とインク2とを拡散混合することにより、混合層24−2が積層される。インク2の層24−1は半乾燥状態となっているため、その上に形成された混合層24−2のインクの溶媒はインク2の層24−1に受容されて、極端にぬれ広がることがない。即ち、ヒータ42による加熱温度は、インクの蒸発のしやすさにより調整する必要がある。溶剤の種類によっては、前述した70℃より低い温度、例えば基板の温度を50℃程度にして描画してもよい。
すなわち、前記形成工程において、吐出された前記第1のインクと前記第2のインクを拡散混合させる工程を有することが好ましい。拡散混合させる方法としては、一定時間保持することが基本である(時間としては数分オーダー、好ましくは0.5〜5分、更に好ましくは1〜4分である)が、加熱による対流を利用する方法や超音波を利用する方法なども挙げられる。
【0052】
また、2つのインクジェットヘッドはできるだけ近づけて配置されており、一方のインクだけが乾燥して両インクの層内での混合が不十分になることが防止されている。なお、2つのインクを同時に吐出する際、インクジェットヘッド1から吐出されるインク1の液滴とインクジェットヘッド2から吐出されるインク2の液滴とを、飛翔中に空中で衝突させ、混合させてから着弾するようにしてもよい。
【0053】
更に、詳細は後述するが、2つのインクジェットヘッドはそれぞれの幅を対象基材の幅(短い方)よりも大きく構成し、1回の走査で1つの層を形成することが好ましい。これにより、インク1とインク2とが混ざりやすくなる。
【0054】
また、インクの混合を促進するために、ステージ30を制御して基材である透明支持体20を超音波処理してもよい。このとき、超音波による節が発生しにくくなるように、超音波の周波数をスイープさせたり、透明支持体20の位置を変更しながら行うことが好ましい。
【0055】
このように形成した混合層24−2を、インク2の層24−1と同様に半乾燥状態にすると、混合層24−2は量の比率が25:75のインク1に含まれる有機材料とインク2に含まれる有機材料が積み重なっている状態となる。
【0056】
次に、混合層24−2の上に混合層24−3を形成する。この混合層24−3の形成についても、図5(d)に示すように、ステージ30を移動させながら、インクジェットヘッド1とインクジェットヘッド2とにより同時にインクを吐出する。ここでは、インク1、インク2をともに50%の吐出量の比率で吐出している。
【0057】
混合層24−2についても半乾燥状態となっているため、その上に形成された混合層24−3のインクの溶媒は、混合層24−2に受容される。インク吐出後、図5(e)に示すように、2つのインクを拡散混合することにより、混合層24−3が積層される。
【0058】
更に、混合層24−3についても半乾燥させる。混合層24−3は量の比率が50:50のインク2に含まれる有機材料とインク1に含まれる有機材料が積み重なっている状態となる。
【0059】
このように、インク1とインク2の吐出量の比率を段階的に(傾斜するように)変更しながら各混合層を形成し、最後にインク1の吐出量が100%の層を形成する。
【0060】
全ての層の形成終了後、各層の拡散が進み、段階的に形成した層が連続的となる。その結果、図1に示すように、組成成分比が膜厚方向において、B側からA側にかけてインク2が100%からインク1が100%となる屈折率傾斜膜3が形成される。
【0061】
このように、下の層を半乾燥状態として上の層を形成することにより、その上下の層において、拡散がある程度進むようにしておく。このとき、上下の層の界面が無くなり、完全に混合して上下層の区別が無くなるような状態とはならないようにすることが好ましい。
【0062】
なお、各層の形成が終わったあとに、屈折率傾斜膜の機能していない領域にダミーパターンを積層し、レーザを用いた光学式変位センサ等によりダミーパターンの高さを測定してもよい。乾燥が進んでおらず、溶媒が残っている状態では、膜厚が高くなることから、ダミーパターンの高さにより乾燥状態を検出することができる。
【0063】
以上説明したように、インクジェットヘッドを用いて屈折率傾斜膜を形成することができる。また、本実施形態の描画混合法によれば、形成する層の数にかかわらず、機能性インクの種類とインクジェットヘッドの個数が少なくて済むという利点がある。インク1とインク2との混合層は、それぞれのインクの混合比率が段階的に傾斜されるように形成されれば、何層積層してもよい。
【0064】
前記形成工程において、第1のインクジェットヘッド及び第2のインクジェットヘッドから吐出する液滴の量は膜厚制御及び細線形成性の観点から、0.3〜100pLとすることが好ましく、0.5〜80pLがより好ましく、0.7〜70pLが更に好ましい。
前記形成工程において、第1のインクジェットヘッド及び第2のインクジェットヘッドから吐出する液滴の液滴径は膜厚制御及び細線形成性の観点から1〜300μmとすることが好ましく、5〜250μmがより好ましく、10〜200μmが更に好ましい。
更に、各層の形成工程において、第1のインクと第2のインクのうち吐出量の比率が小さい方のインクについて、インクジェットヘッドから吐出するインク滴の液適量及び液滴径の少なくとも一方を前記比率が大きなインクより小さくすることが好ましい。これにより、拡散混合する時間を短くしたり、混合の均一性を向上することができる。前記比率が小さなインク滴の液適量が0.3〜60pLで、前記比率が大きなインク滴の液適量が1〜100pLであることがより好ましい。
なお、インク滴の「液滴径」とは、液滴直径を意味し、インクジェット吐出時の飛翔状態写真から測定することができる。
【0065】
また、本実施形態では、インクジェットヘッド1とインクジェットヘッド2とにおいて同時にインクを吐出して各層を形成したが、順に吐出してもよい。
【0066】
例えば、混合層24−2を形成する場合に、図6(a)に示すように、まずインクジェットヘッド2によりインク2層24−1の上の全面にインク2を吐出する。次に、図6(b)に示すように、インクジェットヘッド1によりインク1を全面に吐出する。その後、図6(c)に示すように、それぞれのインクを拡散混合することで、同様に混合層24−2を形成することができる。
【0067】
このように、それぞれのインクを順に吐出して1つの層を形成する場合であって、2つのインクの吐出量に差がある場合、即ち2つのインクの吐出量の比率が50%ずつでない場合は、吐出量の多い方のインクを先に吐出するように構成してもよい。特に、先に吐出するインクの乾燥が激しい場合等は、量が少ないほど乾燥が早まるため、多い方のインクを先に吐出することが好ましい。これにより、2種類のインクの混合をスムーズに進ませることができる。
【0068】
更にこの場合、後から吐出することになる吐出量の少ない方のインクについては、小さい液滴(液適量が少ない又は液滴径が小さい)によってドットピッチ密度を高くして吐出してもよい。これにより、拡散混合する時間を短くすることができる。
【0069】
また、先に吐出したインクを着弾させた位置に、後から吐出するインクを重ねて着弾させるようにしてもよい。特に間歇打ちを行ってドットとドットが離れている場合に、同じ位置に乾燥させる前に着弾させると、それぞれのインクの混合がしやすくなる。
【0070】
例えば、混合層24−2を形成する際に、1回目の走査でインクジェットヘッド2によりインク2を間歇打ちにより吐出したとする。図9(a)は、インク2層24−1上に着弾したインク2(24−2−Hn―1)を示す。
【0071】
次に、2回目の走査でインクジェットヘッド1によりインク1を間歇打ちにより吐出する。このとき、インクジェットヘッド1は、図9(b)に示すように、吐出されたインク1(24−2−Ln―1)が、1回目の走査で着弾されているインク2(24−2−Hn―1)と同じ位置に重ねて着弾するように吐出する。
【0072】
更に、3回目の走査でインクジェットヘッド2によりインク2が間歇打ちされる。図9(c)は、インク2(24−2−Hn―1)の間に着弾されたインク2(24−2−Hn−2)を示す。
【0073】
その後、4回目の走査では、インクジェットヘッド1により、インク1がインク2(24−2−Hn−2)と同じ着弾位置に重ねて着弾されるように吐出される。図9(d)に示すように、吐出されたインク1(24−2−Ln―2)が、2回目の走査で着弾されているインク2(24−2−Hn―2)と同じ位置に重ねて着弾するように吐出する。
【0074】
以後同様に、インク2層24−1の全面にインクを吐出し、その後拡散混合させる。このように吐出することにより、混合層24−2を形成する際の拡散混合の時間を短縮することができる。
【0075】
また、一方のインクの乾燥が速い場合は、そのインクを後から吐出するようにしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、インク1とインク2の2つの純インクを用いて各混合層を形成したが、これらを混合したインクを併用してもよい。例えば、2つの純インクと、インク1とインク2との混合比率が50:50の混合インクとの3種類のインクを同時に用いて混合層を形成することが考えられる。混合インクの分だけインクジェットヘッドの数が増加するが、混合インクは予め2つの純インクが十分混合されているため、インク吐出後の拡散混合に要する時間を短縮することができる。
【0077】
〜インク混合法〜
本発明は、基材上に、厚み方向において前記基材に最も遠い側から前記基材に最も近い側に向かって可視光領域の屈折率が1.0から2.5の範囲で連続的に大きくなる屈折率傾斜膜を有し、可視光領域の透過率が70%以上の反射防止膜の製造方法であって、
前記屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料として、少なくとも、第1の有機材料と該第1の有機材料より高い屈折率の第2の有機材料を用い、
前記インクジェット法が、複数のインクジェットヘッドを用いるものであり、
前記第1の有機材料を含む第1のインクと前記第2の有機材料を含む第2のインクとが混合された混合インクであって、それぞれ異なる比率で混合された複数の混合インクを前記複数のインクジェットヘッドのそれぞれのインクジェットヘッドに供給する工程と、
前記複数のインクジェットヘッドから1つのインクジェットヘッドを順に選択する選択工程であって、前記第1のインクの比率の低い混合インクが供給されるインクジェットヘッドから順に選択する選択工程と、
前記選択されたインクジェットヘッドから混合インクを吐出させて1つの層を形成する形成工程と、
前記形成工程を繰り返して前記基材上に前記層を複数層積層して前記屈折率傾斜膜を得る積層工程と、
を備える、描画法を用いることもできる。
【0078】
上記描画法によれば、第1のインクと第2のインクとが混合された混合インクであって、それぞれ異なる比率で混合された複数の混合インクをそれぞれのインクジェットヘッドに供給し、第1のインクの比率の低い混合インクが供給されるインクジェットヘッドから順に混合インクを吐出させて各層を形成し、基材上に複数の層を積層するようにしたので、インクジェット方式の技術を用いて屈折率傾斜膜を製造することができる。
【0079】
〜インク混合法による実施形態〜
【0080】
図7は、第2の実施形態に係る屈折率傾斜膜作成装置101の全体構成図である。同図に示すように、本実施形態に係る屈折率傾斜膜作成装置101は描画部11を備え、描画部11は、5種類のインクを貯蔵するインクタンク60−1〜60−5と、各インクタンクからインクが供給されるインクジェットヘッド50―1〜50−5を備えている。各インクジェットヘッド50−1〜50−5は、各インクタンク60−1〜60−5から供給されるインクを透明支持体20に対して吐出する。
【0081】
各インクタンク60−1〜60−5から各インクジェットヘッド50−1〜50−5に供給されるインクは、インク1とインク2との混合比率がそれぞれ0:100、25:75、50:50、75:25、100:0となっている。即ち、インクタンク60−1からはインク2の純インクが、インクタンク60−5からはインク1の純インクが、60−2〜60−4からはインク1とインク2とが所定の比率で混合された混合インクが供給される。
【0082】
〔インク混合法による屈折率傾斜膜の作成〕
描画混合法による実施形態と同様に、ステージ30上に透明支持体20を載置し、吸着及び加熱を行う。
【0083】
次に、吸着・過熱された透明支持体上に、インク2を1層若しくは数層分積層してインク2層28−1を形成する。このインク2の積層は、図8(a)に示すように、移動機構によりステージ30を移動させながら(図では左方向に移動)、インクジェットヘッド50−1により透明支持体に対してインクタンク60−1から供給されるインク(インク1とインク2との混合比率が0:100のインク)を吐出する。このとき、その他のインクジェットヘッド50−2〜50−5からはインクの吐出を行わない。
【0084】
したがって、このように形成されたインク2層28−1は、図5に示すインク2層24−1と同様の層となる。ここで、インク2中の溶媒が蒸発する程度に乾燥(半乾燥・半硬化)させると、インク1に含まれる有機材料が積み重なっている状態となる。
すなわち、前記形成工程において吐出された層を半硬化させる工程を有することが好ましく、半硬化させるためには、例えばメタルハライドランプ使用で、積算露光量が50〜1000mJ/cmが好ましく、100〜750mJ/cmがより好ましい。
【0085】
次に、インク2層28−1の上に、インクジェットヘッド50−2によりインクタンク60−2から供給される混合インク(インク1とインク2との混合比率が25:75の混合インク)を吐出して、混合層28−2を形成する。
【0086】
混合層28−2の形成は、図8(b)に示すように、ステージ30を移動させながら、インクジェットヘッド50−2により混合インクを吐出する。描画混合法による実施形態と同様に、インク2層28−1が半乾燥状態であるため、その上に形成された混合層28−2のインクの溶媒がインク2層28−1に受容されて、極端にぬれ広がることがない。したがって、加熱温度はインクの蒸発のしやすさにより調整する必要がある。
【0087】
この混合層28−2についても半乾燥させることで、混合層28−2は、インク1に含まれる有機材料及び、インク2に含まれる有機材料が積み重なっている状態となる。
【0088】
更に、混合層28−2の上に、インクジェットヘッド50−3(図8には不図示)によりインクタンク60−3から供給される混合インク(インク1とインク2との混合比率が50:50の混合インク)を吐出して、混合層28−3を形成する。
【0089】
混合層28−2が半乾燥状態であるため、その上に形成された混合層28−3のインクの溶媒は、混合層28−2に受容される。更に、混合層28−3についても半乾燥させる。
【0090】
このように、各混合インクをインク2の混合比率が多い順(インク1の混合比率が少ない順)に吐出して各混合層(28−2〜28−4)を積層し、最後にインクジェットヘッド50−5によりインクタンク60−5から供給されるインク1(インク1とインク2との混合比率が100:0のインク)を吐出して、インク1が100%の層28−5(インク1の層)を形成する(図8(c))。
【0091】
全ての層を形成終了後、図1に示すような組成成分比がインク2が100%からインク1が100%となる屈折率傾斜膜3が形成される。
【0092】
前記形成工程において、第1のインクジェットヘッド及び第2のインクジェットヘッドから吐出する液滴の量は、膜厚制御及び細線形成性の観点から、0.5〜150pLとすることが好ましく、0.7〜130pLがより好ましく、1〜100pLが更に好ましい。
前記形成工程において、第1のインクジェットヘッド及び第2のインクジェットヘッドから吐出する液滴の液滴径は膜厚制御及び細線形成性の観点から2〜450μmとすることが好ましく、5〜350μmがより好ましく、10〜250μmが更に好ましい。
【0093】
以上説明したように、混合インクを用いて、屈折率傾斜膜を形成することができる。本実施形態のインク混合法によれば、インクの段階で充分に混合されているため、屈折率傾斜の変化の精度が高い屈折率傾斜膜を作成することができる。また、描画混合法による実施形態と比較すると、2種類の機能性インクを拡散混合する時間が不要となるため、プロセス時間が短くて済むという利点がある。
【0094】
本実施形態では、インク1とインク2との混合層を3層形成したが、層の数はこれに限定されるものではなく、それぞれのインクの混合比率が傾斜されるように積層できれば何層でもよい。なお、形成する層の数だけインクタンクとインクジェットヘッドを用意する必要がある。
【実施例】
【0095】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによっていささかも限定して解釈されるものではない。
【0096】
<実施例1>
(硬化型インクの作成)
低屈折率インクA1の調製
[化合物1] 2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート(シグマ−アルドリッチ社製) 900g
イルガキュア 184(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製) 40g
ルシリン TPO (BASF製) 60g
上記素材を3Lの容器へ投入し、シルバーソン高速攪拌機にて液温40℃以下を保ち、20分攪拌した。その後、2μmのフィルターにて濾過し、低屈折率インクA1を作成した。
【0097】
高屈折率インクB1の調製
[化合物2] スチレン(東京化成(株)製) 900g
イルガキュア 184(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製) 40g
ルシリン TPO (BASF製) 60g
上記素材を低屈折率インク作成と同様な方法にて、高屈折率インクB1を作成した。
【0098】
(反射防止膜作成)
低屈折率インクA1及び高屈折率インクB1を用い透明100μmPET(富士フイルム製)基材上に、下記インクジェット描画法Aにより屈折率傾斜膜を作成した。本屈折率傾斜膜形成PET(膜厚100μm、富士フイルム製)を用い、主機能である反射防止効果、膜の透明性、基材との密着性を評価した。
【0099】
〜インクジェット描画法A〜
インクタンク1、インクタンク2にインクA1、インクB1をそれぞれ充填した。インクジェットヘッド1、インクジェットヘッド2に供給されるインクは、それぞれインクA1、インクB1である。
はじめにインクジェットヘッド2よりインクB1を、インクジェットヘッドから吐出されるインク滴の液滴量を10pL、液滴径が30μmとなるように制御しながら窒素ガス雰囲気中で吐出させた。ここで、インクジェットヘッド1からはインクA1を吐出させないでインク層1を形成した。すなわち、インクジェットヘッド2から吐出するインクB1の吐出量と、インクジェットヘッド1から吐出するインクA1の吐出量との比(質量%)をB1:A1が100:0である。
このように形成したインクB1層(インク層1)を、半硬化させた。具体的には、全硬化に与えるエネルギーよりも少ないエネルギー(メタルハライドランプ使用で、積算露光量1000mJ/cm)で硬化を行った。
次に、インクジェットヘッド2から吐出するインクB1の吐出量と、インクジェットヘッド1から吐出するインクA1の吐出量の比(質量%)B1:A1を75:25(インク層2)、50:50(インク層3)、25:75(インク層4)、0:100(インク層5)と変化させて積層と半硬化を繰り返し、最終的に全硬化(メタルハライドランプ使用で、積算露光量5000mJ/cm)させ屈折率傾斜膜を作成した。
ここで、インク層2形成時のインクジェットヘッド1から吐出させるインクA1のインク滴の液適量は5pL、液滴径を20μmとし、インクジェットヘッド2から吐出させるインクB1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。
インク層3形成時には、インクA1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとし、インクB1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。
インク層4形成時には、インクA1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとし、インクB1のインク滴の液適量は5pL、液滴径を20μmとした。
インク層5形成時には、インクA1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。
得られた屈折率傾斜膜の膜厚は1000nmであり、十分な乾燥によりPET側から空気側に向かって屈折率が2.0から1.1に傾斜していることを確認した。
【0100】
(反射防止膜の評価)
【0101】
<反射防止効果>
黒色コート紙(ライオン事務器製)上に重ね、各種光源を有す画像評価用テープル上で、蛍光灯の映り込みを下記基準にて目視評価した。
4 ・・・ 映り込みほぼなし
3 ・・・ 映り込みが少しあるが、画像認識上許容レベル
2 ・・・ 映り込みがあり、画像認識上許容できないレベル
1 ・・・ 映り込みがあり、画像認識できないレベル
【0102】
<透明性>
作成したフィルムの波長400〜700nmにおける可視光領域の透過率は、日本電色工業株式会社製色差・濁度測定器COI−300Aを用いて求めた。結果を下記基準にて表1に示す。
4 ・・・ 光透過率90%以上
3 ・・・ 光透過率90%未満、70%以上
2 ・・・ 光透過率70%未満、50%以上
1 ・・・ 光透過率50%未満
【0103】
<密着性>
作成した反射防止フィルムに対し、クロスハッチテスト(EN ISO2409)を実施した。評価基準については、ISO2409に準拠し、結果は0〜5点の点数評価で示した。
【0104】
<実施例2>
(溶剤型インクの作成)
低屈折率インクC1の調製
[化合物3] ポリ(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート)(シグマ−アルドリッチ社製) 300g
n−メチルピロリドン(東京化成(株)製) 300g
シクロヘキサノン(和光純薬(株)製) 400g
上記素材を低屈折率インクA作成と同様な方法にて、低屈折率インクC1を作成した。
【0105】
高屈折率インクD1の調製
[化合物4] ポリスチレン(シグマ−アルドリッチ社製) 300g
シクロヘキサノン(和光純薬(株)製) 700g
上記素材を低屈折率インクA作成と同様な方法にて、高屈折率インクD1を作成した。
【0106】
(反射防止膜作成)
低屈折率インクC1及び高屈折率インクD1を用い透明100μmPET基材(富士フイルム製)上に、下記インクジェット描画法Bにより屈折率傾斜膜を作成した。本屈折率傾斜膜形成PET(膜厚100μm、富士フイルム製)を用い、主機能である反射防止効果、膜の透明性、基材との密着性を評価した。
【0107】
〜インクジェット描画法B〜
インクタンク1、インクタンク2にインクC1、インクD1をそれぞれ充填した。インクジェットヘッド1、インクジェットヘッド2に供給されるインクは、それぞれインクC1、インクD1である。
はじめにインクD1を、インクジェットヘッド2から吐出されるインク滴の液滴量を10pL、液滴径が30μmとなるように制御し、吐出させた。ここで、インクジェットヘッド1からはインクC1を吐出させないでインク層1を形成した。すなわち、インクジェットヘッド2から吐出するインクD1の吐出量と、インクジェットヘッド1から吐出するインクC1の吐出量との比(質量%)をD1:C1が100:0である。
このように形成したインクD1層(インク層1)を、半乾燥させた。具体的には、赤外ヒーターにて、40℃、1分間加熱で乾燥を行った。
次に、インクジェットヘッド2から吐出するインクD1の吐出量と、インクジェットヘッド1から吐出するインクC1の吐出量の比D1:C1(質量%)を75:25(インク層2)、50:50(インク層3)、25:75(インク層4)、0:100(インク層5)と変化させて積層と半乾燥を繰り返し、最終的に全乾燥(赤外ヒーターにて、100℃、3分間加熱乾燥)させ屈折率傾斜膜を作成した。
ここで、インク層2形成時のインクジェットヘッド1から吐出させるインクA1のインク滴の液適量は5pL、液滴径を20μmとし、インクジェットヘッド2から吐出させるインクB1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。
インク層3形成時には、ンクA1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとし、インクB1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。
インク層4形成時には、インクA1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとし、インクB1のインク滴の液適量は5pL、液滴径を20μmとした。
インク層5形成時には、インクA1のインク滴の液適量は10pL、液滴径を30μmとした。
【0108】
<実施例3〜9>
実施例3〜9は、実施例1で用いたインクA1、B1の有機材料(化合物1及び2)を、表1に記載の有機材料に置き換える以外は実施例1と同様な方法で低屈折率インクA2〜A6、高屈折率インクB2,B3を作成し、これらを用いて反射防止膜を作成した。
得られた屈折率傾斜膜の膜厚はいずれも1000nmであり、十分な乾燥によりPET側から空気側に向かって屈折率が2.0から1.1に傾斜していることを確認した。得られた反射防止膜について実施例1と同様な方法で反射防止効果、膜の透明性、密着性を評価した。
【0109】
<実施例10〜13>
実施例10〜13は、実施例2で用いたインクC1、D1の有機材料(化合物3及び4)を、表1に記載の有機材料に置き換える以外は実施例2と同様な方法で低屈折率インクC2〜C4、高屈折率インクD2を作成しこれらを用いて反射防止膜を作成した。
得られた屈折率傾斜膜の膜厚はいずれも1000nmであり、十分な乾燥によりPET側から空気側に向かって屈折率が2.0から1.1に傾斜していることを確認した。得られた反射防止膜について実施例1と同様な方法で反射防止効果、膜の透明性、密着性を評価した。
【0110】
<実施例14>
実施例1で用いたインクA1、B1を混合したインクG1[混合比 A1:B1=75:25質量%]、G2[混合質量比A1:B1=50:50]、G3[混合質量比 A1:B1=25:75]を作成し、A1、B1を含めた5種のインクをそれぞれ計5個のプリントヘッドを用い、B1(最下層)⇒G3⇒G2⇒G1⇒A1(最上層)の順に積層し、透明100μmPET基材(富士フイルム製)上に、下記インクジェット描画法Cにより屈折率傾斜膜を作成した。得られた反射防止膜について実施例1と同様な方法で反射防止性、透明性、密着性を評価した。
【0111】
〜インクジェット描画法C〜
インクタンク1〜5にインクA1、G1、G2、G3、B1をそれぞれ充填した。インクジェットヘッド1〜5に供給されるインクは、それぞれインクA1、G1、G2、G3、B1である。
はじめにインクジェットヘッド5よりインクB1を、インクジェットヘッドから吐出されるインク滴の液滴量を10pL、液滴径が30μmとなるように制御しながら、窒素ガス雰囲気中で吐出させた。
このように形成したインクB1層を、半硬化させた。具体的には、全硬化に与えるエネルギーよりも少ないエネルギー(メタルハライドランプ使用で、積算露光量1000mJ/cm)で硬化を行った。
次に、インクジェットヘッド4から同様にインクG3を吐出し、インクG3層を積層、半硬化させた。これを、インクG2、G1、A1についても繰り返し、積層と半硬化を繰り返し、最終的に全硬化(メタルハライドランプ使用で、積算露光量5000mJ/cm)させることで屈折率傾斜膜を作成した。
得られた屈折率傾斜膜の膜厚は1000nmであり、十分な乾燥によりPET側から空気側に向かって屈折率が2.0から1.1に傾斜していることを確認した。
【0112】
<比較例1>
実施例1で用いた低屈折率インクA1及び高屈折率インクB1を質量比50:50であらかじめ混合し、良く攪拌して混合インクE1を調製し、屈折率傾斜のない1層のみの膜を作製した(膜厚は1000nm)。すなわち、インクジェットヘッドから吐出される液滴の量を10pL、液滴径が30μmとなるように制御しながら、透明な100μm厚みのPET基材(富士フイルム製)上に吐出させ、硬化させることで1層のみの膜を作製した。得られた膜を実施例1と同様に評価した。
【0113】
<比較例2>
実施例2で用いた低屈折率インクC1及び高屈折率インクD1を質量比50:50であらかじめ混合し、良く攪拌した後、その他は実施例1と同様に混合インクF1を調製し、屈折率傾斜のない1層のみの膜を作製した(膜厚は1000nm)。すなわち、インクジェットヘッドから吐出される液滴の量を10pL、液滴径が30μmとなるように制御しながら、透明な100μm厚みのPET基材(富士フイルム製)上に吐出させ、乾燥させることで1層のみの膜を作製した。得られた膜を実施例1と同様に評価した。
【0114】
<比較例3>
実施例14で用いた低屈折率インクA1、混合インクG1〜G3及び高屈折率インクB1を、透明な100μm厚みのPET基材(富士フイルム製)上にバー塗布にて膜厚5μmになるように、B1(最下層)⇒G3⇒G2⇒G1⇒A1(最上層)の順に5層積層させた膜を形成し、反射防止膜を作製した。各層の塗布においては、下層を塗布可能なレベルまで十分硬化した(メタルハライドランプ使用で、積算露光量1000mJ/cm)。得られた反射防止膜について実施例14と同様に評価を実施した。
【0115】
各実施例にて用いたインクの有機材料及び得られた反射防止膜の評価結果を表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
【表2】

【0118】
実施例1〜13は反射防止効果、膜の透明性、基材密着性が良好であり、インクジェット法A及びB(描画混合法)により作成した傾斜機能構造を有す膜が反射防止膜形成に有効であることが示され、2種のインクジェット法での効果の差は無く、どちらの方法でも十分な機能を有す反射防止膜形成が可能である。また、実施例14ではインクジェット法C(インク混合法)により作成した傾斜機能構造を有す膜においても同様に反射防止効果、膜の透明性、基材密着性が良好であり、本方法においても作成した傾斜機能構造を有す膜が反射防止膜形成に有効であることが示された。
【0119】
一方、比較例1及び2のように、屈折率傾斜膜ではなく、屈折率傾斜のない単一層とした場合、反射防止効果が得られず、低屈折率インクの表面エレルギーに起因すると考えられる基材密着性が悪化する。加えて、比較例3のようにバー塗布にて作成した傾斜積層膜では、下層を十分硬化してからの塗布する必要があり、そこで生成する界面の影響で、反射防止効果が低減し、各層間での剥離による密着性低下が見られ、インクジェット法に比べ問題があることが示された。
【符号の説明】
【0120】
1 反射防止膜
2 基材
3 屈折率傾斜膜
10 描画部
100 屈折率傾斜膜作製装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、厚み方向において前記基材に最も遠い側から前記基材に最も近い側に向かって可視光領域の屈折率が1.0から2.5の範囲で連続的に大きくなる屈折率傾斜膜を有し、可視光領域の透過率が70%以上の反射防止膜の製造方法であって、
屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料をインクジェット法により前記基材上に吐出して前記屈折率傾斜膜を形成する、反射防止膜の製造方法。
【請求項2】
前記屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料として、少なくとも、第1の有機材料と該第1の有機材料より高い屈折率の第2の有機材料を用い、
前記インクジェット法が、少なくとも第1のインクジェットヘッドと第2のインクジェットヘッドを用いるものであり、
前記第1の有機材料を含む第1のインクを第1のインクジェットヘッドに供給する工程と、
前記第2の有機材料を含む第2のインクを第2のインクジェットヘッドに供給する工程と、
前記第1のインクジェットヘッドから吐出される前記第1のインクの吐出量と前記第2のインクジェットヘッドから吐出される前記第2のインクの吐出量との比率を決定する制御工程と、
前記決定された比率に従って、前記第1のインクジェットヘッド及び前記第2のインクジェットヘッドの少なくとも一方から前記第1のインク又は前記第2のインクを吐出させて1つの層を形成する形成工程と、
前記形成工程を繰り返して前記基材上に前記層を複数層積層して前記屈折率傾斜膜を得る積層工程と、
を備え、
前記制御工程において、前記複数層の厚み方向において前記基材に近い層から遠い層に向かって、前記第1のインクの吐出量の比率が大きくなり、かつ前記第2のインクの吐出量の比率が小さくなるように前記比率を決定する、請求項1に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項3】
前記形成工程において、前記第1のインクの吐出量と第2のインクの吐出量のうち前記比率が大きい方のインクを先に吐出させる、請求項2に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項4】
前記形成工程において、前記第1のインクジェットヘッド及び前記第2のインクジェットヘッドのうち一方のヘッドから吐出させたインクの着弾位置に、他方のヘッドから吐出させたインクが重なって着弾するようにインクを吐出させる、請求項2又は3に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項5】
前記形成工程において、前記第1及び第2のインクジェットヘッドから吐出するインク滴の液滴量を0.3〜100pLとする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項6】
前記形成工程において、前記第1及び第2のインクジェットヘッドから吐出するインク滴の液滴径を1〜300μmとする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項7】
前記形成工程において、前記第1のインクと第2のインクのうち前記比率が小さい方のインクについて、インクジェットヘッドから吐出するインク滴の液適量及び液滴径の少なくとも一方を前記比率が大きなインクより小さくする、請求項5又は6に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項8】
前記屈折率が異なる少なくとも2種の有機材料として、少なくとも、第1の有機材料と該第1の有機材料より高い屈折率の第2の有機材料を用い、
前記インクジェット法が、複数のインクジェットヘッドを用いるものであり、
前記第1の有機材料を含む第1のインクと前記第2の有機材料を含む第2のインクとが混合された混合インクであって、それぞれ異なる比率で混合された複数の混合インクを前記複数のインクジェットヘッドのそれぞれのインクジェットヘッドに供給する工程と、
前記複数のインクジェットヘッドから1つのインクジェットヘッドを順に選択する選択工程であって、前記第1のインクの比率の低い混合インクが供給されるインクジェットヘッドから順に選択する選択工程と、
前記選択されたインクジェットヘッドから混合インクを吐出させて1つの層を形成する形成工程と、
前記形成工程を繰り返して前記基材上に前記層を複数層積層して前記屈折率傾斜膜を得る積層工程と、
を備える、請求項1に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項9】
前記形成工程において、前記インクジェットヘッドから吐出するインク滴の液滴量を0.5〜150pLとする、請求項8に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項10】
前記形成工程において、前記インクジェットヘッドから吐出するインク滴の液滴径を2〜450μmとする、請求項8又は9に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項11】
前記複数層の、任意の隣り合う2つの層の屈折率差が0.5以下である、請求項2〜10のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項12】
前記第1及び第2のインクが、硬化型インクジェットインク組成物である、請求項2〜11のいずれか1項に記載の屈折率傾斜膜の作成方法。
【請求項13】
前記第1及び第2のインクが、溶剤型インクジェットインク組成物である、請求項2〜11のいずれか1項に記載の屈折率傾斜膜の作成方法。
【請求項14】
前記形成工程において吐出された層を半乾燥又は半硬化させる工程を有する、請求項2〜12のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法。
【請求項15】
前記形成工程において、吐出された前記第1のインクと前記第2のインクを拡散混合させる工程を有する、請求項2〜14のいずれか1項に記載の反射防止膜の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−181290(P2012−181290A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43411(P2011−43411)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】