説明

反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法

【課題】
得られる硬化物において赤変等の着色が殆どない硬化性組成物の主成分である反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法で、不飽和基を有する有機重合体に水素化ケイ素化合物を付加(ヒドロシリル化)させる反応を、より効果的に促進する新たな反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】
第8族遷移金属を含む触媒、および炭素数が3個以上の有機基を2個以上有するキノン化合物の存在下で、不飽和基を有する有機重合体に、一般式(1):
abcSi (1)
(式中、a個のRはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはトリオルガノシロキシ基である。b個のXはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、水酸基等の加水分解性基である。a、bは0〜3の整数、cは1〜3の整数で、a+b+c=4である。)で示される水素化ケイ素化合物を、付加(ヒドロシリル化)させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、不飽和基を有する有機重合体に水素化ケイ素化合物を付加(ヒドロシリル化)させることによって得られる反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Si−H基を有する水素化ケイ素化合物が、炭素−炭素不飽和結合に付加する反応は、一般にヒドロシリル化反応とよばれている。
【0003】
ヒドロシリル化反応を工業的に利用するにあたり、主要な課題としては、反応中に触媒の活性が低下する等の理由により、反応速度が低下したり、あるいは反応が停止することなどを抑制することが挙げられる。
反応速度の低下は、反応に要する時間の増大とともに、副反応生成物の発生を助長し、その結果、所望とする生成物の収率が低下する場合がある。
反応速度の低下を抑制するため、金属触媒の添加量を増やすことが考えられるが、金属触媒は一般に高価でありコスト的に不利となる傾向がある。
【0004】
さらに、反応終了後に触媒を除去することが困難なため、反応生成物中に残留する触媒量が増える傾向がある。反応生成物中に残存する触媒量が増加すると、製品の物性、性状に悪影響を及ぼす場合があり、例えば、高分子重合体のヒドロシリル化反応の場合は、黒色粉末の触媒に由来して、製品が黒く濁ってしまうという問題などがある。
【0005】
このため、従来からヒドロシリル化反応の反応速度の低下を抑制するための、種々の方法や添加剤が提案されている。
【0006】
ヒドロシリル化反応を促進する有効な方法としては、例えば、失活した白金触媒を再活性化する為に酸素を使用する方法(非特許文献1、2や特許文献1.2等)があげられる。
【0007】
また、ヒドロシリル化反応を促進する有効な添加剤としては、例えば、アセチレンアルコール類(特許文献3)、不飽和の第二及び第三アルコール類(特許文献4)、第三アルコール類(特許文献5)、不飽和ケトン類(特許文献6)、エン−イン不飽和化合物(特許文献7)、カルボン酸化合物(特許文献8)等があげられる。
【0008】
前記に加えて、Karsted触媒の配位子(テトラメチルビニルシロキサン)を2−メチル−1,4−ナフトキノンなどに変換し、活性を高めた白金触媒を用いる方法(非特許文献3および特許文献9)、ビニル基、アリル基を含有する重合体にキノン化合物を添加して、ヒドロシリル化を促進する方法があげられる(特許文献10)。
【0009】
しかしながら、キノン化合物には1,4−ベンゾキノンのように急性毒性のある化合物が含まれ、選択をあやまると、製造時や施工時において環境汚染や人体への悪影響が懸念される。また、1,4−ナフトキノン構造を有する化合物は、急性毒性は少ないが、シリル化反応により得られる有機重合体を用いた、硬化物は着色しやすく、特に、硬化触媒として、アミノ化合物を用いると赤く変色する場合がある。
【0010】
これは、特に硬化物を建築用のシーリング剤など表面現れ外部から目視可能な部材として使用する際に問題となる。つまり、シーリング剤などに用いられる硬化性組成物は、着色剤などを添加し、使用される部分との意匠を調和させているが、硬化性組成物のベースとなる有機重合体が着色すると、着色剤を添加しても意匠の調和性を改善することが出来ない場合があるという問題である。
【特許文献1】特開平5−213972号公報
【特許文献2】特開平8−283339号公報
【特許文献3】特開平8−231563号公報
【特許文献4】特開平8−291181号公報
【特許文献5】特開平8−333373号公報
【特許文献6】特開平8−208838号公報
【特許文献7】特開平9−25281号公報
【特許文献8】特開平11−246770号公報
【特許文献9】特表2000−514849号公報
【特許文献10】特開2001−206908号公報
【非特許文献1】Onopchenko.A.ら、J.Org.Chem.,52,4118,(1987)
【非特許文献2】Lewis.L.N.ら、J.Am.Chem.Soc.,112,5998,(1990)
【非特許文献3】Jean Fisherら、Chem.Eur.J.,4,2008-2017,(1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、得られる硬化物において赤変等の着色が殆どない硬化性組成物のベース樹脂である反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法で、不飽和基を有する有機重合体に水素化ケイ素化合物を付加(ヒドロシリル化)させる反応を、より効果的に促進する新たな反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記問題を解決するために鋭意検討した結果、
炭素−炭素不飽和結合を有する有機重合体のヒドロシリル化に際して、触媒として第8遷移金属を含む化合物と、助触媒として特定構造を有するキノン化合物を併用して使用することにより、これまで、キノン化合物を使用する際の問題点であった環境適合性に関する懸念、着色問題等を解決出来ること。
更に、これまで触媒単独の系では、反応系中に酸素を添加しても到達困難であった工業的に有利なレベルの反応速度を、少量の酸素の添加もしくは無酸素下で達成できること。
を見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、
(I).第8族遷移金属を含む触媒(C)、および
炭素数が3個以上の有機基を2個以上有するキノン化合物(D)、
の存在下で、不飽和基を有する有機重合体(B)に、一般式(1):
abcSi (1)
(式中、a個のRはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはトリオルガノシロキシ基である。b個のXはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、水酸基等の加水分解性基である。a、bは0〜3の整数、cは1〜3の整数で、a+b+c=4である。)で示される水素化ケイ素化合物(A)を、付加(ヒドロシリル化)させることを特徴とする反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(II).キノン化合物(D)が、分子中にtert−ブチル基を2個以上有することを特徴とする(I)に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(III).キノン化合物(D)が、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンまたは2,6−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンであることを特徴とする(I)、(II)のいずれかに記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(IV).有機重合体(B)の主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、(メタ)アクリル系重合体、および(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする(I)〜(III)のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(V).有機重合体(B)中の不飽和基が2−メチルアリル基であることを特徴とする(I)〜(IV)のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(VI).有機重合体(B)の主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体であることを特徴とする(I)〜(V)のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(VII).有機重合体(B)の主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体であることを特徴とする(I)〜(VI)のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(VIII).有機重合体(B)の主鎖骨格が、イソブチレンに由来する繰り返し単位からなる飽和炭化水素系重合体であることを特徴とする(I)〜(V)および(VII)のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(IX).有機重合体(B)の主鎖骨格が、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレンに由来する繰り返し単位からなる飽和炭化水素系重合体であることを特徴とする(I)〜(V)および(VII)〜(VIII)のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(X).有機重合体(B)の主鎖骨格が、(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする(I)〜(V)のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(XI).有機重合体(B)の主鎖骨格が、アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とする(I)〜(V)のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(XII).有機重合体(B)の分子量分布が、1.8未満であることを特徴とする(X)または(XI)に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(XIII).有機重合体(B)の主鎖骨格の末端が、不飽和基であることを特徴とする(I)〜(XII)のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(XIV).酸化防止剤の存在下、反応容器中に体積分率で酸素を0.1%以上添加させ、不飽和基を有する有機重合体(B)に、水素化ケイ素化合物(A)を付加(ヒドロシリル化)させることを特徴とする(I)〜(XIII)のいずれか1項記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法、
(XV).(I)〜(XIV)の製造方法によって得られた反応性ケイ素基を有する有機重合体を含む硬化性組成物、
に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の反応ケイ素基を有する有機重合体の製造方法では、従来、反応速度の促進が困難であった不飽和基を有する有機重合体のヒドロシリル化を、過剰の触媒を使用することなく、少量の酸素の添加もしくは無酸素下で促進することが出来る。また、本発明の反応性ケイ素基を有する有機重合体を主成分とする硬化性組成物、および得られる硬化物は着色性が大幅に改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0016】
本発明は、反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法に関する。
ここで、反応性ケイ素基とは、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有する有機基である。反応性ケイ素基を有する重合体は、シラノール縮合触媒によって加速される反応によりシロキサン結合が形成され、架橋する特徴を有する。
【0017】
反応性ケイ素基としては、
−SiR
(式中、a個のRはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはトリオルガノシロキシ基である。b個のXはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基または水酸基である。a、bは0〜3の整数、cは1〜3の整数で、a+b+c=4である。)で示されるケイ素基があげられる。
【0018】
本発明の製造方法によって得られる反応性ケイ素基を有する有機重合体は、主に硬化性組成物の主剤として好適に使用される。前記硬化性組成物は、粘着剤;建造物、船舶、自動車、道路などのシーリング材;接着剤;型取剤;防振材;制振材;防音材;発泡材料;塗料;吹付材などに好適に使用され、これらの用途のなかでも、得られる硬化物が柔軟性および接着性に優れていることから、シーリング材または接着剤として使用されることがより好ましい。
【0019】
本発明では、反応性ケイ素基を有する有機重合体は、第8族遷移金属を含む触媒(C)、およびキノン化合物(D)の存在下で、不飽和基を有する有機重合体(B)に、水素化ケイ素化合物(A)、を付加(ヒドロシリル化)させることによって得られる。
【0020】
水素化ケイ素化合物(A)とは、一般式(1):
abcSi (1)
(式中、a個のRはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはトリオルガノシロキシ基である。b個のXはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基または水酸基である。a、bは0〜3の整数、cは1〜3の整数で、a+b+c=4である。)で示される化合物をいう。
【0021】
ここで、水素化ケイ素化合物(A)は、不飽和基を有する有機重合体(B)に付加(ヒドロシリル化)され、有機重合体(B)に反応性ケイ素基を導入する役割を担う。
【0022】
水素化ケイ素化合物(A)としては、特に限定されず、従来から公知の化合物があげられ、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、トリメチルシロキシジクロロシランなどのハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、メトキシジメチルシラン、ジメトキシフェニルシラン、1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチル−1,1−ジメトキシテトラシロキサンなどのアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシランなどのアシロキシシラン類;ジメチルシラン、トリメチルシロキシメチルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンなどの分子中にSi−H結合を2個以上有するハイドロシラン類;メチルジ(イソプロペニルオキシ)シランなどのアルケニルオキシシラン類などが挙げられ、これらの中では、メチルジクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシランが好ましい。
【0023】
水素化ケイ素化合物(A)の使用量としては、後述する不飽和基を有する有機重合体(B)中の不飽和基に対する比率(モル比率)が重要となり、モル比(不飽和基のモル数/水素化ケイ素化合物(A)のモル数)としては、0.1〜20が好ましく、0.5〜3がより好ましい。
【0024】
有機重合体(B)は、水素化ケイ素基(A)と付加反応(ヒドロシリル化反応)が可能な不飽和基を、分子中に少なくとも1個有している有機重合体である。なお、前記不飽和基を、ヒドロシリル化活性のある不飽和基と呼ぶ場合もある。
【0025】
有機重合体(B)としては、ヒドロシリル化活性のある不飽和基を有していれば、特に限定されず、従来から公知の各種重合体をあげることができる。このなかでも、一般式(2):
2C=C(R1)−R2− (2)
(式中R1は炭素数10以下の炭化水素基である。R2は水素、酸素及び窒素からなる群より選択される少なくとも1種を有する炭素数1から20の2価の有機基である。)
で示される、側鎖(R1で示される炭化水素基)を持つた炭素−炭素不飽和結合を有する有機重合体が、ヒドロシリル化反応による反応性ケイ素基の導入率を高めることが可能なこと、反応性ケイ素基の導入率が高い有機重合体からなる硬化物は、優れた物理的性質を有すること、などから好ましい。
【0026】
有機重合体(B)1分子中に存在するヒドロシリル化活性のある不飽和基の数は、少なくとも1個以上であり、1.1〜10.0個が好ましい。
【0027】
一般式(2)記載の不飽和基としては、特に限定されず、たとえば、2−メチルアリル基、メタクリロイル基などがあげられる。これら不飽和基は、主鎖および側鎖の末端に存在するのが好ましい。
【0028】
有機重合体(B)の数平均分子量としては、クロロホルムを移動相とするGPCの測定値をポリスチレンで換算した値において、500〜200,000が好ましく、1,000〜100,000がより好ましく、5,000〜50,000が特に好ましい。
【0029】
また、有機重合体(B)の製造方法としては、特に限定されず、従来から公知の製造方法があげられる。
【0030】
有機重合体(B)の主鎖骨格としては、特に限定されず、たとえば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体などのポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体;ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンなどとの共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレンなどとの共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル及びスチレンなどとの共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体などの炭化水素系重合体;アジピン酸などの2塩基酸とグリコールとの縮合、または、ラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの化合物をラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体;(メタ)アクリル酸エステル系化合物、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンなどの化合物をラジカル重合して得られるビニル系重合体;前記重合体中でビニル系化合物を重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ε−カプロラクタムの開環重合によるポリアミド6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるポリアミド6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合によるポリアミド6・10、ε−アミノウンデカン酸の縮重合によるポリアミド11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるポリアミド12、前記ポリアミドの複数からなる共重合ポリアミドなどのポリアミド系重合体;ビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合によるポリカーボネートなどのポリカーボネート系重合体;ジアリルフタレート系重合体;などの有機重合体があげられる。
【0031】
このなかでも、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエンなどの飽和炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、を主鎖骨格にもつ有機重合体(B)は比較的ガラス転移温度が低く、耐寒性に優れることから好ましい。
【0032】
なお、前記の記載方法「(メタ)アクリル」は、アクリルおよび/またはメタクリルを示すものであり、「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを示すものである。以後の記載方法においても同様の意味を示す。
【0033】
有機重合体(B)のガラス転移温度は、特に限定されず、20℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度が20℃を上回ると、硬化性組成物の冬季または寒冷地での粘度が高くなり作業性が悪くなる傾向があり、また、得られる硬化物の柔軟性や伸びが低下する傾向がある。なお、前記ガラス転移温度はJIS K7121規定の測定方法に則ったDSCの測定により求めることができる。
【0034】
また、飽和炭化水素系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体および(メタ)アクリル酸エステル系重合体を主鎖骨格に持つ有機重合体(B)からなる反応性ケイ素基を有する有機重合体を主成分とする硬化性組成物は、接着剤やシーリング材として使用した際、低分子量成分の被接着物への移行(汚染)などが少なくより好ましい。
【0035】
さらに、ポリオキシアルキレン系重合体および(メタ)アクリル酸エステル系重合体を主鎖骨格に持つ有機重合体(B)からなる反応性ケイ素基を有する有機重合体は、透湿性が高く、一液型の接着剤やシーリング材などの主成分として使用した際、深部硬化性に優れ、得られる硬化物は接着性が優れることなどから特に好ましく、ポリオキシアルキレン系重合体を主鎖骨格に持つ有機重合体(B)が最も好ましい。
【0036】
有機重合体(B)の主鎖骨格の構造は、特に限定されず、線状でも、枝分かれ状でも良い。
【0037】
本発明で使用される触媒(C)は、第8族遷移金属を含む。
第8族遷移金属としては、たとえばコバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、プラチナ(白金)などがあげられる。
【0038】
第8族遷移金属を含む触媒(C)としては、前記の第8属遷移金属の金属単体、金属塩あるいは有機化合物との錯体があげられ、たとえば、アルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に白金を担持させたもの、塩化白金酸;塩化白金酸と、アルコールやアルデヒドやケトンなど、とからなる塩化白金酸錯体;白金−オレフィン錯体[例えばPt(CH=CH(PPh)、Pt(CH=CHCl];白金−ビニルシロキサン錯体[Pt{(vinyl)MeSiOSiMe(vinyl)}、Pt{Me(vinyl)SiO}];白金−ホスフィン錯体[Ph(PPh、Pt(PBu];白金−ホスファイト錯体[Pt{P(OPh)]などが好ましい。
【0039】
また、ジカルボニルジクロロ白金や、Ashbyの米国特許第3159601および3159662号明細書中に記載の白金−炭化水素複合体、Lamoreauxの米国特許第3220972号明細書中に記載の白金−アルコラート触媒も好ましい。
【0040】
さらに、Modicの米国特許第3516946号明細書中に記載の塩化白金−オレフィン複合体も好ましい。
【0041】
前記の第8族遷移金属を含む触媒のなかでも、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アセチルアセトナート錯体、白金−ビニルシロキサン錯体は、比較的反応活性が高いためより好ましい。
【0042】
前記の触媒は反応系中に1種類のみを添加してもよく、複数種を組み合わせて添加しても良い。
【0043】
触媒(C)の添加量は、不飽和基を有する有機重合体(B)の添加量に対する比率が重要となり、モル比(触媒(C)のモル数/不飽和基のモル数)としては、10−1から10−8が好ましく、10−3から10−6がより好ましい。モル比(触媒(C)のモル数/不飽和基のモル数)が10−8より少ない場合は、ヒドロシリル化反応が十分に進行しない場合がある。また、モル比が10−1を超えると、原料コストの増大や、触媒残渣の混入により製品の着色や透明度の低下などの問題が発生する場合がある。
【0044】
触媒(C)の添加方法としては、触媒を安定化すること、取扱が容易なこと、などにより、触媒(C)を種々の溶媒に溶解して添加する方法が好ましい。触媒(C)を溶媒に溶解して添加する場合に用いられる溶媒としては、特に限定されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒;ハロゲン化炭化水素;アルコール;グリコール類;エーテル類;エステル類などがあげられる。
【0045】
本発明では、分子中に炭素数3個以上の有機基を2個以上有するキノン化合物(D)が使用される。
【0046】
キノン化合物(D)は触媒(C)と併用して用いられ、触媒(C)の助触媒としての働きを担う。
キノン化合物(D)を添加することにより、ヒドロシリル化反応を少量の酸素の添加もしくは無酸素下で、触媒(C)単独の系では困難であった良好な反応速度で進行させることができる。
さらには、副反応生成物の発生が抑制され、また、触媒(C)の添加量を減少させることが可能となる。
【0047】
本発明で使用される分子中に炭素数3個以上の有機基を2個以上有するキノン化合物は以下の特徴を有する化合物である。
・急性毒性が少なく、製造時や施工時において環境汚染や人体への悪影響が少ない。
・特開2001−206908号公報に記載の2−メチル−1,4―ナフトキノンとほぼ同等のヒドロキシル化反応の促進効果を有する。
・2−メチル−1,4―ナフトキノン添加の系で発生した、硬化触媒等との反応に起因すると考えられる赤変等の着色を大幅に抑制する。
【0048】
本発明では、このような特性を有する分子中に炭素数3個以上の有機基を2個以上有するキノン化合物を使用することにより、これまでキノン化合物を助触媒として使用する際の問題点(環境適合性に関する懸念、着色等)を解決することが可能となる。
【0049】
キノン化合物(D)としては、分子中に炭素数3個以上の有機基を2個以上有していれば特に限定されず、たとえば、2,5−ジ−tert−ブチル−1、4−ベンゾキノン、2,6−ジ゛−tert−ブチル−1、4−ベンゾキノン、などがあげられる。
【0050】
反応系中へのキノン化合物(D)の添加方法としては、キノン化合物をそのまま添加しても良いが、取扱が容易なこと、反応液全体に均一に分散することが可能なことなどから、キノン化合物を溶媒で溶解させ、均一な希釈溶液にしたのち添加することが好ましい。また、添加方法としては、一括、分割、連続のどの方法でも良い。
【0051】
キノン化合物(D)を溶媒に希釈して添加する場合に用いられる溶媒としては、特に限定されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、あるいはハロゲン化炭化水素、アルコール、グリコール類、エーテル類、エステル類等が挙げられる。
【0052】
キノン化合物(D)の添加量としては、触媒(C)の添加量に対する比率(モル比率)が重要となり、モル比(キノン化合物(D)のモル数/触媒(C)のモル数)としては、5〜5×10が好ましく、5〜5×10がより好ましく、5〜5×10が特に好ましく、5〜5×10が最も好ましい。モル比が5倍よりも少ないと有機重合体のヒドロシリル化の反応活性が低下し、5×10倍よりも多いと、添加量に見合う促進効果が得られない場合がある。
【0053】
なお、Jean Fisherらが(Chem.Eur.J.,4,2008-2017,(1998))開示しているように、触媒(C)と等モルのキノン化合物(D)を添加した場合、触媒(C)に対するキノン化合物(D)の添加量が少なく、本発明の効果が十分に達成されない場合がある。
【0054】
また、キノン化合物(D)の添加量としては、不飽和基を有する有機重合体(B)の添加量に対する比率も重要となり、モル比(キノン化合物(D)のモル数/不飽和基のモル数)としては、0.00001〜100倍が好ましく、0.0001〜10倍がより好ましく、0.001〜1倍が特に好ましい。
【0055】
本発明にかかわるヒドロシリル化反応は、無溶媒系でも溶媒存在下でも実施可能である。ヒドロシリル化反応の際に使用される溶媒としては、特に限定されず、たとえば、炭化水素;ハロゲン化炭化水素;エーテル類;エステル類などがあげられ、このなかでも、ヘプタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが好ましい。
【0056】
本発明にかかわるヒドロシリル化反応は、可燃性物質取扱上、安全性を確保するため窒素やヘリウムなどの不活性ガス下で実施される。ただし、ヒドロシリル化反応の促進効果があることから、爆発性混合組成を与えない範囲で不活性ガス中に酸素を混合することが好ましい。
【0057】
反応容器中の気相部に含まれる酸素の体積分率としては、0.1%以上が好ましく、0.5〜10%がより好ましい。酸素の体積分率が0.1%未満の場合、ヒドロシリル化反応の促進効果が発現しない場合がある。
【0058】
なお、気相部に酸素を混合してヒドロシリル化反応を行う場合、反応溶媒や可塑剤が混合される酸素により酸化されることを抑制するため、酸化防止剤、ラジカル連鎖禁止剤などを添加することが好ましい。
【0059】
酸化防止剤としては、特に限定されず、たとえば、ラジカル連鎖禁止剤の機能を有するフェノール系酸化防止剤、より具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス{メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどがあげられる。
【0060】
ラジカル連鎖禁止剤としては、特に限定されず、たとえば、アミン系酸化防止剤、より具体的には、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンなどがあげられる。
【0061】
本発明にかかわるヒドロシリル化反応の反応温度は、30℃以上200℃以下が好ましく、50℃以上150℃以下がより好ましい。
【実施例】
【0062】
以下に本発明の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法について、実施例をあげて更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体にてプロピレンオキサイドの重合を行い、分子量20,000の水酸基末端ポリプロピレンオキサイドを得た。
【0063】
続いてこの水酸基末端ポリプロピレンオキサイド中の水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加した。メタノールを留去した後、更に3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加して末端の水酸基を2−メチルアリル基に変換した。
【0064】
撹拌機を備えた0.5L耐圧反応器に、末端が2−メチルアリル基である分子量20000のポリプロピレンオキサイド(有機重合体(B))100gに対しヘキサンを2g加えて90℃で共沸脱水を行った。
ヘキサンを減圧下、留去後、窒素置換した後、末端に2−メチルアリル基を有するポリプロピレンオキサイドを100℃に昇温し、触媒(C)として、白金ビニル触媒(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)を12.7μl加えた。
【0065】
更に酸化防止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを0.5g、キノン化合物(D)として、2,5−ジ−tert−ブチル−1、4−ベンゾキノン0.22gを1.1gのトルエンに溶解して加えた。
【0066】
5分間撹拌後、水素化ケイ素化合物として、DMS(ジメトキシメチルシラン)2.3gを0.5分かけて加えた。この混合溶液を100℃で反応させ、1H−NMRで経時的に反応を追跡した。
【0067】
反応追跡の結果、シリル基導入率は1時間後に90%、2時間後に96%、3時間後に98%であった。3時間で反応は終了したと判断し、未反応DMSを減圧下留去した。
【0068】
1H−NMR分析の結果、得られた重合体の末端に導入されたジメトキシメチルシリル基の導入率は98%であった。得られた重合物はほとんど無色(ガードナーで1)であった。
【0069】
また、得られた重合体100部に対しオクチル酸スズ(日東化成(株)製 製品名:ネオスタンU−28)6部、ラウリルアミン1部、水0.6部を添加、よく混合し硬化養生後50%伸びモジュラス(M50)を測定した。M50は0.32MPaであった。なお、シートはほとんど無色であった。
(実施例2)
キノン化合物(B)として、2,6−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンを0.22g使用した以外は実施例1と同様な方法にて、ヒドロシリル化反応を実施した。
【0070】
シリル基導入率は1時間後に97%、2時間後に99%であった。2時間で反応は終了したと判断し未反応DMSを減圧下留去した。
【0071】
1H−NMR分析の結果、得られた重合体の末端に導入されたジメトキシメチルシリル基の導入率は98%であった。得られた重合体はほとんど無色(ガードナーで1)であった。
【0072】
得られた重合体100部に対しオクチル酸スズ(日東化成(株)製 製品名:ネオスタンU−28)6部、ラウリルアミン1部、水0.6部を添加、よく混合し硬化養生後50%伸びモジュラス(M50)を測定した。M50は0.34MPaであった。なお、シートはほとんど無色であった。
(実施例3)
実施例1と同様の条件にて、ただし、分子量25,000の水酸基末端ポリエーテルオリゴマーを用い、末端の水酸基を2−メチルアリル基に変換したオリゴマーを用いた。
【0073】
得られたオリゴマー100gに対しヘキサンを2g加えて90℃で共沸脱水をし、ヒドロシリル化反応を実施した。
【0074】
シリル基導入率は1時間後に92%、2時間後に97%、3時間後に99%であった。3時間で反応は終了したと判断し未反応DMSを減圧下留去した。
【0075】
1H−NMR分析の結果、得られた重合体の末端に導入されたジメトキシメチルシリル基の導入率は98%であった。
【0076】
得られた重合体はほとんど無色(ガードナーで1)であった。得られた重合体100部に対しオクチル酸スズ(日東化成(株)製 製品名:ネオスタンU−28)6部、ラウリルアミン1部、水0.6部を添加、よく混合し硬化養生後50%伸びモジュラス(M50)を測定した。M50は0.33MPaであった。なお、シートはほとんど無色であった。
(実施例4)
反応器の気相部分に酸素を6vol%含有する窒素を常圧で仕込んだ以外は実施例1と同様な方法にて、ヒドロシリル化反応を実施した。 シリル基導入率は1時間後に93%、2時間後に99%であった。2時間で反応は終了したと判断し、未反応DMSを減圧下留去した。
【0077】
1H−NMR分析の結果、得られた重合体の末端に導入されたジメトキシメチルシリル基の導入率は98%であった。
【0078】
得られた重合体はほとんど無色(ガードナーで1)であった。得られた重合体100部に対しオクチル酸スズ(日東化成(株)製 製品名:ネオスタンU−28)6部、ラウリルアミン1部、水0.6部を添加、よく混合し硬化養生後50%伸びモジュラス(M50)を測定した。M50は0.34MPaであった。なお、シートはほとんど無色であった。
(比較例1)
キノン化合物(D)として、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンを添加しなかった以外は実施例1と同様な方法にてヒドロシリル化反応を実施した。シリル基導入率は2時間で36%、4時間で44%、6時間で53%であり、その後反応は進まなかった。
(比較例2)
キノン化合物(D)として、2−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンを0.411g添加した以外は実施例1と同様な方法にてヒドロシリル化反応を実施した。シリル基導入率は2時間で71%、2時間で91%、3時間後に96%であった。なお、反応生成物は濃黄色であった。また、硬化生成物は赤色であった。
(比較例3)
キノン化合物(D)として、2,6−ジ−メチル−1,4−ベンゾキノンを0.136g添加した以外は実施例1と同様な方法にてヒドロシリル化反応を実施した。シリル基導入率は1時間で97%、2時間で98%であった。なお、反応生成物は濃黄色であった。また、硬化生成物は赤色であった。
(比較例4)
キノン化合物(D)として、2−メトキシ−1,4−ナフトキノンを0.188g添加した以外は実施例1と同様な方法にてヒドロシリル化反応を実施した。シリル基導入率は1時間で95%、2時間で97%であった。なお、反応生成物は赤橙色であった。また、硬化生成物も赤橙色であった。
【0079】
実施例1〜3で示したように、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンまたは2,6−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンを存在させることで、窒素雰囲気下においてヒドロシリル化反応を短時間で収率良く完了させることが出来た。また、得られた重合体および硬化生成物はほとんど無色であった。
【0080】
これに対して、キノン化合物(D)を存在させなかった比較例1では、ヒドロシリル化反応は6時間で53%しか反応が進まなかった。
【0081】
また、キノン化合物(D)として分子中に炭素数3個以上の有機基を2個以上有さない化合物を添加した比較例2〜4では、反応は促進できたが、得られた重合体および硬化性生物が濃黄色や赤色、赤橙色であった。
【0082】
また、Jean Fisherら(Chem.Eur.J.,4,2008-2017,(1998))は、酸素が1%存在するとヒドロシリル化反応の促進効果が少ないと述べているが、実施例4で示したように酸素が6%存在しても何ら促進効果に影響しないことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第8族遷移金属を含む触媒(C)、および
炭素数が3個以上の有機基を2個以上有するキノン化合物(D)、
の存在下で、不飽和基を有する有機重合体(B)に、一般式(1):
abcSi (1)
(式中、a個のRはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはトリオルガノシロキシ基である。b個のXはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、水酸基等の加水分解性基である。a、bは0〜3の整数、cは1〜3の整数で、a+b+c=4である。)で示される水素化ケイ素化合物(A)を、付加(ヒドロシリル化)させることを特徴とする反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項2】
キノン化合物(D)が、分子中にtert−ブチル基を2個以上有することを特徴とする請求項1に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項3】
キノン化合物(D)が、2,5−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンまたは2,6−ジ−tert−ブチル−1,4−ベンゾキノンであることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項4】
有機重合体(B)の主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、(メタ)アクリル系重合体、および(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項5】
有機重合体(B)中の不飽和基が2−メチルアリル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項6】
有機重合体(B)の主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項7】
有機重合体(B)の主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項8】
有機重合体(B)の主鎖骨格が、イソブチレンに由来する繰り返し単位からなる飽和炭化水素系重合体であることを特徴とする請求項1〜5および請求項7のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項9】
有機重合体(B)の主鎖骨格が、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレンに由来する繰り返し単位からなる飽和炭化水素系重合体であることを特徴とする請求項1〜5および請求項7〜8のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項10】
有機重合体(B)の主鎖骨格が、(メタ)アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項11】
有機重合体(B)の主鎖骨格が、アクリル酸エステル系重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項12】
有機重合体(B)の分子量分布が、1.8未満であることを特徴とする請求項10または11に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項13】
有機重合体(B)の主鎖骨格の末端が、不飽和基であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項14】
酸化防止剤の存在下、反応容器中に体積分率で酸素を0.1%以上添加させ、不飽和基を有する有機重合体(B)に、水素化ケイ素化合物(A)を付加(ヒドロシリル化)させることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜14の製造方法によって得られた反応性ケイ素基を有する有機重合体を含む硬化性組成物。

【公開番号】特開2008−195822(P2008−195822A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32072(P2007−32072)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】