説明

反応性ホットメルト接着剤組成物

【課題】初期接着力と硬化反応後の接着力のどちらにおいても実用に十分な強度を有し、かつ安価である反応性ホットメルト接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】以下の(a)〜(c)を満たすプロピレン系重合体、ポリオールおよびポリイソシアナート化合物を含有してなる反応性ホットメルト接着剤組成物である。
(a)[mmmm]=20〜80モル%
(b)分子量分布(Mw/Mn)≦4.0
(c)アセトン可溶部が0.5質量%以下

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のプロピレン系重合体、ポリオールおよびポリイソシアナート化合物を含有してなり、初期接着力と硬化反応後の接着力のどちらにおいても、実用に十分な強度を有し、かつ安価である反応性ホットメルト接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性ホットメルト接着剤は、反応型の接着剤とホットメルト型の接着剤との両方の性質を有しており、通常、常温で非粘着性の反応性ホットメルト接着剤を被着体に塗布した後、加熱プレスを行い接着が行われる。反応性ホットメルト接着剤としては、例えば、分子末端にイソシアナート基を有するウレタンプレポリマーを主成分とし、湿気で硬化するものが知られており、当該反応性ホットメルト接着剤は、塗布作業性、初期接着力、硬化後の接着力及び耐熱性等が比較的良好であり、プラスチック段ボール、フィルムラミネートシート、合板、建築部材、自動車内外装部材等の接着に幅広く使用されている。
【0003】
また、反応性ホットメルト接着剤に関しては、これまでに、各種性能、特に強度の向上を目的として様々な技術開発が行われている。例えば、特許文献1には、エチレン−酢酸ビニル−グリシジル(メタ)アクリレート3元共重合体等の不飽和アルコキシシラン化合物グラフト変性体よりなるホットメルト接着剤が開示されている。特許文献2には、特定のアモルファスポリ−α−オレフィン重合体に、アルコキシシラン化合物を反応させてなるグラフト変性体を用いるホットメルト接着剤が開示されている。特許文献3には、ウレタンプレポリマー及びメタロセンポリオレフィンからなる反応性ホットメルト接着剤が開示されている。特許文献4には、ウレタンプレポリマーと、オレフィン系樹脂等からなる反応性ホットメルト接着剤が開示されている。特許文献5には、特定のポリオレフィン樹脂をポリイソシアナートと反応させて得られるウレタンプレポリマーを含有する反応性ホットメルト接着剤が開示されている。特許文献6には、ポリイソシアナート、ウレタンプレポリマーおよびオレフィン系樹脂からなる反応性ホットメルト接着剤が開示されている。
【0004】
しかしながら、これらの反応性ホットメルト接着剤には改良の余地が残されている。例えば、特許文献1、2に記載の技術に関しては、反応の制御が難しかったり、高価な原料が必要であるという問題がある。特許文献3、4に記載の技術に関しては、ポリオレフィンと極性ポリマーとの混合性が悪く、接着強度が十分でないという問題がある。特許文献5、6に記載の技術に関しては、未反応の無水マレイン酸を除去する必要があり、工程が煩雑でコスト的に問題がある。
【0005】
【特許文献1】特公平2−50147号公報
【特許文献2】特開2004−176028号公報
【特許文献3】特開2004−10809号公報
【特許文献4】特開平11−323301号公報
【特許文献5】特開2006−183000号公報
【特許文献6】特開2006−169504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、初期接着力と硬化反応後の接着力のどちらにおいても、実用に十分な強度を有し、かつ安価である反応性ホットメルト接着剤組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン系重合体、ポリオールおよびポリイソシアナート化合物を含有してなる組成物によって上記課題が解決されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、
1.以下の(a)〜(c)を満たすプロピレン系重合体、ポリオールおよびポリイソシアナート化合物を配合してなる反応性ホットメルト接着剤組成物、
(a)[mmmm]=20〜80モル%
(b)分子量分布(Mw/Mn)≦4.0
(c)アセトン可溶部が0.5質量%以下
2.ポリウレタン製造用触媒成分を含有する、上記1に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物、
3.前記プロピレン系重合体の含有量が1〜99質量部、前記ポリオールの含有量が1〜99質量部、前記ポリイソシアナート化合物の含有量が1〜99質量部、前記ポリウレタン製造用触媒成分の含有量が1質量部以下である、上記1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物、
4.粘着性付与樹脂を含有する、上記1に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物、
5.前記プロピレン系重合体の含有量が1〜99質量部、前記ポリオールの含有量が1〜99質量部、前記ポリイソシアナート化合物の含有量が1〜99質量部、前記粘着性付与樹脂の含有量が30質量部以下である、上記1または4に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物、
6.前記プロピレン系重合体が、酸化変性プロピレン系重合体であって、以下の(d)を満たすプロピレン系重合体である、上記1〜5のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物、
(d)酸価=0.1〜50mgKOH/g
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被着体として木材、樹脂および金属を用いた際に、初期接着力と硬化反応後の接着力のどちらにおいても実用に十分な強度を有し、かつ安価である反応性ホットメルト接着剤組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
〔プロピレン系重合体〕
本発明で用いるプロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体、またはプロピレン単位と、エチレン単位及び/又は1−ブテン単位を含むプロピレン系共重合体であって、立体規則性、分子量分布およびアセトンへの溶解性に関して特定の性質を有する。すなわち、本発明においては、
(a)[mmmm]=20〜80モル%
(b)分子量分布(Mw/Mn)≦4.0
(c)アセトン可溶部0.5質量%以下
を満たすプロピレン系重合体が用いられる。以下において各性質に関して説明する。
【0010】
(a)[mmmm]=20〜80モル%
上記のメソペンタッド分率[mmmm]、後述するラセミペンタッド分率[rrrr]及びラセミメソ分率[rmrm]は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率、ラセミ分率及びラセミメソラセミメソ分率である。メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると、立体規則性が高くなる。また、後述するメソトリアッド分率[mm]、ラセミトリアッド分率[rr]及びメソラセミ分率[mr]も上記方法により算出した。
本発明のプロピレン系重合体のメソペンタッド分率[mmmm]が20モル%を下回ると、接着強度が低下することがあり、80モル%を越えると、常温での流動性が低下し作業性が悪化する。このメソペンタッド分率[mmmm]は、好ましくは30〜60モル%、より好ましくは40〜60モル%である。
なお、13C−NMRスペクトルの測定は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の装置及び条件にて行うことができる。
【0011】
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
【0012】
<計算式>
M=(m/S)×100
R=(γ/S)×100
S=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖 :21.7〜22.5ppm
【0013】
(b)分子量分布(Mw/Mn)≦4.0
本発明のプロピレン系重合体において、分子量分布(Mw/Mn)が4.0を越えると、べたつき成分が増加し接着性能が低下することがある。この分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下である。
この分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の装置及び条件で、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)測定することにより求めることができる。
【0014】
<GPC測定装置>
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
【0015】
(c)アセトン可溶部0.5質量%以下
アセトン可溶部は以下の方法で求める。すなわち、試料0.5gをトルエン10mlに溶解した後アセトン50mlに再沈し、沈殿物をろ別した後、ろ液を25℃、減圧下で乾燥させ、残渣量を測定する。試料に対する当該残渣量の割合をアセトン可溶部とする。本発明で用いるプロピレン系重合体のアセトン可溶部は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。アセトン可溶部が0.5質量%を越えると接着性能が低下することがある。
【0016】
本発明で用いるプロピレン系重合体は、上記(a)〜(c)の他に以下の性質を満たすことが好ましい。
【0017】
[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、上記のペンタッド単位の分率から求められ、プロピレン系重合体の規則性分布の均一さを表す指標である。この値が大きくなると規則性分布が広がり、既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように高規則性ポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物となり、べたつきが増し、透明性が低下する。
【0018】
[mm]×[rr]/[mr]2≦2.2
プロピレン系重合体において[mm]×[rr]/[mr]2の値が2.2以下であると、透明性の低下が抑制され、柔軟性と弾性回復率のバランスが良好となる。[mm]×[rr]/[mr]2は、好ましくは0.5〜2.2、より好ましくは1.0〜2.2の範囲である。
【0019】
重量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
プロピレン系重合体において重量平均分子量が10,000以上であると、べたつきの発生が抑制される。また、重量平均分子量が200,000以下であると、溶融時の粘度が低下するため、種々の用途に応用する際の作業性が良好となる。
【0020】
プロピレン系重合体の[rmrm]は1.0モル%以上であることが好ましい。[rmrm]が1.0モル%以上であると、立体規則性のランダム性が増加し、低温加工性と密着力のバランスが向上する。また[rmrm]は2.5モル%以下が好ましい。[rmrm]が2.5モル%以下であると、規則性分布の広がりを抑えることができ、べたつき成分を低減化することができる。
【0021】
本発明で用いるプロピレン系重合体においては、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が60〜120℃の結晶性樹脂であることが好ましい。また、融点(Tm)の測定において得られる融解ピークの面積から計算して得られた融解吸熱量(ΔH)は、5〜80J/gであることが好ましく、より好ましくは10〜60J/gである。融解吸熱量(ΔH)が5J/g以上であると接着剤組成物の接着性能が向上し、80J/g以下であると作業性が向上する。
【0022】
なお、プロピレン系重合体が共重合体である場合は以下の規定を満たすことが好ましい。
立体規則性指数([mm])=50〜90モル%
立体規則性指数([mm])は、前記の日本電子(株)製JNM−EX400型装置を用い、13C−NMRスペクトルを前記の条件と同様にして測定し、プロピレン連鎖のメソトリアッド([mm])分率を測定して求めた値である。
立体規則性指数([mm])の値が大きいほど、立体規則性が高いことを意味する。
当該共重合体において、立体規則性指数([mm])は、好ましくは50〜80モル%である。立体規則性指数([mm])が50モル%以上であると、べたつきの発生が抑制され、90モル%以下であると、二次加工性が良好となる。
【0023】
本発明で用いるプロピレン系重合体は酸化変性プロピレン系重合体を使用してもよく、この場合、以下の(d)を満たすことが好ましい。
(d)酸価=0.1〜50mgKOH/g
酸価が0.1mgKOH/g以上であると、プロピレン系重合体が十分な接着力を有するものとなり、また、50mgKOH/g以下であると、プロピレン系重合体の柔軟性が十分なものとなる。この酸価は、好ましくは0.5〜35mgKOH/g、より好ましくは1.0〜25mgKOH/gである。酸価は、JIS K 2501−1980に記載の全酸価測定法に従って測定される。
【0024】
本発明において酸化変性プロピレン系重合体を使用する場合は、その製造に用いるプロピレン系重合体は、1H−NMRスペクトルにおいて、0.75〜2.00ppmのピークの積分値に対する4.6〜5.3ppmの積分値の割合(ビニル値)が0.02〜1.00%であることが好ましく、0.03〜0.90がより好ましい。ここで、0.75〜2.00ppmのピークは、側鎖のメチル基のようなアルキル基や主鎖のメチレン基やメチン基に由来し、4.6〜5.3ppmのピークは重合体末端の不飽和結合に由来するものである。したがって、上記ビニル値とは、不飽和結合の量に関連する値であり、ビニル値が0.02%以上であることで、酸化変性プロピレン系重合体を容易に製造することができ、1.00%以下であると、酸化反応の際の架橋が抑制される。
【0025】
本発明のプロピレン系重合体は、メタロセン系触媒を用いて、プロピレンを単独重合するか、プロピレンと、エチレン及び/又は1−ブテンとを共重合させることにより製造することができる。
本発明においては、メタロセン系触媒のなかでも、配位子が架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物を用いたものが好ましく、なかでも、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られるメタロセン系触媒を用いてプロピレンを単独重合又は共重合させる方法がより好ましい。具体的に例示すれば、(A)下記一般式(I)
【0026】
【化1】

【0027】
で表される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(B−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含有する重合用触媒の存在下、プロピレンを単独重合又は共重合させる方法が挙げられる。
上記一般式(I)において、Mは周期律表第3〜10族の金属元素を示し、具体例としてはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,イットリウム,バナジウム,クロム,マンガン,ニッケル,コバルト,パラジウム及びランタノイド系金属などが挙げられる。これらの中ではオレフィン重合活性などの点からチタン,ジルコニウム及びハフニウムが好適であり、末端ビニリデン基の収率及び触媒活性の点から、ジルコニウムが最も好適である。
1及びE2はそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィン基(−P<),炭化水素基〔>CR−,>C<〕及び珪素含有基〔>SiR−,>Si<〕(但し、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1及びA2を介して架橋構造を形成している。E1及びE2は互いに同一でも異なっていてもよい。このE1及びE2としては、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましい。
Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1,E2又はYと架橋していてもよい。このXの具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20の珪素含有基,炭素数1〜20のホスフィド基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などのアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントニル基などのアリール基などが挙げられる。なかでもメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基やフェニル基などのアリール基が好ましい。
【0028】
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基等が挙げられる。炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基等が挙げられる。炭素数1〜20のアミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジプロピルアミド基、ジブチルアミド基、ジシクロヘキシルアミド基、メチルエチルアミド基等のアルキルアミド基や、ジビニルアミド基、ジプロペニルアミド基、ジシクロヘキセニルアミド基などのアルケニルアミド基;ジベンジルアミド基、フェニルエチルアミド基、フェニルプロピルアミド基などのアリールアルキルアミド基;ジフェニルアミド基、ジナフチルアミド基などのアリールアミド基が挙げられる。
炭素数1〜20の珪素含有基としては、メチルシリル基、フェニルシリル基などのモノ炭化水素置換シリル基;ジメチルシリル基、ジフェニルシリル基などのジ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などのトリ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などの珪素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などの珪素置換アリール基などが挙げられる。なかでもトリメチルシリルメチル基、フェニルジメチルシリルエチル基などが好ましい。
【0029】
炭素数1〜20のホスフィド基としては、ジメチルホスフィド基、ジエチルホスフィド基、ジプロピルホスフィド基、ジブチルホスフィド基、ジヘキシルホスフィド基、ジシクロヘキシルホスフィド基、ジオクチルホスフィド基などのジアルキルホスフィド基;ジベンジルホスフィド基、ジフェニルホスフィド基、ジナフチルホスフィド基などのジアリールホスフィド基が挙げられる。
【0030】
炭素数1〜20のスルフィド基としては、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、プロピルスルフィド基、ブチルスルフィド基、ヘキシルスルフィド基、シクロヘキシルスルフィド基、オクチルスルフィド基などのアルキルスルフィド基;ビニルスルフィド基、プロペニルスルフィド基、シクロヘキセニルスルフィド基などのアルケニルスルフィド基;ベンジルスルフィド基、フェニルエチルスルフィド基、フェニルプロピルスルフィド基などのアリールアルキルスルフィド基;フェニルスルフィド基、トリルスルフィド基、ジメチルフェニルスルフィド基、トリメチルフェニルスルフィド基、エチルフェニルスルフィド基、プロピルフェニルスルフィド基、ビフェニルスルフィド基、ナフチルスルフィド基、メチルナフチルスルフィド基、アントラセニルスルフィド基、フェナントニルスルフィド基などのアリールスルフィド基が挙げられる。
炭素数1〜20のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、パルミトイル基、テアロイル基、オレオイル基等のアルキルアシル基、ベンゾイル基、トルオイル基、サリチロイル基、シンナモイル基、ナフトイル基、フタロイル基等のアリールアシル基、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のジカルボン酸からそれぞれ誘導されるオキサリル基、マロニル基、スクシニル基等が挙げられる。
【0031】
一方、Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のYやE1,E2又はXと架橋していてもよい。このYのルイス塩基の具体例としては、アミン類,エーテル類,ホスフィン類,チオエーテル類などを挙げることができる。アミンとしては、炭素数1〜20のアミンが挙げられ、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、メチルエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルエチルアミン等のアルキルアミン;ビニルアミン、プロペニルアミン、シクロヘキセニルアミン、ジビニルアミン、ジプロペニルアミン、ジシクロヘキセニルアミンなどのアルケニルアミン;フェニルアミン、フェニルエチルアミン、フェニルプロピルアミンなどのアリールアルキルアミン;ジフェニルアミン、ジナフチルアミンなどのアリールアミンが挙げられる。
【0032】
エーテル類としては、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテル、n−アミルエーテル、イソアミルエーテル等の脂肪族単一エーテル化合物;メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチル−n−アミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチル−n−アミルエーテル、エチルイソアミルエーテル等の脂肪族混成エーテル化合物;ビニルエーテル、アリルエーテル、メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテル等の脂肪族不飽和エーテル化合物;アニソール、フェネトール、フェニルエーテル、ベンジルエーテル、フェニルベンジルエーテル、α−ナフチルエーテル、β−ナフチルエーテル等の芳香族エーテル化合物、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化トリメチレン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環式エーテル化合物が挙げられる。
【0033】
ホスフィン類としては、炭素数1〜20のホスフィンが挙げられる。具体的には、メチルホスフィン、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、ブチルホスフィン、ヘキシルホスフィン、シクロヘキシルホスフィン、オクチルホスフィンなどのモノ炭化水素置換ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジプロピルホスフィン、ジブチルホスフィン、ジヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ジオクチルホスフィンなどのジ炭化水素置換ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィンなどのトリ炭化水素置換ホスフィン等のアルキルホスフィンや、ビニルホスフィン、プロペニルホスフィン、シクロヘキセニルホスフィンなどのモノアルケニルホスフィンやホスフィンの水素原子をアルケニルが2個置換したジアルケニルホスフィン;ホスフィンの水素原子をアルケニルが3個置換したトリアルケニルホスフィン;ベンジルホスフィン、フェニルエチルホスフィン、フェニルプロピルホスフィンなどのアリールアルキルホスフィン;ホスフィンの水素原子をアリール又はアルケニルが3個置換したジアリールアルキルホスフィン又はアリールジアルキルホスフィン;フェニルホスフィン、トリルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリメチルフェニルホスフィン、エチルフェニルホスフィン、プロピルフェニルホスフィン、ビフェニルホスフィン、ナフチルホスフィン、メチルナフチルホスフィン、アントラセニルホスフィン、フェナントニルホスフィン;ホスフィンの水素原子をアルキルアリールが2個置換したジ(アルキルアリール)ホスフィン;ホスフィンの水素原子をアルキルアリールが3個置換したトリ(アルキルアリール)ホスフィンなどのアリールホスフィンが挙げられる。チオエーテル類としては、前記のスルフィドが挙げられる。
【0034】
次に、A1及びA2は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR1−、−PR1−、−P(O)R1−、−BR1−又は−AlR1−を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。
このような架橋基のうち、少なくとも一つは炭素数1以上の炭化水素基からなる架橋基であることが好ましい。このような架橋基としては、例えば一般式
【0035】
【化2】

【0036】
(Dは炭素、珪素、ゲルマニウム又はスズ、R2及びR3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基で、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、又互いに結合して環構造を形成していてもよい。eは1〜4の整数を示す。)
で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2=C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基などを挙げることができる。これらの中では、重合活性がより高くなる点から、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。
このような一般式(I)で表される遷移金属化合物の中では、一般式(II)
【0037】
【化3】

【0038】
で表される二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物が好ましい。
上記一般式(II)において、M,A1,A2,q及びrは、一般式(I)と同じである。X1はσ結合性の配位子を示し、X1が複数ある場合、複数のX1は同じでも異なっていてもよく、他のX1又はY1と架橋していてもよい。このX1の具体例としては、一般式(I)のXの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。Y1はルイス塩基を示し、Y1が複数ある場合、複数のY1は同じでも異なっていてもよく、他のY1又はX1と架橋していてもよい。このY1の具体例としては、一般式(I)のYの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
4〜R9はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,珪素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。また、R4〜R9は互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0039】
この二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物は、配位子が(1,2’)(2,1’)二重架橋型が好ましい。
一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体例としては(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0040】
(1,2’−メチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4−イソプロプルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0041】
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4,7−ジ−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0042】
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0043】
(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0044】
(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0045】
(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0046】
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0047】
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0048】
(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものを挙げることができる。もちろんこれらに限定されるものではない。また、他の族又はランタノイド系列の金属元素の類似化合物であってもよい。
次に、(B)成分のうちの(B−1)成分としては、上記(A)成分の遷移金属化合物と反応して、イオン性の錯体を形成しうる化合物であれば、いずれのものでも使用できるが、次の一般式(III)又は(IV)で表されるのを好適に使用することができる。
【0049】
([L1−R10k+a([Z]-b ・・・(III)
([L2k+a([Z]-b ・・・(IV)
(但し、L2はM2、R11123、R133C又はR143である。)
[(III),(IV)式中、L1はルイス塩基、[Z]-は、非配位性アニオン[Z1-及び[Z2-、ここで[Z1-は複数の基が元素に結合したアニオン、すなわち、〔M112・・・Gf-(ここで、M1は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1〜Gfはそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、又は炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1〜Gfのうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは〔(中心金属M1の原子価)+1〕の整数を示す。)、[Z2-は、酸解離定数の逆数の対数(pKa)が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組み合わせの共役塩基、あるいは一般的に超強酸と定義される酸の共役塩基を示す。また、ルイス塩基が配位していてもよい。また、R10は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R11及びR12はそれぞれシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基又はフルオレニル基、R13は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R14はテトラフェニルポルフィリン、フタロシアニン等の大環状配位子を示す。kは[L1−R10]、[L2]のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(k×a)である。M2は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M3は、周期律表第7〜12族元素を示す。]
【0050】
ここで、L1の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン等のアミン類;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラヒドロチオフェン等のチオエーテル類、安息香酸エチル等のエステル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。
10の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、ベンジル基、トリチル基等を挙げることができ、R11、R12の具体例としては、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基等を挙げることができる。
13の具体例としては、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基等を挙げることができ、R14の具体例としてはテトラフェニルポルフィン、フタロシアニン、アリル、メタリル等を挙げることができる。
また、M2の具体例としては、Li、Na、K、Ag、Cu、Br、I、I3等を挙げることができ、M3の具体例としては、Mn、Fe、Co、Ni、Zn等を挙げることができる。
【0051】
また、[Z1-、すなわち、[M112・・・Gf]において、M1の具体例としてはB、Al、Si、P、As、Sb等、好ましくはB及びAlが挙げられる。また、G1、G2〜Gfの具体例としては、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、フェノキシ基等、炭化水素基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−オクチル基、n−イコシル基、フェニル基、p−トリル基、ベンジル基、4−t−ブチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基等、ハロゲン原子としてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヘテロ原子含有炭化水素基としてp−フルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等、有機メタロイド基としてペンタメチルアンチモン基、トリメチルシリル基、トリメチルゲルミル基、ジフェニルアルシン基、ジシクロヘキシルアンチモン基、ジフェニル硼素等が挙げられる。
【0052】
また、非配位性のアニオン、すなわちpKaが−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基[Z2-の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン(CF3SO3-、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ベンジルアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、過塩素酸アニオン(ClO4-、トリフルオロ酢酸アニオン(CF3CO2-、ヘキサフルオロアンチモンアニオン(SbF6-、フルオロスルホン酸アニオン(FSO3-、クロロスルホン酸アニオン(ClSO3-、フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化アンチモン(FSO3/SbF5-、フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化砒素(FSO3/AsF5-、トリフルオロメタンスルホン酸/5−フッ化アンチモン(CF3SO3/SbF5-等を挙げることができる。
【0053】
このような上記(A)成分の遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成するイオン性化合物、すなわち(B−1)成分の化合物の具体例としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム、テトラフェニル硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム、テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム、テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム、テトラフェニル硼酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム、テトラフェニル硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム、テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム、テトラフェニル硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム、テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム、テトラフェニル硼酸メチルピリジニウム、テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム、テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリニウム、
【0054】
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルピリジニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルピリジニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(2−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(2−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(4−シアノピリジニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム、テトラキス〔ビス(3,5−ジトリフルオロメチル)フェニル〕硼酸ジメチルアニリニウム、テトラフェニル硼酸フェロセニウム、テトラフェニル硼酸銀、テトラフェニル硼酸トリチル、テトラフェニル硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1'−ジメチルフェロセニウム)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ナトリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン、テトラフルオロ硼酸銀,ヘキサフルオロ燐酸銀、ヘキサフルオロ砒素酸銀、過塩素酸銀、トリフルオロ酢酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀等を挙げることができる。この(B−1)成分の化合物は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、(B−2)成分のアルミノキサンとしては、一般式(V)
【0055】
【化4】

【0056】
(式中、R15は炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基等の炭化水素基あるいはハロゲン原子を示し、wは平均重合度を示し、通常2〜50、好ましくは2〜40の整数である。なお、各R15は同じでも異なっていてもよい。)
で示される鎖状アルミノキサン、及び一般式(VI)
【0057】
【化5】

【0058】
(式中、R15及びwは上記一般式(V)におけるものと同じである。)
で示される環状アルミノキサンを挙げることができる。
上記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水等の縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば、(1) 有機アルミニウム化合物を有機溶媒に溶解しておき、これを水と接触させる方法、(2) 重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、(3) 金属塩等に含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、(4) テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、さらに水を反応させる方法等がある。
なお、アルミノキサンとしては、トルエン等の炭化水素系溶媒に不溶性のものであってもよい。これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
(A)触媒成分と(B)触媒成分との使用割合は、(B)触媒成分として(B−1)化合物を用いた場合には、モル比で好ましくは10:1〜1:100、より好ましくは2:1〜1:10の範囲が望ましく、上記範囲を逸脱する場合は、単位重量ポリマー当りの触媒コストが高くなり、実用的でない。
また、(B−2)化合物を用いた場合には、モル比で好ましくは1:1〜1:1000000、より好ましくは1:10〜1:10000の範囲が望ましい。この範囲にあれば、単位質量ポリマー当りの触媒コストがあまり高くならず、実用的である。触媒成分(B)としては(B−1)及び(B−2)は、それぞれ単独で又は二種以上組み合わせて用いることもできる。
【0060】
本発明で用いるプロピレン系重合体の製造における重合用触媒としては、上記(A)成分及び(B)成分に加えて(C)成分として有機アルミニウム化合物を用いることができる。ここで、(C)成分の有機アルミニウム化合物としては、一般式(VII)
16vAlJ3-v ・・・(VII)
[式中、R16は炭素数1〜10のアルキル基、Jは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である。]
で表される化合物が用いられる。
上記一般式(VII)で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド及びエチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
【0061】
本発明で使用するプロピレン系重合体の製造においては、上述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を用いて予備接触を行なうこともできる。予備接触は、(A)成分に、例えば、(B)成分を接触させることにより行なうことができるが、その方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。この予備接触により触媒活性の向上や、助触媒である(B)成分の使用割合の低減等、触媒コストの低減に効果的である。また、(A)成分と(B−2)成分を接触させることにより、上記効果とともに、分子量の向上効果も見られる。
予備接触温度は、通常−20℃〜200℃程度、好ましくは−10℃〜150℃、より好ましくは、0℃〜80℃である。予備接触においては、溶媒の不活性炭化水素として、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等を用いることができる。これらの中で特に好ましいものは、脂肪族炭化水素である。
上記(A)触媒成分と(C)触媒成分との使用割合は、モル比で好ましくは1:1〜1:10000、より好ましくは1:5〜1:2000、さらに好ましくは1:10〜1:1000の範囲が望ましい。上記(C)触媒成分を用いることにより、遷移金属当たりの重合活性を向上させることができるが、あまり多いと有機アルミニウム化合物が無駄になるとともに、重合体中に多量に残存する恐れがある。
上記予備接触においては、オレフィン系化合物を共存させてもよい。共存させるオレフィン系化合物としては、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィン化合物が挙げられる。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン及び1−オクタデセンなどが挙げられる。オレフィン系化合物の添加量は、予備接触において使用する溶媒の0.5〜20質量%程度、好ましくは1〜15質量%である。
【0062】
本発明においては、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができる。この該担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体及び有機担体のいずれも用いることができるが、特に無機酸化物担体あるいはそれ以外の無機担体が好ましい。
無機酸化物担体としては、具体的には、SiO2,Al23,MgO,ZrO2,TiO2,Fe23,B23,CaO,ZnO,BaO,ThO2やこれらの混合物、例えば、シリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバー等が挙げられる。これらの中では、特に、SiO2,Al23が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩等を含有してもよい。
一方、上記以外の担体として、MgCl2,Mg(OC252等のマグネシウム化合物等で代表される一般式MgR17x1yで表されるマグネシウム化合物やその錯塩等を挙げることができる。ここで、R17は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、X1はハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、xは0〜2、yは0〜2であり、かつx+y=2である。各R17及び各X1はそれぞれ同一でもよく、又異なってもいてもよい。
また、有機担体としては、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリエチレン,ポリプロピレン,置換ポリスチレン,ポリアリレート等の重合体やスターチ,カーボン等を挙げることができる。
【0063】
本発明において用いられる担体としては、MgCl2、MgCl(OC25)、Mg(OC252などが好ましい。また、担体の形状は、その種類及び製法により異なるが、平均粒径は通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。粒径が小さいと重合体中の微粉が増大し、粒径が大きいと重合体中の粗大粒子が増大し嵩密度の低下やホッパーの詰まりの原因になる。
また、担体の比表面積は、通常1〜1000m2/g、好ましくは50〜500m2/g、細孔容積は通常0.1〜5cm3/g、好ましくは0.3〜3cm3/gである。比表面積又は細孔容積のいずれかが上記範囲を逸脱すると、触媒活性が低下することがある。
担体の比表面積及び細孔容積は、例えば、BET法に従って吸着された窒素ガスの体積から求めることができる(ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ,第60巻,第309ページ(1983年)参照)。
さらに、上記担体が無機酸化物担体である場合には、通常150〜1000℃、好ましくは200〜800℃で焼成して用いることが望ましい。
触媒成分の少なくとも一種を上記担体に担持させる場合、(A)触媒成分及び(B)触媒成分の少なくとも一方を、好ましくは(A)触媒成分及び(B)触媒成分の両方を担持させるのが望ましい。
【0064】
上記担体に、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方を担持させる方法については、特に制限されないが、例えば、(1) (A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体とを混合する方法、(2) 担体を有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有珪素化合物で処理した後、不活性溶媒中で(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と混合する方法、(3) 担体と(A)成分及び/又は(B)成分と有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有珪素化合物とを反応させる方法、(4) (A)成分又は(B)成分を担体に担持させた後、(B)成分又は(A)成分と混合する方法、(5) (A)成分と(B)成分との接触反応物を担体と混合する方法、(6) (A)成分と(B)成分との接触反応に際して、担体を共存させる方法等を用いることができる。なお、上記(4)、(5)及び(6)の反応において、(C)成分の有機アルミニウム化合物を添加することもできる。
【0065】
本発明においては、上記(A)、(B)、(C)を接触させる際に、弾性波を照射させて触媒を調製してもよい。弾性波としては、通常音波、特に好ましくは超音波が挙げられる。具体的には、周波数が1〜1000kHzの超音波、好ましくは10〜500kHzの超音波が挙げられる。
このようにして得られた触媒は、一旦溶媒留去を行って固体として取り出してから重合に用いてもよいし、そのまま重合に用いてもよい。また、本発明においては、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方の担体への担持操作を重合系内で行うことにより触媒を生成させることができる。
例えば、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体とさらに必要により上記(C)成分の有機アルミニウム化合物を加え、エチレン等のオレフィンを常圧〜2MPa加えて、−20〜200℃で1分〜2時間程度予備重合を行って触媒粒子を生成させる方法を用いることができる。
【0066】
本発明においては、(B−1)成分と担体との使用割合は、質量比で好ましくは1:5〜1:10000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましく、(B−2)成分と担体との使用割合は、質量比で好ましくは1:0.5〜1:1000、より好ましくは1:1〜1:50とするのが望ましい。(B)成分として二種以上を混合して用いる場合は、各(B)成分と担体との使用割合が質量比で上記範囲内にあることが望ましい。
また、(A)成分と担体との使用割合は、質量比で、好ましくは1:5〜1:10000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましい。(B)成分〔(B−1)成分又は(B−2)成分〕と担体との使用割合、又は(A)成分と担体との使用割合が上記範囲を逸脱すると、活性が低下することがある。
このようにして調製された重合用触媒の平均粒径は、通常2〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは20〜100μmであり、比表面積は、通常20〜1000m2/g、好ましくは50〜500m2/gである。平均粒径が2μm以上であると重合体中の微粉の増大が抑制され、200μm以上であると重合体中の粗大粒子の増大が抑制される。また、比表面積が20m2/g以下であると活性の低下が抑制され、1000m2/g以下であると重合体の嵩密度の低下が抑制される。
また、本発明で用いる触媒において、担体100g中の遷移金属量は、通常0.05〜10g、特に0.1〜2gであることが好ましい。遷移金属量が上記範囲内であると、活性の低下が抑制される。
このように担体に担持することによって工業的に有利な高い嵩密度と優れた粒径分布を有する重合体を得ることができる。
【0067】
本発明で用いるプロピレン系重合体は、上述した重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合又は共重合させることにより製造される。この場合、重合方法は特に制限されず、スラリー重合法,気相重合法,塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法等のいずれの方法を用いてもよいが、溶液重合法,塊状重合法が特に好ましい。
重合条件については、重合温度は通常−100〜250℃、好ましくは−50〜200℃、より好ましくは0〜130℃である。また、反応原料に対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(A)成分(モル比)が好ましくは1〜108、特に100〜105となることが好ましい。さらに、重合時間は通常5分〜10時間、反応圧力は好ましくは常圧〜20MPa(G)、特に好ましくは常圧〜10MPa(G)である。
重合体の分子量の調節方法としては、各触媒成分の種類、使用量、重合温度の選択、さらには水素存在下での重合等がある。重合溶媒を用いる場合、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等を用いることができる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組み合わせてもよい。また、α−オレフィン等のモノマーを溶媒として用いてもよい。なお、重合方法によっては無溶媒下で行うことができる。
【0068】
本発明において酸化変性プロピレン系重合体を使用する場合において、プロピレン系重合体を酸化変性する方法としては、プロピレン系重合体を、分子状酸素及び/又はオゾン含有ガスの存在下酸化処理する方法が挙げられる。
【0069】
分子状酸素やオゾンを含むガスによる酸化反応時には、必要に応じてラジカル開始剤を共存させてもよい。ラジカル開始剤としては特に制限はなく、従来公知のラジカル開始剤、例えば各種有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物等の中から、適宜選択して用いることができるが、これらの中で、有機過酸化物が好適である。
【0070】
この有機過酸化物としては、例えば、ジベンゾイルパーオキシド,ジ−8,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド,ジラウロイルパーオキシド,ジデカノイルパーオキシド,ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキシド等のジアシルパーオキシド類、t−ブチルヒドロパーオキシド,キュメンヒドロパーオキシド,ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド,2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類、ジ−t−ブチルパーオキシド,ジクミルパーオキシド,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、α,α’ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン,2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシオクトエート,t−ブチルパーオキシピバレート,t−ブチルパーオキシネオデカノエート,t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート,ジイソプロピルパーオキシジカーボネート,ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート,t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート類等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
上記ラジカル開始剤は、水、不活性溶媒、または不活性な無機化合物のエマルジョン溶液を用いて希釈して用いることもできる。不活性溶媒の具体例としては、オクタン、デカン、キシレン、シリコーンオイルなどがある。不活性無機化合物としては、シリカゲル、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどがある。この希釈を行うことでラジカル開始剤の危険性を低減することができる。また、固体状ラジカル開始剤は、ベースポリマーとの比重が異なるため、フィード時に分級が発生しやすくなるが、これを抑制する効果もある。
上記ラジカル開始剤の使用量としては特に制限はなく、目的とする酸化変性プロピレン系重合体の所望物性に応じて適宜選定される。ラジカル開始剤の使用量は、プロピレン系重合体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部程度、好ましくは0.01〜5質量部の範囲である。
【0072】
本発明においては、例えば、プロピレン系重合体を、ロールミル、バンバリーミキサー、押出機等を用いて、100〜300℃、好ましくは120〜200℃の温度で、0.01〜10時間程度、分子状酸素及び/又はオゾンを含むガスを流通下、あるいは分子状酸素及び/又はオゾンを含むガスの存在下で溶融混練して反応させる方法によって、プロピレン系重合体を酸化処理することができる。
本発明において酸化変性プロピレン系重合体を使用すると、ポリオレフィン等に対して高接着性を有し、被着体に高強度や軟質性等を付与することができる。
【0073】
〔ポリオール〕
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物においては、ポリオールが用いられる。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ロジン変性ポリオール、ポリエチレンブチレンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリテトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンダジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリブタジエンポリオール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、メチルペンタジオールが挙げられる。これらの中ではポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリブタジエンポリオールが好適である。
【0074】
〔ポリイソシアナート化合物〕
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物においては、ポリイソシアナート化合物が用いられる。本発明で用いるポリイソシアナート化合物とは、1分子中に2個またはそれ以上のイソシアナート基を有する有機化合物であって、ポリオール等の水酸基に対して反応性を有するイソシアナート基を有するものである。このポリイソシアナート化合物の例としては、芳香族、脂肪族または脂環族のポリイソシアナートを挙げることができる。
【0075】
芳香族ポリイソシアナートの具体例としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’−と2,2’−ジフェニルメタンジイソシアナートの混合物、トリレンジイソシアナート(TDI)、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、ナフタリン−1,5−ジイソシアナート、o−トルイジンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアナート等を挙げることができる。
【0076】
また、キシリレンジイソシアナート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアナート(TMXDI)等の脂肪族−芳香族ポリイソシアナート(芳香族環と直接結合したイソシアナート基を有さないポリイソシアナートをいう。)もまた、ポリイソシアナート化合物の具体例として挙げることができる。
【0077】
脂肪族ポリイソシアナートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアナート、ドデカンジイソシアナート、リジンジイソシアナート、リジンエステルトリイソシアナート、1,6,11−ウンデカントリイソシアナート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート等を挙げることができる。
【0078】
脂環族ポリイソシアナートの具体例としては、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、ビシクロヘプタントリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水素添加MDI)、水素添加トリレンジイソシアナート、水素添加キシリレンジイソシアナート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアナート等を挙げることができる。
【0079】
ポリイソシアナートの他の具体例としては、前記ポリイソシアナート化合物の環化三量体(イソシアヌレート変性体)、ビューレット変性体や、ポリオール化合物と前記ポリイソシアナート化合物との付加反応物等が用いられる。なお、当該ポリオール化合物としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、水添ダイマー酸ジイソシアナート、ポリアルカジエンポリオール、ポリアルカジエンポリオールの水素化物、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、ヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。
【0080】
本発明においては、ポリイソシアナート化合物のイソシアナート基をフェノール類、オキシム類、イミド類、メルカプタン類、アルコール類、ε−カプロラクタム、エチレンイミン、α−ピロリドン、マロン酸ジエチル、亜硫酸水素ナトリウム、ホウ酸等のブロック剤でブロックしたいわゆるブロックイソシアナート化合物を使用することもできる。
【0081】
これらの中では4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート(TDI)、フェニレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート(XDI)、前記ポリイソシアナート化合物の環化三量体(イソシアヌレート変性体)が好適である。
【0082】
本発明において、ポリイソシアナート化合物は一種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。接着剤として好ましい性質が得られることから、ポリオールとポリイソシアナート化合物は、通常、−NCO/−OH比が0.9〜1.1の範囲で使用され、好ましくは、0.95〜1.05の範囲で使用される。
【0083】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、ポリウレタン製造用触媒を含有してもよく、ポリウレタン製造用触媒としては、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンオクテート、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリオクチルアミン等が挙げられる。これらの中ではジブチルチンジラウレート、ジメチルシクロヘキシルアミンが好適である。
当該反応性ホットメルト接着剤組成物においては、プロピレン系重合体の含有量が1〜99質量部、ポリオールの含有量が1〜99質量部、ポリイソシアナート化合物の含有量が1〜99質量部、ポリウレタン製造用触媒の含有量が1質量部以下が好ましく、より好ましくは、プロピレン系重合体の含有量が1〜50質量部、ポリオールの含有量が30〜99質量部、ポリイソシアナート化合物の含有量が1〜50質量部、ポリウレタン製造用触媒の含有量が0.1〜1質量部であり、さらに好ましくはプロピレン系重合体の含有量が1〜40質量部、ポリオールの含有量が40〜90質量部、ポリイソシアナート化合物の含有量が1〜30質量部、ポリウレタン製造用の触媒の含有量が0.1〜1質量部である。
【0084】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、粘着性付与樹脂を含有してもよく、粘着性付与樹脂としては、生松ヤニを原料としたロジン樹脂、松の精油から得られるα−ピネン、β−ピネンを原料としたテルペン樹脂、石油ナフサなどの熱分解により副産物として生成する不飽和炭化水素を含む留分を重合して樹脂化して得られる石油樹脂、および、それらの水素添加物などが挙げられる。具体的には、出光石油化学製アイマーブP−125、同アイマーブP−100、同アイマーブP−90、三洋化成工業製ユーメックス1001、三井化学製ハイレッツT1115、ヤスハラケミカル製クリアロンK100、トーネックス製ECR227、同エスコレッツ2101、荒川化学製アルコンP100、ハーキュレス(Hercules)製Regalrez1078などが挙げられる。
当該反応性ホットメルト接着剤組成物においては、プロピレン系重合体の含有量が1〜99質量部、ポリオールの含有量が1〜99質量部、ポリイソシアナート化合物の含有量が1〜99質量部、粘着性付与樹脂の含有量が30質量部以下が好ましく、より好ましくはプロピレン系重合体の含有量が1〜50質量部、ポリオールの含有量が30〜99質量部、ポリイソシアナート化合物の含有量が1〜50質量部、粘着性付与樹脂の含有量が1〜20質量部であり、さらに好ましくはプロピレン系重合体の含有量が1〜40質量部、ポリオールの含有量が40〜90質量部、ポリイソシアナート化合物の含有量が1〜30質量部、粘着性付与樹脂の含有量が1〜15質量部である。
【0085】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物においては、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、熱可塑性ポリマー、充填剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤および難燃剤等が挙げられる。
【0086】
熱可塑性ポリマーとしては、ポリウレタン、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、アクリル共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体等が挙げられる。
【0087】
充填剤としては、無機充填剤や有機充填剤が挙げられる。無機充填材としては、亜鉛、アルミニウム、銅、ニッケル、ガラス球、ガラスフレーク、ガラス繊維、カーボンブラック(チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック)、炭素繊維、グラファイト、アスベスト、カオリンクレー、ロウ石クレー、タルク、カスミ石、クリオライト、ケイ灰石、ケイソウ土、スレート粉、ホワイティング、長石粉、マイカ、セッコウ、石英粉、微粉珪酸、アタバルジャイト、セリサイト、火山灰、蛭石、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、二酸化モリブデン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、ボロンナイトライト、二硫化モリブデン等を挙げることができる。
【0088】
有機充填材としてはゴム粉末、セルロース、リグニン、キチン質、皮革粉、ヤシ殻、木粉、木綿、麻、羊毛、絹等の天然系の繊維、ナイロン、ポリエステル、ビニロン、アセテート、アクリル等の合成繊維、PE,PP,PS,ABS,PC,PET,PBT,PMMA,PVC,エポキシ、フェノール等の合成樹脂粉末又は顆粒等を挙げることができる。
これらの無機充填材、有機充填材の配合量についても特に制限は無いが、通常はポリオール化合物100質量部に対し、500質量部以下、好ましくは200質量以下である。
【0089】
本発明の反応性ホットメルト接着剤組成物は、前記成分を前記割合で配合して調製する。組成物の調製にあたっては、混合装置、混練装置等を用い、0〜120°C、好ましくは15〜100°Cの温度で、0.5秒〜8時間、好ましくは1秒〜5時間撹拌混合する。通常はワンショット法と呼ばれる方法、またはプレポリマー法と呼ばれる方法で組成物の調製、硬化を行う。
【0090】
ワンショット法においては、まず前記成分のうち少なくともポリイソシアナート化合物を除く成分を配合して上記の温度、時間で混合し、混合物を得る。この混合物にポリイソシアナート化合物および先の混合で用いなかった添加剤成分を添加し、上記の温度、時間で混合し、液状重合体組成物を得る。この時の好ましいNCO/OHは0.5〜2.5である。
【0091】
プレポリマー法(1)においては、NCO/OHが1.7〜25の範囲で水酸基含有化合物とポリイソシアナート化合物とを、その他の添加剤の一部または全部の存在下あるいは非存在下で反応させてプレポリマーを得る。反応の温度は上記と同様であり、時間は通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜8時間である。このプレポリマーに残りの成分を上記の温度、時間で混合し、液状重合体組成物を得る。この時の好ましいNCO/OHは、0.5〜2.5である。
【0092】
プレポリマー法(2)においては、NCO/OHが1.7〜5.0の範囲で、配合全成分を配合し、反応させてプレポリマーを得る。反応の温度は上記と同様であり、時間は通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜8時間である。このプレポリマーを空気中の湿気(水)と反応させる。
【実施例】
【0093】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0094】
製造例1〔(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの合成〕
シュレンク瓶に(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩3.0g(6.97mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解し−78℃に冷却した。ヨードメチルトリメチルシラン2.1ml(14.2mmol)をゆっくりと滴下し室温で12時間撹拌した。
溶媒を留去し、エーテル50mlを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。分液後、有機相を乾燥し溶媒を除去して(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.88mmol)を得た(収率84%)。
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に上記で得られた(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.88mmol)とエーテル50mlを入れた。−78℃に冷却し、n−ブチルチリウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.54mol/L、7.6ml(11.7mmol))を滴下した。室温に上げ12時間撹拌した後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン40mlで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06g(5.07mmol)を得た(収率73%)。
1H−NMR(90MHz、THF−d8)による測定の結果は、以下のとおりである。
δ:0.04(s,18H,トリメチルシリル),0.48(s,12H,ジメチルシリレン),1.10(t,6H,メチル),2.59(s,4H,メチレン),3.38(q,4H,メチレン),6.2-7.7(m,8H,Ar-H)
【0095】
窒素気流下で、上記で得られたリチウム塩をトルエン50mlに溶解した。−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1mmol)のトルエン(20ml)懸濁液を滴下した。滴下後、室温で6時間撹拌した。その反応溶液の溶媒を留去した。得られた残渣をジクロロメタンにより再結晶化することにより、(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド0.9g(1.33mmol)を得た(収率26%)。
1H−NMR(90MHz、CDCl3)による測定の結果は、以下のとおりである。
δ:0.0(s,18H,トリメチルシリル),1.02,1.12(s,12H,ジメチルシリレン),2.51(dd,4H,メチレン),7.1-7.6(m,8H,Ar-H)
【0096】
製造例2〔プロピレン系重合体Iの製造〕
加熱乾燥した内容積1Lのステンレス鋼製オートクレーブに、ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム1.0mmol、メチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート1.5μmol、及び製造例1で製造した(1,2’―ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド0.5μmolを投入した。
攪拌しながら温度を70℃に昇温し、全圧で0.8MPaまでプロピレンガスを導入した。重合反応中、圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンガスを供給して60分間重合した。重合反応終了後、メタノール5mlを投入し、脱圧後、溶液を取り出し、減圧下で乾燥させることによってプロピレン単独重合体40gを得た。
得られたプロピレン単独重合体について、上述した方法により物性を測定した。結果を第1表に示す。
【0097】
製造例3〔プロピレン系重合体IIの製造〕
加熱乾燥した内容積1Lのステンレス鋼製オートクレーブに、ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム0.4mmol、メチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート0.8μmol、及び製造例1で製造した(1,2’―ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド0.2μmolを投入した。
攪拌しながら温度を80℃に昇温し、水素0.04MPa、全圧で0.89MPaまでプロピレンガスを導入した。重合反応中、圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンガスを供給して15分間重合した。重合反応終了後、メタノール5mlを投入し、脱圧後、溶液を取り出し、減圧下で乾燥させることによってプロピレン単独重合体75gを得た。
得られたプロピレン単独重合体について、上述した方法により物性を測定した。結果を第1表に示す。
【0098】
製造例4〔プロピレン系重合体I−aの製造〕
空気吹込み管、排気口及び攪拌翼を装着したセパラ式ガラス製反応機(内容積500ml)に製造例2で得られたプロピレン系重合体I、30gを仕込み、50rpmの回転速度で攪拌しながら180℃まで昇温した。次に、空気吹込み管を通して乾燥空気を5時間導入した。その後、空気の吹き込みを停止し、窒素でパージした後、室温まで冷却し、薄黄色の酸化変性プロピレン単独重合体を得た。
得られた酸化変性プロピレン単独重合体について、上述した方法により物性を測定した。なお、ぬれ性は以下の方法により測定した。
【0099】
<ぬれ張力>
プラスチックフィルム表面の、インク、コーティング、又は接着剤などを保持する能力の尺度となるぬれ張力を評価した。プラスチックフィルム表面のぬれ張力が増加すると、インク、コーティング、あるいは接着剤などの保持能力が向上することが経験的に知られている。
評価は、JIS K6768に規定されている「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」に準拠した。改質プロピレン系重合体をテフロン(登録商標)シートで挟み、0.3mmのスペーサーを用いて180℃でプレスして、評価用フィルムを作製し、このフィルムをデシケーター内に、室温で8時間以上放置した。
試験用混合液として、和光純薬工業(株)製のぬれ張力試験用混合液を用い、綿棒に混合液を含ませてフィルムに塗布し、2秒経過した時点で液膜が破れを生じないで、元の状態を維持しているときを「ぬれている」と判定した。表面張力が小さい試験用混合液から順次試験を行ない、「ぬれている」と判定された最大の混合液の表面張力をフィルムのぬれ張力(mN/m)とした。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例1
300mLのポリエチレン製カップに製造例4で得られた酸化変性プロピレン系重合体I−a、10g、出光興産株式会社製ポリブタジエン(エポール、水酸基含量=0.84meq/g、数平均分子量=2590、粘度=5.1Pa・s/30℃)90gを90℃で攪拌しながら混合した。その後20℃程度に冷却し、イソホロジイソシアナート8.8g、ジブチル錫ジラウレート0.05g加えた後、よく混合し接着剤組成物を得た(イソシアナート/水酸基=約1)。
【0102】
実施例2、3
第2表に記載の配合量に変えた他は実施例1と同様にして接着剤組成物を得た。
【0103】
実施例4
300mLのポリエチレン製カップに製造例3で得られたプロピレン系重合体II、10g、出光興産株式会社製ポリブタジエン(エポール、水酸基含量=0.84meq/g、数平均分子量=2590、粘度=5.1Pa・s/30℃)90gを90℃で攪拌しながら混合した。その後20℃程度に冷却し、イソホロジイソシアナート8.8g、ジブチル錫ジラウレート0.05g加えた後、よく混合し接着剤組成物を得た(イソシアナート/水酸基=約1)。
【0104】
実施例5、6
第2表に記載の配合量に変えた他は実施例4と同様にして接着剤組成物を得た。
【0105】
比較例1
300mLのポリエチレン製カップに出光興産株式会社製ポリブタジエン(エポール、水酸基含量=0.84meq/g、数平均分子量=2590、粘度=5.1Pa・s/30℃)100gを入れ、さらに20℃程度で、イソホロジイソシアナート9.8g、ジブチル錫ジラウレート0.05gを加えた後、よく混合して接着剤組成物を得た(イソシアナート/水酸基=約1)。
【0106】
【表2】

【0107】
〔引張せん断強さ測定〕
JIS−K6850に準拠し、被着体としてポリカーボネートおよびポリプロピレンの異種の素材を用い、引張せん断強さの測定を行った。試験片の製造方法および測定条件を以下に示し、測定により得られた最大応力(試験片5点の平均値)を第3表に示す。
【0108】
(試験片の製造方法)
幅25.0mm、長さ100mm、厚さ1.5mmのポリカーボネート製の剛性被着材の端から12.5mmの全面に厚さ1mm〜2mmで実施例または比較例で得られた接着剤組成物を塗布した。当該塗布面とポリプロピレン製剛性被着材の端から12.5mmの全面を重ね合わせ、約20Nの力で圧着したまま室温で3日間放置した。さらに70℃で1時間放置した後、室温で4日間放置した。
【0109】
(測定条件)
試験速度:50mm/min
試験機:島津製作所社製引張試験機 AUTOGRAPH AG−X
【0110】
〔180°はく離強度測定〕
JIS−K6854−2に準拠し、剛性被着体としてポリカーボネートまたはポリプロピレンを用い、180°はく離強度測定を行った。試験片の製造方法および測定条件を以下に示し、測定により得られた最大応力(試験片5点の平均値)を第3表に示す。
【0111】
(試験片の製造方法)
幅25.0mm、長さ100mm、厚さ1.5mmのポリプロピレン製またはポリカーボネート製の剛性被着材の端から150mmの全面に厚さ1〜2mmで実施例または比較例で得られた接着剤組成物を塗布し、直ちに幅25mm、長さ200mmの綿帆布を重ねた後、ゴムローラーを用いて圧着し、室温で3日間放置した。さらに70℃で1時間放置した後、室温で4日間放置した。尚、測定前に幅25mmに綿帆布および硬化した接着剤組成物部位を長さ方向にカッターナイフによりカットした。
【0112】
(測定条件)
試験速度:200mm/分
試験機:島津製作所社製引張試験機 AUTOGRAPH AG−X
【0113】
【表3】

【0114】
実施例7
温度計、攪拌機、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備え付けたセパラブルフラスコに、出光興産株式会社製ポリブタジエン(エポール、水酸基含量=0.84meq/g、数平均分子量=2590、粘度=5.1Pa・s/30℃)80g、および酸化変性ポリプロピレン単独重合体I−a、30gを仕込み、攪拌しながら昇温した。90℃において減圧下で水分を除去した後、ジフェニルメタンジイソシアナート20gを仕込み昇温し、窒素雰囲気下に温度120℃で1時間反応後、更に減圧下にて脱泡しながら1時間攪拌し反応性ホットメルト接着剤を得た(イソシアナート/水酸基=約2.4)。この反応性ホットメルト接着剤を、塗布温度120℃にて帆布に100g/普塗布し、直ちにポリプロピレン板と重ね合わせ0.049MPaの圧力で10秒間圧締接着した。接着5分後の初期はく離接着強度を20℃にて、また20℃、65%RHにて48時間養生後のはく離接着強度を20℃と80℃にて測定した。測定結果を第5表に示した。
【0115】
実施例8、9、比較例2
第4表に記載の配合量に変えた他は実施例7と同様にして接着剤組成物を製造し、接着強度を測定した。測定結果を第5表に示した。
なお、粘着付与剤として石油樹脂(アイマーブ、P−90、出光興産株社製)を使用し、ポリプロピレングリコールとして和光純薬工業社製ポリプロピレングリコール(ジオール型、平均分子量2000)を使用した。
【0116】
【表4】

【0117】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、被着体として木材、樹脂および金属を用いた際に、初期接着力と硬化反応後の接着力のどちらにおいても実用に十分な強度を有し、かつ安価である反応性ホットメルト接着剤組成物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)〜(c)を満たすプロピレン系重合体、ポリオールおよびポリイソシアナート化合物を配合してなる反応性ホットメルト接着剤組成物。
(a)[mmmm]=20〜80モル%
(b)分子量分布(Mw/Mn)≦4.0
(c)アセトン可溶部が0.5質量%以下
【請求項2】
ポリウレタン製造用触媒成分を含有する、請求項1に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
前記プロピレン系重合体の含有量が1〜99質量部、前記ポリオールの含有量が1〜99質量部、前記ポリイソシアナート化合物の含有量が1〜99質量部、前記ポリウレタン製造用触媒成分の含有量が1質量部以下である、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
粘着性付与樹脂を含有する、請求項1に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
前記プロピレン系重合体の含有量が1〜99質量部、前記ポリオールの含有量が1〜99質量部、前記ポリイソシアナート化合物の含有量が1〜99質量部、前記粘着性付与樹脂の含有量が30質量部以下である、請求項1または4に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
前記プロピレン系重合体が、酸化変性プロピレン系重合体であって、以下の(d)を満たすプロピレン系重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
(d)酸価=0.1〜50mgKOH/g

【公開番号】特開2010−1367(P2010−1367A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160650(P2008−160650)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】