説明

反応性接着剤を基材に結合させるための改良されたプロセス

本発明は、i)反応性接着剤を硬化させるための触媒の安定性溶液又は分散液と;及び別個の液中でii)未硬化反応性接着剤系とを含む系、又はキットであって、前記液i)の触媒は前記反応性接着剤系の硬化を促進する系、又はキットである。反応性接着剤系は、一液又は二液系であってよい。別の実施形態では、本発明は、反応性接着剤を基材に結合させる方法であって、a)揮発性溶媒中の反応性接着剤を硬化させるための触媒を前記接着剤が結合させられる前記基材の表面と接触させることと;b)前記揮発性溶媒を揮発させて取り除くことと;c)反応性接着剤を工程a)で処理された前記表面と接触させることと;及びd)前記接着剤を硬化させることと、を含む方法である。このプロセスは、プライマ及び膜形成剤の非存在下で実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性接着剤の基材への接着及び連結速度を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性接着剤、例えば、イソシアネート官能性(ポリウレタン又は尿素形成性)、エポキシ系及びシラノール縮合系(silanol condensation based)接着剤は、広範囲の基材を一緒に結合するために使用される。前記接着剤は、建築、車両製造、電子部分組立品及びデバイスの組み立て、玩具などに利用される。前記接着剤は広範囲の用途が見いだされているが、それは前記接着剤がそれほど値段の高くない加工処理条件を許容し、多数の基材への良好な接着を示すからである。多数の基材について、反応性接着剤を用いて部品を組み立てるために使用されるプロセスは、汚染物質を除去するために基材表面の清浄化を必要とし、前記表面を清浄化するために使用される系はワイプと呼ばれることがある。多くのプロセスでは、接着剤の基材への接着を容易にするためにプライマ又は活性剤が利用される。プライマ又は活性剤系は、典型的には膜形成樹脂、溶媒及び1つ又はそれ以上の接着促進剤、触媒、硬化剤又は架橋剤を含有する。例えば、独国特許第19924139号を参照されたい。プライマは、基材表面上で基材表面及び接着剤表面に結合する膜の形成を必要とする。大多数の商業的用途では、プライマは、適正な膜の構築を許容するためにプライマの塗布と接着剤の塗布との間に最小時間量を必要とする。接着剤がそのような最小時間の前に塗布されると、プライマは密着性の膜を形成する機会を有さなくなり、基材表面又は接着剤表面のいずれかに結合しないという大きなリスクが生じる。多数のプライマは、水分硬化性プライマであり、適正な膜を形成するために水分の存在を必要とする。前記プライマの例は、米国特許第5,115,086号;米国特許第5,238,993号;米国特許第5,466,727号;米国特許第5,468,317号;米国特許第5,792,811号であり、上記特許は全部が参照により本明細書に組み込まれる。接着促進剤の非造膜溶液、しばしば活性剤と呼ばれるが、前記非造膜溶液が使用され、これは基材及び接着剤との反応を目的とする基(group)を含有し得る。ワイプ系の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,053,971号に含まれる。前記系において有用な前記接着促進剤の例は、例えばはいずれも参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0126683号及び米国特許出願公開第2006/0124225号に開示されているシラン、イソシアネート含有化合物、チタネート及びジルコネートである。
【0003】
一液型(one-part)イソシアネート官能接着剤は、典型的にはポリイソシアネート又はイソシアネート官能プレポリマの形態にある1つ又はそれ以上のイソシアネート官能材料及び接着剤を硬化させるための触媒を含有する。典型的には、これらの接着剤は水分への曝露の結果として硬化し、基材に塗布されるまでは水分から保護される。一液型ポリウレタン系接着剤をプライマとともに使用する場合は、プライマ及び接着剤の硬化速度を、接着剤がプライマに連結できるように一致させなければならない。水分に曝露すると膜を硬化させる、又は形成するプライマについては、接着剤及びプライマは水分を奪い合う。プライマの一面に接着剤を塗布すると、水分がプライマへ拡散することは困難であることが多く、プライマは膜を適正に形成し得ない。プライマが適正に硬化しないと、接着剤系の基材への結合は、その使用のためには不十分である可能性がある。
【0004】
二液型(two-part)ポリイソシアネート系接着剤は、第1液中にはポリイソシアネート又はイソシアネート官能プレポリマを、第2液中には硬化剤と前記硬化剤及びイソシアネート基を反応させるための触媒とを含んでいる。更に、基材又はプライマの表面へ接着剤を連結させるには、それらを適合させる必要がある。接着剤の硬化速度が接着剤の基材表面又はプライマ表面への連結より有意に速ければ、基材への不良な接着が発生し、基材への接着剤系の結合はその使用のためには不十分となる可能性がある。典型的には、硬化剤は、平均すると1つより多い活性水素原子、例えばアミン又はヒドロキシル成分を有する化合物である。前記系の例には、本願と同一所有権者によるCOMPOSITION USEFUL AS AN ADHESIVE FOR INSTALLING VEHICLE WINDOWS(登録商標)と題する米国で2007年6月3日に出願された米国特許出願11/824,984号及び2007年6月5日にPCT出願されたPCT/US07/013;米国特許第6,965,008号;欧州特許第1433802号及び欧州特許第1578834号(全部が参照により本明細書に組み込まれる)の中に開示された接着剤系が含まれる。これらの接着剤は、二液が接触すると硬化し始める。二液型接着剤は、それらが一液型接着剤よりはるかに速く硬化するという利点を有する。二液型接着剤をプライマとともに利用することに関する問題は、接着剤がプライマより速く硬化してプライマに連結できないということである。更に、イソシアネート基を含有する接着剤は、プライマを硬化させるために必要な水分を妨害する可能性がある。そこで、プライマ塗布と接着剤の基材への塗布との間の時間は、適正な膜構築を許容する必要があり、さもなければこの系は完全に連結して接着剤系の層全部に沿って良好な結合を形成することができない。更に、連結速度は、接着剤の硬化速度と適応させる必要がある。いずれかが他方と比較して速すぎれば、基材への不良な接着が発生し、基材への接着剤系の結合はその使用のために不十分となる可能性がある。
【0005】
一液型エポキシ接着剤系は平均して1つより多いエポキシ(グリシジルエーテル基)を有する化合物、エポキシ成分、例えばヒドロキシル又はアミン成分と反応する平均して1つより多い成分を含む硬化剤、及び潜在性硬化触媒を有する化合物を含んでいる。潜在性硬化触媒は、典型的には設定された高温に曝露されると活性になる。一液型エポキシ接着剤は硬化するために熱を必要とし、適正に調製されないと安定性の問題に悩まされることがあり、つまり塗布される前に硬化することがある。触媒が反応を過度に高速に進行させると、接着剤は、使用された場合には基材の表面に塗布されたプライマの基材表面に連結しない可能性がある。
【0006】
二液型エポキシ系は、1液中に平均すると1つ又はそれ以上のエポキシ基と、別の液中に前記エポキシのための硬化剤を有する化合物及び前記エポキシ化合物を硬化させるための触媒(硬化促進剤と呼ばれることが多い)とを含んでいる。典型的には、触媒は周囲温度で活性であり、二液を接触させると反応を促進する。硬化速度は、硬化剤及び/又は触媒の選択によって用途に適応するように調整することができる。それでも、プライマ塗布された系では、接着剤硬化速度、連結速度及びオープンタイムは注意深く制御する必要があり、そうしなければ接着剤のプライマ系への連結が損なわれる可能性がある。活性剤系は、連結反応と硬化反応とのバランスを取る必要を解決することができない。
【0007】
別の一般的接着剤系は、それに結合した加水分解性基、すなわちシラノール縮合が可能な基とともにシロキシ基を有する有機系ポリマーを含んでいる。これらの接着剤は、相当に高度の極性表面を有するガラス、塗装基材、金属及びプラスチックを含む様々な基材を結合するために使用される。前記接着剤は、一液型又は二液型接着剤に調製することができる。一液型接着剤は、水分硬化性である。二液型接着剤は、第2液中に硬化剤を含有する。前記接着剤系の例は、参照により本明細書に組み込まれるMahdiら、米国特許第6,828,403号;Wuら、米国特許第6,649,016号及びZhu、米国特許出願公開第2008/0017296号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第19924139号
【特許文献2】米国特許第5,115,086号
【特許文献3】米国特許第5,238,993号
【特許文献4】米国特許第5,466,727号
【特許文献5】米国特許第5,468,317号
【特許文献6】米国特許第5,792,811号
【特許文献7】米国特許第6,053,971号
【特許文献8】米国特許出願公開第2005/0126683号
【特許文献9】米国特許出願公開第2006/0124225号
【特許文献10】米国特許出願11/824,984号
【特許文献11】PCT/US07/013
【特許文献12】米国特許第6,965,008号
【特許文献13】欧州特許第1433802号
【特許文献14】欧州特許第1578834号
【特許文献15】米国特許第6,828,403号
【特許文献16】米国特許第6,649,016号
【特許文献17】米国特許出願公開第2008/0017296号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
接着剤系におけるプライマの使用は、プライマを塗布するプロセス工程を必要とし、2つの追加の表面を提供するので接着剤系はそれに沿って破壊する可能性があり、更にオープンタイムを必要とするため製造プロセスに加工処理時間を増やす。現代の工業プロセスでは、部品を移動させ、できる限り速く接着剤系上に負荷を加える必要がある。接着剤で一緒に結合する部品又は製品を移動させること、又は系が適正な強度を構築する前に接着剤結合上に負荷を課すことは、接着剤系の破壊をもたらし、したがって欠陥のある部品又は製品をもたらす可能性がある。必要とされるのは、これらの問題を回避する、及び基材又はプライマ系への連結速度に反応性接着剤の硬化速度を適応させる反応性接着剤を用いて部品を結合するための系である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、i)反応性接着剤を硬化させるための触媒の安定性溶液又は分散液と;別個の液中でii)未硬化反応性接着剤系とを含む系、又はキットであって、前記液i)の触媒は前記反応性接着剤系の硬化を促進する系、又はキットである。本反応性接着剤系は、一液型又は二液型系であってよい。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、反応性接着剤を基材に結合させる方法であって、
a)揮発性溶媒又は分散剤中の反応性接着剤を硬化させるための触媒を前記接着剤が結合する前記基材の表面と接触させることと;
b)前記揮発性溶媒又は分散剤を揮発させて取り除くことと;
c)反応性接着剤を工程a)で処理された前記表面と接触させることと;及び
d)前記接着剤を硬化させることと、を含む方法である。このプロセスは、プライマ及び膜形成剤含有プライマの非存在下で実施される。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、2つ又はそれ以上の基材を一緒に結合する方法であって、
a)揮発性溶媒又は分散剤中の反応性接着剤を硬化させるための触媒を前記接着剤を結合させる前記2つ又はそれ以上の基材の表面と接触させることと;
b)前記揮発性溶媒又は分散剤を揮発させて取り除くことと;
c)反応性接着剤を工程a)で処理した前記表面と接触させることと;
d)前記基材を前記基材間に配置した前記接着剤と一緒に接触させることと;及び
e)前記接着剤を硬化させることと、を含む方法である。
【0013】
本接着剤は、基材表面には直接的に結合するが、別個のプライマ層には直接的に結合しない。好ましくは、溶媒が揮発して取り除かれると、基材は結合される表面上に触媒を有する。1つの実施形態では、触媒は、基材の表面上に配置される唯一の有意な種である。溶媒又は分散剤は、触媒を保持することに加えて、基材の表面を清浄化するために更に機能することができる。別の実施形態では、触媒溶液又は分散液は、触媒の基材表面への塗布を確認するために使用されるマーカを含有する。
【0014】
このプロセスは、基材への接着剤のより速い連結を提供し、一液型接着剤の安定性を強化し、より低濃度の触媒濃度を備える一液型接着剤の調製を許容するが、これは更により短い期間で処理できる部品又は製品の結合を許容する。新世代の自動車用塗料の表面品質は益々変化してきた。引っ掻き及び老化特性は改善されているが、その改善は他方では先行技術の系を用いた場合にプライマなしでこれらの塗料に結合することを困難にする。ガラスを用いた場合には、極めて頻回に接着剤の垂れ/滑りが先行技術系を用いると観察できる。本発明による前処理は、この問題を回避し、塗料プライマの必要を回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明において使用される接着剤系は、本系の硬化を促進するために触媒を利用し得る任意の反応性接着剤系であってよい。「反応性」は、本明細書では接着剤がいったん硬化すると不可逆的に凝固するポリマーマトリックスを形成するように反応する成分を含有することを意味する。好ましい反応性接着剤系のうち、エポキシ、ポリイソシアネート(ポリウレタン、ポリウレア及び/又はポリイソシアナウレートを形成する)、水分硬化性シラン、ブロック化又は不活性化イソシアネート基を基礎とする熱硬化性ポリウレタン接着剤などがある。より好ましい系は、エポキシ系及びポリイソシアネート系接着剤系である。一層より好ましい接着剤系は、ポリイソシアネート系である。本接着剤系は、一液型又は二液型接着剤系であってよい。より好ましいのは、二液型接着剤系である。
【0016】
基材に塗布される触媒溶液又は分散液は、利用される特定接着剤系のための任意の触媒を含有していてよい。触媒の選択は、接着剤系によって決定される。以下では、好ましい接着剤系及び前記系のための触媒について記載する。好ましい触媒は、ポリウレタン触媒、シラノール縮合触媒及びエポキシ触媒である。溶媒又は分散剤は、触媒の安定性溶液又は分散液を形成する任意の溶媒又は分散剤であってよい。「安定性」は、触媒が基材表面に塗布されるまでは分散液又は溶液中に残留することを意味する。好ましくは、溶媒又は分散剤は、前記溶液又は分散液が基材に塗布される条件下では揮発性である。溶媒又は分散剤は、基材への塗布後できる限り迅速に蒸発して取り除かれる、又は直ちに消失するのが望ましい。好ましくは、触媒溶液又は分散液は、前記溶媒又は分散液が直ちに消失した後に前記基材の表面上に前記触媒だけを残す。別の実施形態では、前記溶液又は分散液は、プロセスの操作者が前記溶液又は分散液が塗布されたことを確認することを可能にするマーカを含有してもよい。前記マーカには、多数の供給源、例えば、アルドリッヒ・ケミカル(Aldrich Chemical Co.)社(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から容易に入手できる蛍光成分が挙げられる。特定の例として、蛍光成分は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社(ニューヨーク州タリタウン)から入手できるUvitex OBブランドの蛍光剤であってよい。触媒溶液又は分散液に加えられる蛍光剤の量は、前記触媒溶液又は分散液で処理されたウィンドウの領域が、前記ウィンドウが紫外線で照明されると明白となるように十分でなければならない。この実施形態では、マーカを触媒と基材表面上にそって残すことができる。好ましい溶媒又は分散剤のうち、脂環式炭化水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、エーテル又はアルコールがあり、脂環式炭化水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素がより好ましい。より好ましい溶媒又は分散剤は、脂肪族炭化水素である。好ましい脂肪族炭化水素のうち、ヘキサン、ヘプタン及びオクタンがある。好ましい脂環式炭化水素のうち、シクロヘキサンがある。好ましい芳香族炭化水素のうち、トルエン及びキシレンがある。
【0017】
溶液又は分散液中の触媒濃度は、接着剤系、望ましい硬化及び連結の速度に適応するように変化させてもよい。触媒量は、望ましい連結速度を与えるために十分な量である。「連結(link-up)」は、特定材料に隣接させた表面への結合を意味する。好ましくは、触媒は、溶液又は分散液の重量に基づいて約0.01重量%以上、より好ましくは約0.05重量%以上、及び最も好ましくは0.1重量%以上の量で存在する。好ましくは、触媒は、溶液の重量に基づいて約20重量%以下、より好ましくは約5重量%以下、及び最も好ましくは約2重量%以下の量で存在する。
【0018】
ポリイソシアネート系接着剤系については、触媒は、イソシアネート成分と水又は活性水素含有化合物とを反応させるための当業者に公知の任意の触媒であってよい。好ましくは、前記触媒は周囲条件では揮発性ではない。前記化合物は、当分野において周知である。好ましい触媒は、強力なゲル化又は三量化触媒を含んでいる。好ましい触媒は、金属塩、アミン系触媒、アジリジン系触媒又は第4級アンモニウム触媒である。好ましい触媒のうち、金属アルカノエート、金属アセテート、金属アセチルアセトネート、ジアザビシクロ化合物及び第3級アミンがある。金属塩で使用される好ましい金属には、スズ、ビスマス、鉄、カリウム、ナトリウム、亜鉛、及びチタニウムが挙げられ、スズ、ビスマス、及びチタニウムがより好ましい。好ましい金属アルカノエート触媒には、ビスマス、亜鉛、カリウム及びナトリウムアルカノエートが挙げられ、ビスマスオクトエート、ビスマスネオデカノエート、亜鉛オクトエート、カリウムオクトエート、及びナトリウムオクトエートを含んでいる。好ましい金属アセテートには、カリウムアセテートが挙げられる。好ましい金属アセチルアセチルアセトネートには、鉄アセチルアセトネート、ジブチルスズジアセチルアセトネート及びチタニウムアセチルアセトネートが挙げられる。本発明において有用なアミン触媒には、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノ−エチル)エーテル、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロ−ヘキシルアミン、N,N−ジメチルピペラジン−4−メトキシエチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、及びそれらの混合物が挙げられる。より好ましい触媒は、アンモニウム塩、例えばエア・プロダクツ(Air Products)社から入手できるDABCO(商標)TMR、TMR−3、TMR−4触媒(エチレングリコール中の2−エチルヘキサン酸でブロックされたN−ヒドロキシ−アルキル第3級アンモニウムカルボキシレート)、エア・プロダクツ社から入手できるDABCO(商標)TMR−2及びTMR−5触媒(エチレングリコール中のギ酸でブロックされたN−ヒドロキシ−アルキル第3級アンモニウムカルボキシレート)である。好ましいアミン触媒には、第3級アミン、例えばPOLYCAT(商標)41触媒(1,3.5−トリス(3(ジメチルアミノ−プロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン);DABCO(商標)TMR−30触媒(トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及びANCAMINE(商標)K−54 2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。更に有用な触媒には、CURITHANE(商標)52触媒(2−メチル(n−メチルアミノb−ナトリウムアセテートノニルフェノール))も含まれる。ジアザビシクロ化合物は、ジアゾビシクロ構造を有する化合物である。好ましいジアザビシクロ炭化水素のうち、ジアザビシクロアルカン及びジアザビシクロアルケン塩がある。好ましいジアザビシクロアルカンには、エア・プロダクツ社から商標及び商品名DABCO及びDABCO WTで入手できるジアザビシクロオクタンが挙げられる。好ましいジアザビシクロアルカン塩には、ジアザビシクロウンデセン及びその塩が挙げられる。好ましい塩は、フェノレート、エチルヘキソエート、オレエート及びフォルメート塩形である。前記触媒は、エア・プロダクツ社から商標及び商品名POLYCAT SA1、POLYCAT SA1/10、POLYCT SA102及びPOLYCAT SA610で入手できる。好ましいジアザビシクロ化合物には、POLYCAT DBU触媒(1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7);POLYCAT SA−102触媒(2−エチルヘキサノン酸でブロックされた1,8ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7);POLYCAT(商標)SA−I触媒(フェノール酸(38%)でブロックされた62%の1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7)が含まれる。有機金属化合物、例えば有機スズ化合物は、産業衛生上及び技術的理由のために余り好ましくない。プロセス中で使用されると、形成された結合は、熱及び水分への曝露に伴って破損する。
【0019】
エポキシ系接着剤のためには、当分野において公知の有用な触媒(硬化促進剤)がエポキシ接着剤の硬化速度を増加させるために使用される。前記触媒は、単独で使用した場合には硬化剤として作用できるが、相違するクラスの硬化剤と結合した場合は、エポキシ接着剤組成物の硬化を促進するであろう化合物を含んでいる。有用な触媒の例には、フェノール化合物、例えば2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、第3級アミン、例えばベンジルジメチルアミン及びピペリジン、置換イミダゾール、例えばn−アリールイミダゾール及びn−アルキルイミダゾール、置換ウレア、例えばモニュロン、ジウロン、フェニュロン、及びクロロトルロン、並びにカルシウムトリフルオロメチルスルホネートが含まれる。これらの硬化促進剤は、単独で、又は一緒に組み合わせてエポキシ接着剤組成物の硬化を促進するために使用できる。これらの触媒は、従来型手段によって調製された一液型又は二液型接着剤系の接着を促進するために使用される。
【0020】
反応性接着剤系が加水分解可能なシロキサン(シラン)基を有する有機ポリマーを含む実施形態では、利用される触媒は、シラノール縮合についての当業者に公知の任意の触媒を含んでいる。シラノール縮合反応を触媒する好ましい触媒は、スズ触媒、チタネート及びチタンキレート剤、有機金属化合物、アミノアルキル置換アルコキシシラン、アミン化合物及びその塩、低級脂肪酸のアルカリ金属塩、ジアルキルヒドロキシアミン並びにシラノール縮合反応のために有用であると当分野において周知のグアニジル含有シラン又はシロキサンを含んでいる。好ましい有機金属化合物の1つのクラスには、スズ化合物、例えばジアルキルスズカルボキシレート(有機カルボキシレートのジアルキルスズ(IV)塩)、スズエステル化合物、例えばスズジオクトエート;及びジアルキルスズアルコレート、例えばジアルキルスズジアルケンジオン(ジアルキルスズビスアセチルアセトネートを含む)を含んでいる。好ましい有機金属触媒は、ジアルキルスズアルコレートであり、ジアルキルスズジアセチルアセトネートが最も好ましい。好ましいジアルキルスズカルボキシレートのうち、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジオクトエート又はジオクチルスズジアセテート、並びにジアルキルスズオキシド及びフタル酸エステルの反応生成物がある。ジアルキルスズアルコレートには、ジアルキルスズオキシド及びアルカンジオンの反応生成物、例えばジアルキルスズジアセチルアセトネート、例えばジブチルスズジアセチルアセトネート(更に一般的にはジブチルスズアセチルアセトネートとも呼ばれる)が含まれる。特に好ましいジアルキルスズカルボキシレートのうち、ウィトコ・コーポレーション(Witco Corporation)社から商品名FOMREZ(商標)SUL−11Aで入手できるジブチルスズオキシド及びフタレートエステルの付加化合物、ウィトコ・コーポレーション社から商品名FOMREZ(商標)UL−28で入手できるジメチルスズジカルボキシレート、エア・プロダクツ社から商品名T−12で、及びウィトコ・コーポレーション社から商品名FOMREZ(商標)SUL−4で入手できるジブチルスズジラウレート並びにエア・プロダクツ社から商品名DABCO(商標)T−1及びウィトコ・コーポレーション社から商品名FOMREZ(商標)UL−1で入手できるジブチルスズジアセテートである。好ましい有機金属化合物には、亜鉛ナフテネート、亜鉛ステアレート、亜鉛2−エチルオクトエート、鉄2−エチルヘキソエート、コバルト2−エチルヘキソエート、マンガン2−エチルヘキソエート及びコバルトナフテネートが含まれる。より高速で加水解離を受ける触媒が好ましい。好ましいチタネート及びチタンキレート剤には、テトライソプロポキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタニウム、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタニウム、及びチタニウムイソプロポキシオクチレングリコールが挙げられる。好ましいアミノアルキル置換アルコキシシランには、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシランが挙げられる。好ましいアミン化合物及びその塩には、ヘキシルアミン、ドデシルアミンホスフェート、テトラメチルグアニジン及びジアザビシクロノナンが挙げられる。好ましい第4級アンモニウム塩には、ベンジルトリエチルアンモニウムアセテートが挙げられる。好ましい低級脂肪酸のアルカリ金属塩には、カリウムアセテート、ナトリウムアセテート及びリチウムオキサレートが挙げられ、好ましいジアルキルヒドロキシアミンにはジメチルヒドロキシルアミン及びジエチルヒドロキシアミンが挙げられる。好ましいグアニジル含有シラン又はシロキサンには、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチル−ジメトキシシラン及びテトラメチルグアニジル−プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランが挙げられる。これらの内、好ましいのはアミン化合物、例えばテトラメチルグアニジン及びジアザビシクロノナン、並びにグアニジル含有シラン又はシロキサン、例えばテトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジル−プロピルメチル−ジメトキシシラン及びテトラメチルグアニジルプロピル−トリス(トリメチルシロキシ)シランである。スズ及びチタネート化合物はより好ましい。最も好ましい触媒は、ニットー・カセイ(Nitto Kasei Co.)社から商品名NEOSTANN(商標)U−220で入手できるジブチルスズビスアセチルアセトネート(ジブチルスズジペンテンジオン)である。これらの触媒は、単独で、又は2つ以上の混合状態で使用してもよい。
【0021】
硬化性エポキシ接着剤組成物は、一般には:(a)エポキシ樹脂;(b)前記エポキシ樹脂のための硬化剤;及び(c)前記エポキシ樹脂を硬化させるための触媒(硬化促進剤)を含んでいる。エポキシ接着剤は、潜在形で含まれている硬化剤を備える一液型熱硬化性接着剤として、又はエポキシ樹脂成分と硬化剤を含む硬化剤成分とを備える二液型接着剤として調製してもよい。接着促進のための本発明の系及びプロセスは、エポキシ接着剤が触媒を含んでいてもいなくても、エポキシ硬化のための硬化促進剤又は触媒の溶液又は安定性分散液を使用する。本発明の接着剤組成物において有用なエポキシ樹脂は、開環によって重合可能である少なくとも1つのエポキシ環を有する任意の有機化合物であってよい。好ましいのは、1つより多い、及び好ましくは少なくとも2つである平均エポキシ官能基を有する有機化合物である。エポキシドは、モノマー性若しくはポリマー性、及び脂肪族、脂環式、複素環式、芳香族、又はそれらの混合物であってよい。より好ましいエポキシドは、芳香族であり、1分子当たり1.5より多いエポキシ基及び最も好ましくは1分子当たり2より多いエポキシ基を含有する。好ましいエポキシ樹脂は、約150〜10,000、及び好ましくは約300〜1,000の分子量を有する。好ましいエポキシ樹脂には、末端エポキシ基を有する線状ポリマーエポキシド(例、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格エポキシ基を有するポリマーエポキシド(例、ポリブタジエンポリエポキシ)、及びペンダントエポキシ基を有するポリマーエポキシド(例、グリシジルメタクリレートポリマー又はコポリマ)、又はそれらの混合物が含まれる。好ましいのは、芳香族グリシジルエーテル、例えば多価フェノールを過剰なエピクロロヒドリンと反応させる工程によって調製される芳香族グリシジルエーテルである。有用なフェノールの例には、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、及び多核フェノール、例えばp,p’−ジヒドロキシジベンジル、p,p’−ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、p,p’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−1,1−ジナフチルメタン並びにジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルメチルプロピルメタン、ジヒドロキシジフェニルエチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルプロピルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルブチルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルトリルメタン、ジヒドロキシジフェニルトリルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルジシクロヘキシルメタン、及びジヒドロキシジフェニルシクロヘキサンの2,2’、2,3’、2,4’、3,3’、3,4’及び4,4’イソマーが含まれる。更に好ましいのは、多価フェノールホルムアルデヒド縮合生成物並びに反応基としてエポキシ基又はヒドロキシ基のみを含有するポリグリシジルエーテルである。有用な材料には、ビスフェノールA及びノボラック樹脂のジグリシジルエーテル、例えば参照により本明細書に組み込まれる「Handbook of Epoxy Resins」by Lee and Neville, McGraw-Hill Book Co., New York (1967)に記載されたジグリシジルエーテルが挙げられる。柔軟化された(flexibilized)骨格を備えるエポキシドも又有用である。好ましい材料には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びビスフェノールFのジグリシジルエーテルが挙げられ、最も好ましいのはビスフェノールAのジグリシジルエーテルであるが、それはこれらの材料が硬化すると達成する望ましい構造的接着特性のためである。本発明において有用な市販で入手できるエポキシドの例には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、シェル・ケミカル(Shell Chemical)社から商標EPON 828、EPON 1001、及びEPONEX 1510、並びにダウ・ケミカル(The Dow Chemical)社からDER−331、DER−332、及びDER−334で入手できるもの);ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(例えば、ダイ・ニッポン・インク・アンド・ケミカルズ(Dai Nippon Ink and Chemicals)社から入手できるEPICLON(商標)830);ジグリシジルエポキシ官能基を含有するシリコーン樹脂;難燃性エポキシ樹脂(例えば、ダウ・ケミカル社から入手できる臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂であるDER(商標)580);及び1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0022】
エポキシ接着剤組成物は、当分野において周知である強化剤を含んでもよい。一部の場合には、接着剤組成物の流動特性を制御するために反応性希釈剤を添加することができる。適切な希釈剤は、少なくとも1つの反応性末端部分、及び好ましくは、飽和又は不飽和環状骨格を有し、当分野において周知である。様々な他のアジュバントを硬化前後に組成物の特性を強化するためにエポキシ系接着剤組成物に添加することができる。特に有用なアジュバントのうち、非反応性希釈剤;可塑剤、例えば従来型ホスフェート及びフタレート;難燃剤、例えばボレート、メタボレート、アルミニウムヒドロキシド、マグネシウムヒドロキシド、及び臭素化合物;チキソトロピック剤、例えば流動制御を提供するためのヒュームドシリカ;色調を強化するための顔料、例えば酸化鉄、レンガダスト、カーボンブラック、及びチタニウムジオキシド;充填剤、例えばタルク、シリカ、マグネシウム、カルシウムスルフェート、ベリリウムアルミニウムシリケート;粘土、例えばベントナイト;ガラス及びセラミックビーズ及びバブル;X線不透過性を付与する化合物、例えばバリウムメタボレート;並びに強化材料、例えば有機及び無機繊維、例えばポリエステル、ポリイミド、グラスファイバー及びセラミックファイバーのウーブン及びノンウーブンウエブが含まれる。分散剤及び湿潤剤、例えばシランは、更に又それらがエポキシ接着剤組成物の硬化反応を妨害しない限り添加することができる。アジュバントは、所定の目的のために有効な量で添加してもよい。
【0023】
エポキシ接着剤組成物は、様々な方法で調製してよく、一液型及び二液型接着剤系が挙げられる。二液型組成物を提供することによって、前記組成物の使用前に二液を結合すると、前記組成物の所望の保管寿命又はポットライフが得られる。二液型接着剤組成物については、硬化は、室温で約24時間にわたって実行することができる。より高速で硬化させるためには、120℃まで加熱する工程を利用し得る。一部の用途では、粘度制御及び二液のより優れた混合を提供するために、各液中での成分の量及び分布を選択することが望ましい。例えば、充填剤は、各液が使用される充填剤の一部分を含有するように分割することができる。
【0024】
一液型エポキシ組成物を、硬化反応を開始させるために十分な熱を許容する任意の手段によって硬化させることができる。硬化させる手段は、従来型オーブン、誘導加熱、赤外放射、マイクロ波放射、流体浴中への浸漬、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。硬化は、幾つかの段階で、例えば30秒間にわたる誘導硬化、並びに約120℃以上、及び好ましくは約180℃でのオーブン硬化で達成できる。硬化時間は、硬化のための特定プロセスに左右されるであろう。誘導加熱時間は、典型的には約1〜60秒間に及ぶ。オーブン硬化時間は、約0.1〜約2時間に及ぶことがある。
【0025】
エポキシ接着剤組成物は、特別には金属を金属へ、及びプラスチックを金属に結合させるために有用であるが、エポキシ接着剤組成物は、プラスチック表面、例えばポリエステルを基礎とするシート成形化合物を結合させるために使用してもよい。金属表面の例には、スチール、チタニウム、油性スチール、アルミニウム、及びマグネシウムが含まれる。プラスチック表面には、シート成形化合物、グラスファイバー強化エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、及びウレアホルムアルデヒドが含まれる。エポキシ接着剤は、組立部品、例えば自動車、航空機、冷却ユニットなどの部品を組み立てる際に使用できる。
【0026】
イソシアネート系(ポリウレタン又はポリウレア形成性)接着剤系は、イソシアネート官能性成分を含んでいる。イソシアネート官能性成分は、平均すると1分子当たり1つより多いイソシアネート官能基を有する1つ又はそれ以上の化合物を含有する。イソシアネート官能性化合物は、平均すると1つより多いイソシアネート成分を含有する任意の化合物であってよい。イソシアネート官能性化合物は、イソシアネート官能性プレポリマの形態又は平均すると1より多いイソシアネート基、及び好ましくは2つ又はそれ以上のイソシアネート基を有するモノマー若しくはオリゴマーの形態にあってよい。イソシアネートプレポリマは、イソシアネート官能性化合物と平均すると1つより多いイソシアネート反応性官能基、例えばヒドロキシル、アミン、チオール、カルボキシルなどを有する1つ又はそれより多い化合物との、調製されたプレポリマが平均すると1分子当たり1つより多いイソシアネート成分(基)を有するような条件下での反応によって調製される任意のプレポリマであってよい。ポリイソシアネート系接着剤系は、一液型又は二液型系であってよい。一液型系では、イソシアネート官能性成分は、触媒及び以下で記載する他の成分を更に含んでいる。一成分系は、典型的には水分硬化性によって硬化する。調製されると、一液型接着剤は、塗布前の硬化を防止するために気密性且つ防水性容器内に包装される。
【0027】
別の実施形態では、本発明において使用される接着剤系は、二液型ポリイソシアネート含有接着剤系である。二液は相互に反応性であり、接触させると接着特性を有して硬化反応を受け、このとき前記組成物は基材を一緒に結合することができる。組成物の1液は、イソシアネート官能生成分を含んでいる、又は含有する。これは、典型的には樹脂側、又はA側と呼ばれる。本組成物の他方の成分は、1つ又はそれ以上の化合物、本明細書に記載したイソシアネート成分と反応性である平均して1つより多い基を有するオリゴマー又はプレポリマを含む、又は含有するイソシアネート反応性成分である。第2液は、一般には硬化剤又はB側として公知である。平均して1つ又はそれ以上のイソシアネート反応性基を有する化合物はプレポリマであってよい、又は短鎖化合物、例えば当分野において公知の二官能鎖延長剤又は多官能架橋剤であってよい。典型的には、鎖延長剤及び架橋剤は、約250ダルトン以下の分子量を有する。上記に記載した触媒は、硬化剤側で利用することができる。反応生成物は、所定の基材を一緒に結合することのできる硬化した生成物である。
【0028】
本発明において使用するために好ましいポリイソシアネートには、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、複素環式若しくは芳香族ポリイソシアネート、又はそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、使用されるポリイソシアネートは少なくとも約2.0の平均イソシアネート官能基数及び少なくとも約80の当量を有する。好ましくは、ポリイソシアネートのイソシアネート官能基数は、少なくとも約2.0、より好ましくは少なくとも約2.2であり、最も好ましくは少なくとも約2.4である;及び好ましくは約4.0以下、より好ましくは約3.5以下であり、最も好ましくは約3.0以下である。より高い官能基数も又使用できるが、過度の架橋結合を誘発し、あまりに粘性が高いため容易に取り扱って塗布することができない組成物を生じさせ、硬化した組成物が過度に脆性になることを誘発する可能性がある。好ましくは、ポリイソシアネートの当量は、少なくとも約100、より好ましくは少なくとも約110であり、最も好ましくは少なくとも約120である;及び好ましくは約300以下、より好ましくは約250以下であり、最も好ましくは約200以下である。好ましいポリイソシアネートの例には、参照により本明細書に組み込まれるWuによる米国特許第6,512,033号の第3欄第3〜49行に開示されたポリイソシアネートが含まれる。より好ましいイソシアネートは、芳香族イソシアネート、脂環式イソシアネート及びそれらの誘導体である。一層より好ましいポリイソシアネートには、ジフェニルメタンジイソシアネート及びそのポリマー誘導体、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシイアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート及びそのポリマー誘導体、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。最も好ましいイソシアネートはジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0029】
本明細書で使用する用語「イソシアネート反応性化合物」には、少なくとも2つのイソシアネート反応性成分を有する任意の有機化合物、例えば活性水素成分を含有する化合物、又はイミノ官能性化合物が含まれる。本発明のためには、活性水素含有成分とは、分子内のその位置のために、Journal of the American Chemical Society, Vol.49, p.3181 (1927)の中でWohlerによって記載されたZerewitinoff試験によると有意な活性を示す水素原子を含有する成分を意味する。前記活性水素成分の例は、−COOH、−OH、−NH、−NH−、−CONH、−SH、及び−CONH−である。好ましい活性水素含有化合物には、ポリオール、ポリアミン、ポリメルカプタン及びポリ酸が挙げられる。適切なイミノ官能性化合物は、1分子当たり少なくとも1つの末端イミノ基を有する化合物、例えば全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,910,279号に記載されている化合物である。好ましくは、イソシアネート反応性化合物はポリオール又はポリアミンであり、より好ましくはポリエーテルポリオールである。
【0030】
プレポリマの調製において有用な好ましいポリオールには、参照により本明細書に組み込まれるWuによる米国特許第6,512,033号の第4欄第10〜第64行に開示されたポリオールが挙げられ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(アルキレンカーボネート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオール(前記ポリオール中のビニルポリマーの分散液、一般にはコポリマーポリオールと呼ばれる)及びそれらの混合物が含まれる。好ましくは、イソシアネート反応性化合物は、少なくとも約1.5、より好ましくは少なくとも約1.8であり、最も好ましくは少なくとも約2.0である;及び好ましくは約4.0以下、より好ましくは約3.5以下であり、最も好ましくは約3.0以下である官能基数を有する。好ましくは、イソシアネート反応性化合物の当量は、少なくとも約200、より好ましくは少なくとも約500であり、及びより好ましくは少なくとも約1,000である;並びに好ましくは約5,000以下、より好ましくは約3,000以下であり、及び最も好ましくは約2,500以下である。
【0031】
イソシアネート官能接着剤系において使用するためのイソシアネート官能性プレポリマは、好ましくは少なくとも約2.0の平均イソシアネート官能基数並びに少なくとも約500及びより好ましくは約1,000の分子量を示す。好ましくは、プレポリマの平均イソシアネート官能基数は、少なくとも約2.0であり、より好ましくは少なくとも約2.2である。好ましくは、イソシアネート官能基数は約4.0以下、より好ましくは約3.5以下、及び最も好ましくは約3.0以下である。好ましくは、プレポリマの重量平均分子量は、少なくとも約2,500であり、より好ましくは少なくとも約3,000である;並びに好ましくは約40,000以下、一層より好ましくは約20,000以下であり、及び最も好ましくは約10,000以下である。プレポリマは、任意の適切な方法によって、例えばイソシアネート基と反応性の2つ又はそれ以上の基を有する化合物、例えばポリオール又はポリアミンを、対応するプレポリマを形成するために十分な反応条件下で化学量論を超えて過剰なポリイソシアネートと反応させることによって調製することができる。プレポリマは、任意の適切な方法、例えばバルク重合及び溶液重合によって調製し得る。プレポリマを調製するための反応は、大気中水分によるイソシアネート基の架橋結合を防止するための無水条件下で、好ましくは不活性雰囲気下で、例えば窒素ブランケット下で実施される。この反応は、イソシアネート基をイソシアネート反応性基と反応させるための触媒によって触媒される。前記の例には、カルボン酸のスズ塩、例えばスズオクトエート、スズオレエート、スズアセテート、及びスズラウレート;ジアルキルスズジアルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジアセテート、第3級アミン及びスズメルカプチドが挙げられる。好ましくは、プレポリマを調製するための反応は、スズオクトエートによって触媒される。使用される触媒の量は、一般には、イソシアネートの性質に依存して、触媒される混合物の重量で約0.005〜約5%である。この反応は、好ましくは約0〜約150℃、より好ましくは約25〜約80℃の温度で、サンプルの滴定によって決定された残留イソシアネート含量が所望の理論値に極めて近くなるまで実施される。二液型イソシアネート系接着剤系については、プレポリマ中のイソシアネート含量は、好ましくは約6〜約35重量%の範囲内、より好ましくは約8〜約30重量%の範囲内、及び最も好ましくは約10〜約25重量%の範囲内にある。一液型水分硬化性系については、プレポリマ中のイソシアネート含量は、好ましくは約0.1〜約10重量%の範囲内、より好ましくは約1.5〜約5.0重量%の範囲内、及び最も好ましくは約1.8〜約3.0重量%の範囲内にある。
【0032】
イソシアネート官能性成分は、硬化条件に曝露させたときに硬化成分を形成するために十分な量で接着剤系中に存在する。二液型組成物中では、イソシアネート官能性成分は、イソシアネート反応性化合物と結合すると、基材が長期間、例えば10年にわたって約−30℃〜約100℃の温度に;及び30分までの短期間にわたって約180℃の温度まで曝露させた場合に一緒に結合されたままとなるような方法で一緒に結合することができる。
【0033】
本発明において有用なイソシアネート官能接着剤組成物は、硬化形での弾性を改善するために多官能性イソシアネートを更に含むことができる。イソシアネートの状況において使用される「多官能性」は、2.2以上の官能基数を有するイソシアネートを意味する。ポリイソシアネートは、約2.2以上の公称官能基数を有する任意のモノマー、オリゴマー又はポリマーイソシアネートであってよい。より好ましくは、多官能性イソシアネートは、約2.7以上の公称官能基数を有する。好ましくは、多官能性イソシアネートは、約4以下及び最も好ましくは約3.2以下の公称官能性を有する。多官能性イソシアネートは、イソシアネート官能性プレポリマ及び/又は本組成物において使用されるオリゴマー又はプレポリマと反応性であり、硬化した組成物の弾性を改善する任意のイソシアネートであってよい。多官能性イソシアネートは、モノマー;モノマーイソシアネートのトリマー、イソシアヌレート若しくはビウレット;オリゴマー若しくはポリマー、1つ又はそれ以上のモノマーイソシアネートの数個の単位の反応生成物であってよい。好ましい多官能性イソシアネートの例には、バイエル(Bayer)社から商標及び商品名DESMODUR N3300及びN−100で入手できるヘキサメチレンジイソシアネートのトリマー、及びポリマーイソシアネート、例えばポリマーMDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)、例えばダウ・ケミカル社によって商標PAPIで市販されているPAPI20ポリマーイソシアネートを含むポリマーイソシアネートが挙げられる。多官能性イソシアネートは、本発明の硬化組成物の弾性に大きな影響を及ぼすために十分な量で存在している。過剰に使用されると、本組成物の硬化速度は、許容できないほど緩徐化される。過少に使用されると、所望の弾性レベルは達成できない。多官能性イソシアネートは、好ましくは本組成物の重量に基づいて約0.5重量%以上、より好ましくは約1.0重量%以上、及び最も好ましくは約1.4重量%以上の量で存在する。多官能性イソシアネートは、好ましくは本組成物の重量に基づいて約8重量%以下、より好ましくは約5重量%以下、及び最も好ましくは約2.5重量%以下の量で存在する。本多官能性イソシアネートは、一液型及び二液型接着剤組成物に利用してよい。二液型組成物では、本多官能性イソシアネートは、好ましくはイソシアネート官能性プレポリマの形態にある好ましくはイソシアネート官能性成分を含有する液中に配置される。
【0034】
本イソシアネート官能接着剤系は、イソシアネート官能基とイソシアネート反応性基との反応のための1つ又はそれ以上の触媒を更に含んでおり、前記触媒をイソシアネート官能基含有成分又はイソシアネート反応性成分中に配置してもよい。好ましくは、二液型接着剤系については、触媒を、2成分系の安定性を改善するためにイソシアネート反応性成分中に配置してもよい。触媒は、イソシアネート基と活性水素含有化合物とを反応させるために当業者に公知の任意の触媒であってよい。好ましい触媒のうち、有機スズ化合物、金属アルカノエート、第3級アミン及びジアザビシクロ化合物がある。触媒は、イソシアネート基が合理的速度でイソシアネート反応性基と反応することを誘発するために十分な量で利用される。利用される触媒の量は、触媒の選択及び所望の反応速度に左右される。好ましくは、触媒は、本接着剤系の重量に基づいて約0.006重量%以上、より好ましくは約0.01重量%以上、及び最も好ましくは0.02重量%以上の量で利用されるであろう。好ましくは、触媒は、本接着剤系の重量に基づいて約5.0重量%以下、より好ましくは約2.0重量%以下、及び最も好ましくは約1.0重量%以下の量で利用されるであろう。有用な有機スズ触媒に含まれるのは、化合物、例えばアルキルスズオキシド、スズアルカノエート、ジアルキルスズカルボキシレート及びスズメルカプチドである。スズアルカノエートには、スズオクトエートが挙げられる。アルキルスズオキシドには、ジアルキルスズオキシド、例えばジブチルスズオキシド及びその誘導体が挙げられる。有機スズ触媒は、好ましくはジアルキルスズジカルボキシレート又はジアルキルスズジメルカプチドである。ジアルキルスズジカルボキシレートは、好ましくは式(ROC(O))−Sn−(R(式中、Rは、独立して各発生時にC1−10アルキル、好ましくはC1−3アルキル及び最も好ましくはメチルである)に対応する。低級全炭素原子を備えるジアルキルスズジカルボキシレートは、それらが本発明において使用される組成物中でより活性な触媒であるので好ましい。好ましいジアルキルジカルボキシレートには、1,1−ジメチルスズジラウレート、1,1−ジブチルスズジアセテート及び1,1−ジメチルジマレエートが挙げられる。好ましい金属アルカノエートには、ビスマスオクトエート又はビスマスネオデカノエートが挙げられる。有機スズ又は金属アルカノエート触媒は、好ましくは本組成物の重量に基づいて約0.006重量%以上及びより好ましくは約0.012重量%以上の量で存在する。有機スズ又は金属アルカノエート触媒は、好ましくは本組成物の重量に基づいて約1.0重量部以下、より好ましくは約0.5重量%以下、及び最も好ましくは約0.1重量%以下の量で存在する。好ましい第3級アミンのうち、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルピペラジン、4−メトキシエチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、及びそれらの混合物である。より好ましい第3級アミンには、ジモルホリノジエチルエーテル又は(ジ−(2−(3,5−ジメチル−モルホリノ)エチル)エーテル)が挙げられる。第3級アミンは、好ましくは、本組成物の重量に基づいて、本接着剤系に基づいて約0.01重量%、より好ましくは約0.05重量%以上、一層より好ましくは約0.1重量%以上、及び最も好ましくは約0.2重量%以上、並びに好ましくは約2.0重量%以下、より好ましくは約1.75重量%以下、一層より好ましくは約1.0重量%以下、及び最も好ましくは約0.4重量%以下の量で使用される。
【0035】
本イソシアネート官能接着剤系において有用なジアザビシクロ化合物は、ジアゾビシクロ構造を有する化合物である。二液系中のジアザビシクロ化合物を使用するのが好ましい。特に好ましいジアザビシクロ炭化水素には、ジアザビシクロアルカン及びジアザビシクロアルケン塩が挙げられる。一部の実施形態では、触媒は、1つ又はそれ以上のジアザビシクロアルカン及び1つ又はそれ以上のジアザビシクロアルケン塩を含むのが好ましい。両方のクラスの化合物が存在する場合は、1つ又はそれ以上のジアザビシクロアルカン対1つ又はそれ以上のジアザビシクロアルケン塩のモル比は、好ましくは約1:9又はそれ以上;より好ましくは約2:8又はそれ以上;及び最も好ましくは約4:6又はそれ以上である。両方のクラスの化合物が存在する場合は、1つ又はそれ以上のジアザビシクロアルカン対1つ又はそれ以上のジアザビシクロアルケン塩のモル比は、好ましくは約9:1又はそれ以下;より好ましくは約8:2又はそれ以下;及び最も好ましくは約6:4又はそれ以下である。好ましいジアザビシクロアルカンには、エア・プロダクツ社から商標及び商品名DABCO、DABCO WT、DABCO DC1、DABCO DC2、及びDABCO DC21で入手できるジアザビシクロオクタンが含まれる。好ましいジアザビシクロアルケン塩には、フェノレート、エチルヘキソエート、オレエート及びホルミアート塩形にある、エア・プロダクツ社から商標及び商品名POLYCAT SA1、POLYCAT SA1/10、POLYCAT SA102及びPOLYCAT SA610で入手できるジアザビシクロウンデセンが挙げられる。好ましい実施形態では、1つ又はそれ以上のジアザビシクロ化合物及び1つ又はそれ以上の有機金属及び/又は第3級アミン触媒が本接着剤系中に存在する。ジアザビシクロ化合物は、本組成物が本明細書に定義した許容できる硬化速度を示すように十分な量で存在する。ジアザビシクロ化合物は、好ましくは本発明の組成物中において約0.01重量%以上、より好ましくは約0.02重量%以上の量で存在する。好ましくは、ジアザビシクロ化合物は、本発明の組成物中において、約5重量%以下、より好ましくは約1重量%以下、及び最も好ましくは約0.5重量%以下の量で存在する。
【0036】
イソシアネート官能接着剤組成物は、2つ又はそれ以上のイソシアネート反応性基及び炭化水素骨格を有する1つ又はそれ以上の低分子量化合物を更に含むことができ、このとき前記骨格は1つ又はそれ以上のヘテロ原子を更に含んでもよい。二液型組成物中では前記低分子量化合物を使用するのが有益である。前記低分子量化合物は、鎖延長剤として当分野において公知の化合物であってよく、前記化合物は二官能性である。前記低分子量化合物は、当分野において架橋剤としても公知である化合物であってよく、前記化合物は、平均すると1化合物当たり2つより多い活性水素基を有する。骨格中のヘテロ原子は、酸素、硫黄、窒素又はそれらの混合物であってよいが、このとき酸素、窒素又はそれらの混合物がより好ましく、酸素が最も好ましい。好ましくは、低分子量化合物の分子量は、約120以下及びより好ましくは約100以下である。好ましくは、低分子量化合物は、1つ又はそれ以上の多官能アルコール、多官能アルカノールアミン、多官能アルコール及びアルキレンオキシドの1つ又はそれ以上の付加化合物、多官能アルカノールアミン及びアルキレンオキシドの1つ又はそれ以上の付加化合物並びにそれらの混合物を含んでいる。好ましい多官能アルコール及び多官能アルカノールアミンのうち、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ネオペンチルグリコール、エタノールラミン(ジエタノールアミン、トリエタノールラミン)及びプロパノールアミン(ジ−イソプロパノールアミン、トリ−イソプロパノールアミン)などがある。様々な低分子量化合物の混和物を使用してよい。低分子量化合物は、所望のG−弾性率(E−弾性率)を得るために十分な量で使用される。二液型接着剤組成物では、低分子量化合物を、樹脂側、硬化剤側又は両方に配置することができる。好ましくは、低分子量化合物を、硬化剤側に配置する。好ましくは、低分子量化合物は、本接着剤組成物中において、約2重量%以上、より好ましくは約2.5重量%以上、及び最も好ましくは約3.0重量%以上の量で存在する。好ましくは、低分子量化合物は、本接着剤組成物中において、約10重量%以下、より好ましくは約8重量%以下、及び最も好ましくは約6重量%以下の量で存在する。
【0037】
二液型イソシアネート官能接着剤系では、硬化剤部は、ポリアミン1つ当たり2つ又はそれより多いアミンを有するポリオキシアルキレンポリアミンを更に含んでよい。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、ポリアミン1つ当たり2〜4つのアミン、及び最も好ましくはポリアミン1つ当たり2〜3つのアミンを有する。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、約200以上及び最も好ましくは約400以上の重量平均分子量を有する。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、約5,000以下及び最も好ましくは約3,000以下の重量平均分子量を有する。特に好ましいポリオキシアルキレンポリアミンは、約400の分子量を有するJEFFAMINE(商標)D−T−403ポリプロピレンオキシドトリアミン及び約400の分子量を有するJEFFAMINE(商標)D−400ポリプロピレンオキシドジアミンである。ポリオキシアルキレンポリアミンは、いったん混合及び塗布されると本組成物が垂れるのを防止するために十分な量で存在する。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、本接着剤系中に、約0.2重量%以上、より好ましくは約0.3重量%以上、及び最も好ましくは約0.5重量%以上の量で存在する。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、本接着剤系中に、約6重量%以下、より好ましくは約4重量%以下、及び最も好ましくは約2重量%以下の量で存在する。
【0038】
本接着剤系の二液は、好ましくは、イソシアネート基の当量がイソシアネート反応性基の当量より大きくなるように結合される。より好ましくは、イソシアネート基の当量対イソシアネート反応性基の当量比は、約1.0:1.0より大きく、一層より好ましくは約1.05:1.0以上であり、及び最も好ましくは約1.10:1.0以上である。より好ましくは、イソシアネート基対イソシアネート反応性基の当量比は、約2.0:1.0以下であり、及び最も好ましくは約1.40:1.0以下である。
【0039】
一液型ポリイソシアネート官能接着剤系並びに樹脂部及び二液型イソシアネート官能性系についての樹脂部及び硬化剤部の一方または両方は、可塑剤、充填剤、顔料、安定剤及び一般に硬化性ポリウレタン形成接着剤中に存在する他の添加物を含有してよい。前記材料の添加によって、物理的特性、例えばレオロジー、流量などを変更することができる。しかし、本イソシアネート官能性成分の感湿基の早期加水分解を防止するために、充填剤をそれらとの混合の前に完全に乾燥させなければならない。本発明の組成物は、紫外線安定剤及び酸化防止剤などを含むことができる。
【0040】
有用な充填剤のうち、粘土、アルミナ、石灰石、タルク、カルシウムカーボネート及び膨張パーライトが挙げられる。本発明において有用な好ましい粘土には、カオリン、表面処理カオリン、焼成カオリン、アルミニウムシリケート及び表面処理無水アルミニウムシリケートが挙げられる。粘土は、ポンピング可能な接着剤の調製を促進する任意の形態で使用してよい。好ましくは、粘土は、粉砕粉、スプレー乾燥ビーズ又は細引き粒子の形態で混合される。粘土は、本接着剤系の約0重量%以上、より好ましくは約5重量%以上、及び一層より好ましくは約10重量%以上の量で使用してよい。好ましくは、粘土は、本接着剤系の約70重量%以下、及びより好ましくは約60重量%以下の量で使用される。
【0041】
可塑剤は、レオロジー特性を所望の粘稠度へ改質できるように含まれる。前記材料は、水を含んでいてはならず、イソシアネート基に対して不活性でなければならず、及び存在するポリマーと適合性でなければならない。適切な可塑剤は、当分野において周知であり、好ましい可塑剤としては、アルキルフタレート、例えばジイソノニルフタレート若しくはジイソデシルフタレート、部分水素化テルペン、トリオクチルホスフェート、トルエン−スルファミド、アルキルスルホン酸のエステル、アジピン酸エステル、ヒマシ油、トルエン及びアルキルナフタレンが挙げられる。硬化性組成物の各液中の可塑剤の量は、所望のレオロジー特性を与える量である。本明細書に開示した量としては、イソシアネート含有プレポリマの調製中及び硬化性組成物の配合中に添加される量が挙げられる。好ましくは、可塑剤は、本接着剤系中において本接着剤系の重量に基づいて約0重量%以上、より好ましくは約5重量%以上、及び最も好ましくは約10重量%以上の量で使用される。可塑剤は、好ましくは本接着剤系の重量に基づいて約45重量%以下、及びより好ましくは約40重量%以下の量で使用される。
【0042】
本発明において使用される接着剤は、接着剤組成物を湿気から保護し、それにより前記硬化性調製物中でのイソシアネートの早期架橋結合の前進を阻害しまた防止する機能をもつ安定剤を更に含み得る。本明細書ではイソシアネート官能接着剤系についての当業者に公知の安定剤を使用してもよい。前記安定剤のうち、ジエチルマロネート、アルキルフェノールアルキレート、パラトルエンスルホン酸イソシアネート、ベンゾイルクロライド及びオルトアルキルホルメートが挙げられる。前記可塑剤は、好ましくは、本接着剤系の全重量に基づいて約0.1重量%以上、好ましくは約0.5重量%以上、及びより好ましくは約0.8重量%以上の量で使用される。前記安定剤は、本接着剤系の全重量に基づいて約5.0重量%以下、より好ましくは約2.0重量%以下、及び最も好ましくは約1.4重量%以下の量で使用される。
【0043】
本発明において有用な接着剤は、接着プロモータ、例えば参照により本明細書に組み込まれるMahdi、米国特許出願第2002/0100550号の第0055〜0065段落及びHsieh、米国特許第6,015,475号の第5欄第27行〜第6欄第41行に開示された接着促進剤を更に含み得る。有用な前記接着促進剤の量は、又これらの参考文献に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、本接着剤系は、イソシアネート官能基及び加水分解性シロキサン基の両方を含んでもよい。前記接着剤系は、イソシアネート官能基を有するプレポリマと加水分解性シロキサン官能基を含有するプレポリマとを混和すること、例えば参照により本明細に組み込まれるZhu、米国特許第7,345,130号に開示された工程によって、又はイソシアネートと加水分解性シロキサン官能基の両方を有するプレポリマを形成すること、例えば上記に言及した一節にあるHsieh、米国特許第6,015,475号に開示された工程によって調製し得る。
【0044】
本発明において有用な一液型イソシアネート官能性及び加水分解性シロキサン官能接着剤は、大気中水分を本組成物中に引き入れるように機能する親水性材料を更に含むことができる。この材料は、大気中水分を本組成物に引き入れることによって本調製物の硬化速度を強化することができる。好ましくは、親水性材料は液体である。好ましい親水性材料のうち、ピロリドン、例えば1メチル−2−ピロリドン(又はN−メチルピロリドン)がある。別のクラスの親水性材料は、高エチレンオキシド含有ポリエーテルポリオール又はアミン基を含有する触媒的に活性なポリオールであるが、これらは独立して存在してよい、又は前記イソシアネート官能性及び/又は加水分解性シロキサン官能性プレポリマ内に組み入れてもよい。親水性材料は、好ましくは本接着剤系の重量に基づいて約0.1重量%以上、より好ましくは約0.3重量%以上、並びに好ましくは約1.0重量%以下及びより好ましくは約0.6重量%以下の量で存在する。任意で、硬化性組成物は、チキソトロピック剤(thixotrope)(レオロジー添加物)を更に含んでもよい。前記チキソトロピック剤は、当業者には周知であり、ヒュームドシリカ、カルシウムカーボネート、カーボンブラックなどが挙げられる。チキソトロピック剤を、本組成物に、所望のレオロジー特性を与えるために十分な量で添加し得る。好ましくは、チキソトロピック剤は、本接着剤系の重量に基づいて約0重量%以上、好ましくは約1重量部以上の量で存在する。好ましくは、任意のチキソトロピック剤は、本接着剤系の重量に基づいて約10重量%以下、及びより好ましくは約2重量%以下の量で存在する。本調製物は、公知の添加物、例えば当業者には公知の熱安定剤及び酸化防止剤を更に含んでもよい。
【0045】
本発明において有用な接着剤は、これらの成分を、当分野において周知の手段を用いて共に混和することによって調製し得る。一般には、これらの成分を、適切なミキサー内で混和する。前記混和は、好ましくは早期の反応を防止するために、不活性雰囲気中の酸素及び大気中水分の非存在下で実施される。反応混合物には、イソシアネート含有成分を調製するために、前記混合物を容易に混合且つ取り扱うことができるように可塑剤を添加するのが有益であり得る。又は、可塑剤を、全成分の混和中に添加してもよい。好ましくは、これらの成分を約20℃〜約100℃、より好ましくは約25℃〜約70℃の温度で混和する。好ましくは、これらの材料を真空下又は不活性ガス、例えば窒素若しくはアルゴン下で混和する。これらの成分をしっかりと混和された混合物を調製するために十分な時間、好ましくは約10〜約60分間にわたり混和する。本接着剤組成物の液が調製されると、それらを適切な容器内に、それらが大気中水分及び酸素から保護されるように包装する。大気中水分及び酸素との接触は、イソシアネート含有成分の早期の架橋結合をもたらし得る。
【0046】
1つの実施形態では、本発明において使用される接着剤組成物は、参照により本明細書に組み込まれるMahdi、米国特許第6,828,403号に記載されたように加水分解性シロキサン官能基(シラノール縮合が可能なシラン成分)を有する有機ポリマーを含む。好ましくは、前記組成物は、可塑性骨格及び加水分解性シロキサン官能基(シラノール縮合が可能なシラン成分)を有するポリマーを含有する。可塑性骨格を備えるポリマーは、加水分解性シロキサン官能基(シラノール縮合が可能なシラン成分)を用いると官能化できる可塑性骨格を備える任意のポリマーであってよい。特に好ましいポリマー骨格のうち、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリオレフィンなどがある。特に好ましいポリマー骨格のうち、ポリエーテル及びポリウレタンがあり、最も好ましいのはポリエーテルである。一層より好ましくは、本ポリマーは、シラノール縮合が可能なシラン成分を有するポリエーテルである。1つの実施形態では、本発明において有用なポリマーは、Yukimotoら、米国特許第4,906,707号;Iwakiriら、米国特許第5,342,914号;Yukimoto、米国特許第5,063,270号;Yukimotoら、米国特許第5,011,900号;Suzukiら、米国特許第5,650,467号に開示されたポリマーであり、上記特許は全てが参照により本明細書に組み込まれる。より好ましくは、前記ポリマーは、1分子当たり少なくとも1つの反応性ケイ素基を含有するオキシアルキレンポリマーである。用語「加水分解性シロキサン官能基」、「反応性ケイ素基」又は「シラノール縮合が可能な反応性シラン」は、加水分解性基又はヒドロキシル基がケイ素原子と結合しており、シラノール縮合反応を通して架橋結合可能であるケイ素含有基を意味する。加水分解性基は、特別には限定されず、従来型加水分解性基から選択される。特定の例は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸性アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、及びアルケニルオキシ基である。好ましい例としては、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、及びアルケニルオキシ基である。アルコキシ基はより好ましく、メトキシ又はエトキシ基は、水分不安定性が軽いため取り扱いが容易であることから最も好ましい。1つの実施形態では、本接着剤組成物中で使用される可塑性ポリマーは、本明細書に記載したポリオールを、それに加水分解性成分が結合されている少なくとも1つのシラン成分を有するイソシアナトシランと、前記ポリオールのヒドロキシル成分が前記イソシアナトシランのイソシアネート成分と反応して末端シラン成分を前記ポリオール上に配置できるように接触させることによって調製されるシリル末端プレポリマであり、好ましくは前記接触は触媒を添加せずに実施される。別の実施形態では、ポリマーは加水分解性シラン基を有するポリウレタン系骨格であってよい。前記材料は、Chang、米国特許第4,622,369号及びPohl、米国特許第4,645,816号に開示されており、それらの重要な部分は参照により本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、骨格は、可塑性ポリマー、例えば、それに結合しているケイ素成分を有するポリエーテル又はポリオレフィンであってよい。不飽和の可塑性ポリマーは、ケイ素に結合した水素又はヒドロキシル成分を有する化合物と反応させることができるが、このとき前記ケイ素成分は不飽和の1つ又はそれ以上の炭素鎖も有する。ケイ素化合物は、ヒドロシリル化反応によって不飽和の地点で前記ポリマーに添加してもよい。この反応については、参照により本明細書に組み込まれるKawakubo、米国特許第4,788,254号の第12欄第38〜61行;米国特許第3,971,751号;第5,223,597号;第4,923,927号;第5,409,995号及び第5,567,833号に記載されている。調製されたポリマーを、ヒドロシリル化架橋剤及びヒドロシリル化触媒の存在下で、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,567,833号の第17欄第31〜57行、及び米国特許第5,409,995号に記載されたように架橋し得る。
【0047】
加水分解性シロキサン官能基を有するプレポリマは、本接着剤組成物中に前記接着剤が基材へ、例えばガラス、金属、プラスチック、コンポジット又はファイバーグラスへ接着できるように十分な量で存在する。好ましくは、加水分解性シロキサン官能基を有するプレポリマは、本接着剤の重量に基づいて約30重量%以上、より好ましくは約40重量%以上、一層より好ましくは約45重量%以上、及びより最も好ましくは約50重量%以上の量で存在する。より好ましくは、前記プレポリマは、本接着剤の重量に基づいて約99重量%以下、及び最も好ましくは約85重量%以下の量で存在する。シロキシ官能基を含有する本接着剤組成物は、当業者には公知であり、上記に記載したように、及び参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2002/0100550号の第[0042]段落に記載されたようにシラノール縮合反応を触媒する1つ又はそれ以上の触媒を更に含んでいる。本接着剤調製物中の触媒の量は、好ましくは、約0.01重量%以上、より好ましくは約0.1重量%以上、及び最も好ましくは約0.2重量%以上、並びに好ましくは約5重量%以下、一層より好ましくは約1.0重量%以下、及び最も好ましくは約0.4重量%以下である。本接着剤組成物は、米国特許出願公開第2002/0100550号の第[43−47]段落に記載されたように加水分解性ケイ素化合物を更に含んでよい。加水分解性ケイ素化合物は、反応性ケイ素基を有してシロキサン結合形成上で架橋結合可能な可塑性ポリマー100重量部に付き約0.01〜約20重量部、及び好ましくは約0.1〜約10重量部の量で使用される。ケイ素反応性ポリマーを架橋結合させることのできる前記加水分解性ケイ素化合物の別の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,541,266号に開示されている。その他の前記潜在性添加物の例としては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,837,274号の第7欄第12行〜第9欄第15行に開示されているような有機ケイ素化合物Bが挙げられる。二液型組成物では、加水分解性ケイ素化合物及び典型的には触媒は、シラン官能性プレポリマとは別個の第2液中で見いだされる。イソシアネート官能接着剤組成物について記載された他のアジュバントは、加水分解性シロキサン官能基を有するプレポリマに添加することができる。
【0048】
使用時には、二液型接着剤組成物の成分を、前記材料を用いて作業する時に通常行われるように混和する。商業的及び工業的環境において最も容易に使用できる二液型接着剤については、二液を結合する容量比は使い勝手の良い整数でなければならない。これは硬化性組成物の、従来型の市販で入手できる静的及び動的混合を含むディスペンサを用いた塗布を促進する。前記の静的混合を行うディスペンサは米国特許第4,538,920号及び第5,082,147号(参照により本明細書に組み込まれる)に示されており、コンプロテック(Conprotec)社(ニュージャージー州セーレム)から商標名MIXPAC下で、又はスイス国スルザー(Sulzer Ltd.)社製のSULZER(商標)QUADRO下で入手できる。典型的には、これらのディスペンサは重合可能な組成物の二液のうち1つの液を受入れることを目的とする各チューブを備えて並んで配置された1対の管状容器を使用する。各チューブに1つずつの2つのプランジャは、チューブの内容物を、二液の混和を促進するために静的ミキサーも又含有していてよい共通の中空細長混合チャンバ内に排出させるために、同時に前進(例えば、手動で、又は手で作動させるラチェット機構によって)させられる。混和された重合可能な組成物は、混合チャンバから基材上に押し出される。電気駆動装置を使用する場合は、動的混合を使用し得る。チューブが空になると、それらは新しいチューブと取り替えられて、塗布プロセスを継続することができる。重合可能な本組成物の二液が結合される容量比は、チューブの直径によって制御される(各プランジャは、固定形のチューブ内に受入れられるようにサイズ設定されており、これらのプランジャはチューブ内を同一速度で前進させられる)。単一ディスペンサが様々な相違する二液型重合可能な組成物とともに使用するために予定されることが多く、プランジャは便宜的混合比で重合可能な組成物の二液を送達するようにサイズ設定される。一部の一般的混合比は、1:1、2:1、4:1及び10:1である。好ましくは、二液は、約1:1の混合比で混和される。
【0049】
好ましくは、本発明の混合された二液型組成物は、液だれのしない塗布を可能にするために適切な粘度を有する。好ましくは、2つの別個の成分の粘度は、同一桁でなければならない。好ましくは、静的混合を利用して混合される組成物については、硬化前の成分は約10Pa.S(10,000センチポアズ)以上、より好ましくは約20Pa.S(20,000センチポアズ)以上、及び最も好ましくは約40Pa.S(40,000センチポアズ)以上の粘度を有する。好ましくは、本組成物の二液は、接触する前に、約150Pa.S(150,000センチポアズ)以下、より好ましくは約120Pa.S(120,000センチポアズ)以下、及び最も好ましくは約100Pa.S(100,000センチポアズ)以下の粘度を有する。この一節で使用する「粘度」は、直径20mm及び角度4度のコーンプレート・レオメーターを用いて測定された20往復秒の剪断速度で決定される。動的混合にはより高い粘度が必要とされる。より低い粘度については、これらの成分は未硬化接着剤系の垂れを防止するために当分野において公知のゲル化剤を必要とすることがある。
【0050】
本発明の系及びプロセスにおいて使用される触媒は、当業者には公知の標準的混和技術を利用して溶媒又は分散剤中に溶解又は分散される。制御された雰囲気下、例えば不活性ガス環境下で触媒溶液又は分散液を生成するのが好ましい。
【0051】
本発明のプロセスは、上記に記載したように様々な基材を一緒に結合するために使用される。本プロセスは、多孔性及び無孔性基材を一緒に結合するために使用してもよい。触媒溶液又は分散液を、接着剤によって結合される基材表面と接触する。この接触は、手作業で、又はロボットアプリケータを使用して遂行することができる。触媒溶液又は分散液は、スプレーアプリケータ、ブラシ、ローラの手段によって、又は表面上で払拭することによって塗布され得る。そのような塗布のためのロボット装置及び手動装置は、当業者には周知である。溶媒は、揮発され得る。好ましくは、触媒溶液又は分散液の塗布から基材への接着剤の塗布までの時間は、約0.5分以上、より好ましくは約2.0分以上及び最も好ましくは約5.0分以上である。好ましくは、触媒溶液又は分散液の塗布から基材への接着剤の塗布までの時間は、約300分以下、より好ましくは約60分以下及び最も好ましくは約30分以下である。溶媒が揮発した後は、触媒だけが結合させられる基材の表面上に残留するのが好ましい。1つの実施形態では、基材の処理された表面は触媒及び前記処理が行われたことを示すために使用されるマーカを有し得る。又は、触媒溶液又は分散液が塗布されたことを確実にするために、視覚システムを使用するプロセス工程を使用してもよい。これは基材をマーカが視認可能になることを誘発する光源に曝露させることを含み得、又は溶媒の蒸発に起因して温度変化を確認する熱イメージングシステムであってよい。その後、接着剤を基材と接触させる。
【0052】
本接着剤組成物は、第1基材の触媒溶液又は分散液が以前に塗布された位置に塗布され、第1基材上の本接着剤組成物は、その後第2基材と接触させられる。触媒溶液又は分散液は、本接着剤が各基材に塗布される時点の前に1つ又はそれ以上の基材に塗布してもよい。一般に、接着剤は、前記接着剤をポンピング可能な温度で塗布される。好ましくは、接着剤は塗布のために約10℃以上の温度、より好ましくは約18℃以上の温度で塗布される。好ましくは、重合可能な接着剤系は、約40℃以下の温度、及びより好ましくは約35℃以下の温度で塗布される。二液型接着剤組成物は、二液を混合するとすぐに硬化し始める。一液型水分硬化性組成物は、周囲水分に曝露されるとすぐに硬化し始める。一液型潜在性硬化性接着剤は、触媒の活性温度に曝露させられるとすぐに硬化し始める。硬化は、誘導熱、輻射熱、マイクロ波加熱などによって硬化性接着剤に熱を加えることによって加速され得る。本発明のプロセスは、熱加速が利用される場合は、特に有用である。水分硬化性接着剤については、硬化速度は水分を雰囲気に添加することによって、又は加湿チャンバ−内で硬化を実行することによって増進し得る。好ましくは、硬化性接着剤系は、少なくとも約3分以上及びより好ましくは約5分以上のオープンタイムを提供するように調製される。「オープンタイム」は、二液を接触させた後、一液型水分硬化性接着剤の塗布後、又は潜在性触媒を含有する一液型接着剤中の潜在性触媒の活性化後で、前記接着剤が高粘性ペーストになり始まるまで、そして第2基材の形状に従わせてそれに付着させるための組立て中に変形する傾向を示さなくなるまでの時間を意味する。
【0053】
本発明のプロセスは、好ましくは金属、(e−コート(e-coat)又は塗料系を用いて)コーティングされた金属、プラスチック、繊維強化プラスチック、木材及び/又はガラスを一緒に結合するために使用される。別の実施形態では、本発明の組成物は、モジュール構成部品を自動車のボディへ、又は相互に結合させるために使用してもよい。モジュール構成部品の例としては、車両モジュール、例えばドア、ウィンドウ、ルーフモジュール又はボディが挙げられる。本発明のプロセスは、外装又は内装を自動車のボディへ結合するためにも使用できる。
【0054】
本発明のプロセスは、接着剤組成物が所定の基材へ、プライマ非存在下で、又は触媒溶液又は分散液の塗布以外の基材表面の他の任意の処理の非存在下で結合することを可能にさせる。本接着剤組成物がプライマ又は表面処理の必要を伴わずに結合する基材の例としては、シート成形化合物(SMC)、繊維強化プラスチック、例えばポリエステル、及びコーティングされた金属、例えばe−コート金属及びスチール並びに塗装金属シートが挙げられる。
【0055】
本発明において使用される接着剤系は、約60分間後、より好ましくは約40分間後及び最も好ましくは約20分間後に好ましくは基材を相互に対して移動させずに前記基材の一方へ力を加えなくとも一緒に保持するための適正な生強度を示す。本発明のプロセスを利用して塗布された本接着剤系は、好ましくは約7日間後、より好ましくは約16時間後及び最も好ましくは約12時間後に完全な硬化を示す。本重合可能な接着剤系は、好ましくは完全硬化後に約5MPa以上、より好ましくは約10MPa以上及び最も好ましくは約15MPa以上の引張強度を示す。本重合可能な接着剤系は、好ましくは完全硬化後に約5MPa以上、より好ましくは約10MPa以上及び最も好ましくは約15MPa以上のラップ剪断強度を示すが、このときラップ剪断速度は、DIN(ドイツ工業規格)53283に従って決定される。
【0056】
本明細書に記載した分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(SECとも呼ばれる)によって決定できる数平均分子量である。ポリウレタンプレポリマについては、イソシアネート化合物の当量及び当業者には公知のようにそれらが反応させられるポリオール化合物の当量から近似数平均分子量を計算することも又可能である。他に特に言及されない限り、すべての部及びパーセンテージは重量によって、本接着剤系の重量に基づいている。
【実施例】
【0057】
本発明の例示的実施形態
以下の実施例は、本発明を具体的に説明するために提供されており、それらの範囲を限定することは意図されていない。
【0058】
実施例1〜7
1つの基材としてのe−コートスチール(100×45×1mm)及びもう1つの基材としてのe−コートアルミニウム(100×45×1mm)のラップ剪断タイプのサンプルを使用する。接着剤を塗布する前に、基材の接触面を、表1に記載したようにn−ヘプタン又は本発明の触媒溶液によって処理する。ラップ剪断サンプルは、オーバーラップが10mmとなるように基材上に接着剤を塗布することとによって調製し、次に前記基材を接着剤の高さが2mmとなるようにジグ内に配置する。余分の接着剤はきれいに拭き取る。ラップ剪断サンプルが配置されたジグを、誘導装置(IFF EW2又はIFF EW5)内に配置する。このサンプルをアルミニウム側だけを10kHzで所望温度の80%までの誘導によって加熱する。これは約30秒を要する。次に周波数を20kHzに変化させ、更に30秒間にわたり所望の温度を維持する。次にラップ剪断サンプルを直ちにInstron試験機内に配置し、破断時強度としてラップ剪断強度を記録する。故障モードも又、接着破壊(基材への接着剤結合の破壊)、凝集破壊(CF、接着剤が内部で破砕する)及び境界破壊(BF、接着剤が基材の表面上に残留物を残して界面で破砕する)として記録する。本接着剤は、一液中にポリイソシアネートプレポリマ系と、他方の液中にポリエーテルポリオール系のダウ・ケミカル社から商標及び商品名BETASEAL 2850sで入手できる硬化剤を含む二液型接着剤である。結果は、表1のとおりである。
【表1】

【0059】
実施例15〜23
プラスチック基材を、以下に記載するように試験する。試験したプラスチック基材は、シート成形化合物(SMC)(ポリエステル)、ポリカーボネート−ポリブチレンテレフタレートの混和物(PCPBT)、及びエチレン・プロピレン・ジエン・モノマーゴム(EPDM)である。これらの基材を、上述したようにn−ヘプタン又はn−ヘプタン中の0.9%トリス−(ジメチルアミノメチル)フェノールを用いて処理する。接着試験サンプルを、約8mmのビーズを基材上に塗布することによって調製する。本接着剤を、高さ5mmへ平らにする。試験サンプルを室温で7日間にわたり硬化させ、実施例18及び22を更にCataplasma条件(23℃及び相対湿度50%で7日間、次に70℃及び相対湿度100%で7日間、及び−20℃で16時間及び2時間かけて周囲温度へ再状態調節する)下で老化させる。接着剤を剥がし、故障モードを決定する。結果は、表2のとおりである。
【表2】

【0060】
実施例24〜33
ラップ剪断サンプルを、n−ヘプタン又は2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(n−ヘプタン中で0.9%)によって接着剤の塗布前に処理する。使用するラップ剪断サンプルは、e−コートスチール(100×25×1.5mm)並びにe−コート及び塗装(PPG社からの1K モノハイドロコート(Monohydrocoat) 9147、アーティックホワイト(artic white)スチール(100×100×1.5mm)であり、基材を調製する。オーバーラップは9mmであり、接着剤高さは5mmである。使用する接着剤は、BETASEAL(商標)1841であり、ダイ・ヨーロッパ(Dow Europe)GmbH社から入手できる一液型水分硬化性イソシアネート官能接着剤を温度60℃で市販のベースコートを被覆した表面上に塗布する。接着剤の幅は、粘着テープによって制限される。本試験を、以下の時系列に従って実施する。
時間 操作
0 接着剤の塗布、冷却を開始する
40秒後 冷却器を終了する
20秒後 粘着テープを取り除く
30秒後 試験片を垂直位置に固定する
50秒後 重量負荷134g(基材を含む)をかける
10分後 垂れ/滑りを測定する
試験プラークは接着剤の塗布後に垂直方法で方向付け、接着剤の滑りの距離をmm単位で測定する。結果は、表3のとおりである。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)揮発性溶媒又は分散剤中の反応性接着剤を硬化させるための触媒と;及び
ii)反応性接着剤とを含む系であって、前記触媒は前記反応性接着剤の硬化を加速することができる系。
【請求項2】
前記反応性接着剤はイソシアネート、エポキシ、加水分解性シロキサン又はイソシアネート及び加水分解性シロキサンの混合物を含む官能基を含有する、請求項1に記載の系。
【請求項3】
前記反応性接着剤は、ポリイソシアネート系接着剤である、請求項1又は2に記載の系。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート系接着剤は、一液型接着剤系である、請求項3に記載の系。
【請求項5】
前記ポリイソシアネート系接着剤は、二液型接着剤系である、請求項3に記載の系。
【請求項6】
前記触媒は、有機金属触媒、金属塩触媒、アミン系触媒、アジリジン系触媒又は第4級アンモニウム塩である、請求項4又は5に記載の系。
【請求項7】
前記揮発性溶媒は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、エーテル又はアルコールのうち1つ又はそれ以上である、請求項4又は5に記載の系。
【請求項8】
触媒は、第3級アミンである、請求項3〜7のいずれか一項に記載の系。
【請求項9】
前記触媒は、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールである、請求項3から7のいずれか一項に記載の系。
【請求項10】
揮発性溶媒又は分散剤中の触媒の濃度は、約0.01〜約20重量%である、請求項3から9のいずれか一項に記載の系。
【請求項11】
揮発性溶媒又は分散剤中の触媒の濃度は、約0.05〜約5重量%である、請求項3から9のいずれか一項に記載の系。
【請求項12】
揮発性溶媒又は分散剤中の触媒の濃度は、約0.1〜約2重量%である、請求項3から9のいずれか一項に記載の系。
【請求項13】
前記反応性接着剤は、エポキシ系接着剤である、請求項1から2のいずれか一項に記載の系。
【請求項14】
前記エポキシ系反応性接着剤は、一液型熱硬化性接着剤系である、請求項13に記載の系。
【請求項15】
前記エポキシ系反応性接着剤は、二液型接着剤系である、請求項13に記載の系。
【請求項16】
前記触媒は、尿素誘導体、第3級アミン、置換フェノール又はイミダゾール誘導体のうち1つ又はそれ以上である、請求項14又は15に記載の系。
【請求項17】
前記揮発性溶媒は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、エーテル又はアルコールのうち1つ又はそれ以上から選択される、請求項14又は15に記載の系。
【請求項18】
揮発性溶媒中の触媒の濃度は、約0.01〜約20重量%である、請求項13から17のいずれか一項に記載の系。
【請求項19】
揮発性溶媒中の触媒の濃度は、約0.05〜約5重量%である、請求項13から17のいずれか一項に記載の系。
【請求項20】
揮発性溶媒中の触媒の濃度は、約0.01〜約2.0重量%である、請求項13から17のいずれか一項に記載の系。
【請求項21】
反応性接着剤を少なくとも1つの基材に接着させる方法であって、
a)揮発性溶媒又は分散剤中の接着剤を硬化させるための触媒を前記接着剤が結合する前記基材の表面と接触させることと;
b)前記揮発性溶媒又は分散剤を揮発させて取り除くことと;
c)反応性接着剤を工程a)で処理された前記表面と接触させることと;及び
d)前記接着剤を硬化させることと、を含む方法。
【請求項22】
前記第1基材は、前記反応性接着剤が硬化する前に第2基材と前記2つの基材間に配置される前記接着剤で結合される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2基材は、前記反応性接着剤と接触する前記表面部分上にて、揮発性溶媒又は分散剤中の触媒で処理される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記反応性接着剤は、イソシアネート、エポキシ、加水分解性シロキサン又はイソシアネート及び加水分解性シロキサンの混合物を含む官能基を含有する、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記接着剤は、ポリイソシアネート系接着剤である、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリイソシアネート系接着剤は、一液型接着剤系である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリイソシアネート系接着剤は、二液型接着剤系である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記触媒は、有機金属触媒、金属塩触媒、アミン系触媒、アジリジン系触媒又は第4級アンモニウム塩である、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記揮発性溶媒は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、エーテル又はアルコールのうち1つ又はそれ以上である、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項30】
触媒は、第3級アミンである、請求項24から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記触媒は、2,4,6−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノールである、請求項24から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
揮発性溶媒又は分散剤中の触媒の濃度は、約0.01〜約20重量%である、請求項24から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
揮発性溶媒又は分散剤中の触媒の濃度は、約0.05〜約5重量%である、請求項24から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
揮発性溶媒又は分散剤中の触媒の濃度は、約0.1〜約2.0重量%である、請求項24から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記反応性接着剤は、エポキシ系接着剤である、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記エポキシ系反応性接着剤は、一液型熱硬化性接着剤系である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記エポキシ系反応性接着剤は、二液型接着剤系である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記触媒は、尿素誘導体、第3級アミン、置換フェノール又はイミダゾール誘導体のうち1つ又はそれ以上である、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項39】
前記揮発性溶媒は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、エーテル又はアルコールのうち1つ又はそれ以上から選択される、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項40】
揮発性溶媒中の触媒の濃度は、約0.01〜約20重量%である、請求項35から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
揮発性溶媒中の触媒の濃度は、約0.05〜約5重量%である、請求項35から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
揮発性溶媒中の触媒の濃度は、約0.01〜約2.0重量%である、請求項35から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
揮発性溶媒中の前記触媒溶液は、前記1つ又はそれ以上の基材の1つ又はそれ以上の表面に、スプレー法、ローリング法、ブラシ法又はワイプ法によって塗布される、請求項21から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
揮発性溶媒中の前記触媒溶液は、ロボット制御で塗布される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
揮発性溶媒中の前記触媒溶液は、手動で塗布される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
工程b)の後には、触媒のみを、前記接着剤と結合する基材の表面上に配置する、請求項21から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記触媒溶液は、マーカを更に含む、請求項21から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
工程b)の後には、触媒及びマーカのみを、前記接着剤と結合する基材の表面上に配置する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
触媒溶液は、膜形成樹脂を含有していない、請求項21から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
工程b)の後には、熱可塑性樹脂を、前記接着剤と結合する基材の表面上に配置しない、請求項21から42のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−502166(P2012−502166A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526907(P2011−526907)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/055303
【国際公開番号】WO2010/030519
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】