説明

反応装置

【課題】 拡散律速反応を効率的に実施するとともに、その進行を適切なタイミングで迅速に停止することができる反応装置を提供する。
【解決手段】 この反応装置は、少なくとも2種以上の試薬を微小断面積混合流路18に導き、分子拡散による試薬の混合を行う拡散混合反応部と、該拡散混合反応部の下流側に配置され、前記混合反応部からの混合試薬と反応停止薬とを撹拌混合させて反応を停止させる反応停止部20とを有する。試薬は混合反応部において微小断面積混合流路における分子拡散によって混合した後、反応停止部において反応停止薬とを撹拌混合して、迅速に反応を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応装置に関し、特に、高速拡散反応、爆発性反応、発熱反応などの有機化学合成を行うための、フロー系反応用の反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、化学合成を高効率で行うための機器として、図14に示すようなマイクロリアクタがある。マイクロリアクタは、導入流路100a、100bから反応試薬A,Bを例えば0.05mm以下の微小流路断面積の混合流路102に導き、ここで反応試薬を混合し、化学合成を行うことで、分子拡散による混合を利用して、高速・高収率や高選択性、高い反応温度制御性などを得ることができる。
【0003】
しかしながら、このような従来のマイクロリアクタで、目的生成物が高速で副生成物に変化するような拡散律速反応を実施する場合には、マイクロリアクタの微小混合用流路内で目的生成物が副生成物に変化してしまうため、効率良く目的生成物を得ることができない。また、爆発性反応のような拡散律速反応では、試薬混合後、最適な時間で反応停止を行う必要がある。
【0004】
このような問題に対処するために、拡散律速反応をマイクロリアクタで実施する場合、以下の対策が考えられる。
図15に示すマイクロリアクタは、微小流路断面積の第1混合流路102aの後に大流路断面積の第2混合流路102bが設けられている。このマイクロリアクタでは、第1混合流路102aの微小流路内で高速分子拡散を利用する混合を行い、その後、比較的大断面積の第2混合流路102bに混合生成物を導くことにより、分子拡散速度を低下させ、副生成物の生成を抑制する。しかしながら、この方法では、第2混合流路内において、低速ながらも連続的な副生成物の生成が行われるため、確実な反応停止が不可能であり、その結果、目的生成物の収率が低くなる。また、第2混合用流路は断面積(容積)が大きいため、滞留時間が長くなり、副生成物の生成が助長される可能性もある。
【0005】
図16に示すマイクロリアクタは、微小流路断面積の混合流路102に反応停止薬導入流路104が合流し、その下流に反応停止流路106が設けられている。このマイクロリアクタでは、混合流路102の微小流路内で高速分子拡散による混合を行い、その後、対象とする拡散律速反応に合わせた最適な位置において反応停止薬Eを導入し、副反応・副生成物の抑制を行うものである。
【0006】
本手法の問題点は、反応停止薬Eの導入手法を検討する必要があることである。図17(a),(b)や図18(a),(b)に示すように、反応停止薬をいずれの方向から導入して、副反応を停止・抑制するのかを適切に設計しなければ、確実な反応停止ができない。
【0007】
また、反応停止薬による反応停止プロセス(反応種)が反応律速の反応の場合、反応停止のために極めて長い距離の反応停止流路を設置する必要があり、長時間を要することに加え、確実に反応停止流路の範囲内で反応停止が行われる保証がない。よって、目的生成物を高収率で入手することができない可能性が大きい。加えて、流路長の増大は圧力損失の増加につながり、より高圧用の送液装置を用いる必要があり、エネルギ効率が低くなるデメリットがある。なお、本手法は、反応停止の化学反応プロセスが拡散律速か反応律速かを事前に知らなければならず、極めて柔軟性にも欠けるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、拡散律速反応を効率的に実施するとともに、その進行を適切なタイミングで迅速に停止することができる反応装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の反応装置は、少なくとも2種以上の試薬を微小断面積混合流路に導き、分子拡散による試薬の混合を行う混合反応部と、該拡散混合反応部の下流側に配置され、前記拡散混合反応部からの混合試薬と反応停止薬とを撹拌混合させて反応を停止させる反応停止部とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明においては、試薬は混合反応部において微小断面積混合流路における分子拡散によって混合した後、反応停止部において反応停止薬とを撹拌混合して、迅速に反応を停止する。
【0011】
請求項2に記載の反応装置は、請求項1に記載の発明において、前記混合反応部と前記反応停止部とは、互いに対向する平板状部材の間に形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明においては、混合反応部と反応停止部は、互いに対向する平板状部材の間に形成されており、全体がコンパクトにかつシール性良く構成される。
【0012】
請求項3に記載の反応装置は、請求項2に記載の発明において、前記混合反応部は、前記平板状部材の一方を変えることにより流路の形状および/または寸法を変更可能となっていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明においては、必要な流路構成を形成した平板状部材を用意しておき、これを交換することで、種々の反応に対応させることができる。
【0013】
請求項4に記載の反応装置は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明において、前記反応停止部には軸線上に開口する導出流路が形成され、該導出流路の開口部とこれに対向する前記回転子の表面の間には、流体が短絡的に流出するのを防止する狭隘部が形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明においては、導出流路の開口部とこれに対向する回転子の表面の間に形成した狭隘部により、流体が短絡的に流出するのを防止され、高い撹拌効率が達成される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1ないし請求項3に記載の発明によれば、拡散律速反応を効率的に実施するとともに、その進行を適切なタイミングで迅速に停止することができる反応装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図3に、本発明による反応装置の第1の実施の形態の外観図および機構断面図を示す。この反応装置は、ほぼ円盤状に形成された一対の平板状部材であるカバー10と底板12の内部に構成されている。
【0016】
カバー10と底板12は、パッキン14を介して接合され、その間に原料試薬の導入流路16a,16b(この例では2本)と、それらが合流してなる微小断面の混合流路18、およびその下流側の撹拌混合室20が形成されている。混合流路18は拡散混合反応部を構成し、撹拌混合室20は反応停止部を構成する。この実施の形態では、導入流路16a,16bは底板12の上面に溝状に形成され、カバー10内を挿通して導入ポート22に連絡し、この導入ポート22はチューブ24等を介して試薬源に連絡している。
【0017】
撹拌混合室20には、回転子26が配置され、これはカバー10に隣接して配置された磁気駆動部28により遠隔駆動される。撹拌混合室20には、混合流路18の他に、反応停止薬を導入する停止薬導入流路30および反応後の生成物を導出する導出流路34が設けられ、それぞれ停止薬導入ポート32、導出ポート35およびチューブ24を介して停止薬供給源や貯留容器(図示略)に連絡している。カバー10、底板12、パッキン14、回転子26その他の構成部品の少なくとも接液部は、有機系試薬に対し耐腐食性を有するものを使用する。また、カバー10、底板12、パッキン14はネジ止めなどの方法にて一体化されている。
【0018】
この実施の形態では、撹拌混合室20は、カバー10と底板12にそれぞれ凹部を形成することにより、これらと同軸の円筒状に形成されている。混合流路18は径方向に延びるように、導入流路16a,16bは導入ポートからそれぞれ周方向に延びて混合流路18との交点で合流するように形成されている。また、混合流路18と、停止薬導入流路30は水平面内で所定の角度(この例では90度)隔てて配置されている。このように流路を配置することにより、全体の形状をコンパクトにすることができるが、導入流路16a,16bおよび混合流路18の形状は、これに限られるものではない。
【0019】
例えば、図4(a)〜(c)に示すように、導入流路16a,16bが混合流路18に合流する部分をT字状からY字状にすることにより、導入流路16a,16bの全体的配置を変えることなく、混合流路18の長さLを調整することができる。例えば、導入流路16a,16bと混合流路18を底板12側に形成することにより、予め各種の反応に適合した距離Lを持つ底板12を用意しておき、実施する反応に適した底板を取り付けることで、各種の反応を簡単に実行することができる。なお、図4(d)では導入流路16a,16bの水平部を直線状に形成しており、加工が容易である利点が有る。
【0020】
図2の例では、混合流路18や停止薬導入流路30はそれぞれ1本であるが、図5(a)〜(c)に示すように、複数の混合流路18や停止薬導入流路30を撹拌混合室20に接続するようにしてもよい。停止薬導入流路30および導出流路34はカバー10内を経由してそれぞれのポートに開口している。各流路の個数は、実施対象とする化学反応に応じて最適な個数を設定すればよい。
【0021】
混合流路18の流路断面積は、0.1mm以下、好ましくは0.05mm以下、より好ましくは0.01mm以下であることが良い。また、混合流路18の幅をW、深さをHとした場合、W≦Hの条件であることが好ましい。なお、上記流路断面積の条件を満たした上で、W/Hが、より小さいほど、分子拡散混合における分子間距離が短くなり反応性が向上する。W/Hは0.2以下、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下であることが良い。反応停止薬導入流路30の流路断面積は、混合流路18の流路断面積よりも大きいことが好ましく、1.5倍以上、好ましくは10倍以上、さらには100倍以上が好ましい。
【0022】
撹拌混合室20の実容積(撹拌混合室20の容積から回転子26体の体積を差し引いたもの)を、微小化することで撹拌採用を高めることができ、短時間の反応停止が可能になる。この実容積は、0.3mL以下、好ましくは0.05mL以下、より好ましくは0.01mL以下であることが望ましい。
【0023】
回転子26の材質は、例えば磁性体もしくは金属にテトラフルオロエチレン重合体やセラミック、ガラスをはじめとする耐有機系試薬の特性を有する材料をコーティングしたものを使用する。回転子26の形状は、図6(a)〜(f)に示すように、円筒形状、直方体形状、フットボール形状、円盤形状、球状、ヒトデ状、羽根車形状など、適時選択することができる。この実施の形態では、4方に放射状に延びる十字状である。
【0024】
この実施の形態では、図7に示すように、回転子26と混合室の天井壁の間の隙間は、導出流路34との間に狭隘部gを形成している。これにより、混合室が準密閉空間となり、回転子26により強い対流が起きても、未混合の流体が短絡的に導出流路34へ流れてしまうような事態が回避され、結果として充分な撹拌混合を経て、反応が確実に停止した試薬が流出する。
【0025】
磁気駆動部28は、交流または直流電源により回転駆動する電動機(モータ)36と電動機36の回転数を制御する機能を有するコントローラ、および電動機36の出力軸に連結され、永久磁石38が搭載される円盤40により構成される。ここでは、電動機36が動作すると、永久磁石38が搭載される円盤40が回転し、その動作に伴い、(磁性体を内蔵する、)回転子26が回転する構成となっている。回転子26駆動用の磁気駆動部28は、カバー10上部にネジ止めなどの方法にて設置固定されているが、もちろん底板12の下方に設置してもよい。
【0026】
以下、上記のように構成された第1の実施の形態の反応装置の動作を説明する。
まず、反応試薬を、例えば、シリンジポンプなどの薬液送液用のポンプを用いて、チューブ24を介して、カバー10に形成したポートを介して導入流路16a,16bへ導入する。また、反応停止薬を、例えば、シリンジポンプなどの薬液送液用のポンプを用いて、カバー10に形成したポートを介して反応停止薬導入流路へ導入する。
【0027】
導入された反応試薬は、導入流路16a,16bを経て混合流路18に合流し、微小断面積の混合流路18で距離Lを流れる間に分子拡散により混合し、反応する。反応後の生成物を含む液は、混合流路18に連通する撹拌混合室20へ流入する。
【0028】
一方、導入された反応停止薬は、導入流路30を経由して撹拌混合室20へ流入する。撹拌混合室20では、生成物を含む混合試薬と反応停止薬が、回転子26の回転動作による強制撹拌により均一に混合され、反応停止が行われる。反応停止した後の目的生成物を含む試薬は、導出流路を通じ、導出ポートより継手、チューブ24を介して出力される。なお、反応停止薬の導入流量は、反応試薬の総流量の2倍以上、好ましくは10倍以上、より好ましくは20倍以上である。
【0029】
このように、この実施の形態の反応装置においては、拡散律速反応の実施において、微小流路断面積の混合流路18内で分子拡散を利用した高速混合が実現すると同時に、微小実容積の撹拌混合室20での反応停止薬との強制撹拌を利用する急速混合により、副反応、副生成物の発生を適切なタイミングで停止することが可能である。
すなわち、以下の反応例における、副生成物Dの発生を完全に停止することが可能になる。
A+B→C+D (A,B:反応試薬 C:目的生成物 D:副生成物)
なお、本発明により、
A+B→C+D+E+F+… (A,B:反応試薬 C:目的生成物 D〜:副生成物)
のような、連続的かつ高速で異なる副生成物へ次々に変化するタイプの拡散律速反応も混合流路18の距離(L)を、対象とする反応に合わせて、Cが最も高収率で入手できるように設計することで、上記同様、副生成物の発生を停止し、高速高収率で目的生成物Cを効果的に得ることが可能になる。
【0030】
また、本発明は、反応試薬AおよびBによるA+Bの混合が、爆発性を有する反応においても有用性がある。例えば、混合流路18の距離Lを極めて小さく設定し、混合直後に撹拌混合室20に導き、該撹拌混合室20で急速に反応停止薬による反応停止を行えば、極めて安全に爆発性反応を実施することが可能となる。
【0031】
なお、上記の実施の形態では、反応装置の形状は円形であるが、図8に示すような矩形としてもよく、流路の形状や数、その他の条件に応じて適宜に設定することができる。
【0032】
図9は、この発明のさらに他の実施の形態であって、導入流路16a,16bおよび撹拌混合室20の温度を一体として温度制御する温度制御装置42を設置したものである。温度制御装置42は、底板12の下方に設置された加熱器(又は冷却器)44と、底板12に埋設し温度センサ46と、温度センサ46の出力に基づいて加熱器44の出力を調整するコントローラ48を備えている。もちろん、加熱器44を他の箇所に設置してもよく、熱媒体を導入するような形式でもよい。
【0033】
図10は、この発明のさらに他の実施の形態であって、導入流路16a,16b、撹拌混合室20および停止薬導入流路30の温度を個別に温度制御する加熱器(又は冷却器)44a,44b,44cや温度センサ(図示略)を設置したものである。試薬どうしを反応させるための温度と、反応を停止させるための温度が異なる場合に好適に用いられる。個々の加熱器(又は冷却器)44a,44bを制御するための構成は先の実施の形態と同様に、適宜のものが採用できる。
【0034】
図11は、この発明のさらに他の実施の形態であって、反応停止薬の供給速度を調整する手段が設けられている。すなわち、撹拌混合室20の下流側に混合液から反応停止薬を分離除去する分離精製装置50と、分離後の目的生成物を含む液の成分の分析を行う分析装置52と、分析装置52の出力に基づいて、最適な反応達成率を得ることができるように、反応停止薬の送液ポンプ53の回転数を制御するコントローラ54が設けられている。分析装置52としては、反応生成物の対象に応じて適宜の手段が採用されるが、例えば、応答の速いpH計や、クロマトグラフィ装置のような生成物の成分を直接分析する装置などがある。もちろん、このような分析装置52のデータを基に、他のパラメータ、例えば、反応試薬の供給ポンプの速度、反応温度、回転子26の回転速度等を制御するようにしてもよい。
【0035】
図12および図13は、この発明のさらに他の実施の形態であって、反応、反応停止の工程を複数組み合わせて1つの全体工程を構成するようにしたものである。なお、図12においては、カバー10を省略して示している。この実施の形態では、3つの混合流路と3つの撹拌混合室が組み合わせられている。すなわち、試薬A,Bは導入流路16a,16bから流入して第1の混合流路18aで反応し、中間生成物Hを生成し、第1の撹拌混合室20aで反応停止薬Cと合流して反応停止する。試薬E,Fは導入流路16e,16fから流入して第2の混合流路18bで反応し、中間生成物Iを生成し、第2の撹拌混合室20bで反応停止薬Gと撹拌混合して反応停止する。これらは、それぞれ第1および第2の分離精製装置50a,50bで反応停止薬を分離した後、導入流路16jと合流する第3の混合流路18cにおいて他の試薬Jと合流してさらに反応し、目的生成物Mを生成する。これは第3の撹拌混合室20cにおいて反応停止薬Kと撹拌混合して反応停止し、第3の分離精製装置50cで反応停止薬を分離した後、排出される。
【0036】
このように、この発明の反応装置は、適宜に組み合わせることによって、種々の連続的な反応に対応することができる。このような複合反応装置は、一対のカバー10と底板12の間に形成するようにしてもよいし、適当な基板上に複数のユニットを配列して構成するようにしてもよい。このように、一体化した構成とすることで、チューブ24等の配管を使用することなく、安定稼動可能な装置をコンパクトに設計することができる。
【実施例】
【0037】
図1および図2に示す形状の反応装置を用いて、次式に示すようなジイソプロピルフェノールのアセチル化反応を実施した。
【数1】

すなわち、拡散混合部に、
A: 1M 2,6 Diisopropylphenol 1M 1,3 Dimethoxybenzene/Pyridine
B: neat Acetic Anhydride
の供給流体をシリンジにより供給し、反応停止部には、飽和炭酸水素ナトリウムを供給した。
【0038】
装置の各部の寸法は、下記の通りである。
拡散混合部寸法:幅0.3mm、深さ2.0mm、長さ12mm
反応停止部 :導入流路 幅2.0mm、深さ2.0mm、長さ12mm
反応停止室実容積 0.2mL
回転子回転数 2000rpm
流量条件を下記に設定し、生成物導出直後の収率と放置後(15min)の収率を比較した。
流量条件 反応試薬(A,B)流量:0.007mL/min
反応停止薬流量:0.07mL/min
【0039】
結果を以下に示す。ここにおいて、もし反応停止機能が機能しない場合は、放置後の生成物収率が導出直後の生成物収率より大きくなる。
<結果1:20℃>
導出直後の生成物収率=5%
放置後の生成物収率=5%
→反応停止が機能している。
<結果2:60℃>
導出直後の生成物収率=15%
放置後の生成物収率=15%
→反応停止が機能している。
以上より、本発明による反応装置の目的である、反応停止が確実に行われていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の1つの実施の形態の反応装置の外観を示す図である。
【図2】図1の実施の形態の反応装置の流路、撹拌混合室を示す図である。
【図3】図1の実施の形態の反応装置の断面を示す図である。
【図4】(a)〜(d)は、導入流路と混合流路の変形例を示す図である。
【図5】(a)〜(c)は、流路、撹拌混合室の他の実施の形態を示す図である。
【図6】(a)〜(f)は、回転子の各種の変形例を示す図である。
【図7】撹拌混合室の断面を示す図である。
【図8】この発明の他の実施の形態の反応装置の外観を示す図である。
【図9】この発明の他の実施の形態の反応装置の断面を示す図である。
【図10】温度調整装置に関する変形例を示す図である。
【図11】分析装置を有する他の実施の形態の反応装置を示す図である。
【図12】組合せタイプの反応装置の外観図である。
【図13】組合せタイプの反応装置の平面図である。
【図14】従来の反応装置の一例を示す図である。
【図15】従来の反応装置の他の例を示す図である。
【図16】従来の反応装置のさらに他の例を示す図である。
【図17】従来の反応装置の要部を拡大して示す図である。
【図18】従来の反応装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 カバー
12 底板
14 パッキン
16a,16b 導入流路
18,18a〜18c 混合流路(拡散混合反応部)
20,20a〜20c 撹拌混合室(反応停止部)
22 導入ポート
24 チューブ
26 回転子
28 磁気駆動部
30 停止薬導入流路
32 停止薬導入ポート
34 導出流路
35 導出ポート
36 電動機
38 永久磁石
40 円盤
42 温度制御装置
44,44a〜44c 加熱器
46 温度センサ
48 コントローラ
50,50a〜50c 分離精製装置
52 分析装置
53 送液ポンプ
54 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種以上の試薬を微小断面積混合流路に導き、分子拡散による試薬の混合を行う拡散混合反応部と、
該拡散混合反応部の下流側に配置され、前記拡散混合反応部からの混合試薬と反応停止薬とを撹拌混合させて反応を停止させる反応停止部と
を有することを特徴とする反応装置。
【請求項2】
前記混合反応部と前記反応停止部とは、互いに対向する平板状部材の間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
【請求項3】
前記混合反応部は、前記平板状部材の一方を変えることにより流路の形状および/または寸法を変更可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の反応装置。
【請求項4】
前記反応停止部には軸線上に開口する導出流路が形成され、該導出流路の開口部とこれに対向する前記回転子の表面の間には、流体が短絡的に流出するのを防止する狭隘部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−326066(P2007−326066A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160636(P2006−160636)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】