説明

反応装置

【課題】 STFR方式の反応装置において、装置構成が簡素で且つ単分散性の良好な微粒子を量産できるものを提供する。
【解決手段】 反応装置1は、原料A1,A2を混合して反応液Bを生成する混合部10、混合部10で生成された反応液Bを分流する分岐チャンバー20、分岐チャンバー20で分流された反応液Bを流通させながら反応を進めて生成物Cを生成する反応管ユニット30、反応管ユニット30を流通する反応液Bをセグメントに分割するための分割剤Dを分岐チャンバー20に間欠的に導入する分割剤導入機構40を備える。反応管ユニット30には、各分岐路21〜25に接続された複数の反応管31〜35が並設されている。分割剤導入機構40から1回に導入する分割剤Dの量は、分岐チャンバー20のバッファ空間27の容積より大きく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の原料を混合して反応液を生成し、生成した反応液を反応管を流通させながら反応させる反応装置に関し、特に、マイクロ反応管を流通する反応液に分割剤を間欠的に導入して反応液を分割して流通させながら反応させる反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化学品や医薬品をはじめとする様々な合成反応を実施する分野で、従来のバッチ式で行っていた合成反応を微小空間内で連続的に行う製造設備であるマイクロリアクタが注目されている。
このマイクロリアクタは、微小空間で反応を実施することから、熱効率が高いこと、反応率が高いこと、小規模装置を実現できること、省資源合成が可能なこと、ラボスケールからプラントスケールまでの移行がリアクターの並列設置により実現できること、などが特徴として挙げられる。このような特徴から、従来のバッチ式の合成装置では実現できない、新規な機能の素材合成が可能であるのではないかということでも注目されている。
【0003】
さて、旧来から様々な用途に利用される微粒子を製造する際に、バッチ式では、STOBER法およびその改良法によるゾル-ゲル反応によってナノからサブミクロン、数十ミクロンサイズの微粒子が合成される場合がある。
ここで、該手法をマイクロリアクタに適用して、微粒子を生成しようとすれば、原料及び触媒系の溶液を混合した後、マイクロ反応管(管状リアクタ)に送り、この反応管を流通させながら反応させることによって微粒子を生成させることになる。
【0004】
ところで、このような微粒子において、粒度分布幅が狭く単分散性に優れた微粒子(単分散性微粒子)を得ることが要求されることも多い。例えば、特許文献3に記載されているように、微粒子は充填剤や液晶表示装置のスペーサに利用され、粒径精度が要求される。
一方、マイクロリアクタでは、現状では、単分散性の高い微粒子を大量に連続合成できる技術が確立されていない。特に、ゾル-ゲル反応のような、複数種類の反応液を均一的に攪拌することが反応の精度に大きく影響する反応系では、どうしても反応速度にばらつきが生まれる。たとえば、シード粒子形成時、シード粒子成長時などの各時点でどうしても粒子の形成速度にばらつきが生じてしまう。温度制御(特許文献4)、シード粒子形成時の触媒濃度の工夫(特許文献3)などによって単分散性を高めることも考えられるが、これらは、攪拌効率を是正するという根本問題を解決するものではない。
【0005】
また、マイクロチャネル(キャピラリー)内を流通する反応液は、中央部分と壁面近傍とで流速に差異が生じるので、その結果、粒子の成長速度にも差が生まれ、断面方向で粒度にばらつきが生じてしまう。ここにおいて、単分散性の良好な微粒子を合成しようとすれば、上記速度差をなくすような管径の小さい反応管を用いる、もしくは微粒子径と同等のサイズのチャネル径とすることが有利と言えるが、反応管の管径が小さいともしくは微粒子径とチャネル径とが同等であると圧力損失が大きくなるため、ポンプの送液圧力が高くなる傾向にある。さらに、反応管を螺旋状に巻くことによって、二次流れを発生させ、断面方向に拡散効果を高めることで、単分散性を向上させられるのではないかという見解もあるが、実際には、それだけでは不十分であるばかりか、巻き径を小さくすることには同じ管径であれば自ずと限度が存在する。
【0006】
このように一般的には、マイクロリアクタによる微粒子合成では、生成される微粒子の粒子径にばらつきが生じてしまい、バッチ式と同程度の単分散性を得ることが難しいとされている。ここにおいて、非特許文献1及び3にあるように、セグメント方式によるリアクター (Segmented Flow Tubular Reactor :SFTR) が開発されている。この文献には、リアクター内の反応液をセグメント化することでバッチ式よりも優れた単分散性微粒子が得られるとされている。
【0007】
図8は、非特許文献3に示されている管状リアクター装置の概略構成図である。
当図に示すように、この装置は、ミキサーとセグメンターと管状リアクターで構成され、2種類の原料(Reactant1とReactant2)がミキサーで混合されて反応液(Reactants mixture)が生成され、これが反応管(Tubler reactor)に送り込まれる前に、分割剤導入部(Segmenter)において非混和性の分割剤(Immsible fluid )が間欠的に注入されるようになっており、それによって、反応管を流通する反応液が小体積に分割されるという方式である。
【0008】
このようにSTFR装置では、反応液はセグメントに分割された状態で反応管を流通するので、反応液が管径方向に対して均一化され、単分散性の微粒子が生成されやすい。従ってこのSTFRを用いれば、反応管の管径を大きくしてポンプの送液圧力を低く抑えながら、単分散性の良好な微粒子を生成することができる。
【特許文献1】特開2003−225900号公報
【特許文献2】US6458335号公報
【特許文献3】特開2004−339297号公報
【特許文献4】特開平8−259217号公報
【非特許文献1】Langmuir 2004 20. 8604-8611 「Microfluidic Synthesis of Collidal Silica」
【非特許文献2】Jongen N., et al "Development of a Continuous Segmented Flow Tubular Reactor and the"Scale-out" concept In Search of Perfect Powders", Chem.Eng.Technol. 26(3) 303-305 (2003).
【非特許文献3】Proceeding of the international Workshop"Advanced Techniques for Energy Sources Investigation and Testing" 4-9 Sept.2004,Sofia,Bulgaria 「NANOSTRUCTURED PEROVSKITE CONDUCTORS FOR SOFC AND ELECTROCHEMICAL DEVICES」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようなSTFR装置において、微粒子を量産しようとする場合、反応管を複数本並設して、各反応管に反応液を並行して流通させるとともに、各反応管の入口側に分割剤を導入する機構(セグメンター)を設ければ、単分散性の微粒子を量産するのに適していると考えられる。
ここで、一般的に反応装置の構成はできるだけ簡素にすることが望ましいように、反応管を複数本並設したSTFRにおいても、その装置構成をできるだけ簡素なものにすることが望ましい。
【0010】
本発明は、このような背景のもとになされたものであって、STFR方式の反応装置において、装置構成が簡素で且つ単分散性の良好な微粒子を量産できるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明にかかる反応装置では、複数の原料を混合して反応液を生成する混合部と、反応液を流通させながら反応させる複数の反応管と、複数の反応管を流通する反応液を分割する分割剤を供給する分割剤供給源と、当該分割剤供給源から複数の反応管に分割剤を間欠的に導入する分割剤導入機構とを設けることとした。
複数の反応管はユニット化すること、すなわち、複数の反応管を並べて保持すること が望ましい。
【0012】
ここで、分割剤導入機構が各反応管に分割剤を間欠的に導入する形態として、以下のような形態が考えられる。
(1)分割剤導入機構は、分割剤供給源から供給される分割剤を、複数の反応管に対して順次的に分配することによって、前記複数の各反応管に分割剤を間欠的に導入する。
(2)分割剤導入機構は、分割剤供給源から供給される分割剤を、複数の反応管に対して並列的に分配することによって、前記複数の各反応管に分割剤を間欠的に導入する。
【0013】
なお、分割剤導入機構上記(1)と(2)の形態を組み合わせた形態とすることもできる。
(1)のように順次的に分配する場合、分割剤供給源と各反応管との間に複数の分割剤導入路を設け、その選択を順次的に切り替える切り替えバルブを設ければよい。
(2)のように並列的に分配する場合、複数の反応管に対して分配されるべき分割剤を貯留するためのバッファ空間槽と、該バッファ空間槽に連通し、複数の反応管に対応して形成された分配孔を有した分岐チャンバーを設けることが好ましい。またこの場合、分割剤導入機構は、混合部と分岐チャンバーとの間に分割剤を導入することが望ましい。
【0014】
そして、分割剤導入機構が1回に導入する分割剤の体積は、分岐チャンバーのバッファ空間槽容積以上に設定することが望ましい。
上記各反応管はコイル状であることが望ましい。
また、上記目的は、反応装置において、複数の反応管と、各反応管に、複数の原料を交互に導入する原料導入機構とを設けることによっても達成される。ここで、複数の反応管に対して分配されるべき反応液を貯留するバッファ空間槽と、該バッファ空間槽に連通し、複数の反応管に対応して形成された分配孔を有した分岐チャンバーを設けることが好ましい。
【0015】
この場合、原料導入機構が1回に導入する原料の体積は、バッファ空間槽の容積以上に設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明の反応装置では、複数の反応管を反応液が流通しながら反応するものであり、且つ、各反応管を流通する反応液が、間欠的に導入される分割剤によって分割されるSTFR方式であるので、基本的に単分散性の微粒子を量産することができる。
また、共通の分割剤供給源から複数の反応管に分割剤を間欠的に導入するようにしている点で装置構成が簡素である。
【0017】
よって、本発明による反応装置によれば、装置構成が簡素となり且つ単分散性の良好な微粒子を量産するのに適している。
ここで、複数の反応管をユニット化すれば、複数の反応管がコンパクトにまとめられた状態で保持され、また、複数の反応管の温度条件を均一化するのにも有効である。
各反応管に分割剤を間欠的に導入する方式が、(1)分割剤供給源から供給される分割剤を、複数の反応管に対して順次的に分配する方式の場合には、分割剤供給源から連続的に分割剤を供給しても、各反応管に対して間欠的に分割剤を送り込むことができる。
【0018】
一方、(2)分割剤供給源から供給される分割剤を、複数の反応管に対して並列的に分配する方式の場合、複数の反応管に対して分配されるべき分割剤を貯留するためのバッファ空間槽と、該バッファ空間槽に連通し、前記複数の反応管に対応して形成された分配孔を有した分岐チャンバーを設ければ、当該分岐チャンバーに分割剤を導入すればよいので(セグメンター)の機構がより簡素である。すなわち、各反応管に対して個別に分割剤を導入しようとすれば、複数の反応管の各々に分割剤を導入する機構を設ける必要があるが、分割剤を分岐チャンバーに導入するようにすれば、分割剤を合流させるセグメンターを一箇所に設けるだけでよいので、装置構成が比較的簡素となる。
【0019】
そして、分割剤導入機構が分岐チャンバーに分割剤を間欠的に導入するのに、分岐チャンバー内に分割剤を直接導入する機構を設けてもよいが、混合部と分岐チャンバーとの間に分割剤を導入するようにすれば、一般的な分岐チャンバーを用いることができる。
また、(2)方式の場合、分割剤導入機構が1回に導入する分割剤の体積を、分岐チャンバーのバッファ空間槽容積以上に設定すれば、複数の反応管に対して均一的に分割剤が分配される。
【0020】
すなわち、分割剤を分岐チャンバーに導入する場合、1回に導入される分割剤の体積が分岐チャンバーのバッファ空間槽容積未満であると、導入された分割剤が複数の反応管のすべてに均等に分配されず、この場合、分割剤が分配されない反応管では反応液が分割されないことがあるので、生成される微粒子の単分散性が損なわれることになる。これに対して、分割剤導入機構が1回に導入する分割剤の体積が、分岐チャンバーのバッファ空間容積以上に設定されていれば、複数の反応管すべてに対して確実かつ均等に分割剤が分配される。
【0021】
各反応管をコイル状にすれば、管の流路長が同じでも、見かけの長さを短くすることができるので、装置をコンパクトにでき、また、管内を流通する反応液が管径方向に攪拌されやすい。
また、反応装置において、複数の反応管と、各反応管に、複数の原料を交互に導入する原料導入機構とを設けることによっても、複数の反応管を原料が流通しながら反応するものであり、且つ、各反応管を流通する原料が、互いにセグメントに分割されるで、単分散性の微粒子を量産することができる。
【0022】
ここで、複数の反応管に対して分配されるべき反応液を貯留するバッファ空間槽と、該バッファ空間槽に連通し、複数の反応管に対応して形成された分配孔を有した分岐チャンバーを設ければ、原料導入機構が簡素となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔実施の形態1〕
図1は、本発明の一実施形態にかかる反応装置1の構成を示す図である。
本実施形態にかかる反応装置1は、複数の原料(原料A1と原料A2)を反応させて、生成物Cを生成するものであって、原料A1,A2を混合して反応液Bを生成する混合部10、混合部10で生成された反応液Bを分流する分岐チャンバー20、分岐チャンバー20で分流された反応液Bを流通させながら反応を進めて生成物Cを生成する反応管ユニット30、反応管ユニット30を流通する反応液Bをセグメントに分割するための分割剤Dを分岐チャンバー20に間欠的に導入する分割剤導入機構40などから構成されている。
【0024】
この反応装置1では、使用する原料を選択することによって、様々な種類の微粒子を生成できる。
例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウムといった各種酸化物の微粒子のほかに、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、硫化亜鉛といった化合物の微粒子、金、銀、パラジウム、コバルト、ニッケル、シリコン、ゲルマニウムといった金属または半金属の微粒子、SrAl24:Euのような蛍光体粒子を生成することができる。更に、無機物に限られず、有機化合物の微粒子を生成することもできる。
【0025】
複数の原料として互いに溶解しあう性質のものを用いれば、反応液Bを均一相にすることができるが、反応液Bは、必ずしも均一相でなくてもよく、一方の原料が他方の原料に分散されていてもよい。
例えば、原料A1として、水相としてのポリビニルアルコール水溶液、原料A2として、分散相としてのジビニルベンゼン系モノマーの混合液を用いることによって、混合部10で原料A1と原料A2とが混合されて、反応液B(水相に分散相の液滴が分散された液)が生成される。そして、その反応液Bが反応管ユニット30を通過するときに、生成物Cとしてポリマーの微粒子が生成される。
【0026】
混合部10としては、複数の流路が合流する合流管を用いてもよいが、原料を十分に混合するために、乱流を発生させて混合させるミキサー、複数の層流を形成してその界面に生じるせん断流によって混合するミキサーを用いることが望ましく、特に、送り込まれる複数の原料を流通させながら連続的に混合するスタティックミキサーを用いることが望ましい。
【0027】
ポンプP1は原料A1を混合部10に連続的に送り込み、ポンプP2は原料A2を混合部10に連続的に送り込む。送り込まれた原料A1と原料A2は、混合部10内を流通しながら互いに混合され、反応液Bとして分割剤導入機構40を経由して、分岐チャンバー20に送り込まれる。
ポンプP1,P2は、ほぼ一定の流量で連続的に送液できるポンプであって、例えば、プランジャ−ポンプ、ローラーポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプが用いられる。原料供給源から原料を圧送されるようになっている場合は、ポンプP1,P2を用いる代わりに、流量コントローラを用いればよい。
【0028】
分岐チャンバー20は、その入口26に送り込まれるバッファ空間27内の反応液Bを複数の分岐路21〜25(図では、5つの流路に分岐させた場合を例示)に分配孔H1〜H5を通じて分配するものであって、入口26と分岐路21〜25との間にバッファ空間27が確保されているので、入口26に供給される流体(反応液B)は各分岐路21〜25に反応液Bが均一的に分配される。
【0029】
図2は、分岐チャンバー20の具体例を示す斜視図である。分岐チャンバーの形状は特に限定されないが、図2に示す分岐チャンバー20は、入口26から分岐路21〜25側にかけて径が連続的に拡大しており、各分岐路21〜25に対して均一的に分配するのに適している。
分岐チャンバー20を設置する向きに関しても特に限定されず、いずれの向きに設置しても実施できる。
【0030】
分割剤は反応液に容易に溶解しない物質であれば液でもガスでも利用できるが、反応液と著しく比重が異なるガスを利用する場合は、入口26を水平方向に向けて、流れ方向が水平方向になるように設置すれば、分岐チャンバー20内に反応液Bと分割剤Dが共存するときに、流れ方向が重力方向に対して直交するので分岐チャンバー20内を反応液Bが偏って流れる可能性があるが、これに対して、入口26を鉛直上方または下方に向け、鉛直方向に流通するように設置すれば、流れ方向が重力方向と同じになるので、分岐チャンバー20内で反応液Bが偏って流れにくいと考えられる。
【0031】
反応管ユニット30は、複数の反応管31〜35が並例に保持されて構成されている。これら複数の反応管31〜35(図では5本を例示)は、各分岐路21〜25に接続されており、所定温度に維持するために温度調節槽36の中に設けられている。このように複数の反応管31〜35がユニット化されているので、装置構成がコンパクトで簡素となっており、反応管31〜35の温度を均一化するのにも有効である。
【0032】
各反応管31〜35は、基本的に所定の形状を有するチューブであって、ステンレス、ハステロイなどの金属で形成された金属製チューブ、あるいは、PP、PTFEなどの樹脂で形成された樹脂製チューブが用いられる。
ただし、必ずしもチューブである必要はなく、流路を形成したチップであってもよい。
反応管31〜35の形状は、直線状であってもよいし蛇行していてもよいが、コイル状(螺旋状)にすることによって、チューブの流路長が同じでも、見かけの全長(すなわち管入口から管出口までの直線距離)を短くすることができるので、反応管ユニット30のサイズをコンパクトにできる点で有利である。また、反応管31〜35がコイル状であると、直線状である場合と比べて、流通する反応液Bが管径方向に攪拌されやすいので、生成される粒子の単分散性が良好になる点でも有利である。
【0033】
各反応管31〜35の管径及び流路長は、当該管径及び流路長を大きく設定するほど、反応液Bが各反応管31〜35内に滞留する時間が長くなるので、反応液Bが目的とする生成物C(成長した微粒子)に変化するのに十分な反応時間だけ反応管31〜35内に滞留できるように設定する。各反応管31〜35の管径は、数十μm〜数mmの範囲であるが、特に100μm〜500μmの範囲が好ましい。流路長は、数十cm〜数十m程度で、例えば15mである。
【0034】
温度調節槽36には、温度調整された熱媒体Eが流され、それによって、反応管31〜35の温度は反応に適した温度に調整される。
温度調節槽36の温度は低く設定するほど、反応速度を均一化させやすくその結果、単分散性は良好になるが、反応速度が小さくなるので反応管31〜35の流路長を大きく設定することが必要となる。
【0035】
分割剤導入機構40は、反応液Bが流通する主管41に対して、分割剤Dを導入する導入管42が接続された合流管を備え、主流に対して所定の角度をもたせて合流させる合流管、たとえば、T字管を用いることができる。導入管42には分割剤Dを送出するポンプP3が接続されている。このポンプP3は、一定量の流体を間欠的に注入することができるポンプであって、例えばプランジャーポンプやローラーポンプ、シリンジポンプが用いられる。このポンプP3を間欠的に駆動することによって、分割剤Dは主管41に対して間欠的に導入される。すなわち、ポンプP3が駆動されているときだけ分割剤Dが導入される。なお、分割剤Dがその供給源から圧送される場合(例えば分割剤Dの供給源が高圧ガスボンベの場合)は、ポンプP3の代わりに、開閉バルブを用いればよい。導入管42と主管41との連通部には分割剤と反応液とを仕切る分離膜を設けることもできる。この分離膜は、多孔性膜、多孔性撥水膜、ガス選択的透過膜とすることができる。
【0036】
分割剤Dとしては、ここではN2ガスを用いることとするが、一般的に反応液Bに混合しにくい気体あるいは液体を用いればよい。気体としては、窒素のほか、アルゴン、ヘリウムのような不活性ガス、そのほかに、空気、水素も用いることができる。液体としては、反応液Bが親水性溶液の場合、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの疎水性溶剤を用いることができる。一方、反応液Bが親油性溶液の場合は、水、メチルアルコール、エチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの親水性溶剤を用いればよい。
【0037】
なお、反応液Bのセグメント化を促進する上で、反応管31〜35を、流通する反応液Bに対して非親和性の材質にすることが有効である。すなわち、反応液Bが水性である場合、反応管31〜35をPTFEのような撥水性の材料で形成すれば、セグメント化が促進される。
分割剤Dを間欠的に導入する時間間隔や1回に導入する分割剤Dの量(体積)は、ポンプP3の駆動を、各設定値に合わせて駆動制御することによって調整される。
【0038】
反応管ユニット30の出口側には、各反応管31〜35から排出される生成物Cを集合させる合流部50が設けられている。合流部50には、上記分岐チャンバー20と同様のものを用いることができる。
このような反応装置1において、ポンプP1及びポンプP2を駆動させて、原料A1及び原料A2を、混合部10に連続的に送り込みながら、分割剤導入機構40において所定量の分割剤Dを間欠的に導入することによって、分割剤Dは各反応管31〜35に並列的に分配されるので、反応管ユニット30でを流通する反応液Bは分割剤Dで分割された状態で反応し、生成物Cが合流部50から排出される。
【0039】
(分割剤Dを間欠的に導入する時間間隔、および1回の導入量について)
分割剤Dを間欠的に導入する時間間隔:
分割剤Dを間欠的に導入するときの時間間隔を短く設定するほど、セグメントの体積が小さくなるので、生成される微粒子の単分散性が良好になるが、各反応管31〜35内で分割剤Dの占める体積が大きくなるので、それだけ各反応管31〜35内で反応液Bが占める体積が小さくなってしまう。
【0040】
従って、これらの点を考慮して、分割剤Dを間欠的に導入するときの時間間隔を設定する。
分割剤Dの導入量:
すべての反応管31〜35を流通する反応液Bをセグメント化するためには、1回に導入する分割剤Dの量(体積)は、(1つの反応管を流通する反応液をセグメントに分割するのに最低必要な分割剤の量×反応管の本数)以上に設定する必要がある。
【0041】
更に、1回に導入する分割剤Dの量(体積)は、バッファ空間27の容積以上に設定することが望ましい。ここで、バッファ空間27の容積とは、分岐チャンバー20において、入口26の付け根から分岐路21〜25の付け根までの内部空間の体積を指す。
ただし、1回に導入する分割剤Dの量が多すぎると、各反応管31〜35内で分割剤Dの占める体積が大きくなり、それだけ各反応管31〜35内で反応液Bが占める体積が小さくなってしまうし、分割剤が連通部よりも上流側に逆流することも考えられるので、1回に導入する分割剤Dの量は、バッファ空間27の容積と連通部までの(主管と、導入管との連通部)容積を加算した容積以下に設定することが好ましい。
【0042】
上記のように1回に導入する分割剤Dの量(体積)を、バッファ空間27の容積以上に設定することによって、分割剤Dで分割された反応液Bは、分割された状態を保ったまま分岐チャンバー20で分岐されて各反応管31〜35に流入する。従って、各反応管31〜35を流通する反応液Bも、分割剤Dによって確実にセグメントに分割されるので、単分散性の良好な粒子が生成される。
【0043】
以下、その理由について、図3,4を参照しながら説明する。
図3,4は、反応液Bを供給しながら、分割剤導入機構40で分割剤Dを導入したときの分割剤導入機構40内部及び分岐チャンバー20内部の様子を示す概略断面図であって、図3は、1回に導入する分割剤Dの量がバッファ空間27の容積以上の場合、図4は、1回に導入する分割剤Dの量がバッファ空間27の容積未満の場合を示している。
【0044】
図3,4において、(a)は分割剤Dを導入する直前、(b)は分割剤導入機構40で分割剤Dを導入している途中、(c)は導入された分割剤Dが、分岐チャンバー20に到達したとき、(d)は、分割剤Dが各分岐路に分配される様子を示している。
分割剤導入機構40で分割剤Dが導入されると、その分割剤Dは分岐チャンバー20のバッファ空間27に流れ込み、一旦バッファ空間27に蓄えられるが、このとき、1回に導入する分割剤Dの量がバッファ空間27の容積以上であるか否かによって、以下のように、分割剤Dが分岐路21〜25に分配される挙動に違いが生じる。
【0045】
1回に導入する分割剤Dの量がバッファ空間27の容積以上である場合、図3(c)に示すように、一旦分岐チャンバー20内が分割剤Dで満たされた状態になるので、分割剤Dがすべての分岐路21〜25の根元部分に到達する。
次に、図3(c)白抜矢印のように反応液Bが分岐チャンバー20内に入ってくるのに伴って、分岐チャンバー20内の分割剤Dが分岐路21〜25の方に押し出される。
【0046】
このとき、すでに上記のように分岐路21〜25のいずれにも分割剤Dが分配供給されているので、それに続いて分岐路21〜25に対して分割剤Dが均一的に供給されやすいし、仮に分岐路21〜25に対する分割剤Dの供給量が不均一であったとしても、図3(d)に示すように、各分岐路21〜25を流通する反応液Bはいずれもセグメント化される。
【0047】
従って、各反応管31〜35を流通する反応液Bもすべてセグメント化されるので、反応液Bの管径方向に均一化された状態で反応が進行する。よって、単分散性の良好な粒子が生成される。
一方、1回に導入する分割剤Dの量がバッファ空間27の容積未満の場合は、図4(c)に示すように、バッファ空間27内が分割剤Dで満たされることがない。従って、分割剤Dがすべての分岐路21〜25の根元部分に到達しない状態で、図4(c)白抜矢印のように反応液Bが分岐チャンバー20内に入り、それに伴って、分岐チャンバー20内の分割剤Dが分岐路21〜25の方に押し出される。
【0048】
従って、分岐路21〜25に対する分割剤Dの分配が不均一になりやすいし、分岐路21〜25のすべてに対して分割剤Dが供給されない可能性もある。その場合、分岐路21〜25の中で、分割剤Dが供給されない分岐路を流通する反応液Bはセグメント化されない。例えば、図4(d)に示すように、分岐路21〜25の中、分岐路21〜23には分割剤Dが供給されて、これを流通する反応液Bがセグメント化されるが、分岐路24,25には分割剤Dが供給されず、これを流通する反応液Bがセグメント化されない。
【0049】
従って、反応管31〜35の一部(反応管34,35)を流通する反応液Bがセグメント化されず、反応液Bの管径方向に対する均一性が劣った状態で反応が進行する。よって、生成される粒子の単分散性が劣ることになる。
なお、上記の「1回に導入する分割剤Dの量(体積)がバッファ空間27の容積以上」という条件は、「分割剤Dの量」と「の容積」との相対的な関係なので、分岐チャンバー20のバッファ空間27の容積を通常のものよりもかなり小さく設定すれば、分割剤Dの導入量が少なくてもこの条件を満たすことはできる。
【0050】
だだし、分岐チャンバー20でバッファー効果を得るには、そのバッファ空間27の容積をある程度確保することが好ましい。
(反応装置1の構成が簡素である点に関して)
反応装置1は、基本的に1つの分割剤D供給源(ポンプP3)から、複数の反応管に分割剤を間欠的に導入するようにしている点で装置構成が簡素である。
【0051】
この反応装置1において、分割剤Dを間欠的に分岐チャンバー20に導入するには、必ずしも分岐チャンバー20の前段で分割剤Dを導入しなくてもよく、例えば、分岐チャンバー20のバッファ空間27の内部に分割剤Dを直接導入するようにしてもよい。しかし、その場合、分岐チャンバー20として通常のものを用いることができず、分割剤Dを導入する導入管を設けた分岐チャンバーが必要となる。
【0052】
また、後述する実施形態2のように、各分岐路21〜25に分割剤を導入するようにすれば、各反応管31〜35に確実に分割剤Dを供給することができる。しかし、その場合、分割剤導入のための合流管が複数(5個)接続されることとなり、その点で装置構成が複雑である。
これに対して、本実施形態の反応装置1においては、分割剤導入機構40を分岐チャンバー20の入口26前段に設けているので、分割剤導入機構が1つだけあればよく、その点で装置構成が簡素であり、分岐チャンバー20に一般的な分岐チャンバーを用いることができる。
〔実施の形態2〕
図5は、実施形態2にかかる反応装置2の構成を示す図である。
【0053】
この反応装置2は、実施形態1の反応装置1と同様の構成であるが、分割剤導入機構の構成が異なっている。
すなわち、上記反応装置1では、分割剤導入機構40が、分割剤Dを分岐チャンバー20の入口側に間欠的に導入したのに対して、反応装置2では、分割剤導入機構60が、分岐チャンバー20の出口側にある各分岐路21〜25に対して順次、分割剤Dを間欠的に導入するようになっている。
【0054】
分割剤導入機構60の構成について以下に詳述する。
(分割剤導入機構60の構成と動作)
分割剤導入機構60には、分割剤D(N2ガス)を送り出すポンプP3と、ポンプP3から送り出された分割剤Dを、複数の導入管61〜65に対して順次切り換え供給する切換バルブ66を備えている。そして、各導入管61〜65は、分岐路21〜25に合流するよう接続されている。
【0055】
このように分割剤導入機構60において、ポンプP3では連続的に分割剤Dを送出し、連続送出される分割剤Dを、切換バルブ66で、複数の導入管61〜65に対して順次切り換え供給する。
複数の導入管に対して分割剤Dを順次切り換え供給する方式としては、1本づつ順に切り換えてもよいし、複数本づつ切り換えてもよい。
【0056】
例えば、1本づつ順に切り換える例として、5本の導入管61〜65に対して、導入管61,導入管62,導入管63,導入管64,導入管65の順で、一定時間づつ順次供給するのを1サイクルとして、このサイクルを繰り返して行なう。
これによって、各分岐路21〜25には、割り当てられた時間帯にだけ、分割剤Dが供給される。すなわち、反応管31〜35には、(ポンプP3の流量×割り充て時間)に相当する量づつ分割剤Dが順次間欠的に供給されることになる。
【0057】
なお、各反応管に1回に導入される分割剤Dの量(体積)が、反応管31〜35を流通する反応液Bをセグメント化するために最低必要な量以上となるように、(ポンプP3の流量×割り充て時間)を設定することはいうまでもない。
(反応装置2による効果)
実施の形態1の反応装置1と同様に、各反応管31〜35を流通する反応液Bがすべてセグメント化されるので、反応液Bの管径方向に均一化された状態で反応が進行し、単分散性の良好な粒子が生成される。
【0058】
実施の形態1の反応装置1と比べると、分岐路21〜25に対して複数の導入管61〜65を合流させている点で複雑ではあるが、本実施形態の反応装置2においても、基本的に1つの分割剤D供給源(ポンプP3)から、複数の反応管に分割剤を間欠的に導入するようにしている点で装置構成が簡素である。
また、実施の形態1の反応装置1ではポンプP3を間欠駆動させたが、本実施形態の反応装置2では、ポンプP3は、連続的に駆動させればよく、間欠駆動する必要がない。
【0059】
〔実施の形態3〕
本実施の形態は、上記実施の形態1と実施の形態2と組み合わせた形態である。
図6は、本実施形態にかかる反応装置3を示す図である。
この反応装置3においては、上記反応装置2と同様に、分割剤導入機構60が、分岐チャンバー20の出口側にある各分岐路21〜25に対して順次、分割剤Dを間欠的に導入するようになっているが、更に、各分岐路21,22,23,24,25の後段に、分岐チャンバー120,220,320、420,520が接続されており、各分岐ャンバー120,220,320、420,520から複数の反応管に、反応液及び分割剤が分配されるようになっている。
【0060】
すなわち、分岐ャンバー120には、複数の分岐路121〜125が設けられ、この分岐路121〜125に反応管131〜135が接続されている。図示は省略しているが、 分岐ャンバー220,320,420にも、同様に、複数の分岐路が設けられ、その分岐路に反応管が接続されている。分岐ャンバー520にも、同様に複数の分岐路521〜525が設けられ、この分岐路521〜525に反応管531〜535が接続されている。
【0061】
このような構成の反応装置3において、原料A1,A2が混合部10で混合されて反応液Bが生成され、分岐チャンバー20で分岐路21〜25に分配される。そして分配された反応液Bは、更に各分岐チャンバー120〜125で分配されて、反応管131〜135,‥‥反応管531〜535を流通する。
一方、反応装置2で説明したのと同様に、分割剤導入機構60では、ポンプP3では連続的に分割剤Dを送出し、連続送出される分割剤Dを、切換バルブ66で、複数の導入管61〜65に対して順次切り換え供給する。これによって、各分岐ャンバー120,220,320、420,520には、分割剤が順次、間欠的に導入される。そして、分岐ャンバー120,220,320、420,520に間欠的に導入された分割剤は、反応管131〜135,‥‥反応管531〜535に分配されて、反応管131〜135,‥‥反応管531〜535に間欠的に送り込まれる。従って、各反応管131〜135,‥‥反応管531〜535を流通する反応液Bは、分配された分割剤によってセグメントに分割された状態で流通する。
【0062】
各分岐路21〜25に分割剤Dを順次導入する際に、1回に導入する分割剤Dの量(体積)については、実施の形態1で説明したように、各分岐チャンバー120,220,320、420,520のバッファ空間の容積以上に設定することが、各反応管131〜135,‥‥反応管531〜535を流通する反応液Bを確実にセグメント化し、単分散性の良好な粒子を生成する上で望ましい。
【0063】
例えば、分岐路21についてみると、1回に導入する分割剤Dの量(体積)を、分岐チャンバー120のバッファ空間の容積以上に設定することによって、分割剤Dで分割された反応液Bは、分割された状態を保ったまま分岐チャンバー120で分岐されて各反応管131〜135に流入する。従って、各反応管131〜135を流通する反応液Bも、分割剤Dによって確実にセグメントに分割される。従って、単分散性の良好な粒子が生成される。
【0064】
以上のように、反応装置3によれば、分割剤導入機構60が、反応装置1の分割剤導入機構の特徴及び効果、と反応装置2の分割剤導入機構の特徴及び効果を合わせもつ。
(実施の形態1〜3に対する変形例)
上記説明では、反応装置1〜3で、単分散性の良好な微粒子を生成することができることを説明したが、反応装置1〜3は、必ずしも微粒子を生成する場合に限らず、例えば液状の生成物を生成する場合にも適用でき、その場合でも、分割剤の導入量を分岐チャンバーのバッファ空間容積以上に設定して、複数の反応管を流通する反応液を確実にセグメント化することによって、各反応管内で反応液の均一性を高めた状態で反応を進行させることができる点で有効である。
【0065】
また、上記反応装置1〜3では、混合部10,分岐チャンバー20,反応管ユニットが連結接続されており、複数の原料を混合して反応液を連続的に生成しながら、生成された反応液を、連続してその後段で反応管を流通させながら反応させるようになっているが、複数の原料を混合する工程と、反応液を反応管に流通させながら反応する工程とは、必ずしも連続していなくてもよい。
【0066】
例えば、複数の原料を混合した状態で反応を抑えながら貯蔵し、その後、貯蔵された液を反応液として反応管に流通させながら反応させるようにしてもよい。
また、上記反応装置1〜3では、各反応管を流通する反応液をセグメント化するのに、
反応液Bに対して分割剤導入機構で分割剤Dを間欠的に導入することによって行なったが、必ずしも分割剤導入機構を設けなくてもよく、例えば、原料A1,原料A2の一方又は両方に分割剤Dを溶解させておいて、反応管ユニット30中で反応液Bから分割剤Dを分離するようにしてもよい。例えば、反応装置1において、分割剤導入機構40を省略して、
原料A1,原料A2の一方又は両方に、分割剤Dとしてのガス(N2ガス)を溶解させておいて、温度調節槽36の温度を高温に設定することによって、反応液B中に溶解しているガスが反応管ユニット30中で反応液Bから分離される。従って、そのようにして反応管ユニット30中で分離されるガスで、反応管31〜35を流通する反応液Bをセグメント化するようにしてもよい。
【0067】
〔実施の形態4〕
上記実施の形態1〜3にかかる反応装置1〜3では、原料A1,を混合して反応液Bを生成し、これに分割剤Dを導入することによって、各反応管を流通する反応液Bをセグメントに分割するようにしたが、本実施の形態にかかる反応装置4では、原料A1と原料A2とを交互に導入し、導入された原料A1及び原料A2は、互いにセグメント化された状態で各反応管に導入される。
【0068】
図7は、反応装置4の構成を示す図である。この反応装置4は、反応装置1と同様の構成であるが、混合部10や分割剤導入機構40は設けられておらず、分岐チャンバー20の入口26に接続された主管70に、原料A1を送り込むポンプP1及び原料A2を送り込むポンプP2が接続されている。
ポンプP1とポンプP2とは交互に駆動され、それによって、原料A1と原料A2が、交互に主管70に送り込まれる。交互に送り込まれた原料A1及び原料A2は各々、セグメント化された状態で、分岐チャンバー20で分岐路21〜25に分配される。従って、各分岐路21〜25に接続された反応管31〜35には、原料A1及び原料A2が交互に送り込まれ、原料A1及び原料A2がセグメント化された状態で流れる。
【0069】
各反応管31〜35には、セグメント化された原料A1及び原料A2が流通するが、流通しながら、原料A1と原料A2との界面部分で反応が進行して生成物Cが生成される。
このように、反応装置4においては、各反応管31〜35を、セグメント化された原料A1及び原料A2が流通しながら、反応が進行するので、生成物Cの単粒子性は良好なものとなる。
【0070】
また、原料A1と原料A2を、個別に各反応管31〜35に導入するのではなく分岐チャンバー20に導入して、そこから各反応管31〜35分配するようにしているので、原料を導入する機構が簡素である。
ここで、原料A1及び原料A2を交互に主管70に導入する際に、1回に導入する原料A1の量(体積)及び 1回に導入する原料A2の量は、ともに分岐チャンバー20のバッファ空間の容積以上に設定することが、単分散性の良好な粒子を生成するの好ましい。
【0071】
これは実施の形態1で分割剤Dについて説明したのと同様の理由で、原料A1及び原料A2が交互に分岐チャンバー20に送り込まれるときにも、1回の導入量が分岐チャンバー20のバッファ空間の容積以上に設定されていると、各反応管31〜35流通する原料A1及び原料A2を各々確実にセグメント化することができるからである。
なお、上記の反応装置4では、原料A1及び原料A2を主管70に交互に導入し、それを分岐チャンバー20で分岐するようにしたが、原料A1だけを分岐チャンバー20で分岐し、実施の形態2の反応装置2と同様に原料A2を分岐管21〜25に順次間欠的に導入することによっても、セグメント化された原料A1及び原料A2が流通しながら、反応が進行するので、生成物Cの単粒子性は良好なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、複数の原料を混合した反応液を反応管に流通させながら反応させて生成物を生成する反応装置、特に、マイクロチューブに反応液を流通させながら微粒子を合成する反応装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施の形態1にかかる反応装置1の構成を示す図である。
【図2】分岐チャンバー20の具体例を示す斜視図である。
【図3】分割剤導入機構40に分割剤Dを導入したときの分割剤導入機構40内部及び分岐チャンバー20内部の様子を示す概略断面図であって、1回に導入する分割剤Dの量が分岐チャンバー20の容積以上の場合を示す。
【図4】分割剤導入機構40に分割剤Dを導入したときの分割剤導入機構40内部及び分岐チャンバー20内部の様子を示す概略断面図であって、1回に導入する分割剤Dの量が分岐チャンバー20の容積未満の場合を示す。
【図5】実施の形態2にかかる反応装置2の構成を示す図である。
【図6】実施の形態3にかかる反応装置3の構成を示す図である。
【図7】実施の形態4にかかる反応装置4の構成を示す図である。
【図8】従来例にかかるセグメント方式による管状リアクター装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0074】
10 混合部
20 分岐チャンバー
21〜25 分岐路
26 分岐チャンバーの入口
27 バッファ空間
30 反応管ユニット
31〜35 反応管
36 温度調節槽
40,60 分割剤導入機構
50 合流部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原料を混合して反応液を生成する混合部と、
前記反応液を流通させながら反応させるユニット化された複数の反応管と、
前記複数の反応管を流通する反応液を分割する分割剤を供給する分割剤供給源
と、
当該分割剤供給源から前記複数の反応管に分割剤を間欠的に導入する分割剤導入
機構とを備えることを特徴とする反応装置。
【請求項2】
前記分割剤導入機構は、
複数の反応管に対して分配されるべき反応液を貯留するバッファ空間槽と、該
バッファ空間槽に連通し、前記複数の反応管に対応して形成された分配孔を有した分岐
チャンバーを含んでいることを特徴とする請求項1記載の反応装置。
【請求項3】
前記分割剤導入機構が1回に導入する分割剤の体積は、前記バッファ空間槽の容積以上に設定されていることを特徴とする請求項2記載の反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−61735(P2007−61735A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250811(P2005−250811)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(390024442)株式会社ワイエムシィ (22)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】