収容ケース
【課題】 ディスク記憶装置の収容ケースにおいて、大型化を抑制しつつ、外力に対する耐性を向上する。
【解決手段】 収容ケースは、ディスク記憶装置が収容ケースに収容された収容状態で、記憶装置外壁面と対向するケース内壁面を有するケース壁と、記憶装置外壁面とケース内壁面との間に配置され、ケース内壁面に沿って延びる変形板とを備える。変形板は、特定方向から見た特定方向形状が凸形状を有し、凸形状は記憶装置外壁面とケース内壁面のうちの一方の面側に位置する頂部と他方の面側に位置する裾部と含み、頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると変形する、凸形状板部と、裾部に接続され、裾部から頂部と離れる方向に延びる板部であって、凸形状板部の変形に応じて一方の面側に凸に湾曲する湾曲板部と、を有する。
【解決手段】 収容ケースは、ディスク記憶装置が収容ケースに収容された収容状態で、記憶装置外壁面と対向するケース内壁面を有するケース壁と、記憶装置外壁面とケース内壁面との間に配置され、ケース内壁面に沿って延びる変形板とを備える。変形板は、特定方向から見た特定方向形状が凸形状を有し、凸形状は記憶装置外壁面とケース内壁面のうちの一方の面側に位置する頂部と他方の面側に位置する裾部と含み、頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると変形する、凸形状板部と、裾部に接続され、裾部から頂部と離れる方向に延びる板部であって、凸形状板部の変形に応じて一方の面側に凸に湾曲する湾曲板部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容ケースに関し、特にディスク記憶装置のケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置は、衝撃による影響で、誤動作や故障などの不具合を生じやすい。ハードディスク記憶装置を収容するための構造として、耐衝撃性を向上する工夫がなされた様々な構造が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−277935号公報
【0004】
この構造では、金属板で形成された収容ケースの壁に板バネを形成し、板バネに衝撃吸収材(具体的にはゲル状のポリスチレン)を貼り付けている。この構造によれば、板バネの変形と衝撃吸収材の変形との両方で、衝撃を吸収することにより、耐衝撃性の向上を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構造では、板バネと衝撃吸収材が、収容ケースの壁に対して垂直な方向に変形することにより衝撃を吸収しているので、変形量を確保するために構造全体として大型になりがちであった。このような課題は、ハードディスク記憶装置の収容ケースにおいて耐衝撃性を向上する技術に限らず、回転するディスクを有するディスク記憶装置の収容ケースにおいて、衝撃、振動などによる外力に対する耐性を向上する技術について共通する課題であった。
【0006】
本発明の主な利点は、ディスク記憶装置の収容ケースにおいて、大型化を抑制しつつ、外力に対する耐性を向上できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
ディスク記憶装置を収容する収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置が前記収容ケースに収容された収容状態で、ディスク記憶装置の外壁面である記憶装置外壁面と対向するケース内壁面を有するケース壁と、
前記記憶装置外壁面と前記ケース内壁面との間に配置され、前記収容状態で前記ケース内壁面に沿って延びる変形板であって、
前記ケース内壁面と平行な特定方向から見た特定方向形状が凸形状を有し、前記凸形状は前記記憶装置外壁面と前記ケース内壁面のうちの一方の面側に位置する第1の頂部と他方の面側に位置する第1の裾部と含む板部であって、前記第1の頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると変形する、第1の凸形状板部と、
前記第1の裾部に接続され、前記第1の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びる板部であって、前記第1の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する第1の湾曲板部と、
を有する変形板と、
を備える、収容ケース。
【0009】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部第1の頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると第1の凸形状板部が変形する。さらに、第1の凸形状板部の変形に応じて第1の湾曲板部が一方の面側に凸に湾曲する。この結果、収容ケースに加えられた外力のエネルギーは、第1の凸形状板部と第1の湾曲板部との両方を変形させるエネルギーに変換される。すなわち、記憶装置外壁面とケース内壁面との間に配置された2つの部分である第1の凸形状板部と第1の湾曲板部の両方の変形を利用して効率良く外力のエネルギーを吸収することができる。この結果、記憶装置外壁面とケース内壁面との間隔が過度に広くなることを抑制して収容ケースの大型化を抑制しつつ、収容ケースの外力に対する耐性を向上することができる。
【0010】
[適用例2]
適用例1に記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部の前記特定方向形状は、円弧形状である、収容ケース。
【0011】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部の特定方向形状が円弧形状であるので、第1の凸形状板部が変形時に局部的に座屈することを抑制することができる。この結果、第1の凸形状板部が変形したときに、第1の湾曲板部を湾曲させる力を、第1の裾部から第1の湾曲板部に対して効率良く伝えることができる。
【0012】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の収容ケースであって、
前記第1の裾部と、前記第1の湾曲板部とは、正接で接続されている、収容ケース。
【0013】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部の第1の裾部と、第1の湾曲板部とが、正接で接続されているので、第1の裾部と第1の湾曲板部との接続部分が局部的に座屈することを抑制することができる。この結果、より確実に第1の湾曲板部と第1の凸形状板部の全体を変形させて外力のエネルギーを吸収することができる。
【0014】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3に記載の収容ケースであって、
前記変形板は、さらに、
前記特定方向形状が、前記一方の面側に位置する第2の頂部と前記他方の面側に位置する第2の裾部と含む凸形状を有し、前記第2の裾部は前記第1の湾曲板部の前記第1の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びた端部に接続されている板部であって、前記第2の頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると変形する、第2の凸形状板部を有し、
前記第1の湾曲板部は、前記第1の凸形状板部の変形と前記第2の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する、収容ケース。
【0015】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部と第2の凸形状板部が変形するので、外力を分散することができる。また、第1の凸形状板部と第2の凸形状板部の変形によって、第1の湾曲板部の両端から第1の湾曲板部を湾曲させる力が伝わるので、第1の湾曲板部を大きく変形させることができる。この結果、第1の凸形状板部と第2の凸形状板部の変形と第1の湾曲板部の湾曲によって、より大きな外力のエネルギーを吸収することができる。
【0016】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部は、前記第1の頂部から見て前記第1の裾部と反対側に位置する第3の裾部を含み、
前記変形板は、さらに、前記第3の裾部に接続され、前記第3の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びる板部であって、前記第1の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する第2の湾曲板部を有する、収容ケース。
【0017】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部の変形に応じて第2の湾曲板部が一方の面側に凸に湾曲する。この結果、第1の凸形状板部の変形と第1の湾曲板部の湾曲に加えて、第2の湾曲板部の湾曲によっても外力のエネルギーを吸収することができる。したがって、より大きな外力のエネルギーを吸収することができる。
【0018】
[適用例6]
適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部は、前記第1の頂部から見て前記第1の裾部と反対側に位置し、前記第1の頂部から離れる方向の端部が自由端である第4の裾部を含む、収容ケース。
【0019】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部における、前記第1の裾部とは反対側に位置する第4の裾部が自由端であるので、第4の裾部が自由端でない場合と比較して、小さな力で第1の凸形状板部が比較的大きく変形する。この結果、第4の裾部が自由端でない場合と比較して、より小さな外力のエネルギーを効果的に吸収することができる。
【0020】
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置は、略直方体の筐体を有し、
前記収容ケースは、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうち第1の面に対向する1つの壁部を有する蓋部材と、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうちの前記第1の面を除く5面にそれぞれ対向する5つの壁部と、前記第1の面に対応する位置に配置された開口とを有する箱部材と、
を含み、
前記ケース壁は、前記箱部材の前記5つの壁部のうち、前記略直方体の筐体の前記第1の面と交差する第2の面に対向する壁部であり、
前記一方の面は、前記略直方体の筐体の前記第2の面であり、
前記変形板は、前記蓋部材と一体に形成されている、収容ケース。
【0021】
上記構成の収容ケースによれば、変形板は、蓋部材と一体に形成されているので、部品点数を抑制できるとともに、組み付けが容易となる。
【0022】
[適用例8]
適用例1ないし適用例6のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置は、略直方体の筐体を有し、
前記収容ケースは、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうちの第1の面と垂直な4つの面にそれぞれ対向する4つの前記ケース壁を少なくとも有する壁部材と、
前記壁部材とは別部材であって、前記収容状態で、前記4つの面のそれぞれと4つの前記ケース壁のそれぞれとの間に配置される4つの変形板を少なくとも有する部材と、
を含む、収容ケース。
【0023】
上記構成の収容ケースによれば、壁部材と変形板を有する部材とを別部材で形成されているので、壁部材と変形板を有する部材とを異なる材料で形成できる。この結果、材料選択の幅が広がる。
【0024】
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記変形板は、熱可塑性樹脂で形成されている、収容ケース。
【0025】
上記構成の収容ケースによれば、変形板は、一般的な衝撃吸収材(例えば、ゲル状のポリスチレン)より変形しにくい熱可塑性樹脂で形成されているので、組み立て時に意図しない変形が生じにくく、組み立て不良を低減することができる。
【0026】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、変形板、ディスク記憶装置を備える電子機器等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施例としての収容ケースの概略構成を示す図。
【図2】第1実施例における第1の衝撃吸収板330の形状について説明する図。
【図3】第1実施例における第1の衝撃吸収板330の機能について説明する図。
【図4】第1実施例における第2の衝撃吸収板340の形状について説明する図。
【図5】第1実施例における第2の衝撃吸収板340の機能について説明する図。
【図6】第2実施例における第1の衝撃吸収板330aの形状について説明する図。
【図7】第2実施例における第2の衝撃吸収板340aの形状について説明する図。
【図8】第1実施例の収容ケースの衝撃吸収能力と第2実施例の収容ケースの衝撃吸収能力との比較を示すグラフ。
【図9】第1実施例の収容ケースの衝撃吸収能力と第2実施例の収容ケースの衝撃吸収能力との比較を示すグラフ。
【図10】第3実施例としての収容ケースの概略構成を示す図。
【図11】第3実施例における第6の衝撃吸収板760の形状について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0029】
A.第1実施例:
図1は、第1実施例としての収容ケースの概略構成を示す図である。収容ケース100は、箱部材400と、蓋部材300とを備えている。箱部材400と蓋部材300は、熱可塑性樹脂であるABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)で、射出成形により形成されている。箱部材400と蓋部材300は、他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレンで形成されても良い。また、箱部材400と蓋部材300は、硬質なゴムで形成されても良い。
【0030】
収容ケース100は、2.5インチのハードディスクドライブ200を収容するケースである。ハードディスクドライブ200は、直方体の筐体を有している。ここで言う直方体は、幾何学的に厳密な直方体である形状に限らず、一般に流通している2.5インチまたは3.5インチのハードディスクドライブの筐体の形状のように、外面の凹凸や、辺部分や頂点部分の面取りを有しているものの、概ね直方体である形状を含む。この筐体は、6つの外壁面、すなわち、第1の広面210(図1のY軸の正方向側の面)と、第1の短側面230(図1のZ軸の正方向側の面)と、第2の短側面220(図1のZ軸の負方向側の面)と、第1の長側面240(図1のX軸の負方向側の面)と、第2の長側面250(図1のX軸の正方向側の面)と、第2の広面260(図1のY軸の負方向側の面)とを有している。ハードディスクドライブ200の第2の短側面220には、コネクタ225が配置されている。コネクタ225は、例えば、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)規格に従ったコネクタである。
【0031】
蓋部材300は、蓋壁部310と、第1の衝撃吸収板330と、第2の衝撃吸収板340と、第3の衝撃吸収板350と、補助板320と、を備えている。蓋壁部310は、ハードディスクドライブ200が収容ケース100に収容された状態(以下、収容状態と呼ぶ。)で、ハードディスクドライブ200の第1の広面210に対向する内壁面を有する壁部である。
【0032】
3つの衝撃吸収板330、340、350と補助板320は、蓋壁部310に垂直に配置され、収容状態で、ハードディスクドライブ200を囲む環状構造を形成している。具体的には、衝撃吸収板330は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230に沿って配置される。第2の衝撃吸収板340は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240に沿って配置される。第3の衝撃吸収板350は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第2の長側面250に沿って配置される。
【0033】
補助板320には、収容ケース100に収容されたハードディスクドライブ200のコネクタ225に収容ケース100の外側から配線を接続するためのコネクタ開口部325が形成されている。3つの衝撃吸収板330、340、350の詳細の形状については、後述する。
【0034】
箱部材400は、底壁部460と、第1の短側壁部430と、第2の短側壁部420と、第1の長側壁部440と、第2の長側壁部450とを備えている。箱部材400において、図1のY軸の正方向側は、開口となっている。底壁部460は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第2の広面260に対向する内壁面を有する壁部である。第1の短側壁部430は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230に対向する内壁面を有する壁部である。第2の短側壁部420は、ハードディスクドライブ200の第2の短側面220に対向する内壁面を有する壁部である。第1の長側壁部440は、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240に対向する内壁面を有する壁部である。第2の長側壁部450は、ハードディスクドライブ200の第2の長側面250に対向する内壁面を有する壁部である。第2の短側壁部420には、収容ケース100に収容されたハードディスクドライブ200のコネクタ225に収容ケース100の外側から配線を接続するためのコネクタ開口部425が形成されている。
【0035】
収容ケース100にハードディスクドライブ200を収容する際には、蓋部材300の3つの衝撃吸収板330、340、350と補助板320とによって形成された環状構造部分に、ハードディスクドライブ200の筐体が嵌め込まれる。この環状構造部分の寸法は、ハードディスクドライブ200の筐体の対応する部分の寸法より若干小さく設計されているので、当該環状構造部分をわずかに撓ませて広げたうえで、ハードディスクドライブ200の筐体が、この環状構造部分に嵌め込まれる。蓋部材300の環状構造部分が、箱部材400の上述した開口に嵌合されて、収容状態とされる。
【0036】
収容状態では、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と、第1の短側壁部430の内壁面との間に、第1の衝撃吸収板330が配置される。また、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240と、第1の長側壁部440の内壁面との間に、第2の衝撃吸収板340が配置される。また、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第2の長側面250と、第2の長側壁部450の内壁面との間に、第3の衝撃吸収板350が配置される。
【0037】
図2は、第1実施例における第1の衝撃吸収板330の形状について説明する図である。図2(a)は、第1の衝撃吸収板330をY軸の負方向側から見た図である。Y軸方向は、収容状態における第1の短側壁部430の内壁面、および、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と平行な方向である。図2(b)は、第1の衝撃吸収板330をZ軸の正方向側から見た図である。Z軸方向は、収容状態における第1の短側壁部430の内壁面、および、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と垂直な方向である。図3は、第1実施例における第1の衝撃吸収板330の機能について説明する図である。図3は、図2(a)と同様に、第1の衝撃吸収板330をY軸の負方向側から見た図である。図3では、理解の容易のため、X軸方向の寸法に対するZ軸方向の寸法を実際より大きく示している。図3(a)は、ハードディスクドライブ200が収容された収容ケース100が静置されており、第1の衝撃吸収板330がほとんど変形していない状態(通常時)を示している。図3(b)は、ハードディスクドライブ200が収容された収容ケース100が落下等により衝撃を受け、その衝撃によって第1の衝撃吸収板330が弾性的に変形している状態(衝撃吸収時)を示している。
【0038】
第1の衝撃吸収板330は、図2(b)に示すように、Z軸方向に沿って見た形状が略長方形の板であり、長手方向の両端部分に形成された脚部336、337において、蓋壁部310に接続されている。第1の衝撃吸収板330の他の部分(略長方形の板の中央部分)と蓋壁部310との間には、スリットSLが形成されている。このように、第1の衝撃吸収板330が脚部336、337においてのみ、蓋壁部310に接続されているので、第1の衝撃吸収板330の衝撃吸収時における変形(詳細は後述)が、蓋壁部310との接続によって妨げられることを抑制することができる。
【0039】
第1の衝撃吸収板330は、円弧状板部332と、平板部331、333とを有している。円弧状板部332は、図2(a)、図3に示すように、Y軸方向に沿って見た形状がZ軸の負方向側に凸である円弧形状を有している。円弧状板部332の円弧形状は、頂部TPと、裾部FTa、FTbとを有している。収容状態で、頂部TPは、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230側に位置する(図3)。収容状態で、裾部FTa、FTbは、ハードディスクドライブ200の第1の短側壁部430の内壁面(図3における面IT)側に位置する(図3)。
【0040】
平板部331は、図2(a)、図3に示すように、円弧状板部332の裾部FTaに接続され、円弧状板部332の頂部TPから離れる方向(図2におけるX軸の負方向)に延びる平坦な板部である。平板部333は、図2(a)、図3に示すように、円弧状板部332の裾部FTbに接続され、円弧状板部332の頂部TPから離れる方向(図2におけるX軸の正方向)に延びる平坦な板部である。
【0041】
平板部331と、円弧状板部332の裾部FTaとは、正接に接続されている。ここで、正接に接続されているとは、接続部分において、傾きが非連続に変化することなく、連続的に変化するように、滑らかな曲面で接続されていることを言う。本実施例では、円弧状板部332の裾部FTaのY軸方向に沿って見た形状は、平板部331側に向かうに連れて傾きが滑らかに減少して最終的に傾きが0(X軸と平行)になった点において、平板部331と接続している。
【0042】
同様にして、平板部333と、円弧状板部332の裾部FTbとは、正接に接続されている。
【0043】
円弧状板部332は、頂部TPの頂上から板厚方向(Z軸の正方向:図2)に力が加えられると図3に示すように弾性的に変形する。より具体的に衝撃吸収時における変形について説明すると、衝撃吸収時には、円弧状板部332の頂部TPがハードディスクドライブ200の第1の短側面230によって押圧されるとともに、円弧状板部332の裾部FTa、FTbが第1の短側壁部430の内壁面によって押圧される。この結果、円弧状板部332は、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230、および、第1の短側壁部430の内壁面と垂直な方向(Z軸方向)に弾性的に圧縮変形される(図3(b))。
【0044】
円弧状板部332がZ軸方向に圧縮変形されると、円弧状板部332は、X軸方向に伸長する(図3(b))。そして、平板部331のX軸の正方向側の端部は、箱部材400の第2の長側壁部450に当接して、X軸の正方向側へ移動することができない。この結果、平板部331をX軸方向に圧縮する力が働く。
【0045】
また、円弧状板部332がZ軸方向に圧縮変形されると、円弧状板部332の裾部FTaの角度θが0度に近づくように変形する(図3(b))。この結果、裾部FTaと平板部331との接続部分の近傍では、当該接続部分を中心に図3における時計回り(右回転方向)に回転する力が働き、平板部331の当該接続部分近傍をZ軸の負方向側に移動させようとする。そして、平板部331のX軸の正方向側の端部は、第2の衝撃吸収板340に接続されているため、Z軸の負方向側に移動することができない。すなわち、平板部331のX軸の正方向側の端部は、固定端となっている。
【0046】
以上のような力の作用により、衝撃吸収時には、円弧状板部332の変形に応じて、平板部331は、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230側に凸に弾性的に湾曲する(図3(b))。同様な作用により、衝撃吸収時には、円弧状板部332の変形に応じて平板部333もハードディスクドライブ200の第1の短側面230側に凸に弾性的に湾曲する(図3(b))。
【0047】
図4は、第1実施例における第2の衝撃吸収板340の形状について説明する図である。図4(a)は、第2の衝撃吸収板340をY軸の負方向側から見た図である。Y軸方向は、収容状態における第1の長側壁部440の内壁面、および、ハードディスクドライブ200の筐体の第1の長側面240と平行な方向である。図4(b)は、第2の衝撃吸収板340をX軸の負方向側から見た図である。X軸方向は、収容状態における第1の長側壁部440の内壁面、および、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240と垂直な方向である。図5は、第1実施例における第2の衝撃吸収板340の機能について説明する図である。図5は、図4(a)と同様に、第2の衝撃吸収板340をY軸の負方向側から見た図である。図5では、理解の容易のため、Z軸向の寸法に対するX軸方向の寸法を実際より大きく示している。図5(a)は、ハードディスクドライブ200が収容された収容ケース100が静置されており、第2の衝撃吸収板340がほとんど変形していない状態(通常時)を示し、図5(b)は、ハードディスクドライブ200が収容された収容ケース100が落下等により衝撃を受け、その衝撃によって第2の衝撃吸収板340が弾性的に変形している状態(衝撃吸収時)を示している。
【0048】
第2の衝撃吸収板340は、図4(b)に示すように、X軸方向に沿って見た形状が略長方形の板であり、長手方向の両端部分と中央部分に形成された脚部346、347、348において、蓋壁部310に接続されている。第2の衝撃吸収板340の他の部分と蓋壁部310との間には、スリットSLが形成されている。このように、第2の衝撃吸収板340が脚部346、347、348においてのみ、蓋壁部310に接続されているので、第2の衝撃吸収板340の衝撃吸収時における変形(詳細は後述)が、蓋壁部310との接続によって妨げられることを抑制することができる。
【0049】
第2の衝撃吸収板340は、2つの円弧状板部342、344と、3つの平板部341、343、345とを有している。円弧状板部342、344は、上述した第1の衝撃吸収板330の円弧状板部332と同様に、Y軸方向に沿って見た形状がX軸の正方向側に凸である円弧形状を有している。円弧状板部342、344の円弧形状は、頂部TPと、裾部FTa、FTbとを有している。収容状態で、頂部TPは、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240側に位置する。収容状態で、裾部FTa、FTbは、第1の長側壁部440の内壁面(図5における面IT)側に位置する。
【0050】
平板部341は、図4(a)、図5に示すように、円弧状板部342の裾部FTaに接続され、円弧状板部342の頂部TPから離れる方向(図4におけるZ軸の正方向)に延びる平坦な板部である。平板部341のZ軸の正方向側の端部は、箱部材400の第1の短側壁部430との当接、および、第1の衝撃吸収板330との接続によって、Z軸に沿った方向への移動およびX軸に沿った方向への移動が禁止された固定端となっている。平板部343は、一端が円弧状板部342の裾部FTbに接続され、他端が円弧状板部344の裾部FTaに接続された平坦な板部である。平板部345は、円弧状板部344の裾部FTbに接続され、円弧状板部344の頂部TPから離れる方向(図4におけるZ軸の負方向)に延びる平坦な板部である。平板部345のZ軸の負方向側の端部は、箱部材400の第2の短側壁部420との当接、および、補助板320との接続によって、Z軸に沿った方向への移動およびX軸に沿った方向への移動が禁止された固定端となっている。
【0051】
平板部341と円弧状板部342の裾部FTaとは、正接に接続されている。同様にして、平板部343と円弧状板部342の裾部FTb、平板部343と円弧状板部344の裾部FTaは、それぞれ正接に接続されている。また、平板部345と円弧状板部344の裾部FTbとは、正接に接続されている。
【0052】
衝撃吸収時には、円弧状板部342、344の頂部TPがハードディスクドライブ200の第1の長側面240によって押圧されるとともに、円弧状板部342、344の裾部FTa、FTbが第1の長側壁部440の内壁面によって押圧される。この結果、円弧状板部342、344は、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240、および、第1の長側壁部440の内壁面と垂直な方向(X軸方向)に弾性的に圧縮変形される(図5(b))。
【0053】
そして、第1の衝撃吸収板330について説明したメカニズムと同様のメカニズムにより、衝撃吸収時には、第2の衝撃吸収板340において、円弧状板部342、344の変形に応じて、平板部341、343、345が、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240側に凸にそれぞれ弾性的に湾曲する(図5(b))。
【0054】
なお、第3の衝撃吸収板350の形状および機能は、上述した第2の衝撃吸収板340の形状および機能と同一であるので、その説明を省略する。
【0055】
以上説明した収容ケース100によれば、衝撃吸収時に、第1の衝撃吸収板330、第2の衝撃吸収板340、第3の衝撃吸収板350が設けられていることによって、収容ケース100の大型化を抑制しつつ、耐衝撃性を向上することができる。第1の衝撃吸収板330を例にとって、具体的に説明すると、第1の衝撃吸収板330の円弧状板部332が、衝撃吸収時に、上述したように、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と、収容ケース100の第1の短側壁部430の内壁面とによる押圧によって弾性変形する。そして、円弧状板部332の変形に応じて平板部331、333が弾性的に湾曲する。この結果、収容ケース100に加えられた衝撃のエネルギーは、第1の衝撃吸収板330の円弧状板部332と、平板部331、333との両方を変形させるエネルギーに変換される。すなわち、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と第1の短側壁部430の内壁面との間に配置された第1の衝撃吸収板330のほぼ全体の弾性変形を利用して効率良く衝撃を吸収することができる。この結果、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と、第1の短側壁部430の内壁面との間隔が過度に広くなることを抑制して収容ケース100の大型化を抑制しつつ、収容ケース100の耐衝撃性を向上することができる。
【0056】
また、上記収容ケース100では、衝撃吸収板330、340、350の円弧状板部332、342、344のY軸方向に沿って見た形状が円弧形状であるので、これらの円弧状板部332、342、344が衝撃吸収時に局部的に座屈することを抑制することができる。局部的な座屈は、均一な変形と比較して塑性変形となりやすく、収容ケース100の衝撃吸収能力が損なわれるおそれがある。本実施例では、これらの円弧状板部332、342、344において、アーチ橋と同様の原理により、ほぼ均一に応力が分散される。この結果、円弧状板部332、342、344が変形したときに、平板部331、333、341、343、345を湾曲させる力を、裾部FTa、FTbから平板部331、333、341、343、345に対して効率良く伝えることができる。
【0057】
また、上記収容ケース100では、衝撃吸収板330、340、350において、円弧状板部の裾部と平板部とが正接で接続されている(具体的には、円弧状板部332の裾部FTaと平板部331(図2(a))。この結果、衝撃吸収時に、円弧状板部の裾部と平板部との接続部分に応力が集中して、当該接続部分が局部的に座屈することを抑制することができる。この結果、より確実に衝撃吸収板330、340、350の全体を変形させて衝撃を吸収することができる。
【0058】
さらに、上記収容ケース100の第2の衝撃吸収板340および第3の衝撃吸収板350には、円弧状板部が2つ配置されている(具体例として、第2の衝撃吸収板340の円弧状板部342、344(図4))。そして、2つの円弧状板部の間に平板部が配置されている(具体例として、円弧状板部342、344の間に配置された平板部343(図4))。この結果、衝撃吸収時に、複数の円弧状板部が変形するので、衝撃を分散することができる。また、複数の円弧状板部の変形によって、1つの平板部の両端から当該平板部を湾曲させる力が伝わるので、平板部を大きく変形させることができる。したがって、第2の衝撃吸収板340、第3の衝撃吸収板350は、より大きな衝撃を吸収することができる。
【0059】
また、上記収容ケース100では、衝撃吸収板330、340、350の円弧状板部の一方の裾部FTaに平板部が接続されている(具体例として、円弧状板部332の裾部FTaに接続されている平板部331)。さらに、他方の裾部FTbにも平板部が接続されている(具体例として、円弧状板部332の裾部FTbに接続されている平板部333)。したがって、1つの円弧状板の変形に応じて2つの平板部が湾曲する。この結果、より大きな衝撃を吸収することができる。
【0060】
さらに上記収容ケース100では、衝撃吸収板330、340、350は、蓋部材300と一体に形成されている。この結果、部品点数を抑制できるとともに、組み付けが容易となる。
【0061】
さらに、上述したように蓋部材300の3つの衝撃吸収板330、340、350と補助板320とによって形成された環状構造部分の寸法は、ハードディスクドライブ200の筐体の対応する部分の寸法より若干小さく設計されている。そして、当該環状構造部分を撓ませて広げたうえで、ハードディスクドライブ200の筐体が、この環状構造部分に嵌め込まれる。従って、ハードディスクドライブ200の筐体の寸法の製造誤差があった場合であっても、がたつきが生じないように収容ケース100にハードディスクドライブ200を収容することができる。
【0062】
また、熱可塑製樹脂で形成された蓋部材300の環状構造部分に、ハードディスクドライブ200の筐体が嵌め込まれたうえで、蓋部材300を箱部材400に嵌合させることにより、収容ケース100が組み立てられる。このため、例えば、ハードディスクドライブ200の外壁面に熱可塑製樹脂より弾性変形しやすい(弾性係数が小さい)衝撃吸収材(例えば、ゲル状のポリスチレン)を貼り付けてから、ケースにハードディスクドライブ200を収容する場合と比較して、組み立て時に意図しない変形が生じにくく、収容ケース100の組み立て不良を低減することができる。
【0063】
以上の説明から解るように、第1実施例における円弧状板部332は、特許請求の範囲における第1の凸形状板部に対応する。また、第1実施例における平板部331は、特許請求の範囲における第1の湾曲板部に対応し、第1実施例における平板部333は、特許請求の範囲における第2の湾曲板部に対応する。さらには、第1実施例における円弧状板部342は、特許請求の範囲における第1の凸形状板部に対応し、円弧状板部344は、特許請求の範囲における第2の凸形状板部に対応する。また、第1実施例における平板部343は、特許請求の範囲における第1の湾曲板部に対応する。
【0064】
B.第2実施例:
図6は、第2実施例における第1の衝撃吸収板330aの形状について説明する図である。図7は、第2実施例における第2の衝撃吸収板340aの形状について説明する図である。第2実施例において、第1実施例と異なる点は、衝撃吸収板の形状である。第2実施例のその他の構成は、第1実施例と同一であるので、その説明を省略する。
【0065】
第2実施例の第1の衝撃吸収板330aが第1実施例の第1の衝撃吸収板330(図2)と異なる点は、円弧状板部332の裾部FTaが平板部331に接続されていない点である(図6)。すなわち、第2実施例の第1の衝撃吸収板330aにおいて、円弧状板部332の裾部FTaと平板部331との間には、間隔CLが設けられている。言い換えれば、第2実施例の第1の衝撃吸収板330aにおいて、円弧状板部332の裾部FTaは、頂部TPから離れる方向の端部が自由端になっている。第2実施例の第1の衝撃吸収板330aのその他の構成は、第1実施例の第1の衝撃吸収板330と同一である。
【0066】
第2実施例の第2の衝撃吸収板340aが第1実施例の第2の衝撃吸収板340(図4)と異なる点は、円弧状板部342の裾部FTaが平板部341と接続されていない点と、円弧状板部344の裾部FTbが平板部345と接続されていない点である(図7)。すなわち、第2実施例の第1の衝撃吸収板330aにおいて、円弧状板部342の裾部FTaと平板部341との間には間隔CLが設けられており、同様に円弧状板部344の裾部FTbと平板部345との間にも間隔CLが設けられている。言い換えれば、第2実施例の第2の衝撃吸収板340aにおいて、円弧状板部342の裾部FTaおよび円弧状板部344の裾部FTbは、頂部TPから離れる方向の端部が自由端になっている。第2実施例の第2の衝撃吸収板340aのその他の構成は、第1実施例の第2の衝撃吸収板340と同一である。
【0067】
第2実施例の第3の衝撃吸収板の構成は、図7に示す第2の衝撃吸収板340aの構成と同一であるので、その説明を省略する。
【0068】
以上説明した第2実施例の収容ケースでは、衝撃吸収板の円弧状板部の一方の裾部は、第1実施例と同様に平板部に接続されているものの、当該一方の裾部と反対側に位置する他方の裾部は、第1実施例と異なり自由端になっている。この結果、両方の裾部が自由端でない場合(第1実施例)と比較して、小さな力で円弧状板部が大きく変形する。この結果、第4の裾部が自由端でない場合と比較して、より小さな衝撃を効果的に吸収することができる。
【0069】
図8および図9は、第1実施例の収容ケースの衝撃吸収能力と、第2実施例の収容ケースの衝撃吸収能力との比較を示すグラフである。図8は、1cm(センチメートル)の高さから剛体の床の上にハードディスクドライブ200が収容された収容ケースを落下させた場合に、床と収容ケースとの衝突によって収容ケース内のハードディスクドライブ200に付与される加速度の時間的な変化を示している。図9は、10cmの高さから剛体の床の上にハードディスクドライブ200が収容された収容ケースを落下させた場合に、床と収容ケースとの衝突によって収容ケース内のハードディスクドライブ200に付与される加速度の時間的な変化を示している。加速度のピーク値が小さいほど、ハードディスクドライブ200に伝わる衝撃は小さく、加速度の作用時間が短いほど、ハードディスクドライブ200に伝わる衝撃は小さいと言える。図8および図9において、破線A1は、第1実施例の収容ケースを用いた場合について示し、実線B1は、第2実施例の収容ケースを用いた場合について示している。
【0070】
図8に示すように、落下高さが1cmである場合には、第2実施例の収容ケース内部のハードディスクドライブ200に伝わる衝撃は、第1実施例の収容ケース内部のハードディスクドライブ200に伝わる衝撃より小さいことが解る。また、図9に示すように、落下高さが10cmである場合には、落下高さが1cmである場合とは反対に、第2実施例の収容ケース内部のハードディスクドライブ200に伝わる衝撃は、第1実施例の収容ケース内部のハードディスクドライブ200に伝わる衝撃より大きいことが解る。
【0071】
図8および図9に示すグラフから、第2実施例の収容ケースは、第1実施例の収容ケースと比較して、より小さい衝撃を効果的に吸収できることが解る。反対に、第1実施例の収容ケースは、第2実施例の収容ケースと比較して、より大きい衝撃を効果的に吸収できることが解る。
【0072】
C.第3実施例:
図10は、第3実施例としての収容ケースの概略構成を示す図である。収容ケース100aは、筒状壁部材500と、第1衝撃吸収部材600と、第2衝撃吸収部材700と、後面カバー800とを備えている。第1衝撃吸収部材600と第2衝撃吸収部材700は、第1実施例の収容ケース100と同様に、熱可塑性樹脂であるABS樹脂で射出成形により形成されている。筒状壁部材500と後面カバー800は、金属、例えば、アルミ、ジュラルミンで形成されている。筒状壁部材500と後面カバー800は、金属に限らず、ABS樹脂などの樹脂で形成されていても良い。
【0073】
筒状壁部材500は、底壁部510と、第1の長側壁部540と、第2の長側壁部550と、上壁部560とを備えている。底壁部510は、ハードディスクドライブ200が収容ケース100aに収容された状態(収容状態)で、ハードディスクドライブ200のの第1の広面210(図10のY軸の負方向側の面)に対向する内壁面を有する壁部である。第1の長側壁部540は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240(図10のX軸の負方向側の面)に対向する内壁面を有する壁部である。第2の長側壁部550は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第2の長側面250(図10のX軸の正方向側の面)に対向する内壁面を有する壁部である。上壁部560は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第2の広面260(図10のY軸の正方向側の面)に対向する内壁面を有する壁部である。
【0074】
第1衝撃吸収部材600は、第1の衝撃吸収板630と、第2の衝撃吸収板640と、第3の衝撃吸収板650と、第5の衝撃吸収板610と、補助板620と、を備えている。第5の衝撃吸収板610は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の広面210に沿って配置される。
【0075】
第2衝撃吸収部材700は、第6の衝撃吸収板760と、前壁部730とを備えている。前壁部730は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230(図10のZ軸の正方向側の面)に対向する内壁面を有する壁部である。第6の衝撃吸収板760は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第2の広面260に沿って配置される。後面カバー800は、コネクタ開口部825が形成された後壁部820を備えている。
【0076】
収容ケース100aにハードディスクドライブ200を収容する際には、第1衝撃吸収部材600の3つの衝撃吸収板630、640、650と補助板620とによって形成された環状構造部分に、ハードディスクドライブ200の筐体が嵌め込まれる。そして、ハードディスクドライブ200の第2の広面260を覆うように第6の衝撃吸収板760が配置され、第1の衝撃吸収板630のZ軸の正方向側の面を覆うように前壁部730が配置されるように、第2衝撃吸収部材700が、ハードディスクドライブ200が嵌め込まれた第1衝撃吸収部材600に対して配置される。そして、この状態のハードディスクドライブ200と第1衝撃吸収部材600と第2衝撃吸収部材700が、筒状壁部材500のZ軸の正方向側の開口から筒状壁部材500に挿入される。そして、筒状壁部材500のZ軸の負方向側の開口が、後面カバー800で覆われて、収容状態とされる。
【0077】
収容状態では、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と、前壁部730の内壁面との間に、第1の衝撃吸収板630が配置される。また、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240と、第1の長側壁部540の内壁面との間に、第2の衝撃吸収板640が配置される。また、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第2の長側面250と、第2の長側壁部550の内壁面との間に、第3の衝撃吸収板650が配置される。さらに、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第1の広面210と、底壁部510との間に、第5の衝撃吸収板610が配置される。そして、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第2の広面260と、上壁部560との間に、第6の衝撃吸収板760が配置される。
【0078】
3つの衝撃吸収板630、640、650と補助板620の形状および機能は、第1実施例の収容ケース100の3つの衝撃吸収板330、340、350と補助板320の形状および機能とそれぞれ同一であるので、説明を省略する。
【0079】
図11は、第3実施例における第6の衝撃吸収板760の形状について説明する図である。図11(a)は、第6の衝撃吸収板760をY軸の正方向側から見た図である。Y軸方向は、収容状態における上壁部560の内壁面、および、ハードディスクドライブ200の第2の広面260と平行な方向である。図11(b)は、図11(a)におけるB−B断面を示す図である。なお、図11(a)におけるA−A断面とB−B断面は、同一形状である。
【0080】
第6の衝撃吸収板760には、スリットSL1〜SL3が設けられている。これらのスリットSL1〜SL3によって仕切られた領域に、衝撃吸収構造が形成されている。具体的には、スリットSL1とスリットSL3とに挟まれた領域には、断面形状が第1実施例における円弧状板部332と同様の形状を有する円弧状板部762が形成されている(図11(b))。同様にして、スリットSL2とスリットSL3とに挟まれた領域には、円弧状板部762と同様の形状を有する円弧状板部764が形成されている(図11(b))。2つの円弧状板部762、764の間には、平板部713が形成されている(図11(b))。なお、スリットSL1〜SL3に仕切られた領域と同様の衝撃吸収構造が、スリットSL4〜SL6に仕切られた領域にも形成されている。この結果、第6の衝撃吸収板760は、衝撃吸収時に、上述した第1実施例の第1の衝撃吸収板330(図2)と同様のメカニズムにより、衝撃を吸収することができる。
【0081】
第5の衝撃吸収板610の形状および機能は、上述した第6の衝撃吸収板760と同一であるので説明を省略する。
【0082】
以上説明した第3実施例の収容ケース100aでは、第1実施例の収容ケース100と同様の構造を有する3つ衝撃吸収板630〜650を備えるので、第1実施例の収容ケース100と同様に、収容ケース100aの大型化を抑制しつつ、収容ケース100aの耐衝撃性を向上することができる。
【0083】
さらに、収容ケース100aでは、ハードディスクドライブ200の第1の広面210に沿って配置された第5の衝撃吸収板610と、第2の広面260に沿って配置された第6の衝撃吸収板760とを備えるので、第1実施例の収容ケース100と比較してより多様な方向からの衝撃に対する耐性を向上することができる。
【0084】
さらに、収容ケース100aでは、衝撃吸収のために変形する第1衝撃吸収部材600および第2衝撃吸収部材700と、衝撃吸収のために変形する必要がない筒状壁部材500とが、別体の部材で構成されている。壁部材と衝撃吸収部材とを異なる材料で形成できる。この結果、材料選択の幅が広がる。
【0085】
D.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0086】
(1)上記各実施例における円弧状板部(例えば、第1の衝撃吸収板330の円弧状板部332(図2)、第2の衝撃吸収板340の円弧状板部342、344(図4))は、特定方向から見た形状(例えば、円弧状板部332、342、344の場合にはY軸に沿った方向から見た形状)が円弧形状となっているが、この形状は、円弧形状に限られない。具体的には、この形状は、楕円の円弧形状であっても良いし、サインカーブの形状であっても良く、一般的には、頂部と裾部を含む凸形状であれば良い。
【0087】
(2)上記各実施例における平板部(例えば、第1の衝撃吸収板330の平板部331、333(図2)、第2の衝撃吸収板340の平板部341、343、345(図4))は、特定方向から見た形状(例えば、平板部331、333、341、343、345の場合にはY軸に沿った方向から見た形状)が直線状である平板となっているが、この形状は直線状に限られない。具体的には、この形状は、衝撃吸収のために変形していない状態で緩やかな傾斜を持つ凸形状(例えば、円弧形状)であっても良い。この場合は、衝撃吸収時には、この形状が、急な傾斜を持つ凸形状に湾曲することになる。
【0088】
(3)上記各実施例では、2.5インチのハードディスクドライブ200を収容するための収容ケースを例に説明したが、これに限られない。例えば、3.5インチなどの他のサイズのハードディスクドライブを収容するための収容ケースを採用しても良い。あるいは、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ、ブルーレイディスクドライブなどの他のディスク記憶装置を収容するための収容ケースを採用しても良い。
【0089】
(4)上記実施例では、円弧状板部の裾部と、当該裾部と接続されている平板部とは、正接に接続されているが、正接に接続されていなくてもよい。
【0090】
(5)上記各実施例において、衝撃吸収板が配置されていない部分には、ゲル状のポリスチレンなどの従来の衝撃吸収材を配置しても良い。例えば、第1実施例の収容ケース100において、収容ケース100の底壁部460と、ハードディスクドライブ200の第1の広面210との間には、衝撃吸収材を配置することとしても良い。ハードディスクドライブ200の少なくとも1つの外壁面と、当該外壁面と対向する内壁面を有する壁部との間に、第1の衝撃吸収板330のような円弧状板部332と平板部331とを含む衝撃吸収板が配置されれば良い。また、他の外壁面と、その外壁面と対向する内壁面を有する壁部との間には、従来の衝撃吸収材が配置されても良いし、特に衝撃吸収のための部材を配置しなくても良い。
【0091】
(6)上記各実施例において、衝撃吸収板の円弧状板部は、収容状態で、頂部が収容ケースの内壁面側に位置し、裾部が記憶装置の外壁面側に位置するように、配置されている。これに代えて、衝撃吸収板の円弧状板部は、収容状態で、裾部が収容ケースの内壁面側に位置し、頂部が記憶装置の外壁面側に位置するように、配置されていても良い。具体例を説明すると、図3に示す第1の衝撃吸収板330の円弧状板部332は、頂部TPが第1の短側壁部430の内壁面側に位置し、裾部FTa、FTbがハードディスクドライブ200の第1の短側面230側に位置するように構成されていても良い。この場合は、平板部331、333は、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230に沿って配置されることになる。
【符号の説明】
【0092】
100、100a...収容ケース
200...ハードディスクドライブ
300...蓋部材
330〜350、330a、340a...衝撃吸収板
400...箱部材
500...筒状壁部材
600...第1衝撃吸収部材
700...第2衝撃吸収部材
800...後面カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容ケースに関し、特にディスク記憶装置のケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置は、衝撃による影響で、誤動作や故障などの不具合を生じやすい。ハードディスク記憶装置を収容するための構造として、耐衝撃性を向上する工夫がなされた様々な構造が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−277935号公報
【0004】
この構造では、金属板で形成された収容ケースの壁に板バネを形成し、板バネに衝撃吸収材(具体的にはゲル状のポリスチレン)を貼り付けている。この構造によれば、板バネの変形と衝撃吸収材の変形との両方で、衝撃を吸収することにより、耐衝撃性の向上を図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構造では、板バネと衝撃吸収材が、収容ケースの壁に対して垂直な方向に変形することにより衝撃を吸収しているので、変形量を確保するために構造全体として大型になりがちであった。このような課題は、ハードディスク記憶装置の収容ケースにおいて耐衝撃性を向上する技術に限らず、回転するディスクを有するディスク記憶装置の収容ケースにおいて、衝撃、振動などによる外力に対する耐性を向上する技術について共通する課題であった。
【0006】
本発明の主な利点は、ディスク記憶装置の収容ケースにおいて、大型化を抑制しつつ、外力に対する耐性を向上できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
ディスク記憶装置を収容する収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置が前記収容ケースに収容された収容状態で、ディスク記憶装置の外壁面である記憶装置外壁面と対向するケース内壁面を有するケース壁と、
前記記憶装置外壁面と前記ケース内壁面との間に配置され、前記収容状態で前記ケース内壁面に沿って延びる変形板であって、
前記ケース内壁面と平行な特定方向から見た特定方向形状が凸形状を有し、前記凸形状は前記記憶装置外壁面と前記ケース内壁面のうちの一方の面側に位置する第1の頂部と他方の面側に位置する第1の裾部と含む板部であって、前記第1の頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると変形する、第1の凸形状板部と、
前記第1の裾部に接続され、前記第1の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びる板部であって、前記第1の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する第1の湾曲板部と、
を有する変形板と、
を備える、収容ケース。
【0009】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部第1の頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると第1の凸形状板部が変形する。さらに、第1の凸形状板部の変形に応じて第1の湾曲板部が一方の面側に凸に湾曲する。この結果、収容ケースに加えられた外力のエネルギーは、第1の凸形状板部と第1の湾曲板部との両方を変形させるエネルギーに変換される。すなわち、記憶装置外壁面とケース内壁面との間に配置された2つの部分である第1の凸形状板部と第1の湾曲板部の両方の変形を利用して効率良く外力のエネルギーを吸収することができる。この結果、記憶装置外壁面とケース内壁面との間隔が過度に広くなることを抑制して収容ケースの大型化を抑制しつつ、収容ケースの外力に対する耐性を向上することができる。
【0010】
[適用例2]
適用例1に記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部の前記特定方向形状は、円弧形状である、収容ケース。
【0011】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部の特定方向形状が円弧形状であるので、第1の凸形状板部が変形時に局部的に座屈することを抑制することができる。この結果、第1の凸形状板部が変形したときに、第1の湾曲板部を湾曲させる力を、第1の裾部から第1の湾曲板部に対して効率良く伝えることができる。
【0012】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の収容ケースであって、
前記第1の裾部と、前記第1の湾曲板部とは、正接で接続されている、収容ケース。
【0013】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部の第1の裾部と、第1の湾曲板部とが、正接で接続されているので、第1の裾部と第1の湾曲板部との接続部分が局部的に座屈することを抑制することができる。この結果、より確実に第1の湾曲板部と第1の凸形状板部の全体を変形させて外力のエネルギーを吸収することができる。
【0014】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3に記載の収容ケースであって、
前記変形板は、さらに、
前記特定方向形状が、前記一方の面側に位置する第2の頂部と前記他方の面側に位置する第2の裾部と含む凸形状を有し、前記第2の裾部は前記第1の湾曲板部の前記第1の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びた端部に接続されている板部であって、前記第2の頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると変形する、第2の凸形状板部を有し、
前記第1の湾曲板部は、前記第1の凸形状板部の変形と前記第2の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する、収容ケース。
【0015】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部と第2の凸形状板部が変形するので、外力を分散することができる。また、第1の凸形状板部と第2の凸形状板部の変形によって、第1の湾曲板部の両端から第1の湾曲板部を湾曲させる力が伝わるので、第1の湾曲板部を大きく変形させることができる。この結果、第1の凸形状板部と第2の凸形状板部の変形と第1の湾曲板部の湾曲によって、より大きな外力のエネルギーを吸収することができる。
【0016】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部は、前記第1の頂部から見て前記第1の裾部と反対側に位置する第3の裾部を含み、
前記変形板は、さらに、前記第3の裾部に接続され、前記第3の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びる板部であって、前記第1の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する第2の湾曲板部を有する、収容ケース。
【0017】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部の変形に応じて第2の湾曲板部が一方の面側に凸に湾曲する。この結果、第1の凸形状板部の変形と第1の湾曲板部の湾曲に加えて、第2の湾曲板部の湾曲によっても外力のエネルギーを吸収することができる。したがって、より大きな外力のエネルギーを吸収することができる。
【0018】
[適用例6]
適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部は、前記第1の頂部から見て前記第1の裾部と反対側に位置し、前記第1の頂部から離れる方向の端部が自由端である第4の裾部を含む、収容ケース。
【0019】
上記構成の収容ケースによれば、第1の凸形状板部における、前記第1の裾部とは反対側に位置する第4の裾部が自由端であるので、第4の裾部が自由端でない場合と比較して、小さな力で第1の凸形状板部が比較的大きく変形する。この結果、第4の裾部が自由端でない場合と比較して、より小さな外力のエネルギーを効果的に吸収することができる。
【0020】
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置は、略直方体の筐体を有し、
前記収容ケースは、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうち第1の面に対向する1つの壁部を有する蓋部材と、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうちの前記第1の面を除く5面にそれぞれ対向する5つの壁部と、前記第1の面に対応する位置に配置された開口とを有する箱部材と、
を含み、
前記ケース壁は、前記箱部材の前記5つの壁部のうち、前記略直方体の筐体の前記第1の面と交差する第2の面に対向する壁部であり、
前記一方の面は、前記略直方体の筐体の前記第2の面であり、
前記変形板は、前記蓋部材と一体に形成されている、収容ケース。
【0021】
上記構成の収容ケースによれば、変形板は、蓋部材と一体に形成されているので、部品点数を抑制できるとともに、組み付けが容易となる。
【0022】
[適用例8]
適用例1ないし適用例6のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置は、略直方体の筐体を有し、
前記収容ケースは、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうちの第1の面と垂直な4つの面にそれぞれ対向する4つの前記ケース壁を少なくとも有する壁部材と、
前記壁部材とは別部材であって、前記収容状態で、前記4つの面のそれぞれと4つの前記ケース壁のそれぞれとの間に配置される4つの変形板を少なくとも有する部材と、
を含む、収容ケース。
【0023】
上記構成の収容ケースによれば、壁部材と変形板を有する部材とを別部材で形成されているので、壁部材と変形板を有する部材とを異なる材料で形成できる。この結果、材料選択の幅が広がる。
【0024】
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記変形板は、熱可塑性樹脂で形成されている、収容ケース。
【0025】
上記構成の収容ケースによれば、変形板は、一般的な衝撃吸収材(例えば、ゲル状のポリスチレン)より変形しにくい熱可塑性樹脂で形成されているので、組み立て時に意図しない変形が生じにくく、組み立て不良を低減することができる。
【0026】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、変形板、ディスク記憶装置を備える電子機器等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施例としての収容ケースの概略構成を示す図。
【図2】第1実施例における第1の衝撃吸収板330の形状について説明する図。
【図3】第1実施例における第1の衝撃吸収板330の機能について説明する図。
【図4】第1実施例における第2の衝撃吸収板340の形状について説明する図。
【図5】第1実施例における第2の衝撃吸収板340の機能について説明する図。
【図6】第2実施例における第1の衝撃吸収板330aの形状について説明する図。
【図7】第2実施例における第2の衝撃吸収板340aの形状について説明する図。
【図8】第1実施例の収容ケースの衝撃吸収能力と第2実施例の収容ケースの衝撃吸収能力との比較を示すグラフ。
【図9】第1実施例の収容ケースの衝撃吸収能力と第2実施例の収容ケースの衝撃吸収能力との比較を示すグラフ。
【図10】第3実施例としての収容ケースの概略構成を示す図。
【図11】第3実施例における第6の衝撃吸収板760の形状について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0029】
A.第1実施例:
図1は、第1実施例としての収容ケースの概略構成を示す図である。収容ケース100は、箱部材400と、蓋部材300とを備えている。箱部材400と蓋部材300は、熱可塑性樹脂であるABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)で、射出成形により形成されている。箱部材400と蓋部材300は、他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレンで形成されても良い。また、箱部材400と蓋部材300は、硬質なゴムで形成されても良い。
【0030】
収容ケース100は、2.5インチのハードディスクドライブ200を収容するケースである。ハードディスクドライブ200は、直方体の筐体を有している。ここで言う直方体は、幾何学的に厳密な直方体である形状に限らず、一般に流通している2.5インチまたは3.5インチのハードディスクドライブの筐体の形状のように、外面の凹凸や、辺部分や頂点部分の面取りを有しているものの、概ね直方体である形状を含む。この筐体は、6つの外壁面、すなわち、第1の広面210(図1のY軸の正方向側の面)と、第1の短側面230(図1のZ軸の正方向側の面)と、第2の短側面220(図1のZ軸の負方向側の面)と、第1の長側面240(図1のX軸の負方向側の面)と、第2の長側面250(図1のX軸の正方向側の面)と、第2の広面260(図1のY軸の負方向側の面)とを有している。ハードディスクドライブ200の第2の短側面220には、コネクタ225が配置されている。コネクタ225は、例えば、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)規格に従ったコネクタである。
【0031】
蓋部材300は、蓋壁部310と、第1の衝撃吸収板330と、第2の衝撃吸収板340と、第3の衝撃吸収板350と、補助板320と、を備えている。蓋壁部310は、ハードディスクドライブ200が収容ケース100に収容された状態(以下、収容状態と呼ぶ。)で、ハードディスクドライブ200の第1の広面210に対向する内壁面を有する壁部である。
【0032】
3つの衝撃吸収板330、340、350と補助板320は、蓋壁部310に垂直に配置され、収容状態で、ハードディスクドライブ200を囲む環状構造を形成している。具体的には、衝撃吸収板330は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230に沿って配置される。第2の衝撃吸収板340は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240に沿って配置される。第3の衝撃吸収板350は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第2の長側面250に沿って配置される。
【0033】
補助板320には、収容ケース100に収容されたハードディスクドライブ200のコネクタ225に収容ケース100の外側から配線を接続するためのコネクタ開口部325が形成されている。3つの衝撃吸収板330、340、350の詳細の形状については、後述する。
【0034】
箱部材400は、底壁部460と、第1の短側壁部430と、第2の短側壁部420と、第1の長側壁部440と、第2の長側壁部450とを備えている。箱部材400において、図1のY軸の正方向側は、開口となっている。底壁部460は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第2の広面260に対向する内壁面を有する壁部である。第1の短側壁部430は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230に対向する内壁面を有する壁部である。第2の短側壁部420は、ハードディスクドライブ200の第2の短側面220に対向する内壁面を有する壁部である。第1の長側壁部440は、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240に対向する内壁面を有する壁部である。第2の長側壁部450は、ハードディスクドライブ200の第2の長側面250に対向する内壁面を有する壁部である。第2の短側壁部420には、収容ケース100に収容されたハードディスクドライブ200のコネクタ225に収容ケース100の外側から配線を接続するためのコネクタ開口部425が形成されている。
【0035】
収容ケース100にハードディスクドライブ200を収容する際には、蓋部材300の3つの衝撃吸収板330、340、350と補助板320とによって形成された環状構造部分に、ハードディスクドライブ200の筐体が嵌め込まれる。この環状構造部分の寸法は、ハードディスクドライブ200の筐体の対応する部分の寸法より若干小さく設計されているので、当該環状構造部分をわずかに撓ませて広げたうえで、ハードディスクドライブ200の筐体が、この環状構造部分に嵌め込まれる。蓋部材300の環状構造部分が、箱部材400の上述した開口に嵌合されて、収容状態とされる。
【0036】
収容状態では、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と、第1の短側壁部430の内壁面との間に、第1の衝撃吸収板330が配置される。また、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240と、第1の長側壁部440の内壁面との間に、第2の衝撃吸収板340が配置される。また、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第2の長側面250と、第2の長側壁部450の内壁面との間に、第3の衝撃吸収板350が配置される。
【0037】
図2は、第1実施例における第1の衝撃吸収板330の形状について説明する図である。図2(a)は、第1の衝撃吸収板330をY軸の負方向側から見た図である。Y軸方向は、収容状態における第1の短側壁部430の内壁面、および、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と平行な方向である。図2(b)は、第1の衝撃吸収板330をZ軸の正方向側から見た図である。Z軸方向は、収容状態における第1の短側壁部430の内壁面、および、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と垂直な方向である。図3は、第1実施例における第1の衝撃吸収板330の機能について説明する図である。図3は、図2(a)と同様に、第1の衝撃吸収板330をY軸の負方向側から見た図である。図3では、理解の容易のため、X軸方向の寸法に対するZ軸方向の寸法を実際より大きく示している。図3(a)は、ハードディスクドライブ200が収容された収容ケース100が静置されており、第1の衝撃吸収板330がほとんど変形していない状態(通常時)を示している。図3(b)は、ハードディスクドライブ200が収容された収容ケース100が落下等により衝撃を受け、その衝撃によって第1の衝撃吸収板330が弾性的に変形している状態(衝撃吸収時)を示している。
【0038】
第1の衝撃吸収板330は、図2(b)に示すように、Z軸方向に沿って見た形状が略長方形の板であり、長手方向の両端部分に形成された脚部336、337において、蓋壁部310に接続されている。第1の衝撃吸収板330の他の部分(略長方形の板の中央部分)と蓋壁部310との間には、スリットSLが形成されている。このように、第1の衝撃吸収板330が脚部336、337においてのみ、蓋壁部310に接続されているので、第1の衝撃吸収板330の衝撃吸収時における変形(詳細は後述)が、蓋壁部310との接続によって妨げられることを抑制することができる。
【0039】
第1の衝撃吸収板330は、円弧状板部332と、平板部331、333とを有している。円弧状板部332は、図2(a)、図3に示すように、Y軸方向に沿って見た形状がZ軸の負方向側に凸である円弧形状を有している。円弧状板部332の円弧形状は、頂部TPと、裾部FTa、FTbとを有している。収容状態で、頂部TPは、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230側に位置する(図3)。収容状態で、裾部FTa、FTbは、ハードディスクドライブ200の第1の短側壁部430の内壁面(図3における面IT)側に位置する(図3)。
【0040】
平板部331は、図2(a)、図3に示すように、円弧状板部332の裾部FTaに接続され、円弧状板部332の頂部TPから離れる方向(図2におけるX軸の負方向)に延びる平坦な板部である。平板部333は、図2(a)、図3に示すように、円弧状板部332の裾部FTbに接続され、円弧状板部332の頂部TPから離れる方向(図2におけるX軸の正方向)に延びる平坦な板部である。
【0041】
平板部331と、円弧状板部332の裾部FTaとは、正接に接続されている。ここで、正接に接続されているとは、接続部分において、傾きが非連続に変化することなく、連続的に変化するように、滑らかな曲面で接続されていることを言う。本実施例では、円弧状板部332の裾部FTaのY軸方向に沿って見た形状は、平板部331側に向かうに連れて傾きが滑らかに減少して最終的に傾きが0(X軸と平行)になった点において、平板部331と接続している。
【0042】
同様にして、平板部333と、円弧状板部332の裾部FTbとは、正接に接続されている。
【0043】
円弧状板部332は、頂部TPの頂上から板厚方向(Z軸の正方向:図2)に力が加えられると図3に示すように弾性的に変形する。より具体的に衝撃吸収時における変形について説明すると、衝撃吸収時には、円弧状板部332の頂部TPがハードディスクドライブ200の第1の短側面230によって押圧されるとともに、円弧状板部332の裾部FTa、FTbが第1の短側壁部430の内壁面によって押圧される。この結果、円弧状板部332は、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230、および、第1の短側壁部430の内壁面と垂直な方向(Z軸方向)に弾性的に圧縮変形される(図3(b))。
【0044】
円弧状板部332がZ軸方向に圧縮変形されると、円弧状板部332は、X軸方向に伸長する(図3(b))。そして、平板部331のX軸の正方向側の端部は、箱部材400の第2の長側壁部450に当接して、X軸の正方向側へ移動することができない。この結果、平板部331をX軸方向に圧縮する力が働く。
【0045】
また、円弧状板部332がZ軸方向に圧縮変形されると、円弧状板部332の裾部FTaの角度θが0度に近づくように変形する(図3(b))。この結果、裾部FTaと平板部331との接続部分の近傍では、当該接続部分を中心に図3における時計回り(右回転方向)に回転する力が働き、平板部331の当該接続部分近傍をZ軸の負方向側に移動させようとする。そして、平板部331のX軸の正方向側の端部は、第2の衝撃吸収板340に接続されているため、Z軸の負方向側に移動することができない。すなわち、平板部331のX軸の正方向側の端部は、固定端となっている。
【0046】
以上のような力の作用により、衝撃吸収時には、円弧状板部332の変形に応じて、平板部331は、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230側に凸に弾性的に湾曲する(図3(b))。同様な作用により、衝撃吸収時には、円弧状板部332の変形に応じて平板部333もハードディスクドライブ200の第1の短側面230側に凸に弾性的に湾曲する(図3(b))。
【0047】
図4は、第1実施例における第2の衝撃吸収板340の形状について説明する図である。図4(a)は、第2の衝撃吸収板340をY軸の負方向側から見た図である。Y軸方向は、収容状態における第1の長側壁部440の内壁面、および、ハードディスクドライブ200の筐体の第1の長側面240と平行な方向である。図4(b)は、第2の衝撃吸収板340をX軸の負方向側から見た図である。X軸方向は、収容状態における第1の長側壁部440の内壁面、および、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240と垂直な方向である。図5は、第1実施例における第2の衝撃吸収板340の機能について説明する図である。図5は、図4(a)と同様に、第2の衝撃吸収板340をY軸の負方向側から見た図である。図5では、理解の容易のため、Z軸向の寸法に対するX軸方向の寸法を実際より大きく示している。図5(a)は、ハードディスクドライブ200が収容された収容ケース100が静置されており、第2の衝撃吸収板340がほとんど変形していない状態(通常時)を示し、図5(b)は、ハードディスクドライブ200が収容された収容ケース100が落下等により衝撃を受け、その衝撃によって第2の衝撃吸収板340が弾性的に変形している状態(衝撃吸収時)を示している。
【0048】
第2の衝撃吸収板340は、図4(b)に示すように、X軸方向に沿って見た形状が略長方形の板であり、長手方向の両端部分と中央部分に形成された脚部346、347、348において、蓋壁部310に接続されている。第2の衝撃吸収板340の他の部分と蓋壁部310との間には、スリットSLが形成されている。このように、第2の衝撃吸収板340が脚部346、347、348においてのみ、蓋壁部310に接続されているので、第2の衝撃吸収板340の衝撃吸収時における変形(詳細は後述)が、蓋壁部310との接続によって妨げられることを抑制することができる。
【0049】
第2の衝撃吸収板340は、2つの円弧状板部342、344と、3つの平板部341、343、345とを有している。円弧状板部342、344は、上述した第1の衝撃吸収板330の円弧状板部332と同様に、Y軸方向に沿って見た形状がX軸の正方向側に凸である円弧形状を有している。円弧状板部342、344の円弧形状は、頂部TPと、裾部FTa、FTbとを有している。収容状態で、頂部TPは、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240側に位置する。収容状態で、裾部FTa、FTbは、第1の長側壁部440の内壁面(図5における面IT)側に位置する。
【0050】
平板部341は、図4(a)、図5に示すように、円弧状板部342の裾部FTaに接続され、円弧状板部342の頂部TPから離れる方向(図4におけるZ軸の正方向)に延びる平坦な板部である。平板部341のZ軸の正方向側の端部は、箱部材400の第1の短側壁部430との当接、および、第1の衝撃吸収板330との接続によって、Z軸に沿った方向への移動およびX軸に沿った方向への移動が禁止された固定端となっている。平板部343は、一端が円弧状板部342の裾部FTbに接続され、他端が円弧状板部344の裾部FTaに接続された平坦な板部である。平板部345は、円弧状板部344の裾部FTbに接続され、円弧状板部344の頂部TPから離れる方向(図4におけるZ軸の負方向)に延びる平坦な板部である。平板部345のZ軸の負方向側の端部は、箱部材400の第2の短側壁部420との当接、および、補助板320との接続によって、Z軸に沿った方向への移動およびX軸に沿った方向への移動が禁止された固定端となっている。
【0051】
平板部341と円弧状板部342の裾部FTaとは、正接に接続されている。同様にして、平板部343と円弧状板部342の裾部FTb、平板部343と円弧状板部344の裾部FTaは、それぞれ正接に接続されている。また、平板部345と円弧状板部344の裾部FTbとは、正接に接続されている。
【0052】
衝撃吸収時には、円弧状板部342、344の頂部TPがハードディスクドライブ200の第1の長側面240によって押圧されるとともに、円弧状板部342、344の裾部FTa、FTbが第1の長側壁部440の内壁面によって押圧される。この結果、円弧状板部342、344は、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240、および、第1の長側壁部440の内壁面と垂直な方向(X軸方向)に弾性的に圧縮変形される(図5(b))。
【0053】
そして、第1の衝撃吸収板330について説明したメカニズムと同様のメカニズムにより、衝撃吸収時には、第2の衝撃吸収板340において、円弧状板部342、344の変形に応じて、平板部341、343、345が、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240側に凸にそれぞれ弾性的に湾曲する(図5(b))。
【0054】
なお、第3の衝撃吸収板350の形状および機能は、上述した第2の衝撃吸収板340の形状および機能と同一であるので、その説明を省略する。
【0055】
以上説明した収容ケース100によれば、衝撃吸収時に、第1の衝撃吸収板330、第2の衝撃吸収板340、第3の衝撃吸収板350が設けられていることによって、収容ケース100の大型化を抑制しつつ、耐衝撃性を向上することができる。第1の衝撃吸収板330を例にとって、具体的に説明すると、第1の衝撃吸収板330の円弧状板部332が、衝撃吸収時に、上述したように、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と、収容ケース100の第1の短側壁部430の内壁面とによる押圧によって弾性変形する。そして、円弧状板部332の変形に応じて平板部331、333が弾性的に湾曲する。この結果、収容ケース100に加えられた衝撃のエネルギーは、第1の衝撃吸収板330の円弧状板部332と、平板部331、333との両方を変形させるエネルギーに変換される。すなわち、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と第1の短側壁部430の内壁面との間に配置された第1の衝撃吸収板330のほぼ全体の弾性変形を利用して効率良く衝撃を吸収することができる。この結果、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と、第1の短側壁部430の内壁面との間隔が過度に広くなることを抑制して収容ケース100の大型化を抑制しつつ、収容ケース100の耐衝撃性を向上することができる。
【0056】
また、上記収容ケース100では、衝撃吸収板330、340、350の円弧状板部332、342、344のY軸方向に沿って見た形状が円弧形状であるので、これらの円弧状板部332、342、344が衝撃吸収時に局部的に座屈することを抑制することができる。局部的な座屈は、均一な変形と比較して塑性変形となりやすく、収容ケース100の衝撃吸収能力が損なわれるおそれがある。本実施例では、これらの円弧状板部332、342、344において、アーチ橋と同様の原理により、ほぼ均一に応力が分散される。この結果、円弧状板部332、342、344が変形したときに、平板部331、333、341、343、345を湾曲させる力を、裾部FTa、FTbから平板部331、333、341、343、345に対して効率良く伝えることができる。
【0057】
また、上記収容ケース100では、衝撃吸収板330、340、350において、円弧状板部の裾部と平板部とが正接で接続されている(具体的には、円弧状板部332の裾部FTaと平板部331(図2(a))。この結果、衝撃吸収時に、円弧状板部の裾部と平板部との接続部分に応力が集中して、当該接続部分が局部的に座屈することを抑制することができる。この結果、より確実に衝撃吸収板330、340、350の全体を変形させて衝撃を吸収することができる。
【0058】
さらに、上記収容ケース100の第2の衝撃吸収板340および第3の衝撃吸収板350には、円弧状板部が2つ配置されている(具体例として、第2の衝撃吸収板340の円弧状板部342、344(図4))。そして、2つの円弧状板部の間に平板部が配置されている(具体例として、円弧状板部342、344の間に配置された平板部343(図4))。この結果、衝撃吸収時に、複数の円弧状板部が変形するので、衝撃を分散することができる。また、複数の円弧状板部の変形によって、1つの平板部の両端から当該平板部を湾曲させる力が伝わるので、平板部を大きく変形させることができる。したがって、第2の衝撃吸収板340、第3の衝撃吸収板350は、より大きな衝撃を吸収することができる。
【0059】
また、上記収容ケース100では、衝撃吸収板330、340、350の円弧状板部の一方の裾部FTaに平板部が接続されている(具体例として、円弧状板部332の裾部FTaに接続されている平板部331)。さらに、他方の裾部FTbにも平板部が接続されている(具体例として、円弧状板部332の裾部FTbに接続されている平板部333)。したがって、1つの円弧状板の変形に応じて2つの平板部が湾曲する。この結果、より大きな衝撃を吸収することができる。
【0060】
さらに上記収容ケース100では、衝撃吸収板330、340、350は、蓋部材300と一体に形成されている。この結果、部品点数を抑制できるとともに、組み付けが容易となる。
【0061】
さらに、上述したように蓋部材300の3つの衝撃吸収板330、340、350と補助板320とによって形成された環状構造部分の寸法は、ハードディスクドライブ200の筐体の対応する部分の寸法より若干小さく設計されている。そして、当該環状構造部分を撓ませて広げたうえで、ハードディスクドライブ200の筐体が、この環状構造部分に嵌め込まれる。従って、ハードディスクドライブ200の筐体の寸法の製造誤差があった場合であっても、がたつきが生じないように収容ケース100にハードディスクドライブ200を収容することができる。
【0062】
また、熱可塑製樹脂で形成された蓋部材300の環状構造部分に、ハードディスクドライブ200の筐体が嵌め込まれたうえで、蓋部材300を箱部材400に嵌合させることにより、収容ケース100が組み立てられる。このため、例えば、ハードディスクドライブ200の外壁面に熱可塑製樹脂より弾性変形しやすい(弾性係数が小さい)衝撃吸収材(例えば、ゲル状のポリスチレン)を貼り付けてから、ケースにハードディスクドライブ200を収容する場合と比較して、組み立て時に意図しない変形が生じにくく、収容ケース100の組み立て不良を低減することができる。
【0063】
以上の説明から解るように、第1実施例における円弧状板部332は、特許請求の範囲における第1の凸形状板部に対応する。また、第1実施例における平板部331は、特許請求の範囲における第1の湾曲板部に対応し、第1実施例における平板部333は、特許請求の範囲における第2の湾曲板部に対応する。さらには、第1実施例における円弧状板部342は、特許請求の範囲における第1の凸形状板部に対応し、円弧状板部344は、特許請求の範囲における第2の凸形状板部に対応する。また、第1実施例における平板部343は、特許請求の範囲における第1の湾曲板部に対応する。
【0064】
B.第2実施例:
図6は、第2実施例における第1の衝撃吸収板330aの形状について説明する図である。図7は、第2実施例における第2の衝撃吸収板340aの形状について説明する図である。第2実施例において、第1実施例と異なる点は、衝撃吸収板の形状である。第2実施例のその他の構成は、第1実施例と同一であるので、その説明を省略する。
【0065】
第2実施例の第1の衝撃吸収板330aが第1実施例の第1の衝撃吸収板330(図2)と異なる点は、円弧状板部332の裾部FTaが平板部331に接続されていない点である(図6)。すなわち、第2実施例の第1の衝撃吸収板330aにおいて、円弧状板部332の裾部FTaと平板部331との間には、間隔CLが設けられている。言い換えれば、第2実施例の第1の衝撃吸収板330aにおいて、円弧状板部332の裾部FTaは、頂部TPから離れる方向の端部が自由端になっている。第2実施例の第1の衝撃吸収板330aのその他の構成は、第1実施例の第1の衝撃吸収板330と同一である。
【0066】
第2実施例の第2の衝撃吸収板340aが第1実施例の第2の衝撃吸収板340(図4)と異なる点は、円弧状板部342の裾部FTaが平板部341と接続されていない点と、円弧状板部344の裾部FTbが平板部345と接続されていない点である(図7)。すなわち、第2実施例の第1の衝撃吸収板330aにおいて、円弧状板部342の裾部FTaと平板部341との間には間隔CLが設けられており、同様に円弧状板部344の裾部FTbと平板部345との間にも間隔CLが設けられている。言い換えれば、第2実施例の第2の衝撃吸収板340aにおいて、円弧状板部342の裾部FTaおよび円弧状板部344の裾部FTbは、頂部TPから離れる方向の端部が自由端になっている。第2実施例の第2の衝撃吸収板340aのその他の構成は、第1実施例の第2の衝撃吸収板340と同一である。
【0067】
第2実施例の第3の衝撃吸収板の構成は、図7に示す第2の衝撃吸収板340aの構成と同一であるので、その説明を省略する。
【0068】
以上説明した第2実施例の収容ケースでは、衝撃吸収板の円弧状板部の一方の裾部は、第1実施例と同様に平板部に接続されているものの、当該一方の裾部と反対側に位置する他方の裾部は、第1実施例と異なり自由端になっている。この結果、両方の裾部が自由端でない場合(第1実施例)と比較して、小さな力で円弧状板部が大きく変形する。この結果、第4の裾部が自由端でない場合と比較して、より小さな衝撃を効果的に吸収することができる。
【0069】
図8および図9は、第1実施例の収容ケースの衝撃吸収能力と、第2実施例の収容ケースの衝撃吸収能力との比較を示すグラフである。図8は、1cm(センチメートル)の高さから剛体の床の上にハードディスクドライブ200が収容された収容ケースを落下させた場合に、床と収容ケースとの衝突によって収容ケース内のハードディスクドライブ200に付与される加速度の時間的な変化を示している。図9は、10cmの高さから剛体の床の上にハードディスクドライブ200が収容された収容ケースを落下させた場合に、床と収容ケースとの衝突によって収容ケース内のハードディスクドライブ200に付与される加速度の時間的な変化を示している。加速度のピーク値が小さいほど、ハードディスクドライブ200に伝わる衝撃は小さく、加速度の作用時間が短いほど、ハードディスクドライブ200に伝わる衝撃は小さいと言える。図8および図9において、破線A1は、第1実施例の収容ケースを用いた場合について示し、実線B1は、第2実施例の収容ケースを用いた場合について示している。
【0070】
図8に示すように、落下高さが1cmである場合には、第2実施例の収容ケース内部のハードディスクドライブ200に伝わる衝撃は、第1実施例の収容ケース内部のハードディスクドライブ200に伝わる衝撃より小さいことが解る。また、図9に示すように、落下高さが10cmである場合には、落下高さが1cmである場合とは反対に、第2実施例の収容ケース内部のハードディスクドライブ200に伝わる衝撃は、第1実施例の収容ケース内部のハードディスクドライブ200に伝わる衝撃より大きいことが解る。
【0071】
図8および図9に示すグラフから、第2実施例の収容ケースは、第1実施例の収容ケースと比較して、より小さい衝撃を効果的に吸収できることが解る。反対に、第1実施例の収容ケースは、第2実施例の収容ケースと比較して、より大きい衝撃を効果的に吸収できることが解る。
【0072】
C.第3実施例:
図10は、第3実施例としての収容ケースの概略構成を示す図である。収容ケース100aは、筒状壁部材500と、第1衝撃吸収部材600と、第2衝撃吸収部材700と、後面カバー800とを備えている。第1衝撃吸収部材600と第2衝撃吸収部材700は、第1実施例の収容ケース100と同様に、熱可塑性樹脂であるABS樹脂で射出成形により形成されている。筒状壁部材500と後面カバー800は、金属、例えば、アルミ、ジュラルミンで形成されている。筒状壁部材500と後面カバー800は、金属に限らず、ABS樹脂などの樹脂で形成されていても良い。
【0073】
筒状壁部材500は、底壁部510と、第1の長側壁部540と、第2の長側壁部550と、上壁部560とを備えている。底壁部510は、ハードディスクドライブ200が収容ケース100aに収容された状態(収容状態)で、ハードディスクドライブ200のの第1の広面210(図10のY軸の負方向側の面)に対向する内壁面を有する壁部である。第1の長側壁部540は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240(図10のX軸の負方向側の面)に対向する内壁面を有する壁部である。第2の長側壁部550は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第2の長側面250(図10のX軸の正方向側の面)に対向する内壁面を有する壁部である。上壁部560は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第2の広面260(図10のY軸の正方向側の面)に対向する内壁面を有する壁部である。
【0074】
第1衝撃吸収部材600は、第1の衝撃吸収板630と、第2の衝撃吸収板640と、第3の衝撃吸収板650と、第5の衝撃吸収板610と、補助板620と、を備えている。第5の衝撃吸収板610は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の広面210に沿って配置される。
【0075】
第2衝撃吸収部材700は、第6の衝撃吸収板760と、前壁部730とを備えている。前壁部730は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230(図10のZ軸の正方向側の面)に対向する内壁面を有する壁部である。第6の衝撃吸収板760は、収容状態で、ハードディスクドライブ200の第2の広面260に沿って配置される。後面カバー800は、コネクタ開口部825が形成された後壁部820を備えている。
【0076】
収容ケース100aにハードディスクドライブ200を収容する際には、第1衝撃吸収部材600の3つの衝撃吸収板630、640、650と補助板620とによって形成された環状構造部分に、ハードディスクドライブ200の筐体が嵌め込まれる。そして、ハードディスクドライブ200の第2の広面260を覆うように第6の衝撃吸収板760が配置され、第1の衝撃吸収板630のZ軸の正方向側の面を覆うように前壁部730が配置されるように、第2衝撃吸収部材700が、ハードディスクドライブ200が嵌め込まれた第1衝撃吸収部材600に対して配置される。そして、この状態のハードディスクドライブ200と第1衝撃吸収部材600と第2衝撃吸収部材700が、筒状壁部材500のZ軸の正方向側の開口から筒状壁部材500に挿入される。そして、筒状壁部材500のZ軸の負方向側の開口が、後面カバー800で覆われて、収容状態とされる。
【0077】
収容状態では、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230と、前壁部730の内壁面との間に、第1の衝撃吸収板630が配置される。また、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第1の長側面240と、第1の長側壁部540の内壁面との間に、第2の衝撃吸収板640が配置される。また、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第2の長側面250と、第2の長側壁部550の内壁面との間に、第3の衝撃吸収板650が配置される。さらに、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第1の広面210と、底壁部510との間に、第5の衝撃吸収板610が配置される。そして、収容状態では、ハードディスクドライブ200の第2の広面260と、上壁部560との間に、第6の衝撃吸収板760が配置される。
【0078】
3つの衝撃吸収板630、640、650と補助板620の形状および機能は、第1実施例の収容ケース100の3つの衝撃吸収板330、340、350と補助板320の形状および機能とそれぞれ同一であるので、説明を省略する。
【0079】
図11は、第3実施例における第6の衝撃吸収板760の形状について説明する図である。図11(a)は、第6の衝撃吸収板760をY軸の正方向側から見た図である。Y軸方向は、収容状態における上壁部560の内壁面、および、ハードディスクドライブ200の第2の広面260と平行な方向である。図11(b)は、図11(a)におけるB−B断面を示す図である。なお、図11(a)におけるA−A断面とB−B断面は、同一形状である。
【0080】
第6の衝撃吸収板760には、スリットSL1〜SL3が設けられている。これらのスリットSL1〜SL3によって仕切られた領域に、衝撃吸収構造が形成されている。具体的には、スリットSL1とスリットSL3とに挟まれた領域には、断面形状が第1実施例における円弧状板部332と同様の形状を有する円弧状板部762が形成されている(図11(b))。同様にして、スリットSL2とスリットSL3とに挟まれた領域には、円弧状板部762と同様の形状を有する円弧状板部764が形成されている(図11(b))。2つの円弧状板部762、764の間には、平板部713が形成されている(図11(b))。なお、スリットSL1〜SL3に仕切られた領域と同様の衝撃吸収構造が、スリットSL4〜SL6に仕切られた領域にも形成されている。この結果、第6の衝撃吸収板760は、衝撃吸収時に、上述した第1実施例の第1の衝撃吸収板330(図2)と同様のメカニズムにより、衝撃を吸収することができる。
【0081】
第5の衝撃吸収板610の形状および機能は、上述した第6の衝撃吸収板760と同一であるので説明を省略する。
【0082】
以上説明した第3実施例の収容ケース100aでは、第1実施例の収容ケース100と同様の構造を有する3つ衝撃吸収板630〜650を備えるので、第1実施例の収容ケース100と同様に、収容ケース100aの大型化を抑制しつつ、収容ケース100aの耐衝撃性を向上することができる。
【0083】
さらに、収容ケース100aでは、ハードディスクドライブ200の第1の広面210に沿って配置された第5の衝撃吸収板610と、第2の広面260に沿って配置された第6の衝撃吸収板760とを備えるので、第1実施例の収容ケース100と比較してより多様な方向からの衝撃に対する耐性を向上することができる。
【0084】
さらに、収容ケース100aでは、衝撃吸収のために変形する第1衝撃吸収部材600および第2衝撃吸収部材700と、衝撃吸収のために変形する必要がない筒状壁部材500とが、別体の部材で構成されている。壁部材と衝撃吸収部材とを異なる材料で形成できる。この結果、材料選択の幅が広がる。
【0085】
D.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0086】
(1)上記各実施例における円弧状板部(例えば、第1の衝撃吸収板330の円弧状板部332(図2)、第2の衝撃吸収板340の円弧状板部342、344(図4))は、特定方向から見た形状(例えば、円弧状板部332、342、344の場合にはY軸に沿った方向から見た形状)が円弧形状となっているが、この形状は、円弧形状に限られない。具体的には、この形状は、楕円の円弧形状であっても良いし、サインカーブの形状であっても良く、一般的には、頂部と裾部を含む凸形状であれば良い。
【0087】
(2)上記各実施例における平板部(例えば、第1の衝撃吸収板330の平板部331、333(図2)、第2の衝撃吸収板340の平板部341、343、345(図4))は、特定方向から見た形状(例えば、平板部331、333、341、343、345の場合にはY軸に沿った方向から見た形状)が直線状である平板となっているが、この形状は直線状に限られない。具体的には、この形状は、衝撃吸収のために変形していない状態で緩やかな傾斜を持つ凸形状(例えば、円弧形状)であっても良い。この場合は、衝撃吸収時には、この形状が、急な傾斜を持つ凸形状に湾曲することになる。
【0088】
(3)上記各実施例では、2.5インチのハードディスクドライブ200を収容するための収容ケースを例に説明したが、これに限られない。例えば、3.5インチなどの他のサイズのハードディスクドライブを収容するための収容ケースを採用しても良い。あるいは、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ、ブルーレイディスクドライブなどの他のディスク記憶装置を収容するための収容ケースを採用しても良い。
【0089】
(4)上記実施例では、円弧状板部の裾部と、当該裾部と接続されている平板部とは、正接に接続されているが、正接に接続されていなくてもよい。
【0090】
(5)上記各実施例において、衝撃吸収板が配置されていない部分には、ゲル状のポリスチレンなどの従来の衝撃吸収材を配置しても良い。例えば、第1実施例の収容ケース100において、収容ケース100の底壁部460と、ハードディスクドライブ200の第1の広面210との間には、衝撃吸収材を配置することとしても良い。ハードディスクドライブ200の少なくとも1つの外壁面と、当該外壁面と対向する内壁面を有する壁部との間に、第1の衝撃吸収板330のような円弧状板部332と平板部331とを含む衝撃吸収板が配置されれば良い。また、他の外壁面と、その外壁面と対向する内壁面を有する壁部との間には、従来の衝撃吸収材が配置されても良いし、特に衝撃吸収のための部材を配置しなくても良い。
【0091】
(6)上記各実施例において、衝撃吸収板の円弧状板部は、収容状態で、頂部が収容ケースの内壁面側に位置し、裾部が記憶装置の外壁面側に位置するように、配置されている。これに代えて、衝撃吸収板の円弧状板部は、収容状態で、裾部が収容ケースの内壁面側に位置し、頂部が記憶装置の外壁面側に位置するように、配置されていても良い。具体例を説明すると、図3に示す第1の衝撃吸収板330の円弧状板部332は、頂部TPが第1の短側壁部430の内壁面側に位置し、裾部FTa、FTbがハードディスクドライブ200の第1の短側面230側に位置するように構成されていても良い。この場合は、平板部331、333は、ハードディスクドライブ200の第1の短側面230に沿って配置されることになる。
【符号の説明】
【0092】
100、100a...収容ケース
200...ハードディスクドライブ
300...蓋部材
330〜350、330a、340a...衝撃吸収板
400...箱部材
500...筒状壁部材
600...第1衝撃吸収部材
700...第2衝撃吸収部材
800...後面カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク記憶装置を収容する収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置が前記収容ケースに収容された収容状態で、前記ディスク記憶装置の外壁面である記憶装置外壁面と対向するケース内壁面を有するケース壁と、
前記記憶装置外壁面と前記ケース内壁面との間に配置され、前記収容状態で前記ケース内壁面に沿って延びる変形板であって、
前記ケース内壁面と平行な特定方向から見た特定方向形状が凸形状を有し、前記凸形状は前記記憶装置外壁面と前記ケース内壁面のうちの一方の面側に位置する第1の頂部と他方の面側に位置する第1の裾部と含む板部であって、前記第1の頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると変形する、第1の凸形状板部と、
前記第1の裾部に接続され、前記第1の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びる板部であって、前記第1の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する第1の湾曲板部と、
を有する変形板と、
を備える、収容ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部の前記特定方向形状は、円弧形状である、収容ケース。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の収容ケースであって、
前記第1の裾部と、前記第1の湾曲板部とは、正接で接続されている、収容ケース。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載の収容ケースであって、
前記変形板は、さらに、
前記特定方向形状が、前記一方の面側に位置する第2の頂部と前記他方の面面側に位置する第2の裾部と含む凸形状を有し、前記第2の裾部は前記第1の湾曲板部の前記第1の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びた端部に接続されている板部であって、前記第2の頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると変形する、第2の凸形状板部を有し、
前記第1の湾曲板部は、前記第1の凸形状板部の変形と前記第2の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する、収容ケース。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部は、前記第1の頂部から見て前記第1の裾部と反対側に位置する第3の裾部を含み、
前記変形板は、さらに、前記第3の裾部に接続され、前記第3の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びる板部であって、前記第1の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する第2の湾曲板部を有する、収容ケース。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部は、前記第1の頂部から見て前記第1の裾部と反対側に位置し、前記第1の頂部から離れる方向の端部が自由端である第4の裾部を含む、収容ケース。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置は、略直方体の筐体を有し、
前記収容ケースは、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうち第1の面に対向する1つの壁部を有する蓋部材と、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうちの前記第1の面を除く5面にそれぞれ対向する5つの壁部と、前記第1の面に対応する位置に配置された開口とを有する箱部材と、
を含み、
前記ケース壁は、前記箱部材の前記5つの壁部のうち、前記略直方体の筐体の前記第1の面と交差する第2の面に対向する壁部であり、
前記一方の面は、前記略直方体の筐体の前記第2の面であり、
前記変形板は、前記蓋部材と一体に形成されている、収容ケース。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置は、略直方体の筐体を有し、
前記収容ケースは、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうちの第1の面と垂直な4つの面にそれぞれ対向する4つの前記ケース壁を少なくとも有する壁部材と、
前記壁部材とは別部材であって、前記収容状態で、前記4つの面のそれぞれと4つの前記ケース壁のそれぞれとの間に配置される4つの前記変形板を少なくとも有する衝撃吸収部材と、
を含む、収容ケース。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記変形板は、熱可塑性樹脂で形成されている、収容ケース。
【請求項1】
ディスク記憶装置を収容する収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置が前記収容ケースに収容された収容状態で、前記ディスク記憶装置の外壁面である記憶装置外壁面と対向するケース内壁面を有するケース壁と、
前記記憶装置外壁面と前記ケース内壁面との間に配置され、前記収容状態で前記ケース内壁面に沿って延びる変形板であって、
前記ケース内壁面と平行な特定方向から見た特定方向形状が凸形状を有し、前記凸形状は前記記憶装置外壁面と前記ケース内壁面のうちの一方の面側に位置する第1の頂部と他方の面側に位置する第1の裾部と含む板部であって、前記第1の頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると変形する、第1の凸形状板部と、
前記第1の裾部に接続され、前記第1の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びる板部であって、前記第1の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する第1の湾曲板部と、
を有する変形板と、
を備える、収容ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部の前記特定方向形状は、円弧形状である、収容ケース。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の収容ケースであって、
前記第1の裾部と、前記第1の湾曲板部とは、正接で接続されている、収容ケース。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載の収容ケースであって、
前記変形板は、さらに、
前記特定方向形状が、前記一方の面側に位置する第2の頂部と前記他方の面面側に位置する第2の裾部と含む凸形状を有し、前記第2の裾部は前記第1の湾曲板部の前記第1の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びた端部に接続されている板部であって、前記第2の頂部の頂上から板厚方向の力が加えられると変形する、第2の凸形状板部を有し、
前記第1の湾曲板部は、前記第1の凸形状板部の変形と前記第2の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する、収容ケース。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部は、前記第1の頂部から見て前記第1の裾部と反対側に位置する第3の裾部を含み、
前記変形板は、さらに、前記第3の裾部に接続され、前記第3の裾部から前記第1の頂部と離れる方向に延びる板部であって、前記第1の凸形状板部の変形に応じて前記一方の面側に凸に湾曲する第2の湾曲板部を有する、収容ケース。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記第1の凸形状板部は、前記第1の頂部から見て前記第1の裾部と反対側に位置し、前記第1の頂部から離れる方向の端部が自由端である第4の裾部を含む、収容ケース。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置は、略直方体の筐体を有し、
前記収容ケースは、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうち第1の面に対向する1つの壁部を有する蓋部材と、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうちの前記第1の面を除く5面にそれぞれ対向する5つの壁部と、前記第1の面に対応する位置に配置された開口とを有する箱部材と、
を含み、
前記ケース壁は、前記箱部材の前記5つの壁部のうち、前記略直方体の筐体の前記第1の面と交差する第2の面に対向する壁部であり、
前記一方の面は、前記略直方体の筐体の前記第2の面であり、
前記変形板は、前記蓋部材と一体に形成されている、収容ケース。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記ディスク記憶装置は、略直方体の筐体を有し、
前記収容ケースは、
前記収容状態で、前記略直方体の筐体の6面のうちの第1の面と垂直な4つの面にそれぞれ対向する4つの前記ケース壁を少なくとも有する壁部材と、
前記壁部材とは別部材であって、前記収容状態で、前記4つの面のそれぞれと4つの前記ケース壁のそれぞれとの間に配置される4つの前記変形板を少なくとも有する衝撃吸収部材と、
を含む、収容ケース。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の収容ケースであって、
前記変形板は、熱可塑性樹脂で形成されている、収容ケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−155784(P2012−155784A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12807(P2011−12807)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】
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