説明

収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システム及び収穫時品質予測方法

【課題】簡略容易に籾米又は玄米からなる収穫予定米の収穫時品質予測を高精度に実行できる収穫時品質予測システムを提供する。
【解決手段】実際の収穫日より前の採取日に採取された多数の収穫予定米のサンプル粒の胴部を切断する穀粒切断器と、切断されたサンプル粒を配列する収穫予定米粒配列手段と、配列された多数の収穫予定米を走査して切断面画像を取得する撮像手段51と、取得した画像における胚乳部の白濁部分を分類カテゴリー情報を参照して分析し、予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒に分類する画像分析処理手段69と、各粒の切断面画像の胚乳部の白濁部分の分析結果、及び個数情報を基に採取日から収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を算出する算出手段70とを有するコンピュータ装置61と画像分析処理手段69、算出手段70の処理結果を画像、グラフ又は表として出力するプリンタ81、表示部64とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡略容易に籾米又は玄米からなる収穫予定米の収穫時品質予測を高精度に実行できる収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システム及び収穫時品質予測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農産物共済制度においては、災害による収量・品質の低下部分に対して共済金を受け取ることができるが、収穫前に農家から被害申告がなされ、共済組合等の調査員が立毛状態で圃場(田圃・たんぼ)調査を行うことにより損害程度を評価する必要がある。
【0003】
病虫害や倒伏による被害では被害を受けたことがわかり易いため、農家による被害申告漏れはほとんど起きないが、日照不足や高温或いは乾燥風による乳白粒の多発のように立毛状態の稲の外観からは被害を予想することが難しい場合には、被害申告が行われず、共済金を受け取れない事態が発生する。
【0004】
被害申告後、収穫までの間に損害評価の圃場調査が広範囲の地域で行われることを考えると、収穫前10日前後の時期には被害申告が行われる必要がある。
このため、この時期に圃場の一部の穂を採取して、玄米品質を達観、あるいは穀粒判別器によって調査している例があるが、未熟玄米の外観調査では成熟時の品質を予測することは困難な状況にある。
【0005】
また、圃場の一部の穂を採取して玄米品質を達観で調査する際に、専門の鑑定員の鑑定に委ねる例もあるが、この場合には、個々の鑑定員の鑑定結果にばらつきが生じ易く、客観性に欠け、更には鑑定員の養成に費用も嵩む。
【0006】
従来においても、例えば、収穫前の玄米の外観品質評価から収穫時の乳白粒発生率を予測する手法(「玄米品質の早期判定可能時期」、群馬県農業技術センター,参照)が提案されているが、この手法では出穂後の積算気温が750℃以上(早期水稲の収穫前7日程度に相当)の時期に成熟期の品質はある程度予測が可能とされているものの、乳白粒の予測は難しいとされている。
【0007】
更に、乳白粒発生率を水稲の乾物生産量と蓄積炭水化物量及び出穂後の積算温度から推定する方法(例えば、「水稲白未熟粒発生のモデル化と予測に関する研究」、日本作物学会紀事第77巻,別号1,P148-149,2008年,参照)があるが、必要となるデータの採取が煩雑であり農業現場で使うことは難しい。
【0008】
従来の予測手法のうち、モデル化による方法では、上記のように乾物重や炭水化物などの多くの生育データと気象データが必要となる点、収穫前の玄米を用いる場合には予測精度の低い点が問題となっており、個々の圃場における乳白粒の発生予測の利用には到っていない。
【0009】
従来においては、本発明に係る籾米又は玄米からなる収穫予定米の収穫時品質予測を高精度に実行することができるような収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システム、収穫時品質予測方法は存在しない。
あえて本発明の先行文献を挙げるとすると、本発明に直接関係するものではないが、玄米や籾米等の外観品質ではなく成分分析に係る装置としての特許文献1を挙げることができる。
特許文献1には、玄米や白米、更には籾米をも含めて、これらを損傷、劣化させることなくその成分測定を行うことを目的として、穀物試料が貯留される試料貯留室と、投光口及び受光口を有する測定室と、投光手段及び受光手段が配設される筐体とを備えた穀物の品質判定装置であって、投光手段を、近赤外光を含む照射光を発光する光源と、この光源から発光される照射光を測定用孔に向けて反射させるリフレクタと、一方の開口を光源及びリフレクタに臨ませ他方の開口を測定用孔に臨ませて光源と測定用孔との間に配設される反射筒とを備えて構成した穀物の品質評価装置が提案されている。
【0010】
しかし、上述したように、特許文献1のものは外観品質ではなく成分分析に係る装置であり、穀物の品質評価装置の場合、玄米や籾米等の成分分析を主体とするものであり、本発明のような収穫予定米の収穫時品質予測システム、収穫時品質予測方法では勿論ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−175760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする問題点は、鑑定人の目を介することが不要で、当該鑑定人育成のための費用が嵩むことがなく、予測作業を行う作業員が格別の専門的知識を有することも必要とせずに簡略容易に籾米又は玄米からなる収穫予定米の収穫時品質予測を高精度に実行することができるような収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システム、収穫時品質予測方法が存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムは、実際の収穫日より前の採取日に圃場から採取された多数の収穫予定米のサンプル粒の胴部を切断する穀粒切断器と、前記穀粒切断器により切断された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を表出させた状態に配列する収穫予定米粒配列手段と、前記収穫予定米粒配列手段により配列された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を走査して各粒の切断面画像を取得する撮像手段と、前記撮像手段にて取得した各粒の切断面画像における胚乳部の白濁部分を予め指定した分類カテゴリー情報を参照して分析し、予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒に分類する画像分析処理手段と、前記予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒とされた各粒の切断面画像における胚乳部の白濁部分の分析結果、及び予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒の個数情報を基に、前記採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を算出する算出手段と、を有するコンピュータ装置と、前記画像分析処理手段、算出手段の処理結果を出力する出力手段と、を有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、上記構成の穀粒切断器、収穫予定米粒配列手段、撮像手段、コンピュータ装置及び出力手段を用い、簡略な操作だけでこれまで収穫前の玄米品質別発生率の判定が外観で行われることによって生じていた予測のあいまいさ、及び鑑定人によって行われることによって生じていた費用と時間、当該鑑定人育成のための費用をかけることなく、分析結果の個人差を軽減し、かつ、収穫予定米のサンプル粒の予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒についての測定精度の向上を図ることも可能な収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムを実現し提供することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、上記構成の穀粒切断器、収穫予定米粒配列手段、撮像手段、コンピュータ装置及び出力手段を用い、簡略な操作だけでこれまで収穫前の玄米品質別発生率の判定が外観で行われることによって生じていた予測のあいまいさ、及び鑑定人によって行われることによって生じていた費用と時間、当該鑑定人育成のための費用をかけることなく、分析結果の個人差を軽減し、かつ、収穫予定米の粒のあらかじめ指定した8種の分類カテゴリーに関する予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒についての測定精度の向上を図ることも可能な収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムを実現し提供することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、上記構成の穀粒切断器、収穫予定米粒配列手段、画像スキャナ、コンピュータ装置及びプリンタ又は表示部を用い、簡略な操作だけでこれまで収穫前の玄米品質別発生率の判定が外観で行われることによって生じていた予測のあいまいさ、及び鑑定人によって行われることによって生じていた費用と時間、当該鑑定人育成のための費用をかけることなく、分析結果の個人差を軽減し、かつ、収穫予定米の粒のあらかじめ指定した8種の分類カテゴリーに関する予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒についての測定精度の向上を図ることも可能な収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムを実現し提供することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、上記構成の穀粒切断器、収穫予定米粒配列手段、画像スキャナ、コンピュータ装置及びプリンタ又は表示部を用い、上述した一連の工程を実行することによって、これまで収穫前の玄米品質別発生率の判定が外観で行われることによって生じていた予測のあいまいさ、及び鑑定人によって行われることによって生じていた費用と時間、当該鑑定人育成のための費用をかけることなく、分析結果の個人差を軽減し、かつ、収穫予定米の粒のあらかじめ指定した8種の分類カテゴリーに関する予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒についての測定精度の向上を図ることも可能な収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測方法を実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施例に係る収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムにおける穀粒切断器及び収穫予定米粒配列手段を示す概略斜視図である。
【図2】図2は本実施例に係る収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムにおける撮像手段、コンピュータ装置、出力手段を示す概略斜視図である。
【図3】図3は本実施例に係る収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムの概略ブロック図である。
【図4】図4は本実施例において、予測整粒とする切断面が全体的に透明な粒を示す説明図である。
【図5】図5は本実施例において、予測白未熟粒とする切断面の中央付近が白く環状になっている粒を示す説明図である。
【図6】図6は本実施例において、予測白未熟粒とする切断面の中央付近が核状に白濁し、その周辺部がすでに透明化している粒を示す説明図である。
【図7】図7は本実施例において、予測白未熟粒とする切断面の中央部分に帯状の白濁部分がある粒を示す説明図である。
【図8】図8は本実施例において、予測白未熟粒とする切断面の外周のほかに背側から中心部にかけて白濁している粒を示す説明図である。
【図9】図9は本実施例において、予測白未熟粒とする背側あるいは腹側の外周付近のみが白濁している粒を示す説明図である。
【図10】図10は本実施例において、未判断粒とする切断面が牛乳状のペースト状あるいは全体的に乳白色で不透明、かつ、登熟初期においては外周付近の種皮が透明化している粒を示す説明図である。
【図11】図11は本実施例において、未判断粒とする切断面の中心部が透明化しており、その外周部が白濁している粒を示す説明図である。
【図12】図12は本実施例に係る収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムにおける収穫予定米の粒の切断工程、撮像手段上への設置工程を示す説明図である。
【図13】図13は本実施例に係る白未熟粒発生程度が低い場合の収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システム(環状白濁の折れ線)と、図示しない穀粒判別器(残り折れ線)とを使用して求めた採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を示すグラフであり、穀粒判別器で乳白粒・白死米・青死米と判定された玄米及び玄米横断面に環状白濁がある玄米の発生割合と収穫前日数との関係を示すもの(対照区;コシヒカリを鹿児島県農業総合開発センター圃場で栽培、図中における各シンボルの上下の線は標準誤差である)である。
【図14】図14は本実施例に係る白未熟粒発生程度が高い場合(出穂後2日〜22日に遮光率50%の黒寒冷紗を被覆)の収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムと、図示しない穀粒判別器とを使用して求めた採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を示す折線グラフ(各折れ線の意味は図13と同じ)であり、穀粒判別器で乳白粒・白死米・青死米と判定された玄米及び玄米横断面に環状白濁がある玄米の発生割合と収穫前日数との関係を示すもの(遮光区;出穂後2日〜22日に遮光率50%の黒寒冷紗を被覆)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、鑑定人の目を介することが不要で、当該鑑定人育成のための費用が嵩むことがなく、予測作業を行う作業員が格別の専門的知識を有することも必要とせずに簡略容易に籾米又は玄米からなる収穫予定米の収穫時品質予測を高精度に実行できる収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムを提供するという目的を、実際の収穫日より前の採取日に圃場から採取された玄米又は籾米からなる多数の収穫予定米のサンプル粒の胴部を切断する穀粒切断器と、前記穀粒切断器により切断された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を表出させた状態に配列する収穫予定米粒配列手段と、前記収穫予定米粒配列手段により配列された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を走査して各粒の切断面画像を取得する撮像手段と、前記撮像手段にて取得した各粒の切断面画像における胚乳部の白濁部分を予め指定した8種の分類カテゴリー情報を参照して分析し、予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒に分類する画像分析処理手段と、前記予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒とされた各粒の切断面画像の胚乳部の白濁部分の分析結果、及び予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒の個数情報を基に、前記採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を算出する算出手段と、前記撮像手段、画像分析処理手段、算出手段の処理結果を記憶する記憶手段と、前記算出手段の算出結果を基に予測白未熟粒の発生割合に関するグラフ情報又は表情報を作成する出力情報作成手段と、を有するコンピュータ装置と、前記画像分析処理手段、出力情報作成手段の処理結果を画像、グラフ又は表として出力する出力手段と、を有する収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムであって、前記予め指定した8種の分類カテゴリー情報は、成熟前の収穫予定米粒で、切断面が全体的に透明化した粒を予測整粒とし、切断面の中央付近が白く環状になっている粒を乳白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の中央付近が核状に白濁し、その周辺部がすでに透明化している粒を乳白粒又は心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の中央部分に帯状の白濁部分がある粒を心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の外周のほかに背側から中心部にかけて白濁している粒を乳白粒又は心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の背側あるいは腹側の外周付近のみが白濁している場合、それぞれ背白粒あるいは腹白粒となる予測白未熟粒とし、切断面が牛乳状のペースト状あるいは全体的に乳白色で不透明かつ登熟初期においては外周付近の種皮が透明化している粒を未判断粒とし、切断面の中心部がデンプンにより透明化し、外周部が白濁している粒を未判断粒とする構成により実現した。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例に係る収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システム、収穫時品質予測方法について詳細に説明する。
【0021】
本実施例に係る収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムは、図1及び図2に示すように、実際の収穫日より前の採取日に圃場から採取された玄米又は籾米からなる多数の収穫予定米のサンプル粒Mの胴部を切断する穀粒切断器1と、前記穀粒切断器1により切断された多数の収穫予定米のサンプル粒Mの各切断面を表出させた状態に配列する収穫予定米粒配列手段41と、前記収穫予定米粒配列手段41により配列された多数の収穫予定米のサンプル粒Mの各切断面Maを走査して各サンプル粒Mの切断面画像を取得するカラー画像スキャナのような撮像手段51と、前記撮像手段51にて取得した各サンプル粒Mの予め指定した分類カテゴリー情報に基づく分類、前記採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合の算出、予測白未熟粒の発生割合に関するグラフ情報又は表情報の作成等を行うコンピュータ装置61と、前記サンプル粒Mの切断面画像、グラフ又は表等の出力を行う出力手段であるプリンタ81と、表示部64を有している。
【0022】
前記穀粒切断器1は、図1に示すように、上部が開口した四角箱型状で、底部に詳細は後述する穀粒支持プレート21を載置するための矩形状の平坦部3を形成するとともに、この平坦部3の各辺から側壁部4を立設した装置本体2と、この装置本体2の一端側の側壁部4から他端側の側壁部4にわたって平行配置に架設した一対のガイド棒5と、一方のガイド棒5の外側の側壁部4に前記ガイド棒5と同方向に設けた直線状のラック6と、前記一端側の側壁部4の近傍位置において前記一対のガイド棒5に対して一端側から他端側にスライド可能に両側部を取り付けた移動体7と、この移動体7における前記ラック6側の位置に、垂直配置に取り付けたピニオン軸8と、このピニオン軸8に嵌着され、前記ラック6に嵌合させた図示しないピニオンと、前記ピニオン軸8の上端に固着した円形の操作ハンドル9と、前記移動体7の上面に対してネジ11を用いて着脱可能に取り付けた例えば透明材からなる安全カバー14と、前記移動体7の下面に取り付けた切断刃ホルダ10と、この切断刃ホルダ10の下面側にネジ13を用いて着脱可能に取り付けた例えば市販のカッター刃からなる切断刃12と、を有している。
【0023】
前記切断刃12は、操作ハンドル9の回転操作に応じて前記ガイド棒5により案内されつつラック6とピニオンとの噛合により図1の矢印a方向に移動する移動体7に連動して穀粒支持プレート21の上面に沿って矢印a方向に移動するように構成している。
【0024】
前記収穫予定米粒配列手段41は、穀粒支持プレート21と、サンプル粒Mの収容前の穀粒支持プレート21上に被せて各サンプル粒Mの整列を補助する整列補助具23と、切断処理後の各サンプル粒Mを収容した状態の穀粒支持プレート21上に被せて、各サンプル粒Mの切断面Maを撮像手段51へ向けて設置するための透明被体(透明シャーレ)31と、を有している。
【0025】
前記穀粒支持プレート21は、図1に示すように、ほぼ直方体状に形成されるとともに、その上面部21aには、図示する実施例では例えば、縦方向に10列、横方向に10列の配置で例えば合計100個のサンプル粒M用の孔(凹孔)22を穿設しており、図2に示すように合計100個の孔22から各々サンプル粒Mをほぼ上半部が上方に突出する状態で収容した状態で前記平坦部3上に固定配置されるようになっている。
【0026】
前記穀粒支持プレート21の前記平坦部3上への固定は、例えば、平坦部3の上面に前記穀粒支持プレート21の底部形状に対応した形状の凹陥部を設ける等の例を挙げることができる。
【0027】
前記整列補助具23は、前記穀粒支持プレート21の上面部21aの寸法より僅かに大きい寸法を持つ矩形状の平坦部23aに、前記穀粒支持プレート21の各孔22に対応する孔径で、かつ、対応する個数(縦方向に10列、横方向に10列の配置で例えば合計100個)の整列補助孔(貫通孔)24を設けるとともに、平坦部23aの四辺をこの平坦部23aから上下に突出する側壁部25で囲んだ形状に構成している。
そして、前記側壁部25における平坦部23aの位置よりも下側部分を前記穀粒支持プレート21の外周への嵌装用として機能させて、また、前記側壁部25における平坦部23aの位置よりも上側部分で囲まれる空間を、サンプル粒Mの整列補助空間として機能させるように構成している。
【0028】
前記透明被体31は、前記穀粒支持プレート21の上面部21aの寸法より僅かに大きい寸法を持つ矩形状で、透明合成樹脂等の透明材からなる平坦部31aと、この平坦部31aの四辺から立設した側壁部32とを有し、前記穀粒支持プレート21の上面部21a上に前記平坦部31aを密接する状態で被せることが可能となるように構成している。
【0029】
前記コンピュータ装置61は、図3に示すように、全体の動作を制御するプログラムを格納したプログラムメモリ62と、前記プログラムに基づきシステム全体の制御を行う制御部63と、液晶ディスプレイからなる出力手段を構成する表示部64と、前記プリンタ81に画像データ等を出力するプリンタインターフェース65と、前記撮像手段51用のインターフェース66と、キーボード67とを有している。
【0030】
更に、前記コンピュータ装置61は、予め指定した分類カテゴリー情報を記憶した分類カテゴリー情報記憶手段68と、前記撮像手段51にて取得した各サンプル粒Mの切断面画像における胚乳部の白濁部分を予め指定した前記分類カテゴリー情報を参照して分析し、予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒に分類する画像分析処理手段69と、前記予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒とされた各サンプル粒の切断面画像における胚乳部の白濁部分の分析結果、及び予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒の個数情報を基に、前記採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を算出する算出手段70と、前記撮像手段51、画像分析処理手段69、算出手段70の処理結果を記憶するハードディスク等の記憶手段71と、前記算出手段70の算出結果を基に予測白未熟粒の発生割合に関するグラフ情報又は表情報を作成する出力情報作成手段72と、を有している。
【0031】
次に、図4乃至図12を参照して、前記分類カテゴリー情報記憶手段68に予め記憶している予め指定した分類カテゴリー情報について詳細に説明する。
【0032】
前記分類カテゴリー情報は、各サンプル粒Mの切断面Maの画像情報を例えば8分類とするものである。
【0033】
すなわち、前記分類カテゴリー情報記憶手段68には、図4に示すような成熟前の収穫予定米粒で、切断面Maが全体的に透明化した粒を予測整粒とし、図5に示すような切断面Maの中央付近が白く環状になっている粒を乳白粒となる予測白未熟粒とし、図6に示すような切断面Maの中央付近が核状に白濁し、その周辺部がすでに透明化している粒を乳白粒又は心白粒となる予測白未熟粒とし、図7に示すような切断面Maの中央部分に帯状の白濁部分がある粒を心白粒となる予測白未熟粒とし、図8に示すような切断面Maの外周のほかに背側から中心部にかけて白濁している粒を乳白粒又は心白粒となる予測白未熟粒とし、図9に示すような背側あるいは腹側の外周付近のみが白濁している場合、それぞれ背白粒あるいは腹白粒となる予測白未熟粒とし、図10に示すような切断面Maが牛乳状のペースト状あるいは全体的に乳白色で不透明かつ登熟初期においては外周付近の種皮が透明化している粒を未判断粒とし、図11に示すような切断面Maの中心部が透明化しており、その外周部が白濁している粒を未判断粒とする分類カテゴリー情報が記憶されている。
【0034】
次に、本実施例に係る収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムによって、実際の収穫日より前の採取日に圃場から採取された玄米又は籾米からなる収穫予定米の収穫時品質予測処理における一連の流れを説明する。
【0035】
まず、図12に示すように、前記穀粒支持プレート21上に整列補助具23を載せ、平坦部23aを前記穀粒支持プレート21の上面部21aに密接させて、整列補助具23の各整列補助孔24を穀粒支持プレート21の各孔22に合致させる。
【0036】
次に、整列補助具23の上方から例えば100粒以上)の収穫予定米のサンプル粒Mを投入して、整列補助具23及び穀粒支持プレート21を小刻みに揺する。
【0037】
これにより、個々のサンプル粒Mは、整列補助具23の各整列補助孔24を経て穀粒支持プレート21の各孔22内に縦配置で一粒ずつ没入した状態になり、余分なサンプル粒Mは平坦部23aに残る。
【0038】
次に、整列補助具23を、余ったサンプル粒Mとともに穀粒支持プレート21から取り外す。これにより、例えば合計100個の孔22から各々サンプル粒Mをほぼ上半部が上方に突出する状態で収容した状態の穀粒支持プレート21を得ることができる。
【0039】
次に、各孔22に例えば100個のサンプル粒Mが納まった状態の穀粒支持プレート21を、前記穀粒切断器1の平坦部3の上面にセットする。
【0040】
次に、前記操作ハンドル9を回転操作し、移動体7を前記ガイド棒5により案内させつつ図1の矢印a方向に移動させることにより、前記切断刃前記切断刃12も前記穀粒支持プレート21の上面に沿って矢印a方向に移動する。
【0041】
これにより、前記切断刃12が前記穀粒支持プレート21から、ほぼ上半部が上方に突出する各サンプル粒Mの胴部を一挙に切断し、各サンプル粒Mにおける切断面Maが各々表出する状態とする。
【0042】
次に、前記上面部21aに各粒サンプルの切断面Maが各々表出する状態となった前記穀粒支持プレート21に対して、前記透明被体31を被せ、その平坦部31aを穀粒支持プレート21の上面部21aに密接させた後、前記穀粒支持プレート21、透明被体31を押さえ込みながら上下反転させ、透明被体31の平坦部31aを下側配置とする。
【0043】
次に、前記透明被体31の平坦部31aを下側配置としたままこれらを前記撮像手段51上に設置し、各サンプル粒Mの切断面Maを透明被体31の透明な平坦部31aを介して撮像面52に臨ませる。
【0044】
そして、前記撮像手段51により各サンプル粒Mの切断面Maを撮像し、その撮像データを前記コンピュータ装置61に送る。
【0045】
前記コンピュータ装置61の画像分析処理手段69は、前記プログラムよって前記撮像手段51にて取得した各サンプル粒Mの切断面画像における胚乳部の白濁部分を、分類カテゴリー情報記憶手段68に記憶している既述したような8種類の分類カテゴリー情報を参照して各々分析し、各サンプル粒M毎に予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒のいずれかに分類する。
【0046】
前記撮像手段51にて取得した100個のサンプル粒Mの切断面画像、画像分析処理手段69の分析結果は、前記記憶手段71に記憶される。
【0047】
また、前記コンピュータ装置61の算出手段70は、前記予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒とされた各サンプル粒の切断面画像の胚乳部の白濁部分の分析結果、及び予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒の個数情報を基に、前記採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を算出する。予測白未熟粒の発生割合の情報も前記記憶手段71に記憶される。
【0048】
更に、前記出力情報作成手段72は、前記算出手段70の算出結果を基に予測白未熟粒の発生割合に関するグラフ情報又は表情報を例えば図14に示す態様となるように作成する。
【0049】
前記出力情報作成手段72により作成された予測白未熟粒の発生割合に関するグラフ情報又は表情報は、前記プリンタ81により又は前記表示部64により、それぞれ可視的に出力される。また、前記各サンプル粒Mの切断面画像も必要に応じて前記プリンタ81により又は前記表示部64により可視的に出力される。
【0050】
ここで、図13、図14を参照して、算出手段70により算出する前記採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合の具体例について説明する。
【0051】
図13は、本実施例に係る収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムと、本願出願人に係る製作の図示しない穀粒判別器とを使用して求めた採取日(収穫日前14日)から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を示す折線グラフを示すものである。
【0052】
図13において、●印で示す折線グラフは、例えば図5に示すような切断面Maの中央部に環状白濁部分があるサンプル粒Mに関しての予測白未熟粒の発生割合を示すものであり、穀粒判別器で乳白粒・白死米・青死米と判定された玄米及び玄米横断面に環状白濁がある玄米の発生割合と収穫前日数との関係を示すもの(対照区;コシヒカリを鹿児島県農業総合開発センター圃場で栽培、図中における各シンボルの上下の線は標準誤差である)である。
【0053】
また、△印で示す折線グラフは、図示しない穀粒判別器により乳白粒、白死米と判別されたサンプル粒Mに関しての予測白未熟粒の発生割合を示すものである。
【0054】
一方、図14は遮光区(出穂後2日〜22日に遮光率50%の黒寒冷紗を被覆したもの:コシヒカリを鹿児島県農業総合開発センター圃場で栽培したもの)における結果を示すものであり、穀粒判別器で乳白粒・白死米・青死米と判定された玄米及び玄米横断面に環状白濁がある玄米の発生割合と収穫前日数との関係を示すもの(遮光区;出穂後2日〜22日に遮光率50%の黒寒冷紗を被覆)である。図13に示す場合と同様にして求めた予測白未熟粒の発生割合を示す折線グラフを示している。
【0055】
なお、図13、14において、●印、△印の各シンボルに付した上下方向の割合幅を示す線は標準誤差を表すものである。
【0056】
図13、14より、収穫前10日以降では「玄米横断面観察」による白未熟発生割合が殆ど変化しないため、籾米、玄米の横断面を観察することによって、穀粒判別器による玄米外観検査よりも正確に収穫時の白未熟粒の発生割合が予測可能であることが分かる。
【0057】
以上説明した本実施例によれば、上記構成の穀粒切断器1、収穫予定米粒配列手段41、撮像手段51であるカラー画像スキャナ、コンピュータ装置61及びプリンタ81又は表示部64を用い、簡略な操作だけでこれまで収穫前の玄米品質別発生率の判定が外観で行われることによって生じていた予測のあいまいさ、及び鑑定人によって行われることによって生じていた費用と時間、当該鑑定人育成のための費用をかけることなく、分析結果の個人差を軽減し、かつ、収穫予定米の粒のあらかじめ指定した8種の分類カテゴリーに関する予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒についての測定精度の向上を図ることも可能な収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システム、収穫時品質予測方法を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る収穫時品質予測システムは、収穫時における農業共済保障対象となる米類の客観的な確認に広範に適用でき、米類の共同乾燥施設において荷受時の生籾の仕分けに使用することによる産品の付加価値の向上に資することも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 穀粒切断器
2 装置本体
3 平坦部
4 側壁部
5 ガイド棒
6 ラック
7 移動体
8 ピニオン軸
9 操作ハンドル
10 切断刃ホルダ
11 ネジ
12 切断刃
13 ネジ
14 安全カバー
21 穀粒支持プレート
21a 上面部
22 孔
23 整列補助具
23a 平坦部
24 整列補助孔
25 側壁部
31 透明被体
31a 平坦部
32 側壁部
41 収穫予定米粒配列手段
51 撮像手段
52 撮像面
61 コンピュータ装置
62 プログラムメモリ
63 制御部
64 表示部
65 プリンタインターフェース
66 インターフェース
67 キーボード
68 分類カテゴリー情報記憶手段
69 画像分析処理手段
70 算出手段
71 記憶手段
72 出力情報作成手段
81 プリンタ
M サンプル粒
Ma 切断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実際の収穫日より前の採取日に圃場から採取された多数の収穫予定米のサンプル粒の胴部を切断する穀粒切断器と、
前記穀粒切断器により切断された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を表出させた状態に配列する収穫予定米粒配列手段と、
前記収穫予定米粒配列手段により配列された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を走査して各粒の切断面画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段にて取得した各粒の切断面画像における胚乳部の白濁部分を予め指定した分類カテゴリー情報を参照して分析し、予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒に分類する画像分析処理手段と、前記予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒とされた各粒の切断面画像の胚乳部の白濁部分の分析結果、及び予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒の個数情報を基に、前記採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を算出する算出手段と、を有するコンピュータ装置と、
前記画像分析処理手段、算出手段の処理結果を出力する出力手段と、
を有することを特徴とする収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システム。
【請求項2】
実際の収穫日より前の採取日に圃場から採取された玄米又は籾米からなる多数の収穫予定米のサンプル粒の胴部を切断する穀粒切断器と、
前記穀粒切断器により切断された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を表出させた状態に配列する収穫予定米粒配列手段と、
前記収穫予定米粒配列手段により配列された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を走査して各粒の切断面画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段にて取得した各粒の切断面画像における胚乳部の白濁部分を予め指定した8種の分類カテゴリー情報を参照して分析し、予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒に分類する画像分析処理手段と、前記予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒とされた各粒の切断面画像における胚乳部の白濁部分の分析結果、及び予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒の個数情報を基に、前記採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を算出する算出手段と、前記撮像手段、画像分析処理手段、算出手段の処理結果を記憶する記憶手段と、前記算出手段の算出結果を基に予測白未熟粒の発生割合に関するグラフ情報又は表情報を作成する出力情報作成手段と、を有するコンピュータ装置と、
前記画像分析処理手段、出力情報作成手段の処理結果を画像、グラフ又は表として出力する出力手段と、
を有する収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムであって、
前記予め指定した8種の分類カテゴリー情報は、
成熟前の収穫予定米粒で、切断面が全体的に透明化した粒を予測整粒とし、切断面の中央付近が白く環状になっている粒を乳白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の中央付近が核状に白濁し、その周辺部がすでに透明化している粒を乳白粒又は心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の中央部分に帯状の白濁部分がある粒を心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の外周のほかに背側から中心部にかけて白濁している粒を乳白粒又は心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の背側あるいは腹側の外周付近のみが白濁している場合、それぞれ背白粒あるいは腹白粒となる予測白未熟粒とし、切断面が牛乳状のペースト状あるいは全体的に乳白色で不透明かつ登熟初期においては外周付近の種皮が透明化している粒を未判断粒とし、切断面の中心部がデンプンにより透明化し、外周部が白濁している粒を未判断粒とすること、
を特徴とする収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システム。
【請求項3】
実際の収穫日より前の採取日に圃場から採取された玄米又は籾米からなる多数の収穫予定米のサンプル粒の胴部を切断する穀粒切断器と、
前記穀粒切断器により切断された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を表出させた状態に配列する収穫予定米粒配列手段と、
前記収穫予定米粒配列手段により配列された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を走査して各粒の切断面画像を取得する画像スキャナと、
前記画像スキャナにて取得した各粒の切断面画像における胚乳部の白濁部分を予め指定した8種の分類カテゴリー情報を参照して分析し、予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒に分類する画像分析処理手段と、前記予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒とされた各粒の切断面画像の胚乳部の白濁部分の分析結果、及び予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒の個数情報を基に、前記採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を算出する算出手段と、前記撮像手段、画像分析処理手段、算出手段の処理結果を記憶する記憶手段と、前記算出手段の算出結果を基に予測白未熟粒の発生割合に関するグラフ情報又は表情報を作成する出力情報作成手段と、を有するコンピュータ装置と、
前記画像分析処理手段、出力情報作成手段の処理結果を画像、グラフ又は表として出力するプリンタ又は表示部と、
を有する収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システムであって、
前記予め指定した8種の分類カテゴリー情報は、
成熟前の収穫予定米粒で、切断面が全体的に透明化した粒を予測整粒とし、切断面の中央付近が白く環状になっている粒を乳白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の中央付近が核状に白濁し、その周辺部がすでに透明化している粒を乳白粒又は心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の中央部分に帯状の白濁部分がある粒を心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の外周のほかに背側から中心部にかけて白濁している粒を乳白粒又は心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の背側あるいは腹側の外周付近のみが白濁している場合、それぞれ背白粒あるいは腹白粒となる予測白未熟粒とし、切断面が牛乳状のペースト状あるいは全体的に乳白色で不透明かつ登熟初期においては外周付近の種皮が透明化している粒を未判断粒とし、切断面の中心部がデンプンにより透明化し、外周部が白濁している粒を未判断粒とすること、
を特徴とする収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測システム。
【請求項4】
実際の収穫日より前の採取日に圃場から採取された玄米又は籾米からなる多数の収穫予定米のサンプル粒を得る工程と、
玄米又は籾米からなる多数の収穫予定米のサンプル粒の胴部を穀粒切断器を切断する工程と、
収穫予定米粒配列手段により前記穀粒切断器により切断された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を表出させた状態に配列する工程と、
前記収穫予定米粒配列手段により配列された多数の収穫予定米のサンプル粒の各切断面を画像スキャナにより走査して各粒の切断面画像を取得する工程と、
コンピュータ装置を用いて、前記画像スキャナにて取得した各粒の切断面画像における胚乳部の白濁部分を、成熟前の収穫予定米粒で、切断面が全体的に透明化した粒を予測整粒とし、切断面の中央付近が白く環状になっている粒を乳白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の中央付近が核状に白濁し、その周辺部がすでに透明化している粒を乳白粒又は心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の中央部分に帯状の白濁部分がある粒を心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の外周のほかに背側から中心部にかけて白濁している粒を乳白粒又は心白粒となる予測白未熟粒とし、切断面の背側あるいは腹側の外周付近のみが白濁している場合、それぞれ背白粒あるいは腹白粒となる予測白未熟粒とし、切断面が牛乳状のペースト状あるいは全体的に乳白色で不透明かつ登熟初期においては外周付近の種皮が透明化している粒を未判断粒とし、切断面の中心部がデンプンにより透明化し、外周部が白濁している粒を未判断粒とする予め指定した8種の分類カテゴリー情報を参照して分析し、各粒を予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒に分類する処理、前記予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒とされた各粒の切断面画像の胚乳部の白濁部分の分析結果、及び予測整粒、予測白未熟粒、未判断粒の個数情報を基に、前記採取日から実際の収穫日に至る期間における予測白未熟粒の発生割合を算出する処理、この算出処理結果をもとに予測白未熟粒の発生割合に関するグラフ情報又は表情報を作成する処理を行う工程と、
各粒の切断面画像、前記グラフ又は表をプリンタ又は表示部に出力する工程と、
を含むことを特徴とする収穫予定米の断面撮像画像を用いた収穫時品質予測方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−137458(P2012−137458A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291563(P2010−291563)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、農林水産省「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(000129884)株式会社ケット科学研究所 (13)
【Fターム(参考)】