説明

収納キャビネット

【課題】側面のどの位置からでも収納空間内に物を出し入れできて使用が便利な収納キャビネットを提供する。
【解決手段】柱で支持された上板2の下方に収納空間Sが形成され、上板2の底面の全周にレール15a,15bが設けられ、このレール15a,15bに、収納空間Sの側面全周をスライド移動可能に、可動式のシャッター16a,16a,16aが設けられている。また、上板2にはシンク3が形成されており、上板2上には軸管7を中心に水平面内で回転し得る天板9が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納キャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、収納空間を開閉できるシャッターを左右2枚で構成した収納キャビネットが存在する。
【特許文献1】特開2003−275040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の収納キャビネット構造では、収納空間の前半分だけシャッターを開閉させて開くことができるが、後方側はシャッターが収納されるものであり、そのため、収納キャビネットの収納空間の側面および背面部分は開閉できず、不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、キャビネットの収納空間の側面全周を開閉可能にして、側面のどの位置からでも収納空間内に物を出し入れできて使用が便利な収納キャビネットを提供するものであり、その請求項1は、柱で支持された上板の下方に収納空間が形成され、前記上板の底面の全周にレールが設けられ、該レールに、前記収納空間の側面全周をスライド移動可能に、可動式のシャッターが設けられていることである。
【0005】
また請求項2は、前記上板にはシンクが形成されていることである。
【0006】
また請求項3は、前記上板上に、軸を中心に水平面内で回転し得る天板を設け、該天板により上板上面を覆うことができるように構成したことである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の収納キャビネットは、柱で支持された上板の下方に収納空間が形成され、前記上板の底面の全周にレールが設けられ、該レールに、前記収納空間の側面全周をスライド移動可能に、可動式のシャッターが設けられていることにより、シャッターを開閉させて、収納キャビネットの側面のどの位置からでも収納空間内に物を出し入れできるものとなる。
【0008】
また、前記上板にはシンクが形成されていることにより、シンク内で洗い物等を行うことができ、キッチンキャビネットとして有効に使用することができるものとなる。
【0009】
また、前記上板上に、軸を中心に水平面内で回転し得る天板を設け、該天板により上板上面を覆うことができるように構成したことにより、上板上面を覆うように天板を回転させて、良好にシンクの上面を蓋することができ、また、天板を回転させてシンクを開放させ、シンク内に水を溜めて洗い物に使用することができ、また、天板上では調理等を行うことができるものとなる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、アイランドタイプのキッチンキャビネットの斜視図であり、また図2は、図1のキッチンキャビネットの一部縦断面構成図であり、また図4は、キッチンキャビネットの平面図であり、更に図5は、キッチンキャビネットの収納空間を水平方向に切断した断面構成図である。
【0011】
図において、キッチンキャビネット1の上面は、上板2で構成されており、この上板2は、その外周に一体で立ち上げられて全周に外周立片2aが形成されて、外周立片2aの内側が水を溜めることのできるシンク3となっており、このシンク3は、底の浅い浅底部3aと、一部深く形成された深底部3bで構成され、深底部3bには排水口4が開口されている。
【0012】
この上板2は、図4の平面図で示すように、3方に湾曲状に突出した湾曲突部P1,P1,P1が形成されており、各湾曲突部P1,P1間は緩やかに凹み状に内側へ湾曲する湾曲凹部P2,P2,P2で連続されて、平面視変形三角形状に形成されている。
また、キッチンキャビネット1の底面側は、底板5で形成され、この底板5の外周全域には、上方へ一体で立ち上げて外周立片5aが形成されており、この底板5は図5に示すように、前記上板2と同様な3方向に突出する湾曲突部P1,P1,P1間が緩やかな湾曲凹部P2,P2,P2で連続されて、上板2と同一の平面形状に形成されている。
【0013】
この底板5の3方の湾曲突部P1,P1,P1のそれぞれの内側には、垂直に柱6a,6b,6cが立設されており、各柱6の上端に前記上板2の底部が組み付けられている。即ち、3本の柱6a,6b,6cにより上板2は水平に支持されている。
この上板2の底面と底板5間には収納空間Sが形成されており、この収納空間S内には、例えば2段の上部棚14aと下部棚14bが上下に間隔をおいてそれぞれ水平に配置されている。即ち、上部棚14aは、柱6a,6b間にその両端が支持されており、また下部棚14bは、柱6a,6c間にその両端が支持されて、上部棚14aと下部棚14bは、それぞれ平面視略ブーメラン状に形成されたものである。
【0014】
前記上板2内に形成されたシンク3の上面には、水平面内で回転可能に天板9が設けられている。
この天板9は、シンク3のほぼ中央部から立ち上がる軸管7から、3方向にそれぞれ略水平に延出された3本の支持アーム8上に略水平に載置されたものであり、天板9は透明な板材あるいは不透明な板材で上板2とほぼ同一の平面形状に形成されており、3方に突出する湾曲突部P1,P1,P1間が湾曲凹部P2,P2,P2で連続された形状に形成されている。
この天板9を軸管7を中心として水平面内で回転させることにより、天板9を上板2上に整合させると、シンク3の上面が天板9で覆われることとなり、使用しない時にはシンク3を天板9で隠して、天板9上を机代わりに使用することもできるものである。
また、シンク3を使用する場合には、天板9を回転させてシンク3の上面を開放させ、シンク3内で良好に洗い物をすることができ、また、天板9上を調理台として使用して、調理を良好に行うことができるものである。
【0015】
なお、軸管7内には、キッチンキャビネット1が設置された床面から立ち上げた給水管11が内装されており、更に、軸管7内には電気配線13等が内装されている。
軸管7から略水平方向へ延びて複数の枝管10,10,10が上下方向に間隔をおいて設けられており、この枝管10の内、下方側の枝管は吐水口10aとして使用されるものであり、この吐水口10aには給水管11が接続されており、吐水口10aからシンク3内へ吐水を行うことができる。
また、その上方の枝管10bには、例えば複数のLEDランプ13a,13aを設けておけば、電気配線13をつないで、照明ランプとして使用することができるものである。
【0016】
なお、その他の枝管10は、図6に示すように、コップ20等の食器やフライ返し21等の調理器具を掛止するために良好に使用することができるものであり、先端側に上傾した上傾部10cを枝管に一体形成させておけば、コップ20等の脱落を良好に防ぐことができるものとなる。
なお、調理等を行う際、あるいは机等として使用する場合に、前述した湾曲凹部P2,P2,P2が3方に形成されているため、人がキッチンキャビネット1に近づき易く、それぞれの湾曲凹部P2内に体を近づけて良好に使用することができ、3方からそれぞれ人が湾曲凹部P2内に近寄って作業を行うことができるものとなる。
【0017】
なお、収納空間Sの側面を覆蓋するために、シャッター16a,16bが設けられており、シャッター16a,16bは、前記上板2の底面にレール15a,15bを設けて吊り下げても良く、また、底板5の上面にもレール15a,15bを設けて、上下のレール間に設けても良い。
【0018】
シャッター16a,16bは、例えば図2および図3の拡大縦断面図で示すように、上板2の底面および底板5の上面にそれぞれ外レール15aと内レール15bを形成させておき、外レール15aに沿ってスライド移動できる外側シャッター16aと、内レール15bに沿ってスライド移動できる内側シャッター16bで構成することができ、図5に示すように、3方の湾曲突部P1,P1,P1に沿って、その内側に外側シャッター16a,16a,16aをそれぞれ配置させておき、また、3方の湾曲凹部P2,P2,P2の内側にそれぞれ内側シャッター16b,16b,16bを設けておくことができ、外側シャッター16aに対し内側シャッター16bを内レール15bに沿ってスライド移動させることにより、良好に湾曲凹部P2の位置を開閉させて、収納空間S内にこの位置から物を出し入れできるものである。
また、各外側シャッター16aを外レール15aに沿ってスライド移動させることにより、それぞれの湾曲突部P1の位置からでも収納空間S内に物を出し入れすることができるものとなり、キッチンキャビネット1の側面全周の何れの位置からでも、収納空間S内に物を出し入れして使用することができ、使用が極めて良好なものとなる。
【0019】
なお、外側シャッター16aと内側シャッター16bは、それぞれ透明な素材で形成させておくことができるが、白色等の他の色付きのものであっても良く、更に、半透明の素材であれば、内側シャッター16bに対し外側シャッター16aが重なる部分では色が変わるため、意匠性を向上させることができるものとなる。
また、透明あるいは半透明の素材でシャッター16a,16bが構成されている場合は、収納空間S内に照明ランプ等を配設しておけば、照明ランプからの光が内側シャッター16bおよび外側シャッター16aを通して外側へ漏れて、演出照明効果が得られるものとなる。
なお、図2中12は、シンクの排水口4に連通された排水管であるが、この排水管12も軸管7内にコンパクトに収納させた構成とすることもできる。
【0020】
なお、本例のキッチンキャビネット1は、天板9と上板2と底板5とシャッター16a,16bを組み立てたものであり、分解することにより、それぞれの部材が板状となり、重ね合わせることができて、運搬や保管時に嵩張らないものとなる。
なお、本例では、上板2にシンク3を形成したキッチンキャビネット1について例示しているが、シンクを有さない板状の上板2で構成して、作業台等にも使用することができ、上板2の下方の収納空間Sを側面のどの位置からでも開閉させて使用することができるものとなる。
なお、底板5の存在しない構造のものであっても良く、この場合は、柱6a,6b,6cが床面に当接して、柱6a,6b,6cにより上板2が支持されることとなる。
【0021】
なお、図7に平面図で示すものは、シャッターを一重にした場合であり、レール15aは1本のみで構成され、シャッター16aがそれぞれ3方に配置されて、通常は例えばそれぞれの湾曲凹部P2の部分が開放された状態となるように設計したものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】キッチンキャビネット(収納キャビネット)の斜視構成図である。
【図2】図1のキッチンキャビネットの一部縦断面構成図である。
【図3】図2のシャッターの部分の拡大断面構成図である。
【図4】キッチンキャビネットの平面構成図である。
【図5】キッチンキャビネットの収納空間を水平に切断した断面構成図である。
【図6】軸管に形成された枝管にコップ等を掛止した状態の斜視構成図である。
【図7】シャッターを一重構造にした場合の図5に対応する水平断面構成図である。
【符号の説明】
【0023】
1 キッチンキャビネット
2 上板
2a 外周立片
3 シンク
3a 浅底部
3b 深底部
4 排水口
5 底板
5a 外周立片
6a,6b,6c 柱
7 軸管(軸)
8 支持アーム
9 天板
10 枝管
10a 吐水口
11 給水管
12 排水管
13a 照明ランプ
14a,14b 棚
15a 外レール
15b 内レール
16a 外側シャッター
16b 内側シャッター
P1 湾曲突部
P2 湾曲凹部
S 収納空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱で支持された上板の下方に収納空間が形成され、前記上板の底面の全周にレールが設けられ、該レールに、前記収納空間の側面全周をスライド移動可能に、可動式のシャッターが設けられていることを特徴とする収納キャビネット。
【請求項2】
前記上板にはシンクが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の収納キャビネット。
【請求項3】
前記上板上に、軸を中心に水平面内で回転し得る天板を設け、該天板により上板上面を覆うことができるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の収納キャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−18064(P2009−18064A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183746(P2007−183746)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(506178081)學校法人國民大學校 (6)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】