説明

収納ケース及び収納ケース付きプリンタ

【課題】外部ケーブル部品を内部に収納した状態で電子機器に対する外部ケーブル部品の電気的な接続を行いながら簡便な取り付けを行うことができ、組立性を向上すること。
【解決手段】天壁部31と下方に開口した周壁部33とを有し、外部ケーブル部品20のうち一端側コネクタ部23a、25a、26aを引出口40から引き出させた状態で外部ケーブル部品を収納空間Sに収納するケース本体30と、外部ケーブル部品を保持する保持部45と、外部ケーブル部品のうち他端側コネクタ部24aを保持するコネクタ保持部と、ケース本体と筐体3とを相対移動させながら組み合わせることで天壁部上に筐体を載置させた状態で該筐体に嵌合される嵌合部60と、を備え、ケース本体には他端側コネクタ部を天壁部上に露出させる開口部が形成され、他端側コネクタ部が前記嵌合と同時に被電気接続部に対して接続される収納ケース4を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に接続される電源ケーブルや通信ケーブル等の外部ケーブル部品を収納する収納ケース、及びそれを備えた収納ケース付きプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
POSレジスタ等に好適に用いられるサーマルプリンタ等の電子機器には、一般的に外部ケーブル部品(電源ケーブルやその他の機器との間で通信を行うための通信ケーブル等)が挿抜自在に接続されている。そのため、これら外部ケーブル部品が電子機器の周辺で乱雑化し易く、美観性の低下や各種作業の妨げを招き易かった。
例えば、サーマルプリンタの場合には、飲食店舗等の会計レジに設置される場合が多いが、人目につき易いので外部ケーブル部品が乱雑化していると好ましくない。また、会計作業の邪魔になり易いものであった。
【0003】
そこで、外部ケーブル部品を内部に収納して上記不都合を生じ難くさせることが可能なものとして、電源アダプタ収納体が知られている(特許文献1参照)。
この電源アダプタ収納体は、サーマルプリンタに対して装着可能とされており、電源アダプタと、電源アダプタとAC電源とを接続するACコードと、電源アダプタとサーマルプリンタとを接続する電源アダプタコードと、からなる電源ケーブル部品(外部ケーブル部品)のうち、電源アダプタ及び電源アダプタコードの大部分を内部に収納することが可能とされている。
【0004】
より具体的には、電源アダプタ収納体は、底壁部と周壁部とで上方に開口した有底状ケースであり、周壁部の上端縁にはサーマルプリンタの底面に嵌合可能な嵌め合い部が形成されている。また、周壁部には、内部に収納された電源アダプタに対してACコードを接続させるための開口部が形成されている。また、電源アダプタコードのプラグ側は、周壁部を通じて外部に引き出されており、サーマルプリンタの背面側に形成されたプラグ受け部に接続される。
【0005】
このように構成された電源アダプタ収納体とサーマルプリンタとを組み合わせる場合には、まず電源アダプタ及び電源アダプタコードを電源アダプタ収納体の内部に収納する。次いで、電源アダプタ収納体に対してサーマルプリンタを上方から重ね合わせると共に、嵌め合い部を利用して両者を嵌合固定する。そして最後に、電源アダプタコードのプラグをサーマルプリンタのプラグ受け部に接続すると共に、開口部を通じてACコードを電源アダプタに接続して終了する。
特に、電源ケーブル部品のうち、電源アダプタ及び電源アダプタコードを内部に収納できるので、乱雑化を抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3935291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電源アダプタ収納体では、電源アダプタ及び電源アダプタコードを収納した後、サーマルプリンタを上方から重ね合わせながら上記嵌合作業を行う必要があるので、電源アダプタコードの膨らみ等の影響を受け易く、組立性に課題が残されている。
また、電源アダプタ収納体とサーマルプリンタとを組み合わせた後に、電源アダプタコードとサーマルプリンタとを接続させる作業が必要になるので、手間がかかり、この点においても組立性に課題がある。
更に、電源アダプタ収納体とサーマルプリンタとを組み合わせる際に、電源アダプタコードを挟み込んでしまう恐れもあった。
加えて、電源アダプタコードのプラグ部分が露出しているので、サーマルプリンタの背面に通信ケーブル等の他の外部ケーブル部品を接続する場合、これらが電源アダプタコードによって乱され易く乱雑化する可能性もあった。
【0008】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、外部ケーブル部品を内部に収納した状態で、電子機器に対する外部ケーブル部品の電気的な接続を行いながら簡便な取り付けを行うことができ、組立性に優れた収納ケースを提供することである。また、この収納ケースを具備する収納ケース付きプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係る収納ケースは、電子機器が内蔵されると共に被電気接続部が形成された筐体に対して離脱自在に装着され、前記被電気接続部に対して挿抜自在に接続される外部ケーブル部品を収納する収納ケースであって、前記筐体が載置される天壁部と、該天壁部に連設されると共に下方に開口した周壁部と、を有し、前記外部ケーブル部品のうち一端側コネクタ部を周壁部に形成された引出口を通じて外部に引き出させた状態で、該外部ケーブル部品を収納させる収納空間が内側に形成されたケース本体と、前記外部ケーブル部品を前記収納空間内で離脱自在に保持する保持部と、前記外部ケーブル部品のうち他端側コネクタ部を前記収納空間内で離脱自在に保持するコネクタ保持部と、前記ケース本体に設けられ、該ケース本体と前記筐体とを相対移動させながら組み合わせることで、前記天壁部上に筐体を載置させた状態で該筐体に嵌合される嵌合部と、を備え、前記ケース本体には、前記コネクタ保持部で保持された前記他端側コネクタ部を前記天壁部上に露出させる開口部が形成され、前記他端側コネクタ部が、前記嵌合と同時に前記被電気接続部に対して接続されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る収納ケースによれば、ケース本体と筐体とを相対的に移動させながら組み合わせることで、ケース本体の嵌合部を筐体に嵌合させることができ、ケース本体の天壁部上に筐体を載置させた状態で該筐体に対してケース本体を装着することができる。しかもこれと同時に、外部ケーブル部品の他端側コネクタ部を筐体に形成された被電気接続部に対して接続させることができるので、外部ケーブル部品と電子機器との電気的な接続を同時に行うことができる。
【0011】
このように、収納ケースと筐体との機械的な組立と同時に、外部ケーブル部品と電子機器との電気的な接続を行うことができるので、取り付け作業が簡便であり組立性の向上化を図ることができる。
特に、ケース本体の天壁部上に筐体が載置された状態で組み合わされるので、従来のものとは異なり、外部ケーブル部品の膨らみ等に影響されることなく組立を行うことができるうえ、外部ケーブル部品を挟み込んでしまう恐れもない。また、ケース本体は下方に開口しているので、外部ケーブル部品からの熱を電子機器に対して影響を与え難くしながら、効率良く放熱することができる。
【0012】
(2)上記本発明に係る収納ケースにおいて、前記嵌合部が、前記天壁部に形成され、天壁部上に前記筐体を載置させたときに該筐体に形成された被嵌合部が挿通される嵌合孔とされ、前記載置状態で前記ケース本体と前記筐体とを相対的にスライド移動させることで、前記被嵌合部と前記嵌合孔とが嵌合し合っても良い。
【0013】
この場合には、ケース本体の天壁部上に筐体を載置させたまま、両者を相対的にスライド移動させることで被嵌合部と嵌合部とを嵌合させることができるので、組立をより簡便に行うことができる。
【0014】
(3)上記本発明に係る収納ケースにおいて、前記周壁部には、前記外部ケーブル部品のうち前記引出口を通じて引き出される部分の外方への抜けを規制する抜け止め部が設けられていても良い。
【0015】
この場合には、外部ケーブル部品のうち引出口を通じて引き出される部分の外方への抜けを規制することができるので、例えば外部ケーブル部品が引っ張られる等して、他端側コネクタ部が被電気接続部から抜けてしまう等の接続不良が生じ難い。
【0016】
(4)上記本発明に係る収納ケースにおいて、前記引出口が、前記周壁部に複数形成されていると共に、該周壁部の下端縁側に開口したスリット状とされていても良い。
【0017】
この場合には、引出口がスリット状に形成されているので、外部ケーブル部品をケース本体内の収納空間に収納する際に、一端側コネクタ部を外部に引き出し易い。従って、組立性をより向上させることができる。しかも、引出口が複数形成されているので、任意に選択した引出口から引き出すことができ、一端側コネクタ部を自由に引き回すことが可能となる。
【0018】
(5)本発明に係る収納ケース付きプリンタによれば、上記本発明に係る収納ケースと、前記筐体と、を備え、前記電子機器が、プリンタであることを特徴とする。
【0019】
この場合には、プリンタに必要な各種の外部ケーブル部品を収納ケース内に収納できるので、例えば会計レジ等に設置したとしても、美観性の低下を抑制することができるうえ、会計作業等の妨げになることを防止し易い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、外部ケーブル部品を内部に収納した状態で、電子機器に対する外部ケーブル部品の電気的な接続を行いながら簡便な取り付けを行うことができ、組立性を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る収納ケース付きプリンタの実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すサーマルプリンタの平置き姿勢状態における外観斜視図である。
【図3】図2に示すサーマルプリンタを背面側から見た斜視図である。
【図4】図1に示す状態から、収納ケース内に外部ケーブル部品を収納した状態を示す平面図である。
【図5】図4に示すA−A線に沿った断面図である。
【図6】図4に示す収納ケースの平面図である。
【図7】図6に示すB−B線に沿った断面図である。
【図8】図6に示す状態から、電源ケーブル部品のジャック部、USB通信ケーブルのジャック部、ドロア通信ケーブルのジャック部を収納ケースのジャック固定部に嵌め込んで固定させた状態を示す図である。
【図9】図8に示す状態から、収納ケースの天壁部上にケーシングを載置して、ケーシングの脚部を天壁部の嵌合孔内に挿通させた状態を示す図である。
【図10】図9に示す状態から、収納ケースとケーシングとを相対的にスライド移動させて、脚部と嵌合孔とを嵌合させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態ついて図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、電子機器の一例としてサーマルプリンタを例に挙げて説明する。
【0023】
(収納ケース付きプリンタの構成)
図1に示すように、本実施形態の収納ケース付きプリンタ1は、サーマルプリンタ2が内蔵されたケーシング(筐体)3と、該ケーシング3に対して離脱自在に装着される収納ケース4と、を備えている。
【0024】
なお、図1は収納ケース付きプリンタ1を下方から見た分解斜視図であり、上下方向が逆転している。本実施形態では、この図1に示す状態において前後方向L1、左右方向L2及び上下方向L3を定義する。即ち、図1の収納ケース4側(紙面に対して上側)を下方、サーマルプリンタ2側(紙面に対して下側)を上方とする。従って、各図においては上下が適宜逆転する。また、図1の左側を前方、右側を後方とする。
【0025】
はじめに、上記サーマルプリンタ2について説明する。
このサーマルプリンタ2は、図2及び図3に示すように、図示しないロール紙から引き出された記録紙(感熱紙)Pに印刷を行って、該記録紙Pをチケットやレシート等として利用することができるプリンタであって、上述したようにケーシング3内に収められている。
【0026】
ケーシング3は、プラスチックや金属材料或いはこれらを組み合わせて略箱型に形成されており、その内部にはロール紙が収納される図示しないロール紙収納部が設けられている。なおロール紙収納部は、プリンタカバー10を開けることで開放される。
【0027】
ケーシング3の上面3aには、プリンタカバー10が開閉可能に連結されている。そして上記したように、このプリンタカバー10を開けたときにロール紙収納部が開放され、ロール紙を内部に投入したり内部から取り出したりすることが可能とされている。
また、プリンタカバー10の閉状態時、プリンタカバー10自身の先端とケーシング3との間に若干の隙間が開くように設計されており、この隙間を利用してケーシング3の内部から記録紙Pを外部に引き出すことが可能とされている。つまり、この隙間は記録紙Pの排出口11として機能する。
【0028】
ケーシング3の内部には、図示しないサーマルヘッド及びプラテンローラが組み込まれており、印字した記録紙Pを上記排出口11から排出させている。また、上記プリンタカバー10は、図示しないラッチによってロックがなされるようになっている。そのためこのロックを解除しない限り、プリンタカバー10の開操作が不能とされている。そしてこのロックは、ケーシング3に設けられた操作部12を押し下げ操作することで解除がなされる。この操作部12は、ケーシング3の上面3a、前面3b及び一方の左右面3cがそれぞれ交差する角部に配設されている。
【0029】
また、ケーシング3内には、各種の電子部品が実装された図示しない回路基板が取り付けられている。この回路基板は、例えばケーシング3の前面3bに設けられた作動ボタン13等の入力に応じて、サーマルヘッドに電気信号や制御信号を出力する等して、各構成品の総合的な制御を行っている。
また、ケーシング3の背面3dには、上記回路基板に電気的に接続された外部コネクタ部(被電気接続部)15が形成されている。これら外部コネクタ部15は、例えば電源コネクタ15a、ドロアコネクタ15b及びUSBコネクタ15cとされている。
また、図1に示すように、ケーシング3の底面3eには、安定的に平置き姿勢で設置がなされるように、ゴム等からなる脚部(被嵌合部)16が設けられている。
【0030】
上記収納ケース4は、図1、図4及び図5に示すように、上記ケーシング3に対して離脱自在に装着され、上記各外部コネクタ部15に対して挿抜自在に接続される外部ケーブル部品20、即ち、電源ケーブル部品21、USB通信ケーブル25及びドロア通信ケーブル26を収納するものであって、これらを収納させる収納空間Sが内側に形成されたケース本体30を備えている。
【0031】
ここで、電源ケーブル部品21、USB通信ケーブル25及びドロア通信ケーブル26について、簡単に説明する。
電源ケーブル部品21は、ACアダプタ22と、該ACアダプタ22に挿抜可能に接続されたACケーブル23と、ACアダプタ22から延びたACアダプタケーブル24と、から構成されている。
ACケーブル23の端部は、図示しないAC電源に挿抜自在に接続されるプラグ部23aとされ、一端側コネクタ部として機能する。これに対して、ACアダプタケーブル24の端部は、ケーシング3に形成された電源コネクタ15aに挿抜自在に接続されるジャック部24aとされ、他端側コネクタ部として機能する。
【0032】
USB通信ケーブル25は、一方の端部が図示しない他の外部機器に挿抜自在に接続されるジャック部(一端側コネクタ部)25aとされ、他方の端部がケーシング3に形成されたUSBコネクタ15cに挿抜自在に接続されるジャック部(他端側コネクタ部、図8参照)25bとされている。
同様に、ドロア通信ケーブル26は、一方の端部が図示しない他の外部機器に挿抜自在に接続されるジャック部(一端側コネクタ部)26aとされ、他方の端部がケーシング3に形成されたドロアコネクタ15bに挿抜自在に接続されるジャック部(他端側コネクタ部)26bとされている。
【0033】
上記ケース本体30は、図1、図4から図7に示すように、ケーシング3が載置される天壁部31と、該天壁部31よりも上方に位置する頂壁部32と、これら天壁部31及び頂壁部32に連設されると共に下方に開口した周壁部33と、で概略段付きの有頂筒状に形成されている。これら天壁部31、頂壁部32及び周壁部33で形成される内側空間が上記収納空間Sとして機能する。
【0034】
天壁部31は、ケーシング3の底面3eと略同じサイズとされていると共に、その載置面(上面)はフラット面とされている。そのため、ケーシング3を天壁部31上に安定して載置することが可能とされている。
頂壁部32は、上記したように天壁部31よりも上方に位置している。具体的には、ケーシング3を天壁部31上に載置した際、外部コネクタ部15よりも上方に位置するように設計されている。また、天壁部31と頂壁部32との間には開口部35が形成されており、開口部35を通じて収納空間Sと外部コネクタ部15とが連通している。
【0035】
周壁部33は、上記開口部35を除いて天壁部31及び頂壁部32によって上方が塞がれ、下方に開口している。この周壁部33の一部には、前方側に位置する部分において底壁部36が連設されており、ゴム等からなる2つの脚部37が形成されている。また、周壁部33の下端縁には、後方側に位置する部分において2つの凸部38が左右方向L2に向かい合うように形成されている。
収納ケース4は、これら2つの脚部37と2つの凸部38とによって、図示しない設置面に対して安定に設置可能とされていると共に、周壁部33の下端縁と設置面との間に若干の隙間が確保されて収納空間Sと外部とが連通するようになっている。
なお、底壁部36には、収納ケース4を壁掛け可能とさせる2つの壁掛け孔39が形成されている。
【0036】
また、周壁部33には、電源ケーブル部品21のプラグ部23a、USB通信ケーブル25のジャック部25a、ドロア通信ケーブル26のジャック部26aをそれぞれ収納ケース4の外部に引き出させる複数の引出口40が形成されている。具体的には、頂壁部32に連設される部分における後方側に1箇所、左右方向L2に向かい合った2箇所の計3箇所に形成されている。これら各引出口40は、周壁部33の下端縁側に開口したスリット状に形成されている。
また、周壁部33には、後方側に位置する引出口40を間に挟むように、収納空間S側に突出する縦リブ(抜け止め部)41が形成されている。この縦リブ41は、引出口40を間に挟んで向かい合った状態で上下方向L3に延在しており、電源ケーブル部品21のうち引出口40を通じて引き出される部分であるACケーブル23の外方への抜けを規制している。
【0037】
ところで上記した収納ケース4には、外部ケーブル部品20、即ち電源ケーブル部品21、USB通信ケーブル25及びドロア通信ケーブル26を収納空間S内で離脱自在に保持する保持部45と、これら外部ケーブル部品20のうち、ACアダプタケーブル24のジャック部24a、USB通信ケーブル25のジャック部25b、ドロア通信ケーブル26のジャック部26bを収納空間S内で離脱自在に保持するコネクタ保持部46と、が設けられている。
【0038】
この点について詳細に説明する。
天壁部31の下面には、下方に向かって2つの板ばね状の保持板50が突設されている。これら保持板50は、天壁部31における左右方向L2の略中央部において、前後方向L1に沿って間隔を開けて並んで配置されている。保持板50の先端部には、周壁部33に向けて突出した爪部51が形成されている。また、周壁部33のうち保持板50に対して向かい合う部分には、保持板50に向けて突出した爪部52が形成されている。なお、周壁部33に形成された爪部52と保持板50の爪部51とは、同じ高さに位置するように形成されている。
【0039】
そして、保持板50と周壁部33との間の部分に電源ケーブル部品21のACアダプタ22を収納することが可能とされていると共に、収納時に各爪部51、52がACアダプタ22に係合して該ACアダプタ22を保持することが可能とされている。
【0040】
更に、天壁部31の下面には、上記2つの保持板50に隣接して板ばね状の一対のバンド板53が下方に向かって突設されている。このバンド板53は左右方向L2に向かい合うように配置されており、その先端部は相手側のバンド板53に向けて互いに鉤状に折れ曲がっている。
そして、このバンド板53の間に電源ケーブル部品21のACアダプタケーブル24を収納することが可能とされていると共に、収納時に該ケーブル24を挟み込みながらバンドして保持することが可能とされている。
【0041】
なお、上述した爪部51を有する保持板50、周壁部33に形成された爪部52、及びバンド板53が、上記した保持部45として機能する。
なお、本実施形態では、バンド板53を利用して主にACアダプタケーブル24を保持している場合を図示しているが、同時にUSB通信ケーブル25やドロア通信ケーブル26を保持しても構わない。
【0042】
また、頂壁部32の下面には、左右方向L2に間隔を開けてACアダプタケーブル24のジャック部24aを保持するジャック固定部55、ドロア通信ケーブル26のジャック部26bを保持するジャック固定部56、USB通信ケーブル25のジャック部25bを保持するジャック固定部57が設けられている。
【0043】
これら各ジャック固定部55、56、57は下方に開口しており、図8に示すように、各ジャック部24a、25b、26bを嵌め込むことが可能とされている。また各ジャック固定部55、56、57は、各ジャック部24a、25b、26bの形状に倣って形成されており、嵌め込まれたジャック部24a、25b、26bをがたつき少なく保持可能とされている。
なお、これら各ジャック固定部55、56、57は天壁部31の下面に形成されているので、保持された各ジャック部24a、25b、26bはその先端部が上記した開口部35を通じて天壁部31上に露出させられるようになっている。
【0044】
ところで、図1、図6及び図9に示すように、天壁部31には該天壁部31上にケーシング3を載置させたときにこのケーシング3の底面3eに形成された4つの脚部16がそれぞれ挿通される嵌合孔(嵌合部)60が形成されている。なお、図示の例では、2つの嵌合孔60については底壁部36に隠れた状態となっている。
嵌合孔60は、平面視略8の字状に形成され、ケーシング3を天壁部31に載置したままケース本体30とケーシング3とを相対的にスライド移動させることで、図10に示すように脚部16に嵌合がなされるようになっている。
【0045】
この嵌合によってケーシング3に対して収納ケース4が装着され、一体的に組み合わせがなされる。また、これと同時に、開口部35を通じて天壁部31上に露出している各ジャック部24a、25b、26bは、ケーシング3の背面3dに形成されている電源コネクタ15a、ドロアコネクタ15b及びUSBコネクタ15cに対してそれぞれ接続がなされるようになっている。
【0046】
(ケーシングと収納ケースとの組立)
次に、上述したように構成されたサーマルプリンタ2のケーシング3と収納ケース4とを組み合わせる場合について説明する。
はじめに、図1及び図8に示すように、ACアダプタケーブル24のジャック部24a、USB通信ケーブル25のジャック部25b、ドロア通信ケーブル26のジャック部26bを、それぞれ天壁部31に設けられた各ジャック固定部55、56、57に嵌め込んで固定させる。これにより、各ジャック部24a、25b、26bはがたつき少なく確実に保持されると共に、その先端側は開口部35を通じて天壁部31上に露出した状態となる。
【0047】
そして、USB通信ケーブル25及びドロア通信ケーブル26については、周壁部33に形成された引出口40を介してケース本体30の外部に引き出し、図1に示すように外部機器に接続されるジャック部25a、26a側を収納ケース4の外部に出しておく。
【0048】
次いで、電源ケーブル部品21のACアダプタ22を保持板50と周壁部33との間に嵌め込む。これにより、周壁部33に形成された爪部52、及び保持板50の爪部51がACアダプタ22に係合するので、ACアダプタ22が天壁部31の下面に当接した状態で確実に保持される。また、このACアダプタ22の固定作業に前後して、電源ケーブル部品21のACアダプタケーブル24を一対のバンド板53の間に嵌め込む。これにより、バンド板53がACアダプタケーブル24をバンドするので、ACアダプタケーブル24が天壁部31の下面に当接した状態で確実に保持される。
また、ACアダプタ22に接続されているACケーブル23については、周壁部33に形成されている後方側の引出口40から外部に引き出し、AC電源に接続されるプラグ部23aを収納ケース4の外部に出しておく。
【0049】
以上により、収納ケース4内の収納空間Sに、AC電源に接続されるプラグ部23a、外部機器に接続されるジャック部25a、26aをそれぞれ引き出した状態で、電源ケーブル部品21、USB通信ケーブル25及びドロア通信ケーブル26を収納することができる。
【0050】
次いで、収納ケース4とサーマルプリンタ2のケーシング3とを一体的に組み合わせる作業を行う。
まず、収納ケース4の天壁部31上にケーシング3の底面3eを重ね合わせて載置させる。これにより、ケーシング3の底面3eに形成された4つの脚部16が、図9に示すように、天壁部31に形成された嵌合孔60内に挿通される。なお、図9では、図示を見易くするためにACアダプタ22及びACアダプタケーブル24を取り外した状態で図示している。図10も同様である。
そして、天壁部31上にケーシング3を載置させたまま、ケーシング3と収納ケース4とを相対的にスライド移動させることで、図10に示すように脚部16と嵌合孔60とを嵌合させることができ、ケーシング3に対して収納ケース4を装着することができる。
【0051】
しかもこれと同時に、図5に示すように、ACアダプタケーブル24のジャック部24a、USB通信ケーブル25のジャック部25b、ドロア通信ケーブル26のジャック部26bを、ケーシング3の背面3dに形成された電源コネクタ15a、USBコネクタ15c、ドロアコネクタ15bに対してそれぞれ接続させることができるので、各外部ケーブル部品20(電源ケーブル部品21、USB通信ケーブル25、ドロア通信ケーブル26)とサーマルプリンタ2との電気的な接続を同時に行うことができる。
【0052】
このように、収納ケース4とケーシング3との機械的な組立と同時に、外部ケーブル部品20とサーマルプリンタ2との電気的な接続を同時に行うことができるので、取り付け作業が間便であり組立性の向上化を図ることができる。
なお本実施形態では、図1、図4、図5及び図10に示すように、最後に補助的に固定ねじ65を利用して収納ケース4とケーシング3とを締結して組立が終了する。
【0053】
特に、ケース本体30の天壁部31上にケーシング3が載置された状態で組み合わされるので、従来のものとは異なり、電源ケーブル部品21、USB通信ケーブル25及びドロア通信ケーブル26の膨らみ等に影響されることなく組立を行うことができるうえ、これらを挟み込んでしまう恐れもない。また、ケース本体30は下方に開口しており、収納空間Sと外部とが連通しているので、電源ケーブル部品21、USB通信ケーブル25及びドロア通信ケーブル26から熱、特にACアダプタ22からの熱をサーマルプリンタ2に対して影響を与え難くしながら、効率良く放熱することができる。
【0054】
また、本実施形態の収納ケース付きプリンタ1によれば、例えば会計レジ等に設置したとしても、電源ケーブル部品21、USB通信ケーブル25、ドロア通信ケーブル26がそれぞれ収納ケース4内に収納されて隠されているので、美観性の低下を抑制することができるうえ、会計作業等の妨げになることを防止し易い。
なお、収納ケース4の底壁部36には壁掛け孔39が形成されているので、会計レジ等において壁掛け固定することも可能である。この場合であっても、上記作用効果を奏効することが可能である。
【0055】
また、電源ケーブル部品21のACケーブル23は、周壁部33に設けられた縦リブ41によって抜け止めがなされているので、例えばACケーブル23が引っ張られる等してもACケーブル23がACアダプタ22から抜けてしまう等の接続不良が生じ難い。
同様に、ACアダプタケーブル24のジャック部24a、USB通信ケーブル25のジャック部25b、ドロア通信ケーブル26のジャック部26bについても、各ジャック固定部55、56、57に固定されているので、電源コネクタ15a、USBコネクタ15c及びドロアコネクタ15bから抜けてしまう等の接続不良が生じ難い。
【0056】
また、上記実施形態において、USB通信ケーブル25とドロア通信ケーブル26とを共通の引出口40から引き出したが、異なる引出口40から引き出しても構わない。引出口40が3つ形成されているので、任意に選択した引出口40から引き出すことができ、自由に各ケーブルの引き回し作業を行うことができる。特に、いずれかの引出口40から引き出したとしても、引出し高さが同一であるので、引き出した外部ケーブル部品20を束ね易く、乱雑化を効果的に抑制し易い。
【0057】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、電子機器の一例としてサーマルプリンタ2を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、他の電子機器であっても構わない。
また、ケーシング3をケース本体30の天壁部31上に載置させた状態で、ケーシング3と収納ケース4とをスライド移動させることで組立を行ったが、スライド移動に限定されるものではなく、ケーシング3と収納ケース4とを相対移動させながら組み合わせることで組立を行っても構わない。
【符号の説明】
【0059】
S…収納空間
1…収納ケース付きプリンタ
2…サーマルプリンタ(電子機器)
3…ケーシング(筐体)
4…収納ケース
15…外部コネクタ部(被電気接続部)
16…脚部(被嵌合部)
20…外部ケーブル部品
23a…ACケーブルのプラグ部(一端側コネクタ部)
24a…ACアダプタケーブルのジャック部(他端側コネクタ部)
25a…USB通信ケーブルのジャック部(一端側コネクタ部)
25b…USB通信ケーブルのジャック部(他端側コネクタ部)
26a…ドロア通信ケーブルのジャック部(一端側コネクタ部)
26b…ドロア通信ケーブルのジャック部(他端側コネクタ部)
30…ケース本体
31…天壁部
33…周壁部
35…開口部
40…引出口
41…縦リブ(抜け止め部)
45…保持部
46…コネクタ保持部
60…嵌合孔(嵌合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器が内蔵されると共に被電気接続部が形成された筐体に対して離脱自在に装着され、前記被電気接続部に対して挿抜自在に接続される外部ケーブル部品を収納する収納ケースであって、
前記筐体が載置される天壁部と、該天壁部に連設されると共に下方に開口した周壁部と、を有し、前記外部ケーブル部品のうち一端側コネクタ部を周壁部に形成された引出口を通じて外部に引き出させた状態で、該外部ケーブル部品を収納させる収納空間が内側に形成されたケース本体と、
前記外部ケーブル部品を前記収納空間内で離脱自在に保持する保持部と、
前記外部ケーブル部品のうち他端側コネクタ部を前記収納空間内で離脱自在に保持するコネクタ保持部と、
前記ケース本体に設けられ、該ケース本体と前記筐体とを相対移動させながら組み合わせることで、前記天壁部上に筐体を載置させた状態で該筐体に嵌合される嵌合部と、を備え、
前記ケース本体には、前記コネクタ保持部で保持された前記他端側コネクタ部を前記天壁部上に露出させる開口部が形成され、
前記他端側コネクタ部は、前記嵌合と同時に前記被電気接続部に対して接続されることを特徴とする収納ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の収納ケースにおいて、
前記嵌合部は、前記天壁部に形成され、天壁部上に前記筐体を載置させたときに該筐体に形成された被嵌合部が挿通される嵌合孔とされ、
前記載置状態で前記ケース本体と前記筐体とを相対的にスライド移動させることで、前記被嵌合部と前記嵌合孔とが嵌合し合うことを特徴とする収納ケース。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の収納ケースにおいて、
前記周壁部には、前記外部ケーブル部品のうち前記引出口を通じて引き出される部分の外方への抜けを規制する抜け止め部が設けられていることを特徴とする収納ケース。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の収納ケースにおいて、
前記引出口は、前記周壁部に複数形成されていると共に、該周壁部の下端縁側に開口したスリット状とされていることを特徴とする収納ケース。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の収納ケースと、
前記筐体と、を備え、
前記電子機器が、プリンタであることを特徴とする収納ケース付きプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−204353(P2012−204353A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64294(P2011−64294)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】