説明

収納家具における引出しの引手装置

【課題】引出し前板の上側に配設された引手体の操作性を改善することができると共に防盗性能が低下しない収納家具における引出しの引手装置を得る。
【解決手段】引出しの引手を引く操作に連動してラッチが解除される引手装置11であって、前板1の上部から下方に離間させた左右方向回転軸17まわりに回動可能な、略水平に左右方向に延びる水平板部12aと、水平板部12aの前端から略垂直に左右方向に延びる垂直板部12bとからなる側面視略L字状の引手体12を前板1の上側に設けるとともに、引手体12の回動による隙間を塞ぐ重合部である、引手体12の水平板部12aの上側において略水平に左右方向に延びる水平カバー体13aと、水平カバー体13aの後端から略垂直に左右方向に延びる垂直カバー体13bとからなる側面視略L字状のカバー体13とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワゴン又は袖キャビネット等の収納家具における引出しの引手装置に係わり、更に詳しくは、引手を引く操作に連動してラッチが解除される引手装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のワゴン又は袖キャビネット等の収納家具において、引出しの引手を引く操作に連動してラッチが解除される引手装置として、前板上縁部の左端から右端に亘って前面側に開口する凹部が形成された引手と、該引手の左右方向の回転軸に対して略垂直な軸を中心に回転可能な第1回転アームと、前記回転軸に平行な軸を中心に回転可能な第2回転アームと、第1回転アームの先端部に支持され収納家具本体の一部と係留する係留爪と、引手に取付けられ該引手の回転動作を第2回転アームに伝達する伝達部材とを具備し、第2回転アームの基端部及び先端部を前記引手に対し略垂直方向に上下に各々折り曲げ成形し、当該基端部を伝達部材の一部に当てるとともに、当該先端部を前記引手に対し略平行方向に折り曲げ成形した前記第1回転アームの基端部に当ててなるもの(例えば、特許文献1参照)等がある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−89220号公報(図4、図5、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の引出しの引手装置においては、引出し前板の上側において、左右方向軸まわりに回動可能な引手の前面側に形成された側面視略U字状の凹部(特許文献1の図4参照)に操作者が指を入れた状態で、該引手を操作することにより、ラッチの解除及び引出しの引き出しがなされる。すなわち、操作者が前記凹部に指を入れた状態で、引手全体を前側に回動させればラッチが解除され、この状態においては引き出しを前方に引き出すことができる。
【0005】
このような引手装置においては、操作者が指を入れる前記凹部の空間が広がらない構造であるため、引手の高さ位置及び引出しの前後ストローク並びに操作者の体格等によっては、操作者の指が前記凹部の側面に当たって前記引手の操作を行いにくい場合がある。また、前記凹部の空間を大きくし過ぎると、商品価値として重要な収納家具前面の美観を損ねることになる。さらに、引出しを閉じた状態で前記引手全体が手前側に回動するため、収納家具の天板及び最上段の引出し間又は上下の引出し間の隙間が拡大して防盗性能が低下し、防犯上問題となる場合がある。
【0006】
本発明は、前記のような問題点を解決するためになされたものであり、引出し前板の上側に配設された引手の操作性を改善することができる収納家具における引出しの引手装置を得ることを目的とする。また、収納家具の天板及び最上段の引出し間又は上下の引出し間の隙間が拡大することがないため、防盗性能が低下しない収納家具における引出しの引手装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る収納家具における引出しの引手装置は、前記課題解決のために、収納家具における引出しの引手を引く操作に連動してラッチが解除される引手装置であって、引出し前板の上部から下方に離間させた左右方向回転軸まわりに回動可能な引手体を前記前板の上側に設けるとともに、該引手体の回動による隙間を塞ぐ重合部が設けられた、前記前板と一体又は別体のカバー体を設けてなるものである。
【0008】
ここで、前記引手体が、略水平に左右方向に延びる水平板部と、該水平板部の前端から略垂直に左右方向に延びる垂直板部とからなる側面視略L字状のものであり、前記カバー体が、前記重合部である、前記引手体の水平板部の上側において略水平に左右方向に延びる水平カバー体と、該水平カバー体の後端から略垂直に左右方向に延びる垂直カバー体とからなる側面視略L字状のものであると好ましい。
【0009】
また、前記回転軸と前記引手体とを連結する連結体を設け、該連結体及び引手体からなる前記回転軸まわりの回動体の重力トルクがラッチが掛かる方向に作用するように構成してなると好ましい。
【0010】
さらに、前記回転軸が、前記連結体と一体に形成された板金加工品の下部左右を左右方向外側に延設してなる板体であり、前記回転軸を支持する回転軸受けが、前記板体に外嵌する円形の孔又は凹部が形成された合成樹脂成形品を、該孔又は凹部を対向させて左右に2個配設したものであると好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る収納家具における引出しの引手装置によれば、収納家具における引出しの引手を引く操作に連動してラッチが解除される引手装置であって、引出し前板の上部から下方に離間させた左右方向回転軸まわりに回動可能な引手体を前記前板の上側に設けるとともに、該引手体の回動による隙間を塞ぐ重合部が設けられた、前記前板と一体又は別体のカバー体を設けてなるので、前記引手体と前記カバー体とが別体であり、前記引手体が回動しても前記カバー体は回動しないため、収納家具の天板及び最上段の引出し間又は上下の引出し間の隙間が拡大することがない。したがって、防盗性能が低下することがない収納家具における引出しの引手装置を得ることができる。また、前記回転軸が前記引手体から下方に離間させた位置に設けられているので、前記引手体を回動させてもその姿勢変化が少なく、前記引手体と前記カバー体の重合部との隙間が殆ど広がらないため、防盗性能が低下することがない。さらに、前記引手体の姿勢変化が少ないため、該引手体の操作性がさらに向上する。
【0012】
また、前記引手体が、略水平に左右方向に延びる水平板部と、該水平板部の前端から略垂直に左右方向に延びる垂直板部とからなる側面視略L字状のものであり、前記カバー体が、前記重合部である、前記引手体の水平板部の上側において略水平に左右方向に延びる水平カバー体と、該水平カバー体の後端から略垂直に左右方向に延びる垂直カバー体とからなる側面視略L字状のものであると、前記引手体と前記カバー体とが別体であり、前記引手体が回動しても前記カバー体は回動しないので、前記引手体を回動させると、操作者が指を入れる、前記側面視略L字状の引手体と前記側面視略L字状のカバー体との側面視略U字状の凹部の空間が広がるため、前記操作者の指が前記引手体又はカバー体に当たって操作が阻害されることがない。
【0013】
さらに、前記回転軸と前記引手体とを連結する連結体を設け、該連結体及び引手体からなる前記回転軸まわりの回動体の重力トルクがラッチが掛かる方向に作用するように構成してなると、引出しを閉じた状態でラッチを収納家具本体の内側面に向かって弾性付勢するばねを弱くすることができる。したがって、軽い力でラッチの解除操作を行うことができるため、前記引手体の操作性が向上する。
【0014】
さらにまた、前記回転軸が、前記連結体と一体に形成された板金加工品の下部左右を左右方向外側に延設してなる板体であり、前記回転軸を支持する回転軸受けが、前記板体に外嵌する円形の孔又は凹部が形成された合成樹脂成形品を、該孔又は凹部を対向させて左右に2個配設したものであると、簡素な構成により回転軸及び回転軸受けを構成することができるため、部品点数削減により低コスト化を図ることができる。また、回転軸が板金製であり回転軸受けが合成樹脂製であるため、前記引手体操作時に摺動等による騒音が発生することがなく、静粛性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、引出しを引き出す方向側(引出しを開ける方向側)を前、その反対側(引出しを閉じる方向側)を後とし、後方に向かって左右を左右とする。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る収納家具における引出しの引手装置が、収納家具の例として示す上下2段の引出しを備えたワゴンに用いられた例を示す縦断左側面図である。また、図2〜図4は引出しの前板及び引手装置の説明図であり、図2は背面図、図3は左側面図、図4は分解斜視図である。また、図5は主にラッチ装置の構成を示す部分縦断背面図、図6は引手装置の動作説明図であり、図6(a)は引出しを閉じたラッチの作動状態を、図6(b)は引手体を回動させたラッチの解除状態を示している。
【0017】
図1において、ワゴン101は、ワゴン本体102と、ワゴン本体102の左右内側面に取付けられたレール並びに該レールに係合するローラ及びスライダー等の組合せからなる案内手段103,103により支持されて前後に開閉可能な、上段引出し104及び下段引出し105等から構成される。また、ワゴン本体102は、後側板106及び左右側板107,107からなる前側を開放してなる平面視略コ字状の側板、該側板の上部前後に取付けられた上框108a及び取付板108b、該側板の下部前後に取付けられた下框109a及び底板109b、上框108a及び取付板108bの上面に取付けられた天板110、並びに、下框109a及び底板109bの下面に取付けられたキャスター111,…等により構成される。該キャスター111,…により、ワゴン101の移動が容易となっている。
【0018】
上段引出し104及び下段引出し105は、前板1の後面に裏カバー2を取付け、その後側に上方に開口する正面視略コ字状の胴板3を取付け、該胴板3の後側に後板4を取付けて物品の収容部を形成している。
【0019】
引出し104,105を閉じてワゴン本体102内に収容した状態では、平面視及び側面視において天板110及び左右の側板107,107により該引出し104,105が隠されるため、すっきりとした外観の印象を与えることができるとともに、後述する樹脂製の引手体12及びカバー体13を保護することができる。
【0020】
また、引出し104,105は、前記のとおり案内手段103,103により支持されて前後に開閉可能とされ、引出し104,105を閉じると、後述するラッチ装置31が作動状態となるため、引越若しくは模様替え等の移動時又は地震時等において、引出し104,105が不意に開くことが防止される。そして、引手体12を引くと、該操作に連動してラッチ装置31が解除状態となる。
【0021】
図2〜図4において、前板1は、鋼板製であり、その上部は、後方に折り曲げられ、その上面には、左右方向軸まわりに回動可能に支持される引手体12との干渉回避用である左右方向に延びる左右の通孔22,22が形成され、該後方折曲部から、さらに、上方、後方及び下方に連続して折り曲げられてカバー体支持部21が形成される(図6も参照)。
【0022】
また、前板1の左右は、後方及び左右方向内側へ連続して折り曲げられて平面視略コ字状とされ、該左右の折曲部の後面側には、回転軸受け14,14取付用の左右の切欠き23,23及び係止孔25,25、並びに、該切欠き23及び係止孔25の下側にはラッチ受け36取付用の切欠き24及び係止孔26が形成される。
【0023】
左右の回転軸受け14,14は、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン又はABS等の合成樹脂製であり、前記左右の切欠き23,23に係合凸部15,15を係合させてスライドさせ、前記係止孔25,25に係止爪16,16を係止させることにより、前板1の裏側の前記左右の平面視略コ字状部内の、引手体12から下方に離間させた位置に、円形の係合凹部14a,14aを対向させた状態で取付けられる。なお、係合凹部14a,14aは円形の孔であってもよい。
【0024】
回転軸受け14,14の係合凹部14a,14aには、該係合凹部14a,14aの内径よりも長さが若干小さい、回転軸を構成する板体17,17が係合する。すなわち、回転軸受け14,14の係合凹部14a,14aが、板体17,17に外嵌する。該板体17,17は、板金加工品である連結体18の下部左右を左右方向外側に延設してなり、連結体18と一体に形成される。
【0025】
このような回転軸受け14,14、回転軸である板体17,17及び連結体18の構成によれば、簡素な構成により回転軸及び回転軸受けを構成することができるため、部品点数削減により低コスト化を図ることができる。また、回転軸17,17が板金製であり回転軸受け14,14が合成樹脂製であるため、引手体12の操作により該回転軸と該回転軸受けが摺動しても騒音が発生することがなく、静粛性を向上することができる。
【0026】
引手装置11は、引出し104,105の前板1の上側において、左右方向軸まわりに回動可能な、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン又はABS等の合成樹脂製の引手体12と、該引手体12の回動による隙間を塞ぐ重合部が設けられた、引手体12と同様の合成樹脂製のカバー体13とを備えている。なお、カバー体13は前板1と別体ではなく、一体のものであってもよい。
【0027】
引手体12は、略水平に左右方向に延びる水平板部12aと、該水平板部12aの前端から略垂直に左右方向に延びる垂直板部12bとからなる側面視略L字状のものである。また、カバー体13は、前記重合部である、引手体12の水平板部12aの上側において略水平に左右方向に延びる水平カバー体13aと、該水平カバー体の後端から略垂直に左右方向に延びる垂直カバー体13bとからなる側面視略L字状のものである。
【0028】
引手体12には、後方に延設された板状部の後端を垂下させてなる左右の取付部12c,12cが一体に形成されているため、該取付部12c,12cを前板1の前記左右の通孔22,22を通して連結体18の後面に当接させた状態で、取付ねじ28,28を取付部12c,12cの通孔19,19を通して連結体18の螺孔18a,18aに螺合させることにより、引手体12は、該引手体12から下方に離間させた位置の回転軸である板体17,17まわりに回動可能に支持される。
【0029】
カバー体13には、その後部に下側に開口部を有する函状の取付部13cが一体に形成されているため、該取付部13cを前板1の前記カバー体支持部21に上側から外嵌した状態で、取付ねじ27,…を取付部13cの通孔20,…を通してカバー体支持部21の螺孔21b,…に螺合させることにより、カバー体13は、前板1上部のカバー体支持部21に固定される。
【0030】
なお、カバー体支持部21後側の隅部にはスリット21a,…が形成されており、該スリット21a,…に取付部13c内の補強リブ13d,…(図2参照)が係合するため、カバー体13とカバー体支持部21とは、強固に連結される。また、スリット21a,…と補強リブ13d,…とを位置決め用のガイドとすることができるため、カバー体13を前板1のカバー体支持部21に取付ける作業の作業性を向上することができる。
【0031】
次に、引手体12の操作に連動するラッチ装置31の構成について説明する。ラッチ本体32には角孔32aが形成されており、該角穴32aには鋼製の駆動杆39の垂直部39aが嵌入される。また、ラッチ本体32にはラッチ板33とストッパー35とが略90°位相をずらして水平方向に突設される。なお、ラッチ本体32、ラッチ板33及びストッパー35は、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン又はABS等の合成樹脂製であり、一体成形される。
【0032】
ラッチ受け36は、前記ラッチ本体32等と同様の合成樹脂製であり、前記切欠き24の上下に上下の係合片37を係合させてスライドさせ、前記係止孔26に係止爪38を係止させることにより、前板1に取付けられる。そして、ラッチ受け36の上下の係合孔36a,36aにラッチ本体32を係合させることにより、ラッチ本体32、ラッチ板33及びストッパー35並びに駆動杆39が垂直軸まわりに回動可能に支持される。なお、駆動杆39の垂直部39aの上部は、左側(図2及び図4の右側)の回転軸受け14に形成した図示しない垂直孔によっても支持される。
【0033】
ラッチ板33には係止部33aが形成されており、ねじりコイルばね40により、引出し104,105を閉じた状態でワゴン本体102の左側板107方向に向かって弾性付勢される。したがって、ラッチ板33の係止部33aが、ワゴン本体102の左側板107の内側に取付けられた図示しない補強体に形成された係止突起に係止するため、引出し104,105を閉じた状態でラッチ装置31が作動状態となり、前記のとおり引出し104,105が不意に開くことが防止される。なお、ラッチ本体32には、ラッチ板33の前記係止突起方向への回動を所定角度で規制する回転止め34が突設されている。
【0034】
駆動杆39は、その垂直部39aの上部において前板1の左右方向の内側方向(図2の左方)に向かう水平部39bが延設されている。該水平部39bには後側から前記連結体18から前側に延びる当接部18bが当接する。
【0035】
次に、図5及び図6により、引手装置11及びラッチ装置31の動作について説明する。図6(a)の引出し104,105を閉じた状態から、図6(b)のように引手体12を前方に引くと、引手体12及び連結体18は回転軸である板体17,17まわりに前方へ回動する。そうすると、連結体18の当接部18bにより駆動杆39の水平部39bが前方に押され、駆動杆39の垂直軸まわりの回動に伴って、ラッチ本体32、ラッチ板33及びストッパー35も、ラッチ板33がワゴン本体102内側面に設けられた前記係止突起から離れる方向に回動する。
【0036】
このようにして、引手体12を前方に引くと、該操作に連動してラッチ装置31が解除状態となる。したがって、このラッチ装置31の解除状態では、引出し104,105を引き出すことができる。なお、図5に示すように合成樹脂製のストッパー35が鋼製の前板1の背面に当接して駆動杆39及びラッチ板33等の回動を規制し、鋼製の駆動杆39の水平部39b先端が鋼製の前板1の背面に当接しないように構成しているため、ラッチ装置31の解除時における騒音を抑制することができる。
【0037】
このようにラッチ装置31を解除して引出し104,105を引き出す際に、引手体12とカバー体13とが別体であり、引手体12が回動してもカバー体13は回動しないため、図6(b)のように引手体12を回動させると、操作者が指を入れる、前記側面視略L字状の引手体12と前記側面視略L字状のカバー体13との側面視略U字状の凹部の空間Sが広がるため、操作者の指が引手体12又はカバー体13に当たって操作が阻害されることがない。
【0038】
また、前記のとおり回転軸が引手体12から下方に離間させた位置に設けられているので、引手体12を回動させてもその姿勢変化が少なく、引手体12の水平板部12aと水平カバー体13a間の隙間は殆ど広がらないため、防盗性能が低下することがない。さらに、このように引手体12の姿勢変化が少ないため、引手体12の操作性がさらに向上する。
【0039】
さらにまた、前記のとおり回転軸が引手体12から下方に離間させた位置に設けられており、連結体18及び引手12の取付部12c,12cが該回転軸の上側において後方に偏心した重りとなっているため、該回転軸まわりに回動する回転体である連結体18及び引手体12による該回転軸まわりの重力トルクは、ラッチが掛かる方向(ラッチ装置31が作動状態となる方向)に作用する。したがって、引出し104,105を閉じた状態でラッチ板33をワゴン本体102の内側面に向かって弾性付勢するばね40を弱くすることができる。よって、軽い力でラッチ装置31の解除操作を行うことができるため、引手体12の操作性が向上する。
【0040】
また、回転軸である板体17,17の上側の連結体18の当接部18bにより、駆動杆39の水平部39bを前方に押して前記ラッチ装置31を解除状態とする操作を、該回転軸と該当接部18bとの距離よりも該回転軸からの距離が大きい引手体12を操作して行うため、てこの原理により引手体12の操作力が小さくなる。したがって、より軽い力でラッチ装置31の解除操作を行うことができるため、引手体12の操作性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係る収納家具における引出しの引手装置が上下2段の引出しを備えたワゴンに用いられた例を示す縦断左側面図である。
【図2】引出しの前板及び引手装置の背面図である。
【図3】同じく左側面図である。
【図4】同じく分解斜視図である。
【図5】主にラッチ装置の構成を示す部分縦断背面図である。
【図6】引手装置の動作説明図であり、(a)はラッチの作動状態を、(b)はラッチの解除状態を示している。
【符号の説明】
【0042】
S 引手体とカバー体との間の凹部
101 ワゴン(収納家具)
104 上段引出し
105 下段引出し
1 前板
11 引手装置
12 引手体
12a 水平板部
12b 垂直板部
13 カバー体
13a 水平カバー体(重合部)
13b 垂直カバー体
14 回転軸受け
14a 係合凹部
17 板体(回転軸)
18 連結体
18b 当接部
31 ラッチ装置
33 ラッチ板
33a 係止部
36 ラッチ受け
39 駆動杆
39a 垂直部
39b 水平部
40 ねじりコイルばね


【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納家具における引出しの引手を引く操作に連動してラッチが解除される引手装置であって、
引出し前板の上部から下方に離間させた左右方向回転軸まわりに回動可能な引手体を前記前板の上側に設けるとともに、該引手体の回動による隙間を塞ぐ重合部が設けられた、前記前板と一体又は別体のカバー体を設けてなることを特徴とする収納家具における引出しの引手装置。
【請求項2】
前記引手体が、略水平に左右方向に延びる水平板部と、該水平板部の前端から略垂直に左右方向に延びる垂直板部とからなる側面視略L字状のものであり、
前記カバー体が、前記重合部である、前記引手体の水平板部の上側において略水平に左右方向に延びる水平カバー体と、該水平カバー体の後端から略垂直に左右方向に延びる垂直カバー体とからなる側面視略L字状のものである請求項1記載の収納家具における引出しの引手装置。
【請求項3】
前記回転軸と前記引手体とを連結する連結体を設け、該連結体及び引手体からなる前記回転軸まわりの回動体の重力トルクがラッチが掛かる方向に作用するように構成してなる請求項1記載の収納家具における引出しの引手装置。
【請求項4】
前記回転軸が、前記連結体と一体に形成された板金加工品の下部左右を左右方向外側に延設してなる板体であり、
前記回転軸を支持する回転軸受けが、前記板体に外嵌する円形の孔又は凹部が形成された合成樹脂成形品を、該孔又は凹部を対向させて左右に2個配設したものである請求項3記載の収納家具における引出しの引手装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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