説明

収納家具

【課題】パソコンの収納を兼ねた据付が容易で、ライティングデスクとしてまたパソコンの操作台として使用でき、安全で、部屋の占有面積を抑えた収納家具を提供する。
【解決手段】本発明による収納家具は、上段と下段に複数の収納部が設けられ、上段の収納部はパソコンが収納可能なサイズを有し、上段の収納部には、電源コンセントとLAN接続口が設けられるとともに、下端を回転軸にして水平位置に開く扉が備えられて、扉が開かれると、扉が上段と下段の収納部を仕切る仕切り板より張り出して、ライティングデスクまたはパソコン操作台が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面の扉が水平位置に開いて、ライティングデスクまたはパソコン操作台が形成される収納家具に関する。
【背景技術】
【0002】
学校、幼稚園及び保育園などでは、コンピュータ教育を積極的に行なっている。そこでは専用のコンピュータ室が設けられ、パソコンの使い方等を教えている。例えば幼稚園や保育園では、パソコンのお絵描きソフトとして、キッドピックス(broderbund社の商品名)を導入しているところがある。パソコンを使ったお絵描きは、園児の反応もよいと言われている。園児がコンピュータ室ではなく、保育室でお絵描きソフトを使って遊ぶには、その都度共通テーブルあるいは机にパソコンを設置するしかない。その場合、電源ケーブルなどが床に這うので安全上からはあまり好ましくない。保育室に設置でき、パソコンが収納可能な家具が望まれる。
【0003】
例えば幼稚園や保育園では、部屋を広く使用するため、机や椅子は必要な時以外は折りたたんでコーナーに寄せている場合が多い。園児が自由に遊ぶ時間には共通テーブルを使うことにしている。しかし、共通テーブルでは、玩具を使って騒いで遊ぶ園児と、絵を描く園児とが隣合わせになる。そこで、落ち着いて使用することができるライティングデスクを有する家具で、保育室の占有面積を抑えた形状の収納家具が望まれる。
【0004】
特許文献1には、パソコンラックと書棚とCDラックの機能を複合したパソコン収納家具が開示され、引出し式のキーボード戴置台が設けられている。しかし、日記を付けたり、絵を描いたりするためのライティングデスクはない。特許文献2の箱形デスクには、両開きの扉が設けられ、その内側に前側に水平位置に開くライティングデスクが設けられている。しかし、ライティングデスクの内側は、書棚であってパソコンの設置については配慮されていない。
【特許文献1】特開2000−139581号広報
【特許文献2】特開平7−313271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、複数台のパソコンの収納と据付が容易で、ライティングデスクとしてまたパソコンの操作台として使用でき、安全で部屋の占有面積を抑えた収納家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明による収納家具は、上段と下段に複数の収納部が設けられ、前記上段の収納部はパソコンが収納可能なサイズを有し、前記上段の収納部には、電源コンセントとLAN接続口が設けられるとともに、下端を回転軸にして水平位置に開く扉が備えられて、前記扉が開かれると、前記扉が前記上段と下段の収納部を仕切る仕切り板より張り出して、ライティングデスクまたはパソコン操作台が形成されることを特徴とする。
【0007】
前記扉は、開放された状態で、前記上部の収納部の底部に設けられた底板と面一になるようにヒンジで連結されるとともに、ダンパー付の開閉装置で両側が支持されることが好ましい。
【0008】
前記扉の前面には、指の掛かる口の形状に似せた横長の凹部が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明による請求項1の収納家具によれば、上段と下段の2段の収納家具であるから背が低く横長であり、壁際や窓際の設置に適している。電源コンセントとLAN接続口を有する収納部を設けたから、パソコンの収納と据付が容易である。ケーブルが乱雑になることもない。水平位置に開く扉は、ライティングデスクにもパソコン操作台にも使用できる。扉を閉じた状態では、保育室をより広く使用できる。
【0010】
本発明による請求項2によれば、ライティングデスクまたはパソコン操作台となる扉の背面と、収納部の底面とが面一となって段差がないから、マウスやキーボードを収納部の奥からの出し入れ操作がスムーズにできる。また、ダンパー付の開閉装置を設けて扉の開閉を遅くしたから、園児が誤って扉に手を挟むといったことがない。
【0011】
本発明による請求項3によれば、凹部は横に長いので、力の弱い園児でも両手を入れて扉を開けることができる。また、凹部を口の形状に似せたので、この周りに人や動物の顔をデザインして意匠性を高めることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明による収納家具について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明による収納家具の斜視図である。収納家具100は、横長で高さは机の高さより少し高い800mmで、3個の上段の収納部1と3個の下段の収納部2で構成される。なお、収納部の数は3個に限られるものではない。上段の各収納部には水平位置に開く扉3が設けられる。扉3には、取っ手となる凹部10が設けられ、凹部10は口の形に似せて周りが人の顔になるようにデザインされている。上段と下段の間には仕切り板5が設けられる。下段の各収納部2には、引き戸15を設けている。なお、引き戸15を設けず開放型の収納部としてもよい。上段の収納部1に対応して持ち運び可能な腰掛20が設けられる。
【0014】
扉3の凹部10は、横に長い形状として、両手をかけて引っ張れるようにした。図2は、扉の縦断面図である。扉3の凹部10は、内部の上側に窪み11が形成され、手を入れた時に指がかかるように構成している。
【0015】
図3は、上段の収納部の扉が開かれた場合の斜視図である。図3に示すように、扉3は、下端がヒンジ8で底板4に連結され水平位置に開く。扉3は、左右のダンパー付の開閉装置9で支持される。扉3の開閉が、ダンパーによって遅くなるから、指などを挟まれる心配がない。ダンパーは、2枚の回転板の間に粘性グリースを使用したものや、油または空気を狭い通路を通過させるピストン式のものなどがある。扉3が水平位置に開いた状態になると、仕切り板5より張り出して、ライティングデスクとなる。また、パソコンの操作台にもなる。開閉装置9のアームを一定の長さのまま回動させると、扉3のヒンジ8を中心に回動する動きに追随できないので、アームは中央部が折れ曲がるようにしている。
【0016】
上段の各収納部1の奥には、2個の電源コンセント6とLAN接続口7を設けている。配線は、下段の収納部2の内側上部に設けたダクト(図示せず)を経由して行う。パソコン30は、表示装置31、キーボード32、マウス33などから構成され、これらが上段の収納部1に収納される。そのため、上段の収納部は、高さが350mm、幅が600mmとしている。なお、収納部の背面には、電子機器の熱を逃がすための空気孔(図示せず)が設けられる。上段の収納部1の奥行きは、下段の収納部2の奥行きより小さい。これにより、扉3は、水平位置に開いた状態で、ダンパー付の開閉装置9と仕切り板5の両方で支えられる。なお、下段の収納部2の前面は、仕切り板5の前面に合わせているが、仕切り板5の前面より奥側にしてもよい。その場合、園児は、足をライティングデスクの下側に伸ばせるようにできるが、下段の収納部2の安定性はやや失われる。その場合、上段の収納部1の扉3がすべて開かれ、パソコン等がすべて引き出されても、収納家具100が前面側に倒れることがないように処置しておかねばならない。
【0017】
図4はヒンジの概観図である。ヒンジ8はドロップヒンジと呼ばれるもので、2枚のハネを連結する軸が、ハネを水平にした時、ハネの表面から上に突出しないタイプである。突出しないから、キーボード32やマウス33を上段の収納部1から引き出す場合に障害とならない。なお、ヒンジ8は、底板4、扉3の側面に切り込みを設けてハネが突出しないように取り付けている。
【0018】
図5は、扉と底板との関係を示す左側面図である。図5(a)は扉3が閉じられた状態を示し、図5(b)は扉3が開かれた状態を示す。図5(a)に示すように、底板4が、仕切り板5の上に設けられ、この底板4の一端にヒンジ8で扉3が連結される。図5(b)に示すように扉3は、水平位置に開いた状態では、底板4と面一になるようにヒンジ8が取り付けられる。
【0019】
図6は、収納家具の内部配線図である。収納家具100を3台設置してシステムを構成した。パソコンは全部で9台となる。上段の各収納部1に設けられた電源コンセント6は、給電プラグ12を有する給電線から分配していもずるに配線した。LAN接続口7は、スター配線によってハブ40に接続される。ハブ40によってパソコン30の間でメールのやり取りができる。ハブ40の上位にルータ50を設け、インターネット60に接続する構成にもできる。メールのやり方は園児にコンピュータ教育の一環で教えられるので、園児の間でのコミュニケーションにも必要なものとなっている。図6では、3台の園児用の収納家具100が上下に描かれているが、実際は、壁際や窓際に沿って一列に設置される。その場合、例えば、図面上段のハブ40から図面下段のハブ40へ行く配線は、図面中段の収納家具100内のダクトを通すことによって、配線ができるだけ収納家具100の外に出ないようにできる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明による収納家具は、複数台のパソコンが収納でき、前方の扉が水平位置に開いてライティングデスクまたはパソコン操作台が形成されるので、学校、幼稚園、保育園等の設備として好適である。家族で複数台のパソコンを持つ家庭用にも適す。また、本格的なコンピュータ室にも設置してもよい。ホテルのロビーなどに設置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による収納家具の斜視図である。(実施例1)
【図2】扉の縦断面図である。(実施例1)
【図3】上段の収納部の扉が開かれた場合の斜視図である。(実施例1)
【図4】ヒンジの概観図である。(実施例1)
【図5】扉と底板との関係を示す左側面図である。(a)は扉が閉じられた状態を示し、(b)は扉が開かれた状態を示す。(実施例1)
【図6】収納家具の内部配線図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0022】
1 上段の収納部
2 下段の収納部
3 扉
4 底板
5 仕切り板
6 電源コンセント
7 LAN接続口
8 ヒンジ
9 ダンパー付の開閉装置
10 凹部
11 窪み
12 給電プラグ
15 引き戸
20 腰掛
30 パソコン
31 表示装置
32 キーボード
33 マウス
40 ハブ
50 ルータ
60 インターネット
100 収納家具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上段と下段に複数の収納部が設けられ、前記上段の収納部はパソコンが収納可能なサイズを有し、前記上段の収納部には、電源コンセントとLAN接続口が設けられるとともに、下端を回転軸にして水平位置に開く扉が備えられて、
前記扉が開かれると、前記扉が前記上段と下段の収納部を仕切る仕切り板より張り出して、ライティングデスクまたはパソコン操作台が形成されることを特徴とする収納家具。
【請求項2】
前記扉は、開放された状態で、前記上段の収納部の底部に設けられた底板と面一になるようにヒンジで連結されるとともに、ダンパー付の開閉装置で両側が支持されることを特徴とする請求項1に記載の収納家具。
【請求項3】
前記扉の前面には、指の掛かる口の形状に似せた横長の凹部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の収納家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−68862(P2007−68862A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261265(P2005−261265)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(502083358)学校法人東山学園 (1)
【Fターム(参考)】