説明

収納容器の収納ケース

【課題】クリアケースに凹凸部を設けずに搬送・展示等に於いて加えられる振動による容器の回転の防止及び商品の不正な改竄のための開封を確認することが可能な構成を簡易に得ることができ、包装材の減容化及びこれに伴う製造コストの低廉化を図れる。
【解決手段】少なくとも正面側を透明又は半透明としたクリアケース1の開口部3に一対のサイドフラップ4を対向して設ける。そして、この一対のサイドフラップ4は対向方向に折曲した際にクリアケース1内に収納した収納容器6の天面に臨ませて空間部5を形成する。また、止着フィルム10を該空間部5を被覆して一対のサイドフラップ4に跨って止着するとともに収納容器6の天面に止着フィルム10を止着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送・展示等に於いて加えられる振動による収納容器の回転及びケースを開封して行われる内容物の不正な改竄の有無を確認可能とするための収納容器の収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2004−10147号公報
【0003】
一般的に、ケース内に収納容器を収納した商品の場合には、搬送・展示等に於いて加えられる振動によってケース内で収納容器が回転し、収納容器の側面や背面がケースの正面側を向いてしまうことがあり、店頭に陳列した場合に商品の外観が悪くなるという欠点を有している。
【0004】
そこで従来より、特許文献1に示す如く、ケースの内面に凹凸部を設け、この凹凸部で収納容器を支持することにより収納容器をケース内にて支持して、搬送・展示等に於いて加えられる振動による収納容器のケース内での回転を防止する技術が存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の如く構成した場合であっても、使用時の収納容器の取り出し易さを確保しつつケース内での収納容器の回転を完全に防止することは困難であった。即ち、収納容器の回転を完全に防止すべく収納容器を凹凸部で支持する場合には、凹凸部で収納容器を強く圧迫する必要がある。しかし、このようにすると商品購入者が収納容器をケースから取り出す際に強い力で収納容器をケースから引き抜くことが必要となり、使い勝手が悪いものとなる。一方、収納容器をケースから引き抜き易くするために収納容器と凹凸部の接触圧力を弱くすれば、収納容器がケース内で回転してしまうものとなる。
【0006】
また、上記特許文献1に示す方法では、ケースを開封して、収納容器をケースから抜き出して商品に改竄を加えた後に再度収納容器をケース内に収納し、ケースの蓋を閉じても、改竄の事実を知ることができないものとなる。また、凹凸部の形成に高い製造コストが必要となり、商品価格を高価なものとする欠点を生じる。
【0007】
そこで本発明は、上述の如き課題を解決しようとするものであって、クリアケースに収納した収納容器が搬送・展示等に於いて加えられる振動によって回転することを防止可能とするとともに、ケースを開封して行われる内容物の不正な改竄の可能性を確認可能とする。また、構成を簡素化したことによる包装材の減容化及び製造コストの低廉化を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の如き課題を解決するため、少なくとも正面側を透明又は半透明としたクリアケースの開口部に一対のサイドフラップを対向して設け、この一対のサイドフラップは対向方向に折曲した際にクリアケース内に収納した収納容器の天面に臨ませて空間部を形成するとともに、該空間部を被覆して一対のサイドフラップに跨って止着フィルムを止着することにより、該空間部を介して止着フィルムを収納容器の天面に止着して収納容器の回転を防止可能とするとともにサイドフラップの持上げにより止着フィルムを破断可能とし、この破断によりサイドフラップの開放を確認し得るものとしたものである。
【0009】
また、サイドフラップは、持上用のつまみ片を設けてもよい。
【0010】
また、止着フィルムは、破断線を形成し、サイドフラップを持ち上げる際にこの破断線によって容易に破断可能としてもよい。
【0011】
また、止着フィルムは、サイドフラップの持上げにより容易に破断し得る脆弱な素材により形成してもよい。
【0012】
また、クリアケースの底面は、開封の事実が確認可能なものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、上述の如き構成とすることによって、空間部を被覆して止着フィルムを一対のサイドフラップに跨って止着することにより、止着フィルムが収納容器の天面に止着するから、収納容器が止着フィルムを介してクリアケースに固定される。したがって、クリアケースが搬送・展示等に於いて振動を受けても収納容器がクリアケース内で回転することがなく、収納容器はクリアケースに収納した時点の状態のまま保持され、商品を陳列した際にも商品の外観が良好に保たれる。
【0014】
また、止着フィルムが一対のサイドフラップに跨って止着していることから、収納容器を取り出すためにサイドフラップを持ち上げれば止着フィルムが破断される。そして、この止着フィルムの破断によりサイドフラップの開放を確認可能とし、これによって不正な改竄の可能性を確認可能とするものである。また、構成を簡素化したことにより包装材の減容化及びこれに伴う製造コストの削減も可能となる。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の実施例1を図1乃至図3に於いて説明すれば、(1)はクリアケースであり、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン等のシート状の樹脂材を折り込んで形成し、内部に収納した収納容器(6)が透視可能となるように少なくとも正面側(2)を透明又は半透明とし、クリアケース(1)天部の開口部(3)に一対のサイドフラップ(4)を対向して設けている。この一対のサイドフラップ(4)は、それぞれ対向方向に折曲した際に、両サイドフラップ(4)の間に空間部(5)を形成可能な程度の大きさで構成する。この空間部(5)は両サイドフラップ(4)が接触することのないようにして形成してもよいし、一部を接触しながら一部に空間部(5)を形成するものとしてもよい。
【0016】
また、この空間部は両サイドフラップ(4)に跨って止着する止着フィルム(10)により被覆する。この止着フィルム(10)は一面に粘着層(8)を形成し、空間部(5)を臨む部分に破断線(12)を形成する。この破断線(12)により、図3に示す如くクリアケース(1)から収納容器(6)を取り出すためにサイドフラップ(4)を引き上げると、止着フィルム(10)は容易に破断され、クリアケース(1)の開封が行われたことを容易に確認することができ、内容物の改竄に対する対策を講じることが可能となる。また、商品購入者は止着フィルム(10)の破断がされていないことにより、商品のバージン性が保たれていることを確認でき、商品の信頼性を高めることができる。
【0017】
また、一方のサイドフラップ(4)の一端を対向方向に突出して持上用のつまみ片(7)を形成する。これによりクリアケース(1)を開封する際につまみ片(7)を持ち上げてサイドフラップ(4)を引き上げることが可能となり、クリアケース(1)の開封を容易とすることが可能となる。
【0018】
また、上記空間部(5)を被覆して一対のサイドフラップ(4)に跨って止着した止着フィルム(10)を、クリアケース(1)内に収納した収納容器(6)の天面に空間部(5)を介して止着する。この止着により、収納容器(6)は止着フィルム(10)を介して一対のサイドフラップ(4)に固定されることとなり、搬送・展示等に於いて加えられる振動による収納容器(6)の回転を防止することが可能となる。
【実施例2】
【0019】
上記実施例1に於いては、止着フィルム(10)に破断線(12)を設けることによって、サイドフラップ(4)を引き上げた際に止着フィルム(10)が破断線(12)から破断して、クリアケース(1)が開封されたことを容易に確認可能としていた。この止着フィルム(10)はサイドフラップ(4)の引き上げにより容易に破断することができればよいものであって、実施例2では、止着フィルム(10)を容易に破断可能な脆弱な素材により形成することとしている。止着フィルム(10)を脆弱な素材により構成することにより、サイドフラップ(4)を引き上げた際に止着フィルム(10)が容易に破断するため、クリアケース(1)が開封されたことを容易に確認することができ、内容物の改竄に対する対策を講じることが可能となる。
【0020】
また、上記の各実施例では、クリアケース(1)の天部に於けるサイドフラップ(4)の引き上げによる開封の確認について説明したが、クリアケース(1)の他の部分で収納容器(6)の取出しが可能な部分、例えばクリアケースの底面(11)等にも開封の確認が可能な機構を設けるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願発明の実施例1を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】実施例1に於ける止着フィルムが破断された状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0022】
1 クリアケース
2 正面側
3 開口部
4 サイドフラップ
5 空間部
6 収納容器
7 つまみ片
10 止着フィルム
11 底面
12 破断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも正面側を透明又は半透明としたクリアケースの開口部に一対のサイドフラップを対向して設け、この一対のサイドフラップは対向方向に折曲した際にクリアケース内に収納した収納容器の天面に臨ませて空間部を形成するとともに、該空間部を被覆して一対のサイドフラップに跨って止着フィルムを止着することにより、該空間部を介して止着フィルムを収納容器の天面に止着して収納容器の回転を防止可能とするとともにサイドフラップの持上げにより止着フィルムを破断可能とし、この破断によりサイドフラップの開放を確認し得るものとしたことを特徴とする収納容器の収納ケース。
【請求項2】
サイドフラップは、持上用のつまみ片を設けたことを特徴とする請求項1記載の収納容器の収納ケース。
【請求項3】
止着フィルムは、破断線を形成し、サイドフラップを持ち上げる際にこの破断線によって容易に破断可能とした請求項1記載の収納容器の収納ケース。
【請求項4】
止着フィルムは、サイドフラップの持上げにより容易に破断し得る脆弱な素材により形成したことを特徴とする請求項1記載の収納容器の収納ケース。
【請求項5】
クリアケースの底面は、開封の事実が確認可能なものであることを特徴とする請求項1記載の収納容器の収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−240722(P2006−240722A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62576(P2005−62576)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】