説明

収納

【課題】収納部を仕切る側板の厚みの無駄を排除しつつ、側板の両側に容易にかつ強固に扉を取り付けることを可能にした収納を提供する。
【解決手段】側板12を共有する隣接した箱型の収納部10,20を有し、共有する側板12の左右両側に開き扉52,53を取り付けてなる収納であって、側板12の左側面に右吊り扉52を取り付けるための右吊り用蝶番6と、側板12の右側面に左吊り扉53を取り付けるための左吊り用蝶番7とを側板12の上下方向にずらして配置し、右吊り用蝶番6を側板12に固定する固定部材8と、左吊り用蝶番7を側板12に固定する固定部材8とが接触しないようにした。また、右吊り扉52と左吊り扉53とは、互いに上下方向に反転させたときの蝶番取付位置が同一であり、開き扉52,53を左右兼用とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅やオフィスで使用される収納に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅やオフィスでは、固定式(造り付け収納)や可動式(一般の家具)の各種の収納が用いられている。
これらの収納のうち、大型のもの(例えば施工後の幅が概ね2m以上のクローゼット等)は、予め側板や天板等の部材を完全に組み立てた状態では、重量やサイズが過大となるため運搬や家屋への搬入に支障が生じる。そこで、収納を運搬や搬入に適当なサイズに分割したうえで運搬・搬入し、現場で組み立てて完成させることが行われている。
【0003】
以下に、図15に示す収納を施工する場合について説明する。
図15に示す収納500は、前面に、扉51,52,53,54,55が取り付けられている。このうち扉51,53は、左側端部に蝶番が取り付けられ時計回りに開く扉(以下、「左吊り扉」という。)であり、扉52,54,55は、右側端部に蝶番が取り付けられ反時計回りに開く扉(以下、「右吊り扉」という。)である。
また、上面には化粧天板9が取り付けられている。
【0004】
図16は、収納500の内部構造を示す斜視図であり、収納500から扉51,52,53,54,55及び化粧天板9を除いた状態を示したものである。
収納500の内部は、箱状ユニット100,200,300を連結した構造となっている。箱状ユニット100は、側板111,112、天板121、背板131、地板141から構成され、箱状ユニット200は、側板212,213、天板222、背板232、地板242から構成され、箱状ユニット300は、側板313,314、天板323、背板333、地板343から構成されている。
そして、図17に示すように、箱状ユニット100,200,300を分割した状態で家屋に搬入し、側板112と側板212、側板213と側板313を木ネジ等で連結する。さらに、扉51,52,53,54,55及び化粧天板9を取り付ければ、図15に示すような収納500が完成する。
【0005】
次に、側板と扉の連結構造について説明する。図18は、収納500の側板のうち、箱状ユニット100と箱状ユニット200が連結された部分である、側板112,212を示す正面図である。
側板112と側板212は、木ネジ2,2で固定されている。また、側板112の左側面には、図15に示す右吊り扉52を取り付けるための右吊り用蝶番6A,6Bが取り付けられ、側板212の右側面には、左吊り扉53を取り付けるための左吊り用蝶番7A,7Bが取り付けられている。右吊り用蝶番6Aと左吊り用蝶番7Aは、上下方向の同じ高さに配置されており、同様に右吊り用蝶番6Bと左吊り用蝶番7Bも上下方向の同じ高さに配置されている。
【0006】
図19は、図18の上端部拡大断面図であり、右吊り用蝶番6A及び左吊り用蝶番7Aは、それぞれ木ネジ8により側板112,212に固定されている。側板112と側板212の厚さは、木ネジ8の挿入長さよりも厚くなっており、両側から挿入された木ネジ8が接触しないようになっている。
以上のようにして、側板112,212の左右両側から扉52,53が取り付けられている。
なお、側板111,213,314には、それぞれ同様の蝶番を用いて、扉51,54,55が片側に取り付けられている。
【0007】
一方、壁材の両側から蝶番等を固定するための構造として、特許文献1には、板材の両側にプレートを配置し、ネジにより両側から引き合うように締め付けて固定するようにした固定用取付けプレートに関する発明が記載されている。
また、特許文献2には、壁材の両側に締結板を配置し、それぞれ2本の締結ネジで固定するものであって、一方の締結ネジで締結板に形成されただぼ状の突起を広げるとともに、他方の締結ネジを壁材に形成された孔の周面に食い込ませて固定するようにした締結板に関する発明が記載されている。
【特許文献1】特開平8−312229号公報
【特許文献2】特許第3411857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の収納の場合、隣接する箱状ユニットの側板2枚が連結されるが、完成後に構造的に必要な側板は1枚であり、1枚分の厚みが無駄となっていた。また、側板の厚みが増すことにより、収納部の容積を圧迫することになっていた。
また、各箱状ユニットの組立に使用する金具と、箱状ユニット同士を連結する金具が別々に必要であり、多数の金具と工程を要していた。また、隣接する側板を連結するため、がたつきが生じやすかった。
【0009】
側板の厚みの無駄に対しては、連結部分の側板の厚みを薄くして対応することが考えられるが、側板が薄いと、両側から扉用の蝶番を取り付ける場合に、両側から挿入した木ネジが接触して蝶番の固定が不十分となる恐れがあった。
一方、特許文献1や特許文献2に記載された蝶番の取付構造によれば、薄い側板に両側から扉用の蝶番を取り付けることが可能であるが、専用の取付けプレートが必要でありコストが増加する恐れがあった。
【0010】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、収納部を仕切る側板の厚みの無駄を排除しつつ、側板の両側に容易にかつ強固に扉を取り付けることを可能にした収納を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に係る発明の収納は、側板(12)を共有する隣接した箱型の収納部(10,20)を有し、前記共有する側板(12)の左右両側に開き扉(52,53)を取り付けてなる収納であって、前記側板(12)の左側面に右吊り扉(52)を取り付けるための右吊り用蝶番(6)と、前記側板(12)の右側面に左吊り扉(53)を取り付けるための左吊り用蝶番(7)とを前記側板(12)の上下方向にずらして配置し、前記右吊り用蝶番(6)を前記側板(12)に固定する固定部材(8)と、前記左吊り用蝶番(7)を前記側板(12)に固定する固定部材(8)とが接触しないようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記右吊り扉(52)と前記左吊り扉(53)とは、互いに上下方向に反転させたときの蝶番取付位置が同一であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記左右の蝶番(6,7)はそれぞれ上下2箇所に配置されており、扉(52,53)の上端部から上側の蝶番(6A,7A)までの距離(L,N)と扉(52,53)の下端部から下側の蝶番(6B,7B)までの距離(N,L)とが異なることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明において、前記固定部材(8)は木ネジであり、前記側板(12)の厚さ(W)が前記木ネジの挿入長さの2倍以下であることを特徴とする。
【0015】
なお、括弧内の記号は、発明を実施するための最良の形態および図面に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、隣接した箱型の収納部は側板を共有しているので、収納部と収納部の隣接部分の側板が1枚となり、無駄な厚みを排除して、収納部の容積を大きくすることができる。また、連結部分の金具が少なくなり、がたつきも生じにくい。
また、共有する側板の左右両側に開き扉を取り付けるにあたって、側板の左側面に右吊り扉を取り付けるための右吊り用蝶番と、側板の右側面に左吊り扉を取り付けるための左吊り用蝶番とを側板の上下方向にずらして配置するので、右吊り用蝶番を側板に固定する固定部材と、左吊り用蝶番を側板に固定する固定部材とを接触しないようにすることができる。
これにより、側板の厚みが薄くても容易にかつ強固に扉を取り付けることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、右吊り扉と左吊り扉とは、互いに上下方向に反転させたときの蝶番取付位置が同一であるので、開き扉を左右兼用とすることができ、効率的に製造することができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、右吊り用蝶番と左吊り用蝶番のそれぞれを上下2箇所に取り付ける場合に、扉の上端部から上側の蝶番までの距離と扉の下端部から下側の蝶番までの距離とが異なるように配置することで、容易に左右兼用の開き扉とすることができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の発明の作用効果に加えて、側板の厚さを、固定部材である木ネジの挿入長さの2倍以下としたので、蝶番を強固に取り付けながら側板の厚さを薄くして、収納部の容積をできるだけ大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、図1乃至図15を参照して、本発明の実施形態1に係る収納について説明する。実施形態1に係る収納1の外観は、図15に示す収納500と同一であり、前面に、扉51,52,53,54,55が取り付けられている。このうち扉51,53は、左側端部に蝶番が取り付けられ時計回りに開く「左吊り扉」であり、扉52,54,55は、右側端部に蝶番が取り付けられ反時計回りに開く「右吊り扉」である。
また、上面には化粧天板9が取り付けられている。
【0021】
図1は、収納1の内部構造を示す正面図であり、収納1から扉51,52,53,54,55及び化粧天板9を除いた状態を示したものである。収納1の内部には、区分けされた収納部10,20,30が形成されている。
収納部10は、側板11,12、天板21、背板31、地板41に囲まれた箱型となっている。また収納部20は、側板12,13、天板22、背板32、地板42に囲まれた箱型となっている。また収納部30は、側板13,14、天板23、背板33、地板43に囲まれた箱型となっている。
【0022】
隣接する収納部10と収納部20とは側板12を共有しており、また隣接する収納部20と収納部30とは側板13を共有している。
側板11には右側面に左吊り扉51を取り付けるための左吊り用蝶番7,7が、側板12には左側面に右吊り扉52を取り付けるための右吊り用蝶番6,6及び右側面に左吊り扉53を取り付けるための左吊り用蝶番7,7が、側板13には左側面に右吊り扉54を取り付けるための右吊り用蝶番6,6が、側板14には左側面に右吊り扉55を取り付けるための右吊り用蝶番6,6が、それぞれ上下2箇所に取り付けられている。
【0023】
図2は、収納1の扉を示す正面図である。左吊り扉51の左側端部の上下2箇所には、一端が側板11に取り付けられた左吊り用蝶番7,7の他端が取り付けられている。また、右吊り扉52の右側端部の上下2箇所には、一端が側板12に取り付けられた右吊り用蝶番6,6の他端が取り付けられている。また、左吊り扉53の左側端部の上下2箇所には、一端が側板12に取り付けられた左吊り用蝶番7,7の他端が取り付けられている。また、右吊り扉54の右側端部の上下2箇所には、一端が側板13に取り付けられた右吊り用蝶番6,6の他端が取り付けられている。また、右吊り扉55の右側端部の上下2箇所には、一端が側板14に取り付けられた右吊り用蝶番6,6の他端が取り付けられている。
なお、右吊り用蝶番6及び左吊り用蝶番7の取付位置については後述する。
【0024】
次に、収納1における側板、天板、背板、地板の連結構造について説明する。
図3は、収納1の内部構造を示す斜視図であり、図4は、収納1の内部構造を示す分解斜視図である。
既に説明したように、収納部10、収納部20、収納部30は、それぞれ側板、天板、背板、地板に囲まれた箱型となっている。各板材同士は、木ネジ、釘、接着剤等を用いて接合することができる。
【0025】
ここで、本実施形態においては、収納部10と収納部20により共有される側板12を、左右から挟み込んだ状態で固定している。すなわち、側板12の上端部を天板21と天板22で左右から挟み込んでいる。また、側板12の後端部を背板31と背板32で左右から挟み込んでいる。また、側板12の下端部を地板41と地板42で左右から挟み込んでいる。
同様に、収納部20と収納部30により共有される側板13を、左右から挟み込んだ状態で固定している。すなわち、側板13の上端部を天板22と天板23で左右から挟み込んでいる。また、側板13の後端部を背板32と背板33で左右から挟み込んでいる。また、側板13の下端部を地板42と地板43で左右から挟み込んでいる。
以上のように、左右から挟み込んだ状態で固定することにより、側板12,13を強固に固定することができる。特に側板12,13の厚みが薄い場合に効果的である。さらに、側板12のように左右両側に扉を取り付ける場合には、側板がしっかりとしているため、扉を開閉してもがたつきが生じにくく、極めて効果的である。
【0026】
なお、本実施形態においては、天板21,22,23を設けたが、図5及び図6に示す他の実施形態に係る収納のように、天板を設けない構成としてもよい。この場合、化粧天板9で上から覆って天板を兼用させるようにすればよい。この場合、強度的には劣るものの軽量化が可能である。
【0027】
次に、側板と背板の連結構造について詳細に説明する。側板と背板は、木ネジ、釘、接着剤等を用いて接合してもよいが、図7及び図8に示すような連結部材を用いると容易にかつ強固に連結することができる。
図7は、側板12と背板31,32の連結構造を示す平面図(連結前)であり、図8は、側板12と背板31,32の連結構造を示す平面図(連結後)である。
【0028】
側板12には、貫通孔が形成されて接続ボルト4が挿通されている。接続ボルト4の両端には、小径の首部4a,4aが形成され、さらに首部4a,4aよりも大径の頭部4b,4bが形成されている。
背板31,32には、それぞれ横穴5aが形成され、横穴5aの内部に偏心カム機構を有する回転接続体5が埋め込まれている。また横穴5aから側板12側に向けて通し穴5bが形成されている。
【0029】
側板12と背板31,32を連結する際には、接続ボルト4の首部4aと頭部4bを通し穴5bから挿入し、回転接続体5に嵌着させる。その後横穴5aの開口部からドライバー等を用いて回転接続体5を回転させる。これにより、偏心カム機構を有する回転接続体5と接続ボルト4とが互いに引き寄せられ、側板12と背板31,32を強固に連結することができる。
なお、接続ボルト及び回転接続体の構造については、実開昭57−184301号公報、実開昭59−182248号公報、実開昭61−119615号公報に記載されている。
また、ここでは側板と背板の連結構造について説明したが、側板と天板、側板と地板の連結についても同様に、上記連結部材を用いることができる。
【0030】
次に、側板と扉の連結構造について詳細に説明する。図9は、側板12と右吊り扉52の連結構造を示す斜視図である。
側板12と右吊り扉52は、右吊り用蝶番6により開閉自在に連結されている。
右吊り用蝶番6は、いわゆるスライド蝶番であり、側板12に固定される固定板6a、固定板6aにスライド可能に連結された腕部6b、腕部6bに回動可能に連結された首振部6c、右吊り扉52に固定される固定板6d、及び右吊り扉52に形成された凹部3に埋設され、連結された首振部6cを収容するカップ部6eから構成されている。
【0031】
図10は、側板12と右吊り扉52の連結構造を示す平面図であり、(a)は扉が開いた状態を、(b)は扉が閉じた状態をそれぞれ示している。
扉が開いた状態においては、右吊り用蝶番6の首振部6cはカップ部6eの外部に位置している。一方、扉が閉じた状態においては、首振部6cがカップ部6eの内部に没入される。こうして右吊り扉52が側板12に対して直交する位置になり、扉が閉じられる。
一方、図11に示すように、側板12には、カップ部6eを埋設するための凹部3を予め形状加工しておく。
なお、ここでは右吊り用蝶番6について説明したが、左吊り用蝶番7についても同様である。
【0032】
次に、右吊り用蝶番6及び左吊り用蝶番7の取付位置について詳細に説明する。まず扉側の取付位置について説明する。図12は、実施形態1に係る扉を示す正面図であり、(a)は右吊り扉52を、(b)は左吊り扉53をそれぞれ示している。
右吊り扉52の右側端部には、上下2箇所に右吊り用蝶番6A,6Bが取り付けられている。なお、図12(a)において蝶番6A,6Bは破線で描かれており、図面における裏側に取り付けられていることを示している。
扉52の上端部から上側の蝶番6Aまでの距離はLであり、扉52の下端部から下側の蝶番6Bまでの距離はNである。また、蝶番6Aと蝶番6Bとの間の距離はMである。
ここで、L>Nの関係があり、蝶番6A,6Bは扉の上下方向の中心から下方向に偏って配置されている。
【0033】
一方、左吊り扉53の左側端部には、上下2箇所に左吊り用蝶番7A,7Bが取り付けられている。なお、図12(b)において蝶番7A,7Bは破線で描かれており、図面における裏側に取り付けられていることを示している。
扉53の上端部から上側の蝶番7Aまでの距離はNであり、扉53の下端部から下側の蝶番7Bまでの距離はLである。また、蝶番7Aと蝶番7Bとの間の距離はMである。
ここで、N<Lの関係があり、蝶番7A,7Bは扉の上下方向の中心から上方向に偏って配置されている。
【0034】
以上から明らかなように、図12(a)に示す右吊り扉52と、図12(b)に示す左吊り扉53とは、互いに上下方向に反転させたときの蝶番取付位置が同一となるように形成されている。従って、取っ手(ハンドル)位置以外は同一の加工で製造することが可能である。ここで、扉52,53の上端及び下端に予め取っ手(ハンドル)を取り付けるための下穴(化粧面直下まで)を開けておいて、扉を左右のいずれに吊っても常に同じ位置に取っ手(ハンドル)が設置できるようにすることもできる。これによれば、取っ手(ハンドル)の取付位置も共通化できるので、取っ手(ハンドル)位置も同一の加工で製造することが可能である。
なお、蝶番が上下2箇所の場合には、本実施形態のように、扉の上端部から上側の蝶番までの距離と、扉の下端部から下側の蝶番までの距離とを異ならせることで、容易に左右兼用の扉とすることができる。
また、その他の扉51,54,55についても同様に製造することができる。
【0035】
次に、側板側の蝶番の取付位置について説明する。図13は、実施形態1に係る側板12を示す正面図である。
側板12の左側面には、上下2箇所に右吊り用蝶番6A,6Bが取り付けられている。側板12の上端部から上側の蝶番6Aまでの距離はLであり、側板12の下端部から下側の蝶番6Bまでの距離はNである。また、蝶番6Aと蝶番6Bとの間の距離はMである。
ここで、L>Nの関係があり、蝶番6A,6Bは側板の上下方向の中心から下方向に偏って配置されている。
【0036】
一方、側板12の右側面には、上下2箇所に左吊り用蝶番7A,7Bが取り付けられている。側板12の上端部から上側の蝶番7Aまでの距離はNであり、側板12の下端部から下側の蝶番7Bまでの距離はLである。また、蝶番7Aと蝶番7Bとの間の距離はMである。
ここで、N<Lの関係があり、蝶番7A,7Bは側板の上下方向の中心から上方向に偏って配置されている。
なお、当然のことながら、図12及び図13における距離L、距離M、距離Nはそれぞれ共通している。
以上により、右吊り用蝶番6Aと左吊り用蝶番7Aとは側板12の上下方向にずらして配置されている。同様に、右吊り用蝶番6Bと左吊り用蝶番7Bとは側板12の上下方向にずらして配置されている。
【0037】
次に、左右の蝶番6,7の側板12への取付方法について説明する。図14は、図13の上端部拡大断面図である。
右吊り用蝶番6Aの固定板は、側板12の左側面に固定部材である木ネジ8,8を用いて固定されている。同様に左吊り用蝶番7Aの固定板は、側板12の右側面に固定部材である木ネジ8,8を用いて固定されている。
なお、下側の右吊り用蝶番6B、左吊り用蝶番7Bについても同様である。
【0038】
ここで、右吊り用蝶番6Aと左吊り用蝶番7Aとは側板12の上下方向にずらして配置されているので、右吊り用蝶番6Aを側板12に固定する木ネジ8,8と、左吊り用蝶番7Aを側板12に固定する木ネジ8,8とが接触しないようになっている。従って、右吊り用蝶番6Aと左吊り用蝶番7Aとを強固に側板12に固定することができるようになっている。
このとき、従来のように右吊り用蝶番6Aと左吊り用蝶番7Aとが側板12の同じ高さに配置される場合には、木ネジ同士が接触しないように側板12の厚みが木ネジ8の挿入長さの2倍以上必要となる。これに対して、本実施形態のように右吊り用蝶番6Aと左吊り用蝶番7Aとが上下方向にずらして配置されていれば、側板12の厚みWは、木ネジ8の側板12への挿入長さの2倍以下でよく、最低限、木ネジ8の先端が飛び出さないように、木ネジ8の側板12への挿入長さより少し厚ければよい。
【0039】
以上説明したように、実施形態1に係る収納1によれば、隣接した箱型の収納部10,20は側板12を共有しているので、収納部10と収納部20の隣接部分の側板が1枚となり、無駄な厚みを排除して、収納部10,20の容積を大きくすることができる。また、連結部分の金具が少なくなり、がたつきも生じにくい。
また、共有する側板12の左右両側に開き扉52,53を取り付けるにあたって、側板12の左側に右吊り扉52を取り付けるための右吊り用蝶番6と、側板12の右側に左吊り扉53を取り付けるための左吊り用蝶番7とを側板12の上下方向にずらして配置するので、右吊り用蝶番6を側板12に固定する固定部材8と、左吊り用蝶番7を側板12に固定する固定部材8とを接触しないようにすることができる。これにより、側板12の厚みが薄くても容易にかつ強固に扉52,53を取り付けることができる。
【0040】
また、右吊り扉52と左吊り扉53とは、互いに上下方向に反転させたときの蝶番取付位置が同一であるので、開き扉を左右兼用とすることができ、効率的に製造することができる。
【0041】
また、右吊り用蝶番6と左吊り用蝶番7のそれぞれを上下2箇所に取り付ける場合に、扉52,53の上端部から上側の蝶番6A,7Aまでの距離L,Nと扉52,53の下端部から下側の蝶番6B,7Bまでの距離N,Lとが異なるように配置することで、容易に左右兼用の開き扉とすることができる。
【0042】
また、側板12の厚さWを、固定部材である木ネジ8の挿入長さの2倍以下とすることで、蝶番6,7を強固に取り付けながら側板12の厚さを薄くして、収納部10,20の容積をできるだけ大きくすることができる。
【0043】
なお、上記実施形態においては、蝶番を上下2箇所に配置したが、上下3箇所以上に配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態1に係る収納の内部構造を示す正面図である。
【図2】実施形態1に係る収納の扉を示す正面図である。
【図3】実施形態1に係る収納の内部構造を示す斜視図である。
【図4】実施形態1に係る収納の内部構造を示す分解斜視図である。
【図5】他の実施形態に係る収納の内部構造を示す斜視図である。
【図6】他の実施形態に係る収納の内部構造を示す分解斜視図である。
【図7】側板と背板の連結構造を示す平面図(連結前)である。
【図8】側板と背板の連結構造を示す平面図(連結後)である。
【図9】側板と扉の連結構造を示す斜視図である。
【図10】側板と扉の連結構造の(a)扉が開いた状態、(b)扉が閉じた状態を示す平面図である。
【図11】側板の凹部を示す正面図である。
【図12】実施形態1に係る(a)右吊り扉を示す正面図、(b)左吊り扉を示す正面図である。
【図13】実施形態1に係る側板を示す正面図である。
【図14】図13の上端部拡大断面図である。
【図15】収納を示す外観斜視図である。
【図16】従来例に係る収納の内部構造を示す斜視図である。
【図17】従来例に係る収納の内部構造を示す分解斜視図である。
【図18】従来例に係る側板を示す正面図である。
【図19】図18の上端部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 収納
2 木ネジ
3 凹部
4 接続ボルト
4a 首部
4b 頭部
5 回転接続体
5a 横穴
5b 通し穴
6 右吊り用蝶番
6a 固定板
6b 腕部
6c 首振部
6d 固定板
6e カップ部
7 左吊り用蝶番
8 木ネジ
9 化粧天板
10 収納部
11 側板
12 側板
13 側板
14 側板
20 収納部
21 天板
22 天板
23 天板
30 収納部
31 背板
32 背板
33 背板
41 地板
42 地板
43 地板
51 左吊り扉
52 右吊り扉
53 左吊り扉
54 右吊り扉
55 右吊り扉
100 箱状ユニット
111 側板
112 側板
121 天板
131 背板
141 地板
200 箱状ユニット
212 側板
213 側板
222 天板
232 背板
242 地板
300 箱状ユニット
313 側板
314 側板
323 天板
333 背板
343 地板
500 収納

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板を共有する隣接した箱型の収納部を有し、前記共有する側板の左右両側に開き扉を取り付けてなる収納であって、
前記側板の左側面に右吊り扉を取り付けるための右吊り用蝶番と、前記側板の右側面に左吊り扉を取り付けるための左吊り用蝶番とを前記側板の上下方向にずらして配置し、前記右吊り用蝶番を前記側板に固定する固定部材と、前記左吊り用蝶番を前記側板に固定する固定部材とが接触しないようにしたことを特徴とする収納。
【請求項2】
前記右吊り扉と前記左吊り扉とは、互いに上下方向に反転させたときの蝶番取付位置が同一であることを特徴とする請求項1に記載の収納。
【請求項3】
前記左右の蝶番はそれぞれ上下2箇所に配置されており、扉の上端部から上側の蝶番までの距離と、扉の下端部から下側の蝶番までの距離とが異なることを特徴とする請求項2に記載の収納。
【請求項4】
前記固定部材は木ネジであり、前記側板の厚さが前記木ネジの挿入長さの2倍以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一つに記載の収納。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−173235(P2008−173235A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8243(P2007−8243)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)
【Fターム(参考)】