説明

取り外し可能なパネルを備えた多重送信/受信ヘッドアレイコイル

【課題】脳深部刺激療法で使用するためのモジュール式の多重送信ヘッドコイル
【解決手段】患者の定位頭部フレームに取り付けるために配置された取り付けフレームを含む。一体型のMR定位位置決め模型は、術前、術中、術後の画像を相関させるために、MR/CT適合性の基準をそれに取り付けるコイル構造の一部として含まれる。フレームは、コイル要素を直接駆動させる1組のRE電力増幅器に接続される、トランシーバアレイ型の1組のモジュール式の取り外し可能なコイル要素を支える。適切なソフトウェアを含む制御システムは、コイル要素に対する信号を制御することによって、DBSリード線の挿入のための患者へのアクセスを可能にするために、すべてのコイル要素が適所に配された、かつ、1以上のコイル要素が取り外された、所望のRF磁場を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り外し可能なパネルが提供されるとともに、主として脳深部刺激療法(DBS)のために並べられるが、生検用の針の位置決めを含む他の定位手順でも使用可能な、患者の頭部のMR画像処理で使用する、送信/受信コイルアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
脳深部刺激療法は、脳の特定の部分に電気的インパルスを送る脳ペースメーカーと呼ばれる医療機器の移植に関する外科治療である。選択した脳領域のDBSは、さもなければ治療の利かない運動と、慢性的疼痛、パーキンソン病、振せん、および、ジストニーのような情動障害とに、著しい治療効果を提供してきた。
【0003】
脳深部刺激療法システムは、3つの部品:注入されたパルス発生器(IPG)、リード線、および、延長部分からなる。IPGは典型的にはチタン性の筐体に入れられた電池式の神経刺激器であり、標的部位で神経作用に干渉するために、脳に電気パルスを送り込む。リード線は、典型的には、4つの白金イリジウム電極を用いてポリウレタン内で絶縁されたコイル線であり、脳の3つの領域のうちの1つに置かれる。リード線は、延長部分、つまり、頭部から首側に下って、耳の後ろからIPGへと流れる延長部によってIPGに接続され、該延長部は鎖骨下で皮下に、または、いくつかの場合では腹部に置かれる。症状の抑制を最適化するとともに、副作用を管理するために、神経学者、看護婦、または訓練された技術者によって、IPGを調整することができる。
【0004】
DBSリード線は、対処する症状の種類に応じて脳に配される。非パーキンソン病の本態性振戦については、リード線は視床の腹側中位(ventrointermedial)核(VIM)に置かれる。パーキンソン病(剛性、運動緩慢/無動症および振せん)に関連したジストニアと症状については、リード線を淡蒼球または視床下核のいずれかに配してもよい。
【0005】
3つの構成要素はすべて、身体の内部で外科的に埋め込まれる。局所麻酔の下で、直径約14mmの穴を頭蓋に空け、最適な配置に関する患者からのフィードバックで電極を挿入する。IPGとリード線の取り付けは全身麻酔下で行われる。
【0006】
定位的な手順および特に脳深部刺激療法は、生検またはガイド用の針をより正確に置くための、および、DBSの手順のために刺激リード線を置くための、両方のためのガイダンスとして磁気共鳴を使用することで大きな利益を得ている。特に、DBSの処置法については、DBSの手順中に電極を埋め込む間とその後には、磁気共鳴の使用が制限される。これは、MR画像処理に必要な送信RF場で生じるリード線の加熱によって起こる。組織の過熱と結果として生じる損傷を避けるために、リード線の加熱は、特定の最大値未満の温度で維持されなければならない。
【0007】
DBSの手順については、磁気共鳴が手順のガイダンスとして利用可能な、一般的には3つの段階がある。第1の工程は、定位フレームを、フレームと患者の頭蓋とに取り付けられる4つのピンで頭蓋にボルトで固定した患者の頭部に置くことである。その後、定位位置決め模型(stereotactic locator phantom)はフレームに取り付けられ、患者は手術前の画像処理の準備ができる。この模型の目的は、勾配からも主要な磁場からも発生する任意の非線形性と非均一性を測定することである。加えて、それは、RF送信コイルのB1磁場からの画像強度補正に関する追加情報を提供する。
【0008】
次の工程として、定位フレームと定位位置決め模型とを取り付けられた患者を、MRテーブルに連れて来る。DBSの定位フレームと位置決め模型を、送信/受信用の直角(quadrature)ヘッドコイルに配し、フレーム位置決め模型上に基準(fiducial)を含む3DのMR画像が得られる。適切なヘッドコイルの一例はSiemensから市販されており、それは1.5TシステムのみのためのMedtronicのMR適合性DBSリード線とともに使用することができる。この画像は、MER(ミクロ電子記録)を所望の位置にガイドするナビゲーションソフトウェアによって使用される。しかしながら、この方法には欠点がある。全体のDBSの操作は、その操作が始まる前に得られた画像に依存する。所望の位置に電極を置くのに必要とされる精度は、数ミリメートル以内であり、さもなければ、全ての手順は失敗に終わる。手術工程中、穿頭孔が頭蓋に開けられ、脳が数ミリメートル移動する際に問題が存在する。その段階では、現在利用可能なコイル形状を使用して、定位フレームに位置決め模型を戻すことはできない。したがって、ナビゲーションソフトウェア用の新しい登録プラットホーム(registration platform)として使用される3DMRI画像の新しいセットを得ることができない。この理由のため、穿頭後の脳の運動の変化を捕らえたり、所望の位置に、ゆえに、電極の正確な配置にMERを正確にガイドしたりすることはできない。
【0009】
適所のDBSリード線で患者の画像処理を行う際に典型的なように、リード線の許容できない加熱を引き起こしかねない、RF場内にありかつ脳内に配されるDBSリード線の金属の存在を考慮して、送信コイルの電力出力は、上記の既存の利用可能なヘッドコイルを利用して0.1ワット/kg未満に限定されなければならない。DBSリード線の画像処理を行う際に使用されることを許される電源が限定されているため、そのような低出力レベルで任意の優良な画質を得ることはできない。ユーザーのなかには、これらの限度を越える手段に出るものがおり、稀な例ではあるが、このようなリード線の過熱が患者を傷つけたり、死亡させたりすることもあった。
【0010】
当然のことながら、ヘッドコイルは大きく、頭部からは遠く離れているため、許容可能なSNRでMRI画像を生成するためにはさらなる出力を必要とする。
【0011】
2005年11月29日にミネソタ大学に発行された特許文献1(Vaughan)は、NMRシステムのための並列なRFトランシーバを開示している。励起と検出回路は、多要素RFコイルとともに使用するための個々に制御可能な要素を有する。例えば、位相、振幅、周波数、および、タイミングを含む、回路の各要素からの駆動信号の特徴は、小信号を使用して別々に制御可能である。各コイル要素に関連する駆動信号のための負のフィードバックは、そのコイル要素に接続されたレシーバに由来する。
【0012】
2009年4月28日にGEに対して発行された特許文献2(Boskamp)は、RFコイルアセンブリを介して多重の無線周波数(RF)チャネルを送信することを含む、多重チャネルMR送信システムのためのシステムを開示している。多くのコイル要素を有するRFコイルアセンブリは、そのコイル要素の数未満の多くのRFチャネルを送信するように構成される。実装のなかには、各コイル要素の駆動入力を生成するために、RFチャネルのいくつかまたはすべてについて信号スプリッタを使用するものもある。RFチャネルよりも多くのコイル要素を用いることによって、様々な実施形態は電力効率の増加とB1均一性の改善を示す。
【0013】
2006年1月3日にGEに対して発行された特許文献3(Kurpad)は、MRシステムで送信または送信/受信要素を操作するためのシステムと方法を開示している。一連の共振送信要素のアレイは、すべての要素におけるRF電流の個々の制御を含む。アレイは振幅と位相とを調節するにより、スキャンまたは前スキャン段階中のスキャンの均一性を調節する。アレイは同様に関心分野を選択的に励起させ、そうして主要な電力散逸を回避して、患者の中で熱くならないようにする。
【0014】
上記の文献の開示は、引用することによって本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6,969,992号
【特許文献2】米国特許第7,525,313号
【特許文献3】米国特許第6,982,554号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの態様によれば、定位操作手順で使用するための装置が提供され、
該装置は、
患者の頭部への取り付けのための定位ヘッドフレーム;
患者の頭部のMR画像を生成する際に使用するための、定位ヘッドフレームに取り付けるために配置された送信/受信RFコイルアレイ;
該コイルアレイは、RF場を生成するために、各々が複数のコイル要素を備え、
該コイル要素は、患者の頭部のまわりの位置に配されるようにフレーム上のそれぞれの位置で取り付けられるよう配され、
該コイル要素は、頭部を画像処理するために、患者の頭部内でRF場を生成するように協働するよう配され、
該装置はさらに、
フレームから取り外し可能なコイル要素の少なくとも1つ;および、
RF場を生成するように個々のコイル要素への供給のための信号を生成するための制御システムを備え、
該制御システムは、すべてのコイル要素を適所に備えるとともに1以上のコイル要素を取り除いた所望のRF場を生成するために、コイル要素に対する信号を制御するように配される。
【0017】
好ましくは、必要に応じて取り外すことができるか、または、ヘッドフレーム上に戻すことができるように、コイル要素はモジュール式である。
【0018】
好ましくは、フレームに取り付けられるように配されたMR位置決め要素が提供され、各々の位置決め要素はMR画像処理と適合するとともにMR画像内で目に見える材料から形成され、各々は、MR画像処理システムを調節するために、予め決められた位置で画像内の予め決められた線を定義するための直線状端部のアレイを含む。
【0019】
すなわち、定位位置決め要素は、勾配と同様にMRシステムの主要な磁場から発生する任意の非線形性と非均一性を測定するために配置される。すなわち、定位位置決め要素は、RF送信コイルのB1磁場から画像強度補正に関する追加情報を提供するよう配置される。
【0020】
好ましくは、位置決め要素はモジュール式であり、フレームから取り除くことができる。
【0021】
好ましくは、コイル要素は、位置決め要素を適所に備えた、かつ、位置決め要素が取り除かれたフレームに取り付け可能なように配置される。
【0022】
好ましくは、各々のコイル要素はそれぞれの位置決め要素に関連する。
【0023】
好ましくは、各々のコイル要素はそれぞれの位置決め要素の外側に取り付けられる。
【0024】
好ましくは、各々のコイル要素にはそれぞれのチャネルからの信号が供給され、制御システムは、1以上のコイル要素が取り除かれる際に、画像処理領域で均一なB1を確実なものとするために、各々のチャネルへの感受性を調節するよう配置される。
【0025】
好ましくは、制御システムは、電力レベルを最小限にし、かつ、患者の頭部でまたはその内部で任意の金属リード線からRF場をそらすために、各々のチャネルに対するB1感受性を調節するように配置される。
【0026】
好ましくは、コイル要素は、取り除かれる際に滅菌されるように構築される。
【0027】
好ましくは、制御システムは、B1の位相と規模を調節するために、電力分割器および/またはバトラー(Butler)マトリックスを使用して、単一のトランスミッタでコイル要素の各々に対してRF信号を駆動するように配置される。
【0028】
好ましくは、コイル要素は、直接コイルを駆動させることが可能な1組のRF電力増幅器に接続されるトランシーバ(送信/受信)アレイを形成する。
【0029】
好ましくは、コイル要素はドーム形状である。すなわち、コイル要素は外面を有しており、この外面からフレームに向かって先細りになっている。
【0030】
好ましくは、フレームは、一般的には複数の側面を備えた長方形であり、コイル要素は、フレームのそれぞれの側にフレーム上の頭部のまわりで各々配置される。
【0031】
好ましくは、コイル要素の各々は、支持部材上で取り付けられたフレームとコイル電気部品から取り外し可能な支持部材を含む。
【0032】
好ましくは、制御システムは、多重送信評価ソフトウェア(multi−transmit evaluation software)を含み、ここで、コイル要素の各々に関するB1磁場が評価され、すべてのB1現場挙動(field behavior)がSARと同様に評価され、および、SARが最小限化されて、B1磁場が関心分野でのみ集中するように、磁場B1の位相と規模を各々のコイル要素に関して調節することができる。
【0033】
好ましくは、1組の送信RF増幅器からの直接的なフィードがない場合に、電力分割器または電力分配器が使用されるように、制御システムは配置される。
【0034】
好ましくは、すべてのコイル要素が使用されるわけではない場合に、50オームのターミネーターが未使用のチャネル上で設けられるように、制御システムが配置される。
【0035】
好ましくは、送信フィード(transmit feeds)の数がコイル要素上の送信要素の数には正比例しない場合、バトラーマトリックスが2以上のチャネルを組み合わせてコイル要素の1つにするために利用されるように、制御システムが配置される。
【0036】
好ましくは、トランシーバレイの各々のチャネルは、それが送受信チャネルでありうる場合に、T/Rスイッチを含む。
【0037】
好ましくは、トランシーバ上の各々のコイル要素についての送受信信号は分離される。
【0038】
好ましくは、患者の頭部への挿入をガイドするためにヘッドフレームに取り付けられた定位ガイド部材が供給され、および、コイル要素の選択された1つ以上は、コイル要素が取り除かれるフレームのその部分を介した挿入をガイド部材がガイドすることを可能にするように、取り除かれることができる。
【0039】
好ましくは、コイル要素は、穿頭後の手順と手術中の手順の間の画像処理に対応するために取り除かれる。
【0040】
好ましくは、ガイド部材は供給リード線を有するDBS部品を挿入するように配置され、DBS部品が正確に置かれたどうかについて手術後の画像処理手順が測定できるように、コイル要素は取り除かれる。
【0041】
好ましくは、SARが0.1W/kgを超えないように、手術後の画像処理の間に送信評価ソフトウェアが使用される。
【0042】
本発明の第2の態様によって、患者の脳に部品を挿入するための方法が提供され、該方法は、
患者の頭部への取り付けのために、定位ヘッドフレームを提供する工程、
患者の頭部への挿入をガイドするためにヘッドフレームに取り付けられた定位ガイド部材を提供する工程、
患者の頭部のMR画像を生成する際に使用するための、定位ヘッドフレーム上に取り付けるために配置された送信/受信RFコイルアレイを提供する工程を含み、
該コイルアレイは、各々がRF場を生成する複数のコイル要素を備え、
該コイル要素は、患者の頭部のまわりの位置に配されるようにフレーム上のそれぞれの位置に取り付けられるように配置され、
該コイル要素は、頭部を画像処理するために患者の頭部内でRF場を発生させるように協働するよう配置され、
該方法はさらに、
定位のガイド部材による脳へのアクセスを可能にするために、フレームから取り除かれるコイル要素の少なくとも1つを選択する工程、
該コイル要素を取り除いて、コイルアレイを使用して画像処理を行う工程、および、
前記1以上のコイル要素が取り除かれた所望のRF場を発生させるために配置されたRF場を発生させるように、個々のコイル要素への供給のための信号を生成する工程を備える。
【0043】
好ましくは、選択されたコイル要素は、穿頭後のおよび手術中の処理の間に画像処理に対応するために取り除かれる。
【0044】
好ましくは、供給リード線を有するDBS部品が挿入され、手術後の画像処理手順は、DBS部品が正確に置かれたかどうかを測定するために実行される。
【0045】
好ましくは、SARが0.1W/kgを超えないように、手術後の画像処理の間に送信評価ソフトウェアが使用される。
【0046】
したがって、一般的には、その配置は、コイル構造の一部が示されるように一体型MR位置決め装置を有するモジュール式多重送信ヘッドコイルを提供する。コイル/位置決め装置は、その上にあるMR/CT適合性の基準を、術前、術中、術後に関連画像に取り付けた。コイルパターンは、1組の定位位置決めフレームに直接取り付けられるとともに、コイルを直接駆動可能な1組のRF電力増幅器に接続される、送受信(Transceive)(送信/受信)アレイである。
【0047】
本発明の特徴は次のものを含んでいる:
―ドーム形状のモジュール式要素を備えた、多重送信ヘッドコイル。該要素は、定位の位置決めボックスに似た立方体方式で、頭部のまわりに分布される。
―2つの主要な部品からなる各々の多重送信用要素。トランシーバの各コイル要素を含み、その一方で、同じ構造で定位性の用途のための標準または位置決めフレームの一部がその一部である、電気的なもの。
―XFDTDまたはFEAのような多重送信用評価ソフトウェアで、送受信アレイの各々に関するB1磁場が評価され、すべてのB1現場挙動がSARと同様に評価される。その後、磁場B1の位相と規模が各要素に関して調節可能であるため、SARが最小限化され、B1磁場は単に関心領域に集中する。
―モジュール化された設計は、コイルのすべてまたは一部を使用可能にするとともに、穿頭後のおよび手術中の手順の間の画像処理に対応するために、一部を取り除くことを可能にするRF増幅器に接続可能にする。
【0048】
同様に、トランシーバレイコイルのすべてまたは一部の組み合わせは、DBSリード線が正確に置かれたどうかを測定するために、手術後の手順で利用可能である。送信評価ソフトウェアを利用する同時に、0.1W/kgを超えない最小のSARの選択が、各々の要素に関するB1磁場の規模と位相の適切な組み合わせとともに選択されることによって、我々はSARのための安全限界を確実に維持することができる。
【0049】
代替的な実施形態は次のものを含む:
―1組の送信用RF増幅器から直接的なフィードがない場合に、電力分割器または電力分配器を使用することができる。すべてのチャネルを使用できるわけではない手術中の処置の間は、未使用のチャネル上の50オームのターミネーターが考慮される。
―同様に、送信フィードの数がコイル上の送信要素の数に正比例しない場合、バトラーマトリックスを利用することで、2以上のチャネルを組み合わせて1つのトランスミッタにすることができる。
―別の選択肢は、トランシーバレイの各々のチャネルが、それが送信チャネルでも受信チャネルであっても、T/Rスイッチを有することができるということである。
―別の選択肢は、トランシーバ上の各々のコイルについての送信および受信信号が分離されるということである。
【0050】
重要な特徴は以下のとおりである:
―術前、穿頭後、または、術中、および、リード線配置後の手順の間に、必要に応じて、取り除いたり元に戻したりすることが可能なコイルをモジュール化する。
―モジュラーとコイルの一部として、MR/CTローカライザー模型を作る。
―たとえ1以上の要素がなくとも、画像処理領域のB1上に均一なB1を保証するために、各々のチャネルへのB1感受性を調節する。
―SARレベルを最小限にし、かつ、DBSリード線から電界(E−field)を取り除くために、各々のチャネルへのB1感受性を調節する。
――滅菌可能なコイルを構築する。
――電力分割器および/またはバトラーマトリックスを使用して、単一のトランスミッタでコイルを駆動させる。B1の位相および規模を調節すること。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】患者の頭部への取り付けのための定位ヘッドフレームと、本発明で使用可能な種類のフレーム上に運ばれる定位ガイドデバイスとを含む定位の操作手順で使用するための装置の等角図である。
【図2】本発明に従って、該装置を形成するためにフレームと協調する位置決め要素およびコイル要素が取り付けられる、図1のフレームの等角図である。
【図3】図1の定位のガイドデバイスによるアクセスを許可するために、コイル要素のいくつかが取り除かれた、図2のフレームに似ている等角図である。
【図4】アレイの各チャネルの個別の制御を含む、制御システムの概略図である。
【図5】単一のRFPA(電力増幅器)に取り付けられるとともに、すべてのチャネルに電力を供給するために電力分配器を利用する、図1の装置に関する8つのチャネル送信システムの概略図である。
【図6】すべてのチャネルに電力を供給するための8つのRFPAに取り付けられた、図1の装置に関する8つのチャネル送信システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の1つの実施形態は、添付の図面と共に記述される。
【0053】
図などにおいて、参照文字は、異なる図内の対応する部分を示す。
【0054】
定位の操作手順で使用するための本発明による装置は、従来の性質の図1に示されるヘッドフレームとガイドデバイスを含む。そのようなデバイスは、「Gamma Knife(ガンマナイフ)」という商標で販売された定位ガイド放射線ナイフシステムとともに使用するための、スウェーデンのElektaによって製造されたタイプであってもよい。図1に示される配置はLeksellの定位システムであり、患者の頭部への取り付けのための定位ヘッドフレーム(10)を含む。フレーム(10)は、頭部を囲むために角(10B)で接続した4つの側面(10A)から構成される。それらの側面は、患者の頭蓋(13)に係合するとともに接続するために、クランプピン(12)でクランプ要素(11)に接続する。定位ガイド部材(14)は、生検針(15)または他のデバイスの患者の頭部への挿入をガイドするために、頭部フレーム(10)に取り付けられる。示された配置が周知であり、長年にわたって広く使用されているため、さらなる記載はここで必要ではない。所望の位置で頭蓋に形成された穿頭孔を介して、所望の位置への挿入をガイドするために、フレームのまわりの所望の位置にガイドデバイス(14)を調節することができると言えば十分である。
【0055】
フレーム(10)は、患者の頭部を囲むための一般的には立方構造を形成するために直角に配置された側面(10A)を備えて、図2と図3でも示されている。フレームには、患者の頭部のMR画像を生成する際に使用するための送信/受信RFコイルアレイ(16)が取り付けられる。コイルアレイ(16)は、各々がRF場を生成するための、複数のコイル要素(16A)、(16B)、(16C)、(16D)、および、(16E)を含む。要素(16A)乃至(16D)は、フレームの4つの側面に取り付けられ、(16E)はフレームの上部または底部の模型内でのみ示される。
【0056】
コイル要素は、患者の頭部のまわりの位置で一般的には長方形または立方体の配列を形成するために、フレーム上のそれぞれの位置で取り付けられる。コイル要素は、頭部の画像処理のために患者の頭部内でRF場を生成するように協調するために配置される。示されるように、各々のコイル要素は、単一の取付ベース(19)上で協調する2つのループ(17、18)とともに形成される。ループ(17、18)はフレームの一面を覆うように配置される。ループの数は、フレーム上で使用される段階的なループアレイの設計者の要件に依存して修正可能である。
【0057】
図3で示されるように、コイル要素の少なくとも1つはフレームから取り外し可能であり、つまり、一般的に、該要素の各々は、関連する操作で取り除く要素を選択できるオペレーターによって、個々に取り外し可能である。したがって、一般的に、コイル要素は、患者の頭部のまわりの位置に配されるようにフレーム上のそれぞれの位置に取り付けられる。使用前では、一般的には5つのコイル要素すべてが、最も有効で最も正確な画像処理のための適した場所に留まる。
【0058】
定位の手順については、コイル要素の少なくとも1つは、定位ガイド部材によって脳へのアクセスを許可するために、フレームから取り除かれるよう選択される。他のコイル要素は、実行されるさらなる画像処理のために適所に留まる。コイル要素が取り除かれると、したがって、コイルアレイを使用する画像処理の手順が行なわれる。
【0059】
RF信号を生成するための制御システムは、画像処理のために必要とされるRF場を生成するために、個々のコイル要素への供給のための信号を生成するために配置され、すべてのコイルが適所に配されるとともに、1以上のコイル要素が取り除かれた所望のRF場を生成するために配置される。したがって、選択されたコイル要素は、穿頭後の、および、手術中の手順の間の画像処理に対応するように取り除かれる。
【0060】
本明細書に記載されている配置は、穿頭孔の形成後の画像処理が任意の脳の変化を測定するためには望ましい、先に記載されたDBSの手順について特に効果的である。同様に、DBSデバイスの挿入後の画像処理は、挿入の際の任意のさらなる移動またはその不正確さを考慮して、デバイスの正確な位置を保証すために望ましい。
【0061】
したがって、使用時には、DBSデバイスは、患者の頭部への挿入をガイドするためにヘッドフレーム上に取り付けられる定位ガイド部材(14)を使用して挿入される。これを行うために、選択された1以上のコイル要素が取り除かれることによって、ガイド部材は、コイル要素が取り除かれるフレームのその部分を通る挿入をガイドすることができるようになる。つまり、コイル要素は、穿頭後の、および、手術中の手順の間の画像処理に対応するように取り除かれる。
【0062】
手術後の画像処理手順の間、DBSリード線の過熱を防ぐために、送信評価ソフトウェア(70)(図4)は、SRAが0.1W/kgを超えないように使用される。同様に、磁場は、DBSリード線の領域へのRF場の送信を制限するように制御される。
【0063】
各々のコイル要素はそれぞれの側面を覆う長方形パネルとして形成されたベースを有する。コイル要素は、必要に応じて取り除くことができるか、または、ヘッドフレーム上に戻すことができるように、モジュール式である。
【0064】
フレーム(10)に取り付けられるように配置された複数のMR位置決め要素(20)が同様に提供される。したがって、フレームの各々の側面は、コイル要素(16)のそれぞれ1つの下部のフレームに取り付けられる平面パネルとして形成されるそれぞれの位置決め要素を有する。各々の位置決め要素(20)は、MR画像処理と適合性があり、MR画像で目に見える材料から作られる。各々は、予め決められた位置の画像内の予め決められた線を定義するために、直線状端部(20A)、(20B)、(20C)のアレイを含む。任意の歪みはMR画像処理システムの調整を可能にする画像内に現われるため、画像中のこれらの線が適切な直線状であり、適切に配されているかどうかを見るために、これらの線を確認する。すなわち、定位位置決め要素は、勾配と同様にMRシステムの主要な磁場から発生する任意の非線形性と非均一性を測定するために配置される。つまり、定位位置決め要素は、RF送信コイルのB1磁場からの画像強度補正に関する追加情報を提供するように配置される。そのような位置決め要素(それ以外ではロケータボックスまたはロケータ模型として知られているが)の操作は、当業者には知られている。
【0065】
位置決め要素はモジュール式であり、フレームから取り外し可能である。位置決め要素(20)はフレーム上で支持されるピン(21)に取り付けられる。コイル要素は、位置決め要素を適所に備えたフレームと、位置決め要素を取り除いたフレームの両方に取り付けることができるように配置される。つまり、コイル要素は、それぞれの位置決め要素の外側のコイル要素上のスタッドによって位置決め要素の穴部(22)に取り付け可能であるか、または、位置決め要素を用いてまたは位置決め要素を用いることなく、コイル要素を使用することができるように、コイル要素が適切な容器によってピン(21)に直接取り付け可能である。示された取り付け配置は適切な機械的な接続の単なる例である。それぞれの位置決め要素に接続される際、各々のコイル要素はそれぞれの位置決め要素と関連する。コイル要素と位置決め要素は、取り除かれる際に滅菌可能な適切な材料から構成される。コイル要素はドーム形状であり、すなわち、各々のコイル要素のベース(19)は、外面(19A)を有しており、外面からフレームにかけて側端縁(19Bおよび19C)で先細りになっている。この構造は、コイル要素の内部の位置決め要素に可能な限り近くにコイルの伝導体を近づける。
【0066】
図5に示されるMR制御システム(30)は、当業者に周知の従来の構造であり、画像処理システムを制御するとともにRFコイル要素への供給に必要なRF信号を生成するために作用する。制御システムは、すべてのコイル要素を適所に備えた、および、1以上のコイル要素を取り除いた、所望のRF場を生成するために、コイル要素に対するRF信号を制御するよう配置される。
【0067】
制御システムは、多重送信評価ソフトウェアを含み、該ソフトウェアでは、コイル要素の各々についてのB1磁場が評価され、すべてのB1磁場挙動がSARと同様に評価され、および、SARが最小化し、B1磁場が関心領域にのみ集中するように、磁場B1の位相と規模を調節することができる。
【0068】
各々のコイル要素にはそれぞれのチャネルからの信号が供給され、制御システムは、1以上のコイル要素が取り除かれる際に画像処理領域上の均一なB1を確保するために、各々チャネルへのB1の感受性を調節するように配置される。
【0069】
制御システムは、電力レベルを最小化するとともに、患者の頭部またはその内部の任意の金属リード線からRF場を離れてそらすために、各々のチャネルへのB1感受性を調節するよう配置される。
【0070】
図5に示す制御システムは、B1の位相と規模を調節するために、電力分割器(40)および/またはバトラーマトリックスを使用して、単一のトランスミッタでコイル要素の各々に対するRF信号を駆動させるように配置される。
【0071】
代替的に、図4と図6に示されるように、コイル要素は、コイルを直接駆動させることが可能な1組のRF電力増幅器(50)に接続されるトランシーバ(送信/受信)アレイを形成する。
【0072】
したがって、制御システムは、1組の送信RF増幅器からの直接的なフィードがない場合に、電力分割器または電力分配器が使用されるように、配置される。すべてのコイル要素が使用されるとは限らない場合、すなわち、1以上が上記のように取り除かれる場合、50オームのターミネーター(60)(図6)が未使用のチャネルに提供されるように、制御システムが配置される。
【0073】
送信フィードの数がコイル要素上の送信要素の数と正比例しない場合、バトラーマトリックスが2以上のチャネルを組み合わせてコイル要素の1つにするために利用されるように、制御システムは配置される。
【0074】
図4に示されるように、トランシーバレイの各々のチャネルは、それが送信と受信のチャネルでありうる場合、T/Rスイッチ(61)を含む。
【0075】
トランシーバ上の各々のコイル要素のための送信および受信信号は分離される。
【0076】
本明細書に上記の如く記載された私の発明において、様々な変更を行うことができ、同じような多くの明らかに多様で異なる実施形態が、特許請求の範囲の範囲と精神を逸脱することなく、該精神と範囲内でなされることができるため、添付の明細書に包含されるすべての事は、単に例示目的でのみ解釈され、限定する意味では解釈されないということが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定位操作手順で使用するための装置であって、
前記装置は、
患者の頭部への取り付けのための定位ヘッドフレームと、
患者の頭部のMR画像を生成する際に使用するための、前記定位ヘッドフレームに取り付けるために配置される送信/受信RFコイルアレイとを含み、
前記送信/受信RFコイルアレイは、RF場を生成するために、各々が複数のコイル要素を含み、
前記コイル要素は、患者の頭部のまわりの位置に配されるように前記フレーム上のそれぞれの位置で取り付けられるよう配され、
前記コイル要素は、頭部の画像処理のために、患者の頭部内でRF場を生成するように協働するよう配され、
前記装置はさらに、
フレームから取り外し可能なコイル要素の少なくとも1つと、
RF場を生成するように個々のコイル要素への供給のための信号を生成するための制御システムとを備え、
前記制御システムは、すべてのコイル要素を適所に備えるとともに1以上のコイル要素を取り除いた所望のRF場を生成するために、コイル要素に対する信号を制御するように配されることを特徴とする装置。
【請求項2】
必要に応じて前記コイル要素を取り外すことができるか、または、前記ヘッドフレーム上に戻すことができるように、前記コイル要素がモジュール式であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フレームに取り付けられるように配されたMR位置決め要素を含み、
各々の位置決め要素はMR画像処理と適合するとともにMR画像内で目に見える材料から形成され、各々は、MR画像処理システムを調節するために、予め決められた位置で画像内の予め決められた線を定義するための直線状端部のアレイを含み、
前記位置決め要素はモジュール式であり、前記フレームから取り外し可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コイル要素は、前記位置決め要素を適所に備えた、かつ、前記位置決め要素が取り除かれたフレームに、取り付け可能なように配置され、
各々のコイル要素はそれぞれの位置決め要素に関連することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
各々のコイル要素はそれぞれの位置決め要素の外側に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御システムは、B1の位相と規模を調節するために電力分割器および/またはバトラーマトリックスを使用して、単一のトランスミッタで前記コイル要素の各々に対するRF信号を駆動させるように配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記コイル要素は、直接コイルを駆動させることが可能な1組のRF電力増幅器に接続されるトランシーバー(送信/受信)アレイを形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記コイル要素は外面を有しており、前記外面から前記フレームに向かって先細りになっており、
前記フレームは、一般的には複数の側面を備えた長方形であり、前記コイル要素は、前記フレームのそれぞれの側に該フレーム上の頭部のまわりに各々配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
1組の送信RF増幅器からの直接的なフィードがない場合に、電力分割器または電力分配器が使用されるように、前記制御システムが配置されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
すべてのコイル要素が使用されるわけではない場合に、50オームのターミネーターが未使用のチャネル上に設けられるように、前記制御システムが配置されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
送信フィードの数が前記コイル要素上の送信要素の数に正比例しない場合、バトラーマトリックスが2以上のチャネルを組み合わせて前記コイル要素の1つにするために利用されるように、前記制御システムが配置されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
前記トランシーバーアレイの各々のチャネルは、それが送受信チャネルでありうる場合に、T/Rスイッチを含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の装置。
【請求項13】
前記トランシーバー上の各々のコイル要素についての送受信信号は分離されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
患者の頭部への挿入をガイドするために前記ヘッドフレームに取り付けられた定位ガイド部材を含み、
前記コイル要素の選択された1つ以上は、前記コイル要素が取り除かれるフレームの部分を介した挿入をガイド部材がガイドすることを可能にするように、取り除くことができることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
定位操作手順で使用するための装置であって、
前記装置は、
患者の頭部への取り付けのための定位ヘッドフレームと、
患者の頭部のMR画像を生成する際に使用するための、前記定位ヘッドフレームに取り付けるために配置される送信/受信RFコイルアレイとを含み、
前記送信/受信RFコイルアレイは、RF場を生成するために、各々が複数のコイル要素を含み、
前記コイル要素は、患者の頭部のまわりの位置に配されるように前記フレーム上のそれぞれの位置で取り付けられるよう配され、
前記コイル要素は、頭部の画像処理のために、患者の頭部内でRF場を生成するように協働するよう配され、
前記装置はさらに、
必要に応じて取り外すか、前記ヘッドフレーム上に戻すことができるように、前記フレームから取り外し可能なコイル要素の少なくとも1つと、
前記フレームに取り付けられるように配された複数のMR位置決め要素とを含み、
各々の位置決め要素はMR画像処理と適合するとともにMR画像内で目に見える材料から形成され、各々は、MR画像処理システムを調節するために、予め決められた位置で画像内の予め決められた線を定義するための直線状端部のアレイを含み、
前記位置決め要素はモジュール式であり、前記フレームから取り外し可能であることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−101053(P2012−101053A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236451(P2011−236451)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(511261097)イムリス インク. (10)
【Fターム(参考)】