説明

取付板を備えた直動案内ユニット

【課題】 この直動案内ユニットは,スライダの端面に付属装置を取り付けるための取付板を成形品で簡単に安価に製作し,取付板をスライダの端面に簡単に高精度に装着し,付属装置の機能を発揮できるように構成した。
【解決手段】この直動案内ユニットにおいて,取付板7は,一方の端面である内側端面24がスライダ2の端面50に取り付けられる第1取付け平面52に且つ他方の端面である外側端面28が付属装置10を取り付けるための第2取付け平面53に板状に形成され,成形型により成形品に製作されている。取付板5は,合成樹脂製の本体部25と,その中心部に埋設された芯金26からなり,合成樹脂射出成形で成形品に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,粉塵,切粉,切屑,切削液等の異物が多量に発生するような厳しい作業環境になる切削機械,研削機械,木工機械等の工作機械,各種組立装置,搬送機械,半導体製造装置等の各種装置に使用される取付板を備えた直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,直動案内ユニットについては,オプション仕様として,スライダの端部から異物の侵入を防ぐ防塵装置,高密封シール装置,スライダに潤滑剤を供給する潤滑装置等の付属装置即ちアタッチメント装置を付加して直動案内ユニットの機能のアップを図り,直動案内ユニットを使用環境に最適化させて使用することが増えてきている。直動案内ユニットは,特に,粉塵,切粉,切屑,切削液等(異物)が多量に発生するような厳しい作業環境になる切削機械,研削機械,木工機械等の工作機械で適用されるようになっている。
【0003】
従来,本出願人が開発した直動転がり案内ユニットについて,シール性能を向上させるために,スライダの外側端面,即ち,スライダにおけるエンドシールの端面にシール装置を取り付けるための取付板が設けられている。取付板は,ブリッジ部とブリッジ部の両側から垂下した袖部とから構成され,袖部にはシール部材を位置決めするための位置決めピンが固定されている。また,取付板には,スライダに固定するために固定ねじの取付孔が形成されると共に,スクレーパプレートやシール部材を取り付けるために固定ねじのタップ孔が形成されている。取付板は,スペーサの機能を有している(例えば,特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−317765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,従来の本出願人が開発した上記の直動転がり案内ユニットは,特許文献1には記載されていないが,取付板が鉄板から削り出しにより加工し製作されており,取付板が直動転がり案内ユニットの個別毎に対応していたために,取付板の製作に工数が掛かり高価なものになっていた。また,取付板は,エンドシールの端面から突出するリップ部を避けた位置に取付け平面を設けるスペーサの機能を有するだけであり,取付板については高精度なものではなかった。
【0005】
ところが,近年の直動案内ユニットでは,潤滑のメンテナンスフリー,多種用途に使用すること等から,直動案内ユニットに高機能を付加しても,高精度で長寿命で且つ安価なものが要望されるようになった。また,近年,直動案内ユニットは,高剛性,高精度でなるローラ形式のものが多く使用され,更に,劣悪な使用環境にも適合することが要望され,オプション仕様として,スライダの端部から異物の侵入を防ぐ防塵装置,高密封シール装置,スライダに潤滑剤を供給する潤滑装置等の付属装置を,スライダの端面に付加して機能アップを図るようになっており,その際に,直動案内ユニットに付属装置を取り付けるための取付板は,スライダに安定して簡単に装着でき,高精度で且つ安価なものを提供するということが課題がある。特に,直動案内ユニットは,粉塵,切粉,切屑,切削液等の異物が多量に発生するような厳しい作業環境に設置される工作機械等に適用されるようになっているので,そのように厳しい作業環境にも適用できることが要望されている。
【0006】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,異物が多量に発生するような厳しい作業環境で使用される工作機械等の各種装置に適用される直動案内ユニットにおいて,防塵装置,高密封シール装置,潤滑装置等の付属装置を取り付けるため,アタッチメントプレート,継ぎ板,ジョイントプレート等の取付板をスライダの端面に取り付け,その際にスライダの端面に付属装置の機能を高機能に発揮できるように取付板を構成し,しかも,取付板をスライダの端面に簡単に装着でき,高精度で,簡単に製作でき,安価に提供できることを特徴とする取付板を備えた直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は,長手方向に沿って軌道面が形成された軌道レール,前記軌道レールに転動体を介して摺動自在なスライダ,及ぴ前記スライダの端面に取付板を介して付属装置が配設される直動案内ユニットにおいて,
前記取付板は,一方の端面である内側端面が前記スライダの前記端面に取り付けられる第1取付け平面に且つ他方の端面である外側端面が前記付属装置を取り付けるための第2取付け平面になって板状に形成され,成形型により成形された成形品で構成されていることを特徴とする直動案内ユニットに関する。
【0008】
また,前記取付板の前記成形品は,合成樹脂製の本体部と該本体部の中心部に埋設される芯金とから構成される合成樹脂射出成形によって形成されている。
【0009】
前記取付板は,前記芯金を介して第1ボルトにより前記内側端面が前記スライダの前記端面に固着されており,前記芯金を介して第2ボルトとナットにより前記付属装置が前記外側端面に固着されている。
【0010】
また,前記取付板は,前記外側端面には前記第1ボルトの頭部が嵌入して収納する前記芯金までに達するザグリ穴が前記本体部に形成され,前記内側端面には前記第2ボルトに螺入する前記ナットを嵌入して収納する前記芯金まで達する六角形形状のザグリ穴が前記本体部に形成されている。更に,前記取付板の前記芯金には,4本の前記第1ボルトが貫通する第1取付け孔と4本の前記第2ボルトが貫通する第2取付け孔が形成されている。
【0011】
また,前記付属装置は,異物の侵入を防止する防塵シールをケース内に収納した防塵装置と前記ケースの外側端面に大きな前記異物を排除するためのスクレーパとで構成され,前記取付板は,前記軌道レールとの間から前記異物の侵入及び滞留を防止するために,前記軌道レールに対して可及的に近接する内周面に形成されている。更に,前記防塵装置における前記防塵シールは,両端面の表層がゴム状のスキン層と前記スキン層間のスボンジ層から構成され,前記スポンジ層には潤滑剤が含浸されている。
【0012】
また,前記取付板は,前記軌道レールに跨架する門形形状に形成され,前記本体部の前記内周面は前記軌道レールの前記軌道面に対向して凸部に形成され,前記芯金の内周は前記軌道レールの前記軌道面に向かって突出していないものである。
【0013】
また,前記スライダは,前記軌道レールの前記軌道面に対向して軌道面が形成され且つ前記軌道面間に形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキヤップ,前記エンドキヤップの端面に配設され前記エンドキヤップと前記軌道レールとの隙間をシールするエンドシール,及び前記軌道路と前記リターン路と一対の前記方向転換路とで構成される循環路を転走する複数の前記転動体を有する。
【0014】
また,この直動案内ユニットは,前記取付板には,前記エンドシールに対向して前記エンドシールのリップ部を収納する凹部になるリップ収納部が形成され,前記取付板の前記内側端面には,前記エンドシールの端面に形成されたザグリ穴の凹部に嵌合する凸部が形成されている。
【0015】
また,前記取付板と前記エンドシール,及び前記取付板と前記付属装置は,互いに全面にわたって密接して配設されている。
【発明の効果】
【0016】
この直動案内ユニットは,上記のように,付属装置をスライダへ取り付けるための取付板を芯金を埋設して合成樹脂製成形品にシンプルに構成できるので,従来のものに比較して安価に製造でき,しかも,取付板を介して付属装置をスライダに安定して簡単に装着でき,取付板を高剛性に高精度に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明による直動案内ユニットは,異物が多量に発生するような厳しい作業環境になる工作機械,各種組立装置,搬送機械,半導体製造装置等の各種装置に使用されるローラ形式に構成されている。この直動案内ユニットは,勿論,他の形式,例えば,転動体がボールのもの,軌道レールが軸形式のもの等にも適用できるものである。この直動案内ユニットは,付属装置をスライダの移動方向の端面に付加してなるローラ形式であり,スライダの端面に付属装置を簡単に精度良く取付け可能で,軽量で安価になる取付板7に構成されている。この直動案内ユニットは,特に,本出願人に係る特許文献1に開示されている取付板を改良したものであり,取付板を芯金と合成樹脂とで作製して安価に,しかも高剛性に構成すると共に,防塵装置や潤滑装置の付属装置を簡単に,高精度に且つ堅固に装着できる構造に改良したものである。
【0018】
以下,図面を参照して,この発明による直動案内ユニットの実施例について説明する。図1〜図3に示すように,この直動案内ユニットは,両側面47の長手方向に沿ってそれぞれ一対の軌道面11が形成された長尺状の軌道レール1,及び軌道レール1に跨架して転動体であるローラ(図示せず)を介して摺動自在なスライダ2から成る。スライダ2は,軌道面11に対向して形成された軌道面(図示せず)及び該軌道面と軌道面11と間に形成された軌道路(図示せず)に平行なリターン路(図示せず)が形成されたケーシング3,ケーシング3の両端面48にそれぞれ固着され且つ軌道路とリターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキヤップ4,エンドキャップ4の外側端面49に配置され且つ軌道レール1とスライダ2との隙間をシールするエンドシール6,軌道路とリターン路と一対の方向転換路とからなる循環路を転走する複数のローラを有している。この直動案内ユニットは,特に,スライダ2の端面,即ち,エンドシール6の端面50に,防塵装置5とスクレーパ8とから成る付属装置10が合成樹脂射出成形により作製された成形品で構成された取付板7を介して取り付けられていることを特徴としている。
【0019】
この直動案内ユニットは,軌道レール1には,ベース等に軌道レール1を固定するため取付け孔36が等間隔に隔置して形成され,また,ケーシング3には,ケーシング3に他部品を固定するための取付け用ねじ穴20が設けられている。この直動案内ユニットは,軌道路において,大きな負荷を受けながらローラが軌道面11間の軌道路を転動するので,金属接触して異常摩耗や損傷が生じないように,潤滑剤(グリース・潤滑油)を給油することが不可欠なものになっており,エンドキャップ4には,ローラの循環路に潤滑剤を供給するために,両側面又は端面に給油口が設けられ,そこにグリースニップル34が設けられている。ケーシング3は,軌道レール1の両側面47に沿って延びる袖部59,及び軌道レール1に跨がって両袖部59を連結する連結部60から構成され,また,エンドキャップ4は,ケーシング3の袖部59に対向する袖部61,及び軌道レール1に跨がって両袖部61を連結し且つ連結部59に対向する連結部62から構成されている。
【0020】
この直動案内ユニットにおいて,取付板5は,直動案内ユニットのオプション仕様としてスライダ2の端面50に付属装置10を付加するときに,スライダ2と付属装置10とを連結するためにスライダ2におけるエンドシール6の端面50に装着されるものになっている。付属装置10は,直動案内ユニットを特殊環境で使用するときに,スライダ2に付加して機能アップを図り,上記のような異物が多量に発生するような厳しい作業環境である特殊環境に適合させるものになっている。この実施例では,付属装置10は,防塵装置5とスクレーパ8であり,特に,粉塵,切粉,切屑,切削液等の異物が多量に発生するような厳しい作業環境に設置されている切削機械,研削機械,木工機械等の工作機械に組み込まれて適用されるのに適したものである。また,付属装置10は,防塵装置5の他,後述するが,図18に示すように,スライダ2に潤滑剤を供給するための潤滑装置51に構成されることもある。
【0021】
図4及び図5に示すように,この直動案内ユニットは,特に,エンドキャップ4の端面49の凹部に嵌入した潤滑装置である潤滑剤含浸部材9が内蔵されており,潤滑のメンテナンスフリーを実現したタイプに構成されている。この直動案内ユニットにおいて,取付板7は,一方の端面である内側端面24(エンドシール6側に位置する端面)がエンドシール6の端面50に対向して,エンドシール6及びエンドキヤップ4をケーシング3に固着する固定ボルトである第1ボルト21によってエンドシール6及びエンドキヤップ4と共にケーシング3に固着され,また,他方の端面である外側端面28に付属装置10が固定ボルトである第2ボルト22により固着されるように構成されている。また,付属装置10は,取付板7の外側端面28に対向して,図14に示すように,ケース15内に一対の防塵シール14と封止プレート16を内蔵した防塵装置5,及びケース15の反対側の端面である外側端面29に配設されるスクレーパ8で構成されている。第2ボルト22は,スクレーパ8の外側端面30から挿入し,スクレーパ8から防塵装置5を貫通し,取付板7に嵌着したナット23に螺入して付属装置10を取付板7に固着している。
【0022】
図6〜図13に示すように,取付板7は,エンドシール6の端面50に装着するための取付け平面52(第1取付け平面)と,付属装置10を取着するための取付け平面53(第2取付け平面)とが形成された板状体の本体部25と,該本体部25内に埋め込まれた芯金26とから成る合成樹脂材から成形型により射出成形により製作される成形品に構成されている。即ち,取付板7は,本体部25と,その中心部に埋設した芯金26とから成る合成樹脂射出成形による成形品に構成されており,軽量にして精度良く,錆びることなく,安価に製作できるものになっている。芯金26には,第1ボルト21が挿通する取付け孔31と,第2ボルト22が挿通する取付け孔32とが形成されている。従って,取付板7は,安定して精度の良いものになり,複雑な形状にも対応でき,スライダ2の端面50に精度良く配設できるものである。
【0023】
この直動案内ユニットにおいて,取付板7は,スライダ2の端面50と同様に,軌道レール1の両側面47に対向した両袖部54及び袖部54間を連結する連結部55から成り,軌道レール1に跨架する門形形状で平板状に形成されている。取付板7の軌道レール1に対向する周面は,軌道レール1の外周に接触することなく僅かな隙間56を形成するように,即ち,可及的に軌道レール1の外周に近接した内周面に形成され,軌道レール1の軌道面11間の逃げ溝である軌道溝57に嵌入するように凸部33に形成されている。取付板7は,図12及び図13に示す芯金26が合成樹脂製の本体部25内に埋設されて構成されている。芯金26は,内周には本体部25の凸部33のような凸部が無い突出していない形状であり,コ字形伏即ち門形の薄板に形成されている。取付板7は,芯金26に凸部が無いことにより,成形型の凸部成形部分から芯金26の表裏及び縁部にわたり合成樹脂が均一に周って射出成形できるものになっている。
【0024】
図5〜図8に示すように,取付板7の本体部25で形成される外側端面28即ち取付け平面53には,第1ボルト21の頭部が嵌入して収納され且つ第1ボルト21の頭部が取付け平面53から突出することのないようにザグリ穴18が本体部25の上下左右の4箇所に形成されている。ザグリ穴18の底部は,本体部25の合成樹脂が存在することなく,芯金26の端面になっている。また,第2ボルト22が貫通する取付け孔32,38は,ザグリ穴18と異にする位置に形成され,本体部25の上下左右の4箇所に形成されている。また,取付板7の本体部25で形成される内側端面24即ち取付け平面52には,第2ボルト22に螺入するナット23が収納され且つナット23と第2ボルト22の端部が取付け平面52から突出することのないようにザグリ穴37が本体部25の上下左右の4箇所に形成されている。図7及び図8に示すように,エンドシール6の端面50(外側端面)に対向する取付板7の内側端面24(第1取付け平面)には,エンドシール6の端面50に形成された第1ボルト21の挿入孔になるザグリ穴13(図15)に対向して,第1ボルト21が挿通する取付け孔19の周囲が取付け平面52(第1取付け平面)から僅かに突出する凸部17に形成され,凸部17がザグリ穴13のザグリ部に嵌合するものになっており(図4),取付板7がエンドシール6の端面50に簡単に位置決めできるものになっている。取付板7の本体部25と芯金26には,第2ボルト22が挿通する取付け孔38と取付け孔32とが形成されている。また,取付板7の内側端面24には,エンドシール6のリップ部12を挿入するためのリップ部収容部35が軌道レール1を囲むように門形に形成されており,エンドシール6が取付板7の内側端面24に密接して配設されるようになっている。
【0025】
更に,エンドシール6を構成する合成ゴム部46のザグリ穴13のザグリ部の底部には,合成ゴム材が載っておらず,エンドシール6の芯金45になっているので,取付板7の凸部17がエンドシール6のザグリ部13に嵌合することで,取付板7は,第1ボルト21を締め込んでも,エンドシール6の合成ゴムの弾性に影響されて変形することなく,エンドシール6の端面50に安定して装着することができるものになっている。また,この直動案内ユニットは,図8に示すように,取付板7の内側端面24(第1取付け平面)には,第2ボルト22の取付け孔38に六角形形状のザグリ部37が形成されており,六角形のザグリ穴37には第2ボルト22が螺入するためのナット23が嵌入してナット23が第1取付け平面52から突出することなく収容されるものになっている。六角形のザグリ穴37のザグリ部には,合成樹脂が載ることなく芯金26の端面になっている。
【0026】
また,この直動案内ユニットにおいて,取付板7の内側端面24には,第1取付け平面52から凹んで,エンドシール6のリップ部12に接触することなく僅かな隙間でリップ部12を覆うようにして,リップ部12を収納することができる外周がコ字状になる凹部のリップ部収容部35が形成されている。取付板7は,上記のように構成されているので,図5に示すように,取付板7の芯金26に第1ボルト21の頭部の座面が直接接触して第1ボルト21が螺着し,同様に,第2ボルト22のナット23の座面が直接に芯金26に接触して第2ボルト22に螺着しているので,合成樹脂射出成形品であってもしっかりと固着できるものになっている。また,この直動案内ユニットは,組み立てられた状態では,取付板7の内周は,軌道レール1と接触することなく僅かな隙間56の状態に形成されているので,取付板7の下部から粉塵などの異物が侵入することなく,異物が滞留することがないものになっている。
【0027】
図14に示すように,この直動案内ユニットにおいて,付属装置10は,粉塵,切粉,切層,切削液等の異物が多量に発生するような厳しい作業環境に設置された装置に適用できるものであり,防塵装置5とスクレーパ8とで構成されている。スクレーパ8は,大きな異物を排除するためのものであり,軌道レール1と接触することなく僅かな隙間で内周部が形成された薄板の鋼板になっており,一番外側に配置されている。防塵装置5は,外側端面にスクレーパ8を配設することができる取付け平面である外側端面29が形成されたケース15,ケース15内に収納され且つ異物の侵人を防止する一対の防塵シール14,及び防塵シール14をケース15内にしっかりと収納するための封止ブレート16で構成されている。ケース15には,周囲部に剛性を高めるためリブ部41を備えておりリブ部41には第2ボルト22が挿通する取付け孔42が形成されている。スクレーパ8には,第2ボルト22が挿通する取付け孔43が形成されている。また,ケース15内の外側瑞面29の裏面には,防塵シール14を軌道レール1に摺接する所定の位置に位置決めするために位置決めピン27が設けられている。防塵シール14と封止プレート16には,位置決めピン27が嵌入する位置決めピン孔39,40が形成されている。防塵シール14は,両端面の表層がゴム状のスキン層63に形成され表層間の中間層がスポンジ層64に形成され,スポンジ層64に潤滑剤が含浸されたものに構成されており,異物をしっかりと排除すると共に耐久性を有するものになっている。
【0028】
図15〜図17に示すように,エンドシール6は,鋼板製になる芯金45に合成ゴムでなるゴム部46を焼き付けたものでなり,ゴム部46には,軌道レール1の外周に摺接するリップ部12が形成されている。また,ゴム部46は,芯金45の一方の端面である外側端面にほぼ全面を覆うように薄膜伏に貼着されて形成され,内周部では,薄膜状の平面から軌道レール1に対向するように傾斜して突出するリップ部12が形成されたものになっている。従って,固定ボルト21が挿入される取付け孔44が形成されたザグリ穴13のザグリ部は,ゴム部が載ることなく,芯金45の座面になっており,取付板7は固定ボルト21によりエンドシール6に密接してしっかりとスライダ2に固着できるように形成されている。
【0029】
次に,図18を参照して,この直動案内ユニットの別の実施例を説明する。この直動案内ユニットは,付属装置10として潤滑装置51を設けたものである。この実施例では,付属装置10Aは,潤滑装置51とその前端面に配設された別のエンドシール6A(第2エンドシール)から構成されている。この実施例の直動案内ユニットでは,潤滑装置51を備えているので,上記実施例の潤滑剤含浸部材9をエンドキャップ4の端面49に設ける必要がないタイプである。また,潤滑装置51は,軌道レール1の軌道面11に潤滑剤を供給するものであり,ケース15A内に軌道レール1の軌道面11に摺接する第1実施例で示したものと同様の潤滑剤含浸部材9を有するものである。また,エンドシール6Aは,上記のエンドシール6と同様な構造に形成することができるものである。エンドシール6Aは,軌道レール1の軌道面11に粉塵等の異物の侵入を防ぐシールであって,第2ボルト22が挿通する取付け孔(図示せず)が形成されているものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明による直動案内ユニットは,工作機械,各種組立装置,搬送機械,半導体製造装置等の各種の装置の摺動部に組み込まれて使用され,特に,スライダ端面に取付板を介して防塵装置,潤滑装置等の付属装置をオプション仕様として簡単に精度良く取り付け,機能アップされ,使用環境に最適なものになっている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明による直動案内ユニットの一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の直動案内ユニットを示す側面図である。
【図3】図1の直動案内ユニットを示す平面図である。
【図4】図1の直動案内ユニットにおけるスライダの一方の端部を分解して示す分解図である。
【図5】図4の取付板の取付け状態を示す断面説明図である。
【図6】図4の取付板を示す正面図である。
【図7】図6の取付板を示す側面図である。
【図8】図6の取付板を示す背面図である。
【図9】図6の取付板を示す下面図である。
【図10】図6の取付板におけるA−A部分の断面図である。
【図11】図9の取付板におけるB部の拡大図である。
【図12】図6の取付板の中心部に埋設された芯金を示す正面図である。
【図13】図12の芯金を示す側面図である。
【図14】図4の付属装置を分解して示す斜視図である。
【図15】図4のエンドシールを示す正面図である。
【図16】図15のエンドシールを示す側面図である。
【図17】図15のエンドシールのC−C部分のリップ部を示す断面図である。
【図18】この発明による直動案内ユニットの別の実施例を示しており,図4に相当する分解図である。
【符号の説明】
【0032】
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
5 防塵装置
6,6A エンドシール
7 取付板
8 スクレーパ
10,10A 付属装置
11 軌道面
12 リップ部
13,18,37 ザグリ穴
14 防塵シール
15,15A ケース
17 凸部
19,31,32,38 取付け孔
21 第1ボルト
22 第2ボルト
23 ナット
24 内側端面
25 本体部
26 芯金
28 外側端面(取付板)
33 凸部
35 リップ部収納部
48,49,50 端面
51 潤滑装置
52 取付け平面(第1取付け平面)
53 取付け平面(第2取付け平面)
63 スキン層
64 スポンジ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って軌道面が形成された軌道レール,前記軌道レールに転動体を介して摺動自在なスライダ,及ぴ前記スライダの端面に取付板を介して付属装置が配設される直動案内ユニットにおいて,
前記取付板は,一方の端面である内側端面が前記スライダの前記端面に取り付けられる第1取付け平面に且つ他方の端面である外側端面が前記付属装置を取り付けるための第2取付け平面になって板状に形成され,成形型により成形された成形品で構成されていることを特徴とする直動案内ユニット。
【請求項2】
前記取付板の前記成形品は,合成樹脂製の本体部と該本体部の中心部に埋設される芯金とから構成される合成樹脂射出成形によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記取付板は,前記芯金を介して第1ボルトにより前記内側端面が前記スライダの前記端面に固着されており,前記芯金を介して第2ボルトとナットにより前記付属装置が前記外側端面に固着されていることを特徴とする請求項2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記取付板は,前記外側端面には前記第1ボルトの頭部が嵌入して収納する前記芯金までに達するザグリ穴が前記本体部に形成され,前記内側端面には前記第2ボルトに螺入する前記ナットを嵌入して収納する前記芯金まで達する六角形形状のザグリ穴が前記本体部に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記取付板の前記芯金には,4本の前記第1ボルトが貫通する第1取付け孔と4本の前記第2ボルトが貫通する第2取付け孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記付属装置は,異物の侵入を防止する防塵シールをケース内に収納した防塵装置と前記ケースの外側端面に大きな前記異物を排除するためのスクレーパとで構成され,前記取付板は,前記軌道レールとの間から前記異物の侵入及び滞留を防止するために,前記軌道レールに対して可及的に近接する内周面に形成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項7】
前記防塵装置における前記防塵シールは,両端面の表層がゴム状のスキン層と前記スキン層間のスボンジ層から構成され,前記スポンジ層には潤滑剤が含浸されていることを特徴とする請求項6に記載の直動案内ユニット。
【請求項8】
前記取付板は,前記軌道レールに跨架する門形形状に形成され,前記本体部の前記内周面は前記軌道レールの前記軌道面に対向して凸部に形成され,前記芯金の内周は前記軌道レールの前記軌道面に向かって突出していないことを特徴とする請求項6又は8に記載の直動案内ユニット。
【請求項9】
前記スライダは,前記軌道レールの前記軌道面に対向して軌道面が形成され且つ前記軌道面間に形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキヤップ,前記エンドキヤップの端面に配設され前記エンドキヤップと前記軌道レールとの隙間をシールするエンドシール,及び前記軌道路と前記リターン路と一対の前記方向転換路とで構成される循環路を転走する複数の前記転動体を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項10】
前記取付板には,前記エンドシールに対向して前記エンドシールのリップ部を収納する凹部になるリップ収納部が形成され,前記取付板の前記内側端面には,前記エンドシールの端面に形成されたザグリ穴の凹部に嵌合する凸部が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の直動案内ユニット。
【請求項11】
前記取付板と前記エンドシール,及び前記取付板と前記付属装置は,互いに全面にわたって密接して配設されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の直動案内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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