取付金具及び取付装置、並びに取付方法
【課題】不陸の面状部に太陽電池パネル等の構造物を容易且つ安定的に設置することができる取付金具、及びこれを利用した取付装置、取付方法を提供する。
【解決手段】大筒体2と、前記大筒体2の内部に羅入される小筒体3と、軸部4bと頭部4aからなり前記小筒体3の内部に羅入されるボルト体4からなり、前記小筒体3にはボルトの頭部と同様の頭部4aが設けられている取付金具1、及びこれを利用した取付装置、取付方法である。
【解決手段】大筒体2と、前記大筒体2の内部に羅入される小筒体3と、軸部4bと頭部4aからなり前記小筒体3の内部に羅入されるボルト体4からなり、前記小筒体3にはボルトの頭部と同様の頭部4aが設けられている取付金具1、及びこれを利用した取付装置、取付方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擁壁等の面状部に太陽電池パネル等の構造物を取り付けるための取付金具、及びこれを用いた取付装置並びに取付方法に係り、更に詳しくは、既設の擁壁表面等の如き不陸の面状部の表面であっても、面状部と取り付ける構造物の間の距離のばらつきを吸収して容易且つ安定的に構造物を取り付けることが出来る取付金具及び取付装置並びに取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、切り土や盛り土によって形成された斜面の崩壊を防ぐために広く擁壁が構築されている。近年では、道路に面する山や土手、河川の堤防等の斜面を有効に使用するために、擁壁を構築するための土木用ブロックとして、例えば太陽電池パネル等の構造物が配置された土木用ブロックを用い、この擁壁で太陽光発電を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、新規に構築される擁壁の斜面は上記の土木用ブロックで有効利用できるものの、既設の擁壁の斜面については有効利用することはできない。既設の擁壁から古い土木用ブロックを一旦取り除いてから上記の土木用ブロックを用いて新たな擁壁を再構築することも可能であるが、手間とコストがかかりすぎるため現実的ではない。
また、従来の擁壁は、殆どの場合、擁壁面の利用については全く考慮されておらず、また、長年の風雨により表面が凹凸状の不陸になっていることが多いため、ボルトやナットなど、通常の取付金具では太陽電池パネル等の構造物を安定的に固定することができず、不陸を平らにした後に取り付けることが必要で、手間がかかり、コストも高くならざるを得ない。
従って、既設の擁壁は放置されたままであり、日当たりの良い斜面であっても殆ど利用されていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−196016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、既設の擁壁等の如き不陸の面状部の表面にでも太陽電池パネルのような構造物を容易且つ安定的に取り付けて、日当たりの良い擁壁面を有効に活用することができる取付金具及び取付装置並びに太陽電池パネル等構造物の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴の第1は、大筒体と、該大筒体の内部に羅入される小筒体と、軸部と頭部からなり前記小筒体の内部に羅入されるボルト体からなり、前記小筒体には頭部が設けられている取付金具を内容とする。
【0007】
本発明の特徴の第2は、大筒体の基底側に固定部が設けられている上記の取付金具を内容とする。
【0008】
本発明の特徴の第3は、大筒体と小筒体の間、又は小筒体とボルト体の間のいずれか一方が逆ネジになっている上記の取付金具を内容とする。
【0009】
本発明の特徴の第4は、小筒体にナットが螺嵌されている上記の取付金具を内容とする。
【0010】
本発明の特徴の第5は、上記の複数個の取付金具と、太陽電池パネル取付具とからなり、前記太陽電池パネル取付具は方形状のフレームからなり、該フレームには複数個の透孔を有する取付部が設けられている取付装置を内容とする。
【0011】
本発明の特徴の第6は、上記の取付装置を用いて太陽電池パネルを面状部に取り付ける方法であって、前記取付金具の大筒体を面状部に取り付け、前記小筒体を前記大筒体に羅入してから、該小筒体の頭部のレベルを調節した後、太陽電池パネル取付具を前記小筒体の頭部に載置し、ボルト体を、前記取付装置の取付部の透孔に挿通してから、前記小筒体に羅入緊締する太陽電池パネルの取付方法を内容とする。
【0012】
本発明の特徴の第7は、面状部が既設の擁壁である上記の太陽電池パネルの取付方法を内容とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の取付金具は、前記大筒体の内部に羅入される小筒体と、軸部と頭部からなり前記小筒体の内部に羅入されるボルト体からなり、前記小筒体には頭部が設けられているので、大筒体を既設の擁壁等の如き不陸の面状部に固定した際にも、小筒体の頭部のレベルを調節して、太陽電池パネル等の構造物を容易且つ安定的に取り付けることができる。
【0014】
大筒体と小筒体の間、又は小筒体とボルト体の間のいずれか一方を逆ネジにすれば、ボルト体を羅入緊締する際に小筒体が供回りして小筒体の頭部のレベルが調節し難いといった不都合を解消することができる。
また、小筒体にナットを螺嵌しておき、頭部のレベルを調整した後でナットを締め込むことによっても、ボルト体を羅入緊締する際の小筒体の供回りを防ぐことができる。
【0015】
大筒体の基底部に固定部を設けると、固定用のビスやボルトで大筒体を面状部に固定することができるので、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の取付金具の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は本発明の取付金具の別例を示す概略断面図である。
【図3】図3は図1の取付金具の使用方法を示す概略説明図である。
【図4】図4は図2の取付金具の使用方法を示す概略説明図である。
【図5】図5は本発明の取付金具の更に別例を示す概略断面図である。
【図6】図6は本発明の取付金具の更に別例を示す概略断面図である。
【図7】図7は本発明の取付装置で使用するフレームの一例を示す斜視図である。
【図8】図8は図7に示すフレームを有する取付装置を用いて太陽電池パネルを取り付けた状態を示す概略説明図である。
【図9】図9は本発明の取付装置で使用するフレームの別例を示す斜視図である。
【図10】図10は図9に示すフレームを有する取付装置を用いて太陽電池パネルを取り付けた状態を示す概略説明図である。
【図11】図11は本発明の取付装置を用いて太陽電池パネルを取り付けた状態の更に別例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の取付金具1は、図1に示すように、大筒体2と、該大筒体2の内部に羅入される小筒体3と、軸部4bと頭部4aからなり前記小筒体3の内部に羅入されるボルト体4からなり、前記小筒体3には頭部3aが設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明において大筒体2とは概ね筒状の部材であり、内周面に後述の小筒体3を羅入するための雌ネジが刻設されている。大筒体2の外周面の形状は特に限定されず、単純な円柱状であっても良いが、面状部に埋め込む際にアンカー効果が発揮されるように凸部(図示せず)を設けてもよい。また、図2に示すように、基底側に貫通孔が穿設された板状の固定部2aを設け、この固定部2aの貫通孔にアンカーボルト等を挿通することにより面状部に固定するように構成してもよい。
【0019】
前記大筒体2の内部には小筒体3が羅入される。本発明において小筒体3とは概ね筒状の部材であり、外周面には大筒体2の内部に羅入されるための雄ネジが螺設されると共に、内周面には後述のボルト体4を羅入するための雌ネジが螺設されている。また、外端側には頭部3aが設けられている。
本発明において、小筒体3の頭部3aは、大筒体2の内部に羅入させるための回動部(駆動部)となるとともに、太陽電池パネル等の構造体を載置するためのもので、その形状は、内部に羅入するボルト体4と干渉しない形状であれば特に限定されないが、例えば六角ボルトと同様の六角柱状とすれば、回動部として使用できるとともに構造物を載置しやすくなるので好ましい。尚、構造物の載置の観点からは、通常のボルトの頭部よりも大き目とすることも可能である。
【0020】
前記小筒体3の内部にはボルト体4が羅入される。本発明においてボルト体4とは、軸部4bと頭部4aからなる通常のボルトと同様の構成であり、従来よりボルトとして使用されているものが全て本発明のボルト体4として使用できる。
本発明においては、設置しようとする構造物(例えば太陽電池パネルP)を小筒体3の頭部3aとボルト体4の頭部4aとの間で挟持するように構成されるため、設置しようとする構造物を傷つけないため、ボルト体の頭部4aの下端が面状になっている形状、例えば六角ボルトと同様の六角柱状のほうが好ましい。また、必要に応じ、構造体への傷の付着を防止したり、シール性を付与するために、ボルト体4の頭部4aの下面及び/又は小筒体3の頭部3aの上面にクッション材やシール材を貼設することもできる。
【0021】
上記した取付金具1は、図3又は図4に示すように、大筒体2を、例えば、表面が凹凸の不陸の面状部Gに固定してから、小筒体3を回動させることにより頭部3aのレベルを調節し、設置しようとする構造物(太陽電池パネル等)Pを頭部3aの上に載置してからボルト体4を小筒体3に羅入緊締することによって、構造物Pを挟持固定する。なお、図3は図1の取付金具1を用い、大筒体2全体を面状部Gに埋め込んだ例を示し、図4は図2の取付金具1を用い、アンカーボルト2bで取付金具1を面状部Gに固定した例を示す。図示したように、本発明の取付金具1を用いることにより、不陸の表面であっても、同じレベル(水平等)に構造物Pを容易且つ安定的に取り付けることができる。
【0022】
上記のような取付金具1では、ボルト体4を羅入緊締するためにボルト体4を回動させると小筒体3が供回りし、頭部3aのレベルが調節できず構造物を所定のレベルに挟持固定しにくくなるなる可能性がある。
このような場合、通常はレンチを二本用い、一本で下側にある小筒体の頭部3aを固定しつつ、他の一本で上側にあるボルト体の頭部4aを回動させるが、本発明の場合、上側の頭部4aと下部の頭部3aの間に構造物を挟持するので、構造物の形状によっては下側の頭部3aをレンチで固定できない場合がある。
このような場合、図5に示すように、大筒体2と小筒体3の間、又は小筒体3とボルト体4の間のいずれか一方を逆ネジとすれば、ボルト体4を回動させる際に小筒体3が供回りを防ぐことができる。
【0023】
小筒体3とボルト体4の供回りを防ぐ別の方法としては、図6に示すように、小筒体3と大筒体2の間をナット3bで固定する方法がある。具体的には、予め小筒体3にナット3bを螺嵌しておき、頭部3aのレベルを調整した後でナット3bを締め込むことによって、小筒体3の供回り防ぐことができる。この場合、ナット3bは一つであってもある程度小筒体3の供回りを防ぐことができるが、図6に示すように、ダブルナット(ロックナット)にすれば、確実に供回りを防止することができる。
【0024】
上記した取付金具1を用いれば、例えば看板のように、薄型で固定用の透孔を適宜穿設することができ少々のゆがみで破損しないような単純な構造物なら、小筒体3とボルト体4の間で挟持して、面状部Gに固定することができる。しかしながら、太陽電池パネルPのような精密で脆弱な構造物を直接固定すれば、挟圧により破損して十分な機能を発揮できない場合がある。
このような場合は、例えば図7に示したような、複数個の透孔5bを有する取付部5aが設けられた方形状のフレーム5を用いれば、図8に示したように、太陽電池パネルPのような精密で脆弱な構造物であっても、既設の擁壁のような不陸の面状部Gに固定することができる。
また、図9に示したような、下端が板状に形成されたフレーム5を用いれば、図10に示すように、板状の内側に傾動自在の固定金具6を設けることにより、太陽電池パネルPを適切な角度に傾斜させて設置することができる。図9では、固定金具6として、ヒンジを用いることにより、太陽電池パネルPの傾斜角を変えることができるので、太陽の位置に合わせて傾斜角を変えて最も効率的に太陽光を利用することが可能である。
【0025】
以上、既設の擁壁等における不陸の面状部に太陽電池パネル等の構造物を取り付ける場合を例に説明したが、本発明の取付金具、取付装置、取付方法は瓦葺きの屋根など比較的角度の浅い面状部や、陸屋根のように凹凸がない平らな面状部にも広く用いることができる。
例えば、面状部Gが平らな斜面であった場合、図11に示したように、取付金具1の長さを調節することによっても、効率的に日光を受光できる適当な角度に太陽電池パネルPの角度を調節することができる。
図11に示した例では、面状部Gの傾斜角が小さすぎて発電効率が悪化するので、太陽電池パネルPの後端部を固定する取付金具1の長さを長くし、前端部を固定する取付金具1の長さを短くすることによって、太陽電池パネルPの角度を面状部Gの傾斜角よりも大きくしている。また、図11に示した例とは逆に、面状部Gの角度が大きすぎる場合は、前端部を固定する取付金具1の長さを長くし、後端部を固定する取付金具1の長さを短くすることによって、太陽電池パネルPの角度を面状部Gの傾斜角よりも小さくすることもできる。更に、陸屋根の如く、水平な面状部に、太陽電池パネルPを傾斜させて設置し太陽光の利用効率を高めることも可能である。
【0026】
尚、図2に示したような、面状部Gの表面に固定するタイプの取付金具1を用いる場合、平らな面状部Gに、当該面状部Gの傾斜角と異なる角度で太陽電池パネルPを設ければ、大筒体2の固定部2aと面状部Gの間に楔形の隙間が形成され、このままでは取付金具1を安定的に固定することができない。
このような場合は、図11に示すように、勾配調整材Gaを大筒体2の固定部2aと面状部Gの間に介設すれば、取付金具1を安定に固定することができる。勾配調整材Gaとしては、シール材、パッキン材、楔形プレート等が例示できるが、樹脂や金属等の剛性部材からなる楔形プレートが、取付金具1の安定性の観点から好ましい。
以上、本発明を面状部として擁壁を中心に説明したが、本発明はこれらに限られず、表面が未利用のままで放置されている橋脚、貯水池のダムを形成している壁体、各種建築物や構築物の外壁等を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の取付金具は、大筒体と、前記大筒体の内部に羅入される小筒体と、軸部と頭部からなり前記小筒体の内部に羅入されるボルト体からなり、前記小筒体には頭部が設けられているので、不陸の面状部に太陽電池パネル等の構造物を設置する際であっても、小筒体の頭部のレベルを調整することにより、面状部と構造物の間の距離のばらつきを吸収して所定のレベルで構造物を取り付けることができる。特に、太陽電池パネルを不陸の表面を有する既設擁壁等の面状部に好適に設置することができ、未利用の状態で放置されている広大な既設擁壁面等の面状部を太陽光発電所に変えることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 取付金具
2 大筒体
2a 固定部
2b アンカーボルト
3 小筒体
3a 頭部
3b ナット
4 ボルト体
4a 頭部
4b 軸部
5 フレーム
5a 取付部
5b 透孔
6 固定金具
P 構造物(太陽電池パネル)
G 面状部
Ga 勾配調整材
【技術分野】
【0001】
本発明は、擁壁等の面状部に太陽電池パネル等の構造物を取り付けるための取付金具、及びこれを用いた取付装置並びに取付方法に係り、更に詳しくは、既設の擁壁表面等の如き不陸の面状部の表面であっても、面状部と取り付ける構造物の間の距離のばらつきを吸収して容易且つ安定的に構造物を取り付けることが出来る取付金具及び取付装置並びに取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、切り土や盛り土によって形成された斜面の崩壊を防ぐために広く擁壁が構築されている。近年では、道路に面する山や土手、河川の堤防等の斜面を有効に使用するために、擁壁を構築するための土木用ブロックとして、例えば太陽電池パネル等の構造物が配置された土木用ブロックを用い、この擁壁で太陽光発電を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、新規に構築される擁壁の斜面は上記の土木用ブロックで有効利用できるものの、既設の擁壁の斜面については有効利用することはできない。既設の擁壁から古い土木用ブロックを一旦取り除いてから上記の土木用ブロックを用いて新たな擁壁を再構築することも可能であるが、手間とコストがかかりすぎるため現実的ではない。
また、従来の擁壁は、殆どの場合、擁壁面の利用については全く考慮されておらず、また、長年の風雨により表面が凹凸状の不陸になっていることが多いため、ボルトやナットなど、通常の取付金具では太陽電池パネル等の構造物を安定的に固定することができず、不陸を平らにした後に取り付けることが必要で、手間がかかり、コストも高くならざるを得ない。
従って、既設の擁壁は放置されたままであり、日当たりの良い斜面であっても殆ど利用されていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−196016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、既設の擁壁等の如き不陸の面状部の表面にでも太陽電池パネルのような構造物を容易且つ安定的に取り付けて、日当たりの良い擁壁面を有効に活用することができる取付金具及び取付装置並びに太陽電池パネル等構造物の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴の第1は、大筒体と、該大筒体の内部に羅入される小筒体と、軸部と頭部からなり前記小筒体の内部に羅入されるボルト体からなり、前記小筒体には頭部が設けられている取付金具を内容とする。
【0007】
本発明の特徴の第2は、大筒体の基底側に固定部が設けられている上記の取付金具を内容とする。
【0008】
本発明の特徴の第3は、大筒体と小筒体の間、又は小筒体とボルト体の間のいずれか一方が逆ネジになっている上記の取付金具を内容とする。
【0009】
本発明の特徴の第4は、小筒体にナットが螺嵌されている上記の取付金具を内容とする。
【0010】
本発明の特徴の第5は、上記の複数個の取付金具と、太陽電池パネル取付具とからなり、前記太陽電池パネル取付具は方形状のフレームからなり、該フレームには複数個の透孔を有する取付部が設けられている取付装置を内容とする。
【0011】
本発明の特徴の第6は、上記の取付装置を用いて太陽電池パネルを面状部に取り付ける方法であって、前記取付金具の大筒体を面状部に取り付け、前記小筒体を前記大筒体に羅入してから、該小筒体の頭部のレベルを調節した後、太陽電池パネル取付具を前記小筒体の頭部に載置し、ボルト体を、前記取付装置の取付部の透孔に挿通してから、前記小筒体に羅入緊締する太陽電池パネルの取付方法を内容とする。
【0012】
本発明の特徴の第7は、面状部が既設の擁壁である上記の太陽電池パネルの取付方法を内容とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の取付金具は、前記大筒体の内部に羅入される小筒体と、軸部と頭部からなり前記小筒体の内部に羅入されるボルト体からなり、前記小筒体には頭部が設けられているので、大筒体を既設の擁壁等の如き不陸の面状部に固定した際にも、小筒体の頭部のレベルを調節して、太陽電池パネル等の構造物を容易且つ安定的に取り付けることができる。
【0014】
大筒体と小筒体の間、又は小筒体とボルト体の間のいずれか一方を逆ネジにすれば、ボルト体を羅入緊締する際に小筒体が供回りして小筒体の頭部のレベルが調節し難いといった不都合を解消することができる。
また、小筒体にナットを螺嵌しておき、頭部のレベルを調整した後でナットを締め込むことによっても、ボルト体を羅入緊締する際の小筒体の供回りを防ぐことができる。
【0015】
大筒体の基底部に固定部を設けると、固定用のビスやボルトで大筒体を面状部に固定することができるので、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の取付金具の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は本発明の取付金具の別例を示す概略断面図である。
【図3】図3は図1の取付金具の使用方法を示す概略説明図である。
【図4】図4は図2の取付金具の使用方法を示す概略説明図である。
【図5】図5は本発明の取付金具の更に別例を示す概略断面図である。
【図6】図6は本発明の取付金具の更に別例を示す概略断面図である。
【図7】図7は本発明の取付装置で使用するフレームの一例を示す斜視図である。
【図8】図8は図7に示すフレームを有する取付装置を用いて太陽電池パネルを取り付けた状態を示す概略説明図である。
【図9】図9は本発明の取付装置で使用するフレームの別例を示す斜視図である。
【図10】図10は図9に示すフレームを有する取付装置を用いて太陽電池パネルを取り付けた状態を示す概略説明図である。
【図11】図11は本発明の取付装置を用いて太陽電池パネルを取り付けた状態の更に別例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の取付金具1は、図1に示すように、大筒体2と、該大筒体2の内部に羅入される小筒体3と、軸部4bと頭部4aからなり前記小筒体3の内部に羅入されるボルト体4からなり、前記小筒体3には頭部3aが設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明において大筒体2とは概ね筒状の部材であり、内周面に後述の小筒体3を羅入するための雌ネジが刻設されている。大筒体2の外周面の形状は特に限定されず、単純な円柱状であっても良いが、面状部に埋め込む際にアンカー効果が発揮されるように凸部(図示せず)を設けてもよい。また、図2に示すように、基底側に貫通孔が穿設された板状の固定部2aを設け、この固定部2aの貫通孔にアンカーボルト等を挿通することにより面状部に固定するように構成してもよい。
【0019】
前記大筒体2の内部には小筒体3が羅入される。本発明において小筒体3とは概ね筒状の部材であり、外周面には大筒体2の内部に羅入されるための雄ネジが螺設されると共に、内周面には後述のボルト体4を羅入するための雌ネジが螺設されている。また、外端側には頭部3aが設けられている。
本発明において、小筒体3の頭部3aは、大筒体2の内部に羅入させるための回動部(駆動部)となるとともに、太陽電池パネル等の構造体を載置するためのもので、その形状は、内部に羅入するボルト体4と干渉しない形状であれば特に限定されないが、例えば六角ボルトと同様の六角柱状とすれば、回動部として使用できるとともに構造物を載置しやすくなるので好ましい。尚、構造物の載置の観点からは、通常のボルトの頭部よりも大き目とすることも可能である。
【0020】
前記小筒体3の内部にはボルト体4が羅入される。本発明においてボルト体4とは、軸部4bと頭部4aからなる通常のボルトと同様の構成であり、従来よりボルトとして使用されているものが全て本発明のボルト体4として使用できる。
本発明においては、設置しようとする構造物(例えば太陽電池パネルP)を小筒体3の頭部3aとボルト体4の頭部4aとの間で挟持するように構成されるため、設置しようとする構造物を傷つけないため、ボルト体の頭部4aの下端が面状になっている形状、例えば六角ボルトと同様の六角柱状のほうが好ましい。また、必要に応じ、構造体への傷の付着を防止したり、シール性を付与するために、ボルト体4の頭部4aの下面及び/又は小筒体3の頭部3aの上面にクッション材やシール材を貼設することもできる。
【0021】
上記した取付金具1は、図3又は図4に示すように、大筒体2を、例えば、表面が凹凸の不陸の面状部Gに固定してから、小筒体3を回動させることにより頭部3aのレベルを調節し、設置しようとする構造物(太陽電池パネル等)Pを頭部3aの上に載置してからボルト体4を小筒体3に羅入緊締することによって、構造物Pを挟持固定する。なお、図3は図1の取付金具1を用い、大筒体2全体を面状部Gに埋め込んだ例を示し、図4は図2の取付金具1を用い、アンカーボルト2bで取付金具1を面状部Gに固定した例を示す。図示したように、本発明の取付金具1を用いることにより、不陸の表面であっても、同じレベル(水平等)に構造物Pを容易且つ安定的に取り付けることができる。
【0022】
上記のような取付金具1では、ボルト体4を羅入緊締するためにボルト体4を回動させると小筒体3が供回りし、頭部3aのレベルが調節できず構造物を所定のレベルに挟持固定しにくくなるなる可能性がある。
このような場合、通常はレンチを二本用い、一本で下側にある小筒体の頭部3aを固定しつつ、他の一本で上側にあるボルト体の頭部4aを回動させるが、本発明の場合、上側の頭部4aと下部の頭部3aの間に構造物を挟持するので、構造物の形状によっては下側の頭部3aをレンチで固定できない場合がある。
このような場合、図5に示すように、大筒体2と小筒体3の間、又は小筒体3とボルト体4の間のいずれか一方を逆ネジとすれば、ボルト体4を回動させる際に小筒体3が供回りを防ぐことができる。
【0023】
小筒体3とボルト体4の供回りを防ぐ別の方法としては、図6に示すように、小筒体3と大筒体2の間をナット3bで固定する方法がある。具体的には、予め小筒体3にナット3bを螺嵌しておき、頭部3aのレベルを調整した後でナット3bを締め込むことによって、小筒体3の供回り防ぐことができる。この場合、ナット3bは一つであってもある程度小筒体3の供回りを防ぐことができるが、図6に示すように、ダブルナット(ロックナット)にすれば、確実に供回りを防止することができる。
【0024】
上記した取付金具1を用いれば、例えば看板のように、薄型で固定用の透孔を適宜穿設することができ少々のゆがみで破損しないような単純な構造物なら、小筒体3とボルト体4の間で挟持して、面状部Gに固定することができる。しかしながら、太陽電池パネルPのような精密で脆弱な構造物を直接固定すれば、挟圧により破損して十分な機能を発揮できない場合がある。
このような場合は、例えば図7に示したような、複数個の透孔5bを有する取付部5aが設けられた方形状のフレーム5を用いれば、図8に示したように、太陽電池パネルPのような精密で脆弱な構造物であっても、既設の擁壁のような不陸の面状部Gに固定することができる。
また、図9に示したような、下端が板状に形成されたフレーム5を用いれば、図10に示すように、板状の内側に傾動自在の固定金具6を設けることにより、太陽電池パネルPを適切な角度に傾斜させて設置することができる。図9では、固定金具6として、ヒンジを用いることにより、太陽電池パネルPの傾斜角を変えることができるので、太陽の位置に合わせて傾斜角を変えて最も効率的に太陽光を利用することが可能である。
【0025】
以上、既設の擁壁等における不陸の面状部に太陽電池パネル等の構造物を取り付ける場合を例に説明したが、本発明の取付金具、取付装置、取付方法は瓦葺きの屋根など比較的角度の浅い面状部や、陸屋根のように凹凸がない平らな面状部にも広く用いることができる。
例えば、面状部Gが平らな斜面であった場合、図11に示したように、取付金具1の長さを調節することによっても、効率的に日光を受光できる適当な角度に太陽電池パネルPの角度を調節することができる。
図11に示した例では、面状部Gの傾斜角が小さすぎて発電効率が悪化するので、太陽電池パネルPの後端部を固定する取付金具1の長さを長くし、前端部を固定する取付金具1の長さを短くすることによって、太陽電池パネルPの角度を面状部Gの傾斜角よりも大きくしている。また、図11に示した例とは逆に、面状部Gの角度が大きすぎる場合は、前端部を固定する取付金具1の長さを長くし、後端部を固定する取付金具1の長さを短くすることによって、太陽電池パネルPの角度を面状部Gの傾斜角よりも小さくすることもできる。更に、陸屋根の如く、水平な面状部に、太陽電池パネルPを傾斜させて設置し太陽光の利用効率を高めることも可能である。
【0026】
尚、図2に示したような、面状部Gの表面に固定するタイプの取付金具1を用いる場合、平らな面状部Gに、当該面状部Gの傾斜角と異なる角度で太陽電池パネルPを設ければ、大筒体2の固定部2aと面状部Gの間に楔形の隙間が形成され、このままでは取付金具1を安定的に固定することができない。
このような場合は、図11に示すように、勾配調整材Gaを大筒体2の固定部2aと面状部Gの間に介設すれば、取付金具1を安定に固定することができる。勾配調整材Gaとしては、シール材、パッキン材、楔形プレート等が例示できるが、樹脂や金属等の剛性部材からなる楔形プレートが、取付金具1の安定性の観点から好ましい。
以上、本発明を面状部として擁壁を中心に説明したが、本発明はこれらに限られず、表面が未利用のままで放置されている橋脚、貯水池のダムを形成している壁体、各種建築物や構築物の外壁等を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の取付金具は、大筒体と、前記大筒体の内部に羅入される小筒体と、軸部と頭部からなり前記小筒体の内部に羅入されるボルト体からなり、前記小筒体には頭部が設けられているので、不陸の面状部に太陽電池パネル等の構造物を設置する際であっても、小筒体の頭部のレベルを調整することにより、面状部と構造物の間の距離のばらつきを吸収して所定のレベルで構造物を取り付けることができる。特に、太陽電池パネルを不陸の表面を有する既設擁壁等の面状部に好適に設置することができ、未利用の状態で放置されている広大な既設擁壁面等の面状部を太陽光発電所に変えることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 取付金具
2 大筒体
2a 固定部
2b アンカーボルト
3 小筒体
3a 頭部
3b ナット
4 ボルト体
4a 頭部
4b 軸部
5 フレーム
5a 取付部
5b 透孔
6 固定金具
P 構造物(太陽電池パネル)
G 面状部
Ga 勾配調整材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大筒体と、該大筒体の内部に羅入される小筒体と、軸部と頭部からなり前記小筒体の内部に羅入されるボルト体からなり、
前記小筒体には頭部が設けられていることを特徴とする取付金具。
【請求項2】
大筒体の基底側に固定部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の取付金具。
【請求項3】
大筒体と小筒体の間、又は小筒体とボルト体の間のいずれか一方が逆ネジになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の取付金具。
【請求項4】
小筒体にナットが螺嵌されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の取付金具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の複数個の取付金具と、太陽電池パネル取付具とからなり、
前記太陽電池パネル取付具は方形状のフレームからなり、該フレームには複数個の透孔を有する取付部が設けられていることを特徴とする太陽電池パネルの取付装置。
【請求項6】
請求項5に記載の取付装置を用いて太陽電池パネルを面状部に取り付ける方法であって、
前記取付金具の大筒体を面状部に取り付け、
前記小筒体を前記大筒体に羅入してから、該小筒体の頭部のレベルを調節した後、
太陽電池パネル取付具を前記小筒体の頭部に載置し、
ボルト体を、前記取付装置の取付部の透孔に挿通してから、前記小筒体に羅入緊締することを特徴とする太陽電池パネルの取付方法。
【請求項7】
面状部が既設の擁壁であることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池パネルの取付方法。
【請求項1】
大筒体と、該大筒体の内部に羅入される小筒体と、軸部と頭部からなり前記小筒体の内部に羅入されるボルト体からなり、
前記小筒体には頭部が設けられていることを特徴とする取付金具。
【請求項2】
大筒体の基底側に固定部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の取付金具。
【請求項3】
大筒体と小筒体の間、又は小筒体とボルト体の間のいずれか一方が逆ネジになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の取付金具。
【請求項4】
小筒体にナットが螺嵌されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の取付金具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の複数個の取付金具と、太陽電池パネル取付具とからなり、
前記太陽電池パネル取付具は方形状のフレームからなり、該フレームには複数個の透孔を有する取付部が設けられていることを特徴とする太陽電池パネルの取付装置。
【請求項6】
請求項5に記載の取付装置を用いて太陽電池パネルを面状部に取り付ける方法であって、
前記取付金具の大筒体を面状部に取り付け、
前記小筒体を前記大筒体に羅入してから、該小筒体の頭部のレベルを調節した後、
太陽電池パネル取付具を前記小筒体の頭部に載置し、
ボルト体を、前記取付装置の取付部の透孔に挿通してから、前記小筒体に羅入緊締することを特徴とする太陽電池パネルの取付方法。
【請求項7】
面状部が既設の擁壁であることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池パネルの取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−104191(P2013−104191A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247200(P2011−247200)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(507259936)景環システム株式会社 (3)
【出願人】(505234812)三共スチール株式会社 (8)
【出願人】(511274477)株式会社原組 (2)
【出願人】(599134263)有限会社ランズスペース (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(507259936)景環システム株式会社 (3)
【出願人】(505234812)三共スチール株式会社 (8)
【出願人】(511274477)株式会社原組 (2)
【出願人】(599134263)有限会社ランズスペース (8)
【Fターム(参考)】
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