説明

取出し装置

本発明は、吹込成形法により製造されるフィルムの取出し装置に関する。本発明の取出し装置は、エア・デフレクタバーおよび偏向ローラを有しており、これらは、一般に、相互に反対方向に回転するとともに、共通軸線の回りで回転運動する。本願に開示する取出し装置は、少なくとも1つのエア・ターニングバーの表面の少なくとも一部が燒結材料で形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹込成形法により製造されるフィルムに使用する取出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吹込成形法により製造されるフィルムの取出し装置は、例えば、ドイツ国特許DE 195 22 318 A1明細書(特許文献1)から知られている。フィルム、例えば押出機から出てくるプラスチック管状フィルムが平らにされた後、フィルムは、エア・ターニングバーと、一般に共通軸線の回りで回転しかつ相互に反対方向に回転する偏向ローラにより案内される。取出し装置を通って走行した後、フィルムは巻取り装置に供給され、該巻取り装置により、フィルムの収集および容易な輸送を目的としてロールに巻回される。
【0003】
このような形式の取出し装置に使用されるエア・ターニングバーは、しばしば、圧縮空気が、これらのエア・ターニングバーを通って流れかつエア・ターニングバーのケーシングを横切って分散されたドリル孔を通って流出することを可能にする態様で作動し、エア・ターニングバーの表面とエア・ターニングバー上に取出される管状プラスチックフィルムとの間に絶縁エアクッションを形成させ、フィルムを、殆ど非接触態様で案内できるようにする。より詳しくは、粘着性フィルムからべとつくフィルムに至る範囲のフィルムを加工する場合には、大きい絶縁エアクッションでフィルムを支持することが特に好ましい。なぜならば、これにより、エア・ターニングバー上で案内されるフィルムを、エア・ターニングバーの全幅に亘って浮揚させることができるからである。
【0004】
既知のエア・ターニングバーの1つの問題は、バーの軸線方向幅のエアクッションの厚さが不均一なこと、および/または、フィルムに作用する圧縮空気の力が不均一なことである。空気はフィルムの側方領域から逃散できるので、これらの領域においては圧縮空気の量が減少し、フィルムの側方領域は、中央領域よりも一層きつくターニングバーに巻回されてしまう。従って、フィルムは、その中央領域にある程度の弛みが生じるため、もはや平らな形態では案内されず、フィルムの中央領域には皺(しわ)が形成され易くなる。
【0005】
従って、ドイツ国特許DE 9418255 U1明細書(特許文献2)には、凸状に成形され、従ってフィルムの全幅に亘って均一なウェブ張力を付与できるエア・ターニングバーが示唆されている。このエア・ターニングバーには、側方領域に向かう軸線方向のテーパが導入されている。しかしながら、このようにして案内されるフィルムは完全なロールとして巻回できないことが判明している。
【0006】
従って、ドイツ国特許DE 44 40 647 A1明細書(特許文献3)には、エアクッションの変化する厚さに適合すると同時に、フィルムを平らな態様で案内できる凹状の形状を有するエア・ターニングバーが示唆されている。フィルムは、エア・ターニングバーからの距離が、ターニングバーの中央部の方が両端部よりも大きくなるようにして案内される。ターニングバーからの距離が両端部において小さいため、フィルムの幅方向に分布しかつ圧縮空気がフィルムに作用する力が発生する振動は小さい。
【0007】
【特許文献1】ドイツ国特許DE 195 22 318 A1明細書
【特許文献2】ドイツ国特許DE 9418255 U1明細書
【特許文献3】ドイツ国特許DE 44 40 647 A1明細書
【特許文献4】ドイツ国特許DE 41 39 837明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実際に、エア・ターニングバーのこの実施形態でも、ターニングバーとフィルムとの間のエアクッションがフィルムに充分均一な力を付与できないことが証明されている。従って、フィルムを、その幅方向に均一なウェブ張力で案内することはできない。特に、このようなターニングバーは、1つのフィルム幅に調節できるに過ぎない。しかしながら、現時点では、押出機の1つの吹込ヘッドを使用して種々の幅のフィルムを製造している。
【0009】
従って、本発明の目的は、エアクッションの安定性を改善できるエア・ターニングバーを創出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、上記目的は、特許請求の範囲の請求項1に記載の特徴部分に特定された特徴により達成される。
【0011】
本発明によるエア・ターニングバーは、フィルムを、円滑に、平らで均一な形態で案内することができる。本発明の基礎となる知識は、粗面材料に直接隣接する空気層は高い摩擦を受け、従って、減速されるということである。かくして、燒結材料の粗面組織も、この効果を引起こす。粗面組織は、材料の表面上に不規則に分散された微細構造により形成される。このようにして改変されたターニングバーの使用により、フィルムの側方領域からの大量の空気の逃散を明らかに低減できる。平らなエアクッションの場合には、空気がフィルムの側方領域から逃散することが完全に防止される。空気の漏洩の低減により、エアクッションの形成に要するポンプの吐出量を低下できることも判明しており、これは、エネルギ要件に関するポジティブな効果である。
【0012】
フィルムの下の圧縮空気の良好な分布を達成すると同時に、製造コストをできる限り低く維持することを目的とするためには、フィルムを案内する表面のこれらの部分の少なくとも一部のみを燒結材料で作るのが有利である。
【0013】
かくして、エア・ターニングバーの、フィルムの側方領域を案内する表面領域のみが燒結材料で形成されたエア・ターニングバーを製造することができる。フィルムの中央領域に相当するエア・ターニングバーの領域は、銅、銅合金、または、黄銅、または、これらの任意の材料で形成することができる。ドイツ国特許DE 41 39 837明細書(特許文献4)においてより詳細に説明されているように、スチールを用いることと比較して、前記材料は、フィルムの汚損を低減できる長所を有している。
【0014】
簡単な幾何学的形状を有するエア・ターニングバーの場合には、ターニングバーの全体を燒結材料で製造するのが有利である。
このような場合に、燒結材料は、燒結セラミックであるのが特に有利である。
【0015】
燒結材料からなるエア・ターニングバーの使用に加え、例えば凹状に成形されたエア・ターニングバーの好ましい特性を用いるのが有利である。従って、本発明によるエア・ターニングバーの好ましい実施形態は、ターニングバーの軸線方向に亘って半径を変化できることに特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
エア・ターニングバーの有利な形態を以下に説明する。
【0017】
本発明のエア・ターニングバーは、その側方部分が黄銅でコーティングされた金属パイプで作られている。フィルムの縁を案内するエア・ターニングバーの部分は、燒結材料を含む表面を有している。このようにコーティングされた金属パイプの表面は、一定パターンに従って分布されたドリル孔を有している。一方の側がシールされたパイプの内部には圧縮空気が通される。圧縮空気は、ドリル孔から流出する。これにより、エア・ターニングバー上で案内されるフィルムと、エア・ターニングバーの表面との間には、エアクッションが形成される。このエアクッションは、少なくともドリル孔が設けられた領域において、ターニングバーにより案内されるフィルムと、ターニングバーとの間の摩擦を低減させる。
【0018】
ターニングバーの、黄銅がコーティングされた領域では、接触点に依然として残っている摩擦は小さい。これは、第一に、フィルムと黄銅コーティングとの間の摩擦が小さいこと、および、第二に、空気がこのコーティング上で良好にかつ均一に分散されることによる。フォイルの縁領域に適用される燒結材料のコーティングは、実際に、フィルムとターニングバーとの間に、僅かに高い摩擦を引起こすことができる。しかしながら、これよりも、空気がこの領域においてより高い摩擦を受け、従ってこの領域を少量で流れるという長所の方が重要である。この組合せ処置は、エア・ターニングバーの機能性をかなり改善できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹込成形法で製造されるフィルムの取出し装置において、少なくとも1つのエア・ターニングバーの少なくとも一部が、燒結材料で形成されていることを特徴とする取出し装置。
【請求項2】
フィルムを案内するエア・ターニングバーの表面のこれらの部分のみが、少なくとも一部に燒結材料を有していることを特徴とする請求項1記載の取出し装置。
【請求項3】
エア・ターニングバーの表面の全体が燒結材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の取出し装置。
【請求項4】
エア・ターニングバーの全体が燒結材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の取出し装置。
【請求項5】
燒結材料は燒結セラミックであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の取出し装置。
【請求項6】
エア・ターニングバーは、該ターニングバーの軸線方向に亘って、可変半径の表面を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の取出し装置。
【請求項7】
エア・ターニングバーの使用方法であって、表面の少なくとも一部が燒結材料で形成されているエア・ターニングバーを、吹込成形法で製造されるフィルムの取出し装置に使用することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−513061(P2006−513061A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566000(P2004−566000)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014560
【国際公開番号】WO2004/062882
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(590002909)ヴィントメーラー ウント ヘルシャー コマンディトゲゼルシャフト (33)
【Fターム(参考)】