説明

取引処理装置、自動両替機及び手数料徴収システム

【課題】取引された識別媒体の種類に従って、手数料を後払いで徴収するか、前払いで徴収するかを識別し、後払いと識別して手数料を徴収する場合は一定期間の累計手数料を後日一括して徴収する取引処理装置、自動両替機及び手数料徴収システムを提供する。
【解決手段】記憶媒体に記録されている手数料徴収に関する情報を該記憶媒体から読取る読取手段と、取引時に前記記憶媒体から読取った情報から手数料を後日徴収する手数料後払方式か、その他の支払方式かを識別し、その識別結果に応じた支払方式により手数料を徴収する手数料処理手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば銀行、信用金庫等の金融機関、コンビニ、ショッピングセンタ等の店舗に設置されるような取引処理装置に関し、さらに詳しくは取引利用される記憶媒体の情報から手数料の徴収方法を特定して手数料を徴収する取引処理装置、自動両替機及び手数料徴収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金融機関では顧客へのサービスの一環として、例えば自動両替機を設置しており、この自動両替機の利用を無料扱いにしていた。しかしながら、近年、金融機関は採算性の向上を模索しており、各金融機関のそれぞれが独自の手数料徴収方式を採用し、両替の有料化が開始されている。
【0003】
この種の手数料徴収方式としては、取引利用されるキャッシュカードの取引口座からその都度手数料を徴収する方式、取引利用されるキャッシュカードの口座残高や口座の種類によって手数料を決定し、自動両替機で手数料を徴収する方式、手数料を前払いしてカードまたはカード以外の記憶媒体に記憶しておいて、取引の都度手数料を差し引く方式、両替内容に従って手数料を決定し、両替の際に現金で手数料を支払わせて徴収する方式などが知られている。
【0004】
例えば、受付けたキャッシュカードの種類が金融機関の自行カードであれば、その取引口座から手数料を徴収し、他行カードであればデビット決済により手数料を徴収する方式が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1ではキャッシュカードを使用して両替した際の手数料は、両替の都度、取引口座から引落して徴収している。このため、小額の両替手数料が月極の明細票に多量に列挙され、経理処理に負担がかかっていた。また、店舗等においては、従業員に取引を依頼することが多く、キャッシュカードを従業員に渡すことはセキュリティ上の問題があった。
【0006】
また、受付けたキャッシュカードの取引口座の種類や残高に従って両替手数料を決定し、自動両替機での両替に先立って所定の手数料を徴収した場合に両替取引を許可する方式が知られている(例えば特許文献2及び特許文献3参照)。
【0007】
この場合も、取引の都度、自動両替機で手数料を徴収する方式となっており、顧客は手数料を取引ごとに事前に準備する必要があった。
【0008】
また、手数料を前払いで受け取り、受け取った手数料をカード以外の記憶媒体に記憶しておき、両替の都度、両替した金種、金額等の取引内容に従って手数料を決定し、前払いされている手数料から差し引くことにより手数料を徴収している(例えば特許文献4参照)。
【0009】
この場合は、手数料を前払いして手数料の徴収に対処する方式となっており、常に前払いした手数料残高を把握しておく必要があった。このため、顧客は余分な手間が必要になり、法人客にとっては経理上の手間もかかっていた。また、前払いでカードを発行すると供託金が必要であり、カード発行する企業に負担が掛かっていた。このように手数料を徴収する方式としては、上述の何れの特許文献でも利便性に難があり、店舗側からの手数料徴収に関する要望に応えられなかった。
【0010】
【特許文献1】特開2004−355540号公報
【特許文献2】特許第2536521号公報
【特許文献3】特公平8−21095号公報
【特許文献4】特開2002−163698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこでこの発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、取引した際の手数料を後日徴収することにより、顧客や店舗での利便性を高めることができる取引処理装置、自動両替機及び手数料徴収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、取引時に記憶媒体に記録されている手数料徴収に関する媒体情報から手数料後払方式か否かを特定し、手数料後払方式と識別した場合に後日徴収するようにした取引処理装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、顧客が手数料を要する有料の自動取引装置に対し、手数料後払方式を定めた記憶媒体を用いて取引すると、その手数料の支払いの手間を省くことができる。
【実施例】
【0014】
図面は有料の両替取引が行われる自動両替機の手数料徴収システムを示す。この自動両替機の手数料徴収システムは、図1のネットワーク構成図に示すように、複数の自動両替機A…がネットワーク(通信回線)Nを介して手数料徴収装置Bに接続されている。
【0015】
この手数料徴収システムは、顧客が何れかの自動両替機Aを使用して、手数料後払いの両替取引を行った場合に、その両替手数料(以下手数料と称す)を自動両替機AからネットワークNを介して手数料徴収装置Bへと通知し、該手数料徴収装置Bは取引が実行された後に、顧客の金融機関口座から後払いの手数料を引き落して徴収するシステムを構築している。
【0016】
図2は自動両替機Aの外観斜視図を示す。この図において、1は操作部と表示部とを兼ねるタッチパネルであり、利用者はこのタッチパネル1において両替する金種を指定する。2は紙幣入出金口であって、両替する紙幣が投入されるとともに、両替された紙幣が放出される。3は硬貨取出口であって、両替されたバラ硬貨が放出される。4は包装硬貨取出口であって、両替された包装硬貨が放出される。5はカード挿入口であって、両替時に後述するような各種の両替カードが挿入される。6は明細票取出口であって、両替金額及び金種、受付けた手数料等が印字された明細票が放出される。7は取扱状態表示部であって、自動両替機Aが取扱中か、取扱中止状態であるかを表示する。8は硬貨返却口であって、紙幣に混ざって投入された硬貨が返却される。9は顧客センサであって、顧客が自動両替機Aの前に来たことを検知して、タッチパネル1に案内表示を行わせるためのものである。10は自動両替機Aの前扉である。
【0017】
図3は自動両替機Aの制御回路ブロック図を示す。11は操作部、12は表示部であって、これらは図2に示したタッチパネル1により構成される。13は紙幣の取込み、識別、搬送、繰出し等を行う紙幣処理部、14はバラ硬貨の識別、搬送、放出等を行う硬貨処理部である。15はカード処理部であって、両替カードに対して読取りや書込みを行うカードリーダライタや、カードの搬送機構から構成される。16は包装硬貨の搬送や放出等を行う包装硬貨処理部、17はジャーナルへの印字等を行うジャーナル処理部、18は明細票への印字等を行う明細票処理部である。
【0018】
19はホストコンピュータCや支店内LAN等と接続するための外部I/O(外部インターフェイス)、20は銀行の係員等によって操作される係員パネル部である。この係員パネル部20は、タッチパネルから構成され、自動両替機Aの内部に設けられていて、裏扉(図示省略)を開けた係員に操作される。21はハードディスク、磁気記録媒体、または光記録媒体等からなる記憶装置であって、ここには自動両替機Aの設置されている銀行の番号、支店番号、カード区分の情報、カードの有効期間などが、係員パネル部17での設定または外部(ディスクドライブやLAN等)から入力されるデータに基づいて記録されている。また、この記憶装置21には顧客情報、両替規制情報、手数料情報などが記録されている。
【0019】
22は自動両替機Aの動作を制御する制御部であって、CPU23、RAM24、ROM25から構成されている。
この制御部22は手数料処理手段として、手数料後払方式と識別した場合に該手数料を記憶装置21で記憶するように構成している。そして、制御部22は累計された累計手数料の任意の期間の合計を顧客ごとに集計する。複数台の自動両替機Aが設置されている場合、集計した累計手数料は親機としての1台の自動両替機に集中管理させてもよい。なお、記憶装置21を省略してそれぞれの情報をRAM24やROM25に記録するようにしてもよく、また、外部インターフェイス19を介して接続された他装置に記録してもよい。
【0020】
図4は両替取引時に使用される両替カードの平面図を示す。図4(A)は手数料前払い用の両替カード41を示し、図4(B)は手数料後払い用の両替カード42を示す平面図である。これらの両替カード41,42は、磁気カードやICカードなどからなり、磁気ストライプ43やICチップ内のメモリに手数料前払い用か後払い用か、さらには取引時に手数料を即時に徴収するかを示す情報が記憶されている。
【0021】
図5は磁気カードに記録されたデータの一例を示す説明図である。このデータの一例では、開始符号、IDマーク、承認マーク、予備、銀行番号、支店番号、カード番号、予備、カード種別、予備、有効性コード、終了符号、LRCのデータがこの順に記録されている。
【0022】
そして、前記カード種別のデータ記録欄に、両替時の手数料が前払い方式か、後払い方式であるかを識別するカード利用者の区分情報に、前払いカード(一般客)、前払いカード(優遇客)、後払いカードの何れであるかを示すカード種別データを記録している。これらのデータは前記カード処理部15の図示しないカードリーダライタで読取られる。そして、前記前払いカードが利用されたと識別した場合は、前払いされている手数料から両替に要した手数料が差し引かれる。例えば、前払いカードのうち、優遇客が利用する前払いカードであると識別した場合は手数料を割引くなどのサービス提供をするように設定して、一般客と差別化している。また、後払いカードが利用されたと識別した場合であれば、その累計手数料を後日、顧客の口座から引落し処理するものである。このように、カード種別によって、自動的に手数料を徴収処理するため、何れにしても顧客は能率よく両替ができる。
【0023】
前記カード処理部15は、読取手段として両替開始時に挿入された両替カード41または両替カード42を読取り、両替カード41,42がICカードであれば、該ICカード内のメモリから手数料徴収に関する手数料徴収情報を読取り、磁気カードであれば該磁気カード上の磁気ストライプ43から手数料徴収情報を読取る。
【0024】
この手数料徴収情報には、例えばカード番号、カードの種類、顧客区分などが含まれる。このうち、カードの種類とはキャッシュカードや特殊用途カードなどを示す情報であり、顧客区分とは例えば一般顧客か優遇顧客かなどの顧客の優遇度合いや、法人客か個人客かなどの顧客の種別等を示す情報が含まれる。
【0025】
従って、両替カード41,42の手数料徴収情報に記録された内容に基づいて前払いや後払いなどの手数料の徴収方法を識別することができるため、顧客または装置の運用者の要望に合わせた徴収方法に対応でき、柔軟な運用ができる。なお、ここで言う手数料とは、例えば外貨両替にかかる円貨額の手数料、円貨の両替にかかる両替金、及びそれらの取引にかかる手数料などが含まれる。
【0026】
ところで、制御部22は両替時に、前記両替カード41,42から読取った情報から手数料を後日徴収する手数料後払方式か、その他の支払方式かを識別し、その識別結果に応じた支払方式により手数料を処理する機能を有している。
【0027】
前記手数料後払いとは、両替で発生した手数料をその都度記憶して蓄積し、一定期間の累計手数料を集計し、一括して後で徴収する方式である。例えば、手数料後払方式における手数料の徴収を、金融機関の取引口座から翌月での手数料引落し処理として実現すれば、その月の手数料を翌月に一括して徴収することが可能になる。従って、例えば法人顧客などの後払いを希望する顧客には後払い用カードを発行しておき、手数料を翌月に一括して徴収すればよい。
【0028】
これに対し、その他の支払方式とは、その第1例として手数料前払方式があり、この手数料前払方式は予め手数料を前払いしておき、両替で発生した手数料を事前に徴収済みの手数料情報から差し引いて徴収する方式である。従って、例えば一般顧客においては前払い用カードを発行しておき、手数料を前払いで徴収しておいて、両替時に使用した手数料分を減算すればよい。
【0029】
また、その他の支払方式の第2例として両替時徴収方式があり、この両替時徴収方式は両替の度にその両替1回分の手数料を支払って、両替を行う方式である。従って、例えばごく稀にしか両替しない顧客や一見の顧客には、両替時徴収用カードを渡してその両替1回分の手数料を両替時に貨幣で徴収または取引口座から引き落とす、などの手数料徴収の種類を複数設けて顧客の要望に対処することができる。
【0030】
この結果、両替に使用された両替カード41,42の種別により、手数料を両替実行後に後払いで徴収するか、前払いされた料金から差し引くか、両替の都度、その1回分の手数料を徴収するかの徴収方法が識別されて徴収処理が実行される。
【0031】
図1に示した手数料徴収装置Bは、複数の自動両替機AからインターネットNを介して通知された顧客情報(カード情報)と、取引情報及び予め指定された手数料情報等の取引に関連する取引関連情報とから手数料を決定し、この決定された手数料を徴収する機能を有している。
【0032】
この手数料の決定は、取引関連情報に手数料が含まれていれば、この手数料に決定し、取引関連情報に手数料が含まれず取引内容が含まれていれば、この取引内容に要する手数料を算出して決定すればよい。さらに、ここで決定された手数料は手数料徴収装置BからインターネットNを介して自動両替機Aに適宜通知される。
【0033】
前記決定される手数料は、手数料徴収装置Bで決定してもよく、自動両替機Aで決定してもよい。ことに、手数料の決定に際しては、優遇客の情報等が記録されているカード情報と、取引日時、両替枚数、両替金額などの取引情報及びこれらに対応して設定される手数料の設定情報を備えた取引関連情報とに応じた料金体系により決定される。この場合、カード情報だけで手数料を決定してもよく、取引情報または取引関連情報だけで手数料を決定してもよい。従って、自動両替機Aから手数料徴収装置Bにデータを送信する際も、カード情報、取引情報、取引関連情報の何れか1つだけでもよい。
【0034】
このほか、徴収する手数料体系を変更する際は、手数料徴収装置Bの制御情報を変更するだけでよく、手数料体系の変更が容易となる。また、現状では優遇客の処理として、一般顧客カード、優遇顧客カードなどのようにカードの種別ごとに手数料優遇措置がとられてきたが、カード情報を手数料徴収装置Bに通知して、手数料徴収装置Bにて手数料を決定すれば、顧客ごとにきめ細かい差別化が可能になる。
【0035】
このように構成されたシステムにおける自動両替機Aの取引処理動作を図6のフローチャートを参照して説明する。
まず、自動両替機Aはカード挿入口5からカードが挿入されるのを待機している(ステップn1)。カード挿入口5からカードが挿入されると、カード処理部15でカードのデータを読み込み、制御部22にてカードデータ(図5参照)のチェックを行う(ステップn2)。ここで、取扱い可能な両替カード41,42か否かを判定し(ステップn3)、取扱い可能な両替カード41,42の場合は、さらにカード種別により手数料前払い用の両替カード41か手数料後払い用の両替カード42かをチェックする(ステップn4)。手数料後払い用の両替カード42である場合は、手数料後払いによる両替取引を行う(ステップn5:図7参照)。また、手数料前払い用の両替カード41である場合は、手数料前払いによる両替取引を行う(ステップn6:図8参照)。また、前記ステップn3で取扱い不可カードと判定した場合は、そのカードを返却して取引を終了する(ステップn7)。
【0036】
次に、手数料後払い用の両替カード42を用いた両替取引動作を図7のフローチャートを参照して説明する。
手数料後払い用の両替カード42を用いた取引では、図8(A)に示すように、まずタッチパネル1に手数料後払いであることを表示し、顧客が了承して確認キーが押下(タッチ入力)されるのを待つ(ステップn11)。
【0037】
確認キーが押下された場合は(ステップn12)、紙幣入出金口2に両替用の紙幣が挿入されるのを待機し、両替用の紙幣が挿入されると(ステップn13)、紙幣処理部13にて紙幣の計数を行い、計数された金額に従ってタッチパネル1にて両替の設定を受付ける(ステップn14)。
【0038】
両替の設定が完了すると、制御部22は必要な手数料を計算し(ステップn15)、両替内容と手数料と当該期間の累計手数料を、図8(B)に示すようにタッチパネル1に表示し、確認キーが押下されるのを待機する(ステップn16)。
【0039】
確認キーが押下されると(ステップn17)、制御部22は外部インターフェイス19を介して、顧客のカード情報や手数料または両替内容等の取引関連情報を手数料徴収装置Bに通知する(ステップn18)。
【0040】
手数料徴収装置Bは図1に示すように、ネットワークNで接続されている複数の自動両替機Aからの取引情報の通知を受け取り、一定期間の顧客ごとの両替した手数料の累計をとり、該顧客の取引口座から一括して手数料を徴収する。
【0041】
前記ステップn18で制御部22は取引情報を通知した後、自動両替機Aから両替カードを返却し(ステップn19)、取引指定された両替金を、紙幣処理部13、硬貨処理部14、包装硬貨処理部16から適宜繰り出し、紙幣入出金口2、硬貨取出口3、包装硬貨取出口4から放出して顧客に渡す(ステップn20)。これと同時に、明細票処理部18にて取引の明細を印字し、明細票取出口6から取引明細を発行して手数料後払いによる1両替取引を終了する。
【0042】
前記ステップn12で取消キーが押下された場合、またステップn17で取消キーが押下された場合は、カードを返却して取消処理を行い取引を終了する(ステップn21)。
【0043】
次に、手数料前払い用の両替カード41を用いた両替取引動作を図9のフローチャートを参照して説明する。
手数料前払い用の両替カード41を用いた取引では、図10(A)に示すように、まずタッチパネル1に手数料残度数を表示し、両替を行うか、手数料チャージ(手数料の前払い金の追加)を行うかを顧客に選択させる(ステップn31)。手数料チャージが選択された場合は(ステップn32)、チャージする度数をタッチパネル1から顧客に設定させる(ステップn33)。
【0044】
そして、チャージ金を紙幣入出金口2から受付け、紙幣処理部13にて計数する(ステップn34)。制御部22はハードディスク等の記憶装置21に記憶されている該顧客の残度数にチャージされた度数を加算し、更新する(ステップn35)。その後、カード挿入口5から両替カード41を返却し、明細票処理部18にてチャージ取引明細を作成し、明細票取出口6から発行する(ステップn36)。
【0045】
前記ステップn32にて両替キーが押下された場合は(ステップn37)、紙幣入出金口2に両替用の紙幣が挿入されるのを待機する。そして、両替用の紙幣が挿入されると(ステップn38)、紙幣処理部13にて紙幣の計数を行い、計数された金額に従ってタッチパネル1にて両替の設定を受付ける(ステップn39)。
【0046】
両替の設定が完了すると、制御部22は必要な手数料を計算し(ステップn40)、図10(B)に示すように、両替内容と手数料をタッチパネル1に表示して確認キーが押下されるのを待機する(ステップn41)。
【0047】
確認キーが押下されると(ステップn42)、制御部19は記憶装置21に記憶されている該顧客の残度数から使用された度数を減算し更新する(ステップn43)。
【0048】
次に、自動両替機Aはカードを返却し(ステップn44)、両替金を紙幣処理部13、硬貨処理部14、包装硬貨処理部16にて繰り出し、紙幣入出金口2、硬貨取出口3、包装硬貨取出口4から放出して顧客に渡す(ステップn45)。これと同時に、明細票処理部18にて取引の明細を印字し、明細票取出口6から取引明細を発行し、取引を終了する。ステップn32にて取消キーが押下された場合、またステップn37とステップn42で取消キーが押下された場合は、カード挿入口5から両替カード41を返却し、取消処理を行い取引を終了する(ステップn46)。
【0049】
以上の動作により、一定期間の顧客ごとの手数料を自動両替機で集計することができるため、集計した累計手数料を一括して後払いにて徴収することができる。また、累計手数料の集計データは該自動両替機Aで集計データを管理してもよく、該自動両替機Aと接続された手数料徴収装置Bや別の装置で管理するように構成してもよい。
【0050】
さらに、自動両替機Aは前記一定期間の顧客ごとの使用手数料の累計手数料をインターネットNを用いて手数料徴収装置Bに通知する機能を有しているため、一定期間の手数料を自動で他装置に通知して、一定期間の累計手数料を一括して自動的に徴収することができる。
【0051】
さらに、タッチパネル1には表示部12の出力に基づいて、両替した場合の両替料金と、後払いの手数料を累計した累計手数料と、取引手順などを表示案内させる表示機能を有しているため、この表示案内により、顧客または係員が両替実績を常に把握することができる。また、表示案内に限らず、音声案内して報知するように設けてもよく、またこれらを併用して案内してもよい。
【0052】
ここで、一見の顧客等には両替時徴収用カードを渡すのではなく、キャッシュカードを利用させて両替1回分の手数料を両替時にキャッシュカードの口座から引き落として徴収するようにしてもよい。これにより、使用頻度の低い両替時徴収用カードは発行しなくてもよくなり、効率的な運用が可能になる。
【0053】
さらに、手数料の徴収方法はカード種別の情報に基づくのではなく、例えばキャッシュカードなら後日口座引落し、特殊用途のカードなら手数料前払いなどのように、カードの種類、またはカード番号ごとに手数料の徴収方法を切り替えてもよい。
【0054】
また、手数料前払方式における前記手数料徴収情報及び手数料後払方式における手数料徴収情報は、手数料の金額、または手数料の金額に対応した度数、または手数料の金額に対応した度数と1度数の単価の構成としてもよい。さらには、外貨やトラベラーズチェック等の通貨情報やレート情報、及び円換算額や手数料情報を構成してもよい。
【0055】
これにより、特に両替が多い店舗等の法人顧客等においては、両替の度に手数料を準備したり、手数料残高や残度数を把握しておかねばならないという手間が省け、経理上の管理の手間が軽減される。さらに、該両替カードをキャッシュカードではなく、特殊用途のカードとした場合、従業員に両替を依頼することが多い法人顧客においては、キャッシュカードを従業員に渡す必要が無くなりセキュリティー上の問題が無くなる。
【0056】
この実施例では、ステップn33、n35、n43において、手数料は度数で管理されている例を示したが、金額で管理されていてもよい。また、ステップn35、n43において、残度数は記憶装置21に記憶されているものとしたが、RAM24に記憶させておいてもよく、また手数料徴収装置Bに記憶させておき、インターネットNを介して通信を行う構成としてもよい。
【0057】
また、ステップn18において、手数料は両替の度に手数料徴収装置Bに送られることとしたが、一定期間の使用手数料を自動両替機Aで蓄積しておき、一定期間ごとにまとめて手数料徴収装置Bに送ってもよい。
【0058】
この場合、1つの店舗内に複数の自動両替機Aが設置されていても、そのうち1つを親機(マスタ)、それ以外を子機(スレイブ)として、マスタとなる自動両替機Aの記憶装置21に店舗内の全ての自動両替機Aによる後払手数料を一括して記憶するとよい。
【0059】
これにより、自動両替機の特徴に応じた適切な後払手数料の管理を行える。つまり、一般に両替を行う利用者は飲食店などの店員等であるから、常に店から近い同じ店舗におもむき、空いている自動両替機Aを使用することになる。そして、カードには口座番号等が記憶されているため、書き込み回数をなるべく少なくする方が安全である。
【0060】
このようなことから、マスタの自動両替機Aに手数料を記憶することで、他の店から遠い店舗で両替する必要のない利用者に利便性の高い後払いサービスを安全に提供できる。また、手数料徴収装置Bで全ての手数料を管理するより各店舗で管理する方がデータ管理を分散でき、効率よく処理できる。
【0061】
また、ステップn20、n36、n45では、取引明細票を発行するものとしたが、取引明細が必要か否かを顧客に選択させて必要な顧客にのみ発行することも可能である。また、手数料後払い用の両替カードを用いた取引において、後払いは手数料のみとしたが、両替金と手数料を含めた取引手数料の全てを後払いとしてもよく、また円貨での両替に限らず、外貨両替やトラベラーズチェックのような有価証券の購入などにおける手数料を含めた取引手数料の全てを後払いとしてもよい。なお、前記手数料は有価証券等の購入等における取引手数料または手数料、またはその両方としてもよく、また円貨や外貨の自動両替機における両替金、または手数料、またはその両方としてもよい。
【0062】
上述のように、複数の有料の自動両替機で取引された取引情報のうち、手数料後払方式があれば、その取引情報をインターネットを介して手数料徴収装置に通知し、該手数料徴収装置で顧客別の累計手数料を顧客の金融機関口座から引落としを実行し、両替取引を円滑に実行させるものである。従って、手数料後払方式で両替する場合は、顧客は両替に要する手数料の支払いの手間を省くことができ、利便性が向上する。
【0063】
この発明の構成は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に記載された技術思想に基づいて応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】手数料徴収システムのネットワーク構成図。
【図2】自動両替機の外観斜視図。
【図3】自動両替機の制御回路ブロック図。
【図4】両替カードの平面図。
【図5】磁気カード情報の一例を示す説明図。
【図6】自動両替機の両替処理動作を示すフローチャート。
【図7】手数料後払い用の両替カードを用いた両替処理動作を示すフローチャート。
【図8】手数料後払い案内画面を示す表示図。
【図9】手数料前払い用の両替カードを用いた両替処理動作を示すフローチャート。
【図10】手数料前払い案内画面を示す表示図。
【符号の説明】
【0065】
A…自動両替機
B…手数料徴収装置
N…ネットワーク
1…タッチパネル
12…表示部
15…カード処理部
21…記憶装置
22…制御部
41,42…両替カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引利用される記憶媒体を受付け、該記憶媒体に記録されている情報に基づいて取引に要する手数料を徴収する取引処理装置であって、
前記記憶媒体に記録されている手数料徴収に関する情報を該記憶媒体から読取る読取手段と、
取引時に前記記憶媒体から読取った情報から手数料を後日徴収する手数料後払方式か、その他の支払方式かを識別し、その識別結果に応じた支払方式により前記手数料を徴収する手数料処理手段を備えた
取引処理装置。
【請求項2】
前記手数料処理手段は、手数料後払方式と識別した場合、前記手数料を記憶させ、後日手数料を徴収できるようにする記憶手段を備えた
請求項1記載の取引処理装置。
【請求項3】
後払いでの手数料徴収を実行する手数料徴収装置に前記後払いの手数料を通知する通知手段を備えた
請求項1または2に記載の取引処理装置。
【請求項4】
前記取引での取引料金と、後払いの手数料を累計した累計手数料の情報とを報知する報知手段を備えた
請求項1、2または3に記載の取引処理装置。
【請求項5】
両替の際に利用される記憶媒体を受付け、該記憶媒体に記録されている情報に基づいて両替に要する手数料を徴収する自動両替機であって、
前記記憶媒体に記録されている手数料徴収に関する情報を該記憶媒体から読取る読取手段と、
両替時に前記記憶媒体から読取った情報から手数料を後日徴収する手数料後払方式か、その他の支払方式かを識別し、その識別結果に応じた支払方式により手数料を徴収する手数料処理手段を備えた
自動両替機。
【請求項6】
取引利用される記憶媒体を受付け、該記憶媒体に記録されている情報に基づいて取引を行う取引処理装置と、該取引処理装置から通知された取引情報に従って手数料を徴収する手数料徴収装置とからなる手数料徴収システムであって、
前記取引処理装置は、記憶媒体から読取った記憶媒体情報及び取引に関連する取引関連情報を手数料徴収装置に通知する通知手段を備え、該手数料徴収装置は前記取引処理装置から通知された記憶媒体情報と取引関連情報に基づいて後払いで徴収する手数料を決定し、該手数料の徴収を実行する手数料徴収手段を備えた
手数料徴収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−193682(P2007−193682A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12822(P2006−12822)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】