説明

取水装置

【課題】ごみが溜まりにくくてメンテナンスが容易であり、かつ、好適な設置場所が限定されずに使い勝手の良好な小規模水力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等に用いられる取水装置を提供する。
【解決手段】本発明の取水装置1は、河川・水路等に設置され、河川・水路等から取り込んでごみを除去した水を小規模水力発電装置等へ供給あるいは排水するために使用される。この取水装置1は、上流側がカバー部材8で閉塞されて下流側に送水口4aが開設されている取水室4と、取水室4の下流側ほど幅広に形成されている部分の側部に沿って列設された複数の垂直板6と、カバー部材8の上流側に配置されて鉛直線まわりに回動自在な回転ローラ7と、取水室4を上下から挟み込んで各垂直板6を支持している支持板2,3とを備えており、河川・水路等の水は、垂直板6に隣接する開口部9を介して取水室4内へ流入し、送水口4aから排出されて小規模水力発電装置等へ供給あるいは排水される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川・水路・貯水池・湖沼・海洋等から取水し、取水した水を送水して小規模水力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等に供給する場合あるいは排水する場合に用いる取水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、この種の小型水力発電装置は、大出力を得ることはできないものの、商用電源を必要とせず自然環境にも悪影響を及ぼさないため、山間部や農場などで数kW以下の電源として使用されている。かかる小型水力発電装置の上流側には、河川・水路等から取り込んだ水を発電装置へ供給するために小規模水力発電用取水装置が設置されており、この取水装置にはごみを取り除くストレーナとしての機能が要求される。
【0003】
すなわち、河川・水路等を流れる水の中には落ち葉や枯れ枝等のごみが混入しているため、小規模水力発電用取水装置等における取水装置は、河川・水路等から水を取り込む際に水力発電装置等の動作に悪影響を及ぼしかねないごみ(異物)を除去しておかねばならない。ただし、取水装置が単にごみの通過を阻止するだけの濾過方式であると、濾過部にごみが溜まりやすいものとなるため、目詰まりを起こして水が取り込みにくくなってしまう可能性が高い。また、濾過部の目詰まりを防止するためには溜まったごみを頻繁に除去しなければならないので、メンテナンスが煩雑になりやすい。なお、取水装置の内側から外側へ水が強制的に逆流可能な構造に設計しておけば、濾過部に溜まったごみを比較的容易に河川・水路等へ戻せるようになるが、こうした構造を備えた取水装置は高額なものになってしまうため小規模なシステムには好ましくない。
【0004】
そこで従来から、小規模水力発電用取水装置等の取水装置として、軸線方向の一端が閉塞端で他端側に送水口を有する略円筒状部材の円筒面に、除去対象物よりも小径な丸孔を多数設けてなるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このものは、閉塞端を上流側に向けて軸線方向を流下方向に合致させた姿勢で河川・水路等に設置され、丸孔を介して河川・水路等の水が取り込めるようになっており、取り込んだ水は送水口から小型水力発電装置等へと送出される。そして、特許文献1によれば、落ち葉等のごみが円筒面に付着して丸孔を塞いでしまった場合でも、軸線方向に沿って流れる河川・水路等の水がごみを円筒面から引き剥がす作用を及ぼすため、濾過部である円筒面にごみが溜まりにくい旨、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−187014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている小規模水力発電用取水装置を河川・水路等に設置した場合、落ち葉等のごみに塞がれる丸孔の数が増えてくると、残余の丸孔は流入する水の流速が増大してごみを吸引しやすくなる。それゆえ、河川・水路等を流れる水の流速がさほど大きくない場合、この取水装置の円筒面に付着しているごみを簡単には引き剥がすことができず、結果的に多くのごみが付着してしまうことになる。つまり、かかる従来の取水装置は、水の流れが速い場所に設置すればごみは溜まりにくいものの、水の流れが遅い場所に設置するとごみが溜まりやすいため、好適な設置場所が限定されてしまい使い勝手が悪いという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ごみが溜まりにくくてメンテナンスが容易であり、かつ、好適な設置場所が限定されずに使い勝手の良好な小規模水力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等に用いられる取水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、河川・水路等に設置され、河川・水路等から取り込んだ水を排出して小型水力発電装置等へ供給又は排水する取水装置において、上流側が閉塞端で下流側に送水口が開設されていると共に、上流側に対し下流側ほど幅広に形成されている取水室と、この取水室の傾斜した側部に沿って所定の間隔を存して、垂直または略垂直に起立姿勢で列設された複数の垂直板と、前記取水室の閉塞端の上流側に配置されて鉛直線まわりに回動自在な回転ローラと、前記取水室を上下から挟み込んで前記垂直板を支持している一対の支持板とを備え、前記取水室の外方へと向かう前記垂直板の平面視での延在方向が河川・水路等の流下方向に対して鋭角をなしており、前記垂直板に隣接する開口部を介して前記取水室内へ流入した河川・水路等の水が前記送水口から排出されるようにした。
【0009】
このように構成された取水装置を河川・水路等に設置すると、上流側から流れて来る枯れ枝等の比較的大きなごみを回転ローラによって脇(取水装置の右外方や左外方)へ逃がすことができ、取水室の傾斜した側部へ向かって流れて来るごみは垂直板の外端に沿った河川・水路等の水流によって取水装置の外方へ導くことができる。また、垂直板に隣接する開口部を介して取水室内へ入り込む水は、取水室の開口部の開口面積を合算した値を送水口の開口面積よりも十分に大きく設定することにより流速が遅くなり、それに伴ってごみ運搬能力が低下するため、落ち葉等の小さなごみが取水室内へ入り込む可能性も低い。それゆえ、この取水装置は、設置する河川・水路等を流れる水の流速が速い場合にも遅い場合にも、ごみの滞留や侵入を効果的に防止することができ、構造が簡素なため安価に製作できる。また、本取水装置は、静止している水に対して相対的に移動するように設置された場合にも同様のごみの滞留・進入防止効果を有する。すなわち、本取水装置は、船舶等の移動体に取り付けて湖沼・海洋等の静止水から取水する場合にもごみの滞留や侵入を効果的に防止することができる。
【0010】
上記の取水装置において、取水室の流入部における平均流入流速は、取水室の流入部の開口面積を合算した値をS、送水口の開口面積をSとすると、次式により計算できる。
取水室の開口部における平均流入流速=送水口からの排出流速×S/S
したがって、取水室の開口部の開口面積を合算した値が、送水口からの排出流速及び送水口の開口面積に応じて十分に大きく設定されていると、取水装置設置場所における河川・水路等の流速に比して開口部から流入する水の流速が常に小さくなるため、ごみの滞留や侵入を防止する効果が高まって好ましい。
【0011】
また、上記の取水装置において、取水室が互いに逆向きに傾斜する一対の側部を有し、これら両側部の少なくとも一方に複数の垂直板が列設されていれば、ごみの滞留や侵入を防止する効果は得られる。この場合において、取水室の両側部にそれぞれ複数の垂直板が線対称な位置関係で配設されており、これら両側部の対応する位置に存する垂直板どうしが上流側から下流側に向かって末広がりとなる平面視形状に配置されていると、取水装置を左右対称な構造に設定できるため外観上も機能上もバランスが良くなる。
【0012】
また、上記の取水装置において、垂直板が支持板に回動可能に支持されており、取水装置が設置される河川・水路等の流下方向に対する垂直板の傾斜角が調整可能であると、設置場所の水の流速等に応じて垂直板の傾斜角を適宜変更できるため、所望の機能を発揮させるための調整が容易に行えるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の小規模水力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等に用いられる取水装置は、河川・水路等の上流側から流れて来る比較的大きなごみを、回転ローラによって脇(取水装置の右外方や左外方)へ逃がすことができ、取水室の傾斜した側部へ向かって流れて来るごみは垂直板の外端に沿った河川・水路等の水流によって取水装置の外方へ導くことができる。また、垂直板に隣接する開口部を介して取水室内へ入り込む水は、取水室の開口部の開口面積を合算した値を送水口の開口面積よりも十分に大きく設定することにより流速が遅くなり、それに伴ってごみ運搬能力が低下するため、落ち葉等の小さなごみが取水室内へ入り込む可能性も低い。それゆえ、この取水装置は、設置する河川・水路等を流れる水の流速が速い場合にも遅い場合にも、ごみの滞留や侵入を効果的に防止することができてメンテナンスが容易であり、好適な設置場所が限定されずに使い勝手が良いという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る取水装置の側面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1のB方向から見た背面図である。
【図4】本発明の第2実施形態例に係る取水装置の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態例に係る取水装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1〜図3を参照しながら、本発明の第1実施形態例に係る小規模水力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等の取水装置について説明する。
【0016】
これらの図に示す取水装置1は、河川・水路等に設置され、河川・水路等から取り込んでごみを除去した水を図示せぬ小規模水力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等へ供給又は排水するために使用される。その際、取水装置1は長手方向を流下方向に合致させた姿勢で河川・水路等に設置し、取水装置1の平面視で幅狭な側(図2参照)を上流側に向けておく。
【0017】
この取水装置1は、上下一対の支持板(天板2および底板3)と、これら一対の支持板2,3に挟み込まれて上流側を閉塞端とする空間である取水室4と、取水室4の下流側に設けられた送水口4aと、取水室4の下流側の延長部材として送水口4aを囲繞している送水管5と、取水室4の傾斜した側部に沿って列設された複数枚の垂直板6と、取水室4よりも上流側に配置されて鉛直線まわりに回動自在な回転ローラ7とによって概略構成されている。なお、図1と図2において、取水装置1が設置される河川・水路等の上流側は図示左側、下流側は図示右側となるため、この河川・水路等を流れる水の流下方向は矢印C方向となる。なお、本実施形態例では取水室4の傾斜した側部に計10枚の垂直板6を配設しているが、垂直板6の数は適宜選択可能である。また、本実施形態例では、垂直板6の長さ、間隔及び河川・水路等の流下方向(矢印C方向)に対する垂直板6の傾斜角θは同一に設定されているが、これらは垂直板6ごとに適宜異なった値にすることも可能である。
【0018】
上下一対の支持板2,3は平行に配置されて相対向する大きさや形状を同じくする板状部材であり、図2に示すように、支持板2,3の平面視形状は上流側から下流側に向かって漸次幅広な二等辺三角形状となっている。取水装置1を河川・水路等に設置する際には、これら一対の支持板2,3を略水平な姿勢に設定した上で、幅狭な側が上流側を向くように設置する。なお、本実施形態例では、上下一対の支持板2,3は平行に配置され、同一の大きさや形状を有し、平面視形状は上流側から下流側に向かって漸次幅広な二等辺三角形となっているが、支持板2,3を非並行とする、あるいは、異なった大きさや形状とする、あるいは二等辺三角形状以外の平面視形状とすることも可能である。
【0019】
取水室4の上流側の端部は半円筒状の立壁部であるカバー部材8によって閉塞されており、このカバー部材8は支持板2,3によって上下から保持されている。取水室4内の水は下流側の送水口4aから排出され、送水管5に接続される図示せぬ導水管を介して前記小規模水力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等に供給される。
【0020】
取水室4は送水管5に囲繞された部分を除いて、平面視で下流側ほど幅広な二等辺三角形状に形成されている。そして、取水室4の傾斜した一方の側部と他方の側部に線対称な位置関係で計10枚の垂直板6が配設されている。また、隣り合う垂直板6どうしの間と、カバー部材8と垂直板6との間には、水を取り込むための開口部9がそれぞれ形成されている。すなわち、取水室4の傾斜した一方の側部と他方の側部にそれぞれ5枚ずつ、起立姿勢の垂直板6が所定の間隔(開口部9)を存して列設されており、各垂直板6は支持板2,3によって上下から保持されている。取水室4の傾斜した一方の側部に列設されている垂直板6どうしは互いに平行であり、他方の側部に列設されている垂直板6どうしも互いに平行である。そして、図2に示すように、これら両側部の対応する位置に存する垂直板6どうしが上流側から下流側に向かって末広がりとなる平面視形状(ハ字形状)に配置されているため、取水装置1が設置される河川・水路等の流下方向(矢印C方向)に対する各垂直板6の傾斜角θは鋭角である。この傾斜角θは、取水室4の外方へと向かう各垂直板6の平面視での延在方向と河川・水路等の流下方向とのなす角度であり、河川・水路等を流れる水の流速等に応じて傾斜角θを20〜60度の範囲内の適宜角度に設定しておくことが好ましい。なお、本実施形態例では、垂直板6は軸線方向に対して垂直に配置されているが、垂直以外の角度で配置することも可能である。
【0021】
回転ローラ7は取水室4の閉塞端であるカバー部材8の上流側に近接して配置されており、この回転ローラ7の回転軸7aは支持板2,3によって上下から保持されている。すなわち、取水装置1が河川・水路等に設置されると、回転ローラ7は最も上流側に位置することになる。
【0022】
この取水装置1を河川・水路等に設置すると、河川・水路等の水が開口部9を介して取水室4内へ流入して送水口4a(送水管5)から排出される。その際、河川・水路等の水と共に運ばれて来た落ち葉や枯れ枝等のごみは、回転ローラ7やカバー部材8や垂直板6等に阻止されて取水室4内へは容易に入り込めないため、こうしたごみを含まない水が取水室4内へ取り込まれ、送水管5から前記導水管を介して小規模水力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等へ供給又は排水されるようになっている。また、全ての開口部9の開口面積を合算した値は送水口4aの開口面積よりも十分に大きく設定されており、取水装置設置場所における河川・水路等の流速に比して開口部9から流入する水の流速が常に小さくなるようにしてある。
【0023】
以上説明したように、本実施形態例に係る取水装置1を河川・水路等に設置すると、上流側から流れて来る枯れ枝等の比較的大きなごみを回転ローラ7によって脇(取水装置1の右外方や左外方)へ逃がすことができ、取水室4の傾斜した側部へ向かって流れて来るごみは垂直板6の外端に沿った河川・水路等の水流によって取水装置1の外方へ導くことができる。また、垂直板6に隣接する開口部9を介して取水室4内へ入り込む水は、取水室4の開口部の開口面積を合算した値を送水口の開口面積よりも十分に大きく設定することにより流速が遅くなり、それに伴ってごみ運搬能力が低下するため、落ち葉等の小さなごみが取水室4内へ入り込む可能性も低い。それゆえ、この取水装置1は、設置する河川・水路等を流れる水の流速が速い場合にも遅い場合にも、ごみの滞留や侵入を効果的に防止することができる。また、この取水装置1は構造が簡素なため安価に製作できる。
【0024】
なお、本実施形態例では、全ての開口部9の開口面積を合算した値が送水口4aの開口面積よりも十分に大きくなるように設定してあり、取水装置設置場所における河川・水路等の流速に比して開口部9から流入する水の流速が常に小さくなるため、ごみの滞留や侵入を防止する効果が高い。
【0025】
また、本実施形態例では、取水室4の傾斜した一方の側部と他方の側部にそれぞれ複数の垂直板6が列設されているため、除去対象のごみを含まない水が取水室4の左右両側から効率良く取り込める。しかも、本実施形態例では、取水室4の傾斜した一方の側部と他方の側部に線対称な位置関係で垂直板6が配設されており、これら両側部の対応する位置に存する垂直板6どうしが上流側から下流側に向かって末広がりとなる平面視形状(ハ字形状)に配置されているため、取水装置1を左右対称な構造に設定できて外観上も機能上もバランスが良いものとなっている。
【0026】
図4は本発明の第2実施形態例に係る、小規模数力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等の取水装置12の断面図であり、図2と対応する部分は同一符号が付してあるため、重複する説明は省略する。
【0027】
図4に示す取水装置12では、取水室4の傾斜したいずれか一方の側部のみに垂直板6が列設されており、他方の側部の垂直板6は省略されているが、このような構成でもごみの滞留や侵入を防止する効果は得られる。つまり、取水装置12の設置場所における河川・水路等の形状や流速などの何らかの理由で、取水室4の傾斜した他方の側部から水を取り込む必要がない場合には、この他方の側部を閉鎖して一方の側部からのみ取水室4内へ水を取り込むようにしておけば良い。こうすることによって、取水装置12の構造が極めて簡素なものとなる。なお、この場合も、全ての開口部9の開口面積を合算した値が送水口4aの開口面積よりも十分に大きくなるように設定すれば、設置場所付近で河川・水路等を流れる水の流速に比して開口部9から流入する水の流速は小さくなる。
【0028】
図5は本発明の第3実施形態例に係る小規模水力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等の取水装置を示す断面図であり、図2と対応する部分は同一符号が付してあるため、重複する説明は省略する。
【0029】
図5に示す取水装置13では、取水室4の傾斜した側部に配設されている各垂直板6が支持板2,3に回動可能に支持されており、設置される河川・水路等の流下方向に対する各垂直板6の傾斜角θを調整できるようになっている。この取水装置13では、設置場所の水の流速等に応じて各垂直板6の傾斜角θを適宜変更できるため、所望の機能を発揮させるための調整が容易に行える。
【符号の説明】
【0030】
1,12,13 取水装置
2 天板(支持板)
3 底板(支持板)
4 取水室
4a 送水口
5 送水管
6 垂直板
7 回転ローラ
8 カバー部材
9 開口部
θ 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川・水路・貯水池・湖沼・海洋等に設置され、河川・水路・貯水池・湖沼・海洋等から取り込んだ水を小規模水力発電装置等の水利用装置や各種水利用施設等に供給あるいは排出するための取水装置において、
上流側が閉塞端で下流側に送水口が開設されていると共に、上流側に対し下流側ほど幅広に形成されている取水室と、この取水室の傾斜した側部に沿って所定の間隔を存して垂直または略垂直に起立姿勢で列設された複数の垂直板と、前記取水室の閉塞端の上流側に配置されて鉛直線まわりに回動自在な回転ローラと、前記取水室を上下から挟み込んで前記垂直板を支持している一対の支持板とを備え、
前記取水室の外方へと向かう前記垂直板の平面視での延在方向が河川・水路等の流下方向に対して鋭角をなしており、前記垂直板に隣接する開口部を介して前記取水室内へ流入した河川・水路等の水が前記送水口から排出されるようにしたことを特徴とする取水装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、全ての前記開口部の開口面積を合算した値が前記送水口の開口面積よりも十分に大きく設定されていることを特徴とする取水装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記取水室が互いに逆向きに傾斜する一対の側部を有し、これら両側部の少なくとも一方に前記垂直板が列設されていることを特徴とする取水装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記取水室の前記両側部にそれぞれ複数の前記垂直板が線対称な位置関係で配設されており、これら両側部の対応する位置に存する前記垂直板どうしが上流側から下流側に向かって末広がりとなる平面視形状に配置されていることを特徴とする取水装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の記載において、前記垂直板が前記支持板に回動可能に支持されており、河川・水路等の流下方向に対する前記垂直板の傾斜角が調整可能であることを特徴とする取水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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