説明

受け皿

【課題】選別装置50での搬送中に農産物Aが揺れ動かないように、農産物Aの載置安定性を向上させた受け皿11を提供する。
【解決手段】本願発明に係る受け皿11は、側周壁21と底壁22とを有して上向きに開口した受け皿本体12を備える。前記受け皿本体12の内部側に、可撓性を有する弾性材製で逆直錐形状の受け座体14を取り付ける。前記受け皿本体12の内部側と前記受け座体14の裏面側との間は、農産物Aを載せたときの押圧力による前記受け座体14の弾性変形を緩衝する空洞室44に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば桃、梨、柑橘類、リンゴ、メロンといった農産物を選別・仕分けする選別装置に用いられる受け皿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、農産物を選別・仕分けする選別装置に用いられる受け皿としては、目的に応じた様々な形態のものが提案されている。例えば特許文献1〜3に開示されたフリートレイ式の受け皿は、上向きに開口した受け皿本体の内部側にクッション材を配置することにより、載置される農産物の転落・揺れ動き防止の改善を図って、載置状態での保持安定性を向上させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭61−32894号公報
【特許文献2】実公平7−37746号公報
【特許文献3】特開平8−89908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記各特許文献の構成では、クッション材の裏面側と受け皿本体の内面側とが接触又は近接しているため、載置される農産物の形状・重量・大きさ等によっては、受け皿内において農産物が複数箇所の点接触の状態で支持されることが起こり得る。このような点接触の状態では農産物の載置姿勢が不安定になるため、選別装置での搬送中に受け皿内の農産物が揺れ動いてしまう。そうすると、選別装置において農産物の大きさや内部品質を計測する際に計測誤差を生じさせるから、選別装置の選別精度を低下させることになるのであった。
【0005】
そこで、本願発明は上記の問題点を解消することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る受け皿は、側周壁と底壁とを有して上向きに開口した受け皿本体を備えており、前記受け皿本体の内部側に、可撓性を有する弾性材製で逆直錐形状の受け座体が取り付けられており、前記受け皿本体の内部側と前記受け座体の裏面側との間は、農産物を載せたときの押圧力による前記受け座体の弾性変形を緩衝する空洞室に構成されているというものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した受け皿において、前記受け皿本体の内部側には、前記底壁の中央部を基準に放射方向に延びる複数の補強リブが、平面視で前記空洞室を仕切るように設けられており、前記受け座体の裏面側と前記各補強リブの上面とは適宜間隔を開けて対峙しているというものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した受け皿において、前記受け皿本体の前記側周壁には相対向する一対の切り欠き部が形成されており、前記受け皿本体の前記底壁の中央部には上下に貫通する貫通穴が形成されている一方、前記受け座体の傾斜面部には、前記受け皿本体の前記各切り欠き部に対応する凹み部が形成されており、前記受け座体の底頂部には、前記受け皿本体の前記貫通穴に連通する連通穴が形成されているというものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載した受け皿において、前記受け皿本体における前記底壁の下面側には、側周壁と底壁とを有して上向きに開口した台座体が、その上向き開口部を前記受け皿本体の前記底壁にて塞ぐようにして取り付けられており、前記台座体における前記底壁の中央部には、前記受け皿本体の前記貫通穴に連通して上下に貫通するボス穴付きのボス部が設けられており、前記台座体の前記側周壁、前記底壁及び前記ボス部と、前記受け皿本体の前記底壁とで囲まれた収容室には、前記受け皿本体及び前記台座体のバランスをとるためのカウンタウェイトが収容可能になっているというものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明に係る受け皿によると、側周壁と底壁とを有して上向きに開口した受け皿本体を備えており、前記受け皿本体の内部側に、可撓性を有する弾性材製で逆直錐形状の受け座体が取り付けられており、前記受け皿本体の内部側と前記受け座体の裏面側との間は、農産物を載せたときの押圧力による前記受け座体の弾性変形を緩衝する空洞室に構成されているから、農産物を載置された前記受け座体が農産物の形態に倣って弾性変形して接触面を多く形成し、農産物を安定的に保持することになる。前記受け座体は、農産物の重量に加えて搬送中の振動及び前記受け皿同士の接触といった衝撃が加わると、前記受け座体と前記空洞室との相乗効果によって、前記受け座体を適度に撓ませてその衝撃を吸収し、農産物に衝撃を付与することなく確実に保持できる。従って、種々の大きさ及び形状の農産物を前記受け皿上で安定的に載置できるという効果を奏する。
【0011】
請求項2の発明によると、請求項1に記載した受け皿において、前記受け皿本体の内部側には、前記底壁の中央部を基準に放射方向に延びる複数の補強リブが、平面視で前記空洞室を仕切るように設けられており、前記受け座体の裏面側と前記各補強リブの上面とは適宜間隔を開けて対峙しているから、農産物を載せて弾性変形した前記受け座体が前記各補強リブに接触するおそれを確実に抑制できる。従って、前記受け皿本体の剛性を向上させたものでありながら、前記受け座体の安定保持及び衝撃吸収作用を維持できるという効果を奏する。
【0012】
請求項3の発明によると、請求項1又は2に記載した受け皿において、前記受け皿本体の前記側周壁には相対向する一対の切り欠き部が形成されており、前記受け皿本体の前記底壁の中央部には上下に貫通する貫通穴が形成されている一方、前記受け座体の傾斜面部には、前記受け皿本体の前記各切り欠き部に対応する凹み部が形成されており、前記受け座体の底頂部には、前記受け皿本体の前記貫通穴に連通する連通穴が形成されているから、例えば透過光による糖度測定に際して、前記受け座体の前記凹み部(前記切り欠き部)を透過光の通過領域として利用できる。すなわち、農産物の大きさに影響されることなく、農産物への広い測定光照射範囲及び受光範囲を確保して、透過光による高精度な糖度計測が可能になり、農産物の内部品質を的確に計測できるという効果を奏する。
【0013】
また、前記受け皿上から農産物を取り出す際は、前記受け座体の前記凹み部(前記切り欠き部)に指を入れて農産物を引き上げればよいから、農産物の大きさに影響されることなく、前記受け皿内から農産物を簡単に取り出せるという利点もある。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載した受け皿において、前記受け皿本体における前記底壁の下面側には、側周壁と底壁とを有して上向きに開口した台座体が、その上向き開口部を前記受け皿本体の前記底壁にて塞ぐようにして取り付けられており、前記台座体における前記底壁の中央部には、前記受け皿本体の前記貫通穴に連通して上下に貫通するボス穴付きのボス部が設けられており、前記台座体の前記側周壁、前記底壁及び前記ボス部と、前記受け皿本体の前記底壁とで囲まれた収容室には、前記受け皿本体及び前記台座体のバランスをとるためのカウンタウェイトが収容可能になっているから、前記カウンタウェイトの存在により、農産物が裁置された前記受け皿における搬送中の姿勢安定性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】受け皿の平面図である。
【図2】受け皿の底面図である。
【図3】受け皿の側面図である。
【図4】図1のIV−IV視側面断面図である。
【図5】図1のV−V視側面断面図である。
【図6】図1のVI−VI視側面断面図である。
【図7】図1のVII−VII視側面断面図である。
【図8】選別コンベヤの全体側面図である。
【図9】選別コンベヤの全体平面図である。
【図10】判定部の拡大側面断面図である。
【図11】選果部の拡大側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本願において「農産物」とは、本願発明に係る受け皿に載置可能なあらゆる果実及び野菜を含む概念であり、例えばミカンといった小型のもの、桃、梨、リンゴといった中型のもの、メロン、スイカといった大型のもの等が挙げられる。
【0017】
(1).受け皿の構造
まず、図1〜図7を参照しながら、農産物Aを選別・仕分けする選別装置に用いられる受け皿11の構造について説明する。図1〜図7に示すように、実施形態の受け皿11は、側周壁21と底壁22とを有して上向きに開口した受け皿本体12と、受け皿本体12における底壁22の下面側に取り付けられた台座体13と、受け皿本体12の内部側に取り付けられた受け座体14とを備えている。受け皿11全体としては、上面側が下向きに凹んだ有底筒状に構成されている。
【0018】
受け皿本体12及び台座体13は比較的硬質な合成樹脂材製の射出成形品であり、いずれも上向きに開口した円筒状に形成されている。受け皿本体12における底壁22の中央部には、受け皿本体12内に収容される農産物Aの外径より小さい穴径で且つ上下方向に貫通する貫通穴23が形成されている。受け皿本体12の側周壁21には、貫通穴23の中心線を挟んだ両側に、相対向する一対の切り欠き部24が形成されている。台座体13も側周壁31及び底壁32を有している。台座体13の直径は受け皿本体12のそれとほぼ同程度に設定されている。台座体13における底壁32の中央部には、受け皿本体12の貫通穴23に連通して上下方向に貫通する円筒状のボス部33が一体形成されている。
【0019】
受け皿本体12の底壁22の下面側に台座体13を取り付けた状態では、台座体13の上向き開口部は受け皿本体12の底壁22にて塞がれる。そして、受け皿本体12の貫通穴23と、台座体13におけるボス部33のボス穴34とが、同心状に上下に並んで連通する。台座体13の内部側には、側周壁31と底壁32とボス部33とで囲まれた上向き開口環状の空間が形成されることになる。なお、以後の説明では便宜上、受け皿本体12側の側周壁21を本体側周壁21、底壁22を本体底壁22と称し、台座体13側の側周壁31を台座側周壁31、底壁32を台座底壁32と称する。
【0020】
本体底壁22の下面側のうち半径内寄りの部位には、台座体13におけるボス部33の上部外面に外側から嵌まる内筒リブ25が下向き凸のリング状に一体形成されている。また、本体底壁22の下面側のうち半径外寄りの部位には、台座側周壁31の上部内面に密接する外筒リブ26が下向き凸のリング状に一体形成されている。外筒リブ26の外面側には、台座側周壁31の上部内面に形成された環状溝35に係合する係合部27が一体形成されている。
【0021】
台座体13のボス部33と台座側周壁31との間に、本体底壁22の内筒リブ25及び外筒リブ26を上方から嵌め込み、弾性変形を利用した強制嵌合にて、台座側周壁31の環状溝35に外筒リブ26の係合部27を係合させることによって、受け皿本体12と台座体13とが抜け不能な状態で上下に重ねられる。台座側周壁31、台座底壁32及びボス部33と、本体底壁22とで囲まれた環状の領域は密閉状の収容室36になっている。収容室36内には、受け皿本体12及び台座体13の重量バランスをとるためのカウンタウェイト37が収容される。実施形態のカウンタウェイト37は、収容室36にスムーズに収まるリング状に形成されたものである。
【0022】
受け皿本体12内に取り付けられる受け座体14は、農産物Aを収まりよく受けるためのものであり、可撓性を有する弾性材(例えばゴムのような軟質な合成樹脂)製で逆直錐形状に形成されたものである。実施形態の受け座体14は逆円錐形状になっている。受け座体14のうち円錐形の側面に当たる傾斜面部41には、受け皿本体12の各切り欠き部24に対応して下向きに凹ませた凹み部42が形成されている。従って、実施形態の凹み部42は、傾斜面部41において相対向する2箇所に存在する。受け座体14の底頂部には、受け皿本体12の貫通穴23に連通する連通穴43が形成されている。
【0023】
受け座体14は、連通穴43を下側にした下窄まりの姿勢で且つ受け皿本体12の切り欠き部24に凹み部42の位置を合わせた状態で、受け皿本体12内に配置される。凹み部42(及び切り欠き部24)においては、受け座体14上に載置された農産物Aの一部が露出することになる。また、受け座体14の連通穴43は、受け皿本体12の貫通穴23及びボス部33のボス穴34に連通する。受け皿本体12の内部側(本体側周壁21及び本体底壁22の内面側)と、受け座体14の裏面側との間は、密閉状の空洞室44になっている。実施形態の空洞室44は、連通穴43(及び貫通穴23)の周囲を囲う略環状に形成されていて、農産物Aを載せたときの押圧力による受け座体14の弾性変形を緩衝するように構成されている。
【0024】
受け皿本体12の内部側のうち本体側周壁21寄りの部位には、上向きに突出する平面視リング状の嵌合突片28が一体的に形成されている。嵌合突片28のうち切り欠き部24に対応する部位は、側面視で切り欠き部24に重ならないように切り欠かれている(被らないように段差を付けている)。嵌合突片28の上端部には、受け座体14の裏面側のうち半径外寄りの部位に形成された下向き開口溝状の嵌合溝45が上方から嵌まるように構成されている。また、本体側周壁21には、受け座体14の外面上部側(係合溝45の近傍部位)に形成された外向き凸状の係合爪46を係合させる係合穴29が周方向に沿って適宜間隔で形成されている(実施形態では4箇所)。一方、台座体13におけるボス部33の上部内面側には、半径内向きに突出する環状樋38が一体形成されている。本体底壁22における貫通穴23の開口縁部と、ボス部33の環状樋38との間は、受け座体14における連通穴43の開口縁部から下向きに突出する断面L字状の環状リブ47が嵌まる溝状空間になっている。
【0025】
本体底壁22における貫通穴23の開口縁部と、ボス部33の環状樋38との溝状空間に、受け座体14の環状リブ47を嵌め込むと共に、受け皿本体12の嵌合突片28に受け座体14の嵌合溝45を上方から嵌め込み、弾性変形を利用した強制嵌合にて、本体側周壁21の各係合穴29に受け座体14の係合爪46を係合させる。その結果、受け皿本体12内に受け座体14が抜け不能な状態で取り付けられることになる。
【0026】
受け皿本体12の内部側(本体側周壁21及び本体底壁22の内面側)には、本体底壁22の中央部(実施形態では貫通穴23)を基準に放射方向に延びる複数の補強リブ30が、平面視で空洞室44を仕切るように設けられている。図7から明らかなように、各補強リブ30は、貫通穴23から本体側周壁21に近付くに連れて高さが高くなる傾斜状に形成されている。受け座体14(傾斜面部41)の裏面側と各補強リブ30の上面とは、農産物Aを載せて弾性変形した傾斜面部41を各補強リブ30に接触させないように、適宜間隔を開けて対峙させている。
【0027】
(2).選別装置の構造及び選別態様
次に、図8〜図11を参照しながら、農産物Aを選別・仕分けする選別装置の構造及びその選別態様の一例について説明する。選別装置の一例である選別コンベヤ50は、4本の脚51にて支持される2本の略平行なコンベヤフレーム52を備えている。各コンベヤフレーム52の両端部の間に、軸53を介して遊転ローラ54が回転自在に設けられている。各コンベヤフレーム52の間には、遊転ローラ54を介して2本の略平行なコンベヤベルト55が張設されている。コンベヤベルト55は、2つのテンションローラ56と駆動ローラ57とに掛け回されている。駆動ローラ57の軸58に、プーリ59,60及びベルト61を介して電動モータ62を連結させ、電動モータ62にて2本の略平行なコンベヤベルト55を同期させて同一方向に回動させるように構成されている。
【0028】
コンベヤベルト55の上面の送り始端側には供給台63が設けられている。1個の農産物Aを入れた受け皿11を供給台63に載せ、供給台63上の受け皿11をコンベヤベルト55の送り始端側の上面に1列状に作業者が載せるように構成されている。なお、2本の略平行なコンベヤベルト55の設置間隔は、受け皿11におけるボス部33のボス穴34より若干大きく設定されている。また、図示は省略するが、各受け皿11には識別用のIDチップが取り付けられている。
【0029】
コンベヤベルト55の送り始端側の近くに判定部64が設けられている。判定部64は、農産物Aの大きさを計測するサイズ計測手段と、農産物Aの糖度を計測する糖度計測手段と、各受け皿11のIDチップを認識する認識センサ72とを備える。農産物Aの大きさを計測するサイズ計測手段として、先端にレンズを有する複数本の光ファイバ20を有する撮像カメラ21を備えている。農産物Aの糖度を計測する糖度計測手段として、農産物Aに光を照射するライト73と、該ライト73から農産物Aに照射した光のうち農産物Aを透過した光を検出する透過光センサ74とを備えている。そして、撮像カメラ71の撮像データと、透過光センサ74の透過光の検出データとに基づき、各農産物Aの糖度を判別するように構成されている。
【0030】
実施形態の糖度計測手段は、両コンベヤベルト55の間の下方に配置されたライト73と、両コンベヤベルト55の幅方向両側に配置された透過光センサ74とからなる下部照射・側部受光タイプのものである。なお、糖度計測手段の照射方向及び受光方向は、上記の形態に限定するものではなく、例えば上部照射・側部受光タイプでもよいし、上部照射・下部受光タイプや側部照射・側部受光タイプでもよい。
【0031】
更に、コンベヤベルト55のうち判定部64よりも送り下流側に、選果部65を備えている。図9に示すように、選果部65は、所定範囲の糖度の農産物Aを認識して取り出す認識センサ72及び選果シリンダ75及び選果コンベヤ76及び選果台77の組合せを複数組備えている。選別コンベヤ50の送り終端部には、糖度の選別範囲のいずれにも属さない不適切な検出が行われた農産物Aの受け皿11を投入するエラー回収ボックス79が設けられている。
【0032】
以上の構成において、測定対象の農産物Aは、受け皿11内の受け座体14上に載置された状態で一対のコンベヤベルト55にて搬送される。農産物Aを受け座体14上に載せた場合は、傾斜面部41が農産物Aの形態に倣って弾性変形して接触面を多く形成し、農産物Aを安定的に保持する。受け座体14は、農産物Aの重量に加えて搬送中の振動及び受け皿11同士の接触といった衝撃が加わると、傾斜面部41と空洞室44との相乗効果により、傾斜面部41を適度に撓ませてその衝撃を吸収し、農産物に衝撃を付与することなく確実に保持できる。
【0033】
判定部64にて糖度計測する場合は、両コンベヤベルト55の間の下方に配置されたライト73から、受け皿11のボス穴34及び連通穴43を介して農産物Aの下面部に測定光を照射する。農産物Aの下面部に照射された測定光は農産物Aの内部で散乱し、農産物Aの露出した部分から出た透過光が、受け座体14の凹み部42(切り欠き部24)を介して、両コンベヤベルト55の幅方向両側に配置された一対の透過光センサ74にて検出されることになる。従って、農産物Aの大きさに影響されることなく、農産物Aへの広い測定光照射範囲と、広い受光範囲を確保して、透過光による高精度な糖度計測が可能になり、農産物Aの内部品質を的確に計測できる。
【0034】
なお、受け皿11上から農産物Aを取り出す際は、受け座体14の凹み部42(切り欠き部24)に指を入れて農産物Aを引き上げればよいから、農産物Aの大きさに影響されることなく、受け皿11内から農産物Aを簡単に取り出せる。
【0035】
上記の記載並びに図1〜図7に示すように、本願発明に係る受け皿11は、側周壁21と底壁22とを有して上向きに開口した受け皿本体12を備えており、前記受け皿本体12の内部側に、可撓性を有する弾性材製で逆直錐形状の受け座体14が取り付けられており、前記受け皿本体12の内部側と前記受け座体14の裏面側との間は、農産物Aを載せたときの押圧力による前記受け座体14の弾性変形を緩衝する空洞室44に構成されているから、農産物Aを載置された前記受け座体14が農産物Aの形態に倣って弾性変形して接触面を多く形成し、農産物Aを安定的に保持することになる。また、前記受け座体14は、農産物Aの重量に加えて搬送中の振動及び前記受け皿11同士の接触といった衝撃が加わると、前記受け座体14と前記空洞室44との相乗効果によって、前記受け座体14を適度に撓ませてその衝撃を吸収し、農産物Aに衝撃を付与することなく確実に保持できる。従って、種々の大きさ及び形状の農産物Aを前記受け皿11上で安定的に載置できるという効果を奏する。
【0036】
上記の記載並びに図1〜図7に示すように、前記受け皿本体12の内部側には、前記底壁22の中央部を基準に放射方向に延びる複数の補強リブ30が、平面視で前記空洞室44を仕切るように設けられており、前記受け座体14の裏面側と前記各補強リブ30の上面とは適宜間隔を開けて対峙しているから、農産物Aを載せて弾性変形した前記受け座体14が前記各補強リブ30に接触するおそれを確実に抑制できる。従って、前記受け皿本体12の剛性(強度)を向上させたものでありながら、前記受け座体14の安定保持及び衝撃吸収作用を維持できるという効果を奏する。
【0037】
上記の記載並びに図1〜図7に示すように、前記受け皿本体12の前記側周壁21には相対向する一対の切り欠き部24が形成されており、前記受け皿本体12の前記底壁22の中央部には上下に貫通する貫通穴23が形成されている一方、前記受け座体14の傾斜面部41には、前記受け皿本体12の前記各切り欠き部24に対応する凹み部42が形成されており、前記受け座体14の底頂部には、前記受け皿本体12の前記貫通穴23に連通する連通穴43が形成されているから、例えば透過光による糖度測定に際して、前記受け座体14の前記凹み部42(前記切り欠き部24)を、透過光の通過領域として利用できる。すなわち、農産物Aの大きさに影響されることなく、農産物Aへの広い測定光照射範囲及び受光範囲を確保して、透過光による高精度な糖度計測が可能になり、農産物Aの内部品質を的確に計測できるという効果を奏する。
【0038】
また、前記受け皿11上から農産物Aを取り出す際は、前記受け座体14の前記凹み部42(前記切り欠き部24)に指を入れて農産物Aを引き上げればよいから、農産物Aの大きさに影響されることなく、前記受け皿11内から農産物Aを簡単に取り出せるという利点もある。
【0039】
上記の記載並びに図1〜図7に示すように、前記受け皿本体12における前記底壁22の下面側には、側周壁31と底壁32とを有して上向きに開口した台座体13が、その上向き開口部を前記受け皿本体12の前記底壁22にて塞ぐようにして取り付けられており、前記台座体13における前記底壁32の中央部には、前記受け皿本体12の前記貫通穴23に連通して上下に貫通するボス穴34付きのボス部33が設けられており、前記台座体13の前記側周壁31、前記底壁32及び前記ボス部33と、前記受け皿本体12の前記底壁22とで囲まれた収容室36には、前記受け皿本体12及び前記台座体13のバランスをとるためのカウンタウェイト37が収容可能になっているから、前記カウンタウェイト37の存在により、農産物Aが裁置された前記受け皿11における搬送中の姿勢安定性を向上できるという効果を奏する。
【0040】
なお、上述の通り、前記受け皿本体12側の前記空洞室44と前記台座体13側の収容室36とは密閉状に構成されている。このため、例えば受け皿11の洗浄等に際して、水を直接受け皿11にかけたとしても、両室44,36内に水が浸入し難くなっている。換言すると、前記受け皿本体12と前記受け座体14との嵌合せ、及び前記受け皿本体12と前記台座体13との嵌合せは防水機能を発揮し得るものである。
【0041】
本願発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、様々な態様に具体化できる。また、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限られるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
11 受け皿
12 受け皿本体
13 台座体
14 受け座体
21 受け皿本体の側周壁
22 受け皿本体の底壁
23 貫通穴
24 切り欠き部
31 台座体の側周壁
32 台座体の底壁
33 ボス部
34 ボス穴
36 収容室
37 カウンタウェイト
41 傾斜面部
42 凹み部
43 連通穴
44 空洞室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側周壁と底壁とを有して上向きに開口した受け皿本体を備えており、前記受け皿本体の内部側に、可撓性を有する弾性材製で逆直錐形状の受け座体が取り付けられており、前記受け皿本体の内部側と前記受け座体の裏面側との間は、農産物を載せたときの押圧力による前記受け座体の弾性変形を緩衝する空洞室に構成されている、
受け皿。
【請求項2】
前記受け皿本体の内部側には、前記底壁の中央部を基準に放射方向に延びる複数の補強リブが、平面視で前記空洞室を仕切るように設けられており、前記受け座体の裏面側と前記各補強リブの上面とは適宜間隔を開けて対峙している、
請求項1に記載した受け皿。
【請求項3】
前記受け皿本体の前記側周壁には相対向する一対の切り欠き部が形成されており、前記受け皿本体の前記底壁の中央部には上下に貫通する貫通穴が形成されている一方、
前記受け座体の傾斜面部には、前記受け皿本体の前記各切り欠き部に対応する凹み部が形成されており、前記受け座体の底頂部には、前記受け皿本体の前記貫通穴に連通する連通穴が形成されている、
請求項1又は2に記載した受け皿。
【請求項4】
前記受け皿本体における前記底壁の下面側には、側周壁と底壁とを有して上向きに開口した台座体が、その上向き開口部を前記受け皿本体の前記底壁にて塞ぐようにして取り付けられており、
前記台座体における前記底壁の中央部には、前記受け皿本体の前記貫通穴に連通して上下に貫通するボス穴付きのボス部が設けられており、前記台座体の前記側周壁、前記底壁及び前記ボス部と、前記受け皿本体の前記底壁とで囲まれた収容室には、前記受け皿本体及び前記台座体のバランスをとるためのカウンタウェイトが収容可能になっている、
請求項1〜3のうちいずれかに記載した受け皿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−20008(P2011−20008A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164612(P2009−164612)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】