説明

受信された拡散スペクトラム信号を収集する方法

受信された拡散スペクトラム信号、特にGPS信号を収集する方法が、拡散スペクトラム信号受信器及びこのような受信器を組み込むセル式携帯電話と一緒に開示される。前記方法は、前記拡散スペクトラム信号の符号に対応する擬似乱数ノイズ符号を含むレプリカ信号を供給するステップと、間に他の時間期間が経過するそれぞれの時間期間中に最初に受信された前記拡散スペクトラム信号の2つのフラグメントを含む対象信号を供給するステップと、前記2つのフラグメントに関して前記対象信号に対する前記レプリカ信号のコヒーレント相関を取るステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信された拡散スペクトラム信号(spread spectrum signal)、特にGPS信号を対応する拡散スペクトラム信号受信器を用いて収集する方法と、セル式通信送受信器ユニットを有するセル式電話と、このような拡散スペクトラム信号受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、受信された拡散スペクトラム信号、特にGPS信号を対応する拡散スペクトラム信号受信器を用いて収集する方法と、セル式通信送受信器ユニットを有するセル式電話と、このような拡散スペクトラム信号受信器に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明により、このような方法、受信器及びセル式電話が与えられ、前記方法は、前記拡散スペクトラム信号の符号に対応する擬似乱数ノイズ符号を含むレプリカ信号を供給するステップと、間に他の時間期間が経過するそれぞれの時間期間中に最初に受信された前記拡散スペクトラム信号の2つのフラグメントを含む対象信号(subject signal)を供給するステップと、前記2つのフラグメントに関して前記対象信号に対する前記レプリカ信号のコヒーレント相関を取るステップとを有する。
【0004】
拡散スペクトラム受信器が信号不連続性に関してコヒーレント相関を取ることを可能にすることは、特に特定の信号収集が、例えば受信された信号強度、信号干渉性又はマルチパス歪のために本質的に難しい場合に、このような受信器が拡散スペクトラム信号をより良く収集することを可能にする。
【0005】
前記方法は、前記2つのフラグメントの受信の相対的なタイミングを測定するステップを更に有してもよく、この場合、一方が他方の直ちに後に続く形で前記2つのフラグメントを含む前記対象信号が供給されることができ、前記レプリカ信号には、前記2つのフラグメントが最初に受信されるそれぞれの時間期間の間に経過した前記他の時間期間に対応する不連続性を与えられることができる。
【0006】
代わりに、前記方法は、前記2つのフラグメント間に前記対象信号内にダミーデータ、例えばホワイトノイズを挿入するステップを更に有し、ここで挿入されるダミーデータの量は、前記2つのフラグメントが最初に受信されるそれぞれの時間期間の間に経過した前記他の時間期間に対応し、前記相関は前記ダミーデータを含む。
【0007】
このような方法を採用する拡散スペクトラムは、フラグメント化されていない状態で前記拡散スペクトラム信号を受信することができるが、前記受信器の性能制限により前記相関の前に起こる、この後のフラグメンテーションを意図的でなく経験する。特に、これは、バッファアンダーラン又はビジー状態のプロセッサが前記受信器に迅速にサービスできないことにより引き起こされうる。後者は、前記拡散スペクトラム信号受信器にサービスするのに通常使用されるプロセッサがセル式通信送受信器ユニットにサービスするのにビジーである場合にセル式通信送受信器ユニットと共にこのような拡散スペクトラム信号受信器を有するセル式電話に特に関連していてもよい。
【0008】
代わりに、このようなフラグメンテーションは、意図的であってもよく、前記受信器の一部を一時的に使用不可にすることにより引き起こされることができる。
【0009】
再び、セル式通信送受信器ユニットと共にこのような拡散スペクトラム信号受信器を有するセル式電話との関連において、前記拡散スペクトラム信号受信器の一部は、前記セル式通信送受信器ユニットの活動と一致する期間に意図的に使用不可にされることができる。
【0010】
本発明は、添付の概略的な図面を参照してセル式電話ネットワークで使用するGPS受信器を有するセル式携帯電話の実施例で一例としてのみここに説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
従来のセル式電話ネットワーク1の地理的配置が図1に概略的に示される。前記ネットワークは、複数の基地局BSを有し、このうちの7つ、BS1ないしBS7が示され、それぞれの相互に間隔をあけた地理的位置に位置している。これらの基地局のそれぞれは、いずれか1つのサイト又はサービスエリアにおいて中継システムコントローラにより動作される全ての無線送信器及び受信器を有する。これらの基地局のそれぞれのサービスエリアSA1ないしSA7は、示される全ての領域を集合的に覆うために、クロスハッチングで示されるように重複する。前記システムは、更に、それぞれの基地局BS1ないしBS7に対して、2方向通信リンクCL1ないしCL7をそれぞれ備えたシステムコントローラSCを有することができる。これらの通信リンクのそれぞれは、例えば専用固定電話線(dedicated land-line)であってもよい。システムコントローラSCは、更に、公衆交換電話ネットワーク(PSTN)に接続され、セル式携帯電話MS1と当該ネットワークに対する加入者との間で通信が行われることを可能にすることができる。複数のセル式携帯電話MSが与えられ、そのうちの3つ、MS1、MS2及びMS3が示され、それぞれが、領域全体にわたって、及び実際にはこの外側でも自由にローミングすることができる。
【0012】
図2を参照すると、通信アンテナ21に接続され、登録されている基地局BSと通信する通信マイクロプロセッサ(μp)22により制御される通信送信器(Tx)及び受信器(Rx)20を有する電話MS1がより詳細に示される。
【0013】
携帯電話の従来の構成要素に加えて、電話MS1は、GPSアンテナ24に接続されたGPS受信器(GPS Rx)23を更に有する。動作している場合に、前記GPS受信器は、NAVSTAR SPS GPS信号を受信し、典型的には、帯域外(out-of-band)RF干渉を最小化するためのパッシブ帯域通過フィルタリング、事前増幅(preamplification)、中間周波数(IF)へのダウンコンバージョン、アナログ・デジタル変換により前処理する。結果のデジタル化されたIF信号は変調されたままであり、依然として利用可能な衛星からの全ての情報を含み、通信マイクロプロセッサ(μp)22のメモリ(図示されない)にフィードされる。前記通信マイクロプロセッサは、擬似距離(pseudorange)情報を得る目的でGPS信号を収集及びトラッキングするように構成され、この擬似距離情報から、前記携帯電話の位置が従来のナビゲーションアルゴリズムを使用して決定されることができる。
【0014】
GPS信号収集、トラッキング及び位置決定のこのような方法は、例えば、GPS Principles and Applications (Editor, Kaplan) ISBN 0-89006-793-7 Artech Houseから周知である。また、電話MS1のタイプの電話の設計及び製造も周知であり、本発明に直接的に関係しない部分は、ここには更に詳しくは説明されない。
【0015】
本発明によると、着信GPS信号は、以下の例のシナリオで説明されるように収集される。
【0016】
例1
図2を参照すると、基地局BS1に対する携帯電話MS1登録の一部として、携帯電話MS1は、毎秒短い10msの期間だけ通信マイクロプロセッサ(μp)22を使用して基地局BS1との2方向通信に携わると仮定し、更に、前記ユーザは、位置を決定するためにGPS受信器を使用するように携帯電話MS1に指示したと仮定する。
【0017】
図3を参照すると、前記指示に対して、前記GPS受信器は、アンテナを介してGPS RF信号を連続的に受信し、この信号は前処理され、サンプリングされ、記憶される。フラグメント1及び3は、連続して前処理され、サンプリングされ、記憶されるが、しかしながら、フラグメント2が前処理され、サンプリングされ、記憶された時点で、前記GPSマイクロコントローラは、基地局BS1に対する前述の周期的な2方向通信に従事するのにビジー状態であった通信マイクロコントローラとインターフェース接続することができなかった。フラグメント2は失われる。これに対応するために、対象信号は、フラグメント1と、直ちに後に続くフラグメント3とからなる。
【0018】
従来のように、収集されることを意図されるGPS信号の符号に対応する擬似乱数ノイズ符号を含むレプリカ信号が生成される。この信号は、この場合、失われたフラグメント2の部分に対応する長さの部分を省略するように修正される。前記対象信号及び前記修正されたレプリカ信号は、この場合、目標GPS信号が収集されたか否かを決定する目的で相関を取られる。
【0019】
例2
フラグメント3がすぐ後に続くフラグメント1から前記対象信号を構成することを除いて例1のように、通常ならば失われたフラグメント2を記憶しているメモリの部分は、前記通信マイクロプロセッサにより生成されたホワイトノイズを詰められる(stuffed)。前記対象信号は、この場合、前記目標GPS信号が収集されたか否かを決定する目的で修正されたレプリカ信号との相関を取られることができる。ホワイトノイズを生成する代わりに、所定の擬似乱数符号又はその繰り返しの一部が、詰めるために使用されることができる。
【0020】
上述の例において、コヒーレント相関は、単一のフラグメンテーションに対して生じるのに対し、もちろん本発明の基礎をなす原理を使用して複数のフラグメンテーションに対して生じることができる。
【0021】
また、上述の例において、全てのGPS処理は、前記携帯電話のGPS受信器及び通信マイクロプロセッサにおいて行われる。しかしながら、前記GPS処理は等しく分配されることができ、例えば、前記携帯電話のGPS受信器により受信されたGPS RF信号は、記録され、後の処理のためにセル式電話ネットワークのシステムコントローラに送り返される。このようなイベントにおいて、記録されたGPS信号の不完全な中継は、本発明により扱われたようにフラグメンテーションを引き起こし得る。
【0022】
本開示を読むことにより、他の変更例が当業者に明らかであり、GPS受信器及び構成部品の設計、製造及び使用で既知であり且つ既にここに記載されたフィーチャの代わりに又は加えて使用されることができる他のフィーチャを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】セル式電話ネットワークの地理的配置を示す。
【図2】図1のセル式携帯電話MS1をより詳細に示す。
【図3】セル式携帯電話MS1における、本発明によるGPS信号収集の例を図示する。
【図4】セル式携帯電話MS1における、本発明によるGPS信号収集の例を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信された拡散スペクトラム信号を収集する方法において、
前記拡散スペクトラム信号の符号に対応する擬似乱数ノイズ符号を含むレプリカ信号を供給するステップと、
間に他の時間が経過するそれぞれの時間期間中に最初に受信される前記拡散スペクトラム信号の2つのフラグメントを含む対象信号を供給するステップと、
前記2つのフラグメントに関して前記対象信号に対する前記レプリカ信号のコヒーレント相関を取るステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記2つのフラグメントの受信の相対的なタイミングを測定するステップを更に有し、一方が他方のすぐ後に続く形で前記2つのフラグメントを含む前記対象信号が供給され、前記レプリカ信号が、前記2つのフラグメントが最初に受信された前記それぞれの時間期間の間に経過した前記他の時間期間に対応する不連続性を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象信号において前記2つのフラグメントの間にダミーデータを挿入するステップを更に有し、挿入されるダミーデータの量が、前記2つのフラグメントが最初に受信された前記それぞれの時間期間の間に経過した前記他の時間期間に対応し、前記相関が前記ダミーデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ダミーデータがホワイトノイズである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
拡散スペクトラム信号の符号に対応する擬似乱数ノイズ符号を含むレプリカ信号を供給し、
間に他の時間期間が経過するそれぞれの時間期間中に最初に受信された前記拡散スペクトラム信号の2つのフラグメントを含む対象信号を供給し、
前記2つのフラグメントに関して前記対象信号に対する前記レプリカ信号のコヒーレント相関を取る、
ことにより受信された拡散スペクトラム信号を収集するように構成された拡散スペクトラム信号受信器。
【請求項6】
前記2つのフラグメントの受信の相対的なタイミングが測定され、前記対象信号が、一方が他方のすぐ後に続く形で前記2つのフラグメントを含み、前記レプリカ信号が、前記2つのフラグメントが最初に受信される前記それぞれの時間期間の間に経過した前記他の時間期間に対応する不連続性を備える、請求項5に記載の受信器。
【請求項7】
前記対象信号が、前記2つのフラグメントが最初に受信される前記それぞれの時間期間の間に経過した前記他の時間期間に対応する前記2つのフラグメントの間に挿入されるダミーデータを含み、前記相関が前記ダミーデータを含む、請求項5に記載の受信器。
【請求項8】
前記ダミーデータがホワイトノイズである、請求項7に記載の受信器。
【請求項9】
前記拡散スペクトラム信号がフラグメント化されずに受信され、後のフラグメンテーションが意図的でなく、前記受信器の性能制限のために相関の前に発生する、請求項5に記載の受信器。
【請求項10】
前記フラグメンテーションがバッファアンダーランにより引き起こされる、請求項9に記載の受信器。
【請求項11】
前記フラグメンテーションが、ビジー状態のプロセッサが前記受信器に即座にサービスすることができないことにより引き起こされる、請求項9に記載の受信器。
【請求項12】
前記フラグメンテーションが意図的であり、前記受信器の一部を一時的に使用不可にすることにより引き起こされる、請求項5に記載の受信器。
【請求項13】
セル式通信送受信器と、請求項5に記載の拡散スペクトラム信号受信器とを有するセル式電話。
【請求項14】
前記拡散スペクトラム信号がフラグメント化されずに受信され、後のフラグメンテーションが意図的でなく、前記拡散スペクトラム受信器にサービスするのに通常使用されるプロセッサが前記セル式通信送受信器ユニットにサービスするのにビジー状態であるために相関の前に発生する、請求項13に記載の電話。
【請求項15】
前記フラグメンテーションが意図的であり、前記セル式通信送受信器ユニットの活動と一致する期間に前記拡散スペクトラム信号受信器の一部を一時的に使用不可にすることにより引き起こされる、請求項13に記載の電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−505519(P2007−505519A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525257(P2006−525257)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051693
【国際公開番号】WO2005/024453
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】