説明

受信システム

【課題】 設置場所の電界強度に応じて受信手段で第1及び第2の受信信号を共に良好に受信できるようにする。
【解決手段】 第1の送信電力で送信している第1送信局からの第1電波の到来方向を向いて八木形アンテナ2を配置し、第1の送信電力よりも小さい第2の送信電力で送信している第2送信局からの第2電波の到来方向を向いて八木形アンテナ4を配置している。八木形アンテナ2の放射器ボックス12に、八木形アンテナ2からの第1の受信信号を減衰または非減衰に調整する可変減衰器24と、八木形アンテナ4からの第2の受信信号が供給される入力端子14と、入力端子14からの第2の受信信号と可変減衰器24からの第1の受信信号を混合する混合器20と、混合器20の出力が供給される出力端子34と、出力端子34と入力端子14との間の直流開閉スイッチ38とが、設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信システムに関し、特に、送信電力の大きさが異なる少なくとも2つの送信局からの電波を受信する受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような受信システムとしては、例えば特許文献1に開示されているものがある。特許文献1の受信システムは、受信システムの設置場所によっては、その設置場所をサービスエリアとする第1の送信局からのUHF帯及びVHFのテレビジョン放送電波と、このサービスエリアとは異なる地域をサービスエリアとする第2の送信局からのUHF帯のテレビジョン放送電波(第1の送信局のUHF帯電波よりも高い周波数帯の電波である)とが受信可能な場合に、第1及び第2送信局からのテレビジョン放送電波を受信するためのものである。この受信システムでは、第1送信局からのテレビジョン放送電波の到来方向に向けて第1の送信局用の第1の八木形アンテナが設置されている。第2送信局からのテレビジョン放送電波の到来方向に向けて第2の送信局用の第2の八木形アンテナが設置されている。第1の八木形アンテナの放射器が設けられている給電部の入力端子に同軸ケーブルを介して第2の八木形アンテナの受信信号が入力されている。前記給電部内において、第2の八木形アンテナの受信信号がハイパスフィルタを介して混合回路に供給されると共に、第1の八木形アンテナの受信信号がローパスフィルタを介して混合回路に供給されている。この混合回路の出力が給電部に設けた出力端子に供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−130117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の受信システムによれば、第1及び第2の送信局からの電波をそれぞれ受信することができる。しかし、第1及び第2の送信局からの電波が共に到来する場所であっても、第1及び第2の八木形アンテナの電界強度は様々である。例えば、或る場所に特許文献1の受信システムを設置した場合、第1の八木形アンテナの受信信号のレベルが大きく、第1の八木形アンテナの受信信号をそのままテレビジョン受像機に供給すると飽和して、良好に第1の送信局からのテレビジョン放送を受信できない上に、第2の八木形アンテナの受信レベルは小さく、第2の八木形アンテナの受信信号をそのままテレビジョン受像機に供給しても、良好にテレビジョン放送を受信できないことがある。別の設置場所では、第1の八木形アンテナの受信信号をそのままテレビジョン受像機に供給して、良好に第1の送信局からのテレビジョン放送を受信できるが、第2の八木形アンテナの受信信号をそのままテレビジョン受像機に供給しても、受信レベルが小さく、第2の送信局からのテレビジョン放送を良好に受信できないこともある。
【0005】
本発明は、これらのような場合に対応し、いずれの電波も良好に受信することができる受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の受信システムは、第1及び第2の指向性アンテナを有している。第1の指向性アンテナは、第1の送信電力で送信している第1送信局からの第1電波の到来方向を向いて配置されており、給電ボックスを備えるものである。第2の指向性アンテナは、第1の送信電力よりも小さい第2の送信電力で送信している第2送信局からの第2電波の到来方向を向いて配置されたものである。第1及び第2の指向性アンテナとしては、例えば八木形アンテナを使用することができる。第1の指向性アンテナの給電ボックスには、前記放射器から得た第1の指向性アンテナの受信信号である第1の受信信号を減衰状態または非減衰状態に調整する可変減衰手段が設けられている。減衰状態において、減衰量を変化させることもできる。給電ボックスには、第2の指向性アンテナの受信信号である第2の受信信号が伝送線路を介して供給される入力端子も、設けられている。前記入力端子からの第2の受信信号と、前記可変減衰手段からの第1の受信信号とを混合する混合手段も、給電ボックスに設けられ、さらに、この混合手段の出力が供給される出力端子も給電ボックスに設けられている。給電ボックス内において、前記出力端子と前記入力端子との間に開閉可能な直流電流経路が設けられている。
【0007】
本発明によれば、減衰手段を減衰状態または非減衰状態とすることによって、第1の受信信号を減衰させた状態または減衰させていない状態とすることができ、電流経路を開閉することによって、第2の受信信号を増幅する増幅手段を第2の指向性アンテナと給電ボックスとの間に設置して使用したり、不使用としたりすることができる。従って、この受信システムの設置場所における第1及び第2の電波の電界強度に対応して、出力端子に接続される受信手段において良好に第1及び第2の受信信号を受信することができる。
【0008】
例えば、前記可変減衰手段を前記減衰状態とし、前記直流電流経路を開放することができる。この場合、第1の受信信号が減衰され、第2の受信信号はそのままの受信レベルで混合手段において混合されて出力される。従って、この受信システムの設置場所において、第1の受信信号のレベルが大きすぎて、第1の受信信号をそのままのレベルで受信手段に出力端子から供給すると、受信手段で信号レベルの飽和が発生するが、第2の受信信号のレベルがそのまま受信手段に供給しても良好に受信できるような受信地点で、第1及び第2の受信信号を良好に受信することができる。なお、第1の受信信号をそのまま受信手段に供給して、良好に受信できる場合には、可変減衰手段を非減衰状態とする。
【0009】
或いは、前記可変減衰手段を前記減衰状態又は非減衰状態とし、前記直流電流経路を開放し、前記出力端子に第1及び第2の受信信号増幅用の増幅手段を設けることもできる。このように構成すると、例えば複数の受信手段に第1及び第2の受信信号を供給するために、分配手段を使用した場合に、各受信手段に供給される第1及び第2の受信信号のレベルが低下するが、第1及び第2の受信信号増幅用の増幅手段の使用によって、第1及び第2の受信信号の信号レベルの低下を補償することができる。
【0010】
或いは、前記可変減衰手段を前記減衰状態又は非減衰状態とし、前記伝送線路中に、第2の受信信号増幅用の増幅手段を設けることもできる。この場合、この増幅手段は、前記伝送線路に重畳される直流電流によって動作するように構成されている。更に、前記直流電流経路が閉成され、前記出力端子に前記第2の受信信号用の増幅手段の直流電源部を設ける。この場合、第2の受信信号が増幅手段によって増幅されるので、第2の受信信号をそのまま受信手段に供給しても、良好に第2の受信信号を受信できないような受信地点での使用に適している。なお、第1の受信信号の受信レベルが大きい場合には、可変減衰手段は減衰状態とされ、第1の受信信号の受信レベルが適切な場合には、可変減衰手段は、非減衰状態とされる。
【0011】
上記のように構成した上に、前記直流電源部と前記出力端子との間に、第1及び第2の受信信号増幅用の増幅手段を設けることもできる。この場合、前記直流電源部は、前記第1及び第2の受信信号増幅用の増幅手段及び第2の受信信号増幅用の増幅手段に直流電流を供給する。このように構成すると、例えば複数の受信手段に第1及び第2の受信信号を供給するために、分配手段を使用した場合に、各受信手段に供給される第1及び第2の受信信号のレベルが低下するが、第1及び第2の受信信号増幅用の増幅手段の使用によって、第1及び第2の受信信号の信号レベルの低下を補償することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、受信システムの設置場所での第1及び第2の電波の電界強度に応じて、受信手段で良好に第1及び第2の受信信号を受信できるように、適切に処置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1実施形態の受信システムの斜視図である。
【図2】図1の受信システムで使用する第1の指向性アンテナの放射器ボックスのブロック図である。
【図3】図1の受信システムの第1の使用状態のブロック図である。
【図4】図1の受信システムの第2の使用状態のブロック図である。
【図5】図1の受信システムの第3の使用状態のブロック図である。
【図6】図1の受信システムの第4の使用状態のブロック図である。
【図7】図1の受信システムの様々な受信地点A乃至Dへの設置状態を示す図である。
【図8】図7の各受信地点A乃至Dでの第1及び第2の受信レベルを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態の受信システムは、比較的送信電力が大きい第1の送信局からの電波、例えばUHF帯のデジタルテレビジョン放送電波と、第1の送信局とは異なる位置に設置され、第1の送信局よりも送信電力が小さい第2の送信局からの電波、例えばUHF帯のデジタルテレビジョン放送電波とを、共に受信できる場所に設置されている。なお、第1の送信局からのUHF帯のデジタルテレビジョン放送電波と、第2の送信局からのUHF帯のデジタルテレビジョン放送電波とは、周波数が異なり、この実施形態では、第2の送信局からのUHF帯のデジタルテレビジョン放送電波の周波数が高い。
【0015】
この受信システムは、図1に示すように、第1の指向性アンテナ、例えば八木形アンテナ2と、第2の指向性アンテナ、例えば八木形アンテナ4とを、有している。八木形アンテナ2、4は共に、後述する放射器ボックスの構成が異なる以外、導波器、放射器及び反射器は同一のもので、第1及び第2の送信局からの電波を受信可能なものである。八木形アンテナ2は、第1の送信局から電波が到来する方向を向いてマスト6に取り付けられている。八木形アンテナ4は、第2の送信局から電波が到来する方向(第1の送信局から電波が到来する方向と異なる方向)を向いて、マスト6に、八木形アンテナ2と離れて、この実施形態では八木形アンテナ2の上方に配置されている。
【0016】
八木形アンテナ4が第2の送信局からの電波を受信することによってその放射器において発生した第2の受信信号は、その放射器が設けられている給電ボックス、例えば放射器ボックス8から伝送線路、例えば同軸ケーブル10を介して八木形アンテナ2の給電ボックス、例えば放射器ボックス12に供給されている。
【0017】
放射器ボックス12は、図2に示すように、同軸ケーブル10が接続される入力端子14を有している。この入力端子14は、直流阻止コンデンサ16を、抽出手段、例えばハイパスフィルタ18を介して混合手段、例えば混合器20に接続されている。ハイパスフィルタ18は、第2の受信信号を通過させるように通過帯域が選択されている。直流阻止コンデンサ16、ハイパスフィルタ18及び混合器20は、放射器ボックス12内に設けられている。
【0018】
この放射器ボックス12の外側には、八木形アンテナ2の放射器が取り付けられている。その放射器は、インピーダンス整合のため放射器ボックス12内に設けたバラン22に接続されている。このバラン22の出力は、第1の送信局からの電波の八木形アンテナ2での受信によって発生した第1の受信信号である。
【0019】
この第1の受信信号は、放射器ボックス12内に設けた可変減衰手段、例えば可変減衰器24に供給されている。この可変減衰器24は、例えば−10dBの減衰量の固定減衰器26と、切換手段、例えば切換スイッチ28とを有している。切換スイッチ28は、バラン22の出力をそのまま出力する非減衰状態と、バラン22の出力を減衰器26によって減衰させて出力する減衰状態とのいずれかに切り換えられるように、減衰器26及びバラン22に接続されている。
【0020】
この可変減衰器24の出力が、放射器ボックス12内に設けた抽出手段、例えばローパスフィルタ30を介して混合器20に供給されている。ローパスフィルタ30は、第1の受信信号を通過させるように通過帯域が選択されている。混合器20の出力、即ち第1及び第2の受信信号の混合信号は、直流阻止コンデンサ32を介して出力端子34に供給されている。出力端子34は、放射器ボックス12に設けられている。
【0021】
放射器ボックス12内において、入力端子14と出力端子34との間には、直流電流経路、例えば高周波阻止コイル36、直流開閉スイッチ38及び高周波阻止コイル40の直列回路が接続されている。出力端子34に直流電流が供給されたとき、直流開閉スイッチ38を閉じることによって、入力端子14に直流電流を供給することができる。この直流電流は、例えば八木形アンテナ4と放射器ボックスル12との間の同軸ケーブル10に、第2の受信信号増幅用の増幅手段、例えばブースターを介在させる場合に、このブースターを動作させるために使用する。
【0022】
図7は、この受信システムの様々な設置位置を示したもので、図7において符号50で示すのが、第1の送信局の設置位置、符号52で示すのが、第1の送信局のサービスエリア、符号54で示すのが、そのサービスエリア52中の強電界エリアである。符号56で示すのが、第2の送信局の設置位置で、符号58で示すのが、第2の送信局のサービスエリア、符号60で示すのが、サービスエリア58中の強電界エリアである。
【0023】
図3は、この受信システムを、図7の受信地点AまたはBに設置した場合の使用状態である第1の使用状態を示すものである。受信地点AまたはBでは、この受信システムは、第2の送信局のサービスエリア58内の比較的第2の送信局に近い位置に設置されているので、第2の送信局からの電波を受信している八木形アンテナ4の第2の受信信号を、受信手段、例えば出力端子34に接続されているテレビジョン受信機42にそのまま供給しても、テレビジョン受信機42において、第2の送信局のテレビジョン放送を良好に受信することができる。従って、同軸ケーブル10中に第2の受信信号増幅用のブースターを設置することはなく、直流開閉スイッチ38は、開放(OFF)状態である。
【0024】
受信地点Aは、第1の送信局のサービスエリア52中に存在するが、強電界エリア54ではない比較的第1の送信局に近い位置に存在するので、第1の送信局からの電波を受信している八木形アンテナ2の第1の受信信号を、テレビジョン受信機42にそのまま供給しても、受信機42において第1の送信局のテレビジョン放送を良好に受信することができ、可変減衰器24は非減衰状態に切り換えられる。従って、図8(A)に示すように、第1及び第2の受信信号の受信レベルは、ほぼ揃っている。
【0025】
八木形アンテナ2は、上述したようにコスト低減のために放射器ボックス12以外八木形アンテナ4と同一構成のものを使用している。八木形アンテナ4は、送信電力が小さい第2の送信局からの電波を第2の送信局から比較的離れた場所でも受信できるようにするため、比較的アンテナ利得が大きくなるように構成されている。受信地点Bでは、この八木形アンテナ4と同一構成である八木形アンテナ2が、第1の送信局の強電界エリア54に設置されているので、第1の送信局からの電波を受信した場合、第1の受信信号の受信レベルが大きくなりすぎ、そのままテレビジョン受信機42に供給すると、テレビジョン受信機42において過飽和入力となり、良好にテレビジョン放送を受信することができなくなる可能性がある。そこで、可変減衰器24を減衰状態として、テレビジョン受信機42に供給される第1の受信信号のレベルを低下させている。これによって、図8(B)に示すように、第1及び第2の受信信号の受信レベルは、ほぼ揃っている。
【0026】
なお、図3では、直流阻止コンデンサ16、ハイパスフィルタ18、バラン22、ローパスフィルタ30、直流阻止コンデンサ32、高周波阻止コイル36、40は省略している。以下に示す図4乃至図6においても、これらを同様に省略してある。
【0027】
図4は、図3の場合と同様に受信地点AまたはBに受信システムを設置した場合であって、分配器44によって第1及び第2の受信信号を複数のテレビジョン受信機42に分配する第2の使用状態を示したものである。この使用状態では、分配器44での分配損失を補償するために、出力端子34と分配器44との間に、第1及び第2の受信信号を増幅するブースター46を設置してある。なお、図4では、テレビジョン受信機42を2台としたので、分配器44として2分配器を示したが、使用されるテレビジョン受信機42の台数に応じて分配器の分配数は変更される。また、出力端子34からの受信レベルを伝送線路を介して小規模集合住宅等の共同受信システムの共同受信用ブースターに接続するような場合にも使用できる。その場合、分配器44は設けられない。
【0028】
図5は、この受信システムを、第2の送信局のサービスエリア58中であるが、第2の送信局から比較的離れており、第2の送信局からの電波の電界強度が小さい受信地点CまたはDに設置した第3の使用状態を示すものである。受信地点CまたはDでは、八木形アンテナ4で受信した第2の受信信号をそのままテレビジョン受信機42に供給しても、良好に第2の送信局からのテレビジョン放送を受信できない。そこで、図1に示す同軸ケーブル10中に第2の受信信号増幅用の増幅手段、例えばブースター48を設置し、マスト6に固定する。このブースター48で第2の受信信号が増幅された後、混合器20で第1の受信信号と混合されて、テレビジョン受信機42に供給される。
【0029】
但し、ブースター48はマスト6に取り付けられているので、その動作用の電流を供給する必要がある。そこで、出力端子34にブースター48用の直流電源部50を接続し、これから出力端子34に直流電流を供給する。この直流電流をブースター48に供給するために、直流開閉スイッチ38を閉成(ON)し、入力端子14から同軸ケーブル10を介してブースター48に供給する。ブースター48は、同軸ケーブル10から電流の供給を受けられるように構成されている。なお、直流電源部50は、出力端子34からの第1及び第2の受信信号をテレビジョン受信機42に供給できるように構成されている。
【0030】
もし、混合器20、可変減衰器24を、八木形アンテナ4の放射器ボックス内に設けた場合、ブースター48を使用することが不可能になる。ブースター48の使用を可能にするために、八木形アンテナ2の放射器ボックス12に混合器20、可変減衰器24を設け、さらに直流開閉スイッチ38を設けている。
【0031】
受信地点Cでは、第1の送信局のサービスエリア52内であって、第1の送信局に比較的に近いが強電界エリア54内ではないので、八木形アンテナ2で受信された第1の受信信号のレベルが、そのままテレビジョン受信機42に供給されて、第1の送信局からのテレビジョン放送を良好にテレビジョン受信機42で受信できる。そこで、可変減衰器24は、非減衰状態に切り換えられる。これによって、図8(C)に示すように、第1及び第2の受信信号のレベルは、ほぼ揃っている。
【0032】
また、受信地点Dは、第1の送信局のサービスエリア52内であって、第1の送信局の強電界エリア54内であるので、八木形アンテナ2で受信された第1の受信信号のレベルが、そのままテレビジョン受信機42に供給されると、受信レベルが大きすぎて、第1の送信局からのテレビジョン放送を良好にテレビジョン受信機42で受信できない。そこで、可変減衰器24を減衰状態として、テレビジョン受信機42に供給される第1の受信信号のレベルを低下させている。これによって、図8(D)に示すように、第1及び第2の受信信号のレベルは、ほぼ揃っている。
【0033】
図6は、図5の場合と同様に受信地点CまたはDに受信システムを設置した場合であって、分配器44によって第1及び第2の受信信号を複数のテレビジョン受信機42に分配する第4の使用状態を示している。この使用状態では、分配器44での分配損失を補償するために、出力端子34と分配器44との間に、第1及び第2の受信信号を増幅するブースター52を設置してある。この場合、ブースター52、48には、直流電源部50aから動作電流が供給される。直流電源部50aは、ブースター52と分配器44との間に設けられている。分配器44の分配数の変更や小規模集合住宅の共同受信システムの共同受信用ブースターで使用可能であるのは、図4の場合と同様である。
【0034】
上記の実施形態では、第1及び第2の指向性アンテナとして、八木形アンテナを使用したが、これに限ったものではなく、他の指向性アンテナを使用することもできる。但し、第1の指向性アンテナは、給電ボックスを備えている必要がある。上記の実施形態では、第1の送信局からの電波の周波数が第2の送信局の電波よりも低い周波数であるので、可変減衰器24の後段にローパスフィルタ30を設け、直流阻止コンデンサ16の後段にハイパスフィルタ18を設けたが、第1の送信局からの電波の周波数が第2の送信局の電波よりも高い周波数の場合には、可変減衰器24の後段にハイパスフィルタ18を設け、直流阻止コンデンサ16の後段にローパスフィルタ30を設ければよい。上記の実施形態では、可変減衰器24は、非減衰状態と10dB減衰させる減衰状態の2段階に切り換えるものを示したが、これに限らず、減衰状態を多段階、例えば10dB減衰させる第1の減衰状態と、20dB減衰させる第2の減衰状態のように複数の減衰状態を持つものとすることもできる。上記の実施形態では、送信電力が小さい1つの第2の送信局からの電波を受信する場合について説明したが、送信電力が小さい複数の第2の送信局からの電波を受信する場合もある。その場合、各第2の送信局からの電波受信用の複数のアンテナの受信信号を混合器で合成し、放射器ボックス12の入力端子14に供給すればよい。
【符号の説明】
【0035】
2 八木形アンテナ(第1の指向性アンテナ)
4 八木形アンテナ(第2の指向性アンテナ)
12 放射器ボックス(給電ボックス)
14 入力端子
24 可変減衰器(可変減衰手段)
34 出力端子
38 直流開閉スイッチ(直流電流経路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送信電力で送信している第1送信局からの第1電波の到来方向を向いて配置され、給電ボックスを備える第1の指向性アンテナと、
第1の送信電力よりも小さい第2の送信電力で送信している第2送信局からの第2電波の到来方向を向いて配置された第2の指向性アンテナとを、
具備し、前記給電ボックスは、
第1の指向性アンテナの受信信号である第1の受信信号を減衰状態または非減衰状態に調整する可変減衰手段と、
第2の指向性アンテナの受信信号である第2の受信信号が伝送線路を介して供給される入力端子と、
前記入力端子からの第2の受信信号と、前記可変減衰手段からの第1の受信信号とを混合する混合手段と、
この混合手段の出力が供給される出力端子と、
この出力端子と前記入力端子との間に設けられ、開閉可能な直流電流経路とを、
具備する受信システム。
【請求項2】
請求項1記載の受信システムにおいて、前記可変減衰手段を前記減衰状態とし、前記直流電流経路を開放した受信システム。
【請求項3】
請求項1記載の受信システムにおいて、前記可変減衰手段を前記減衰状態又は非減衰状態とし、前記直流電流経路を開放し、前記出力端子に第1及び第2の受信信号増幅用の増幅手段を設けた受信システム。
【請求項4】
請求項1記載の受信システムにおいて、前記可変減衰手段を前記減衰状態又は非減衰状態とし、前記伝送線路中に、第2の受信信号増幅用の増幅手段を設け、この増幅手段は、前記伝送線路に重畳される直流電流によって動作するように構成され、前記直流電流経路を閉成し、前記出力端子に前記第2の受信信号用の増幅手段の直流電源部を設けた受信システム。
【請求項5】
請求項4記載の受信システムにおいて、前記直流電源部と前記出力端子との間に、第1及び第2の受信信号増幅用の増幅手段が設けられ、前記直流電源部は、前記第1及び第2の受信信号増幅用の増幅手段及び第2の受信信号増幅用の増幅手段に直流電流を供給する受信システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−160876(P2012−160876A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18631(P2011−18631)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】