説明

受信機用ラック及び受信機監視システム

【課題】本発明は、監視装置と受信機用ラックの通信に用いられる受信機用ラックの通信アドレスの確認と、配置変更時等における通信アドレスの変更を容易に行うことができる受信機用ラック及び受信機監視システムを提供することを目的とする。
【解決手段】受信機用ラック2に接続された状態で搭載されている受信機3の操作により、その受信機3から通信アドレスの読み取り信号が送信され、受信機用ラック2はその信号に基づき、受信機用ラック2と監視装置1との通信に用いられる受信機用ラック2の通信アドレスを、格納されている受信機用ラック2の記憶手段から読み出し、その受信機3の表示部8に表示する受信機用ラック及び受信機監視システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスマイクロホン等の送信機に対する受信機を格納するために用いられる受信機用ラック、及びそれを用いた受信機監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ局などの無線システムは、多数の送信機例えばワイヤレスマイクロホンやインターカムを用いており、それとともに受信機が使用されている。受信機と通信ができる送信機は、台数に制限があるので、送信機が多くなれば、受信機は複数台使用されることになる。複数台の受信機が使用される場合は、監視装置によって管理及び運用状態の監視を行う必要がある。
【0003】
そこで、各受信機には、監視装置と通信を行うため、有線で監視装置と接続され、監視を行っていることが知られている(特許文献1)。
【0004】
また、受信機に直接監視装置との通信手段が無い場合には、受信機用ラックに通信手段を設け、受信機用ラックに受信機を何台か格納し、受信機用ラックを通して格納されている受信機の監視を行っている。
【0005】
このような場合、受信機用ラックには、監視装置と通信を行うための通信ポートがあり、1つの通信アドレスが設定されている。通信は主にTCP/IPの通信プロトコルが用いられ、IPアドレスが設定されている。IPアドレスの設定は、監視装置から行われる。
【0006】
また、受信機が多くなる場合、受信機用ラックが、複数設けられており、それぞれに異なる通信アドレスが付与され、複数の受信機を少なくとも1台の監視装置により管理及び運用状態の監視を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−318845
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、送信機の配置変更により使用形態が変わり、無線システムの変更を行う時がある。その場合、受信機および受信機用ラックの配置を変更することがある。
受信機用ラックには、それぞれにIPアドレスが付与されているが、設定されているIPアドレスを表示する手段がなく、単体で変更する手段も備えていない。したがって、受信機用ラックの配置が変更された場合、IPアドレスを別途覚えておかないと設定さているIPアドレスが分からなくなり、監視装置と受信機用ラックとは通信ができなくなってしまうという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、監視装置と受信機用ラックの通信に用いられる受信機用ラックの通信アドレスの確認と、配置変更時等における通信アドレスの変更を容易に行うことができる受信機用ラック及び受信機監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、外部機器と通信を行う第1の通信手段と、前記第1の通信手段の通信アドレスを格納する記憶手段と、搭載されている少なくとも1台の受信機と通信を行う第2の通信手段と、前記第1の通信手段及び第2の通信手段を介して、外部機器や受信機からの情報を受け付け、前記情報の演算や加工を実行して所定の制御情報を出力する制御手段と、を備え、前記制御手段は、該受信機が前記第2の通信手段と接続された状態で、該受信機における操作により該受信機から送信された信号に基づき、前記記憶手段に格納された前記通信アドレスを読み出し、前記通信アドレスを該受信機に設けられた表示手段に表示させるために該受信機に送信することを特徴とする受信機用ラックである。
【0011】
また、本発明は、少なくとも1台の受信機と、前記受信機の状態を監視する外部機器と、前記受信機を搭載することができる受信機用ラックと、を有し、前記受信機用ラックは、前記外部機器と通信を行う第1の通信手段と、前記第1の通信手段の通信アドレスを格納する記憶手段と、前記受信機と通信を行う第2の通信手段と、前記第1の通信手段及び第2の通信手段を介して、外部機器や受信機からの情報を受け付け、前記情報の演算や加工を実行して所定の制御情報を出力する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記受信機が前記第2の通信手段と通信可能な状態で、該受信機における操作より該受信機から送信された信号に基づき、前記記憶手段に格納された前記通信アドレスを読み出し、該受信機に前記通信アドレスを送信するものであり、前記受信機は、読み出された前記通信アドレスを該受信機が有する表示手段に表示をすることを特徴とする受信機監視システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受信機用ラックに格納されている受信機の表示手段を用いて通信アドレスを表示することとしたため、容易に受信機用ラックの通信アドレスの確認が行え、配置変更時等における通信アドレスの変更を行うことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る受信機監視システム構成図
【図2】本発明の実施の形態に係る受信機を受信機用ラックに搭載した状態の図
【図3】本発明の実施の形態に係る受信機用ラックのブロック構成図
【図4】本発明の実施の形態に係る受信機監視システムの動作フローチャート図
【図5】本発明の実施の形態に係る受信機の表示部の状態遷移図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態(以下、本実施形態という。)に係る受信機用ラック及び受信機監視システムについて、図を用いて以下に説明をする。
【0015】
(1)受信機監視システムの構成
(1−1)受信機監視システムの全体構成
まず、図1は、本実施形態の受信機用ラック2を用いた受信機監視システムを示した図ある。
受信機監視システムには、受信機3の監視を行う監視装置1と複数台の受信機用ラック2(2−1、2−2、・・・)とが、HUB5を介してLANケーブル4で接続されている。受信機用ラック2には、受信機3(3−1−1、3−1−2、3−1−3、3−1−4)が複数台設置されている。図1に示すように、受信機用ラック2−1には、受信機3−1−1、受信機3−1−2、受信機3−1−3、受信機3−1−4の4台が搭載されており、受信機用ラック2−2には、同様に受信機3−2−1、受信機3−2−2、受信機3−2−3、受信機3−2−4の4台が搭載されている。各受信機3には、それぞれ対応する送信機6が使用される。なお、図1では、簡略化のため、送信機6を1台のみ例示しているが、実際は、各受信機3に1台または、それ以上の送信機6からの信号を受信できるようになっている。
【0016】
ここで、上述のとおり、監視装置1と受信機用ラック2とはLANケーブル4で物理的に接続(下位レイヤ層での接続)されている。この場合、図に示すように、HUB5を介して接続しても、介さず接続してもどちらでもよい。この状態で、監視装置1から受信機用ラック2に設定されているIPアドレスに対してソフト的な接続(上位レイヤ層での接続)が行われる。これにより、監視装置1と受信機用ラック2との通信が行えるようになり、例えば、受信機用ラック2に異常があればアラームとして監視装置1に表示がされるようになる。このようにして、受信機用ラック2は、監視装置1から監視が行える状態になる。
【0017】
(1−2)受信機用ラックの外部構成
図2は、受信機用ラック2を正面から見た詳細図である。受信機ラック2には、図2の左から順に示すように、1ch(1チャンネル)の受信機3−1−1から4ch(4チャンネル)の受信機3−1−4まで搭載されている。すなわち、受信機3は、各チャンネルに一台ずつ設けられている。また、図2の右端に示すように、受信機用ラック2は、電源スイッチ7を備え、この電源スイッチ7により受信機用ラック2の電源のオン/オフを行えるようになっている。
【0018】
受信機3は、表示部8と、SETボタン9とを備える。表示部8は、各チャンネルの受信状態を表示するための表示手段である。また、SETボタン9は、受信機3の保守作業を行えるような状態にする保守モードと、受信機3の通常の運転を行えるような状態にする運用モードの切換を行うボタンである。
【0019】
(1−3)受信機用ラックの内部構成
続いて、複数の受信機3を搭載した受信機用ラック2の内部構成について、図3を参照して説明する。図3は、受信機用ラック2の機能ブロック図である。
受信機用ラック2は、監視通信部10、音声通信部11、電源部12を備えている。
【0020】
監視通信部10は、少なくともLANデバイス13、メモリ14、CPU15、シリアル通信デバイス16が配置されている。
【0021】
音声通信部11は、受信機3と音声通信デバイス18−1を介して接続されている。送信機6、例えばワイヤレスマイクロホンは、入力された音声を送信し、該音声は、受信機用ラック2内にある受信機3で受信し、音声通信デバイス18−1、18−2を介して、受信機用ラック2の外にある音声調整装置等(図示せず)へ音声を出力する。
【0022】
電源部12には、電源ユニット17が配置されている。また、電源部12には、図2において電源スイッチ7として説明した電源スイッチ7が設けられている。電源スイッチ7をONすると、受信機用ラック2の電源が投入され、OFFすると電源が切れる。
【0023】
続いて、監視通信部10の詳細な構成について説明する。
監視通信部10のLANデバイス13は、監視装置1と受信機用ラック2をLANで接続するための受信機用ラック2側のデバイスであり、第1の通信手段である。
【0024】
メモリ14は、上記LANデバイス13により通信を行うために受信機用ラック2のIPアドレスを記録する記憶手段である。
【0025】
CPU15は、受信機3からIPアドレスの読み取り信号を受信し、メモリ14に格納したIPアドレスを取り出し、このIPアドレスを受信機3に送信する制御手段である。
【0026】
シリアル通信デバイス16は、受信機用ラック2と受信機3との通信を行うための受信機用ラック2側のデバイスであり、第2の通信手段である。受信機用ラック2と受信機3とは、シリアル通信デバイス16を用いて、シリアル通信により接続されている。
【0027】
(1−4)受信機用ラックにおけるIPアドレスの変更
上述のように、受信機用ラック2は、監視装置1から監視が行える状態で、受信機用ラック2に対して、監視装置1上からIPアドレスの書き換え制御を行う。具体的には、監視装置1のIPアドレスを書き換えるソフトウェア上からIPアドレスを書き換えたい受信機用ラック2に対し、IPアドレスの書き換え制御を行うと、その受信機用ラック2のCPU15は、受信機用ラック2のメモリ14に格納されているIPアドレスの書き換え制御を行う。受信機用ラック2は、書き換えが完了すれば、書き換えられたIPアドレスで動作がされる。
【0028】
(2)受信機監視システムの作用
以上のような構成に基づいて実行される、本実施形態の受信機監視システムの作用について、以下に説明する。
図4は、通信アドレスを記憶手段から取得し、受信機3へ送信する時のフローチャートを表している。同図に示すように、まず、電源スイッチ7をONにする(S101)。電源スイッチ7をONにしたときにSETボタン9がOFFされている場合(通常時の立ち上げ、S102の「OFF))、運用モード(S103)になる。
【0029】
電源スイッチ7をONにしたときに、SETボタン9がONされている場合(S102の「ON」)、保守モード(S104)に移行する。保守モードに移行したことを受信機3の制御手段で認識した受信機3は、受信機用ラック2のCPU15にIPアドレスの取得信号を受信機3から送信する。この信号を受信したCPU15は、メモリ14に格納されているIPアドレスを取得し、該受信機3に通知し、該受信機3の表示部8にIPアドレスを表示する(S105)。
図5は、保守モードに移行してからIPアドレスを表示する表示部8の遷移を表している。図5の左側は、保守モードに移行し、IPアドレスの取得中の状態を表している。また、図5の右側は、取得されたIPアドレスを表示している状態を表している。
【0030】
保守モードから通常のモードに移行するには、電源をOFFし(S106)、SETボタン9もOFFにした後、再度電源スイッチ7をONにすればよい(S103)。
受信機用ラック2のIPアドレスは、出荷時に設定されているので、初期運用時は、IPアドレスを改めて設定する必要がなく、受信機用ラック2を使用できる。また、IPアドレスが分かっているので、変更も監視装置1と受信機用ラック2を接続し、容易に変更することは可能である。
【0031】
(3)受信機監視システムの効果
以上のような本実施形態の受信機監視システムによれば、無線システムの変更により受信機用ラック2のIPアドレスが分からなくなってしまった場合、上述のとおりIPアドレスを確認し、監視装置1から確認をしたIPアドレスに対して通信を行い、IPアドレスの変更を行うことができる。その後、受信機用ラック2の電源スイッチ7及びSETボタン9をOFFにし、電源スイッチ7をONにし、再度立ち上げを行えば、変更されたIPアドレスで運用の開始ができる、受信機3も送信機6から音声信号の受信が可能となる。
【0032】
(4)他の実施形態
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、例えば以下のような実施の態様も包含するものである。
上記実施形態では受信機3からの操作を電源スイッチ7のON/OFFとSETボタン9とで行う例を示したが、単に通信アドレスの読み出しボタンを設けることもできる。その場合は、電源スイッチ7のON/OFFを行う必要がないので、IPアドレスの読み出す処理は、受信機用ラック2に格納されている他の受信機3には、影響を与えないため、受信機毎に行うことができる。したがって、他の受信機3が送信機6から音声信号を受信中であっても、IPアドレスを確認することができるので、受信中の受信機3や受信機用ラック2全体を止める必要がなくなり受信システムを使用し続けることができる。
【0033】
メモリは、LANデバイスの外にあるように例を示したが、LANデバイスが持っている機能(メモリ)を流用しても良い。
監視装置1と受信機用ラック2との通信方法をLANで接続する例を示したが、これに限定はされない。有線、無線を問わず、通信が可能であればよい。
監視装置1について例を示したが、受信用ラック2のIPアドレスを管理する外部機器であればよい。
【符号の説明】
【0034】
1・・・監視装置、2・・・受信機用ラック、3・・・受信機、4・・・LANケーブル、5・・・HUB、6・・・送信機、7・・・電源スイッチ、8・・・表示部、9・・・SETボタン、10・・・監視通信部、11・・・音声通信部、12・・・電源部、13・・・LANデバイス、14・・・メモリ、15・・・CPU、16・・・シリアル通信デバイス、17・・・電源ユニット、18−1、18−2・・・音声通信デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器と通信を行う第1の通信手段と、
前記第1の通信手段の通信アドレスを格納する記憶手段と、
搭載されている少なくとも1台の受信機と通信を行う第2の通信手段と、
前記第1の通信手段及び第2の通信手段を介して、外部機器や受信機からの情報を受け付け、前記情報の演算や加工を実行して所定の制御情報を出力する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
該受信機が前記第2の通信手段と接続された状態で、該受信機における操作により該受信機から送信された信号に基づき、前記記憶手段に格納された前記通信アドレスを読み出し、前記通信アドレスを該受信機に設けられた表示手段に表示させるために該受信機に送信することを特徴とする受信機用ラック。
【請求項2】
少なくとも1台の受信機と、
前記受信機の状態を監視する外部機器と、
前記受信機を搭載することができる受信機用ラックと、を有し、
前記受信機用ラックは、前記外部機器と通信を行う第1の通信手段と、
前記第1の通信手段の通信アドレスを格納する記憶手段と、
前記受信機と通信を行う第2の通信手段と、
前記第1の通信手段及び第2の通信手段を介して、外部機器や受信機からの情報を受け付け、前記情報の演算や加工を実行して所定の制御情報を出力する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記受信機が前記第2の通信手段と通信可能な状態で、該受信機における操作より該受信機から送信された信号に基づき、前記記憶手段に格納された前記通信アドレスを読み出し、該受信機に前記通信アドレスを送信するものであり、
前記受信機は、読み出された前記通信アドレスを該受信機が有する表示手段に表示をすることを特徴とする受信機監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−66081(P2013−66081A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203943(P2011−203943)
【出願日】平成23年9月19日(2011.9.19)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】