受信装置、受信方法、およびプログラム
【課題】選局にかかる時間を短くする。
【解決手段】複数の信号が配置されている広帯域の信号が受信される。その広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報が、広帯域の信号から取得される。取得された制御情報は、記憶される。制御情報が記憶された後の時点で、広帯域の信号から、所定の信号が抽出されるとき、記憶されている制御情報が読み出され、その読み出された制御情報に基づき、所定の信号を広帯域の信号から抽出される。本技術は、DVB-C2規格における信号を受信する受信装置に適用できる。
【解決手段】複数の信号が配置されている広帯域の信号が受信される。その広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報が、広帯域の信号から取得される。取得された制御情報は、記憶される。制御情報が記憶された後の時点で、広帯域の信号から、所定の信号が抽出されるとき、記憶されている制御情報が読み出され、その読み出された制御情報に基づき、所定の信号を広帯域の信号から抽出される。本技術は、DVB-C2規格における信号を受信する受信装置に適用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、受信装置、受信方法、およびプログラムに関する。詳しくは、広帯域の信号から、指示されたチャネルを選局する際の動作を早く行えるようにする受信装置、受信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送システムのデジタル化技術の進展が目覚ましい。日本や欧州の地上波テレビジョン放送システムでは、変調方式として、マルチパス妨害の影響を受けにくいOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式(直交周波数分割多重方式)と呼ばれる変調方式が用いられている。
【0003】
欧州のケーブル放送の放送システムにおいてもOFDM方式が採用されている。第2世代欧州ケーブルデジタル放送規格であるDVB-C2では、他通信との干渉を防ぐために、ノッチ(Notch)と称される特定の周波数帯域ではデータを伝送せず、送信電力をゼロにして信号を伝送することが規格化されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Digital Video Broadcasting (DVB);Frame structure channel coding and modulation for a second generation digital transmission system for cable systems (DVB-C2) ,DVB Document A138
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、DVB-C2では、他通信との干渉を防ぐために、ノッチを設けることで、各チャネルの間にガードバンドを設ける必要をなくし、ノッチに挟まれた比較的狭い帯域をもデータの伝送に使うことができるため、周波数帯域の有効利用が可能になっている。周波数の有効利用を行えることで、チャネル数を従来の場合より多くすることができるが、チャネル数が多くなることで、選局時の処理に時間がかかるようなことがないようにすることが望まれている。
【0006】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、選局時の処理にかかる時間を短くすることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一側面の受信装置は、複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部とを備える。
【0008】
前記広帯域の信号は、DVB-C2規格における信号であり、前記制御情報は、前記所定の信号を抽出するときの周波数に関する情報であるようにすることができる。
【0009】
前記抽出部により前記所定の信号が抽出できなかった場合、前記広帯域の信号から、制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記所定の信号の抽出を行うようにすることができる。
【0010】
前記所定の信号内に、無信号の帯域が含まれる場合、前記広帯域の信号を送信する側で設定した周波数で、前記広帯域の信号から制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記抽出部は、前記所定の信号を抽出するようにすることができる。
【0011】
本技術の一側面の受信方法は、複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶部に記憶し、前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出するステップを含む。
【0012】
本技術の一側面のプログラムは、コンピュータに、複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部として機能させるためのプログラムである。
【0013】
本技術の一側面においては、複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報が取得されたとき、記憶される。そして、所定の信号を抽出するとき、その記憶されている制御情報が用いられて、所定の信号が広帯域の信号から抽出される。
【発明の効果】
【0014】
本技術の一側面によれば、選局時の処理にかかる時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】受信装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】DVB-C2信号の例を示す図である。
【図3】C2 Frameの構成を示す図である。
【図4】狭帯域ノッチが存在する場合のC2 Frameの構成を示す図である。
【図5】広帯域ノッチが存在する場合のC2 Frameの構成を示す図である。
【図6】L1情報に含まれるパラメータを示す図である。
【図7】番組データの出力処理について説明するためのフローチャートである。
【図8】選局処理について説明するためのフローチャートである。
【図9】選局処理1について説明するためのフローチャートである。
【図10】選局処理2について説明するためのフローチャートである。
【図11】テーブルについて説明するための図である。
【図12】中心周波数について説明するための図である。
【図13】記録媒体について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
[受信装置の構成例]
図1は、受信装置の一実施の形態の構成例を示している。図1の受信装置1は、図示せぬ放送局の送信装置から送信されてくるOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)信号の放送波を受信するOFDM受信装置である。アンテナ11は、送信されてくるOFDM信号の放送波(RF信号)を受信し、その放送波をチューナ12に出力する。チューナ12は、演算部12aと局部発振器12bから構成される。
【0018】
演算部12aは、アンテナ11からのRF信号と、局部発振器12bからの信号を乗算することによってRF信号をIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、IF信号をAGC(Automatic Gain Control)部13に出力する。局部発振器12bは、所定の周波数の正弦波の信号を発振し、演算部12aに出力する。AGC部13は、供給されたIF信号に対して、信号レベルが一定になるようにゲイン制御を行う。AGC部13は、ゲイン制御後のIF信号をA/D変換部14に出力する。
【0019】
A/D変換部14は、AGC部13からのIF信号をA/D変換し、デジタルのIF信号を直交復調部15に出力する。直交復調部15は、所定の周波数のキャリアを用いて、A/D変換部14からのIF信号を直交復調し、ベースバンドのOFDM信号をOFDM復調部16に出力する。直交復調部15から出力されるベースバンドのOFDM信号を、以下では、OFDM時間領域信号という。OFDM時間領域信号は、直交復調された結果、実軸成分(I成分)と虚軸成分(Q成分)を含んだ複素信号となっている。
【0020】
OFDM復調部16は、同期部31、FFT(Fast Fourier Transform)演算部32、およびOFDM等化部33により構成される。同期部31は、OFDM方式による信号伝送の単位であるOFDMシンボルの同期をとる。即ち、同期部31は、FFT演算部32においてFFTを行う信号区間であるFFT区間の開始位置を決定する。同期部31は、FFT前のOFDM時間領域信号に基づいてFFT区間の開始位置を決定することができるが、OFDM等化部33において等化処理が行われた後は、伝送路の歪みを補正して得られた等化信号に基づいてFFT区間の開始位置を決定することができる。この場合、OFDM等化部33から、伝送路の歪みを補正して得られた等化信号に基づいて決定された同期制御信号が供給される。
【0021】
FFT演算部32は、直交復調部15からのOFDM時間領域信号に対し、同期部31で決定されたFFT区間の開始位置から、有効シンボル長の区間をFFT区間に設定する。そして、FFT演算部32は、OFDM時間領域信号からFFT区間の信号を抽出し、抽出した信号に対してFFT演算を行う。FFT演算部32によるFFT演算により、サブキャリアで送信されてきたデータ、すなわち、IQ平面上の伝送シンボルを表すOFDM信号が得られる。OFDM時間領域信号に対するFFT演算により得られるOFDM信号は周波数領域の信号であり、以下、FFT演算が行われた後のOFDM信号を、適宜、OFDM周波数領域信号という。
【0022】
OFDM等化部33は、FFT演算が行われた後のOFDM周波数領域信号に対し、受信信号の振幅および位相が送信されたものと等しくなるようにする等化処理を行い、その結果得られる等化信号を出力する。各サブキャリアに対する変調方式としてQAM(quadrature amplitude modulation)系の変調方式を用いるOFDM方式においては、伝送時にマルチパス等の影響を受けることにより、キャリア毎に、振幅および位相が送信時のものと受信時のものとで異なるものになってしまう。例えば、山や建物による反射、SFN(Single Frequency Network)によってマルチパスの影響が生じる。
【0023】
OFDM方式では、送信信号に、所定の振幅および所定の位相を有する既知信号がパイロット信号として伝送シンボル内に離散的に挿入されている。受信側では、パイロット信号の振幅および位相に基づいて伝送路の周波数特性を求め、受信信号が等化される。
【0024】
誤り訂正部17は、OFDM等化部33から供給された等化信号に対してデインタリーブ処理を施し、さらに、デンパンクチャ、ビタビ復号、拡散信号除去、RS復号などの処理を施す。誤り訂正部17は、各種の処理を施すことによって得られた復号データ(トランスポートストリーム)を後段の外部出力部や出力バッファ等に出力する。また、誤り訂正部17は、デインタリーブ処理、誤り訂正処理等の処理後の復号データのうち、伝送制御情報としての各種の伝送パラメータを、制御部18の伝送パラメータ解釈部19に出力する。
【0025】
制御部18は、受信装置1内の各部を制御する。例えば、制御部18は、図示せぬ操作部で設定された受信チャネルに応じて、受信周波数を設定する。即ち、受信周波数に対応して所定の周波数が局部発振器12bから出力されるように、局部発振器12bの発振周波数が設定される。
【0026】
また、制御部18は、伝送パラメータ解釈部19を有し、伝送パラメータ解釈部19は、誤り訂正部17から供給される伝送パラメータを解釈し、受信装置1を構成する各部に、必要な情報を適宜供給する。例えば、伝送パラメータ解釈部19は、伝送パラメータの一つとして、受信装置1が受信可能な周波数帯域のなかで、無信号の帯域を示す帯域情報、所定のチャネルを読み出すときの周波数といった情報を取得する。これらの情報は、必要に応じ、記憶部20に供給され、記憶される。記憶部20に記憶された情報は、チューニングの際などに用いられる。
【0027】
以上のように構成される受信装置1は、所定のチャネル、例えば、ユーザにより指示されたチャネルを選局する際にかかる時間を短くすることができる。ここでは、そのような選局に係わる処理について、第2世代欧州ケーブルデジタル放送規格であるDVB-C2を例に受信装置1の受信処理について説明する。
【0028】
[DVB-C2の信号]
初めに、DVB-C2の信号(以下、DVB-C2信号とも称する)について説明する。図2は、DVB-C2信号の例を示す図である。図2の横軸は周波数を表す。DVB-C2の1つの信号はC2 Systemと呼ばれ、Preamble SymbolとData Symbolから構成される。規格上、1つのC2 Systemは最大3.5GHz程度の帯域幅を有する信号となる。
【0029】
Preamble Symbolは、伝送制御情報であるL1情報(L1 signaling part 2 data)の伝送に用いられるシンボルである。信号を伝送しない周波数帯域についての情報は、このL1情報の一部として送信される。Preamble Symbolを用いて、3408キャリア周期(OFDMの3408のサブキャリア周期)で同じ情報が繰り返し送信される。3408キャリアは7.61MHzの周波数帯域に相当する。
【0030】
Data Symbolは番組データなどのTS(Transport Stream)の伝送に用いられるシンボルである。Data SymbolはData Sliceと呼ばれるブロックに分割される。例えばData Slice 1(DS1)とData Slice 2(DS2)とではそれぞれ異なる番組のデータが伝送される。Data Sliceの数などの、各Data Sliceに関するパラメータもL1情報に含まれる。
【0031】
図2において黒で塗りつぶして示される周波数帯域は、FM放送、警察用の無線放送、軍事用の無線放送などに用いられる周波数帯域であり、C2 Systemの送信には用いられない帯域である。即ち、黒で塗りつぶして示される周波数帯域は、C2 Systemでは、送信装置が出力する送信信号のうちの無信号の帯域であり、ノッチ帯域と呼ばれている。
【0032】
ノッチ帯域には、帯域幅が48サブキャリア未満の狭帯域ノッチ(Narrowband Notch)と、47サブキャリアより大きい(48サブキャリア以上の)広帯域ノッチ(Broadband Notch)とがある。ノッチ(Notch)の数や各ノッチ帯域の帯域幅などのノッチ帯域の情報が、伝送パラメータとして、伝送制御情報であるL1情報に含まれている。
【0033】
[C2 Frameの構成]
図3は、C2 Frameの構成を示す図である。C2 Frameは、少なくとも1つのPreamble Symbolと、複数のData Symbolとから構成される。図3の横軸は周波数を表し、縦軸は時間(シンボル)を表す。Preamble Symbolは、時間方向に見たときに1乃至8シンボルの間、3408サブキャリア周期で繰り返し送信される。
【0034】
図3において同じ数字を付して示すPreamble Symbolのブロックは同じL1情報の送信に用いられているPreamble Symbolを表す。また、Preamble Symbolに続けて、時間方向に見たときに448シンボルの間、Data Symbolが送信される。図3の例においては、Data Slice 0乃至3のデータがそれぞれ448のData Symbolを用いて送信されている。
【0035】
[狭帯域ノッチ]
図4は、狭帯域ノッチが存在する場合のC2 Frameの構成を示している。狭帯域ノッチの帯域幅は48サブキャリア未満であり、狭帯域ノッチは、3408サブキャリアに1つと規定されている。Data Symbolのノッチ帯域にはデータは含まれず、ノッチ帯域のPreamble SymbolのL1情報は、誤り訂正処理によって取得(復元)できる。
【0036】
[広帯域ノッチ]
図5は、広帯域ノッチが存在する場合のC2 Frameの構成を示している。広帯域ノッチの帯域幅は47サブキャリアより大であり、広帯域ノッチは、2つのData Sliceの間に配置される。また、広帯域ノッチは、3408サブキャリア以上の間隔をあけて配置される。従って、ノッチ帯域には、Preamble SymbolのL1情報、および、Data Symbolのデータは含まれていない。
【0037】
このように、DVB-C2においては、各チャネルの間にガードバンドを設ける必要がなく、また、Notchに挟まれた比較的狭い帯域をもデータの伝送に使うことができるため、周波数帯域の有効利用が可能になっている。受信装置1は、最大で3408サブキャリア分の7.61MHzの帯域幅の受信周波数帯を設定してその範囲内の信号を受信し、L1情報を復号した後、復号したL1情報に基づいて番組データを復号する。
【0038】
[L1情報について]
この復号されたL1情報について説明する。図6は、L1情報に含まれるパラメータを示す図である。主なパラメータについて説明する。3行目のSTART_FREQUENCYは、C2 Systemの開始位置となる周波数を表す。開始位置は0Hzを起点して絶対周波数により表される。4行目のC2_BANDWIDTHは、C2 Systemの帯域幅を表す。
【0039】
5行目のGUARD_INTERVALは、各シンボルに含まれるガードインターバルのサイズを表す。6行目のC2_FRAME_LENGTHは、C2 Frameに含まれるData Symbolの数を表す。図6の例の場合、C2_FRAME_LENGTHには448を表す値が設定される。
【0040】
8行目のNUM_DSLICEは、C2 Frameに含まれるData Sliceの数を表す。9行目のNUM_NOTCHは、C2 Frameに含まれるNotchの数を表す。10行目から45行目までの各パラメータがData Slice毎に記述される。
【0041】
11行目のDSLICE_IDは、C2 SystemにおけるData SliceのIDを表す。12行目のDSLICE_TUNE_POSは、START_FREQUENCYにより表される周波数を基準として、Data Sliceを受信するためのチューニングポイントとなる位置(中心周波数)を表す。15行目のDSLICE_TI_DEPTHは、時間インタリーブのDepthを表す。
【0042】
21行目のDSLICE_LEFT_NOTCHは、Data Sliceの左側にNotchがあるか否かを表す。22行目のDSLICE_NUM_PLPは、Data Sliceに含まれるPLPの数を表す。23行目から43行目までの各パラメータがPLP毎に記述される。
【0043】
46行目から50行目までの各パラメータがNotch毎に記述される。47行目のNOTCH_STARTは、START_FREQUENCYにより表される周波数を基準としてNotchの位置を表す。48行目のNOTCH_WIDTHは、Notchの帯域幅を表す。
【0044】
なお、DVB-C2の詳細については「Digital Video Broadcasting (DVB); Frame structure channel coding and modulation for a second generation digital transmission system for cable systems (DVB-C2)」(DVB Document A138)に記載されている。
【0045】
[受信装置の動作について]
次に、図1に示した受信装置1の動作について説明する。受信装置1は、受信された放送波を処理し、ユーザが所望とする番組データを復調し、ユーザに提供する処理を行う。ユーザが所望の番組を選局すると、その選局に基づき、受信装置1における処理が行われ、選局先の番組がユーザに提供される。この選局時に行われる処理については、後述するとし、先に、受信装置1の各部において実行される基本的な処理について図7のフローチャートを参照し、説明する。
【0046】
ステップS11において、制御部18は、図示せぬ操作部で設定された受信チャネルに応じて、受信周波数を設定する。これにより、受信チャネルに応じた中心周波数と受信帯域が設定される。後述するように、本実施の形態においては、選局されたチャネルのデータを読み出すための中心周波数に設定されるが、その中心周波数でL1情報が取得できなかった場合など、送信側で設定した中心周波数で、L1情報の取得が行われる。このステップS11は、L1情報を取得するための周波数に設定するための処理である。
【0047】
ステップS12において、チューナ12は、アンテナ11で受信されたRF信号を、IF信号に周波数変換して出力する。チューナ12から出力されたIF信号は、を介して、AGC部13に供給される。ステップS13において、AGC部13は、供給されたIF信号に対してAGCを行う。即ち、AGC部13は、IF信号の信号レベルが一定になるようにゲイン制御して、制御後のIF信号をA/D変換部14に出力する。ステップS14において、A/D変換部14は、AGC部13からのIF信号をA/D変換し、デジタルのIF信号を直交復調部15に出力する。
【0048】
ステップS15において、直交復調部15は、所定の周波数のキャリアを用いて、A/D変換部14からのIF信号を直交復調し、OFDM時間領域信号をOFDM復調部16に出力する。ステップS16において、OFDM復調部16の同期部31は、OFDMシンボルの同期をとる。即ち、同期部31は、FFT演算部32においてFFT演算を行う信号区間であるFFT区間の開始位置を決定する。決定されたFFT区間の開始位置の情報は、後段のFFT演算部32に供給される。
【0049】
ステップS17において、FFT演算部32は、OFDM時間領域信号に対し、FFT演算を行う。より具体的には、FFT演算部32は、同期部31で決定されたFFT区間の開始位置に基づいてFFT区間を設定し、OFDM時間領域信号からFFT区間の信号を抽出する。そして、FFT演算部32は、抽出したOFDM時間領域信号に対してFFT演算を行う。ステップS18において、OFDM等化部33は、FFT演算が行われた後のOFDM周波数領域信号に対し、受信信号の振幅および位相が送信されたものと等しくなるようにする等化処理を行う。
【0050】
ステップS19において、誤り訂正部17は、OFDM等化部33から供給された等化信号に対してデインタリーブ処理を施し、さらに、デンパンクチャ、ビタビ復号、拡散信号除去、RS復号などの処理を施す。そして、誤り訂正部17は、各種の処理を施すことによって得られた復号データから、伝送制御情報であるL1情報を抽出し、制御部18の伝送パラメータ解釈部19に供給する。抽出されたL1情報は、伝送パラメータ解釈部19に供給され、解釈(解析)される。
【0051】
L1情報が解析されることで、データスライスの位置(中心周波数)や、ノッチの位置などが取得され、それらの情報に基づき、番組データの復調が行われる。L1情報が取得されたときに設定されていた中心周波数の受信帯域から、L1情報に含まれていた情報に基づき、指示された番組に対応するData Sliceの中心周波数に再設定され、ステップS20以降の処理が行われる。
【0052】
なお、中心周波数の再設定は、後述するように、本実施の形態においては、省略される場合があり、省略されることで、選局にかかる時間を短縮している。また、中心周波数の再設定が行われない場合、換言すれば、L1情報が取得された時点で設定されている中心周波数が継続して用いられる場合、ステップS20以降の処理は、省略(処理時間の短縮)されるため、さらに選局にかかる時間を短縮することが可能とされている。
【0053】
ステップS20において、チューナ12は、アンテナ11で受信されたRF信号を、IF信号に周波数変換して出力する。ステップS21において、AGC部13は、IF信号に対してAGCを行う。このとき、中心周波数が継続して用いられている場合には、既にAGCは安定しているため、AGCの安定待ちを行わなくて良く、処理時間を短くできる。中心周波数が再設定された場合には、AGCの安定待ちの時間が必要となる場合もある。ステップS22において、A/D変換部14は、AGC部13からのIF信号をA/D変換し、デジタルのIF信号を直交復調部15に出力する。
【0054】
ステップS23において、直交復調部15は、所定の周波数のキャリアを用いて、A/D変換部14からのIF信号を直交復調し、OFDM時間領域信号をOFDM復調部16に出力する。ステップS24において、OFDM復調部16の同期部31は、OFDMシンボルの同期をとる。この同期も、中心周波数が継続して用いられている場合には、既に同期されているため、同期にかかる時間をなくすことができる。以下の処理においても、中心周波数が継続して用いられている場合には、その処理時間は短くなる。
【0055】
ステップS25において、FFT演算部32は、FFT区間のOFDM時間領域信号に対してFFT演算を行う。ステップS26において、OFDM等化部33は、FFT演算が行われた後のOFDM周波数領域信号に対し、等化処理を行う。
【0056】
ステップS27において、誤り訂正部17は、OFDM等化部33から供給された等化信号に対してデインタリーブ処理を施し、さらに、デンパンクチャ、ビタビ復号、拡散信号除去、RS復号などの処理を施す。そして、誤り訂正部17は、各種の処理を施すことによって得られた、受信チャネルに対応する番組データとしてのトランスポートストリームを後段の外部出力部や出力バッファ等に出力して、処理を終了する。
【0057】
このように、L1情報が復号された後、復号されたL1情報に基づいて番組データが復号される。この復号される番組データは、電源がオンにされた時点で、デフォルトとして設定されているチャネルで放送されている番組や、ユーザの指示により選局されたチャネルで放送されている番組のデータである。次に、選局にかかる処理について説明する。なお、以下の説明においても、上記したような処理が受信装置1内の各部で行われるが、その説明については重複するので適宜省略する。
【0058】
[選局時の処理について]
図7に示したフローチャートを再度参照するに、ステップS11乃至S19の処理において、L1情報を取得するための処理が実行され、ステップS20乃至S27において、取得されたL1情報に基づき、番組データが復調するための処理が実行される。このような処理の流れにおいては、L1情報を取得するために受信周波数が設定され、L1情報が取得された後に、番組データを受信するための受信周波数が設定される。すなわち、2回の周波数の設定(チューニング)が行われる。
【0059】
ユーザにより所定のチャネルが指示され、そのチャンネルを選局するための処理も、基本的にL1情報を取得し、そのL1情報に基づき、ユーザにより指示されたチャネルの中心周波数に設定し、受信が開始されるため、2回の周波数の設定が行われる。しかしながら、そのような2回の周波数の設定を、選局のたびに行うのは、選局の処理にかかる時間を冗長させることになる。そこで、以下のように選局の処理が行われることで、選局の処理にかかる時間を短くする。
【0060】
図8乃至10は、選局時に行われる処理について説明するためのフローチャートである。ステップS101において、選局が指示されると、処理が開始される。受信装置1の電源がオンにされたときや、ユーザにより設定されているチャネルから、他のチャネルに切り換えが指示されたときなどをトリガーとし、選局が指示されたと判断され処理が開始される。
【0061】
ステップS102において、選局先のData Sliceは、Dependent DSであるか否かが判断される。Dependent DSとは、例えば、図5に示したように、広帯域ノッチ(Broadband Notch)が存在する場合におけるData Sliceのことである。このノッチ帯域には、上述したように、Preamble SymbolのL1情報、および、Data Symbolのデータは含まれていない。仮に、指定されたData Sliceを復号するために、そのData Sliceに移動したとしても、ノッチが存在するために、L1情報を取得できない可能性がある。よって、まず、選局先のData Sliceには、ノッチが存在するDependent Data Sliceであるか否かが判断される。
【0062】
なお、この判断は、L1情報が取得された時点で、ノッチがどの位置に存在するかはわかるため、ノッチが存在するData Sliceにはフラグが立てられ、その情報は、記憶部20に記憶されている。すなわち、伝送パラメータ解釈部19によりL1情報が解釈されたとき、その情報の一部、または全てが、記憶部20に記憶される。この記憶されるタイミングとしては、例えば、受信装置1に初めて通電されたときに行われるチャネルスキャン時に、取得されたL1情報が記憶される。また後述するように、この記憶されている情報は変更される可能性があるため、適宜更新される。
【0063】
ここでは、記憶部20は、図11に示すようなテーブルを管理しているとして説明を続ける。図11に示したテーブル101では、Data Sliceを識別するためのID、そのData Sliceを読み出すときに合わせられる中心周波数、およびDependent Data Slice(DDS)であるか否かを表すフラグが関連付けられて記憶されている。図11において、テーブル101のっDDSの欄に、○が付けられているところは、フラグが立っていることを示すとする。例えば、IDが“0”のData Sliceの中心周波数は、“f0”であり、DDSのフラグは立っていないことが読み取れる。また、例えば、IDが“1”のData Sliceの中心周波数は、“f1”であり、DDSのフラグが立っていることが読み取れる。
【0064】
このような情報は、L1情報から取得でき、例えば、図6を再度参照するに、Data SliceのIDは、11行目に記載のある“DSLICE ID”から読み取れ、中心周波数は、12行目に記載のある“DSLICE TUNE POS”から読み取れ、DDSであるか否かのフラグは、21行目に記載がある“DSLICE_LEFT_NOTCH”や、47行目と48行目に記載がある“NOTCH START”と“NOTCH WIDTH”の情報から判断できる。
【0065】
なお、ここではテーブルとして説明を続けるが、テーブル以外の方法でL1情報から取得された情報を管理するように構成することも可能である。また、図11に示したID、中心周波数、DDSのフラグといった情報以外にも、L1情報から取得された情報が管理されるようにすることも可能である。
【0066】
図8のフローチャートの説明に戻り、ステップS102において、図11に示したようなテーブル101が参照され、選局先として指定されているData Sliceは、Dependent Data Sliceであるか否かが判断される。ステップS102において、選局先として指定されているData Sliceは、Dependent Data Sliceであると判断された場合、ステップS104に処理が進められ、選局先として指定されているData Sliceは、Dependent Data Sliceではないと判断された場合、ステップS103に処理が進められる。
【0067】
ステップS103において、選局処理1が実行される。この場合、選局先として指定されているData Sliceは、Dependent Data Sliceではないので、ノッチなどの影響を受けずに、L1情報が読み取れるData Sliceが選局先のData Sliceとされているときである。
【0068】
図9は、ステップS103において実行される選局処理1の詳細な処理を説明するためのフローチャートである。ステップS131において、記憶部20に記憶されているテーブル101が参照され、指定されたData Sliceを読み出すときに用いられる中心周波数にチューナ12の周波数が設定される。ステップS132において、設定された中心周波数を中心とし、例えば、7.61MHzの帯域幅の受信帯域を設定してその範囲内の信号を受信し、処理する。ここで、図12を参照し、受信帯域について説明を加える。
【0069】
図12は、図2に示したDVB-C2のC2 Systemの一部を拡大したものである。図12において、受信帯域は、PLP2を含むData Slice上に設定されており、中心周波数を中心とする7.61MHzの帯域幅で設定されている。この受信帯域は、例えば、PLP4を含むData Sliceが選局先に設定されている場合には、そのData Sliceに移動される。このようにして設定された受信帯域内の信号が受信され、処理される。
【0070】
ステップS131(図9)においては、選局先として設定されたチャネルのData Sliceの中心周波数が、テーブル101から読み出され、その読み出された中心周波数に、チューナ12が設定され、その中心周波数における帯域幅で設定される受信帯域内の信号が受信され、その受信された信号にプリアンブル信号が含まれているか否かが、ステップS132において判断される。
【0071】
ステップS132において、受信された信号にプリアンブル信号が含まれていると判断された場合、ステップS133に処理が進められる。ステップS133において、L1情報が読み取られ、解析される。そして、ステップS134において、指定されたサービスがあるか否かが判断される。サービスとは、この場合、ユーザにより指定された番組(チャネル)のことであり、L1情報に、指定されたサービスの情報があるか否かが(Data Sliceがあるか否かが)判断される。ステップS134において、指定されたサービスはあると判断された場合、ステップS135に処理が進められる。
【0072】
ステップS135において、中心周波数に変更はないか否かが判断される。この判断は、この時点で設定されている中心周波数と、L1情報から読み取られた中心周波数と一致しているか否かを判断することで行われる。ステップS135において、中心周波数に変更があったと判断された場合、ステップS136に処理が進められる。ステップS136において、中心周波数が再設定される。すなわち、L1情報から読み出された情報に基づき、中心周波数(受信帯域)が設定される。
【0073】
中心周波数が再設定されることにより、チューナ12における周波数の再設定だけでなく、AGCの安定待ち、フレーム同期、周波数同期、サンプリング同期など、チューナ12以降の処理においても再設定が行われる。そして、ステップS137において、設定された中心周波数で、番組データのデコードが開始される。番組データのデコードが開始されることで、選局にかかる処理は終了される。
【0074】
一方、ステップS135において、中心周波数に変更はないと判断された場合、ステップS136の処理がスキップされ、ステップS137に処理が進められる。ステップS137において、デコードが開始される。この場合、設定されている中心周波数で変更がないために、再度中心周波数を設定するというステップS136の処理が省略される。よって、再度中心周波数を設定し直し、AGCの安定待ちや、同期などを再度行う必要がないために、選局にかかる処理時間を短くすることができる。
【0075】
すなわち、ステップS131において、記憶されている中心周波数に設定されるが、この中心周波数に変更がなければ、ステップS132において、プリアンブル信号(L1情報)がある帯域に、受信帯域が設定されるため、プリアンブル信号が取得され、L1情報が読み取られる。また、ステップS134においても、指定されたサービス(Data Slice)はあると判断され、ステップS135においても、中心周波数に変更はないと判断されるため、ステップS137に処理が来る。このように、記憶されている中心周波数を読み出すだけで、選局が行われるので、選局にかかる時間が短くなる。
【0076】
DVB-C2は、例えば、図2を参照して説明したように、DS1、DS2といった複数の信号が配置されているC2 Systemという広帯域の信号である。このような広帯域の信号から、所望の信号を抽出するときに必要とされる制御情報、例えば中心周波数に関する情報は、プリアンブル信号であるL1情報に含まれている。本実施の形態においては、一度取得された制御情報は、記憶部20に記憶される。
【0077】
そして、ユーザの指示になどにより、所定の信号(所定のチャネルのData Slice)の抽出が必要とされたとき、その抽出対処とされた所定の信号を抽出するための制御情報が、記憶部20から読み出される。そして、その読み出された制御情報に基づき、所定の信号が抽出される。よって、上記したように、選局にかかる時間を短くすることが可能となる。
【0078】
一方、ステップS132において、プリアンブルがないと判断された場合、またはステップS134において、指定されたサービスはないと判断された場合、ステップS104(図8)に処理が進められる。この場合、記憶されていた中心周波数(制御情報)に基づき、所定の信号が広帯域の信号から抽出しようとしたが、抽出できなかった場合である。このような場合には、ステップS104において、選局処理2が実行される。選局処理2は、再度、広帯域の信号から制御情報をあらためて取得し、その取得された制御情報に基づいて、所定の信号の抽出が再度試みられる処理である。この選局処理2について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0079】
ステップS161において、指定されている周波数に設定される。上記した選局処理1において、記憶されている中心周波数では、指示されたチャネルでの番組データのデコードを開始できなかったため、その中心周波数とは異なり、送信側でL1情報を取得できる周波数であるとして指定している周波数に、設定が行われる。ここで、再度図12を参照する。
【0080】
図12において、System Tuning Frequencyは、送信側が設定した周波数である。DVB-C2 Implementation Guidelines ETSITS 102 991 V1.1.2 10.1.2によると、選局時には、まず、このSystem Tuning Frequencyに合わして、受信を行い、L1情報を読み出し、その読み出されたL1情報に基づき、所望とされたチャネル(Data Slice)に移動することで、選局が行われると規定されている。すなわち、System Tuning Frequencyを設定した後、再度所望の中心周波数に設定し直される。換言すれば、直接所望とされるチャネルの中心周波数に設定されるのではなく、一度、System Tuning Frequencyに設定され、そのことにより得られた情報に基づき、所望とされるチャネルの中心周波数に設定される。
【0081】
このようなことが、選局のたびに行われていると、必ず少なくとも2度の周波数の設定が行われるため、そのために選局にかかる処理時間が長くなってしまう。しかしながら、上記したように、選局処理1においては、System Tuning Frequencyに設定されることなく、記憶されている中心周波数に設定されるので、直接的に、所望とされるチャネルの中心周波数に設定でき、選局にかかる時間を短くすることが可能となる。
【0082】
図10のステップS161に説明を戻し、指定されている周波数、すなわち、System Tuning Frequencyに、チューナ12の周波数が設定される。ステップS162において、プリアンブルがあるか否かが判断され、あると判断された場合、ステップS163に処理が進められる。ステップS163において、L1情報が読み取られる。基本的に、送信側で設定されたSystem Tuning Frequencyを中心周波数として処理が行われているため、プリアンブルは取得できると考えられる。しかしながら、何らかのエラーなどにより、プリアンブルがないと判断された場合、選局の処理は終了される。このような場合には、ユーザに何らかのメッセージを提示するといった処理が行われるようにしても良い。
【0083】
ステップS164において、指定されたサービスがあるか否かが判断され、指定されたサービスはあると判断された場合、ステップS165に処理が進められる。ユーザが指示した番組(チャネル)がない場合も想定され、そのような場合、ステップS164において指定されたサービスはないと判断され、選局の処理は終了される。この場合も、ユーザに何らかのメッセージを提示するといった処理が行われるようにしても良い。
【0084】
ステップS165において、取得されたL1情報をもとに、ユーザにより指示された選局先の中心周波数に、チューナ12の周波数が設定される。そして、その中心周波数を中心とする受信帯域が設定され、受信された信号が処理されることで、ユーザに対して所定の番組が提供される。
【0085】
このように、記憶されている中心周波数を用いて、選局先に移動することで、System Tuning Frequencyに一旦設定してから、再度、選局先に移動するような場合と比べて、選局にかかる時間を短くすることが可能となる。また、仮に、送信側で中心周波数などを変更した場合であっても、そのようなことを検知し、送信側で設定したSystem Tuning Frequencyで受信をし、処理を行うことができるため、選局ができないような状況が発生することを防ぐことが可能となる。
【0086】
なお、例えば、ステップS133やステップS163において、L1情報を読み取るので、その読み取られたL1情報で、記憶部21に記憶されているテーブル101が更新されるように構成することも可能である。また、ステップS135(図9)において、中心周波数に変更があると判断された場合、取得されたL1情報で、変更があることが検知された周波数が更新されるように構成することも可能である。
【0087】
図8のフローチャートの説明に戻る。ステップS102において、選局先のData Sliceは、Dependent Data Sliceであると判断された場合、ステップS104に処理が進められる。この場合、選局先のData Sliceは、Dependent Data Sliceであり、指定されたData Sliceの中心周波数で受信帯域を設定すると、その受信帯域内に、ノッチが含まれるData Sliceである。
【0088】
このようなData Sliceのところから、プリアンブル信号(L1情報)は取得できない可能性があるため、送信側で設定している周波数を中心周波数として設定し、L1情報の取得が行われる。そして、その取得された制御情報に基づき、所定の信号の抽出が行われる。このような処理の流れは、選局処理2と同様の処理の流れである。そのため、ステップS104において、選局処理2が実行される。選局処理2に関しては図10のフローチャートを参照して既に説明したので、その説明は省略する。
【0089】
このように、選局処理が行われることで、選局にかかる時間を短くすることが可能となる。その理由の一例を以下に説明する。例えば、図2を参照して例においては、DS0、DS1、DS2、・・・、DS8が、Data Sliceとして設定されている。このData Sliceの帯域幅などは、送信側で変更可能である。例えば、DS1を2つのData Sliceとすることも可能である。この2つに分けられたData Sliceを、DS1’とDS1”とすると、DS1’用の中心周波数f1’とDS1”用の中心周波数f1”も新たに設定される。このように、Data Sliceの数(チャネルの数)が変更されると、それに係わるパラメータなども変更される。
【0090】
このように、DVB-C2においては、チャネル数が変更される可能性などもあり、L1情報も変更される可能性がある。よって、上述したように、L1情報に含まれる中心周波数の情報などを記憶し、その記憶されている中心周波数に設定し、受信を開始しても、変更され、受信ができない可能性もある。
【0091】
よって、確実に受信を行うには、上記した説明においては、選局処理2として説明したように、一旦、System Tuning Frequencyで受信を開始し、L1情報を復号してから、そのL1情報に記載されていた中心周波数の情報を用いて、再度所望されているチャネルに合わせられるようにする。しかしながら、このような2段階のチューニングは、明らかに、1段階のチューニングのときよりも時間がかかる。また、上記したようにチャネル数などは送信側で変更できるが、頻繁に変更されるものではないと考えられる。よって、上記した説明のうち、選局処理1として説明した流れ、すなわち、1段階のチューニングで選局が行われることが多いと考えられる。よって、選局にかかる時間を短くすることが可能となる。
【0092】
また、仮に、チャネル数などに変更があったとしても、選局処理1における処理で、その変更を検出するステップ、例えばステップS132やステップS134(図9)の処理があるため、変更があったときにも対応することが可能となる。また変更があったときには、選局処理2により、送信側で設定した周波数に設定して、処理が行われるため、L1情報を確実に取得できる。
【0093】
なお、本実施の形態においては、DVB-C2を例に挙げて説明をしたが、他の放送方式に対しても本技術を適用できる。例えば、ノッチに対応するような信号を伝送しない周波数帯域がある伝送方式などにも本技術は適用可能である。また、放送に限らず、広帯域の信号から、所望な信号(データ)を抽出する際などにも、本技術を適用できる。
【0094】
[記録媒体について]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0095】
図13は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、入力部206、出力部207、記憶部208、通信部209、およびドライブ210が接続されている。
【0096】
入力部206は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部207は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部208は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部209は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動する。
【0097】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205およびバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0098】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア211に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0099】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0100】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0101】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0102】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0103】
本技術は以下のような構成もとることができる。
【0104】
(1)
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部と
を備える受信装置。
【0105】
(2)
前記広帯域の信号は、DVB-C2規格における信号であり、
前記制御情報は、前記所定の信号を抽出するときの周波数に関する情報である
前記(2)に記載の受信装置。
【0106】
(3)
前記抽出部により前記所定の信号が抽出できなかった場合、前記広帯域の信号から、制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記所定の信号の抽出を行う
前記(1)または前記(2)に記載の受信装置。
【0107】
(4)
前記所定の信号内に、無信号の帯域が含まれる場合、前記広帯域の信号を送信する側で設定した周波数で、前記広帯域の信号から制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記抽出部は、前記所定の信号を抽出する
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の受信装置。
【0108】
(5)
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶部に記憶し、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する
ステップを含む受信方法。
【0109】
(6)
コンピュータに、
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0110】
1 受信装置, 11 アンテナ, 12 チューナ, 13 AGC部, 14 A/D変換部, 15 直交復調部, 16 OFDM復調部, 17 誤り訂正部, 18 制御部, 19 伝送パラメータ解釈部, 20 記憶部, 31 同期部, 32 FFT演算部, 33 OFDM等化部
【技術分野】
【0001】
本技術は、受信装置、受信方法、およびプログラムに関する。詳しくは、広帯域の信号から、指示されたチャネルを選局する際の動作を早く行えるようにする受信装置、受信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放送システムのデジタル化技術の進展が目覚ましい。日本や欧州の地上波テレビジョン放送システムでは、変調方式として、マルチパス妨害の影響を受けにくいOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式(直交周波数分割多重方式)と呼ばれる変調方式が用いられている。
【0003】
欧州のケーブル放送の放送システムにおいてもOFDM方式が採用されている。第2世代欧州ケーブルデジタル放送規格であるDVB-C2では、他通信との干渉を防ぐために、ノッチ(Notch)と称される特定の周波数帯域ではデータを伝送せず、送信電力をゼロにして信号を伝送することが規格化されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Digital Video Broadcasting (DVB);Frame structure channel coding and modulation for a second generation digital transmission system for cable systems (DVB-C2) ,DVB Document A138
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、DVB-C2では、他通信との干渉を防ぐために、ノッチを設けることで、各チャネルの間にガードバンドを設ける必要をなくし、ノッチに挟まれた比較的狭い帯域をもデータの伝送に使うことができるため、周波数帯域の有効利用が可能になっている。周波数の有効利用を行えることで、チャネル数を従来の場合より多くすることができるが、チャネル数が多くなることで、選局時の処理に時間がかかるようなことがないようにすることが望まれている。
【0006】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、選局時の処理にかかる時間を短くすることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一側面の受信装置は、複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部とを備える。
【0008】
前記広帯域の信号は、DVB-C2規格における信号であり、前記制御情報は、前記所定の信号を抽出するときの周波数に関する情報であるようにすることができる。
【0009】
前記抽出部により前記所定の信号が抽出できなかった場合、前記広帯域の信号から、制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記所定の信号の抽出を行うようにすることができる。
【0010】
前記所定の信号内に、無信号の帯域が含まれる場合、前記広帯域の信号を送信する側で設定した周波数で、前記広帯域の信号から制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記抽出部は、前記所定の信号を抽出するようにすることができる。
【0011】
本技術の一側面の受信方法は、複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶部に記憶し、前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出するステップを含む。
【0012】
本技術の一側面のプログラムは、コンピュータに、複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部として機能させるためのプログラムである。
【0013】
本技術の一側面においては、複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報が取得されたとき、記憶される。そして、所定の信号を抽出するとき、その記憶されている制御情報が用いられて、所定の信号が広帯域の信号から抽出される。
【発明の効果】
【0014】
本技術の一側面によれば、選局時の処理にかかる時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】受信装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】DVB-C2信号の例を示す図である。
【図3】C2 Frameの構成を示す図である。
【図4】狭帯域ノッチが存在する場合のC2 Frameの構成を示す図である。
【図5】広帯域ノッチが存在する場合のC2 Frameの構成を示す図である。
【図6】L1情報に含まれるパラメータを示す図である。
【図7】番組データの出力処理について説明するためのフローチャートである。
【図8】選局処理について説明するためのフローチャートである。
【図9】選局処理1について説明するためのフローチャートである。
【図10】選局処理2について説明するためのフローチャートである。
【図11】テーブルについて説明するための図である。
【図12】中心周波数について説明するための図である。
【図13】記録媒体について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
[受信装置の構成例]
図1は、受信装置の一実施の形態の構成例を示している。図1の受信装置1は、図示せぬ放送局の送信装置から送信されてくるOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)信号の放送波を受信するOFDM受信装置である。アンテナ11は、送信されてくるOFDM信号の放送波(RF信号)を受信し、その放送波をチューナ12に出力する。チューナ12は、演算部12aと局部発振器12bから構成される。
【0018】
演算部12aは、アンテナ11からのRF信号と、局部発振器12bからの信号を乗算することによってRF信号をIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、IF信号をAGC(Automatic Gain Control)部13に出力する。局部発振器12bは、所定の周波数の正弦波の信号を発振し、演算部12aに出力する。AGC部13は、供給されたIF信号に対して、信号レベルが一定になるようにゲイン制御を行う。AGC部13は、ゲイン制御後のIF信号をA/D変換部14に出力する。
【0019】
A/D変換部14は、AGC部13からのIF信号をA/D変換し、デジタルのIF信号を直交復調部15に出力する。直交復調部15は、所定の周波数のキャリアを用いて、A/D変換部14からのIF信号を直交復調し、ベースバンドのOFDM信号をOFDM復調部16に出力する。直交復調部15から出力されるベースバンドのOFDM信号を、以下では、OFDM時間領域信号という。OFDM時間領域信号は、直交復調された結果、実軸成分(I成分)と虚軸成分(Q成分)を含んだ複素信号となっている。
【0020】
OFDM復調部16は、同期部31、FFT(Fast Fourier Transform)演算部32、およびOFDM等化部33により構成される。同期部31は、OFDM方式による信号伝送の単位であるOFDMシンボルの同期をとる。即ち、同期部31は、FFT演算部32においてFFTを行う信号区間であるFFT区間の開始位置を決定する。同期部31は、FFT前のOFDM時間領域信号に基づいてFFT区間の開始位置を決定することができるが、OFDM等化部33において等化処理が行われた後は、伝送路の歪みを補正して得られた等化信号に基づいてFFT区間の開始位置を決定することができる。この場合、OFDM等化部33から、伝送路の歪みを補正して得られた等化信号に基づいて決定された同期制御信号が供給される。
【0021】
FFT演算部32は、直交復調部15からのOFDM時間領域信号に対し、同期部31で決定されたFFT区間の開始位置から、有効シンボル長の区間をFFT区間に設定する。そして、FFT演算部32は、OFDM時間領域信号からFFT区間の信号を抽出し、抽出した信号に対してFFT演算を行う。FFT演算部32によるFFT演算により、サブキャリアで送信されてきたデータ、すなわち、IQ平面上の伝送シンボルを表すOFDM信号が得られる。OFDM時間領域信号に対するFFT演算により得られるOFDM信号は周波数領域の信号であり、以下、FFT演算が行われた後のOFDM信号を、適宜、OFDM周波数領域信号という。
【0022】
OFDM等化部33は、FFT演算が行われた後のOFDM周波数領域信号に対し、受信信号の振幅および位相が送信されたものと等しくなるようにする等化処理を行い、その結果得られる等化信号を出力する。各サブキャリアに対する変調方式としてQAM(quadrature amplitude modulation)系の変調方式を用いるOFDM方式においては、伝送時にマルチパス等の影響を受けることにより、キャリア毎に、振幅および位相が送信時のものと受信時のものとで異なるものになってしまう。例えば、山や建物による反射、SFN(Single Frequency Network)によってマルチパスの影響が生じる。
【0023】
OFDM方式では、送信信号に、所定の振幅および所定の位相を有する既知信号がパイロット信号として伝送シンボル内に離散的に挿入されている。受信側では、パイロット信号の振幅および位相に基づいて伝送路の周波数特性を求め、受信信号が等化される。
【0024】
誤り訂正部17は、OFDM等化部33から供給された等化信号に対してデインタリーブ処理を施し、さらに、デンパンクチャ、ビタビ復号、拡散信号除去、RS復号などの処理を施す。誤り訂正部17は、各種の処理を施すことによって得られた復号データ(トランスポートストリーム)を後段の外部出力部や出力バッファ等に出力する。また、誤り訂正部17は、デインタリーブ処理、誤り訂正処理等の処理後の復号データのうち、伝送制御情報としての各種の伝送パラメータを、制御部18の伝送パラメータ解釈部19に出力する。
【0025】
制御部18は、受信装置1内の各部を制御する。例えば、制御部18は、図示せぬ操作部で設定された受信チャネルに応じて、受信周波数を設定する。即ち、受信周波数に対応して所定の周波数が局部発振器12bから出力されるように、局部発振器12bの発振周波数が設定される。
【0026】
また、制御部18は、伝送パラメータ解釈部19を有し、伝送パラメータ解釈部19は、誤り訂正部17から供給される伝送パラメータを解釈し、受信装置1を構成する各部に、必要な情報を適宜供給する。例えば、伝送パラメータ解釈部19は、伝送パラメータの一つとして、受信装置1が受信可能な周波数帯域のなかで、無信号の帯域を示す帯域情報、所定のチャネルを読み出すときの周波数といった情報を取得する。これらの情報は、必要に応じ、記憶部20に供給され、記憶される。記憶部20に記憶された情報は、チューニングの際などに用いられる。
【0027】
以上のように構成される受信装置1は、所定のチャネル、例えば、ユーザにより指示されたチャネルを選局する際にかかる時間を短くすることができる。ここでは、そのような選局に係わる処理について、第2世代欧州ケーブルデジタル放送規格であるDVB-C2を例に受信装置1の受信処理について説明する。
【0028】
[DVB-C2の信号]
初めに、DVB-C2の信号(以下、DVB-C2信号とも称する)について説明する。図2は、DVB-C2信号の例を示す図である。図2の横軸は周波数を表す。DVB-C2の1つの信号はC2 Systemと呼ばれ、Preamble SymbolとData Symbolから構成される。規格上、1つのC2 Systemは最大3.5GHz程度の帯域幅を有する信号となる。
【0029】
Preamble Symbolは、伝送制御情報であるL1情報(L1 signaling part 2 data)の伝送に用いられるシンボルである。信号を伝送しない周波数帯域についての情報は、このL1情報の一部として送信される。Preamble Symbolを用いて、3408キャリア周期(OFDMの3408のサブキャリア周期)で同じ情報が繰り返し送信される。3408キャリアは7.61MHzの周波数帯域に相当する。
【0030】
Data Symbolは番組データなどのTS(Transport Stream)の伝送に用いられるシンボルである。Data SymbolはData Sliceと呼ばれるブロックに分割される。例えばData Slice 1(DS1)とData Slice 2(DS2)とではそれぞれ異なる番組のデータが伝送される。Data Sliceの数などの、各Data Sliceに関するパラメータもL1情報に含まれる。
【0031】
図2において黒で塗りつぶして示される周波数帯域は、FM放送、警察用の無線放送、軍事用の無線放送などに用いられる周波数帯域であり、C2 Systemの送信には用いられない帯域である。即ち、黒で塗りつぶして示される周波数帯域は、C2 Systemでは、送信装置が出力する送信信号のうちの無信号の帯域であり、ノッチ帯域と呼ばれている。
【0032】
ノッチ帯域には、帯域幅が48サブキャリア未満の狭帯域ノッチ(Narrowband Notch)と、47サブキャリアより大きい(48サブキャリア以上の)広帯域ノッチ(Broadband Notch)とがある。ノッチ(Notch)の数や各ノッチ帯域の帯域幅などのノッチ帯域の情報が、伝送パラメータとして、伝送制御情報であるL1情報に含まれている。
【0033】
[C2 Frameの構成]
図3は、C2 Frameの構成を示す図である。C2 Frameは、少なくとも1つのPreamble Symbolと、複数のData Symbolとから構成される。図3の横軸は周波数を表し、縦軸は時間(シンボル)を表す。Preamble Symbolは、時間方向に見たときに1乃至8シンボルの間、3408サブキャリア周期で繰り返し送信される。
【0034】
図3において同じ数字を付して示すPreamble Symbolのブロックは同じL1情報の送信に用いられているPreamble Symbolを表す。また、Preamble Symbolに続けて、時間方向に見たときに448シンボルの間、Data Symbolが送信される。図3の例においては、Data Slice 0乃至3のデータがそれぞれ448のData Symbolを用いて送信されている。
【0035】
[狭帯域ノッチ]
図4は、狭帯域ノッチが存在する場合のC2 Frameの構成を示している。狭帯域ノッチの帯域幅は48サブキャリア未満であり、狭帯域ノッチは、3408サブキャリアに1つと規定されている。Data Symbolのノッチ帯域にはデータは含まれず、ノッチ帯域のPreamble SymbolのL1情報は、誤り訂正処理によって取得(復元)できる。
【0036】
[広帯域ノッチ]
図5は、広帯域ノッチが存在する場合のC2 Frameの構成を示している。広帯域ノッチの帯域幅は47サブキャリアより大であり、広帯域ノッチは、2つのData Sliceの間に配置される。また、広帯域ノッチは、3408サブキャリア以上の間隔をあけて配置される。従って、ノッチ帯域には、Preamble SymbolのL1情報、および、Data Symbolのデータは含まれていない。
【0037】
このように、DVB-C2においては、各チャネルの間にガードバンドを設ける必要がなく、また、Notchに挟まれた比較的狭い帯域をもデータの伝送に使うことができるため、周波数帯域の有効利用が可能になっている。受信装置1は、最大で3408サブキャリア分の7.61MHzの帯域幅の受信周波数帯を設定してその範囲内の信号を受信し、L1情報を復号した後、復号したL1情報に基づいて番組データを復号する。
【0038】
[L1情報について]
この復号されたL1情報について説明する。図6は、L1情報に含まれるパラメータを示す図である。主なパラメータについて説明する。3行目のSTART_FREQUENCYは、C2 Systemの開始位置となる周波数を表す。開始位置は0Hzを起点して絶対周波数により表される。4行目のC2_BANDWIDTHは、C2 Systemの帯域幅を表す。
【0039】
5行目のGUARD_INTERVALは、各シンボルに含まれるガードインターバルのサイズを表す。6行目のC2_FRAME_LENGTHは、C2 Frameに含まれるData Symbolの数を表す。図6の例の場合、C2_FRAME_LENGTHには448を表す値が設定される。
【0040】
8行目のNUM_DSLICEは、C2 Frameに含まれるData Sliceの数を表す。9行目のNUM_NOTCHは、C2 Frameに含まれるNotchの数を表す。10行目から45行目までの各パラメータがData Slice毎に記述される。
【0041】
11行目のDSLICE_IDは、C2 SystemにおけるData SliceのIDを表す。12行目のDSLICE_TUNE_POSは、START_FREQUENCYにより表される周波数を基準として、Data Sliceを受信するためのチューニングポイントとなる位置(中心周波数)を表す。15行目のDSLICE_TI_DEPTHは、時間インタリーブのDepthを表す。
【0042】
21行目のDSLICE_LEFT_NOTCHは、Data Sliceの左側にNotchがあるか否かを表す。22行目のDSLICE_NUM_PLPは、Data Sliceに含まれるPLPの数を表す。23行目から43行目までの各パラメータがPLP毎に記述される。
【0043】
46行目から50行目までの各パラメータがNotch毎に記述される。47行目のNOTCH_STARTは、START_FREQUENCYにより表される周波数を基準としてNotchの位置を表す。48行目のNOTCH_WIDTHは、Notchの帯域幅を表す。
【0044】
なお、DVB-C2の詳細については「Digital Video Broadcasting (DVB); Frame structure channel coding and modulation for a second generation digital transmission system for cable systems (DVB-C2)」(DVB Document A138)に記載されている。
【0045】
[受信装置の動作について]
次に、図1に示した受信装置1の動作について説明する。受信装置1は、受信された放送波を処理し、ユーザが所望とする番組データを復調し、ユーザに提供する処理を行う。ユーザが所望の番組を選局すると、その選局に基づき、受信装置1における処理が行われ、選局先の番組がユーザに提供される。この選局時に行われる処理については、後述するとし、先に、受信装置1の各部において実行される基本的な処理について図7のフローチャートを参照し、説明する。
【0046】
ステップS11において、制御部18は、図示せぬ操作部で設定された受信チャネルに応じて、受信周波数を設定する。これにより、受信チャネルに応じた中心周波数と受信帯域が設定される。後述するように、本実施の形態においては、選局されたチャネルのデータを読み出すための中心周波数に設定されるが、その中心周波数でL1情報が取得できなかった場合など、送信側で設定した中心周波数で、L1情報の取得が行われる。このステップS11は、L1情報を取得するための周波数に設定するための処理である。
【0047】
ステップS12において、チューナ12は、アンテナ11で受信されたRF信号を、IF信号に周波数変換して出力する。チューナ12から出力されたIF信号は、を介して、AGC部13に供給される。ステップS13において、AGC部13は、供給されたIF信号に対してAGCを行う。即ち、AGC部13は、IF信号の信号レベルが一定になるようにゲイン制御して、制御後のIF信号をA/D変換部14に出力する。ステップS14において、A/D変換部14は、AGC部13からのIF信号をA/D変換し、デジタルのIF信号を直交復調部15に出力する。
【0048】
ステップS15において、直交復調部15は、所定の周波数のキャリアを用いて、A/D変換部14からのIF信号を直交復調し、OFDM時間領域信号をOFDM復調部16に出力する。ステップS16において、OFDM復調部16の同期部31は、OFDMシンボルの同期をとる。即ち、同期部31は、FFT演算部32においてFFT演算を行う信号区間であるFFT区間の開始位置を決定する。決定されたFFT区間の開始位置の情報は、後段のFFT演算部32に供給される。
【0049】
ステップS17において、FFT演算部32は、OFDM時間領域信号に対し、FFT演算を行う。より具体的には、FFT演算部32は、同期部31で決定されたFFT区間の開始位置に基づいてFFT区間を設定し、OFDM時間領域信号からFFT区間の信号を抽出する。そして、FFT演算部32は、抽出したOFDM時間領域信号に対してFFT演算を行う。ステップS18において、OFDM等化部33は、FFT演算が行われた後のOFDM周波数領域信号に対し、受信信号の振幅および位相が送信されたものと等しくなるようにする等化処理を行う。
【0050】
ステップS19において、誤り訂正部17は、OFDM等化部33から供給された等化信号に対してデインタリーブ処理を施し、さらに、デンパンクチャ、ビタビ復号、拡散信号除去、RS復号などの処理を施す。そして、誤り訂正部17は、各種の処理を施すことによって得られた復号データから、伝送制御情報であるL1情報を抽出し、制御部18の伝送パラメータ解釈部19に供給する。抽出されたL1情報は、伝送パラメータ解釈部19に供給され、解釈(解析)される。
【0051】
L1情報が解析されることで、データスライスの位置(中心周波数)や、ノッチの位置などが取得され、それらの情報に基づき、番組データの復調が行われる。L1情報が取得されたときに設定されていた中心周波数の受信帯域から、L1情報に含まれていた情報に基づき、指示された番組に対応するData Sliceの中心周波数に再設定され、ステップS20以降の処理が行われる。
【0052】
なお、中心周波数の再設定は、後述するように、本実施の形態においては、省略される場合があり、省略されることで、選局にかかる時間を短縮している。また、中心周波数の再設定が行われない場合、換言すれば、L1情報が取得された時点で設定されている中心周波数が継続して用いられる場合、ステップS20以降の処理は、省略(処理時間の短縮)されるため、さらに選局にかかる時間を短縮することが可能とされている。
【0053】
ステップS20において、チューナ12は、アンテナ11で受信されたRF信号を、IF信号に周波数変換して出力する。ステップS21において、AGC部13は、IF信号に対してAGCを行う。このとき、中心周波数が継続して用いられている場合には、既にAGCは安定しているため、AGCの安定待ちを行わなくて良く、処理時間を短くできる。中心周波数が再設定された場合には、AGCの安定待ちの時間が必要となる場合もある。ステップS22において、A/D変換部14は、AGC部13からのIF信号をA/D変換し、デジタルのIF信号を直交復調部15に出力する。
【0054】
ステップS23において、直交復調部15は、所定の周波数のキャリアを用いて、A/D変換部14からのIF信号を直交復調し、OFDM時間領域信号をOFDM復調部16に出力する。ステップS24において、OFDM復調部16の同期部31は、OFDMシンボルの同期をとる。この同期も、中心周波数が継続して用いられている場合には、既に同期されているため、同期にかかる時間をなくすことができる。以下の処理においても、中心周波数が継続して用いられている場合には、その処理時間は短くなる。
【0055】
ステップS25において、FFT演算部32は、FFT区間のOFDM時間領域信号に対してFFT演算を行う。ステップS26において、OFDM等化部33は、FFT演算が行われた後のOFDM周波数領域信号に対し、等化処理を行う。
【0056】
ステップS27において、誤り訂正部17は、OFDM等化部33から供給された等化信号に対してデインタリーブ処理を施し、さらに、デンパンクチャ、ビタビ復号、拡散信号除去、RS復号などの処理を施す。そして、誤り訂正部17は、各種の処理を施すことによって得られた、受信チャネルに対応する番組データとしてのトランスポートストリームを後段の外部出力部や出力バッファ等に出力して、処理を終了する。
【0057】
このように、L1情報が復号された後、復号されたL1情報に基づいて番組データが復号される。この復号される番組データは、電源がオンにされた時点で、デフォルトとして設定されているチャネルで放送されている番組や、ユーザの指示により選局されたチャネルで放送されている番組のデータである。次に、選局にかかる処理について説明する。なお、以下の説明においても、上記したような処理が受信装置1内の各部で行われるが、その説明については重複するので適宜省略する。
【0058】
[選局時の処理について]
図7に示したフローチャートを再度参照するに、ステップS11乃至S19の処理において、L1情報を取得するための処理が実行され、ステップS20乃至S27において、取得されたL1情報に基づき、番組データが復調するための処理が実行される。このような処理の流れにおいては、L1情報を取得するために受信周波数が設定され、L1情報が取得された後に、番組データを受信するための受信周波数が設定される。すなわち、2回の周波数の設定(チューニング)が行われる。
【0059】
ユーザにより所定のチャネルが指示され、そのチャンネルを選局するための処理も、基本的にL1情報を取得し、そのL1情報に基づき、ユーザにより指示されたチャネルの中心周波数に設定し、受信が開始されるため、2回の周波数の設定が行われる。しかしながら、そのような2回の周波数の設定を、選局のたびに行うのは、選局の処理にかかる時間を冗長させることになる。そこで、以下のように選局の処理が行われることで、選局の処理にかかる時間を短くする。
【0060】
図8乃至10は、選局時に行われる処理について説明するためのフローチャートである。ステップS101において、選局が指示されると、処理が開始される。受信装置1の電源がオンにされたときや、ユーザにより設定されているチャネルから、他のチャネルに切り換えが指示されたときなどをトリガーとし、選局が指示されたと判断され処理が開始される。
【0061】
ステップS102において、選局先のData Sliceは、Dependent DSであるか否かが判断される。Dependent DSとは、例えば、図5に示したように、広帯域ノッチ(Broadband Notch)が存在する場合におけるData Sliceのことである。このノッチ帯域には、上述したように、Preamble SymbolのL1情報、および、Data Symbolのデータは含まれていない。仮に、指定されたData Sliceを復号するために、そのData Sliceに移動したとしても、ノッチが存在するために、L1情報を取得できない可能性がある。よって、まず、選局先のData Sliceには、ノッチが存在するDependent Data Sliceであるか否かが判断される。
【0062】
なお、この判断は、L1情報が取得された時点で、ノッチがどの位置に存在するかはわかるため、ノッチが存在するData Sliceにはフラグが立てられ、その情報は、記憶部20に記憶されている。すなわち、伝送パラメータ解釈部19によりL1情報が解釈されたとき、その情報の一部、または全てが、記憶部20に記憶される。この記憶されるタイミングとしては、例えば、受信装置1に初めて通電されたときに行われるチャネルスキャン時に、取得されたL1情報が記憶される。また後述するように、この記憶されている情報は変更される可能性があるため、適宜更新される。
【0063】
ここでは、記憶部20は、図11に示すようなテーブルを管理しているとして説明を続ける。図11に示したテーブル101では、Data Sliceを識別するためのID、そのData Sliceを読み出すときに合わせられる中心周波数、およびDependent Data Slice(DDS)であるか否かを表すフラグが関連付けられて記憶されている。図11において、テーブル101のっDDSの欄に、○が付けられているところは、フラグが立っていることを示すとする。例えば、IDが“0”のData Sliceの中心周波数は、“f0”であり、DDSのフラグは立っていないことが読み取れる。また、例えば、IDが“1”のData Sliceの中心周波数は、“f1”であり、DDSのフラグが立っていることが読み取れる。
【0064】
このような情報は、L1情報から取得でき、例えば、図6を再度参照するに、Data SliceのIDは、11行目に記載のある“DSLICE ID”から読み取れ、中心周波数は、12行目に記載のある“DSLICE TUNE POS”から読み取れ、DDSであるか否かのフラグは、21行目に記載がある“DSLICE_LEFT_NOTCH”や、47行目と48行目に記載がある“NOTCH START”と“NOTCH WIDTH”の情報から判断できる。
【0065】
なお、ここではテーブルとして説明を続けるが、テーブル以外の方法でL1情報から取得された情報を管理するように構成することも可能である。また、図11に示したID、中心周波数、DDSのフラグといった情報以外にも、L1情報から取得された情報が管理されるようにすることも可能である。
【0066】
図8のフローチャートの説明に戻り、ステップS102において、図11に示したようなテーブル101が参照され、選局先として指定されているData Sliceは、Dependent Data Sliceであるか否かが判断される。ステップS102において、選局先として指定されているData Sliceは、Dependent Data Sliceであると判断された場合、ステップS104に処理が進められ、選局先として指定されているData Sliceは、Dependent Data Sliceではないと判断された場合、ステップS103に処理が進められる。
【0067】
ステップS103において、選局処理1が実行される。この場合、選局先として指定されているData Sliceは、Dependent Data Sliceではないので、ノッチなどの影響を受けずに、L1情報が読み取れるData Sliceが選局先のData Sliceとされているときである。
【0068】
図9は、ステップS103において実行される選局処理1の詳細な処理を説明するためのフローチャートである。ステップS131において、記憶部20に記憶されているテーブル101が参照され、指定されたData Sliceを読み出すときに用いられる中心周波数にチューナ12の周波数が設定される。ステップS132において、設定された中心周波数を中心とし、例えば、7.61MHzの帯域幅の受信帯域を設定してその範囲内の信号を受信し、処理する。ここで、図12を参照し、受信帯域について説明を加える。
【0069】
図12は、図2に示したDVB-C2のC2 Systemの一部を拡大したものである。図12において、受信帯域は、PLP2を含むData Slice上に設定されており、中心周波数を中心とする7.61MHzの帯域幅で設定されている。この受信帯域は、例えば、PLP4を含むData Sliceが選局先に設定されている場合には、そのData Sliceに移動される。このようにして設定された受信帯域内の信号が受信され、処理される。
【0070】
ステップS131(図9)においては、選局先として設定されたチャネルのData Sliceの中心周波数が、テーブル101から読み出され、その読み出された中心周波数に、チューナ12が設定され、その中心周波数における帯域幅で設定される受信帯域内の信号が受信され、その受信された信号にプリアンブル信号が含まれているか否かが、ステップS132において判断される。
【0071】
ステップS132において、受信された信号にプリアンブル信号が含まれていると判断された場合、ステップS133に処理が進められる。ステップS133において、L1情報が読み取られ、解析される。そして、ステップS134において、指定されたサービスがあるか否かが判断される。サービスとは、この場合、ユーザにより指定された番組(チャネル)のことであり、L1情報に、指定されたサービスの情報があるか否かが(Data Sliceがあるか否かが)判断される。ステップS134において、指定されたサービスはあると判断された場合、ステップS135に処理が進められる。
【0072】
ステップS135において、中心周波数に変更はないか否かが判断される。この判断は、この時点で設定されている中心周波数と、L1情報から読み取られた中心周波数と一致しているか否かを判断することで行われる。ステップS135において、中心周波数に変更があったと判断された場合、ステップS136に処理が進められる。ステップS136において、中心周波数が再設定される。すなわち、L1情報から読み出された情報に基づき、中心周波数(受信帯域)が設定される。
【0073】
中心周波数が再設定されることにより、チューナ12における周波数の再設定だけでなく、AGCの安定待ち、フレーム同期、周波数同期、サンプリング同期など、チューナ12以降の処理においても再設定が行われる。そして、ステップS137において、設定された中心周波数で、番組データのデコードが開始される。番組データのデコードが開始されることで、選局にかかる処理は終了される。
【0074】
一方、ステップS135において、中心周波数に変更はないと判断された場合、ステップS136の処理がスキップされ、ステップS137に処理が進められる。ステップS137において、デコードが開始される。この場合、設定されている中心周波数で変更がないために、再度中心周波数を設定するというステップS136の処理が省略される。よって、再度中心周波数を設定し直し、AGCの安定待ちや、同期などを再度行う必要がないために、選局にかかる処理時間を短くすることができる。
【0075】
すなわち、ステップS131において、記憶されている中心周波数に設定されるが、この中心周波数に変更がなければ、ステップS132において、プリアンブル信号(L1情報)がある帯域に、受信帯域が設定されるため、プリアンブル信号が取得され、L1情報が読み取られる。また、ステップS134においても、指定されたサービス(Data Slice)はあると判断され、ステップS135においても、中心周波数に変更はないと判断されるため、ステップS137に処理が来る。このように、記憶されている中心周波数を読み出すだけで、選局が行われるので、選局にかかる時間が短くなる。
【0076】
DVB-C2は、例えば、図2を参照して説明したように、DS1、DS2といった複数の信号が配置されているC2 Systemという広帯域の信号である。このような広帯域の信号から、所望の信号を抽出するときに必要とされる制御情報、例えば中心周波数に関する情報は、プリアンブル信号であるL1情報に含まれている。本実施の形態においては、一度取得された制御情報は、記憶部20に記憶される。
【0077】
そして、ユーザの指示になどにより、所定の信号(所定のチャネルのData Slice)の抽出が必要とされたとき、その抽出対処とされた所定の信号を抽出するための制御情報が、記憶部20から読み出される。そして、その読み出された制御情報に基づき、所定の信号が抽出される。よって、上記したように、選局にかかる時間を短くすることが可能となる。
【0078】
一方、ステップS132において、プリアンブルがないと判断された場合、またはステップS134において、指定されたサービスはないと判断された場合、ステップS104(図8)に処理が進められる。この場合、記憶されていた中心周波数(制御情報)に基づき、所定の信号が広帯域の信号から抽出しようとしたが、抽出できなかった場合である。このような場合には、ステップS104において、選局処理2が実行される。選局処理2は、再度、広帯域の信号から制御情報をあらためて取得し、その取得された制御情報に基づいて、所定の信号の抽出が再度試みられる処理である。この選局処理2について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0079】
ステップS161において、指定されている周波数に設定される。上記した選局処理1において、記憶されている中心周波数では、指示されたチャネルでの番組データのデコードを開始できなかったため、その中心周波数とは異なり、送信側でL1情報を取得できる周波数であるとして指定している周波数に、設定が行われる。ここで、再度図12を参照する。
【0080】
図12において、System Tuning Frequencyは、送信側が設定した周波数である。DVB-C2 Implementation Guidelines ETSITS 102 991 V1.1.2 10.1.2によると、選局時には、まず、このSystem Tuning Frequencyに合わして、受信を行い、L1情報を読み出し、その読み出されたL1情報に基づき、所望とされたチャネル(Data Slice)に移動することで、選局が行われると規定されている。すなわち、System Tuning Frequencyを設定した後、再度所望の中心周波数に設定し直される。換言すれば、直接所望とされるチャネルの中心周波数に設定されるのではなく、一度、System Tuning Frequencyに設定され、そのことにより得られた情報に基づき、所望とされるチャネルの中心周波数に設定される。
【0081】
このようなことが、選局のたびに行われていると、必ず少なくとも2度の周波数の設定が行われるため、そのために選局にかかる処理時間が長くなってしまう。しかしながら、上記したように、選局処理1においては、System Tuning Frequencyに設定されることなく、記憶されている中心周波数に設定されるので、直接的に、所望とされるチャネルの中心周波数に設定でき、選局にかかる時間を短くすることが可能となる。
【0082】
図10のステップS161に説明を戻し、指定されている周波数、すなわち、System Tuning Frequencyに、チューナ12の周波数が設定される。ステップS162において、プリアンブルがあるか否かが判断され、あると判断された場合、ステップS163に処理が進められる。ステップS163において、L1情報が読み取られる。基本的に、送信側で設定されたSystem Tuning Frequencyを中心周波数として処理が行われているため、プリアンブルは取得できると考えられる。しかしながら、何らかのエラーなどにより、プリアンブルがないと判断された場合、選局の処理は終了される。このような場合には、ユーザに何らかのメッセージを提示するといった処理が行われるようにしても良い。
【0083】
ステップS164において、指定されたサービスがあるか否かが判断され、指定されたサービスはあると判断された場合、ステップS165に処理が進められる。ユーザが指示した番組(チャネル)がない場合も想定され、そのような場合、ステップS164において指定されたサービスはないと判断され、選局の処理は終了される。この場合も、ユーザに何らかのメッセージを提示するといった処理が行われるようにしても良い。
【0084】
ステップS165において、取得されたL1情報をもとに、ユーザにより指示された選局先の中心周波数に、チューナ12の周波数が設定される。そして、その中心周波数を中心とする受信帯域が設定され、受信された信号が処理されることで、ユーザに対して所定の番組が提供される。
【0085】
このように、記憶されている中心周波数を用いて、選局先に移動することで、System Tuning Frequencyに一旦設定してから、再度、選局先に移動するような場合と比べて、選局にかかる時間を短くすることが可能となる。また、仮に、送信側で中心周波数などを変更した場合であっても、そのようなことを検知し、送信側で設定したSystem Tuning Frequencyで受信をし、処理を行うことができるため、選局ができないような状況が発生することを防ぐことが可能となる。
【0086】
なお、例えば、ステップS133やステップS163において、L1情報を読み取るので、その読み取られたL1情報で、記憶部21に記憶されているテーブル101が更新されるように構成することも可能である。また、ステップS135(図9)において、中心周波数に変更があると判断された場合、取得されたL1情報で、変更があることが検知された周波数が更新されるように構成することも可能である。
【0087】
図8のフローチャートの説明に戻る。ステップS102において、選局先のData Sliceは、Dependent Data Sliceであると判断された場合、ステップS104に処理が進められる。この場合、選局先のData Sliceは、Dependent Data Sliceであり、指定されたData Sliceの中心周波数で受信帯域を設定すると、その受信帯域内に、ノッチが含まれるData Sliceである。
【0088】
このようなData Sliceのところから、プリアンブル信号(L1情報)は取得できない可能性があるため、送信側で設定している周波数を中心周波数として設定し、L1情報の取得が行われる。そして、その取得された制御情報に基づき、所定の信号の抽出が行われる。このような処理の流れは、選局処理2と同様の処理の流れである。そのため、ステップS104において、選局処理2が実行される。選局処理2に関しては図10のフローチャートを参照して既に説明したので、その説明は省略する。
【0089】
このように、選局処理が行われることで、選局にかかる時間を短くすることが可能となる。その理由の一例を以下に説明する。例えば、図2を参照して例においては、DS0、DS1、DS2、・・・、DS8が、Data Sliceとして設定されている。このData Sliceの帯域幅などは、送信側で変更可能である。例えば、DS1を2つのData Sliceとすることも可能である。この2つに分けられたData Sliceを、DS1’とDS1”とすると、DS1’用の中心周波数f1’とDS1”用の中心周波数f1”も新たに設定される。このように、Data Sliceの数(チャネルの数)が変更されると、それに係わるパラメータなども変更される。
【0090】
このように、DVB-C2においては、チャネル数が変更される可能性などもあり、L1情報も変更される可能性がある。よって、上述したように、L1情報に含まれる中心周波数の情報などを記憶し、その記憶されている中心周波数に設定し、受信を開始しても、変更され、受信ができない可能性もある。
【0091】
よって、確実に受信を行うには、上記した説明においては、選局処理2として説明したように、一旦、System Tuning Frequencyで受信を開始し、L1情報を復号してから、そのL1情報に記載されていた中心周波数の情報を用いて、再度所望されているチャネルに合わせられるようにする。しかしながら、このような2段階のチューニングは、明らかに、1段階のチューニングのときよりも時間がかかる。また、上記したようにチャネル数などは送信側で変更できるが、頻繁に変更されるものではないと考えられる。よって、上記した説明のうち、選局処理1として説明した流れ、すなわち、1段階のチューニングで選局が行われることが多いと考えられる。よって、選局にかかる時間を短くすることが可能となる。
【0092】
また、仮に、チャネル数などに変更があったとしても、選局処理1における処理で、その変更を検出するステップ、例えばステップS132やステップS134(図9)の処理があるため、変更があったときにも対応することが可能となる。また変更があったときには、選局処理2により、送信側で設定した周波数に設定して、処理が行われるため、L1情報を確実に取得できる。
【0093】
なお、本実施の形態においては、DVB-C2を例に挙げて説明をしたが、他の放送方式に対しても本技術を適用できる。例えば、ノッチに対応するような信号を伝送しない周波数帯域がある伝送方式などにも本技術は適用可能である。また、放送に限らず、広帯域の信号から、所望な信号(データ)を抽出する際などにも、本技術を適用できる。
【0094】
[記録媒体について]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0095】
図13は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、入力部206、出力部207、記憶部208、通信部209、およびドライブ210が接続されている。
【0096】
入力部206は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部207は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部208は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部209は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動する。
【0097】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205およびバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0098】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア211に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0099】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0100】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0101】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0102】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0103】
本技術は以下のような構成もとることができる。
【0104】
(1)
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部と
を備える受信装置。
【0105】
(2)
前記広帯域の信号は、DVB-C2規格における信号であり、
前記制御情報は、前記所定の信号を抽出するときの周波数に関する情報である
前記(2)に記載の受信装置。
【0106】
(3)
前記抽出部により前記所定の信号が抽出できなかった場合、前記広帯域の信号から、制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記所定の信号の抽出を行う
前記(1)または前記(2)に記載の受信装置。
【0107】
(4)
前記所定の信号内に、無信号の帯域が含まれる場合、前記広帯域の信号を送信する側で設定した周波数で、前記広帯域の信号から制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記抽出部は、前記所定の信号を抽出する
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の受信装置。
【0108】
(5)
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶部に記憶し、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する
ステップを含む受信方法。
【0109】
(6)
コンピュータに、
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0110】
1 受信装置, 11 アンテナ, 12 チューナ, 13 AGC部, 14 A/D変換部, 15 直交復調部, 16 OFDM復調部, 17 誤り訂正部, 18 制御部, 19 伝送パラメータ解釈部, 20 記憶部, 31 同期部, 32 FFT演算部, 33 OFDM等化部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部と
を備える受信装置。
【請求項2】
前記広帯域の信号は、DVB-C2規格における信号であり、
前記制御情報は、前記所定の信号を抽出するときの周波数に関する情報である
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記抽出部により前記所定の信号が抽出できなかった場合、前記広帯域の信号から、制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記所定の信号の抽出を行う
請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記所定の信号内に、無信号の帯域が含まれる場合、前記広帯域の信号を送信する側で設定した周波数で、前記広帯域の信号から制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記抽出部は、前記所定の信号を抽出する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶部に記憶し、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する
ステップを含む受信方法。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部
として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部と
を備える受信装置。
【請求項2】
前記広帯域の信号は、DVB-C2規格における信号であり、
前記制御情報は、前記所定の信号を抽出するときの周波数に関する情報である
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記抽出部により前記所定の信号が抽出できなかった場合、前記広帯域の信号から、制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記所定の信号の抽出を行う
請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記所定の信号内に、無信号の帯域が含まれる場合、前記広帯域の信号を送信する側で設定した周波数で、前記広帯域の信号から制御情報を取得し、その取得された制御情報に基づき、前記抽出部は、前記所定の信号を抽出する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶部に記憶し、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する
ステップを含む受信方法。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の信号が配置されている広帯域の信号から、所定の信号を抽出するときの制御情報を、前記広帯域の信号から取得し、記憶する記憶部と、
前記所定の信号を抽出するとき、前記記憶部に記憶されている前記制御情報を読み出し、その制御情報に基づき、前記所定の信号を前記広帯域の信号から抽出する抽出部
として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−222505(P2012−222505A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84502(P2011−84502)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]