説明

受信装置を使用する、車両の少なくとも一つのヘッドライトの送光を制御するための方法、装置並びにコンピュータプログラム製品

【課題】従来技術に比べて改善された、車両のヘッドライトの送光を制御するための方法を提供する。
【解決手段】受信装置を用いて受信した、車両(又は他の車両)にとっての危険を表す対象が存在している危険位置を示す少なくとも一つの危険警告信号を読み込むステップと、少なくとも一つの危険警告信号によって示された危険位置は、車両が目下走行しているルート上の許容領域内に位置しているか否かを検査するステップと、車両が目下走行しているルート上の許容領域内に危険位置が存在している場合には、少なくとも一つのヘッドライトの送光を制御するために、少なくとも一つのヘッドライトの送光を第1の放射特性から第2の放射特性へと変更するステップとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置を使用する、車両のヘッドライトの送光を制御するための方法と、その種の方法のステップを実施するように構成されている装置と、プログラムが装置において実行されるとその種の方法を実施するために機械読み取り可能な媒体上に記憶されているプログラムコード手段を備えているコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
道路交通においては、ヘッドライトの送光が適合されていなければ危険の認識が過度に遅くなるので、特に暗闇において、また高速走行時には、例えば走行路上の無灯火の車両、物体、動物又は人間等のような危険が、死者及び重傷者を伴う重大な交通事故を引き起こすことが多い。
【0003】
特許文献1には、自動車の投光システム、特に道路交通に関与する自動車のヘッドライトシステムを制御するための方法、装置、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品が開示されている。この制御のために以下のステップが実施される:少なくとも車両速度の検出と投光システムの状態の検出とを含む目下の交通状況を検出するステップ、検出された交通状況に依存して投光システムの状態を調整するステップ。目下の交通状況を検出するステップは、更に、そのようにして検出された交通状況に依存して投光システムを調整するために障害物を検出するステップを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE 10 2008 041 355 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に比べて改善された、車両のヘッドライトの送光を制御するための方法と、その種の方法のステップを実施するように構成されている装置と、プログラムが装置において実行されるとその種の方法を実施するために機械読み取り可能な媒体上に記憶されているプログラムコード手段を備えているコンピュータプログラム製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
方法に関する課題は、方法が、受信装置を用いて受信した、車両(又は他の車両)にとっての危険を表す対象が存在している危険位置を示す少なくとも一つの危険警告信号を読み込むステップと、少なくとも一つの危険警告信号によって示された危険位置が、車両が目下走行しているルート上の許容領域内に存在しているか否かを検査するステップと、車両が目下走行しているルート上の許容領域内に危険位置が存在している場合には、少なくとも一つのヘッドライトの送光を制御するために、少なくとも一つのヘッドライトの送光を第1の放射特性から第2の放射特性へと変更するステップとを備えていることによって解決される。
【0007】
装置に関する課題は、装置が、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するように構成されていることによって解決される。
【0008】
コンピュータプログラム製品に関する課題は、コンピュータプログラム製品が、プログラムが装置において実行される場合に、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラムコードを備えていることによって解決される。
【発明の効果】
【0009】
車両としては例えば、自動車、特に陸上自動車、例えば乗用車、トラック、客車又はその他の輸送用車両が考えられる。少なくとも一つのヘッドライトとして、例えば車両のフロントヘッドライトが考えられる。ヘッドライトの送光を段階的又は無段階に変更することができる。ヘッドライトの送光をヘッドライトの放射特性に関して変更することができる。放射特性を、輝度、照明角度、照らし出すべき走行路領域の幅又は大きさ、照明の高さ、照明パターン、発光手段のスイッチオン又はスイッチオフ、及び/又は、同等のものに関連付けることができ、それらはヘッドライトによる光の送出を特徴付ける。受信装置は、少なくとも一つの危険警告信号を受信するように構成されている。受信装置をナビゲーション装置及び/又はその他のモバイルデータ伝送装置、例えばインターネット機能を備えた移動電話と接続することができるか、又はその種の装置の一部であっても良い。少なくとも一つの危険警告信号は、交通無線(交通無線受信装置を用いる)及び/又はインターネット及び/又はC2X通信もしくはC2C通信接続部を介して伝送される。従って、少なくとも一つの危険警告信号をインターネットサービスにも対応付けることができる。インターネットサービスは、交通危険通知を備えているインターネット内のデータバンクを有することができる。少なくとも一つの危険警告信号を、その種のインターネットサービスからのデータの形態で、ナビゲーション装置及び/又はインターネット機能を備えている移動電話によって受信乃至呼び出しすることができる。少なくとも一つの危険警告信号は標準化されたフォーマットを有することができる。少なくとも一つの危険警告信号は危険位置を表す。危険位置は、道路交通において危険状況が存在している地理的な位置である。そのような位置は点であるか、例えばある出発地から後続の地点までの区間又は領域である。交通無線を介して、道路交通を危険に曝す対象に関する通知が送出される。その種の対象の例として、人間、物体などが考えられ、それらは危険警告信号及びその対象の所属の位置の形態で提供される。走行路上の車両、物体、動物及び/又は人間は交通無線において特に、高速道路及び国道に関して通知される。それらの例は、特に、所定の車線上、所定の高速道路上、所定の出発地前方の所定の方向における照明されない車両、所定の車線、所定の高速道路、二つの地点間の所定の方向における連結者、排気管、タイヤ、又は、所定の高速度路、所定の出発地後方の所定の方向における物体、二つの地点間の所定の国道上の人間、二つの地点間の所定の高速道路上のイノシシ又は他の動物である。危険位置を、少なくとも一つの危険警告信号によって座標の形態で表すことができる。ナビゲーション装置は危険位置の座標を処理することができる。ナビゲーション装置は危険警告信号を交通無線からダウンロードし、危険をその危険位置と共に表し、処理することができる。ナビゲーション装置又はナビゲーション装置が基礎とするマップは例えば、車線も含めた道路を提供する。ナビゲーション装置は、そのナビゲーション装置が配置されている車両の位置を検出するため、またユーザ入力に基づきルートを算出するために構成されている。ナビゲーション装置は地図データを有することができる。ナビゲーションシステムは、位置決定部及び記憶されている地理情報を用いて、選択された地点までのルート案内を実現するか、又は所望の判定基準を考慮したルートを算出することができる。従って、車両がそのルート上を移動することを見込むことができる。許容領域とは、そのルートの付近の領域であると解され、そのルート及びルートの縁部を超えて延びている領域を含む。例えば、許容領域は車両が走行する道路の二倍の幅を有していても良い。このようにして、危険警告信号において、正確にはルート上に存在しておらず、ルートの縁部領域内、例えば高速道路の路肩に位置している危険位置が対応付けられている対象も危険と見なすことができる。
【0010】
本発明によれば、更に、本発明の方法を実施又は使用するために構成されている装置が提供される。特に、装置は、本方法のステップを実施するために構成されている複数のユニットを有することができる。装置の形態のこの本発明の実施の形態のヴァリエーションによっても、本発明が基礎とする課題を迅速且つ効率的に解決することができる。
【0011】
本発明においては、装置とは、センサ信号を処理してそのセンサ信号に依存して制御信号を出力する電気装置又は制御装置であると解される。装置は、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって構成することができるインタフェースを有することができる。ハードウェアにより構成されている場合には、インタフェースは例えば、装置の種々の機能を含むいわゆるシステムASICの一部で良い。しかしながら、インタフェースを固有の集積回路とすることができるか、又は、少なくとも部分的に離散的な構成素子から構成しても良い。ソフトウェアにより構成されている場合、インタフェースは例えば、他のソフトウェアモジュールと並列してマイクロコントローラに設けられているソフトウェアモジュールで良い。
【0012】
半導体メモリ、ハードディスク記憶装置又は光学的な記憶装置のような機械により読み出し可能な担体に記憶されており、プログラムが装置において実行される場合には上記の実施の形態の内の一つの実施の形態による方法を実施するために使用されるコンピュータプログラム製品も有利である。
【0013】
本発明は、車両の少なくとも一つのヘッドライトの送光の制御が、有利には交通無線危険警告に基づいて、例えばインテリジェンス車両ライトシステムの適合も実施することができるという知識を基礎としている。本発明の重要な態様は、車両の少なくとも一つのヘッドライトの送光の制御を、通知された危険に関して交通無線危険警告に適合させることである。この適合は例えば、ナビゲーション装置又は同等のもの、並びにインテリジェンスライトシステム又は適合型ライトシステムを使用することができ、また付加的に、車両ライト検出システムを用いて拡張することができる。
【0014】
本発明の利点は、ドライバが可能な限り早期に危険状況についての最適な視界を得ることができるということである。従って、交通の安全性が高まる、又は、事故の危険を低減することができる。更には、部分的には既存の入力量及び複数のユニットを使用することができるので、危険警告信号を使用する送光の制御は廉価でスペースを節約する解決手段を表す。また危険警告信号は信頼性の高いデータ基礎を表す。
【0015】
つまり、変更のステップにおいては、第1の放射特性が元々の放射特性を表すことができる。また、第2の放射特性は示された危険位置に適合された放射特性を表すことができる。第2の放射特性を使用して照明を行なう場合、第1の放射特性を使用して照明を行なう場合よりも明るく、示された危険位置を照らし出すことができる。第1の放射特性又は元々の放射特性は例えばロービーム又はハイビームを表すことができるか、もしくは、ロービーム又はハイビームに類似するもので良い。第2の放射特性又は示された危険位置に適合された放射特性は例えばハイビーム又はカーブ光又は同等のものを表すことができるか、又はハイビーム又はカーブ光又は同等のものに類似するもので良い。従って、第2の放射特性は第1の放射特性に関して、車両前方の照明すべき車線領域の変更された輝度、変更された照明角度、変更された幅又は変更された大きさ、変更された照明高さ、変更された照明パターン、及び/又は、同等のものを有することができる。危険位置についての改善された視界がドライバに提供されることが適合の本質を成す。例えば、危険位置が可能な限り早期に及び/又は顕著に、もしくは完全に照らし出されるか、又は照明されるように車両ライトが適合されることが改善された視界の本質を成す。その種の実施の形態は、危険位置の最適な照明を実施することができるという利点を提供する。つまり、車両のドライバにとっての危険位置についての視界を更に改善することができ、それにより交通の安全性が更に高まる。
【0016】
更には、少なくとも一つの危険警告信号に基づいて、又は、少なくとも一つの危険警告信号並びに示された危険位置の周囲にある少なくとも一つの別の車両の位置に基づいて、第2の放射特性を決定するステップを実施することができる。少なくとも一つの別の車両の位置を例えば、対象識別機能を備えている車両カメラによって求めることができる。その種の実施の形態は、危険位置の最適な照明に個別に合わせられた放射特性を調整できるという利点を提供し、これによって事故の危険が更に低減される。更には、この場合には他の交通関与体の幻惑も回避することができるか、又は低減することができる。これによって交通の安全性は高まる。
【0017】
更には、読み込みのステップにおいては、付加的に危険特性を示す少なくとも一つの危険警告信号が読み込まれる。危険特性は例えば、危険が静的な対象に由来するのか、移動する対象に由来するのかについての情報を含むことができる。また、危険特性は危険を生じさせる対象の速度、移動方向、数、及び/又は、同等のものを表すことができる。少なくとも一つの危険警告信号において示されている危険特性を、送光を変更するステップにおいて、及び/又は、第2の放射特性を決定するステップにおいて考慮することができる。従って、その種の実施の形態は、車両の少なくともヘッドライトの放射特性を、予測すべき危険にさらに精確に適合させることができ、またそれによって交通の安全性を更に高めることができる。
【0018】
更には、許容領域を求めるステップを、少なくとも一つの危険警告信号に依存して、又は、少なくとも一つの危険警告信号並びに示された危険位置における道路特性に依存して実施することができる。許容領域を例えば危険位置に依存して求めることができる。付加的又は択一的に、許容領域を危険特性に依存して求めることができる。許容領域を求める際には、危険を生じさせる対象が移動している対象であるのか、又は静止している対象であるのかを考慮することができる。道路特性として道路の幅、傾斜、湾曲部が考えられる。また、許容領域を求める際に、少なくとも一つの危険警告信号における危険位置の情報の精度も考慮することができる。その種の実施の形態は、少なくとも一つの危険警告信号における潜在的に不正確な情報等を補償することができ、それにより危険位置についての視界の確実な改善を保証することができるので、安全性についての緩衝的な役割を果たすという利点を提供する。
【0019】
特に、変更のステップにおいては、車両が示された危険位置に所定の距離まで接近すると、少なくとも一つのヘッドライトの送光を変更することができる。少なくとも一つの危険警告信号に基づいて距離を設定することができる。特に、その距離を危険特性に基づいて設定することができる。例えば、危険を生じさせる対象が移動している場合には、所定の距離内での対象の算定された移動を考慮することができる。その種の実施の形態は、やはり少なくとも一つの危険警告信号における潜在的に不正確な情報などを補償することができ、それにより危険位置についての視界の確実で適時の改善を保証することができるので、安全性についての緩衝的な役割を果たすという利点を提供する。
【0020】
一つの実施の形態によれば、車両が危険位置を通過したときに、少なくとも一つのヘッドライトの送光を第2の放射特性から第3の放射特性に変更するステップを設けることができる。第1の放射特性に変更すること、又は第1の放射特性に戻すことが、危険位置を通過した後の交通状況を考慮して不適切である場合には、送光を第3の放射特性に変更することができる。このことは、他車両が第1の放射特性によって幻惑される虞がある等の場合に考えられる。その種の実施の形態は、目下の交通状況へのフレキシブルな反応を実現し、危険位置を通過した後でも他車両の幻惑を低減又は回避することができるという利点を提供する。
【0021】
更には、各段階において、自車両(のみ)に関する照明だけでなく、他の交通関与体に関する照明も実施する照明特性も考えられる。
【0022】
別の実施の形態によれば、車両が危険位置を通過したときに、少なくとも一つのヘッドライトの送光を第1の放射特性に戻すステップを設けることができる。この場合、第2の放射特性から第1の放射特性に戻すことができる。択一的又は付加的に、第3の放射特性からも第1の放射特性に戻すことができる。第1の放射特性が危険位置の通過後の目下の交通状況に適している場合には、第1の放射特性に戻すことができる。このことは例えば、危険位置の通過後の交通状況が実質的に、第1の放射特性から第2の放射特性への送光を変更する時点の交通状況に対応する場合が考えられる。その種の実施の形態は、交通状況が許容できるものであり、車両が更に走行する際の送光を最適に交通状況に適合できる場合に、元々の送光に戻されるという利点を提供する。
【0023】
以下では、添付の図面に基づいて本発明を例示的により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態による制御装置を備えている車両の概略図を示す。
【図2】本発明の実施例による方法のフローチャートを示す。
【図3】車両の種々の放射特性を示す。
【図4】ある放射特性での二つの車両を示す。
【図5A】ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【図5B】ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【図5C】本発明の実施例による、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【図6A】ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【図6B】本発明の実施例による、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【図7A】ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【図7B】本発明の実施例による、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【図8A】ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【図8B】ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【図8C】本発明の実施例による、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【図9】本発明の実施例による、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図中、同一又は同様の構成要素には同一又は同様の参照番号を付してあるので、反復的な説明は省略する。更には、図面における各図、それら図面の説明並びに請求項は、多数の特徴の組み合わせを含んでいる。それらの特徴を個別に考察できること、また、それらの特徴をここでは明示的に示さない別の組み合わせに統合できることも当業者には明らかである。更に以下の説明においては、必要に応じて種々の尺度及び寸法を使用して本発明を説明するが、本発明はそれらの尺度及び寸法に限定されるべきものではない。さらには、本発明による方法のステップを繰り返し実施することができ、また上記の順序とは異なる順序で実施することもできる。第1の特徴/第1のステップと第2の特徴/第2のステップとの間に「及び/又は」の接続詞を含む実施例の場合、この実施例は、第1の実施の形態によれば第1の特徴/第1のステップも、第2の特徴/第2のステップも有するものであり、また別の実施の形態によれば、第1の特徴/第1のステップのみを有するか、第2の特徴/第2のステップのみを有するものと解される。
【0026】
図1は、本発明の一つの実施例による制御装置を備えている車両100の概略図を示す。車両100は例えば、二つのヘッドライト105、制御装置110、読み込み装置120、検査装置140及び変更装置160を備えている。二つのヘッドライト105は例えば少なくとも一つの信号線路を介して制御装置110と接続されている。制御装置110は読み込み装置120、検査装置140及び変更装置160を備えている。
【0027】
ヘッドライト105は少なくとも一つの信号線路を介して、制御信号を制御装置110から受信することができる。制御信号によって、ヘッドライト105の送光を変更することができる。個々のヘッドライト105は一つ又は複数の発光手段を有することができる、及び/又は、別のヘッドライトとは異なる放射特性を有することができる。
【0028】
制御装置110を、車両100のヘッドライト105の送光の制御を実施するために構成することができる。特に、制御装置110は、少なくとも一つの危険警告信号を考慮して、車両100のヘッドライト105の送光の制御を実施するために構成することができる。制御装置110の読み込み装置120、検査装置140及び変更装置160は少なくとも一つの通信インタフェースを介して相互に接続されている。検査装置140は読み込み装置120と変更装置160との間に接続されている。図1に示されていないとしても、制御装置110は入力インタフェースを有することができる。制御装置110を、入力インタフェースを介して少なくとも一つの危険警告信号を受信するために構成することができる。危険警告信号を受信装置から制御装置110に出力することができる。更には、制御装置110を、入力インタフェースを介して走行データを受信するために構成することができる。走行データをナビゲーション装置から制御装置110に出力することができる。走行データは位置データ、ルートデータ等を有することができる。制御装置110は少なくとも一つの信号線路を介して、制御信号をヘッドライト105に出力することができる。制御装置110は、制御信号を介してヘッドライト105の送光を制御するために構成されている。
【0029】
制御装置110の読み込み装置120は、少なくとも一つの危険警告信号を受信装置から読み込むために構成されている。少なくとも一つの危険警告信号は危険位置を示す。読み込み装置120は少なくとも一つの危険警告信号を検査装置140に出力することができる。
【0030】
検査装置140は少なくとも一つの危険警告信号を読み込み装置120から受信することができる。検査装置140は、少なくとも一つの危険警告信号によって示された危険位置が、車両100が目下走行しているルート上の許容領域内に位置しているか否かを検査するために構成されている。検査装置140は検査の結果を検査信号の形態で変更装置160に出力することができる。少なくとも一つの危険警告信号によって示された危険位置が、車両100が目下走行しているルート上の許容領域内に存在している場合には、検査信号は第1の論理値を有することができる。少なくとも一つの危険警告信号によって示される危険位置が、車両100が目下走行しているルート上の許容領域外に存在している場合には、検査信号は第2の論理値を有することができる。
【0031】
変更装置160は検査信号を検査装置140から受信することができる。車両が目下走行しているルート上の許容領域内に危険位置が存在している場合には、ヘッドライト105の送光を第1の放射特性から第2の放射特性に変更するために変更装置160は構成されている。変更装置160は制御信号を形成することができ、この制御信号は放射特性の変更を表す。
【0032】
図2は、本発明の一つの実施例による、車両の少なくとも一つのヘッドライトの送光を制御するための方法200のフローチャートを示す。方法200は受信装置を使用する。この方法200は、危険位置を示す少なくとも一つの危険警告信号を受信装置から読み込むステップ220を備えている。さらにこの方法200は、少なくとも一つの危険警告信号によって示された危険位置が、車両が目下走行しているルート上の許容領域内に存在しているか否かを検査するステップ240を備えている。更にこの方法200は、車両が目下走行しているルート上の許容領域内に危険位置が存在している場合には、少なくとも一つのヘッドライトの送光を制御するために、少なくとも一つのヘッドライトの送光を第1の放射特性から第2の放射特性へと変更するステップ260を備えている。この方法200を、例えば図1に示した制御装置のような装置と関連させて有利に実施することができる。従って、この方法200のステップを実施するために、制御装置、もしくは図1に示した制御装置の複数のユニットを構成することができる。
【0033】
図3は、異なる放射特性での車両を示す。車両100、第1のヘッドライト調整乃至第1の放射特性370、第1の視界375、第2のヘッドライト調整乃至第2の放射特性380及び第2の視界385が示されている。車両100カーブ上に存在している。車両100として、図1に示した車両又は別の車両が考えられる。第1の放射特性370は車両100の第1の光円錐を生じさせる。第2の放射特性380は車両100の第2の光円錐を生じさせる。第1の放射特性370は車両100の通常のロービームに対応する。第1の視界375は第1の放射特性370に対応付けられている。第2の放射特性380を動的なカーブ光に対応することができる。第2の視界385は第2の放射特性380に対応付けられている。第2の視界385は第1の視界375に比べて2倍になっている。
【0034】
図4は、ある放射特性での二つの車両を示す。車両100、放射特性380及び別の車両又は他車両400が示されている。車両100及び車両400は道路上において相互に間隔を空けて位置している。車両100及び車両400は例えば相互に接近するように走行しているか、又は同じ方向に走行していることが考えられる。放射特性380は車両100に対応付けられている。放射特性380は、車両100と車両400との間の距離の2倍の距離にわたり車両100から延在する光円錐を生じさせる。光円錐は、他車両400を検知できない、又は殆ど検知できないように構成されている。つまり、他車両400は光円錐によって照明されない、又は殆ど照明されない。
【0035】
図5Aは、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。車両100、他車両400、放射特性570及び危険位置590が示されている。車両100として図1に示した車両が考えられる。車両100を自車両と称することもできる。車両100及び他車両400は道路上に存在している。道路として例えば国道又は街道が考えられる。道路は直線状に延びている。車両100及び他車両400は道路の異なる車線上を相互に接近するように移動している。従って他車両400は車両100にとっての対向車両を表す。放射特性570は車両100に対応付けられている。ここで、放射特性570は車両100の光円錐に対応する。放射特性570は例えばロービームに対応していることが考えられる。放射特性570によって生じる光円錐は、他車両400の走行方向とは反対方向に配向されている。車両100及び他車両400は道路の長手延在方向に沿って相互に間隔を空けて存在している。放射特性570によって生じる車両100の光円錐は、車両100と他車両400との間の距離の一部にわたり延在している。危険位置590は、危険の位置又は危険を生じさせる対象の位置を表す。危険位置590は車両100前方の走行方向にある道路の縁部領域内に存在している。車両100と危険位置590との間の距離は、車両100と他車両400との間の距離にほぼ対応している。対象として例えば、道路の端に居る人間、道路の端にあるその他の対象物等が考えられる。
【0036】
図5Bは、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。図5Bは、放射特性570が図5Aに示した光円錐よりも大きい光円錐を生じさせる点を除き図5Aに対応している。放射特性570によって生じるこの光円錐は、図5Aに示した車両100と他車両400との間の距離の一部よりも大きい部分にわたり延在している。放射特性570は例えばハイビームに対応していることが考えられる。
【0037】
図5Cは、本発明の一つの実施例による、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。図5Cは、車両100に放射特性580が対応付けられている点を除き図5A又は図5Bに対応している。放射特性580として、危険位置590に適合されている放射特性が考えられる。放射特性580は危険位置590を照明する光円錐を生じさせ、他車両400は放射特性580によって生じる光円錐の外側に存在している。放射特性580によって生じる光円錐は他車両400から離れる方向に、且つ危険位置590の方向に向かって振られている。放射特性580を例えば、図2に示した方法のような、車両の少なくとも一つのヘッドライトの送光を制御するための方法を使用して調整することができる。
【0038】
図6Aは、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。図6Aは、他車両が示されていない点、道路が三つの車線を有している点を除き図5Bに対応しており、ここでは車両100が中央の車線上に存在しており、且つ、危険位置590が道路の別の位置に存在している。図6Aにおいては、道路として例えば高速道路が考えられる。危険位置590にある、危険を生じさせる対象として、例えば左側の車線内の照明されていない車両が考えられる。放射特性570によって形成される車両100の光円錐は、車両100と危険位置590との間の距離の一部にわたり延在している。
【0039】
図6Bは、本発明の一つの実施例による、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。図6Bは、車両100に放射特性580が対応付けられている点を除き図6Aに対応している。放射特性580は危険位置590に適合された放射特性である。放射特性580は、危険位置590を照明する光円錐を生じさせる。放射特性580によって生じる光円錐は危険位置590の方向に向かって振られている。道路の右側の車線は実質的に光円錐によって照明されない。放射特性580を例えば、図2に示した方法のような、車両の少なくとも一つのヘッドライトの送光を制御するための方法を使用して調整することができる。従って、図6Bは原則として図5Cにも対応している。
【0040】
図7Aは、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。図7Aは、危険位置590が中央の車線内に存在している点を除き図6Aに対応している。従って、車両100は危険位置590と同一の車線内に存在している。
【0041】
図7Bは、本発明の一つの実施例による、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。図7Bは、車両100に放射特性580が対応付けられている点を除き図7Aに対応している。放射特性580として危険位置590に適合された放射特性が考えられる。放射特性580は、危険位置590を照明する光円錐を生じさせる。実質的に、道路の中央の車線のみが光円錐によって照明される。放射特性580を例えば、図2に示した方法のような、車両の少なくとも一つのヘッドライトの送光を制御するための方法を使用して調整することができる。従って、図7Bは原則として図5C又は図6Bにも対応している。
【0042】
図8Aは、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。図8Aは、危険位置590が道路の異なる位置に存在しており、且つ、その危険位置590の周囲に許容領域895が示されている点を除き、図5Aに対応している。図8Aにおいては、他車両400が車両100と危険位置590との間に存在している。危険位置590においては、危険が複数の対象に由来していることが考えられる。対象として道路を横切る動物又は鳥獣が考えられる。許容領域895は二つの車線にわたり道路を横断する方向に延在しており、且つ、道路の両側では道路縁部を超えて延在している。許容領域895は道路の長手延在方向に沿って所定の区間にわたり延在している。図8Aにおいて、他車両400は許容領域895内に存在している。許容領域895は、危険を生じさせる対象、即ちここでは道路を横切る動物が場合によっては、通知された危険位置590から離れる方向に移動することを考慮する。
【0043】
図8Bは、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。図8Bは、放射特性570が図8Aに示した光円錐よりも大きい光円錐を生じさせる点を除き図8Aに対応している。放射特性570によって生じる光円錐は、図8Aに示した車両100と危険位置590乃至許容領域895との間の距離の一部よりも大きい部分にわたり延在している。放射特性570を例えばハイビームに対応していることが考えられる。
【0044】
図8Cは、本発明の一つの実施例による、ある放射特性での交通状況の概略図を示す。図8Cは、車両100に放射特性580が対応付けられている点を除き図8A又は図8Bに対応している。放射特性580は危険位置590及び/又は許容領域895に適合された放射特性である。放射特性580は危険位置590及び許容領域895の大部分を照明する光円錐を生じさせ、他車両400は放射特性580によって生じる光円錐の外側に存在している。放射特性580は図4に示した放射特性に類似するもので良い。放射特性580を例えば、図2に示した方法のような、車両の少なくとも一つのヘッドライトの送光を制御するための方法を使用して調整することができる。従って、図8Cは原則として、図5C、図6B又は図7Bにも対応している。
【0045】
図9は、本発明の一つの実施例による、ある放射特性にでの交通状況の概略図を示す。図9は、二台の他車両400が示されており、且つ、道路がカーブを表している点を除き図5Cに対応している。道路として例えば高速道路又は国道が考えられる。図9において、カーブは車両100の走行方向において右カーブである。危険位置590にある、危険を生じさせる対象として、例えば車両100の車線上の物体又は道路縁部に存在する物体が考えられる。第1の他車両400は車両100と危険位置590との間に存在している。第1の他車両400は同一車線内に存在しており、且つ、車両100と同じ方向に移動している。第2の他車両400は道路の経過において危険位置590とほぼ同じ高さに位置している。第2の他車両400は車両100及び第1の他車両400とは異なる車線内に存在している。第2の他車両400は車両100及び第1の他車両400とは反対方向に移動している。従って、第2の他車両400は車両100及び第1の他車両400にとっての対向車である。放射特性580は、危険位置590を照明する光円錐を生じさせる。放射特性580によって生じる光円錐は第2の他車両400を照明しない。放射特性580によって生じる光円錐を、第1の他車両400のドライバの幻惑が少ないか、又は第1の他車両400のドライバが幻惑されないように、第1の他車両400を照明するように形成することができる。放射特性580を例えば動的なカーブ光、例えば図3に示したカーブ光に対応付けることができる。放射特性580を例えば、図2に示した方法のような、車両の少なくとも一つのヘッドライトの送光を制御するための方法を使用して調整することができる。従って、図9は原則として図5C、図6B、図7B又は図8Cにも対応している。
【0046】
以下では、図1から図9を参照しながら、本発明の一つの実施例を要約して説明する。先ず、危険警告信号の形態の交通無線危険警告が受信及び読み込まれる。次に、通知された危険が自身のルート上の前方にあるか否かが求められる。危険が自身のルート上に存在しない場合には、次の警告を待機する。そうでない場合には以下のステップが実施される。ライトシステムが危険通知に適合されて調整されることがドライバに通知される。車両ライトを、以下の可能性の内の少なくとも一つに応じて適合させることができる。ハイビームがスイッチオンされるか、又は、危険位置590における危険位置が適合される。即ち、接近する危険位置が良好に照らし出され、且つ他の交通関与体、考えられる対向車、同一車線上及び/又は他の車線上の交通関与体が幻惑されないように、ハイビームの光円錐が調整される。つまりヘッドライト105の放射特性が変更される。同様に、他のライトシステム、例えばカーブライトシステムがこの方法200を用いて調整されるか、又は、その機能が制限される、及び/又は、規定される。以下では拡張された例を説明する。車両100内に、視認可能な接近する交通関与体をカメラによって識別することができる、上述したようなIHC(Intelligent Headlight Control)システムが付加的に設けられている場合、このシステムを本方法200において付加的に使用することができる。即ちこのシステムを用いることにより、他車両400を幻惑させないために、この他車両400が存在しているか否か、及びどこに他車両400が存在しているかが検査される。危険な状況が過ぎ去ると、又は危険位置590を通過すると、危険位置590よりも前及び/又は危険警告通知前の車両100の光の元々の状態が回復される。車両100内に付加的なIHCシステムが存在している場合には、放射特性を回復するステップの際にこのシステムを付加的に使用することができる。即ちこのシステムを用いることにより、元々の光状態又は元々の放射特性570を回復する前に、他車両400が接近しているか否か、放射特性を回復することが有効であるか否か、また例えば他の交通関与体の幻惑を惹起するか否かが検査される。
【0047】
従って、本発明の実施例によれば、交通無線危険警告に基づいた、例えばインテリジェンス車両ライトシステムの適合が行なわれる。本発明の利点は、車両100のドライバが危険位置590における危険状況についての最適な視界を可能な限り早期に得られることである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置を使用する、車両(100)の少なくとも一つのヘッドライト(105)の送光を制御するための方法(200)において、
該方法(200)は、
前記受信装置を用いて受信した、前記車両(又は他の車両)にとっての危険を表す対象が存在している危険位置(590)を示す少なくとも一つの危険警告信号を読み込むステップ(220)と、
前記少なくとも一つの危険警告信号によって示された前記危険位置(590)が、前記車両(100)が目下走行しているルート上の許容領域(895)内に存在しているか否かを検査するステップ(240)と、
前記車両(100)が目下走行しているルート上の許容領域(895)内に前記危険位置(590)が存在している場合には、前記少なくとも一つのヘッドライト(105)の送光を制御するために、前記少なくとも一つのヘッドライト(105)の送光を第1の放射特性(570)から第2の放射特性(580)へと変更するステップ(260)と、
を備えていることを特徴とする、ヘッドライト(105)の送光を制御するための方法(200)。
【請求項2】
前記変更のステップ(260)においては、前記第1の放射特性(570)が元々の放射特性を表し、前記第2の放射特性(580)が、前記示された危険位置(590)に適合された放射特性を表し、
前記示された危険位置(590)は、前記第2の放射特性(580)を使用して照明を行なう場合には、前記第1の放射特性(570)を使用して照明を行なう場合よりも明るく照明されている、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記少なくとも一つの危険警告信号に基づいて、又は、前記少なくとも一つの危険警告信号並びに前記示された危険位置(590)の周囲における少なくとも一つの別の車両(400)の位置に基づいて、前記第2の放射特性を決定するステップを備えている、請求項1又は2に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記読み込みのステップ(220)において、付加的に危険特性を示す少なくとも一つの危険警告信号を読み込む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項5】
前記少なくとも一つの危険警告信号に依存して、又は、前記少なくとも一つの危険警告信号並びに前記示された危険位置(590)における道路特性に依存して、前記許容領域(895)を求めるステップを備えている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記変更のステップにおいて、前記車両(100)が前記示された危険位置(590)に所定の距離まで接近すると、前記少なくとも一つヘッドライト(105)の送光を変更する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項7】
前記車両(100)が前記危険位置(590)を通過したときに、前記少なくとも一つのヘッドライト(105)の送光を前記第2の放射特性(580)から第3の放射特性に変更するステップを備えている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項8】
前記車両(100)が前記危険位置(590)を通過したときに、前記少なくとも一つのヘッドライト(105)の送光を前記第1の放射特性(570)に戻すステップを備えている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法(200)。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法(200)のステップを実施するように構成されている、装置(110)。
【請求項10】
プログラムが装置(110)において実行される場合に、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法(200)を実施するためのプログラムコードを備えているコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−43641(P2013−43641A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−184403(P2012−184403)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】