説明

受信装置及び受信信号のデータ復調方法

【課題】 低消費電力化、低コスト化及び高性能化を実現することができる受信装置及び受信信号のデータ復調方法を得る。
【解決手段】 サブキャリア検出回路3で、ASK又はFSK通信方式を採用する記録媒体11からアンテナ2を介して受信した信号からキャリアを除いた信号を得た後、A/D変換回路4でA/D変換して2値化し、LSI5内の周期計測回路21で、該2値化した信号から同じくLSI5内のレジスタ23に設定されたサブキャリアの周期を持つ信号を抽出し、LSI5内の波形整形回路22で、該抽出した信号の立ち上がりエッジ信号から、PC10からの要求に対する記録媒体11からの返答を得るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数シフトキーイング通信方式又は振幅シフトキーイング通信方式を用いるICを搭載した媒体からの信号を受信する受信装置及び受信信号のデータ復調方法に関し、特に、ICカードやICタグ等のような媒体に対してデータ読み出し及び/又は書き込みを行うリーダ及び/又はライタにおける受信装置及び受信信号のデータ復調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICを搭載したICカードやICタグ等のような記録媒体とデータのやり取りを行うICを搭載したリーダ/ライタが多く利用されている。該リーダ/ライタには、前記記録媒体とデータ送受信を行うためにアンテナが取り付けられており、該アンテナから発せられる電磁波により、該記録媒体に誘導電流が流れる。該誘導電流を電源にして前記記録媒体が動作し、該記録媒体は、所望の返答を電磁波に乗せてリーダ/ライタに送信する。このような記録媒体との通信方式には、振幅シフトキーイング(以下、ASKと呼ぶ)通信方式、又は周波数シフトキーイング(以下、FSKと呼ぶ)通信方式が用いられている。
【0003】
国際規格であるISO15693では、ASK通信方式及びFSK通信方式による通信規格が用いられる。ASK通信方式では無変調期間と、キャリア周波数による変調期間が存在し、該変調期間の有無に応じてそれぞれデータ値「1」と「0」に割り当てる。また、FSK通信方式では2つの異なるキャリア周波数を持ち、キャリア周波数に応じてそれぞれデータ値「1」と「0」に割り当てる。なお、以下、このようなキャリアをサブキャリアと呼び、該サブキャリアを送信するために使用される搬送波を単にキャリアと呼ぶ。
従来、FSK通信方式においては、記録媒体からの返答を受信する際に、帯域通過フィルタやノッチフィルタをアナログ回路又はデジタル回路で構成し、記録媒体からの返答信号に含まれる一方の周波数を持つパルスを除去して他方の周波数を持つパルスのみを検出し、包絡線検波回路等を使用して元のデータ値「1」と「0」を得た上で、CPU等によりサンプリングしてデータ解析を行う。
【0004】
ASK通信方式においては、2つのサブキャリア周波数を使用せず、1つのサブキャリア周波数のみを使用するため、帯域フィルタやノッチフィルタは必ずしも必要ではない。包絡線検波回路等を使用して元のデータ値「1」と「0」を得た上で、CPU等でサンプリングして解析を行っている。受信信号のサンプリングは、汎用マイコンを利用して、受信するデータ周波数よりも高速にサンプリングを行い、一度メモリにすべてのサンプリングデータを蓄積した上で解析を行う。
【0005】
図3は、FSK通信方式を用いるICを搭載した記録媒体と通信を行うリーダ/ライタの内部構成例を示したブロック図である(例えば、特許文献1参照)。
図3において、矢印は記録媒体からの返答受信時におけるデータの流れを示しており、記録媒体への送信時のデータの流れは省略している。
記録媒体110からの返答は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと呼ぶ)111からの要求に応じて、記録媒体110とリーダ/ライタ100のアンテナ101との間での誘導結合を利用してアンテナ101へと伝えられる。
アンテナ101によって検出される記録媒体110からの信号には、1つ、又は2つのある特定の周期を持つパルスであるサブキャリアが存在し、サブキャリア検出回路102によりサブキャリアのみの信号を得る。すなわち、前記のある特定のサブキャリアのみを抽出して、それ以外の周期を持つパルス、例えば前記キャリアやノイズ等を除去する。
【0006】
ここで、一方の周波数を持つサブキャリアAが存在する区間を記録媒体の返答におけるデータ値「1」、他方の周波数を持つサブキャリアBが存在する区間をデータ値「0」とする。FSK通信方式のデータ値「1」と「0」の割り当ては記録媒体が準拠する規格で規定されている。
サブキャリア除去回路103では、FSK通信方式の場合にサブキャリアA若しくはサブキャリアBのみを検出し、又はサブキャリアA若しくはサブキャリアBのみを除去する。2つのサブキャリアのうち一方のみを検出、又は除去することで、ASK通信方式と同様に、サブキャリアAの存在する区間と存在しない区間からなる信号を得る。
包絡線検波回路104では、サブキャリア除去回路103で得た信号波形の包絡線を取り出す。包絡線検波回路104で包絡線を取り出すことにより、サブキャリアの存在した区間はデータ値「1」であることが明確になる。
A/D変換回路105では、包絡線検波回路104で得た信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号は、CPU106でサンプリングされ解析が行われる。CPU106で解析された結果は、PC111に送られる。
【特許文献1】特開2005−38228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ISO15693規格において、キャリアの周波数は13.56MHzであり、FSK通信方式におけるサブキャリアAの周波数は423.75kHz、サブキャリアBの周波数は484.28kHzである。このように、サブキャリアA及びBの周波数は近接しており、デジタル回路により精度良くサブキャリアの判別とデータ復調が行えることは、リーダ/ライタと記録媒体との通信品質を向上させる上で極めて重要である。ISO15693規格では誘導電流を利用して通信を行うことから、通信経路において通信性能を低下させる要因が多く存在する。このため、通信波形を補正するか、又は想定される周波数誤差を許容してサブキャリア判別を行う必要があった。
【0008】
しかし、前記のような従来のリーダ/ライタでは、FSK通信方式において一方のサブキャリア周波数を有するパルスのみを抽出又は除去するための帯域通過フィルタや、ノッチフィルタが必要であった。このような帯域通過フィルタやノッチフィルタによるサブキャリア周波数のフィルタリングでは、FSK通信方式に採用される2つのサブキャリア周波数が近接する場合には、抽出又は除去が確実に行うことができなかった。更に通信環境によっては、サブキャリア周波数が必ずしも規格通りに得られるとは限らず、この場合も間違った信号を後の処理にかけることになっていた。
【0009】
また、FSK通信方式及びASK通信方式において、サンプリングによってデータ値を検出するための復調信号を生成する包絡線検波回路を必要としていた。しかし、前記のようなフィルタ回路で間違った信号が生成されても、包絡線検波回路には補正する手段がなく、受信したデータの復調誤りを防ぐためにこのような補正機能を導入する必要があった。
また、図3のようなアナログ回路で形成したデータ復調回路では、コストの低下及び消費電力の低減を図ることができなかった。
【0010】
本発明は、前記のような問題を解決するためになされたものであり、検出したサブキャリアをA/D変換してからデータ復調を行うようにして、低消費電力化、低コスト化及び高性能化を実現することができる受信装置及び受信信号のデータ復調方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る受信装置は、周波数シフトキーイング通信方式又は振幅シフトキーイング通信方式を用いるICを搭載した媒体からの信号をアンテナを介して受信する受信装置において、
前記媒体から前記アンテナを介して受信した信号から、特定の周波数のキャリアであるサブキャリアを検出して出力するサブキャリア検出回路部と、
該サブキャリア検出回路部から出力された信号をA/D変換して出力するA/D変換回路部と、
該A/D変換回路部の出力信号から、あらかじめ設定された周期の信号を抽出し、該抽出した信号における信号レベルの変異エッジを出力する変異エッジ検出回路部と、
該変異エッジ検出回路部から前記変異エッジが出力されると前記サブキャリアの周期に相当する時間、所定の信号レベルのパルス信号を生成して出力する波形整形回路部と、
該波形整形回路部の出力信号を解析して前記媒体から出力されたデータを抽出するデータ抽出回路部と、
を備えるものである。
【0012】
また、前記波形整形回路部は、前記生成したパルス信号の各パルスの終端エッジをそれぞれ所定の時間早める補正を行って前記データ抽出回路部に出力するようにした。
【0013】
また、前記変異エッジ検出回路部、波形整形回路部及びデータ抽出回路部は、1つのICに集積されるようにした。
【0014】
また、この発明に係るデータ復調方法は、周波数シフトキーイング通信方式又は振幅シフトキーイング通信方式を用いるICを搭載した媒体から受信した信号に対するデータ復調方法において、
前記媒体から受信した信号から特定の周波数のキャリアであるサブキャリアを検出し、
該検出したサブキャリアをA/D変換し、
該A/D変換した信号から、あらかじめ設定された周期の信号を抽出し、
該抽出した信号における信号レベルの変異エッジの検出を行い、
該変異エッジが検出されると前記サブキャリアの周期に相当する時間、所定の信号レベルのパルス信号を生成し、
該生成したパルス信号から前記媒体からのデータを得るようにした。
【0015】
また、前記生成したパルス信号の各パルスの終端エッジをそれぞれ所定の時間早める補正を行い、該補正して得られた信号から前記媒体からのデータを得るようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明の受信装置及び受信信号のデータ復調方法によれば、前記媒体から受信した信号から特定の周波数のサブキャリアを検出し、該検出したサブキャリアをA/D変換し、該A/D変換した信号から、あらかじめ設定された周期の信号を抽出し、該抽出した信号における信号レベルの変異エッジの検出を行い、該変異エッジが検出されると前記サブキャリアの周期に相当する時間、所定の信号レベルのパルス信号を生成し、該生成したパルス信号から前記媒体からのデータを得るようにした。このことから、専用LSIを使用して、媒体から受信した信号のデータ復調処理の大半を行うことができ、低消費電力化を図ることができる。更に、通信方式に因らない構成にすることができ、専用LSIの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0017】
更に、変異エッジが検出されると前記サブキャリアの周期に相当する時間、所定の信号レベルのパルス信号を生成するようにしたことから、サブキャリア周期の変動や、ノイズ又はその他要因によるサブキャリアの消失に対して補正をかけることができ、通信性能の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態における受信装置の構成例を示した図である。なお、図1では、受信装置として、FSK通信方式を用いるICを搭載した記録媒体に対してデータ書き込み及びデータ読み出しを行うリーダ/ライタを例にし、該記録媒体からデータを受信した時に動作する回路部分のみを示している。
図1において、リーダ/ライタ1は、外部のPC10の指示に基づいて、FSK通信方式を用いるICを搭載したICカードやICタグ等のような記録媒体11に対してデータの書き込み又はデータの読み出しを行うものである。
【0019】
リーダ/ライタ1は、アンテナ2、サブキャリア検出回路3、A/D変換回路4及びLSI5で構成されている。
記録媒体11から送信された信号は、アンテナ2で受信され、サブキャリア検出回路3は、該受信信号からキャリアやノイズ等を除去して、特定の周波数のサブキャリアA及びサブキャリアBのみを抽出して出力する。前述したように、ISO15693規格において、キャリアの周波数は13.56MHzであり、FSK通信方式におけるサブキャリアAの周波数は423.75kHz、サブキャリアBの周波数は484.28kHzである。
A/D変換回路4は、サブキャリア検出回路3から出力された信号をA/D変換してLSI5に出力する。以降の信号処理は、専用のLSI5によって行われ、該LSI5をコントロールするソフトウェアによって管理される。
【0020】
LSI5は、図2で示すように、周期計測回路21、波形整形回路22、レジスタ23及びCPU24を備え、レジスタ23には、周期計測回路21及び波形整形回路22をコントロールするための設定値があらかじめソフトウェアによって管理し保存されている。また、周期計測回路21は、立ち上がりエッジ検出回路31及び周期計測カウント回路32で構成されている。なお、サブキャリア検出回路3はサブキャリア検出回路部を、A/D変換回路4はA/D変換回路部を、周期計測回路21及びレジスタ23は変異エッジ検出回路部を、波形整形回路22及びレジスタ23は波形整形回路部を、CPU24はデータ抽出回路部をそれぞれなす。
立ち上がりエッジ検出回路31には、サブキャリアAとサブキャリアBからなる信号が入力され、立ち上がりエッジ検出回路31は、サブキャリアA及びBにおける立ち上がりエッジの検出を行う。立ち上がりエッジとは入力された信号が「0」から「1」に変化するタイミングのことであるが、データ値が「1」から「0」に変化するタイミングである立ち下がりエッジを検出するようにしてもよい。
【0021】
周期計測カウント回路32は、立ち上がりエッジ検出回路31で得られた、1つの立ち上がりエッジから次の立ち上がりエッジまでの時間、すなわちパルス周期の計測を行う。FSK通信方式では、サブキャリアA及びBのみからなる信号の立ち上がりエッジの検出を行うため、パルス周期はサブキャリアAとBの2つの周期が計測される。ここで、レジスタ23には、あらかじめサブキャリアAの周期をデータ値「1」と判定するための該周期の値が設定され、周期計測カウント回路32は、計測した周期とレジスタ23に設定された値とを比較し、データ値「1」と判定すべき周期が計測されると、該周期計測に用いた立ち上がりエッジを、データ値「1」と判定すべきサブキャリアのエッジと認識して後段の波形整形回路22に出力する。
【0022】
また、周期計測カウント回路32は、データ値「1」と判断すべき周期と異なる周期が計測されると、該周期計測に用いた立ち上がりエッジを、データ値「1」と判定すべきサブキャリアのエッジとは認識せず、後段の波形整形回路22に出力しないようにする。このような結果として、サブキャリアA及びBからなる信号から、あらかじめレジスタ23に設定された、データ値「1」と判断すべき周期を持つサブキャリアから検出されたエッジ信号のみが周期計測カウント回路32によって抽出される。このため、データ値「0」と判断すべきサブキャリアから検出されたエッジ信号は、周期計測カウント回路32によって除去される。
【0023】
波形整形回路22は、周期計測回路21での処理によって生成された、データ値「1」と判定すべき区間に存在したサブキャリアAの立ち上がりエッジ信号が入力される。波形整形回路22では、該立ち上がりエッジ信号が入力されるとデータ値「1」を示すハイレベルの信号を出力し、サブキャリアAの周期が経過するまで該データ値「1」を保持してハイレベルの信号を出力し、次の立ち上がりエッジ信号が入力されるのを待つ。波形整形回路22は、データ値「1」を保持している間に次の立ち上がりエッジ信号が入力されると更にサブキャリアAの周期が経過するまでデータ値「1」を保持する。データ値「1」を保持している間に次の立ち上がりエッジ信号が得られなければ、データ値「0」を示すローレベルの信号を出力し、次の立ち上がりエッジ信号の入力を待つ。結果として、波形整形回路22は、サブキャリアAの存在した区間のパルス幅を有するハイレベルのパルス信号を出力する。
【0024】
一方、ノイズやその他の要因によって存在するはずのサブキャリアAが1パルスだけ消失する可能性がある。あらかじめデータ値「1」を保持する時間を補正設定値としてレジスタ23に設定する。波形整形回路22は、該レジスタ23に設定された補正設定値に従ってデータ値「1」を保持することにより、前記のようなパルスの消失を補完する。
ここで、前記説明では、データ値「1」を保持する保持期間をサブキャリアAの周期にしたが、ここでは具体的に、サブキャリアAの周期の3倍とする。データ値「1」を保持する保持期間をサブキャリアAの周期の3倍になるように前記補正設定値を設定することにより、波形整形回路22は、立ち上がりエッジ信号が入力された後、サブキャリアAの周期の2倍の時間が経過して次の立ち上がりエッジ信号が入力されなくてもデータ値「1」を保持し続ける。また、波形整形回路22は、立ち上がりエッジ信号が入力されてからサブキャリアAの周期の3倍の時間が経過するまでに次の立ち上がりエッジ信号が入力されると、更にデータ値「1」を保持する。すなわち、波形整形回路22は、2度のパルス消失を補完することになる。
【0025】
また、波形整形回路22は、立ち上がりエッジ信号が入力されてからサブキャリアAの周期の3倍の時間が経過する間に立ち上がりエッジ信号が入力されなければ、データ値を「0」にして出力信号をローレベルに立ち下げることになるが、この場合データ値「1」の期間、すなわちハイレベルの期間が本来のデータ信号よりも長くなってしまう。このため、波形整形回路22は、CPU24に出力する信号において、ハイレベルからローレベルに立ち下げるタイミングを、サブキャリアAの周期の2倍の時間だけ早めるように補正する。CPU24は、波形整形回路22から入力されたデータ信号をサンプリングして解析し、PC10からの要求に対する記録媒体11からの返答を得てPC10に出力する。
【0026】
なお、前記説明では、FSK通信方式を例にして説明したが、ASK通信方式でおいても、FSK通信方式と同様の処理を行う。ASK通信方式では、記録媒体11から受信した信号からキャリアを除いて得られた信号は、サブキャリアAとサブキャリアAのない区間とで構成されている。この場合、レジスタ23にはあらかじめサブキャリアAの周期をデータ値「1」と判定するように設定しておく。結果として、サブキャリアAによる立ち上がりエッジをデータ値「1」と判定すべき立ち上がりエッジとして後段の波形整形回路22に出力する。
ここで、ASK通信方式とFSK通信方式でサブキャリアAの周期が同じである場合、CPU24は通信方式によって設定を変える必要がなく、同一の回路構成で両通信方式に対応することができる。
【0027】
すなわち、CPU24、厳密にはCPU24をコントロールするソフトウェアは、通信方式を意識する必要がない。また、レジスタ23での設定によって、周波数計測の結果からサブキャリアAとサブキャリアBとを切り分けるが、厳密に判定するのではなく、例えばサブキャリアAの周期に対して幾らかの誤差を見込んで判定を行えるようにする。このことにより、ノイズやその他の要因により周期が増減しても許容することができる。言うまでもなく、許容する誤差がサブキャリアA及びBの両方の周期を含まないようにする必要がある。このことは許容する誤差以上又は以下の周期のパルスを除去するということでもあり、すなわち、ノイズ等によるサブキャリア以外のパルスを除去することができる。
【0028】
なお、本発明は記録媒体との通信方式としてASK又はFSK通信方式を採用するすべての規格に対して有効であり、ISO15693規格に限定するものではない。また、レジスタ23に対して、幅広い規格に対応するフレキシブルな値を設定するようにすることが望ましい。
【0029】
このように、本第1の実施の形態における受信装置は、ASK又はFSK通信方式を採用する記録媒体11よりアンテナ2を介して受信した信号からキャリアやノイズ等を除いた信号をA/D変換して2値化し、該2値化した信号からレジスタ23に設定されたサブキャリアの周期を持つ信号を抽出し、該抽出した信号の立ち上がりエッジ信号から、PC10からの要求に対する記録媒体11からの返答を得るようにした。このことから、デジタル回路を使用して、検出したサブキャリアをデータ復調することができるため、低消費電力化及び高性能化を図ることができると共に、回路の集積化を行いやすくすることができ低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態における受信装置の構成例を示した図である。
【図2】図1のLSI5の内部構成例を示した図である。
【図3】従来のリーダ/ライタの例を示した図である。
【符号の説明】
【0031】
1 リーダ/ライタ
2 アンテナ
3 サブキャリア検出回路
4 A/D変換回路
5 LSI
10 PC
11 記録媒体
21 周期計測回路
22 波形整形回路
23 レジスタ
24 CPU
31 立ち上がりエッジ検出回路
32 周期計測カウント回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数シフトキーイング通信方式又は振幅シフトキーイング通信方式を用いるICを搭載した媒体からの信号をアンテナを介して受信する受信装置において、
前記媒体から前記アンテナを介して受信した信号から、特定の周波数のキャリアであるサブキャリアを検出して出力するサブキャリア検出回路部と、
該サブキャリア検出回路部から出力された信号をA/D変換して出力するA/D変換回路部と、
該A/D変換回路部の出力信号から、あらかじめ設定された周期の信号を抽出し、該抽出した信号における信号レベルの変異エッジを出力する変異エッジ検出回路部と、
該変異エッジ検出回路部から前記変異エッジが出力されると前記サブキャリアの周期に相当する時間、所定の信号レベルのパルス信号を生成して出力する波形整形回路部と、
該波形整形回路部の出力信号を解析して前記媒体から出力されたデータを抽出するデータ抽出回路部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記波形整形回路部は、前記生成したパルス信号の各パルスの終端エッジをそれぞれ所定の時間早める補正を行って前記データ抽出回路部に出力することを特徴とする請求項1記載の受信装置。
【請求項3】
前記変異エッジ検出回路部、波形整形回路部及びデータ抽出回路部は、1つのICに集積されることを特徴とする請求項1又は2記載の受信装置。
【請求項4】
周波数シフトキーイング通信方式又は振幅シフトキーイング通信方式を用いるICを搭載した媒体から受信した信号に対するデータ復調方法において、
前記媒体から受信した信号から特定の周波数のキャリアであるサブキャリアを検出し、
該検出したサブキャリアをA/D変換し、
該A/D変換した信号から、あらかじめ設定された周期の信号を抽出し、
該抽出した信号における信号レベルの変異エッジの検出を行い、
該変異エッジが検出されると前記サブキャリアの周期に相当する時間、所定の信号レベルのパルス信号を生成し、
該生成したパルス信号から前記媒体からのデータを得ることを特徴とするデータ復調方法。
【請求項5】
前記生成したパルス信号の各パルスの終端エッジをそれぞれ所定の時間早める補正を行い、該補正して得られた信号から前記媒体からのデータを得ることを特徴とする請求項4記載のデータ復調方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−74683(P2007−74683A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262567(P2005−262567)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】