説明

受信装置

【課題】放送波による放送に対応してコンピュータネットワークを介して行われる放送の受信可否の判定を適切に行う。
【解決手段】無線放送による第1の放送を受信する第1の受信手段と、コンピュータネットワークを介して行われる前記第1の放送に対応した第2の放送を受信する第2の受信手段とを備えた放送受信装置において、装置の現在位置が第1の放送の放送対象地域である場合、または、第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以上である場合に第2の放送を視聴可能と判断し(ステップ72〜77)、装置の現在位置が第1の放送の放送対象地域でない場合で、かつ、第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以下である場合に第2の放送を視聴不能と判断し(ステップ72〜76、78、79)、前記判断結果に基づき所定の制御を行う制御手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線放送による放送を受信するとともに、この放送に並行して同一の放送事業者によりコンピュータネットワークを介して行われる放送を受信することができる放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送局が放送波により番組を放送するに際し、番組の放送に並行し、その放送の放送対象地域内でのみ視聴可能とすることを前提として、その番組と同内容のものや、これに他の内容を付加したコンテンツを、インターネット経由で、IP放送により配信するサービスが知られている。このようなIP放送の視聴を許可する際の受信装置における認証方式として、IP放送を提供する放送局の放送対象地域内に受信装置が存在すれば、該受信装置によるIP放送の視聴を許可するという認証方式が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、これに関連する技術として、FM多重放送によりインターネットのURLデータを受信し、このURLに基づいてインターネット上のWWWページにアクセスする技術が知られている(たとえば、特許文献2参照)。また、サーバが、ユーザ端末の位置情報やネットワーク情報に基づいてユーザ端末が特定のサービス提供地域内に存在するか否かを判定し、該地域内に存在すると判定した場合にのみ、ユーザ端末によるサービスの利用を許可する技術が知られている(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−288814号公報
【特許文献2】特開平10−171742号公報
【特許文献3】特開2007−179392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のIP放送に係る認証方式によれば、IP放送を提供する放送局の放送対象地域内に受信装置が存在することを該IP放送の視聴を許可するための条件としているので、該放送対象地域に隣接する地域において該放送局の放送波を受信できる場合には、該放送波を受信できるのにも拘わらず、対応するIP放送を視聴することができないという問題がある。
【0006】
また、上述のFM多重放送で取得したURLによってWWWページにアクセスする技術によれば、WWWページにアクセスしてサービスを受けるための条件は、FM多重放送の放送波が受信できることのみである。したがって、このような技術をIP放送の視聴可否の判定に適用した場合、放送対象地域内に受信装置が存在するにも拘わらず、難視聴地域であるために放送波が受信できず、対応するIP放送の視聴を行うことができないという問題が生じる恐れがある。
【0007】
また、上述のユーザ端末が特定のサービス提供地域内にあるか否かを判定する技術によれば、判定において特に放送波は利用していない。したがって、このような判定技術をIP放送の視聴可否の判定に適用した場合、上述の認証方式の場合と同様に、放送局の放送対象地域の隣接地域において該放送局の放送波を受信できるのにも拘わらず、対応するIP放送を視聴ことができないという問題が発生するおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、IP放送の視聴可否の判定を、より適正に行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、第1の発明に係る放送受信装置は、無線放送による第1の放送を受信する第1の受信手段と、コンピュータネットワークを介して行われる前記第1の放送に対応した第2の放送を受信する第2の受信手段と、装置の現在位置が第1の放送の放送対象地域である場合、または、前記第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以上である場合に前記第2の放送を視聴可能と判断し、装置の現在位置が第1の放送の放送対象地域でない場合で、かつ、前記第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以下である場合に前記第2の放送を視聴不能と判断し、前記判断結果に基づき所定の制御を行う制御手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
第2の発明に係る放送受信装置は、第1発明において、前記第1の放送に対応した前記第2の放送は前記第1の放送を放送する放送局に対応したものであり、前記第1の受信手段は第1の周波数で前記第1の放送を受信し、前記制御手段は装置の現在位置に隣接する地域を放送対象地域とし前記第1の周波数で受信する放送局が存在する場合、前記第2の受信手段により受信される第2の放送の視聴を、前記第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以上である場合に許容し、該所定値以上でない場合には許容しないものであることを特徴とする。
【0011】
第3の発明に係る放送受信装置は、第2発明において、前記制御手段は、前記第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが前記所定値以上でない場合であっても、装置の現在位置を放送対象地域とし前記第1の周波数で受信する放送局が存在する場合、前記第2の受信手段により受信される第2の放送の視聴を許容するものであることを特徴とする。
【0012】
第4の発明に係る放送受信装置は、第2又は第3発明において、前記制御手段は、前記第2の受信手段により受信される第2の放送の視聴を、装置の現在位置を放送対象地域とし前記第1の周波数で受信する放送局が存在する場合には許容し、前記第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが前記所定値以上ではなく、かつ装置の現在位置を放送対象地域とし前記第1の周波数で受信する放送局が存在しない場合には許容しないことを特徴とする
【0013】
第5の発明に係るサーバは、放送受信装置から、前記放送受信装置が受信する無線放送である第1の放送の情報と現在位置を受信する受信手段と、前記放送受信装置の現在位置が前記第1の放送の放送対象地域である場合、または、前記放送受信装置による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以上である場合に、コンピュータネットワークを介して行われる前記第1の放送に対応した第2の放送の前記放送受信装置による視聴を可能であると判定し、前記放送受信装置の現在位置が前記第1の放送の放送対象地域でない場合で、かつ、前記放送受信装置による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以下である場合に前記第2の放送の前記放送受信装置による視聴を不能であると判定する判定手段と、前記判定結果を前記放送受信装置に送信する送信手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コンピュータネットワークを介して行われる第1の放送に対応した第2の放送の受信可否の判定を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
【図2】図1のシステムにおける受信機の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の受信機におけるインタフェース画面の一例を示す図である。
【図4】図3のインタフェース画面内の選択画面に表示される放送局とその放送周波数とを関連付けるテーブルを示す図である。
【図5】図2の受信機が記憶しているURLデータベースを示す図である。
【図6】放送局又はその中継局に対して受信機のとり得る位置を示す図である。
【図7】図2の受信機における視聴可否判定処理を示すフローチャートである。
【図8】図2の受信機における視聴可否判定処理の別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るシステムの構成を示す。図中の11は放送事業者が番組を制作して放送するための放送局、12は放送局11により放送される番組を視聴者が受信するための据置型受信機、13は放送局11により放送される番組を視聴者が受信するためのモバイル型受信機、14及び15は放送局11と受信機12や13との間に介在するインターネット及び無線又は有線のIP通信網、そして16は受信機13に対して位置情報を提供するためのGPS衛星である。放送局11は送信局や中継局からなる放送網11aを有する。
【0017】
放送事業者は放送局11により、予め収録しておいた番組や生放送の番組を、放送網11aを介して放送する。その際、番組の放送に並行し、その放送の放送対象地域内でのみ視聴可能とすることを前提として、所定のコンテンツを、インターネット14を経由し、IP放送等により受信機12や13に配信するサービス(以下、「インターネットサービス」という。)を行う。所定のコンテンツとしては、たとえば、並行して放送する番組と同内容のものや、これに他の内容を付加したものが該当する。具体的には、放送網11aによる放送が地上アナログラジオ放送である場合には、放送番組と同内容の音声コンテンツや、これに映像、静止画、広告情報等を加えたものが該当する。放送番組とは無関係な内容のものであってもよい。
【0018】
インターネットサービスを行うに際し、配信されるコンテンツを構成する映像や音声のデータは、インターネットを介して配信するのに適したデータ形式に変換される。受信機12や13は、所定の視聴条件が満たされている場合に、インターネットサービスに基づく再生コンテンツの出力や、記録(録画や録音)を行うことができる。この視聴条件の1つとしては、たとえば、受信する放送の放送対象地域内に受信機12や13が存在していることが該当する。放送対象地域とは、たとえば、放送法により規定されている「同一の放送番組の放送を同時に受信できることが相当と認められる一定の区域」である。本実施形態においては、視聴条件を満足するか否かは、後述するように、当該インターネットサービスに対応する放送波による放送の受信信号レベル及び受信地点、並びにURLデータベースに基づいて判定される。
【0019】
図2は、受信機12や13の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この受信機は、受信機の各部を制御する主制御部17、主制御部17からの指示に応じ、指示された周波数の受信を行うチューナ部18、チューナ部18が受信した信号を復調して主制御部17に供給する復調部19、主制御部17の指示に応じ、現在位置を取得して主制御部17に供給する現在位置検出部20、主制御部17が使用するプログラムやデータを記憶するROM21、主制御部17が作業領域や記録データの格納用として使用するRAM22、音声を出力するためのスピーカ23、主制御部17の指示に応じて音声信号をスピーカ23に供給し、該音声信号の出力を制御する音声出力制御部24、画像や文字の表示を行うための表示装置25、主制御部17の指示に応じてビデオ信号を表示装置25に供給し、表示装置25による表示を制御する表示制御部26、主制御部17に対する指示操作を行うための操作部27、及び主制御部17がインターネット上のサーバにアクセスするための通信部28を備える。現在位置検出部20はGPS受信機などにより現在位置を取得する。
【0020】
主制御部17は、放送局12により放送網11aを介して行われる放送をチューナ部18により受信するするとともに、これと並行して放送局12により行われるインターネットサービスにより配信されるコンテンツを通信部28により受信し、これらの受信信号に基づいてコンテンツの再生出力や記録を行う。その際には、再生出力や記録の基礎とする受信信号を、上述の視聴条件を満たすか否かに応じて切り替えることが可能である。操作部27は表示装置25の表示画面上に設けられたタッチパネルを備える。主制御部17は、表示画面上に表示させたボタン図形や選択項目の図形のいずれかが指示されたとき、タッチパネルを介してその旨を認識することができる。
【0021】
図3は表示装置25上に表示されるインタフェース画面の一例を示す。図中の31は受信する周波数帯域を切り替えるための切替えボタン、32及び33は受信周波数を前後に送って選択するための選択ボタン、34は受信中の放送局の局名の表示、35は受信中の周波数帯域の表示、36は受信周波数が放送波にチューニングされているか否かを示すインジケータ、37は受信中の放送がステレオ放送であるか否かを示すインジケータ、38はユーザが登録してある周波数の選択画面、そして39はプリセットされている放送局の選択画面である。
【0022】
ユーザは、切替えボタン31によりAM、FM等の周波数帯域を切替えて、選択ボタン32及び33により受信周波数を順次送りながら選択することができる。また、選択画面38に表示された周波数のうちのいずれかを指示することにより、指示した周波数を選択して受信することができる。すなわち、主制御部17は、周波数が選択された場合、受信周波数を該周波数に設定又は変更し、該放送局からの放送波を受信する。また、ユーザは選択画面39に表示された放送局のうちのいずれかを指示することにより指示した放送局を選択し、受信することができる。
【0023】
図4は選択画面39に表示される放送局とその放送周波数とを関連付けるテーブルを示す。主制御部17は、選択画面39に表示された放送局のいずれかが選択された場合、選択された放送局に対応する周波数を該テーブルに基づいて取得し、受信周波数を該周波数に設定又は変更し、該放送局からの放送波を受信することができる。
【0024】
図5はROM21に格納されるURLデータベースの一例を示す。URLデータベースにおいては、都道府県の県域毎に、各放送局の周波数、放送局名、及びその放送局が提供するインターネットサービスに係るリソースのURL、並びにその県に隣接する県名が登録されている。主制御部17は、現在位置及び受信中の周波数に基づき、URLデータベースを参照して、該周波数の放送局によるインターネットサービスに係るURLを取得することができる。たとえば、現在位置が「県域1」内であり、現在の受信周波数が「周波数1」である場合には、受信中の放送局は「放送局名1」であり、そのインターネットサービスに係るURLとして「URL1」〜「URLn」を取得することができる。
【0025】
URLデータベースにおいては、1つの放送局に対して複数のURLが対応している場合がある。この場合、その放送局は複数のURLによりインターネットサービスを提供している。この場合、主制御部17はユーザの指示に応じ、各URLで示されるサーバへアクセスすることにより、ユーザが視聴するコンテンツを切り替えることができる。インターネットサービスとして1つのIP放送のみを行う放送局については、1つのURLのみが登録される。URLが1つも登録されていない放送局については、インターネットサービスが行われていないことを意味する。この場合、主制御部17は無条件で放送波に基づく再生出力を行う。
【0026】
URLデータベースにおいては各放送局のURL情報を都道府県の県域毎に管理しているので、主制御部17はURLデータベースを参照するに際し、現在位置検出部20により得られる現在位置をいずれかの県域に対応付ける必要がある。現在位置検出部20により得られる現在位置が緯度経度によるものであるとすれば、受信機がカーナビゲーション装置のように都道府県を特定できるような機能を有する機器に組み込まれている場合にはその機能を利用して、その緯度経度に対応する県域を特定することができる。そのような機能を利用することができない場合であっても、緯度経度に基づいて県域を特定する機能を有するインターネット上のサーバに問い合わせることにより、対応する県域を取得することができる。
【0027】
なお、URLデータベースにおいては、インターネットサービスに係るURLを登録するようにしているが、URLに代えて、インターネットサービスに係るリソースへのアクセスを可能とする他の情報、たとえばインターネットサービスを提供するサーバのIPアドレスを登録するようにしてもよい。また、各放送局のURL情報を県域単位で管理しているが、県域の下位の区分として市町村による区分を設け、都道府県と市町村を組み合わせた単位で管理するようにしてもよい。また、1つの放送局に対して1つの周波数を対応付けているが、1つの放送局が複数の中継局から異なる周波数で放送を行っている場合もあるので、1つの放送局に対して複数の周波数を対応付けるようにしてもよい。
【0028】
図6は放送局又はその中継局に対して受信機のとり得る位置を示す。図中の61は放送局又はその中継局11により放送を行う放送事業者、62は放送局又は中継局11による放送の放送対象地域、63は放送局又は中継局11からの放送波の受信が可能な地域、64a〜64dは上述図2の受信機、そして65は放送事業者61が受信機64a〜64dに対して放送事業者61がIP放送を提供するためのインターネット網である。
【0029】
受信機64aは放送対象地域62内でかつ受信可能地域63内の地域に位置する。受信機64bは放送対象地域62内ではあるが受信可能地域63ではない、いわゆる難視聴地域に位置する。受信機64cは放送対象地域62外ではあるが受信可能地域63内である地域に位置する。つまり受信機64cは、区域外放送として、放送局又は中継局11からの放送波を受信することができる。受信機64dは放送対象地域62及び受信可能地域63のいずれの地域でもない地域に位置する。受信機64dには放送局又は中継局11からの放送波は届かない。放送事業者61が提供するIP放送を、受信機64a〜64dにより視聴することができるか否かは、受信機64a〜64dにおいて次のようにして判定される。
【0030】
図7は図2の受信機における視聴可否判定処理を示すフローチャートである。この視聴可否判定処理は、ユーザの指示等に応じて受信周波数を設定又は変更した場合に主制御部17により行われる。この視聴可否判定処理においては、設定・変更後の受信周波数の放送に対応するIP放送を視聴することができるか否かが、該受信周波数の受信信号レベル、受信機の現在位置、URLデータベース等に基づいて判定される。
【0031】
処理を開始すると主制御部17は、まず、ステップ71において、設定・変更後の受信周波数における受信信号レベルを取得する。受信信号レベルの取得は復調部19から行うことができる。次に、ステップ72において、取得した受信信号レベルが所定値以上であるかどうかを判定する。受信信号レベルが所定値以上であるということは、設定・変更後の受信周波数の放送は十分に視聴可能であることを意味する。
【0032】
ステップ72において受信信号レベルが所定値以上であると判定した場合には、ステップ73において現在位置の取得を試みる。そして、ステップ74において、現在位置の取得を行うことができたかどうかを判定する。現在位置の取得を行うことができたと判定した場合には、ステップ75において、現在位置が属する県域を特定する。次に、ステップ76において、特定した県域内に、設定・変更後の受信周波数の放送局が存在するかどうかを、URLデータベースに基づいて判定する。該放送局が存在すると判定した場合にはステップ77において、該放送局に対応するIP放送の視聴は可能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。この場合に視聴可能であると判定するのは、受信機は該放送局の放送対象地域内に存在しており、かつ該放送局からの放送波の受信信号レベルは該放送波による放送を視聴するのに十分なレベルであり、対応するIP放送の視聴を許容するための条件を十分に満たしているからである。この場合の受信機は、図6における受信機64aに該当する。
【0033】
ステップ76において県域内に該当する放送局が存在しないと判定した場合には、さらに、ステップ78において、該県域に隣接する県域において該当する放送局が存在するかどうかを判定する。存在すると判定した場合には、ステップ77において、該放送局に対応するIP放送の視聴は可能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。この場合に視聴可能であると判定するのは、受信機は該放送局の放送対象地域に存在していないけれども、該放送局からの放送波の受信信号レベルは該放送波による放送を視聴するのに十分なレベルであり、対応する放送局も特定することができるので、対応するIP放送の視聴を許容するための条件を満たしているとみなせるからである。この場合の受信機は、図6における受信機64cに該当する。
【0034】
ステップ78において隣接県域においても該当する放送局が存在しないと判定した場合には、受信周波数に対応する放送局が不明であるため、ステップ79においてIP放送の視聴は不能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。ステップ74において現在位置が取得できなかったと判定した場合には、該当する放送局を特定することができないので、ステップ79においてIP放送の視聴は不能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。
【0035】
一方、ステップ72において受信信号レベルが所定値以上ではないと判定した場合にはステップ80〜83において、上述のステップ73〜76の処理と同様の処理を行う。そして、ステップ83において、ステップ82で特定した県域において設定・変更後の受信周波数の放送局が存在すると判定した場合には、ステップ77において、IP放送の視聴が可能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。該放送局からの受信信号レベルが十分ではなくても、受信機は該放送局の放送対象地域内に存在するので、対応するIP放送の視聴を許容するための条件を満たしているからである。この場合の受信機は、図6における受信機64bに該当する。
【0036】
ステップ83において該当する放送局が存在しないと判定した場合には、受信周波数の受信信号レベルは十分ではなく、受信機は該放送局の放送対象地域内に存在しないため、ステップ79においてIP放送の視聴は不能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。この場合の受信機は、図6における受信機64dに該当する。ステップ81において現在位置が取得できなかったと判定した場合には、受信周波数の受信信号レベルが十分ではなく、県域の特定を行うこともできないため、ステップ79においてIP放送の視聴は不能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。
【0037】
この図7の視聴可否判定処理により視聴不能であると判定した場合には、主制御部17は、設定・変更後の受信周波数に対応するIP放送の視聴を行うことができない旨を表示し、該受信周波数の放送波による再生出力を開始する。一方、視聴可能であると判定した場合には、該IP放送の視聴が可能である旨を表示し、ユーザの指示を待って、あるいは待たずに、該IP放送による再生出力を開始する。
【0038】
なお、この後、図7の視聴可否判定処理を定期的に行い、IP放送による再生出力を行っている場合に視聴不能であると判定した場合には、視聴中のIP放送を視聴することができなくなった旨を表示し、IP放送の再生出力を中止し、対応する放送波による再生出力を開始するようにしてもよい。また、放送波による再生出力を行っている場合に視聴可能であると判定した場合には、対応するIP放送の視聴が可能である旨を表示し、ユーザの指示を待って、あるいは待たずに、該IP放送による再生出力を開始するようにしてもよい。
【0039】
図7の視聴可否判定処理によれば、設定又は変更後の受信周波数の放送局による放送対象地域の県域に隣接する県域に受信機が存在する場合であっても受信周波数の受信信号レベルが所定値以上である場合にはIP放送の視聴が可能であると判定し、また、受信信号レベルが所定値以上でない場合であっても放送対象地域内に受信機が存在する場合にはIP放送の視聴が可能であると判定するようにしたため、IP放送の視聴可否の判定を適切に行い、IP放送の視聴を行うことができる機会を増やすことができる。
【0040】
図8は図2の受信機における視聴可否判定処理の別の例を示すフローチャートである。図7の視聴可否判定処理の場合と同様に、この視聴可否判定処理は、ユーザの指示等に応じて受信周波数を設定又は変更した場合に行われる。この視聴可否判定処理においては、設定・変更後の受信周波数に対応するIP放送の視聴可否が、該受信周波数の受信信号レベル、受信機の現在位置、URLデータベース等に基づいて判定される。
【0041】
処理を開始すると主制御部17は、まず、ステップ91において、現在位置の取得を試みる。そして、ステップ92において、現在位置の取得を行うことができたかどうかを判定する。現在位置の取得を行うことができたと判定した場合には、ステップ93において現在位置が属する県域を特定する。次に、ステップ94において、特定した県域内に、設定・変更後の受信周波数の放送局が存在するかどうかを、URLデータベースに基づいて判定する。該放送局が存在すると判定した場合にはステップ95において、該放送局に対応するIP放送の視聴は可能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。受信機は該放送局の放送対象地域内に存在しているため、対応するIP放送の視聴を許容するための条件を満たしているからである。この場合の受信機は、図6における受信機64a及び64bに該当する。
【0042】
ステップ94において県域内に該当する放送局が存在しないと判定した場合には、さらに、ステップ95において、該県域に隣接する県域において該当する放送局が存在するかどうかを判定する。存在すると判定した場合には、設定・変更後の受信周波数における受信信号レベルを取得する。受信信号レベルの取得は復調部19から行うことができる。次に、ステップ98において、取得した受信信号レベルが所定値以上であるかどうかを判定する。受信信号レベルが所定値以上であるということは、設定・変更後の受信周波数の放送は十分に視聴可能であることを意味する。
【0043】
ステップ98において受信信号レベルが所定値以上であると判定した場合には、ステップ95において、IP放送の視聴は可能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。この場合に視聴可能であると判定するのは、受信機は該放送局の放送対象地域に存在していないけれども、該放送局からの放送波の受信信号レベルは該放送波による放送を視聴するのに十分なレベルであり、対応する放送局も特定することができるので、対応するIP放送の視聴を許容するための条件を満たしているとみなせるからである。この場合の受信機は、図6における受信機64cに該当する。
【0044】
ステップ96において隣接県域においても該当する放送局が存在しないと判定した場合には、受信周波数に対応する放送局が不明であるため、ステップ99においてIP放送の視聴は不能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。ステップ98において受信信号レベルが所定値以上ではないと判定した場合には、受信機は該放送局の放送対象地域内に存在せず、受信周波数の受信信号レベルも十分ではないため、ステップ99においてIP放送の視聴は不能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。この場合の受信機は図6における受信機64dに該当する。
【0045】
一方、ステップ92において現在位置が取得できなかったと判定した場合には、設定・変更後の受信周波数に対応する放送局を特定することができないので、ステップ99においてIP放送の視聴は不能であると判定し、視聴可否判定処理を終了する。
図8の視聴可否判定処理によれば、設定又は変更後の受信周波数の放送局による放送対象地域に受信機が存在すれば、該受信周波数の受信信号レベルに関係なくIP放送の視聴が可能であると判定し、放送対象地域の県域に隣接する県域に受信機が存在する場合であっても受信周波数の受信信号レベルが所定値以上である場合にはIP放送の視聴が可能であると判定するようにしたため、IP放送の視聴を行うことができる機会を増やすことができる。
【0046】
なお、上記実施形態においては、IP放送を同一の放送事業者から配信しているが、IP放送のみを他の事業者から送信するようにしてもよい。また、上記実施形態では、IP放送を、インターネット網を介して送受信しているが、コンピュータネットワークであればインターネット網に限らない。
【0047】
また、上記実施形態においては受信機において視聴可否判定処理を行うようにしているが、URLデータベースを備えたサーバを設け、受信機から受信周波数や放送局などの受信する無線放送に関わる情報と現在位置とを受信することにより、サーバにおいて視聴可否判定処理を行うことも可能である。この場合、受信機にURLデータベースを設ける必要がないので、受信機における記憶容量を節約することができるとともに、URLデータベースの更新も容易となる。なお、この場合、図4のテーブルを受信機において記憶し、受信機で放送局を受信周波数に変換してからサーバに送信してもよいし、サーバにおいて記憶し、受信機から放送局名を送信し、サーバにおいて受信周波数に変換してもよい。
【符号の説明】
【0048】
11:放送局、11a:放送網、12:据置型受信機、13:モバイル型受信機、14:インターネット、15:IP通信網、16:GPS衛星、17:主制御部、18:チューナ部、19:復調部、20:現在位置検出部、21:ROM、22:RAM、23:スピーカ、24:音声出力制御部、25:表示装置、26:表示制御部、27:操作部、28:通信部、61:放送事業者、62:放送対象地域、63:受信可能地域、64a〜64d:受信機、65:インターネット網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線放送による第1の放送を受信する第1の受信手段と、
コンピュータネットワークを介して行われる前記第1の放送に対応した第2の放送を受信する第2の受信手段と、
装置の現在位置が第1の放送の放送対象地域である場合、または、前記第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以上である場合に前記第2の放送を視聴可能と判断し、
装置の現在位置が第1の放送の放送対象地域でない場合で、かつ、前記第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以下である場合に前記第2の放送を視聴不能と判断し、
前記判断結果に基づき所定の制御を行う制御手段とを具備することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記第1の放送に対応した前記第2の放送は前記第1の放送を放送する放送局に対応したものであり、
前記第1の受信手段は第1の周波数で前記第1の放送を受信し、
前記制御手段は装置の現在位置に隣接する地域を放送対象地域とし前記第1の周波数で受信する放送局が存在する場合、前記第2の受信手段により受信される第2の放送の視聴を、前記第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以上である場合に許容し、該所定値以上でない場合には許容しないものであることを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが前記所定値以上でない場合であっても、装置の現在位置を放送対象地域とし前記第1の周波数で受信する放送局が存在する場合、前記第2の受信手段により受信される第2の放送の視聴を許容するものであることを特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の受信手段により受信される第2の放送の視聴を、装置の現在位置を放送対象地域とし前記第1の周波数で受信する放送局が存在する場合には許容し、前記第1の受信手段による第1の放送の受信信号レベルが前記所定値以上ではなく、かつ装置の現在位置を放送対象地域とし前記第1の周波数で受信する放送局が存在しない場合には許容しないことを特徴とする請求項2又は3に記載の放送受信装置。
【請求項5】
放送受信装置から、前記放送受信装置が受信する無線放送である第1の放送の情報と現在位置を受信する受信手段と、
前記放送受信装置の現在位置が前記第1の放送の放送対象地域である場合、または、前記放送受信装置による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以上である場合に、コンピュータネットワークを介して行われる前記第1の放送に対応した第2の放送の前記放送受信装置による視聴を可能であると判定し、
前記放送受信装置の現在位置が前記第1の放送の放送対象地域でない場合で、かつ、前記放送受信装置による第1の放送の受信信号レベルが該放送を視聴するのに十分な所定値以下である場合に前記第2の放送の前記放送受信装置による視聴を不能であると判定する判定手段と、
前記判定結果を前記放送受信装置に送信する送信手段とを具備することを特徴とするサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−119791(P2011−119791A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272670(P2009−272670)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】