説明

受動式給水プランター

【課題】微量の給水により土壌内を一定割合の湿度に保ち、植物の生存率を高め、旅行期間中も水遣りの必要なく植物の栽培を継続することができると共に、水遣りの水が滴り落ちない、受動式給水プランターを提供すること。
【解決手段】凹陥状の収容区域13を備えた内層プランター10、内層プランター10を支持する外層プランター11、及び外層プランター11と内層プランター10で挟まれた空間区域12を含むプランターユニット1と、浸水部材2とから成り、収容区域13が内層プランター10の底面101及び側面102に囲まれて形成され、収容区域13に浸水孔141が形成され、浸水孔141と空間区域12が相互に連通され、浸水部材2が複数の粒子20,20’から構成され、粒子20,20’間に微小流路21が形成され、浸水部材2が収容区域13から浸水孔141までの水流経路上に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉢植え用の受動式給水プランターに関する。
【背景技術】
【0002】
常用されているプランターは、花の苗または樹木の苗を問わず、その多くが一体型の陶器またはプラスチックから成る。このような従来のプランターは、一般に単層で構成されており、プランターの中央部に凹陥状の容器空間が形成され、且つ容器空間の底面に穿通孔が設けられ、土壌を容器空間内に入れて、水遣りが多すぎたときは土壌内に浸み入った水分を直接穿通孔から下に流出させ、湿潤した土壌で花や樹木の苗を栽培し、生長させることができる。特許出願人は本発明に関連する公知文献を知らない。
【0003】
上述のプランターの構造は鉢植え栽培という目的を達することはできるが、使用時に次のような問題が発生する。
一.花または樹木の苗は栽培と生長の過程で朝晩適量の水をやる必要があるが、一般家庭は植物栽培について知識が限られており、主観的に水は多めのほうが不足するよりは植物にとって有利であると考え、経常的に水を多めにやりすぎてしまい、多すぎる水が土壌内を下に浸み込み、土を含んだ水流がプランターの穿通孔から排出されるまで水遣りを続けてしまい、プランターを配置した場所付近の環境を汚してしまうだけでなく、長期間の使用を経るとプランター内の土壌の流失も引き起こしてしまう。
二.さらに、現代人の住宅は高層のマンションが多く、このため水遣りをしたときの泥水が階下に滴り落ちると、自分の住居のベランダと建物の環境が不潔になるだけでなく、同時に滴り落ちる水の騒音が階下の隣人の迷惑となり、衝突を引き起こしたり、訴訟に発展することさえあり得る。
三.従来のプランターは多くが単層式であるため、太陽光の長時間の照射を受けると、プランターが吸収した熱が土壌内に伝導され、プランター内底部の土壌が高温高湿になって、高温高湿の土壌内にある植物の根部が傷んで死んでしまい、生長できなくなることがある。
四.現代人は出国や旅行の機会が多く、出国または旅行の期間中は花や樹木に水をやることができないため、出国や旅行が終わって家に戻ると花や樹木が枯れて死んでしまっていることがある。
このため、従来のプランターは、主に庭がある住宅での生活方式に適しており、すでに現代人の高層住宅における生活様式と生活リズムのニーズに適応できなくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、収容区域と空間区域の間を流れる水流の方向、微量の流量及び流速を効果的に制御し、且つ浸水部材を長期間水中に浸漬させても腐ることがなく、且つ収容区域内の土壌の湿度を調節する機能と、長時間の水分取り込み効果を備えており、同時に水分子の表面張力作用により、水分子を浸水部材の微小流路方向に沿ってゆっくりと空間区域の土壌内に浸み込ませて拡散分布させ、微量の給水により土壌内を一定割合の湿度に保ち、植物の生存率を高め、旅行期間中も水遣りの必要なく植物の栽培を継続することができると共に、水遣りの水が滴り落ちない環境保護に適した、受動式給水プランターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の受動式給水プランターは、プランターユニットと浸水部材を含み、前記プランターユニットが少なくとも凹陥状の収容区域を備えた内層プランター、内層プランターを支持する外層プランター、及び外層プランターと内層プランターの間に挟まれた中空状の空間区域を含み、前記収容区域が内層プランターの底面及び側面に囲まれて形成され、前記収容区域に1つ以上の浸水孔が形成され、前記浸水孔と前記空間区域が相互に連通され、前記浸水部材が複数の粒子から構成され、且つ粒子間に不規則な間隙が連通された微小流路が形成され、前記浸水部材が前記収容区域から前記浸水孔の間の水流の流動経路上に設置される。
【0006】
或いは、本発明の受動式給水プランターは、内層プランター、外層プランター、漏れ止め部材、導管から成るプランターユニットを含み、前記内層プランターは、内層プランターの底面及び側面に囲まれてなる凹陥状の収容区域を有すると共に、前記底面に貫通状の浸水孔が形成され、且つ結合部が設けられ、前記外層プランターは中空の凹陥状の透明材質であり、且つ接合部が形成され、前記外層プランターの接合部を前記結合部に組み込むことにより、前記外層プランターを前記内層プランターの外周側に設置可能であり、且つ前記内層プランター及び前記外層プランター間に挟まれて中空状の空間区域が形成され、且つ前記浸水孔と前記空間区域が連通され、前記漏れ止め部材は、前記内層プランターと前記外層プランターの間に緊密に挟んで設置され、且つ前記空間区域の上半部区域を気体漏れのない緊密な状態とし、前記導管の上端及び下端が前記空間区域外側の空気と前記空間区域内にそれぞれ連通され、前記空間区域内部と前記空間区域外側の空気の連通に用いられる。
【0007】
前記浸水部材は複数の粒子を焼結させて形成され、且つ粒子間に不規則な間隙が連通された微小流路が形成され、空間区域内に収納した液体を、微小流路を通してゆっくりと逆流させて拡散させ、収容区域の土壌内に分布させることができる。
透明材質より成る前記外層プランターに最高水位表示部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、浸水部材が、水分子を逆流させる作用と収容区域内の土壌を必要な湿度に調節する機能、及び長時間の引水濾過機能を確実に備えており、同時に、中空の空間区域を利用して、多量の水を貯水することができるので、空間区域内の水分子を微量ずつ自動給水することにより土壌を一定割合の湿度に保ち、空間区域内の貯水量で一定期間別途水遣りの必要なく給水を持続するように確保でき、旅行や外出時も毎日水遣りの必要なく植物の正常な生長を保持するという利便性を達し、従来のプランター底部の水分が多すぎて植物が根腐れする現象を防止し、克服することができる。
【0009】
また、透明な外層プランターに最高水位表示部を形成すれば、透明状の外層プランターにより光線が直接空間区域内に入射できるようにすることで、消費者が直接目視で水を加えるときの最高水位の高さ、土壌湿度の制御、植物の生長の観察研究、貯蔵水の流れる方向と流速の観察ができるほか、同時に空間区域内で別途水生植物を栽培したり、水生動物を育てたり、造景物を入れたりして、室内環境の美化と室内空間の緑化を図ることができ、且つ病媒蚊の発生を防止して、オフィスで働く人々の仕事のストレスを緩和し、作業効率を高めることに役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1を示す受動式給水プランターの斜視図。
【図2】実施例1を示す受動式給水プランターの使用状態における断面図。
【図3】実施例1を示す受動式給水プランターの要部拡大断面図。
【図4】実施例1を示す受動式給水プランターの別の使用状態における断面図。
【図5】実施例2を示す受動式給水プランターの分解断面図。
【図6】実施例2に係る外層プランターの注水時の断面図。
【図7】実施例2を示す受動式給水プランターの使用状態における断面図。
【図8】実施例2を示す受動式給水プランターの要部拡大断面図。
【図9】実施例2を示す受動式給水プランターの側面図。
【図10】実施例3を示す受動式給水プランターの側面図。
【図11】実施例4を示す受動式給水プランターの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明の実施例1を示す。
実施例1において、受動式給水プランターは、プランターユニット1と浸水部材2を含む。
プランターユニット1は、凹陥状の収容区域13を備えた内層プランター10、内層プランター10を支持する外層プランター11、外層プランター11と内層プランター10の間に挟まれて配置された空間区域12、及び空間区域12に連結された注水ユニット15を含む。
【0012】
収容区域13とは、内層プランター10の底面101及び側面102に囲まれて成る区域を指す。
底面101には下に向かって延伸された内凹部14が形成され、内凹部14に1個以上の貫通状の浸水孔141が形成される。浸水孔141は収容区域13から中空状の空間区域12の間の連結通路となる。なお、内凹部14は、全高さに亘って均一径の一階層とすることも、径の異なる層を複数重ねた多階層とすることもできる。
内凹部14の側壁が浸水部材2の外周を囲むように周設されて、浸水孔141は複数の粒子20、20’を焼結して構成された浸水部材2の末端を穿入させるために用いることができる。つまり、浸水部材2の末端位置が浸水孔141の下縁付近まで延伸される、または浸水孔141の下縁から突出する(即ち、浸水孔141の下縁から延伸されて空間区域12内に進入された状態を最良とする)。
【0013】
注水ユニット15は中空状であり、且つ注水ユニット15の一端は内層プランター10または外層プランター11を貫通して空間区域12に連通させて設置する。注水ユニット15の外側に螺合部151を、内側に雌ネジ152をそれぞれ形成し、封鎖ユニット4(キャップまたはボトル)の一端を注水ユニット15の外側または内側にそれぞれ螺合可能とすると共に、封鎖ユニット4と注水ユニット15の間に漏れ止め部材45(例:オイルシールやパッキン)を挟んで設置し、封鎖ユニット4(図2のキャップ、図4のボトルなど)及び漏れ止め部材45の作用により空間区域12を密閉する効果を達する。なお、上述の螺合部151は、逆さ鉤としてもよい。
プランターユニット1の内層プランター10と外層プランター11の間の結合方式は一体ブロー成型(図2、図4参照)、または一体ブローオーバーモールド、或いは2つの独立部材間を相互に組み立て成型することを最良とできる。
【0014】
浸水部材2は、複数の粒子20、20’を焼結して形成され、且つ浸水部材2内に不規則な間隙が連通された微小流路21が形成されている。粒子20、20’は水に触れても腐らない材質、例えば、金属粒子(例:鉄粒子、銀粒子、錫粒子、銅粒子等)、または石粒子、或いはセラミック粒子とするのが最良であり、特に、金属粒子20、20’としては銅粒子が最良である。
図3に示すように、浸水部材2の表面または内部は複数の粒子20、20’間を焼結して形成されており、且つ相隣する粒子20、20’間には不規則な間隙が連通されて形成された微小流路21がある。浸水部材2を凹陥状の収容区域13の内凹部14上に設置して、浸水部材2の末端を浸水孔141と空間区域12の接続箇所近くまで延伸するか、或いは浸水孔141を貫通させて空間区域12内に突出させ、空間区域12内に入れられた液体を液体の表面張力と微小流路21の作用によってゆっくりと上に向かって逆流させて拡散し、浸み込ませる方式で収容区域13の土壌8内に分布させることができる。
【0015】
封鎖ユニット4は単一の独立状であり、図2に示すように、封鎖ユニット4がキャップの場合には、その内側に注水ユニット15外側の螺合部151と螺合する雌ネジ41(または逆さ鉤で置き換えてもよい)が形成され、かつ封鎖ユニット4の内底部に漏れ止め部材45が取り付けられる。それにより、封鎖ユニット4の雌ネジ41を注水ユニット15上に取り付けたとき、封鎖ユニット4の底部と注水ユニット15の端面の間に漏れ止め部材45が緊密に挟み込まれ、緊密な密封作用が形成される。
図4に示すように、封鎖ユニット4がボトルの場合は、その口部外側に形成された雄ネジ42を注水ユニット15の雌ネジ152に螺合すると、注水ユニット15と封鎖ユニット4の間に適切な緊密度が形成され、保持される。
【0016】
植物90を栽培するときは、まず浸水部材2を直接内凹部14の浸水孔141内に取り付け、且つ浸水部材2の末端を内凹部14の浸水孔141内に挿入させて空間区域12内に突出させるだけで、浸水部材2が収容区域13から空間区域12の間の流動経路上に位置することができる。このとき、浸水部材2の微小流路21が複数の粒子20、20’の焼結により形成されており、不規則に連通された間隙を備えているため、空間区域12と収容区域13の間が封鎖されていない状態となる。
さらに、土壌8をプランターユニット1の収容区域13の適切な高さまで入れて、植物90を土壌8に植えた後、収容区域13の上方から水遣りを開始でき、且つ比較的多量の水が土壌8に完全に浸み込むとすぐに、集結して空間区域12内に滴下し、収容区域13内に入れられた土壌8上の多すぎる水の量及び水分子が浸水部材2の微小流路21に沿ってゆっくりと浸み込む方式で空間区域12内に流入し、濾過して貯水に用いることができ、土壌8の湿度を調節する機能が形成され、水遣りの水が下に滴下しなくなり、環境保護政策を満たすことができる。
【0017】
水を加える回数を減らすために、水を直接注水ユニット15から注入してもよく、注入した水はプランターユニット1の空間区域12内に迅速に流入し、空間区域12内に流入して溜まった水量の高さが内凹部14の下縁部の高さに達すると、水分子の表面張力作用及び浸水孔141と浸水部材2の微小流路21間の毛細管作用下で、水分子が浸水孔141及び浸水部材2を経由し、ゆっくりと逆流して拡散する方式で浸水部材2及び内凹部14の間に満ち、さらに、浸水部材2表面近くに敷き詰められた土壌8にも浸み込み、やや湿った状態にすることができる。
このとき、水を注水ユニット15から注入し続けると、空間区域12内にすでに貯蔵された水の水位が上がり続けて満水の水位に達する。その後封鎖ユニット4の雌ネジ41(例えば図2のキャップ)または雄ネジ42(例えば図4のボトル)を注水ユニット15外側の螺合部151または雌ネジ152に螺合すると、注水ユニット15と封鎖ユニット4の間に適切な緊密度が形成され、保持される。
【0018】
注水ユニット15と封鎖ユニット4の間に密閉作用が完成されていない状況にすると、極少量の気体が注水ユニット15と封鎖ユニット4の間から極めてゆっくりと進入するため、流入した極少量の気体が空間区域12側の水位表面上を加圧し、水分子を浸水孔141及び浸水部材2の間から極めてゆっくりと逆流させる方式で土壌8内に浸み込ませて土壌8が一定の湿度を保ち吸収ができなくなるまで拡散させることができ、これにより、あらかじめ空間区域12内に貯蔵しておいた水分子が浸水孔141と微小流路21の浸水作用により受動式自動補給給水を行い、毎回の水遣りを必要とせずに植物の生存率を高め、出国期間中も水遣りをせずに継続して植物の栽培ができる。
【0019】
また、浸水部材2は、腐食しにくい素材の複数の粒子20、20’を焼結して形成されており、長期間水中に浸漬されても、浸水部材2が腐ることがなく、また微小流路21が土壌8の重力で圧迫されて変形して詰まることもないため、水分子の逆流を導引する作用と収容区域13内の土壌8に必要な湿度を調節する機能を備え、長時間の引水濾過効果を確約することができる。
【0020】
図5〜図9は、本発明の実施例2を示す。
本実施例において、受動式給水プランターは、プランターユニット1、浸水部材2、漏れ防止ユニット3、導管5を含む。
プランターユニット1は、内層プランター10と透明の外層プランター11を含む。
内層プランター10は透明材質を最良とし、且つ内層プランター10の適切な箇所に、外層プランター11と結合するための結合部108が形成される。
結合部108は、内層プランター10の収容区域13の周辺箇所、例えば、内層プランター1の側面102の外側、または、図5に示すように、側面102の上端部外周を取り巻くように形成された環状面1025の内側に形成される。
【0021】
内層プランター10の収容区域13は、内層プランター10の底面101、側面102及び環状U字形凹面103に囲まれて成り、底面101は周囲の環状U字形凹面103から収容区域13の内部(上方)に突出して形成される。底面101には、下に向かって延伸された内凹部14が形成される。
内凹部14には1個以上の貫通状の浸水孔141が形成され、浸水孔141は収容区域13から中空状の空間区域12の間の連結通路となる。
【0022】
浸水孔141は複数の粒子20、20’を焼結して構成された浸水部材2の末端を穿入させるために用いることができる。つまり、浸水部材2の末端位置が浸水孔141の下縁付近まで延伸される、または浸水孔141の下縁から突出する(即ち、浸水孔141の下縁から延伸されて空間区域12内に進入された状態を最良とする)。なお、浸水部材2については、実施例1で詳しく説明しているため、ここでは説明を省略する。
また、内凹部14及び浸水孔141の最低位置は環状U字形凹面103の最低位置よりやや高く、望ましくは、環状U字形凹面103の最低位置より10mm以下だけ高くし、内凹部14及び浸水孔141が外部から見えないようにして、遮蔽作用と美観増進の効果を達することができる。
【0023】
外層プランター11は、透明材質で中空の凹陥状に形成してなり、その適切な箇所に内層プランター10の結合部108と係合する接合部118が形成される。
外層プランター11の接合部118を内層プランター10の結合部108に組み込み、外層プランター11を内層プランター10の外側に配置させて、内層プランター10と外層プランター11間に中空状の空間区域12を形成する。
また、内層プランター10と外層プランター11の間に漏れ防止ユニット3を緊密に挟んで設置して、空間区域12の上半部区域120に確実な密閉状態を形成する。
結合部108と接合部118間の組み込み方式は、螺合方式(図7、図9参照)、またはツイスト方式(傾斜した螺旋状の軌跡に沿って少し捻って回転させる方式)を最良とし、結合部108及び接合部118は、ねじ山、または溝状軌道、突出状軌道等を最良とする。
【0024】
また、外層プランター11には最高水位表示部119が形成される。最高水位表示部119は、外層プランター11の内側表面または外側表面に、外層プランター11と一体成型するか、成型後の加工(例:貼付加工、着色加工、転写加工、印刷加工等)により形成することができる。これにより、消費者が直接目視によって外層プランター11内に投入できる最高の水位を識別するために用いることができる。最高水位表示部119は横方向または縦方向に配列した溝、または突出部分、図案、色帯を最良とする。
【0025】
漏れ防止ユニット3は弾性状であり、内層プランター10の上端面、または内層プランター10の側面102の外側上端部、或いは内層プランター10の環状面1025の内側、または外層プランター11の外側上端部、或いは外層プランター11の内側上端部に設置することができる。
そして、外層プランター11の接合部118を内層プランター10の結合部108に組み込んだとき、内層プランター10の上端部と外層プランター11の上端部間に漏れ防止ユニット3が緊密に挟み込まれ、内層プランター10と外層プランター11の間に形成された中空状の空間区域12の上半部区域120を緊密な気体漏れのない状態とすることができる。
【0026】
導管5は中空状をなし、内層プランター10または外層プランター11に組み込まれる。
導管5の上端50は空間区域12の外部に連通されて空気に接触し、且つ導管5の下端51は空間区域12内に連通され、導管5の下端51の最低点が内凹部14に設置された浸水部材2上縁の最高点より低く(つまり、浸水部材2上縁の最高点が導管5下端51の最低点より高い)、空間区域12と空間区域12外側の空気の連通に用いられる。
また、導管5は一体成型方式で内層プランター10または外層プランター11の適切な箇所に結合させるか、或いは導管5を内層プランター10または外層プランター11の適切な箇所に組み立て方式で組み込んでもよい。
【0027】
本実施例では、実施例1と同様に注水ユニット(図示しない)が内層プランター10または外層プランター11の適切な箇所に設置される。注水ユニットは空間区域12内に連通され、注水ユニットを覆って封鎖ユニット(図示しない)が螺合固定され、気体漏れのない密閉状態が形成される。
【0028】
使用時は、まず浸水部材2(複数の腐らない粒子20、20’を焼結して形成される)を内層プランター10の内凹部14に入れ、且つ浸水部材2の末端を浸水孔141と空間区域12の接続位置に緊密に隣接させるか、浸水孔141を貫通させて空間区域12内に進入させた後、土壌8と植物90を順次内層プランター10の凹陥状の収容区域13内に入れて植え付ける。
また、直接中空透明凹陥状の外層プランター11内に、水位が外層プランター11の最高水位表示部119の最高位置に接近するまで(但し最高水位表示部119の最高位置を超過しないようにして、外層プランター11の最高水位表示部119を超過した水が内層プランター10の体積で押し上げられて、密閉状に結合されていない空間区域12の外層プランター11上縁箇所から外側に溢れ出すことを回避する)直接水を入れる(図6参照)。
【0029】
次いで、浸水部材2、土壌8、植物90を設置済みの内層プランター10の結合部108と外層プランター11の接合部118を組み立て、外層プランター11の外側上端面が漏れ防止ユニット3を緊密に圧迫して変形させるまで締める(即ち漏れ防止ユニット3が内層プランター10の内側上端面と外層プランター11の外側上端面の間に緊密に挟み込まれる)。
すると、内層プランター10と外層プランター11の間に、密閉状の上半部区域120を備えた中空状の空間区域12が形成され、且つ水位を同期して空間区域12及び導管5の適切な高さまで上に向かって移動させることができる(図7参照)。
空間区域12の上半部区域120は、外層プランター11の接合部118から浸水孔141までの間の区域を指すか、外層プランター11の接合部118から導管5の下端51までの間の区域を指す。
【0030】
このとき、内層プランター10と外層プランター11間に挟まれた中空状の空間区域12の上半部区域120が密閉状となっているが、導管5内に位置する水が受ける大気圧と引力の作用及び浸水部材2の下端が空間区域12内に突出して水に接触することによる毛細管作用及び収容区域13内の乾燥した土壌8の吸収作用で、導管5内の水位が先にその下端51箇所まで下がった(即ち、浸水部材2上方の部分の土壌8から空間区域12までの間が水分子で満ちる)後、一部の水分子を浸水部材2の毛細管作用により上に向かって流入させて土壌8に吸收させることができる。
【0031】
土壌8に空間区域12内の水分を継続して吸収させたい場合、別の一部の土壌8が乾燥しているため、または水の揮発作用のために、水分子を空間区域12内から上に向かって流入させることができ、且つ空間区域12の上半部区域120内の圧力が大気圧より若干低いため、大気圧が導管5から空間区域12の密閉状の上半部区域120内に流入し(即ち空気が補充される)、空間区域12内の水がサイホン作用によって上に向かって土壌8に継続して流入して浸み込み、土壌8が水分子を吸収して一定割合の湿度が保たれるようにすることができる。
【0032】
最後に、土壌8内の水分子が植物90の根部に吸収され、または土壌8外側の空気により揮発されると、空間区域12内の水分子が継続的に浸水部材2及び浸水孔141間の毛細管作用及びサイホン作用によって上に向かって土壌8内に流入し、空間区域12内の水位が浸水部材2の末端に接触できなくなるまで下降する。即ち、このときが再注水の最終的なタイミングを表す。
このように、空間区域12を有効な貯水区域として利用し、空間区域12内の最大貯水量を増加することができ、且つ空間区域12内の水を受動式の微量化した自動給水効果により土壌8に供給して、土壌8を一定の湿度に保つことができ、空間区域12内の貯水量で一定期間別途水遣りすることなく給水を持続するように確保でき、旅行や外出時も毎日水遣りの必要なく植物の正常な生長を保持するという利便性を有し、従来のプランターのように底部の水分が多すぎて植物が根腐れする現象を防止し、克服することができる。
【0033】
図10は、本発明の実施例3を示す。
透明材質の内層プランター10と外層プランター11を組み立て、中空状の空間区域12が形成される。空間区域12内にあらかじめ造景物85、栽培用水生植物91及び養殖用水生動物92を配置する。光線が空間区域12内まで射し込むため、水生植物91の光合成に用いることができ、水中の酸素含有量を増加し、水生動物92の食用草類の拠所として、空間区域12を1つの生態区域に変え、より活性化した、より栄養分の豊富な水質を提供し、内層プランター10内に植えた植物90の成長に供するために用いることができる。
【0034】
本実施例によれば、消費者が直接目視で水を加えるときの最高水位の高さ、土壌湿度の制御、植物の生長の観察研究、貯蔵水の流れる方向と流速の観察ができるほか、同時に空間区域12内で別途水生植物91を栽培したり、水生動物92を育てたり、造景物85を入れたりして、室内環境の美化と室内空間の緑化を図ることができ、且つ病媒蚊の発生を防止して、オフィスで働く人々の仕事のストレスを緩和し、作業効率を高めることに役立てることができる。
その他の構成及び使用方法は、実施例2と同様である。
【0035】
図11は、本発明の実施例4を示す。
実施例4では、導管5を相互に組み立てる方式で内層プランター10または外層プランター11の適切な箇所に組み込み、導管5の下端51を直接内層プランター10の凹陥状の収容区域13の底面101に挿入して、空間区域12内まで伸入させ、空間区域12と空間区域12外側の空気の連通に用いることができる。
また、注水ユニット15を覆って封鎖ユニット4が螺合固定され、注水ユニット15と封鎖ユニット4の間には漏れ止め部材45が挟んで設置され、気体漏れのない密閉状態を形成するために用いられる。
なお、プランターユニット1の他の構造及び浸水部材2の構造は、いずれも実施例1〜3の説明において詳細に説明しているため、ここでは説明を省略する。
【0036】
以上の説明は、本発明の最良の実施例に基づくものであり、本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲を逸脱しない変更または修飾はいずれも本発明の権利範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 プランターユニット
10 内層プランター
101 底面
102 側面
1025 環状面
103 環状U字形凹面
108 結合部
11 外層プランター
118 接合部
119 最高水位表示部
12 空間区域
120 上半部区域
13 収容区域
14 内凹部
141 浸水孔
15 注水ユニット
151 螺合部
152 雌ネジ
2 浸水部材
20、20’ 粒子
21 微小流路
3 漏れ防止ユニット
4 封鎖ユニット
41 雌ネジ
42 雄ネジ
45 漏れ止め部材
5 導管
50 上端
51 下端
8 土壌
85 造景物
90 植物
91 水生植物
92 水生動物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動式給水プランターであって、プランターユニットと浸水部材を含み、
前記プランターユニットが少なくとも凹陥状の収容区域を備えた内層プランター、内層プランターを支持する外層プランター、及び外層プランターと内層プランターの間に挟まれた中空状の空間区域を含み、前記収容区域が内層プランターの底面及び側面に囲まれて形成され、前記収容区域に1つ以上の浸水孔が形成され、前記浸水孔と前記空間区域が相互に連通され、
前記浸水部材が複数の粒子から構成され、且つ粒子間に不規則な間隙が連通された微小流路が形成され、前記浸水部材が前記収容区域から前記浸水孔の間の水流の流動経路上に設置されることを特徴とする、受動式給水プランター。
【請求項2】
前記浸水部材が複数の金属粒子を焼結する方式で形成され、且つ前記浸水部材の一端を前記浸水孔に穿通させて空間区域内に延伸可能であることを特徴とする、請求項1に記載の受動式給水プランター。
【請求項3】
前記金属粒子が銅粒子であることを特徴とする、請求項2に記載の受動式給水プランター。
【請求項4】
前記浸水部材が複数のセラミック粒子を焼結する方式で形成され、且つ前記浸水部材の一端を前記浸水孔に穿通させて空間区域内に延伸可能であることを特徴とする、請求項1に記載の受動式給水プランター。
【請求項5】
前記浸水部材が複数の石粒子を焼結する方式で形成され、且つ前記浸水部材の一端を前記浸水孔に穿通させて空間区域内に延伸可能であることを特徴とする、請求項1に記載の受動式給水プランター。
【請求項6】
受動式給水プランターであって、内層プランター、外層プランター、漏れ止め部材、導管から成るプランターユニットを含み、
前記内層プランターは、内層プランターの底面及び側面に囲まれてなる凹陥状の収容区域を有すると共に、前記底面に貫通状の浸水孔が形成され、且つ結合部が設けられ、
前記外層プランターは中空の凹陥状の透明材質であり、且つ接合部が形成され、
前記外層プランターの接合部を前記結合部に組み込むことにより、前記外層プランターを前記内層プランターの外周側に設置可能であり、且つ前記内層プランター及び前記外層プランター間に挟まれて中空状の空間区域が形成され、且つ前記浸水孔と前記空間区域が連通され、
前記漏れ止め部材は、前記内層プランターと前記外層プランターの間に緊密に挟んで設置され、且つ前記空間区域の上半部区域を気体漏れのない緊密な状態とし、
前記導管の上端及び下端が前記空間区域外側の空気と前記空間区域内にそれぞれ連通され、前記空間区域内部と前記空間区域外側の空気の連通に用いられることを特徴とする、受動式給水プランター。
【請求項7】
前記導管が一体成型によって前記内層プランターまたは前記外層プランターに結合されたことを特徴とする、請求項6に記載の受動式給水プランター。
【請求項8】
前記外層プランターに最高水位表示部を設けたことを特徴とする、請求項7に記載の受動式給水プランター。
【請求項9】
前記最高水位表示部が前記外層プランターの内側表面または外側表面に設置されたことを特徴とする、請求項8に記載の受動式給水プランター。
【請求項10】
前記最高水位表示部と前記プランターユニットの外層プランター間の結合方式が一体成型であることを特徴とする、請求項9に記載の受動式給水プランター。
【請求項11】
前記最高水位表示部は、前記外層プランターに貼付または着色加工によって設けられたことを特徴とする、請求項9に記載の受動式給水プランター。
【請求項12】
前記外層プランターの接合部と前記内層プランターの結合部を螺合方式で組み込み、中空状の空間区域が形成されることを特徴とする、請求項10または11に記載の受動式給水プランター。
【請求項13】
前記内層プランターの底面に下方向に延伸された内凹部が形成され、前記内凹部に浸水孔が形成されたことを特徴とする、請求項12に記載の受動式給水プランター。
【請求項14】
前記内層プランターの下端に、周囲を環状U字形凹面により囲まれ、前記収容空間の内部に突出した底面が設けられ、前記底面に下方向に延伸された内凹部が形成され、前記内凹部に浸水孔が形成され、前記内凹部の側壁が前記浸水部材の外周を囲むよう周設されて、前記浸水部材が前記浸水孔から土壌までの間の水流経路に配置でき、且つ前記浸水部材の上縁の最高点が前記導管の下端の最低点より高いことを特徴とする、請求項13に記載の受動式給水プランター。
【請求項15】
前記浸水部材の一端が前記浸水孔に穿通されて前記内層プランターと前記外層プランターの間の前記空間区域内に進入され、且つ前記浸水部材が複数の粒子を焼結して形成され、前記粒子間に不規則な間隙が連通された微小流路が形成されていることを特徴とする、請求項14に記載の受動式給水プランター。
【請求項16】
前記内層プランターまたは前記外層プランターに注水ユニットが設置され、前記注水ユニットの一端が前記空間区域内に連通され、前記注水ユニットの他端を被覆する封鎖ユニットが設けられ、前記注水ユニットと前記封鎖ユニットの間に漏れ止め部材が挟み込まれたことを特徴とする、請求項15に記載の受動式給水プランター。
【請求項17】
前記導管が前記内層プランターまたは前記外層プランターに組み立て方式で組み込まれたことを特徴とする、請求項6に記載の受動式給水プランター。
【請求項18】
前記外層プランターに最高水位表示部が形成されたことを特徴とする、請求項17に記載の受動式給水プランター。
【請求項19】
前記最高水位表示部が、前記外層プランターの内側表面または外側表面に設置されたことを特徴とする、請求項18に記載の受動式給水プランター。
【請求項20】
前記最高水位表示部と前記プランターユニットの外層プランター間の結合方式が一体成型であることを特徴とする、請求項19に記載の受動式給水プランター。
【請求項21】
前記最高水位表示部は、前記外層プランターに貼付または着色加工によって設けられたことを特徴とする、請求項19に記載の受動式給水プランター。
【請求項22】
前記外層プランターの接合部と前記内層プランターの結合部を螺合方式で組み込み、中空状の空間区域が形成されることを特徴とする、請求項20または21に記載の受動式給水プランター。
【請求項23】
前記内層プランターの底面に下方向に延伸された内凹部が形成され、前記内凹部に浸水孔が形成されたことを特徴とする、請求項22に記載の受動式給水プランター。
【請求項24】
前記内層プランターの下端に、周囲を環状U字形凹面により囲まれ、前記収容空間の内部に突出した底面が設けられ、前記底面に下方向に延伸された内凹部が形成され、前記内凹部に浸水孔が形成され、前記内凹部の側壁が前記浸水部材の外周を囲むよう周設されて、前記浸水部材が前記浸水孔から土壌までの間の水流経路に配置でき、且つ前記浸水部材の上縁の最高点が前記導管の下端の最低点より高いことを特徴とする、請求項23に記載の受動式給水プランター。
【請求項25】
前記浸水部材の一端が前記浸水孔に穿通されて前記内層プランターと前記外層プランターの間の前記空間区域内に進入され、且つ前記浸水部材が複数の粒子を焼結して形成され、前記粒子間に不規則な間隙が連通された微小流路が形成されていることを特徴とする、請求項24に記載の受動式給水プランター。
【請求項26】
前記内層プランターまたは前記外層プランターに注水ユニットが設置され、前記注水ユニットの一端が前記空間区域内に連通され、前記注水ユニットの他端を被覆する封鎖ユニットが設けられ、前記注水ユニットと前記封鎖ユニットの間に漏れ止め部材が挟み込まれたことを特徴とする、請求項25に記載の受動式給水プランター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−152210(P2012−152210A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242742(P2011−242742)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(511157848)
【Fターム(参考)】