説明

受電装置、及び受電方法

【課題】1次コイルに流れる交流電流の周波数にて共振を発生させることが従来よりも容易な受電技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る受電装置は、受電部と、低減電圧生成部とを備える。受電部は、1次コイルと電磁結合される2次コイルと、該2次コイルに接続されたコンデンサとを備え、1次コイルに流れる第1の交流電流に基づく第2の交流電圧を生成する。低減電圧生成部は、前記第2の交流電圧に起因して前記受電部に発生する第2の交流電流によって該受電部に発生するリアクタンス電圧を低減可能な低減電圧であって、該第2の交流電圧と略同一の周波数を有する低減電圧を生成し、該低減電圧を前記受電部に印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振回路を用いて1次コイルから電力を受電する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1に記載された高周波受電回路の一例を図5を参照して説明する。この高周波受電回路は、高周波の交流電流を流す1次側誘導線路101(1次コイル)に対向した2次コイル102と、この2次コイル102に並列接続された共振コンデンサ103と、このコンデンサ103に接続され2次側コイルに発生する誘導電圧を整流する整流回路104と、整流回路104に接続され、出力電圧VOUTが予め設定された一定の基準電圧VEとなるように出力電圧VOUTを制御する定電圧制御回路105とを備える。
【0003】
定電圧制御回路105は、電流制限用のコイル107と、基準電圧VEを発生する電圧発生器108と、出力電圧VOUTと電圧発生器108の基準電圧VEとを比較するコンパレータ109と、出力電圧VOUTが基準電圧VEを越えた場合にコンパレータ109によりオンされる出力調整用トランジスタ110と、フィルタを形成するダイオード111およびコンデンサ112から構成されている。基準電圧VEは、負荷106に給電しているときに負荷106の両端間に発生すべき電圧(負荷電圧)と同じ電圧に設定されている。
【0004】
出力電圧VOUTが基準電圧VEを下回ると出力調整用トランジスタ110がオフするので出力電圧VOUTが上昇し、出力電圧VOUTが基準電圧VEを越えると、コンパレータ109からの出力によりトランジスタ110がオンされ、出力電圧VOUTを減少させる。定電圧制御回路105がこのように動作することによって、出力電圧VOUTが基準電圧VEに維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−108390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の高周波受電回路では、1次コイル101から高い効率で受電するために、1次コイル101を流れる交流電流の周波数にて、互いに並列接続された2次コイル102と共振コンデンサ103とが共振するように、2次コイル102のインダクタンスの値と、共振コンデンサ103の容量の値とが設定される。
【0007】
しかしながら、2次コイル102のインダクタンスの値や、共振コンデンサ103の容量の値は、素子によってばらつきがある。このため、上述の高周波受電回路は、1次コイル101を流れる交流電流の周波数にて、2次コイル102と共振コンデンサ103とが共振するように構成することが容易ではなかった。
【0008】
また、2次コイル102のインダクタンスの値は、2次コイル102の温度、または2次コイル102の経年変化によって変化する。この変化によって共振周波数が別の周波数にシフトするため、上述の高周波受電回路では、1次コイルに流れる交流の周波数を共振周波数として維持するための調整作業が適宜必要であった。
【0009】
そこで、本発明は、1次コイルに流れる交流電流の周波数にて共振を発生させることが従来よりも容易な受電技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた、本発明の第1局面における受電装置は、第1の交流電圧を印加され、第1の交流電流が流れる1次コイルから電力を受電する受電装置である。この受電装置は、受電部と、低減電圧生成部とを備える。受電部は、1次コイルと電磁結合される2次コイルと、該2次コイルに接続されたコンデンサとを備え、第1の交流電流に基づく第2の交流電圧を生成する。低減電圧生成部は、第2の交流電圧に起因して受電部に発生する第2の交流電流によって該受電部に発生するリアクタンス電圧を低減可能な低減電圧であって、該第2の交流電圧と略同一の周波数を有する低減電圧を生成し、該低減電圧を受電部に印加する。
【0011】
このように構成された受電装置では、受電部に上述のような低減電圧を印加することで、受電部におけるリアクタンス電圧が受電部における共振の発生を阻害することを抑制できる。したがって、受電部の2次コイルのインダクタンスやコンデンサの容量を調整することなく、受電部において、第2の交流電圧の周波数にて共振を発生させることができる。つまり、この受電装置では、1次コイルに流れる第1の交流電流の周波数にて共振を発生させることが従来よりも容易である。
【0012】
低減電圧の周波数は、第2の交流電圧の周波数と完全に同一であってもよいし、第2の交流電圧の周波数と同一と見なせる範囲内で許容される誤差を有してもよい。
低減電圧生成部は、低減電圧を発生するためにどのように構成されていてもよい。
【0013】
低減電圧生成部は、例えば、振幅位相検出部と、パラメータ算出部とを備え、パラメータ算出部によって算出された複数のパラメータに基づいて、低減電圧を生成するように構成されてもよい。振幅位相検出部は、第2の交流電流の振幅及び位相を検出する。パラメータ算出部は、振幅位相検出部によって検出された第2の交流電流の振幅及び位相、並びに、予め設定された前記受電部のインピーダンスに基づいて低減電圧を決定づける複数のパラメータを算出する。
【0014】
このように低減電圧生成部が構成されていれば、上述のような低減電圧を生成することができる。
低減電圧は、どのような波形の電圧であってもよく、例えば、方形波電圧であってもよい。
【0015】
この場合、低減電圧は、どのような方形波電圧であってもよく、例えば、パルス状の交流電圧であってもよい。
低減電圧生成部は、このようなパルス状の交流電圧をどのように生成してもよい。
【0016】
例えば、低減電圧生成部は、直流電圧を用いて、低減電圧を構成する正のパルスと、負のパルスとを交互に発生するように構成されてもよい。
このように構成された低減電圧生成部によれば、直流電圧を用いて、低減電圧を生成することができる。
【0017】
この場合、低減電圧生成部は、例えば、パラメータ算出部によって算出された複数のパラメータに基づいて、正のパルスと負のパルスとを交互に発生するパルス制御部を備えてもよい。
【0018】
振幅位相検出部は、どのように構成されていてもよい。
振幅位相検出部は、例えば、第1の乗算器と、第2の乗算器と、第1のフィルタ部と、第2のフィルタ部と、第1のアナログ/ディジタル変換部と、第2のアナログ/ディジタル変換部と、電流位相振幅計算部とを備えてもよい。第1の乗算器は、第2の交流電流に該第2の交流電流の周波数と同じ周波数の基準信号を乗じてなる第1の信号を生成する。第2の乗算器は、第2の交流電流に該第2の交流電流の周波数と同じ周波数で上記基準信号と90度位相の異なる交流信号を乗じてなる第2の信号を生成する。第1のフィルタ部は、第1の信号に含まれている第2の交流電流の周波数より高い周波数成分が除去された第1の分離信号を出力する。第2のフィルタ部は、第2の信号に含まれている第2の交流電流の周波数より高い周波数成分が除去された第2の分離信号を出力する。第1のアナログ/ディジタル変換部は、第1の分離信号を受けて所定のサンプリング周期で第1のディジタル信号に変換する。第2のアナログ/ディジタル変換部は、第2の分離信号を受けて所定のサンプリング周期で第2のディジタル信号に変換する。電流位相振幅計算部は、第1及び第2のディジタル信号に基づいて、第2の交流電流の前記振幅および位相を算出する。
【0019】
このように構成された振幅位相検出部は、低減電圧生成部が直流電圧を用いて、低減電圧を構成する正のパルスと負のパルスとを交互に発生するのに好適である。
パラメータ算出部によって算出される複数のパラメータは、低減電圧を決定づけるどのようなパラメータを含んでもよい。
【0020】
例えば、パラメータ算出部によって算出される複数のパラメータは、低減電圧の振幅Eと、低減電圧の基準信号に対する位相Φと、受電部のインピーダンス振幅Zと、受電部のインピーダンス位相φとを含んでもよい。
【0021】
この場合、パラメータ算出部は、以下の数式(1)〜(4)に基づいて、複数のパラメータを算出するように構成されていてもよい。
E=ZI ・・・(1)
Φ=φ+θ ・・・(2)
Z=(Rc2+(Xc21/2 ・・・(3)
φ=arctan(Rc/Xc) ・・・(4)
ただし、Iは、第2の交流電流の振幅を表し、θは、第2の交流電流の位相を表し、Rcは、前記受電部における抵抗成分以上の値を表し、Xcは、前記2次コイルの誘導性リアクタンスと前記コンデンサの容量性リアクタンスとの合成リアクタンスを表す。
【0022】
このようにパラメータ算出部が構成されている場合、低減電圧は、抵抗成分以上の値と、2次コイルの誘導性リアクタンスと、コンデンサの容量性リアクタンスとに基づいて決定される。このため、低減電圧生成部は、誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスとに対応するリアクタンス電圧を低減可能な低減電圧を発生させることができ、ひいては、受電部におけるリアクタンス電圧が受電部における共振の発生を阻害することを抑制できる。
【0023】
パルス制御部は、パラメータ算出部によって算出された複数のパラメータに基づいて、正のパルスと負のパルスとを交互に発生するためにどのように構成されてもよい。
パルス制御部は、例えば、正のパルス及び負のパルスのパルス幅θaを以下の数式(5)に基づいて算出し、正のパルスと負のパルスとの間隔βを以下の数式(6)に基づいて算出し、最初の正のパルスの発生タイミングである開始角αを以下の数式(7)に基づいて算出し、さらに、パルス幅θaと開始角αと間隔βとに基づいて、正のパルスと負のパルスとを交互に発生するように構成されてもよい。
【0024】
θa=2arcsin(Eπ/4Ed) ・・・・・・・・・・・・(5)
β=π−θa ・・・・・・・・・・・・(6)
α=−Φ+β/2 ・・・・・・・・・・・・(7)
ただし、Edは、直流電圧の値を表す。
【0025】
このようにパルス制御部が構成されていれば、上述のような低減電圧を形成する正のパルスと負のパルスとを交互に発生することができる。
コンデンサの容量は、2次コイルとの共振周波数が第2の交流電流の周波数より小さくなるように設定されてもよい。
【0026】
この場合、2次コイルに流れる第2の交流電流が低減電圧に対して遅れ位相(0<θ<π)となり、低減電圧の立ち上がり時にサージ電圧(オーバーシュート)が発生することを抑制でき、正のパルスと負のパルスを発生させるスイッチ素子において大きなスイッチングロスが生じることも抑制できる。
【0027】
受電装置は、第2の交流電圧を直流電圧に変換する電圧変換部を備えてもよい。
このように受電装置が構成されていれば、1次コイルから受電した電力を用いて直流電圧を生成することができる。
【0028】
また、上記目的を達成するためになされた、本発明の第2局面における方法は、第1の交流電圧を印加され、第1の交流電流が流れる1次コイルから電力を受電する方法であり、交流電圧生成工程と、低減電圧生成工程と、低減電圧印加工程とを備える。交流電圧生成工程では、1次コイルと電磁結合される2次コイルと、該2次コイルに接続されたコンデンサとを備える受電部にて、第1の交流電流に基づく第2の交流電圧を生成する。低減電圧生成工程では、第2の交流電圧に起因して受電部に発生する第2の交流電流によって該受電部に発生するリアクタンス電圧を低減可能な低減電圧であって、該第2の交流電圧と略同一の周波数を有する低減電圧を生成する。低減電圧印加工程では、低減電圧を受電部に印加する。
【0029】
このような受電方法では、受電部に上述のような低減電圧を印加することで、2次コイルとコンデンサとによって発生するリアクタンス電圧が共振の発生を阻害することを抑制できる。したがって、2次コイルのインダクタンスやコンデンサの容量を調整することなく、第2の交流電圧の周波数にて共振を発生させることができる。つまり、この受電方法によれば、1次コイルに流れる第1の交流電流の周波数にて共振を発生させることが従来よりも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明が適用された実施形態の受電装置の電気的構成を表す回路図である。
【図2】実施形態の振幅位相検出部の構成を表すブロック図である。
【図3】(a)は受電部と、第1〜第4のスイッチ部と、直流電源とで形成される回路の概略的な等価回路図であり、(b)は第1〜第4のスイッチ部のスイッチング動作を示すタイミングチャートである。
【図4】(a)は、受電部から方形波コンバータに入力される入力電圧及び交流電流の波形を示した図であり、(b)は、方形波コンバータにおいて生成されるコンバータ電圧の波形を示した図である。
【図5】従来の高周波受電回路の構成を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[受電装置の概要]
図1に示すように、受電装置1は、受電部20と方形波コンバータ2とを備える。受電部20は、受電装置1の外部の1次コイル51に対向して配置され、1次コイル51と電磁結合される2次コイル201と、2次コイル201の誘導性リアクタンス電圧(ωLi:ωは角周波数、Lは2次コイル201のインダクタンス、iは2次コイル201に流れる交流電流の瞬時値を表す)を補償する容量性リアクタンス電圧(i/ωC:Cは静電容量を表す)を発生させる共振コンデンサ202とを備える。2次コイル201と共振コンデンサ202とは、各々の一端が接続されて、直列共振回路を形成している。尚、図1中に示されたA/Cは2次コイル201で発生する誘導電圧e0を表し、2次コイル201と共振コンデンサ202との間に図示された抵抗Rは、2次コイル201に含まれる抵抗成分を表している。
【0032】
方形波コンバータ2は、第1〜第4のスイッチ部S1〜S4と、第1〜第4のダイオードD1〜D4と、直流電源4と、平滑コンデンサ5と、電流センサ6と、制御部7とを備える。
【0033】
各スイッチ部S1〜S4は自己消孤機能を有するスイッチ素子であり、例えば、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられているが、MOSFETなどの他のスイッチ素子を用いてもよい。
【0034】
より具体的には、スイッチ部S1のエミッタとスイッチ部S4のコレクタとが互いに接続され、スイッチ部S3のエミッタとスイッチ部S2のコレクタとが互いに接続されている。このように直列接続された、一組のスイッチ部S1,S4と、別の一組のスイッチ部S3,S2とは、負荷3の両端間で互いに並列接続されている。そして、受電部20の共振コンデンサ202の他端が、スイッチ部S1のエミッタとスイッチ部S4のコレクタとの間にあるノードN1に接続され、受電部20の2次コイル201の他端が、スイッチ部S3のエミッタとスイッチ部S2のコレクタとの間にあるノードN2に接続されている。
【0035】
第1〜第4のダイオードD1〜D4はそれぞれ、スイッチ部S1〜S4の各々のエミッタ−コレクタ間に接続され、スイッチ部S1〜S4がオンからオフへ移行した際に発生する逆起電力を吸収する。ダイオードD1〜D4は、ディスクリート素子であってもよいし、スイッチ部S1〜S4のエミッタ−コレクタ間に形成される寄生ダイオードであってもよい。
【0036】
直流電源4と平滑コンデンサ5とは、負荷3に並列接続されている。平滑コンデンサ5は、スイッチ部S1〜S4によって交流電流から変換された、脈流を含む直流電流を平滑化する。
【0037】
電流センサ6は、本実施形態では、非接触式電流センサである。非接触式電流センサは、絶縁処理されたリングコアに巻線を施された電流トランスを含んでおり、リングコアに挿通された配線上を流れる交流電流を当該センサ内の負荷抵抗に流すことにより交流電流の瞬時値を検出している。電流センサ6のリングコアには、受電部20の2次コイル201の他端からノードN2に至る配線が挿通されており、電流センサ6は、この配線上を流れる交流電流の瞬時値iを検出する。
【0038】
制御部7は、電流センサ6に接続された振幅位相検出器8、該振幅位相検出器8に接続されたコンバータ電圧制御器9、及び該コンバータ電圧制御器9及び各スイッチ部S1〜S4のゲートに接続されたパルス制御部10を備える。
【0039】
制御部7は、後述するように、スイッチ部S1とスイッチ部S2とで構成される第1の対と、スイッチ部S3とスイッチ部S4とで構成される第2の対とを交互にオンオフするように、これらスイッチ部S1〜S4をスイッチングする。方形波コンバータ2は、このようなスイッチングによって、受電部20からの交流を直流に変換すると共に、受電部20におけるリアクタンス(誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスとの合成リアクタンス)に起因するリアクタンス電圧をキャンセルし、リアクタンス電圧が受電部20における共振の発生を阻害するのを抑制するためのコンバータ電圧(キャンセル電圧)を発生させる。
【0040】
図2に示すように、振幅位相検出器8は、電流センサ6で検出された交流電流の瞬時値iを入力する入力端子21と、第1の基準信号としての基準交流信号(以下、「基準信号」と呼ぶ。例えば、sin波信号)を生成する第1の発信器22と、第2の基準信号としての前記基準信号と90度位相が異なる信号(例えばcos波信号)を生成する第2の発信器23と、生成された前記sin波信号及び前記cos波信号をそれぞれ交流電流の瞬時値iに乗算して第1の信号及び第2の信号を出力する乗算器24,25と、前記第1の信号及び前記第2の信号に含まれる交流電流の周波数よりも高い周波数成分(高調波成分)を除去するローパスフィルタ26と、該ローパスフィルタ26から出力される1対のアナログ信号をそれぞれAD(アナログ−ディジタル)変換して、対応する1対のディジタル信号を出力するADコンバータ27,28と、ADコンバータ27,28から出力される1対のディジタル信号の各々を演算処理をする電流位相振幅計算部29とを備える。電流位相振幅計算部29は、例えば、アークタンジェント(Arctan)演算を実行して電流位相θを算出するとともに、ADコンバータ27,28からの各出力信号の二乗和の平方根を演算して電流振幅Iを算出する。
【0041】
以下に、受電装置1の動作について図1,図2,及び図3(a),(b)を参照して説明する。
1次コイル51に高周波交流電圧(例えば、5〜30kHz)を印加して、1次コイル51に高周波交流電流を通電し、2次コイル201に誘導電圧e0が発生すると交流電流が受電部20に流れ、その交流電流の瞬時値iは電流センサ6によって検出され、その検出された交流電流の瞬時値iは振幅位相検出器8に送出される。
【0042】
ここで、電流センサ6で検出された交流電流の瞬時値iは、以下の数式(1)に示すとおりである。
i=Iexp[j(ωt+θ)] ・・・(1)
なお、Iは電流振幅を表し、tは時間を表し、θは電流位相を表し、expはexponential(指数関数)の略である。
【0043】
振幅位相検出器8は、受電部20において発生し、後述のコンバータ電圧ecの電圧振幅Eを算出するのに必要なパラメータである交流電流の瞬時値iの電流振幅I及び電流位相θを算出する。
[振幅位相検出器8の動作]
第1の乗算器24から出力される第1の信号はIcos(ωt+θ)sin(ωt)となり、第2の乗算器25から出力される第2の信号はIcos(ωt+θ)cos(ωt)となる。
【0044】
なお、交流電流の瞬時値iは、上記数式(1)よりi=Iexp[j(ωt+φ+θ)]で与えられるが、オイラーの公式によりIexp[j(ωt+φ+θ)]はIcos(ωt+θ)と表すことができる。
【0045】
ここで、Icos(ωt+θ)sin(ωt)は、三角関数の積和の公式cosαsinβ={sin(α+β)−sin(α−β)}/2により、I{−sinθ+sin(2ωt+θ)}と表すことができる。
【0046】
Icos(ωt+θ)cos(ωt)は、上記同様に積和の公式cosαcosβ={cos(α+β)+cos(α−β)}/2)によりI{cosθ+cos(2ωt+θ)}と表すことができる。
【0047】
次に、ローパスフィルタ26は、第1の乗算器24からの前記第1の信号の高調波成分を除去して第1の分離信号を出力すると共に第2の乗算器25からの前記第2の信号の高調波成分を除去して第2の分離信号を出力する。
【0048】
具体的には、前記第1の信号については、I{−sinθ+sin(2ωt+θ)}の高調波成分であるIsin(2ωt+θ)が除去され、定常成分(直流成分)であるI{−sinθ}のみが抽出され該定常成分が第1の分離信号として出力される。
【0049】
また、前記第2の信号については、I{cosθ+cos(2ωt+θ)}の高調波成分であるIcos(2ωt+θ)が除去され、定常成分(直流成分)であるIcosθのみが抽出され該定常成分が第2の分離信号として出力される。
【0050】
次に、ADコンバータ27,28は、それぞれローパスフィルタ26からの1対のアナログ信号である前記第1の分離信号及び前記第2の分離信号を、それぞれ所定のサンプリング周波数で第1のディジタル信号及び第2のディジタル信号に変換する。
【0051】
電流位相振幅計算部29は、前記第1のディジタル信号(Isinθ/2)及び前記第2のディジタル信号(Icosθ/2)に基づいて以下の数式(2)、すなわちアークタンジェント演算を行って電流位相θを算出する。
【0052】
θ=arctan{(Isinθ/2)/(Icosθ/2)} ・・・(2)
また、電流位相振幅計算部29は、前記第1のディジタル信号の二乗と前記第2のディジタル信号の二乗の和の平方根(以下の数式(3)参照)を算出することで、電流振幅Iを算出する。
【0053】
I=2{(Isinθ/2)2+(Icosθ/2)21/2 ・・・(3)
なお上記動作は三角関数を用いて説明したが、2つの矩形信号であって、各矩形信号の周波数が一次コイルに接続される電源電圧と同じであり、各矩形信号の位相が互いに90度ずれた矩形信号でも同様の効果が得られる。
【0054】
また90度位相のずれた信号が無くとも、別途、専用の電流振幅センサによって電流振幅のみを検知して、ディジタル信号に変換し、変換されたディジタル信号の値を上記センサによって得られた電流振幅にて除算して2倍した後、アークサイン演算を行えば、電流位相θが算出できる。
【0055】
[コンバータ電圧制御器9の動作]
コンバータ電圧制御器9は、方形波コンバータ2の入力側に印加するコンバータ電圧ecを算出する。ここで、コンバータ電圧ecは方形波コンバータ2の入力端子間(ノードN1とノードN2との間)に印加する電圧である。
【0056】
より具体的には、コンバータ電圧制御器9は、受電部20におけるリアクタンス電圧が受電部20における共振の発生を阻害するのを抑制するためのコンバータ電圧ecを方形波コンバータ2の入力端子に発生させて受電部20における共振を達成するのに必要である。
【0057】
以下に、そのコンバータ電圧ecの算出方法を具体的に説明する。
まず、入力電圧einが以下の数式(4)によって算出される。
in=Zexp(jφ)・Iexp(jωt+jθ)=ZIexp[j(ωt+φ+θ)] ・・・(4)
ただし、Zは、受電部20における等価インピーダンス振幅(以下、「インピーダンス振幅」と呼ぶ。)を表し、φは、受電部20における等価インピーダンス位相(以下、「インピーダンス位相」と呼ぶ。)を表す。電流位相θ及び電流振幅Iはそれぞれ、上記した数式(2)及び数式(3)によって算出される。
【0058】
インピーダンス振幅Zは、以下の数式(5)によって算出され、インピーダンス位相φは、以下の数式(6)によって算出される。
Z=(Rc2+(Xc21/2 ・・・(5)
φ=arctan(Rc/Xc) ・・・(6)
ただし、Rcは、上述の抵抗R以上の値であり、Xcは、2次コイル201の誘導性リアクタンス(ωL)と共振コンデンサ202の容量性リアクタンス(1/ωC)との合成リアクタンス(ωL−1/ωC)である。
【0059】
コンバータ電圧ecの電圧振幅E及び基準信号に対する位相Φは、以下の数式(7)及び数式(8)によって算出される。
E=ZI ・・・(7)
Φ=φ+θ ・・・(8)
したがって、方形波コンバータ2の入力端子間(ノードN1―N2)から2次コイル201側を見た場合に、上記数式(4)〜(8)に基づいて算出され、入力電圧einと略同一の振幅と位相とを有し、入力電圧einと略等価なコンバータ電圧ecを発生させることにより、受電部20からノードN1及びノードN2までのリアクタンス(誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスとの合成リアクタンス)に起因するリアクタンス電圧を零とすることができる(受電部20におけるリアクタンスを打ち消すことができる)。これにより、受電部20におけるリアクタンス電圧が共振の発生を阻害することを抑制でき、受電部20において共振を発生させることができる。
【0060】
[パルス制御部10の動作]
パルス制御部10は、コンバータ電圧制御器9にて決定され、入力電圧einと略等価なコンバータ電圧ecをノード間N1―N2に発生するようにスイッチ部S1〜S4をスイッチングするためのパルス信号を生成して各スイッチ部S1〜S4のゲートに出力している。
【0061】
以下に、各スイッチ部S1〜S4をどのようにスイッチングしているのかについて図3(a),(b)を参照して説明する。
パルス制御部10では、まず、以下の数式(9)によって重なり角βを算出する。
【0062】
β=π−θa ・・・(9)
ただし、θaは、コンバータ電圧ecの1パルスのオン時間(デューティ)を表し(図3(b)参照)、コンバータ電圧制御器9によって算出されたコンバータ電圧ecの電圧振幅E、別途検出される直流電源の電圧Ed等に基づいて以下の数式(10)を計算することにより求められる。
【0063】
θa=2arcsin(Eπ/4Ed) ・・・(10)
また、第1の発信器22にて生成される基準信号と同期をとるために必要な初期位相αを以下の数式(11)によって算出する。
【0064】
α=−Φ+β/2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
次に、スイッチ部S1〜S4をオン又はオフするタイミングについて図3(a),(b)を参照して説明する。なお、図3(b)に示すタイミングチャートでは、上から順に、スイッチ部S1〜スイッチ部S4に出力されるパルス波を表しており、最下段にはコンバータ電圧ecの電圧パルスが表されている。
【0065】
(i)スイッチ部S1とスイッチ部S3のスイッチング
まず、初期位相αだけ位相をずらしてスイッチ部S1を所定時間(一周期に対して約π)だけオンし、該オン時間と同じ時間だけオフするようにスイッチ部S1をスイッチングする。その後はこの動作が繰り返される。
【0066】
次に、スイッチ部S1とスイッチ部S3のオン時間の重複した部分が角度βとなるようなタイミングでスイッチ部S3をオンし、その後スイッチ部S3はスイッチ部S1のオン時間と同じ時間だけオンし、その後、スイッチ部S1のオフ時間と同じ時間だけオフするようにスイッチ部S3がスイッチングされる。その後はこの動作が繰り返される。
【0067】
上記スイッチングによって、コンバータ電圧ecの正のパルスはスイッチ部S1のオンと同時に発生し、(π−β)の時間経過後に消失する。
(ii)スイッチ部S2とスイッチ部S4のスイッチング
スイッチ部S2は、スイッチ部S3のオン時間と重ならないように、スイッチ部S1のオン時間と同じ時間だけオンし、スイッチ部S1のオフ時間と同じ時間だけオフするようにスイッチングされる。その後はこの動作が繰り返される。
【0068】
次に、スイッチ部S2とスイッチ部S4のオン時間の重複した部分が角度βとなるようなタイミングでスイッチ部S4をオンし、その後スイッチ部S4はスイッチ部S2のオン時間と同じ時間だけオンし、その後、スイッチ部S2のオフ時間と同じ時間だけオフするようにスイッチ部S4がスイッチングされる。その後はこの動作が繰り返される。言い換えるとスイッチ部S4については、スイッチ部S1のオン時間と重ならないように、スイッチ部S1のオン時間と同じ時間だけオフし、スイッチ部S1のオフ時間と同じ時間だけオンするようにスイッチ部S4をスイッチングする。その後はこの動作が繰り返される。
【0069】
上記スイッチングによって、コンバータ電圧ecの負のパルスはスイッチ部S4のオンと同時に発生し、(π−β)の時間経過後に消失する。
上記したようにスイッチ部S1〜スイッチ部S4をスイッチングすることにより、図3(b)の最下段に示されるようなコンバータ電圧ecの電圧パルスが生成され、該コンバータ電圧ecをノードN1―N2に発生させることができる。
【0070】
図4(a)に示す受電部20における入力電圧及び交流電流の波形から明らかなように、入力電圧及び交流電流の位相は一致しており、共振状態となっていることがわかる。
また、交流電流のひずみは少なく、交流電流に高調波がほとんど含まれていないことがわかる。
【0071】
このような交流電流は、スイッチ部S1〜S4のスイッチング動作によって脈流を含む直流電流に変換されたのち、平滑コンデンサ5によって、平滑化された直流電流に変換される。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の受電装置1では、受電部の2次コイル201のインダクタンスやコンデンサ202の容量を調整することなく、受電部20において、交流電圧の周波数にて共振を発生させることができる。つまり、この受電装置1では、1次コイル51に流れる第1の交流電流の周波数にて共振を発生させることが従来よりも容易である。
【0073】
また、本実施形態の受電装置1では、重量のあるコイルを含むチョッパー回路を用いずに半導体スイッチを含む簡易な構成の方形波コンバータ2を用いて共振を達成することができるため受電回路の重量及びコストの軽減を図ることができる。
【0074】
なお、共振コンデンサ202は、2次コイル201との共振周波数fr(1/2π√(LC))が2次コイル201に流れる交流電流の周波数(スイッチング周波数)fs以下(2πfsL>1/2πfsC)となる容量とする必要がある。
【0075】
この理由は、共振周波数frがスイッチング周波数fsより大きくなると(2πfsL<1/2πfsC)、2次コイル201に流れる交流電流がコンバータ電圧ecに対して進み位相(π<θ<2π)となり、コンバータ電圧ecの電圧パルスの立ち上がり時にサージ電圧(オーバーシュート)が発生しやすくなり、大きなスイッチングロスが生じるからである。
【0076】
ここで、本実施形態においては、2次コイル201が本発明の2次コイルの一例に相当し、共振コンデンサ202が本発明のコンデンサの一例に相当し、受電部20が本発明の受電部の一例に相当する。
【0077】
また、本実施形態においては、方形波コンバータ2が本発明の低減電圧生成部の一例と、電圧変換部の一例に相当する。
また、本実施形態においては、振幅位相検出器8が本発明の振幅位相検出部の一例に相当し、コンバータ電圧制御器9が本発明のパラメータ算出部の一例に相当し、パルス制御部10が本発明のパルス制御部の一例に相当する。
【0078】
また、本実施形態においては、乗算器24及び乗算器25がそれぞれ本発明の第1の乗算器の一例及び第2の乗算器の一例に相当し、ローパスフィルタ26が本発明の第1のフィルタ部の一例及び第2のフィルタ部の一例に相当し、ADコンバータ27及びADコンバータ28がそれぞれ本発明の第1のアナログ/ディジタル変換部の一例及び第2のアナログ/ディジタル変換部の一例に相当し、電流位相振幅計算部29が本発明の電流位相振幅計算部の一例に相当する。
【0079】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、受電装置1は、直列共振回路を用いて1次コイル51から受電するように構成されていたが、並列共振回路を用いて1次コイル51から受電するように構成されてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、1次コイル51に高周波電流が通電されていたが、高周波電流よりも周波数の低い電流が通電されてもよい。
また、上記実施形態では、コンバータ電圧ecは、リアクタンス電圧を打ち消す電圧であったが、リアクタンス電圧を低減する電圧であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…受電装置、2…方形波コンバータ、3,106…負荷、4…直流電源、5…平滑コンデンサ、6…電流センサ、7…制御部、8…振幅位相検出器、9…コンバータ電圧制御器、10…パルス制御部、20…受電部、21…入力端子、22,23…発振器、24,25…乗算器、26…ローパスフィルタ、27,28…ADコンバータ、29…電流位相振幅計算部、30,31…出力端子、51,101…1次コイル、102,201…2次コイル、103,202…共振コンデンサ、104…整流回路、105…定電圧制御回路、107…コイル、108…電圧発生器、109…コンパレータ、110…トランジスタ、111…ダイオード、112…コンデンサ、S1,S2,S3,S4…スイッチ部、D1,D2,D3,D4…ダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の交流電圧を印加され、第1の交流電流が流れる1次コイルから電力を受電する受電装置であって、
該受電装置は、
前記1次コイルと電磁結合される2次コイルと、該2次コイルに接続されたコンデンサとを備え、前記第1の交流電流に基づく第2の交流電圧を生成する受電部と、
前記第2の交流電圧に起因して前記受電部に発生する第2の交流電流によって該受電部に発生するリアクタンス電圧を低減可能な低減電圧であって、該第2の交流電圧と略同一の周波数を有する低減電圧を生成し、該低減電圧を前記受電部に印加する低減電圧生成部と
を備える受電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受電装置であって、
前記低減電圧生成部は、
前記第2の交流電流の振幅及び位相を検出する振幅位相検出部と、
該振幅位相検出部によって検出された前記第2の交流電流の振幅及び位相、並びに、予め設定された前記受電部のインピーダンスに基づいて前記低減電圧を決定づける複数のパラメータを算出するパラメータ算出部と
を備え、
前記低減電圧生成部は、
前記パラメータ算出部によって算出された前記複数のパラメータに基づいて、前記低減電圧を生成するように構成されている、受電装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の受電装置であって、
前記低減電圧は、方形波電圧である、受電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の受電装置であって、
前記低減電圧は、パルス状の交流電圧である、受電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の受電装置であって、
前記低減電圧生成部は、
直流電圧を用いて、前記低減電圧を構成する正のパルスと、負のパルスとを交互に発生するように構成されている、受電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の受電装置であって、
前記低減電圧生成部は、さらに、
前記パラメータ算出部によって算出された前記複数のパラメータに基づいて、前記正のパルスと前記負のパルスとを交互に発生するパルス制御部を備える、受電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の受電装置であって、
前記振幅位相検出部は、
前記第2の交流電流に該第2の交流電流の周波数と同じ周波数の基準信号を乗じてなる第1の信号を生成する第1の乗算器と、
前記第2の交流電流に該第2の交流電流の周波数と同じ周波数で上記基準信号と90度位相の異なる交流信号を乗じてなる第2の信号を生成する第2の乗算器と、
前記第1の信号に含まれている前記第2の交流電流の周波数より高い周波数成分が除去された第1の分離信号を出力する第1のフィルタ部と、
前記第2の信号に含まれている前記第2の交流電流の周波数より高い周波数成分が除去された第2の分離信号を出力する第2のフィルタ部と、
前記第1の分離信号を受けて所定のサンプリング周期で第1のディジタル信号に変換する第1のアナログ/ディジタル変換部と、
前記第2の分離信号を受けて所定のサンプリング周期で第2のディジタル信号に変換する第2のアナログ/ディジタル変換部と、
第1及び第2のディジタル信号に基づいて、前記第2の交流電流の前記振幅および前記位相を算出する電流位相振幅計算部と
を備える、受電装置。
【請求項8】
請求項7に記載の受電装置であって、
前記パラメータ算出部によって算出される前記複数のパラメータは、前記低減電圧の振幅Eと、前記低減電圧の前記基準信号に対する位相Φと、前記受電部のインピーダンス振幅Zと、前記受電部のインピーダンス位相φとを含み、
前記パラメータ算出部は、以下の数式(1)〜(4)に基づいて、前記複数のパラメータを算出するように構成されている、受電装置。
E=ZI ・・・(1)
Φ=φ+θ ・・・(2)
Z=(Rc2+(Xc21/2 ・・・(3)
φ=arctan(Rc/Xc) ・・・(4)
ただし、Iは、前記第2の交流電流の前記振幅を表し、θは、前記第2の交流電流の前記位相を表し、Rcは、前記受電部における抵抗成分以上の値を表し、Xcは、前記2次コイルの誘導性リアクタンスと前記コンデンサの容量性リアクタンスとの合成リアクタンスを表す。
【請求項9】
請求項8に記載の受電装置であって、
前記パルス制御部は、
前記正のパルス及び前記負のパルスのパルス幅θaを以下の数式(5)に基づいて算出し、前記正のパルスと前記負のパルスとの間隔βを以下の数式(6)に基づいて算出し、最初の前記正のパルスの発生タイミングである開始角αを以下の数式(7)に基づいて算出し、さらに、前記パルス幅θaと前記開始角αと前記間隔βとに基づいて、前記正のパルスと前記負のパルスとを交互に発生するように構成されている、受電装置。
θa=2arcsin(Eπ/4Ed) ・・・・・・・・・・・・(5)
β=π−θa ・・・・・・・・・・・・(6)
α=−Φ+β/2 ・・・・・・・・・・・・(7)
ただし、Edは、前記直流電圧の値を表す。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の受電装置であって、
前記コンデンサの容量は、前記2次コイルとの共振周波数が前記第2の交流電流の周波数より小さくなるように設定される、受電装置。
【請求項11】
請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の受電装置であって、
さらに、
前記第2の交流電圧を直流電圧に変換する電圧変換部を備える、受電装置。
【請求項12】
第1の交流電圧を印加され、第1の交流電流が流れる1次コイルから電力を受電する方法であって、
前記1次コイルと電磁結合される2次コイルと、該2次コイルに接続されたコンデンサとを備える受電部にて、前記第1の交流電流に基づく第2の交流電圧を生成する交流電圧生成工程と、
前記第2の交流電圧に起因して前記受電部に発生する第2の交流電流によって該受電部に発生するリアクタンス電圧を低減可能な低減電圧であって、該第2の交流電圧と略同一の周波数を有する低減電圧を生成する低減電圧生成工程と、
前記低減電圧を前記受電部に印加する低減電圧印加工程と
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−143135(P2012−143135A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274788(P2011−274788)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】