説明

口座管理システムおよび方法

【課題】 複数口座を持つ顧客の未済処理の合理化を図る。
【解決手段】 口座情報記憶部105と制御部101とを備える口座管理システム100であって、(1)口座情報記憶部105は、顧客ID、精算口座か否かを示す精算口座識別子、及び各口座の預り金又は未済金を記憶し、(2)制御部101は、精算口座識別子によって非精算口座とみなされる少なくとも一つの口座から各口座の預り金又は未済金を、精算口座識別子によって精算口座とみなされる一つの口座へ振り替え、精算口座において精算口座の預り金又は未済金と他の口座から振り替えられた預り金又は未済金とを合算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1人の顧客が有する複数の口座間における自動精算を可能とする口座管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
株式、債権等の売買に伴う決済において、決済口座から買付分の振替入庫データを預託口座へ振り替え、預託口座から決済口座へ売却分の振替出庫データを振り替えることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−36348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、1人の顧客が1つの証券会社に対して複数の口座を有する場合であって、一方の口座に預り金があり、他方の口座に未済金が生じている場合には、一方の口座の預り金が他方の口座の未済金を上回る場合であっても、未済金が生じている口座に未済金以上の入金をしなければならない。
【0004】
図4は、従来の1顧客複数口座の精算における問題点を説明するための概念図である。同図に示すように、例えば、顧客No.:1234567である顧客Aが、一般口座(口座No.1)、SMA(Separate Managed Account)口座(口座No.2)及び特定口座(口座No.3)を有するとする。そして、口座No.1でA銘柄を買ったため100,000円の未済金が生じ、口座No.2でB銘柄を売ったため300,000円の預り金が生じ、口座No.3でC銘柄を買ったため100,000円の未済金が生じたものとする。かかる場合、口座No.1に対しては100,000円の入金が必要となり、口座No.2からは300,000円の出金が可能となり、口座No.3に対しては100,000円の入金が必要となる。このように全口座合計では預り金が未済金総額を上回っているにも拘わらず、未済金処理が必要になる。
【0005】
仮に口座No.2の預り金を口座No.1及び口座No.3の未済金の支払いに充当する場合には、顧客Aは口座No.2へアクセスして300,000円を出金し、口座No.1へアクセスして100,000円を入金し、さらに口座No.3へアクセスして100,000円を入金しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴は、口座情報記憶部と制御部とを備える口座管理システムであって、(1)口座情報記憶部は、顧客ID、精算口座か否かを示す精算口座識別子、及び各口座の預り金又は未済金を記憶し、(2)制御部は、精算口座識別子によって非精算口座とみなされる少なくとも一つの口座から各口座の預り金又は未済金を、精算口座識別子によって精算口座とみなされる一つの口座へ振り替え、精算口座において精算口座の預り金又は未済金と他の口座から振り替えられた預り金又は未済金とが合算されるることにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1の特徴によれば、複数口座の各口座に分散している預り金及び未済金を一つの精算口座に振り替え、非精算口座から預り金又は未済金を全て無くし、精算口座において全ての預り金及び未済金を合算することによって、顧客の入出金手続きを合理化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に図面に基づいて、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下の説明は、単なる例示に過ぎず、本発明の技術的範囲は以下の説明によって限定されるものではない。
【0009】
本実施形態においては、1人の顧客が複数の口座を持つことを前提とする。そして、各口座の預り金及び未済金は、精算口座へ移送され、当該精算口座において全ての口座についての精算が一括して行われる。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る口座管理システムを示す概略構成図である。図1に示すように、口座管理システム100は、制御部101、通信部103、及び口座情報記憶部105を備える。制御部101の制御の下で、通信部103、口座情報記憶部105は以下のように機能する。
【0011】
口座情報記憶部105には、顧客ID、精算口座か否かを示す識別子、口座種別を示す識別子及び預り金又は未済金が記憶される。金額の先頭に「+」とあれば預り金があることを示し、「−」とあれば未済金があることを示すものとする。
【0012】
図1に示す例では、顧客IDが「1234567」である顧客が、口座種別1乃至3の3つの口座を開設している。口座種別1は一般口座を、口座種別2はSMA口座を、口座種別3は特定口座を示し、一般口座を精算口座として設定しているものとする。また、精算前の状態では、一般口座の未済金が「-100,000円」、SMA口座の預り金が「+300,000円」、特定口座の未済金が「-100,000円」であるとする。
【0013】
通信部103は、専用回線などのネットワークを介してATMなどの入出金端末150と接続されている。口座管理システム100は、入出金端末150から出金指示などを受け取ると精算口座の預り金又は未済金を調べ、要求された金額が精算口座の預り金以下であれば、精算口座からの出金許可を入出金端末150へ送り返し、入出金端末150から預り金の一部又は全部の引き出しが可能となる。
【0014】
図2は、図1に示した口座管理システムにおける精算処理の流れを示すフローチャートである。同図に示すように、預り金を有する口座の有無を調べ(ステップS201)、預り金を有する口座が存在する場合はその預り金を精算口座へ振り替える(ステップS203)。また、未済金を有する口座の有無を調べ(ステップS205)、未済金を有する口座が存在する場合はその未済金を精算口座へ振り替える(ステップS207)。そして、精算口座において預り金と未済金とが合算される(ステップS209)。
【0015】
図3は、図1に示した口座管理システムにおける精算の一例を示す図である。図3は顧客Aの顧客IDが「1234567」であり、かかる顧客IDの下に一般口座(口座No.1)、SMA口座(口座No.2)、特定口座(口座No.3)が開設されていることを示す。そして、SMA口座においてはB銘柄を売ったことによって+300,000円の預り金が存在したが、No.1口座へ全額振り替えられたために、差し引き合計は0円となったことを示す。また、特定口座においてはC銘柄を買ったことによって-100,000円の未済金が存在したが、No.1口座へ全額振り替えられたために、差し引き合計は0円となったことを示す。そして、一般口座においてはA銘柄を買ったことによって-100,000円の未済金が存在したが、No.2口座から+300,000円が振り替えられ、No.3口座から-100,000円が振り替えられたために、差し引き合計は+100,000円となったことを示す。ここまでが図1に示した口座管理システム100内での処理である。そして、入出金端末150であるATMにおいて適切なパスワードが入力され、一般口座から100,000円を出金する旨の指示が入力されたら、現金100,000円が出金される。
【0016】
上記の如く、本実施形態によれば、SMA口座(口座No.2)から300,000円を出金し、一般口座(口座No.1)へ100,000円を入金し、特定口座(口座No.3)へ100,000円を入金するという煩わしい処理をしなくても、精算口座に自動的に預り金及び未済金が振り替えられ、精算が完了するため顧客の入出金手続きの合理化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る口座管理システムを示す概略構成図である。
【図2】図1に示した口座管理システムにおける精算処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図1に示した口座管理システムにおける精算の一例を説明するための図である。
【図4】従来の1顧客複数口座の精算における問題点を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0018】
100…口座管理システム
101…制御部
103…通信部
105…口座情報記憶部
150…入出金端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口座情報記憶部と制御部とを備える口座管理システムであって、
前記口座情報記憶部は、顧客ID、精算口座か否かを示す精算口座識別子、及び各口座の預り金又は未済金を記憶し、
前記制御部は、前記精算口座識別子によって非精算口座とみなされる少なくとも一つの口座から各口座の預り金又は未済金を、前記精算口座識別子によって精算口座とみなされる一つの口座へ振り替え、前記精算口座において前記精算口座の預り金又は未済金と他の口座から振り替えられた預り金又は未済金とが合算されることを特徴とする口座管理システム。
【請求項2】
複数口座の預り金又は未済金を管理する方法であって、
口座情報記憶部は、顧客ID、精算口座か否かを示す精算口座識別子、及び各口座の預り金又は未済金を記憶し、
制御部は、前記精算口座識別子によって非精算口座とみなされる少なくとも一つの口座から各口座の預り金又は未済金を、前記精算口座識別子によって精算口座とみなされる一つの口座へ振り替え、前記精算口座において前記精算口座の預り金又は未済金と他の口座から振り替えられた預り金又は未済金とを合算することを特徴とする口座管理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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