説明

口腔内気体供給装置

【課題】携帯及び使用が容易でかつ安全であり、口腔内で変形させるだけで気体を口腔内に供給することのできる口腔内気体供給装置を提供すること。
【解決手段】口腔内に装入可能であり、気体又は気体発生剤を収容する収容体と、
前記収容体の内壁面に設けられる第1開口部と、
前記収容体の外壁面に設けられる第2開口部とを備え、
前記第1開口部及び前記第2開口部が前記収容体の変形時に連通することを特徴とする口腔内気体供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、口腔内気体供給装置に関し、特に詳しく言うと、携帯及び使用が容易であり、口腔内で変形させるだけで気体、例えば酸素ガス及び空気等を始めとする酸素含有ガス等を口腔内に供給することのできる口腔内気体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば居宅、ビル及び店舗等の建築物の内部、並びに、地下街等の閉鎖領域において発生した火災又はガス漏れ事故等に巻き込まれたときに、呼吸困難に陥ることによって、人命を損ねることがあり、命が助かっても脳及び人体に後遺症を残すことが多い。人命を脅かす呼吸困難の原因としては、例えば酸素欠乏、又は一酸化炭素、二酸化炭素、塩素ガス及び人体に不適合なガスの吸引等が考えられる。
【0003】
従来、主に防災用として、酸素を含む気体を使用者に供給する酸素マスクが創作されてきた。
【0004】
特許文献1には、「酸素を発生する比較的小型の装置を袋状のマスクに取り付け、携帯できるようにした酸素マスク」が記載されている(特許文献1の請求項1参照)。しかしながら、「酸素マスク」の使用時には装置自体が大型化してしまうと共に、前記「酸素マスク」における袋状容器2が火災現場の熱により溶解して使用不能と成る可能性もある。
【0005】
特許文献2には、「超小型携帯酸素発生剤容器の保護カバーが緊急時の酸素吸入マスクにワンタッチで瞬時に切り替え可能とした事を特徴とした酸素吸入マスク」が記載されている(特許文献2の請求項1参照)。前記「酸素吸入マスク」を使用するには、容器内でラミネートチューブである酸素発生剤入りパック16に穴を設け、更に防護カバー13を反転させることにより使用者の口及び鼻を覆うマスクにした上で装着する必要がある(引用文献2の実施例1〜4参照)。
【0006】
特許文献3には、「圧縮気体を充填可能な圧力容器部と、該圧力容器部に接続された吸引部からなり、前記圧力容器部は、高圧の圧縮気体を充填可能な圧力容器本体と、該圧力容器本体の内部に設けられた導入管と、該導入管の外周部に設けられた圧力調整器から構成されており、前記吸引部は、前記圧力容器本体の外周部に接続された弁体と、前記導入管端部との接合部で囲まれた圧力容器本体の容器壁に設けられた貫通穴にスライド自在に挿入された弁と、該弁を常時閉状態に付勢するバネ体と、前記弁の端部を把持して前記弁を開方向に移動させる可動体から構成されていることを特徴とする避難用呼吸具」が記載されている(特許文献3の請求項1参照)。前記「避難用呼吸具」は複雑であるので、装置の製造に多大な工程及び時間を要していた。また、前記「避難用呼吸具」は弁体21と可動体22との間に使用者の歯を挿入することにより酸素の流通路を形成するとされている。そうすると、この「避難用呼吸具」を使用すると、使用者の歯肉及び口内と「避難用呼吸具」とが擦れることにより傷を生じることも考えられる。すなわち、使用者に対して容易でかつ安全な使用が確保されているとは言い難かった。
【0007】
従来の酸素を含む気体を使用者に供給する装置、例えば上述したような「酸素マスク」、「酸素吸入マスク」及び「避難用呼吸具」等に比べて、携帯及び使用が容易でかつ安全であり、更に従来に無い簡便な操作方法によって作動する口腔内気体供給装置が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−275694号公報
【特許文献2】特開2007−98004号公報
【特許文献3】特開2004−57627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、携帯及び使用が容易でかつ安全であり、口腔内で変形させるだけで酸素を含む気体(以下において酸素含有ガスと略称することがある。)を口腔内に供給することのできる口腔内気体供給装置を提供することである。
【0010】
また、この発明が解決しようとする別の課題は、特に安全性の高い口腔内気体供給装置を提供することである。
【0011】
この発明が解決しようとする別の課題は、酸素を含む気体を、より長時間に亘って使用者に供給することのできる口腔内気体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段は、
(1) 口腔内に装入可能であり、気体又は気体発生剤を収容する収容体と、
前記収容体の内壁面に設けられる第1開口部と、
前記収容体の外壁面に設けられる第2開口部とを備え、
前記第1開口部及び前記第2開口部が前記収容体の変形時に連通することを特徴とする口腔内気体供給装置であり、
(2) 前記収容体に紐状部材が付設されて成る(1)に記載の口腔内気体供給装置であり、
(3) 一端部が前記収容体に連結されるとともに逆止弁を備える導管と、
前記導管の他端部に連結されるとともに気体又は気体発生剤を収容する第2収容体とを備えて成る(1)又は(2)に記載の口腔内気体供給装置であり、
(4) 前記紐状部材が前記導管である請求項3に記載の口腔内気体供給装置である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によると、口腔内に装入することができる程度に小型であるので携帯が容易であり、口腔内に装入された収容体を例えば噛むことにより変形させるだけで、酸素を含む気体を口腔内に供給することができるので使用が容易でかつ安全であり、更に従来に無い簡便な操作方法により作動する口腔内気体供給装置を提供することができる。
【0014】
また、この発明によると、紐状部材が設けられていることにより、収容体を誤って嚥下してしまうことがあっても、紐状部材を引っ張ることにより嚥下された収容体を口腔内に引き戻すことができることになり、これによって安全性の高い口腔内気体供給装置を提供することもできる。
【0015】
更に、この発明によると、導管を介して第2収容体から口腔内に装入される収容体に酸素を含む気体を供給することができるので、使用者に気体をより長時間に亘って供給する可能な口腔内気体供給装置を提供することができる。
【0016】
この発明によると、導管が紐状部材を兼ねていることにより、収容体を誤って嚥下したとしても導管を引っ張ることにより嚥下された収容体を口腔内に引き戻すことができるとともに、収容体中に含まれている酸素が消費されても第2収容体から収容体へと酸素含有ガスが供給されるので長時間にわたって口腔内に酸素含有ガスを供給することができる口腔内気体供給装置を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、この発明に係る口腔内気体供給装置の一実施態様を示す一部切欠斜視図である。
【図2】図2は、この発明に係る口腔内気体供給装置の他の実施態様を示す一部切欠斜視図である。
【図3】図3は、図1に示した収容体の部分拡大断面図である。
【図4】図4は、図3に示した収容体の変形状態を示す断面図ある。
【図5】図5は、図3に示した収容体の他の実施態様を示す断面図である。
【図6】図6は、図5に示した収容体の変形状態を示す断面図である。
【図7】図7は、この発明に係る口腔内気体供給装置の他の実施態様を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明に係る口腔内気体供給装置の実施態様及び変形例について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1に示すこの発明の一実施態様である口腔内気体供給装置1は、収容体2、並びに収容体2の内壁面に設けられる第1開口部3及び収容体2の外壁面に設けられる第2開口部4を備えている。
【0020】
収容体2は、図1に、説明の便宜のために一部を切欠した球体として示されており、本来は一部が切欠された球体ではない。収容体2は、内壁面5に第1開口部3が設けられ、外壁面6に第2開口部4が設けられている。図1には図示していないが、収容体2の内部には酸素含有気体が圧入されている。収容体2は、これを使用者の口腔内に装入することができる限りその大きさに特に限定があるわけではなく、通常の場合、例えばその直径は3cm程度である。また、収容体2を形成する材料は、通常の場合、強度の高いアラミド繊維を含むエラストマーである。
【0021】
この例においては、収容体2には酸素が圧入されており、通常の場合その内圧は5気圧を中心として通常の場合には4〜6気圧である。
【0022】
収容体2は球状であるので、例えば口腔内で収容体2を噛むことにより変形させても口腔内を傷めることはなく、収容体2の大きさは、この例では直径3cmであり、通常の場合は2〜5cmであるので、成人であれば支障なく口腔内に装入することができると共に容易に嚥下してしまうほどの大きさではなく、収容体2は材料としてアラミド繊維を含有しているので、収容体2の変形が繰り返されても破損することはない。したがって、収容体2は、使用者にとって安全でありかつ携帯も容易である。
【0023】
第1開口部3は、収容体2の内壁面5に等間隔に設けられた開口部である。第1開口部3の平面形状は、円形である。また、第1開口部3の大きさは、この例では直径1mmであり、通常の場合は0.5〜1.5mmである。
【0024】
第2開口部4は、収容体2の外壁面6に等間隔に設けられた開口部である。第2開口部4の平面形状は、円形である。また、第2開口部4の大きさは、この例では直径1mmであり、通常の場合は0.5〜1.5mmである。
【0025】
第1開口部3と第2開口部4とは、図1に示す口腔内気体供給装置1が変形していない状態、すなわち初期状態にあるときには連通していない。よって、収容体2内に圧入される酸素含有気体例えば酸素ガスは、口腔内気体供給装置1が初期状態であるとき、第1開口部3及び第2開口部4を通って外部に漏出することがない。
【0026】
収容体2の一部には紐状部材7が付設されている。紐状部材7は、収容体2が口腔内に装入されたときに口腔外に突出可能なように設けられる。紐状部材7の直径はこの例では2mmであり、通常の場合は2〜10mmであり、紐状部材7の長さはこの例では10cmであり、通常の場合は5〜30cmである。紐状部材7の材料は、収容体2の材料と同様の、強度の高いアラミド繊維を含有する樹脂組成物である。紐状部材7は、強度が高い材料から成るので、紐状部材7を繰り返し牽引しても破損することは無く、上記長さに調節されているので口腔外に紐状部材7の一部を引き出しておくことができる。口腔内気体供給装置1を使用する際に使用者の口腔外に紐状部材7を引き出しておくことにより、仮に使用者が口腔内気体供給装置1を嚥下しかけて収容体2が咽頭及び喉頭に進入しようとしたときに、口腔外に突出している紐状部材7を牽引すると嚥下を防止することができる。また、この発明に係る口腔内気体供給装置における紐状部材は、収容体を使用者の口腔内に装入したときに、口腔外に引き出すことのできる長さを有していれば良く、前述のように例えば5〜30cmであると良い。更に言うと、紐状部材の直径は、使用者が把持し易い直径であることが好ましく、例えば直径2〜10mmを採用することができる。
【0027】
ここで、口腔内気体供給装置1の使用方法及びその作用について説明する。なお、この発明に係る口腔内気体供給装置の使用方法は、以下に示す使用方法に限定されない。
【0028】
先ず、収容体2を使用者の口腔内に装入する。このとき、使用者は、紐状部材7を例えば使用者の口角から引き出しておく。単に収容体2を口腔内に装入しただけでは、収容体2を変形させていない状態、すなわち図1に示すような初期状態であるので、収容体2における第1開口部3及び第2開口部4は連通していない。よって、収容体2の内部に収容される気体が使用者の口腔内に供給されることは無い。
【0029】
次に、使用者は口腔内で収容体2を噛むことにより変形させる。収容体2が変形することにより、第1開口部3と第2開口部4とが連通する。第1開口部3と第2開口部4とが連通すると、収容体2の内圧は例えば5気圧であるのに対して口腔内は通常は大気圧であるので、収容体2に収容されている気体例えば酸素含有ガスが使用者の口腔内に噴出する。
【0030】
したがって、気体例えば酸素含有ガスを口腔内に供給された使用者は、外部環境から気体例えば酸素含有ガスを取り入れることなく吸気を得ることとなるので、例えば使用者が火災現場に居たとしても有害なガスを吸引することが無い。
【0031】
収容体2が変形している間は第1開口部3及び第2開口部4が連通しているので、1回の吸引に必要な気体を収容体2から供給された後は、使用者は一旦収容体2を噛むことを止めるのが良い。使用者が収容体2を噛むことを止めた場合に、収容体2内に気体が残存していれば、収容体2はエラストマーから成るので収容体2の形状が初期状態の形状に復元する。収容体2の形状が初期状態に復元すると、収容体2は変形していないことになるので、収容体2から口腔内への気体の供給が停止し、収容体2から気体が漏出することは無い。したがって、口腔内気体供給装置1は、気体の供給の開始及び停止を、使用者の所望の時機に行うことができる。
【0032】
使用者が吸気の必要を再度感じたときは、口腔内に装入されている収容体2を再度噛むことにより変形させる。収容体2の変形操作及び復元操作については、上述した各操作と同様であると共に、各操作による作用、すなわち気体の供給の開始及び停止についても、上述した作用と同様である。
【0033】
使用者が収容体2を繰り返し変形させ、更に収容体2を繰り返し復元させることにより、使用者は、口腔内気体供給装置1から供給される気体例えば酸素含有ガスにより、複数回の吸気を確保することができる。
【0034】
なお、使用者に嚥下反射が生じて口腔内気体供給装置1を咽頭に移動させてしまう可能性もあるが、口腔内気体供給装置1の移動前後において、使用者の口角から引き出しておいた紐状部材7を使用者自身が牽引することにより、口腔内気体供給装置1の完全な嚥下を防止することができる。
【0035】
以下に、この発明に係る口腔内気体供給装置の収容体について、図1に示した実施態様とは別の実施態様を説明する。なお、第1開口部及び第2開口部の実施態様については、更に具体的な図面を参照しつつ後述する。
【0036】
この発明に係る口腔内気体供給装置における収容体の形状は、球状に限定されず、使用者の口腔内を傷めない限り適宜に変更可能である。前記収容体の形状としては、例えば長球状、扁球状、筒状及び使用者の歯列に合わせた略U字状等を挙げることができる。
【0037】
また、前記収容体の大きさは、使用者の口腔の大きさに応じて決定すれば良い。収容体の大きさとしては、収容体が球状であるときに例えば直径2〜5cmであれば、成人だけでなく、口腔が未発達の低年齢層、及び口腔を開閉する能力が衰えた高年齢層であっても、それぞれの口腔内に装入可能である。
前記収容体の材料は、口腔内に装入しても使用者に悪影響を及ぼすことが無く、収容体を繰り返し変形させても破損することが無く、収容体が変形していないときには密閉状態を維持することができ、更に収容体内に収容する気体又は気体発生剤によって変質することが無い限り、種々の材料を採用することができる。特に好ましい収容体の材料は、使用者が歯で繰り返し収容体を噛むことに耐え、かつ使用者の噛む力が例えば40〜60kgであっても破損しない材料である。前記収容体の材料としては、例えばポリアミド繊維及びエラストマー等を単独又は混合して成る材料を挙げることができる。前記ポリアミド繊維としては、例えばナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5T、ナイロン612等の脂肪族ポリアミド繊維、並びに、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)及びポリ(p−フェニレン/3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド)等の芳香族ポリアミド繊維を挙げることができる。また、前記エラストマーとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム及びウレタンゴム等を挙げることができる。
【0038】
この発明に係る口腔内気体供給装置において、前記収容体の収容物は、気体又は気体発生剤である。前記収容体に収容される気体は、使用者が通常通りの呼吸をすることができる気体、すなわち酸素を含む気体(酸素含有気体)であり、好ましくは酸素ガス又は大気である。使用環境の圧力変動を生じる状況、例えば登山時及び潜水時等の下では、大気をそのまま収容体に収容していると、気体の分圧によっては酸素不足又は酸素中毒を招く可能性がある。よって、この発明に係る口腔内気体供給装置の使用状況に応じて、収容体に収容される気体の分圧、特に酸素分圧を調整すると良い。
【0039】
また、前記気体発生剤としては、酸素を発生し得る適宜の化合物を採用することができる。前記気体発生剤の一例としては、例えば過炭酸ナトリウム、水及び二酸化マンガンの組合せを挙げることができる。前記気体発生剤の一部に水等の液体を用いる場合は、第1開口部及び第2開口部が連通したときに、液体が収容体外に漏出することを防止する適宜の液体漏出防止手段、例えば過炭酸ナトリウムと水と二酸化マンガンとを内部で反応させる通気性袋等を用いると良い。前記気体発生剤が気体を発生させ始める時機としては、例えば収容体を使用者の口腔内に装入し、使用者が収容体を一度変形させたとき等を挙げることができる。
【0040】
この発明に係る口腔内気体供給装置における収容体に収容される気体の量としては、特に制限は無いが、例えば収容体に収容される気体のみ又は気体発生剤から発生する気体のみを用いた状態で、3〜5分間に亘って使用者が呼吸可能な量であると良い。3〜5分間に亘って使用者が呼吸することができると、例えばこの発明に係る口腔内気体供給装置を火災現場で使用した場合に、使用者は酸欠に陥ることなく火災現場から脱出し易くなる。
【0041】
なお、この発明に係る口腔内気体供給装置を使用する状況は、呼吸可能な気体を要する状況であり、例えば火災現場及びガス漏れ事故の現場から脱出するとき、潜水等の適宜の装置を用いて気体の供給が必須であるとき、タンク及び井戸等の密閉されかつ換気が無い領域又は無いに等しい領域に進入するとき、並びに、高山、マンホール、野菜貯蔵庫及び屑鉄倉庫等の大気中の酸素濃度が薄い領域に進入するとき等を挙げることができる。
【0042】
この発明に係る口腔内気体供給装置における収容体の内圧は、特に制限されず、例えば2〜10気圧であれば良く、2〜5気圧であれば噴出する気体により使用者の咽頭を傷めることも無いので好ましい。
【0043】
この発明に係る口腔内気体供給装置は、口腔内で前記収容体を変形させて使用する。前記収容体の変形方法は、特に制限されず、例えば収容体を噛むことにより変形させる方法、又は舌及び口蓋で収容体を押し潰すことにより変形させる方法等を採用することができる。
【0044】
この発明に係る口腔内気体供給装置は、収容体が口腔内で変形することによって、第1開口部及び第2開口部を介して収容体内に収容される気体を口腔内に供給する。この発明に係る口腔内気体供給装置の好ましい実施態様として、収容体の変形程度に応じて口腔内に供給される気体の量が変化する態様を挙げることができる。詳述すると、例えば収容体を大きく変形させると気体の供給量が多く、小さく変形させると気体の供給量が少なくなるように、第1開口部及び第2開口部の連通状態が変化する態様が、好ましい。この態様を採用することにより、使用者が各自で気体の供給量を調節することができる。
【0045】
次に、この発明に係る口腔内気体供給装置の一実施態様であって、図1に示す実施態様とは異なる実施態様を、図2に示す。
【0046】
図2に示す口腔内気体供給装置101は、収容体21と、収容体21に設けられる第1開口部31及び第2開口部41と、紐状部材7とを備えている。図1と図2とにおいて共通する部材である紐状部材7は、同一の部材であると共に、同一の操作により同一の作用を示すので、詳細な説明を省略する。
【0047】
口腔内気体供給装置1は収容体2が一重構造であったのに対し、口腔内気体供給装置101は収容体21が一重構造ではなく二重構造である点において、口腔内気体供給装置1と口腔内気体供給装置101とは構成が相違している。
【0048】
口腔内気体供給装置101における収容体21は、内側収容体8と外側収容体9とを備えている。内側収容体8及び外側収容体9は、共に球体であり、内側収容体8の直径が外側収容体9の直径よりも小さく設定されている。また、図2に示すように、内側収容体8は外側収容体9内に収容されている。
【0049】
図2に示す口腔内気体供給装置101においては、内側収容体8の表面を内壁面51とし、外側収容体9の表面を外壁面61とする。すなわち、内側収容体8の表面である内壁面51に設けられる開口部が第1開口部31であり、外側収容体9の表面である外壁面61に設けられる開口部が第2開口部41である。
【0050】
口腔内気体供給装置101は、収容体21における内側収容体8内に酸素を含む気体を収容している。収容体21の大きさ、内圧、収容される気体の量及び材料は、前記収容体2と同様である。また、第1開口部31及び第2開口部41の大きさも、前記第1開口部3及び前記第2開口部4と同様である。
【0051】
収容体2と収容体21とは、変形させることにより収容されている気体を収容体外に放出するという点において、作用が共通している。
【0052】
図2に示すように、内側収容体8と外側収容体9との間に空隙が設けられている。よって、外側収容体9が変形した状態であっても、内側収容体8が変形していない初期状態を維持していることもある。図2に示す口腔内気体供給装置101は、外側収容体9が変形することにより外側収容体9の外部と前記空隙とが連通し、内側収容体8が変形することにより前記空隙と内側収容体8の内部とが連通するように形成される。上述したように収容体21は内側収容体8及び外側収容体9を有する二重構造であるので、収容体21に収容された気体を口腔内気体供給装置101の外部に放出するには、内側収容体8及び外側収容体9の両方を変形させる必要がある。したがって、内側収容体8及び外側収容体9を共に変形させることにより、第1開口部31及び第2開口部41が連通状態、詳しく言うと、内側収容体8の内部、第1開口部31、前記空隙、第2開口部41及び外側収容体9の外部が連通状態と成る。
【0053】
なお、この発明に係る口腔内気体供給装置においては、上記間隙について制限は無いので、収容体を二重構造にするときに内側収容体と外側収容体とを密着させても良い。
【0054】
ここで、口腔内気体供給装置101の使用方法及びその作用を説明する。
【0055】
先ず、収容体21を使用者の口腔内に装入する。単に収容体21を口腔内に装入しただけでは、内側収容体8及び外側収容体9を変形させていない状態、すなわち図2に示すような初期状態であるので、収容体21における第1開口部31及び第2開口部41は連通していない。つまり、内側収容体8の内部、第1開口部31、第1開口部31と第2開口部との間に存在する空隙、第2開口部41及び外側収容体9の外部が連通していない。よって、初期状態においては、内側収容体8の内部に収容される気体が使用者の口腔内に供給されることは無い。
【0056】
次に、使用者は口腔内で収容体21を噛むことにより、外側収容体9及び内側収容体8を共に変形させる。内側収容体8及び外側収容体9が変形することにより、第1開口部31と第2開口部41とが連通する。つまり、内側収容体8の内部、第1開口部31、前記空隙、第2開口部41及び外側収容体9の外部が連通する。第1開口部31と第2開口部41とが連通すると、収容体21の内圧は5気圧であるのに対して口腔内は通常は大気圧であるので、収容体2に収容されている気体が使用者の口腔内に漏出する。
【0057】
したがって、酸素を含む気体が口腔内に供給された使用者は、外部環境から気体例えば酸素含有ガスを取り入れることなく吸気を得ることとなるので、例えば使用者が火災現場に居たとしても有害なガスを吸引することが無い。
【0058】
内側収容体8及び外側収容体9が共に変形している間は第1開口部31及び第2開口部41が連通した状態が維持されるので、1回の吸引に必要な気体を収容体21から供給された後は、使用者は一旦収容体21を噛むことを止めると良い。使用者が収容体21を噛むことを止めた場合に、収容体21内に気体が残存していれば、収容体21はエラストマーから成るので収容体21の形状が初期状態の形状に復帰する。内側収容体8及び外側収容体9の形状が共に初期状態に復元すると、収容体21は変形していないことになるので、収容体21から口腔内への気体の供給が停止し、収容体21から気体が漏出することは無い。したがって、口腔内気体供給装置101は、気体の供給の開始及び停止を、使用者の所望の時機に行うことができる。
【0059】
再度、吸気の必要性が生じたときは、口腔内に装入されている収容体21を再度噛むことにより、内側収容体8及び外側収容体9の両方を変形させる。収容体21の変形操作及び復元操作については、上述した各操作と同様であると共に、各操作による作用、すなわち気体の供給の開始及び停止についても、上述した作用と同様である。
【0060】
使用者が収容体21の変形と復元とを繰り返すことにより、使用者は、口腔内気体供給装置101から供給される酸素を含む気体により、複数回の吸気を確保することができる。
【0061】
口腔内気体供給装置101は、上述したように、内側収容体8と外側収容体9との間に空隙が存在しているので、内側収容体8及び外側収容体9の変形が同期されない。すなわち、口腔内気体供給装置101を使用していないときに外側収容体9を誤って変形させてしまっても、内側収容体8が変形していない限りは意図しない気体の漏出が生じることは無い。よって、この発明に係る口腔内気体供給装置は、収容体を二重構造にし、更に内側収容体と外側収容体との間に空隙を設けることにより、誤作動を生じ難くすることができる。
【0062】
続いて、この発明に係る口腔内気体供給装置における第1開口部及び第2開口部の実施態様について、図3〜6を参照しつつ説明する。
【0063】
図3及び4は、図1に示した口腔内気体供給装置1における収容体2の断面を拡大した図である。図1、3及び4において、共通の部材には共通の番号を付して示すこととし、共通の部材の詳細な説明を省略することがある。
【0064】
図3に示す収容体2は、図1に示す初期状態の一部を拡大して示している。図1についての説明で上述したように、初期状態においては、収容体2の内壁面5に設けられる第1開口部3と外壁面6に設けられる第2開口部4とは連通していない。図3に示すように、第1開口部3と第2開口部4との間には気体が流通可能な流通路10が設けられている。流通路10は、第1開口部3と第2開口部4とを接続する開閉可能な孔である。流通路10は、収容体2が変形していない場合は閉状態を維持し、かつ収容体2が変形している場合は開状態を維持するようになっている。収容体2が変形していない初期状態においては、流通路10が閉状態であるので、第1開口部3と第2開口部4とが連通していない。
【0065】
図4に示す収容体2は、変形時の収容体2の一部を拡大して示している。収容体2は、使用者の歯11で図4における下方に押圧されることによって変形している。図4に示すように、収容体2の変形時においては、流通路10が開放状態と成っているので、第1開口部3と第2開口部4とが連通状態にある。よって、この連通状態が実現することにより、収容体2に収容される気体は、第1開口部3、流通路10及び第2開口部4を通過して収容体2の外部に移動することができるようになる。
【0066】
図5及び6には、この発明に係る口腔内気体供給装置における第1開口部及び第2開口部の更に具体的な実施態様を示した。
【0067】
図5に示す収容体22には、内壁面52に第1開口部32が設けられると共に、外壁面62に第2開口部42が設けられている。第1開口部32の軸線は、内壁面52に対して垂直である。また、第2開口部42の軸線は、外壁面62に対して垂直である。更に、第1開口部32の軸線と第2開口部42の軸線とは意図的にずらされている。第1開口部32と第2開口部42とは、図3及び4に示す流通路10の具体例である切目12により接続されている。
【0068】
図5に示すような収容体22の初期状態においては、収容体22の内圧が外圧よりも高いので、内壁面52全体を気体が押圧する。第1開口部32内にも気体が進入して切目12を押し開こうとするが、内壁面52全体を押圧する力が大きいので、切目12は閉状態を維持する。よって、初期状態においては、第1開口部32と第2開口部42とが連通していないので、収容体22の密閉状態が維持される。
【0069】
図6に示す収容体22には、白抜きの矢印で示す方向に、変形の原因となる力が作用している。これにより、収容体22はせん断方向に変形している。なお、この発明に係る口腔内気体供給装置の収容体においては、歯、舌及び/又は口蓋を用いて収容体を押圧することにより収容体を変形させると、収容体の形状に拘わらず、収容体のいずれかの部位にせん断方向に変形する部位を生ずることが多い。例えば図4に示されるように、収容体を歯で軽く噛むと、初期状態において拡張していた収容体の外壁面は収縮するように変形するのに対して、初期状態において収縮していた収容体の内壁面は拡張することになる。したがって、外壁面に作用する力と内壁面に作用する力とは、せん断方向において逆向きとなる。
【0070】
図6に示すように、収容体22が変形することにより、切目12が開状態と成る。切目12が開状態と成ることにより、第1開口部32と第2開口部42とが連通状態と成る。よって、収容体22の内部から外部に気体が移動することができるように成る。
【0071】
この発明の口腔内気体供給装置における第1開口部及び第2開口部の形状、数及び大きさについては、この発明の目的を達成しうる限り制限されない。
【0072】
第1開口部及び第2開口部の断面形状は、例えば円形、楕円形及び多角形等を挙げることができる。第1開口部及び第2開口部の数は、それぞれ1個以上であれば良いが、使用者が口腔内において収容体の任意の部位を押圧することにより気体が供給される態様が好ましいので、全方位に合計20個以上設けると良い。第1開口部及び第2開口部の大きさは、気体が流通する限り一実施態様として示した直径1mmに限定されることは無く、例えば0.1〜10mmであっても良い。
【0073】
第1開口部及び第2開口部を接続する流通路も上述した一実施態様に限定されることは無く、適宜の流通路を採用することができる。前記流通路の一例としては、流通路を変形させると収容体の内部から外部に向う方向に開状態と成る逆止弁、例えば浮き輪等に装着されている逆止弁を挙げることができる。
【0074】
以下に、この発明に係る口腔内気体供給装置の更なる変形例を、図7を参照しつつ説明する。
【0075】
図7に示す口腔内気体供給装置102は、収容体22と導管13と第2収容体14とを備えている。なお、図7においては、収容体22の内壁面には第1開口部が設けられ、更に外壁面には第2開口部が設けられているが、図示していない。また、収容体22は、図1に示した収容体2と同様の材料、形状及び大きさを有しているので、詳しい説明を省略することがある。
【0076】
導管13は、一端部が収容体22に連結されており、他端部が第2収容体14に連結されている。導管13は、中空の筒体であり、収容体22の内部空間と第2収容体14の内部空間とを接続している。なお、導管13は、この発明に係る口腔内気体供給装置における紐状部材の一変形例であり、紐状部材の機能と収容体22及び第2収容体14を接続する機能とを兼ね備えている。
【0077】
導管13には、収容体22の近傍に、逆止弁15が設けられている。逆止弁15は、第2収容体14から導管13を通って収容体22に達する方向には気体の流通を許容するが、収容体22から導管13を通って第2収容体14に達する方向には気体を流通させないように取り付けられている。導管13は、内径5mm、長さ20cmの可撓性を有する円筒体であり、収容体22と同様の材料、すなわちアラミド繊維を含むエラストマーから成る。
【0078】
第2収容体14は、収容体22に収容される気体と同様の気体を、収容している。収容体22に設けられる第1開口部及び第2開口部は、第2収容体14には設けられていない。よって、第2収容体14に収容されている気体が第2収容体14外に移動するには、導管13を通じて移動する場合のみである。第2収容体14の材料は、収容体22と同一であり、アラミド繊維を含むエラストマーである。第2収容体14の大きさは、収容体22の2倍の体積を有している。第2収容体14の形状は扁球状である。
【0079】
第2収容体14は、初期状態、すなわち収容体22が変形していない状態においては、収容体22と内圧が同一に、例えば5気圧に維持されている。よって、初期状態においては、収容体22と第2収容体14との間に気体の移動は生じない。なお、使用者が第2収容体14を強握したときは、第2収容体14から収容体22に気体の移動が生じることもある。
【0080】
口腔内気体供給装置102の使用方法及びその作用については、以下に説明する。
【0081】
先ず、収容体22が使用者の口腔内に装入される。収容体22が口腔内に装入されているとき、導管13及び第2収容体14は、例えば使用者の口角から口腔外に引き出される。このとき、収容体22を変形させていないので、口腔内気体供給装置102から使用者の口腔内に気体が供給されることは無い。また、収容体22から気体が放出されないので、収容体22の内圧と第2収容体14の内圧とは同一に維持されている。よって、収容体22と第2収容体14との間において、気体の移動が生じることは無い。なお、導管13及び第2収容体14は、各機能が低減しない限り、使用者の口腔から垂下しても良く、胸隠し等に収納しておいても良く、また、着衣例えば上着、ベスト、ワイシャツ、Tシャツ、チョッキ、外套等に縫い付けておくこともできるし、また着衣の内ポケットに収容しておくのも良く、要するに使用者の身体又は着衣に装着可能な形態にしておくことができる。
【0082】
次に、使用者は収容体22を口腔内で変形させる。収容体22を変形させたときに奏する第1開口部、流通路及び第2開口部の作用は、図1、3及び4に示した実施態様の説明と同様である。収容体22を変形させることにより、収容体22から使用者の口腔内に気体が供給されると、収容体22の内圧が低下する。収容体22の内圧が低下すると、収容体22の内圧は第2収容体14の内圧に比べて相対的に低くなる。第2収容体14の内圧よりも収容体22の内圧が低い場合は、収容体22及び第2収容体14に収容される気体が圧力の平衡を維持しようとして、気体が第2収容体14から導管13を通って収容体22に自然に移動する。収容体22と第2収容体14との間の気体の自然移動は、収容体22の内圧と第2収容体14の内圧とが平衡に達すると停止する。なお、第2収容体14を使用者が握持することにより、第2収容体14の内圧を収容体22の内圧よりも人為的に高めることにより、第2収容体14から導管を介して収容体22に気体を移動させることもできる。
【0083】
続いて、収容体22から口腔内への気体の供給を停止するには、使用者は収容体22の変形を停止すれば良い。収容体22の変形を停止するには、例えば収容体22を噛むことを止めればよい。収容体22の変形を停止すると、収容体22の内圧が低下することもなくなるので、第2収容体14から収容体22への気体の移動も停止する。
【0084】
収容体22の変形と変形の停止とを繰り返すことにより、使用者は収容体22及び第2収容体14に収容される気体を用いて呼気を確保することができる。なお、使用者に嚥下反射が生じて口腔内気体供給装置102を咽頭に移動させてしまう可能性もあるが、口腔内気体供給装置102の移動前後において、使用者の口角から引き出しておいた導管13又は第2収容体14を使用者自身が牽引することにより、口腔内気体供給装置102の完全な嚥下を防止することができる。
【0085】
口腔内気体供給装置102は、第2収容体14を設けることにより、収容体22から口腔内に供給される気体の量を増加させることができる。すなわち、口腔内気体供給装置102の使用者は、外部環境から気体を取り入れることなく、より長期間に亘って呼気を確保することができる。
【0086】
この発明に係る口腔内気体供給装置において、第2収容体の大きさ、形状及び材料については特に制限されない。第2収容体の大きさとしては、収容体に気体を補充することができる限り使用時間に応じて容積を様々に決定すれば良く、例えば収容体よりも小さい容積を有している態様であっても良く、収容体の5倍の容積を有している態様であっても良い。第2収容体の形状としては、例えば球状、長球状、両端を封止されて成る筒体及び直方体等を挙げることができる。また第2収容体の材料としては、密閉状態を保持することができる限り特に制限はされず、例えばエラストマー、アラミド繊維を含むエラストマー、金属、木材、セラミック及び樹脂組成物等を挙げることができる。第2収容体の好ましい材料としては、第2収容体を握持して第2収容体に収容される気体を搾り出すことができる材料が好ましいので、エラストマー及びアラミド繊維を含むエラストマーを挙げることができる。
【0087】
この発明に係る口腔内気体供給装置において、導管の大きさ、形状及び材料については、特に制限されない。導管の大きさとしては、内部を気体が円滑に流通することができる限り制限は無く、例えば内径1〜10mm、長さ5〜30cmであると良い。また導管の形状としては、例えば断面形状が円形、楕円形及び多角形等を挙げることができる。更に、導管の材料としては、密閉状態を保持することができる限り特に制限は無く、例えばエラストマー、アラミド繊維を含むエラストマー及び樹脂組成物等を挙げることができる。
【0088】
なお、一実施態様として紐状部材と導管との構成及び機能を兼ね備えた導管13を示したが、この発明に係る口腔内気体供給装置においては導管と紐状部材とを別体的に設けても良い。紐状部材と導管との構成及び機能を兼ね備えた導管を設けることにより、装置全体の部品点数が少なくなり、使用者の口腔外に引き出しておく部材の数が低減するので使用感の向上を図ることができ、更に口腔内気体供給装置を嚥下しそうになったときに導管を牽引しさえすれば良いという使用の煩雑さを低減することができる。
【0089】
また、この発明に係る口腔内気体供給装置の更なる実施態様として、マスクの内側、すなわちマスクにおける使用者の口腔が当接する部位に前記口腔内気体供給装置を取り付ける態様を挙げることができる。前記口腔内気体供給装置を取り付けるマスクが使用者の口腔及び鼻腔を覆蓋する作業用マスクであると、気体が外部に漏出し難いので好ましい。更に言うと、この発明に係る口腔内気体供給装置を水中で使用する場合には、前記マスクをエラストマー又はウレタン等により形成し、マスクと使用者の顔面とが密着するような防水マスクであると、使用者の口腔及び鼻腔に水が浸入することが無いので好ましい。
【0090】
この発明に係る口腔内気体供給装置の設置態様としては、例えば携帯電話の装飾具、いわゆる携帯電話のストラップとして設置する態様、火災警報器の近傍に設置する態様及び使用者が携行する鞄に同梱しておく態様等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0091】
1、101、102 口腔内気体供給装置
2、21、22 収容体
3、31、32 第1開口部
4、41、42 第2開口部
5、51、52 内壁面
6、61、62 外壁面
7 紐状部材
8 内側収容体
9 外側収容体
10 流通路
11 歯
12 切目
13 導管
14 第2収容体
15 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に装入可能であり、気体又は気体発生剤を収容する収容体と、
前記収容体の内壁面に設けられる第1開口部と、
前記収容体の外壁面に設けられる第2開口部とを備え、
前記第1開口部及び前記第2開口部が前記収容体の変形時に連通することを特徴とする口腔内気体供給装置。
【請求項2】
前記収容体に紐状部材が付設されて成る請求項1に記載の口腔内気体供給装置。
【請求項3】
一端部が前記収容体に連結されるとともに逆止弁を備える導管と、
前記導管の他端部に連結されるとともに気体又は気体発生剤を収容する第2収容体とを備えて成る請求項1又は2に記載の口腔内気体供給装置。
【請求項4】
前記紐状部材が前記導管である請求項3に記載の口腔内気体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−159(P2011−159A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143202(P2009−143202)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000173429)細谷火工株式会社 (14)
【出願人】(594093585)
【Fターム(参考)】