説明

口腔用組成物及びそれらの使用

本発明は、貯蔵器及びこの貯蔵器から歯ブラシヘッドのようなアプリケータに口腔用組成物をポンプ輸送するための手段を含む口腔処理システム、特にハンドヘルド型電動歯ブラシにおいて規定のレオロジー的特性を有する口腔用組成物の使用を含む。ブラシヘッド上での良好なスタンドアップ(stand-up)を有するポンプ輸送可能な口腔用組成物も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一体型の口腔処理システムに使用するための口腔用組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動歯ブラシは、消費者の間で、同様に歯科医の間でも非常に人気が高まっている。このような器具は、従来の手動によるブラッシングよりも良好な口腔表面の洗浄及びマッサージを行うと考えられている。しかし、電動歯ブラシは依然として、使用前に毛の上に歯磨剤を分配しなければならない。ブラッシングを始めると、迅速に、毛の上の歯磨剤の濃度が低下していしまい、期待されるような歯の表面洗浄が達成されないことがある。
【0003】
結果として、ブラッシングの間に自動的に又は望むときに、毛ヘッドを通して毛の上に分配される口腔用組成物を含む口腔処理システムを得ることが所望されている。かかる着想は新規なものではない。例えば、米国特許第3,217,720号には、液体歯磨剤容器を備えた歯ブラシが開示されている。米国特許第5,909,977号は、歯磨剤材料を貯蔵するための補充可能なカートリッジ、及び歯磨剤材料をブラシヘッドにポンプ輸送するための圧縮性弾性ボタンを利用する歯磨剤分配歯ブラシを開示している。さらにこの着想を発展させたものとして、米国特許第5,309,590号に開示されているような、歯磨剤が流れ出る中空の毛の使用が挙げられる。
【0004】
しかし、この種の一体化は、一体化された口腔用組成物のレオロジー的特性に関して新たな問題を生み出す。口腔用組成物は、貯蔵器から、ある形状の管系を通して適用部分にポンプ輸送されるのが好ましい。歯ブラシにおいて、歯ブラシネックは、口の中で快適に使用できるように、特定の最大直径未満で、且つ特定の最小長さより長くなければならない。このようなネックのサイズに関する制限が必然的に、貯蔵器から歯ブラシヘッドへ組成物を送達するために使用される管系の最大断面積と最小長さとを制限する。管系の断面積に関する制限によって、結果として口腔用組成物が管を通してポンプ輸送されるときに生じる剪断速度が大きくなり、口腔用組成物を輸送するのに必要な圧力を増大させる。さらに、歯ブラシは必然的に、電気的に作動するポンプ輸送システムの電力要件又は手動操作によるポンプにおいて消費者が今まで通り適用し得る最大力量のいずれかによって、ポンプ輸送圧力が制限される。そのため、組成物は、所与の管系を通ってポンプ輸送可能となると同時に、ポンプ輸送システムの圧力要件を最小限にする特定のレオロジー的特性を有していなければならない。
【0005】
さらに、利用可能な口腔用組成物は、口腔処理システムと共に使用されるように最適化されておらず、歯を洗浄するために消費者が口腔組織に適用する歯ブラシヘッドの圧力が、弱くなりすぎたり、強くなりすぎたりする場合がある。毛ヘッドへの圧力の適用が弱すぎたり、強すぎたりすると、結果として口腔処理システムの洗浄効率が低下することもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、所与の直径及び長さを有する管を通して容易にポンプ輸送できる、口腔処理システムに使用するための組成物を提供することが所望されている。さらに、組成物が容易にポンプ輸送可能であり、さらに分配時に毛に保持可能となるレオロジー的特性を有する歯磨剤組成物を含む口腔処理システムを提供することも所望されている。またさらに、口腔処理システムにおいて口腔用組成物を使用するのに必要な装置を収容するキットを提供することが所望されている。
【0007】
さらに、口の中で使用する場合に口腔処理システムに消費者が与える圧力を操作できる口腔処理システムに使用するために最適化された口腔用組成物を提供することが所望されている。
【0008】
本発明のこれら及びその他の目的は、以下の要旨、詳細な説明及び実施例を考慮すれば、さらに容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
口腔処理システムにおける口腔用組成物の使用が提供され、この使用は、内部断面積A及び長さy(ここで、Aは0.0025mm2〜25mm2であり、yは10mm〜300mmである)の管を介して貯蔵器から出口に口腔用組成物をポンプ輸送することを含み、この組成物は剪断速度
【0010】
【数1】

でη(Pa・s単位)以下の粘度を有することを特徴とし、ここでη及び
【0011】
【数2】

は次の式によって定義され:
【0012】
【数3】

且つ前記組成物はさらに、剪断速度1s-1で少なくとも10Pa・sの粘度を有する。
【0013】
以下の説明において:
「一体化器具」又は「一体化口腔処理システム」とは、歯磨剤のような口腔用組成物を口腔に送達するために、その組成物を収容できる内蔵型貯蔵器を含む器具又は口腔処理システムのことを指す。
「管」とは、流動可能な材料が一方の末端部から他方の末端部を通過できる囲まれた内部空隙を意味する;
「長手方向の軸」は、管内における流動方向と平行な軸である;
「内部断面積」は、管系材料の内面によって囲まれ、長手方向の軸に垂直な平面にて考慮された管の断面積である;
「長さ」とは、長手方向の軸に沿った管の長さのことを指す;及び
「ポンプ回復力」とは、ポンプ輸送サイクルの補充期間にポンプによって与えられる力又はポンプに働く力を意味する。ポンプ回復力は、1回の排出サイクルに続くポンプの補充を妨げ、ポンプを平衡に保つのに必要な最小力を測定することによって決定されることができる。
【0014】
本発明はさらに、次を含む口腔用組成物を提供する:
a)ヘクトライト及び誘導体、水酸化ケイ素、三級及び四級ケイ酸マグネシウム誘導体、ベントナイトキサンタンガム、カラギーナン及び誘導体、ジェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクレロチウムガム及び誘導体、プルラン、ラムサンガム(rhamsan gum)、ウェランガム、コンニャク、カードラン、カルボマー、アルギン、アルギン酸、アルギネート及び誘導体、ヒドロキシエチルセルロース及び誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース及び誘導体、デンプンホスフェート誘導体、グアーガム及び誘導体、デンプン及び誘導体、無水マレイン酸とアルケンとのコポリマー及び誘導体、セルロースガム及び誘導体、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、ポロキサマー及び誘導体、ポリアクリレート及び誘導体、メチルセルロース及び誘導体、エチルセルロース及び誘導体、アガー及び誘導体、アラビアゴム及び誘導体、ペクチン及び誘導体、キトサン及び誘導体、樹脂ポリエチレングリコール、例えばPEG−XM(ここで、Xは1以上である)、カラヤゴム、イナゴマメガム、納豆ゴム、ビニルピロリドンとアルケンとのコポリマー、トラガカントゴム、ポリアクリルアミド、キチン誘導体、ゼラチン、βグルカン、デキストリン、デキストラン、シクロデキストリン、メタクリレート、微結晶セルロース、ポリクアテルニウム、ファセラレンガム(furcellaren gum)、ガッチガム(ghatti gum)、オオバコガム、マルメロガム、タマリンドガム、カラマツガム、タラガム(tara gum)、並びにこれらの混合物から選択される、0.5%を超えて4%までの増粘化成分と;
b)20%未満の不溶性固体と;
c)20%〜70%の全体の水と;
d)ポリオール及びポリエチレングリコールから選択される、20%を超えて80%までの保湿剤と;を含み、
この組成物は、剪断速度20s-1で0.001Pa・s〜780Pa・s、及び剪断速度1s-1で少なくとも10Pa・sの粘度を有する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、1%〜10%の研磨材と;20%〜70%の全体の水と;ポリオール及びポリエチレングリコールから選択される、少なくとも10%の保湿剤とを含む口腔用組成物を提供し;ここで、組成物は、70を超えるRDAを有し、剪断速度1s-1で少なくとも10Pa・sの粘度を有する。
さらに、口腔処理システム及び本発明に従う口腔用組成物を含む口腔ケアキットが提供され、ここでこの口腔処理システムは、貯蔵器と、組成物をこの貯蔵器から口腔処理システムの出口にポンプ輸送するための手段を含む。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲にて言及される全ての部、パーセンテージ及び割合は、指示がない限り、口腔用組成物全体の重量による。測定は全て、指示がない限り、口腔用組成物全体に対して25℃で行われる。本明細書で使用するとき、粘度は、直径2cmの平行プレート測定システムを備え、プレート間のギャップが500μmであるカリメド(Carrimed)CSL2 100レオメーターを用いて測定される。しかし、組成物がその組成物中に不溶性の粒子状成分を含有し、粒径が50μmを超える場合、プレート間のギャップが粒径の10倍のものを使用すべきである。ギャップを設定するために、成分の粒径は、乾燥成分の少なくとも90重量%を通す最小篩目サイズとして考慮すべきである。
【0017】
本明細書に記載されている口腔用組成物は、少なくとも70の放射性象牙質磨耗(Radioactive Dentin Abrasion)(「RDA」)値を有するのが好ましい。
引用される全ての文献は、その関連部分において、本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用もそれが本発明に関して先行技術であるという容認として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の口腔用組成物は、口腔用組成物が貯蔵器に含有され、管を介してその貯蔵器から出口にポンプ輸送されるような口腔処理システムにおいて使用するのに好適である。それらは、所与の直径及び長さを有する管を介して、比較的小さい力のポンプ輸送手段を用いて輸送されるのに最適な粘度を有する。比較的小さい力とは、必要とされるポンプ輸送力が、電動ポンプに関しては高電力を必要とする程にも大きくはなく、又はユーザーの指からポンプの作動装置に大きな力が与えられなければならない程にも大きくないことを意味する。口腔用組成物を輸送するための比較的小さい力とは、ポンプを駆動させ、示された送達速度を達成するのに必要とされるのが100N未満である力のことを指す。
【0019】
本明細書に用いるの口腔用組成物により、少なくとも0.1mL/s、好ましくは0.2mL/sの流速で所与の管断面積及び長さを通って口腔用組成物を送達できる。これは、貯蔵器からアプリケータヘッドに口腔用組成物を迅速に効率良く輸送することを可能にするのに有利である。本明細書に用いる口腔用組成物は、ニュートン流体組成物又は剪断減粘性(shear thinning)組成物であることができ、好ましくは剪断速度、故に剪断応力が増大するにつれて口腔用組成物の粘度が累進的に低下するような剪断減粘性組成物であることができる。本明細書の口腔処理システムに口腔用組成物を使用することにより、複数のアプリケーションを必要とせず、製品の審美性に負の影響を与えないで、アプリケータへの口腔用組成物の効率のよい送達及びアプリケータ内でのその保持が可能になる。
【0020】
(口腔処理システム)
(歯ブラシ)
本発明の口腔用組成物は、一体化された歯ブラシ及び電動歯ブラシのような種々広範な口腔処理システムに使用するのに好適である。代表的な口腔用処理システムは、PCT国際公開特許WO02/064056A1及び米国特許第6,402,410B1号に開示されている。このようなシステムは、貯蔵器と、アプリケータと、貯蔵器からアプリケータに口腔用組成物を輸送する手段とを含む。好ましくは、口腔処理システムは、片手で使用するのに好適なハンドヘルド型携帯器具である。口腔処理システムは、ユーザーの手に快適に握られることができる一体型ハウジングを含むのが好ましく、このハウジングは、貯蔵器及び口腔用組成物を輸送する手段を含むのが好ましい。
【0021】
(貯蔵器)
本発明のシステムは、口腔用組成物を貯蔵するための貯蔵器を含む。貯蔵器は、処理システムに固定式に又は取り外し可能に取り付けられてもよい。好ましくは、貯蔵器は、ハウジングから交換可能に取り外すことができ、例えば貯蔵器を補充すること及び貯蔵器を再挿入することができ、又は追加量の口腔用組成物を含むことのできる実質的に同様の構成をもったものに貯蔵器を交換できる。本発明においては、任意の好適な貯蔵器が利用可能である。利用される貯蔵器は、完全に又は部分的に処理システムのハウジング内であってもよいし、完全に又は部分的にハウジングの内であってもよいことは理解されるべきである。
【0022】
好適な貯蔵器の非限定的な例としては、一般的にカートリッジのような剛壁のものである容積式型貯蔵器が挙げられ、また、一般的に袋、ブラダー及びブリスターのような軟壁のものであるポンプ真空型のものも挙げられる。好ましくは、貯蔵器は、軟壁のポンプ真空型、より好ましくは袋である。貯蔵器は、当業者に既知の、用途に好適な材料から製造できる。例えば、容積式型貯蔵器は、金属、剛性プラスチック及びその他の好適な硬質材料から製造できる。軟壁のポンプ真空貯蔵器は、軟質の柔軟性プラスチック、例えばPET、PE、金属被覆PE、積層アルミニウム及びその他の当業者に既知の好適な材料から製造されるのが好ましい。好ましくは、貯蔵器は5mL〜25mLの内容積を規定する。
【0023】
実施形態において、貯蔵器はポンプに取り付けるための手段を含む。これは、例えば交換貯蔵器を口腔処理システムに取り付けているときにも、貯蔵器をポンプに取り付けておくことができるために望ましい。もう1つの実施形態では、貯蔵器はポンプ輸送手段及び輸送管に取り付ける手段を含んでいてもよい。これは、貯蔵器とポンプとを、単一ユニットとして同時に交換可能にするのに有利である。貯蔵器にポンプを取り付ける手段の好適な例としては、スナップ−ロック取り付け具、ガスケットシール、差込及びネジ取り付け具が挙げられる。
【0024】
本発明のさらなる実施態様において、システムと共に又は別個のアイテムとして提供される、システムのハウジング外部にある別の補充カートリッジから、貯蔵器をその場で補充するための準備がされていてもよい。処理の間に消費される組成物の量が比較的多く、空になる毎に内部貯蔵器を廃棄することがコスト高になるか又は不経済である場合、これは有利となり得る。外部補充カートリッジが基準点(base station)の一部を形成し、処理システムのハウジング用のホルダーを提供するという機能を付加的に行ってもよい。処理システムが電気的手段を含む場合、基準点はさらに、処理システム内に再充電可能な電池を再充電する再充電手段を含んでいてもよい。
【0025】
(ポンプ及び管系)
本発明の口腔処理システムは、貯蔵器からアプリケータに口腔用組成物を輸送する手段を含む。口腔用組成物を輸送する手段は、ポンプ及び/又は管系を含んでいてもよい。好ましくは、口腔処理システムは、貯蔵器からアプリケータに口腔用組成物を輸送するために機械的圧力を与えるポンプを含む。ポンプは、電気的に制御されるポンプ、又は例えば貯蔵器の上方に若しくはポンプから貯蔵器に導く管系を備えたラインに配置された弾性プッシュボタンで操作される、機械的ポンプを含むことができる。好ましくは、ポンプは容積式ポンプを含む。容積式ポンプ(例えば、ケミカル・エンジニアリング(Chemical Engineering)、第6巻、デサイン(Design)、R.K.シノット(R.K.Sinnott)、パーマゴン・プレス(Permagon Press)、1983年の155頁を参照のこと)は、活性化されていないときにポンプを通って材料が逆流できないような、種々の異なる設計のポンプを包含する。このような器具に用いるのに好適な特定の容積式ポンプ設計としては、蠕動ポンプ、ピストン及びダイアフラムポンプが挙げられる。
【0026】
本明細書のダイアフラムポンプは、通常はポンプチャンバー(ポンプ輸送されるべき製品で満たされることのできる空隙)を収容するポンプ本体と、ポンプチャンバーの表面を形成するエラストマー膜で構成されるポンプアクチベータと、入口バルブと、出口バルブとを含む。ポンプアクチベータはさらに、押し下げの後に最大ポンプチャンバー容積に回復するのを助けるためのバネを含む。ポンプ本体はまた、入口バルブに連結したチャンネルを備えた入口ノズル、及び出口バルブに連結したチャンネルを備えた出口ノズルを含む。入口バルブは、入口ノズルとポンプチャンバーとの間に配置され、ポンプ内の圧力がバルブの内側よりも低い場合に開き、ポンプの圧力がバルブ内側よりも高い場合に閉じる。入口バルブは、通常はチャンバー内の減圧を取り除く際にはじいて閉鎖を行うことのできる弾性材料で構成され、好適な材料はPETである。出口バルブは、ポンプチャンバーと出口ノズルとの間に配置され、ポンプ内の圧力がバルブの外側よりも高い場合に開き、ポンプの圧力がバルブ外側よりも低い場合に閉じる。出口バルブは、通常は入口バルブと同様の特性を有する。バルブは、それらの構造を支持するために、また一方向にのみ開くことができるように、バルブハウジングに取り付けられることができる。
【0027】
押し下げられたときに、アクチベータにより、ポンプハウジングの容積が減少し、ポンプハウジング内の圧力が増加し、出口バルブを通って製品を排出する。アクチベータは、開放されたときに最大容積に戻ることができるように跳ね返る。アクチベータが開放されたときに、ポンプハウジングの容積が増大し、ハウジング内の圧力が低下し、入口バルブを通ってポンプハウジング内に製品が吸い込まれる。アクチベータは、通常は熱可塑性エラストマー、例えばTPE(ポリエーテルエステル)で構成される。
もう1つの実施形態では、ポンプはピストンを含んでいてもよい。注射器のようなピストンは、ポンプが製品で補充される必要がない。本明細書で好ましいのは、ダイアフラムポンプである。
【0028】
本明細書の口腔処理システムは、ポンプを介して貯蔵器からアプリケータに口腔用組成物を輸送する手段を含む。好適な輸送手段としては管が挙げられる。管の非限定例としては、シリコーン管系、成形プラスチックチャンネル、及びプラスチック管系が挙げられる。好ましくは、管は、アプリケータ自体のネックの直径を増大させることなく、アプリケータのネック内に収容可能な程度に十分小さい内部断面積を有する。長手方向の軸に垂直な管の内表面の内部断面は、例えば円形、楕円形、又は正方形若しくは長方形のような多角形などのあらゆる閉じた形状を規定することができる。
【0029】
1つの実施形態では、管は、アプリケータヘッドを電動操作するための駆動シャフトと共にアプリケータのネック内に収容されるように十分小さい内部断面積を有し、このアプリケータのネックは、アプリケータの人間工学を維持するために十分狭い。管の内部断面積は、好ましくは0.0025mm2〜25mm2である。より好ましくは、管の内部断面積は、0.01mm2〜20.25mm2、なおより好ましくは0.25mm2〜16mm2である。さらによりなお好ましくは、管の内部断面積は0.5mm2〜10mm2である。
【0030】
さらに、貯蔵器及びポンプがアプリケータヘッドから隔てて配置されることができるような長さを必要とし、その結果ポンプは、口腔処理システムを保持する手で容易に作動することができる。好ましくは、管系は、10mm〜300mm、より好ましくは50mm〜250mm、さらにより好ましくは100mm〜200mmの長さを有する。さらにより好ましくは管の長さは、120mm〜180mmである。
【0031】
さらに、本明細書に用いる管は、少なくとも1:1mm-1、好ましくは少なくとも2:1mm-1の長さと内部断面積との比(y:A)を有する。管が複数の異なる内部断面積を有する場合、上記の比によって可能となる最小長さを決定するために使用される内部断面積は、管の最小内部断面積であるべきである。管が口腔用組成物の流れの下で拡張する場合、上記比に従う最小長さを決定するために使用される内部断面積は、管の最大拡張によって規定される面積である。
【0032】
(アプリケータ)
本発明の口腔処理システムは、口腔に口腔用組成物を適用するためのアプリケータを含む。アプリケータは、口腔処理システムのハウジングに固定式に又は取り外し可能に取り付けられることができる。好ましくは、アプリケータはアプリケータに取り外し可能に取り付けられる。これは、口腔処理システム全体を交換する必要なく、1つの実質的に同様の構成を用いてアプリケータを交換するのに有利である。アプリケータは、本明細書の口腔用組成物を歯又は口腔軟組織に適用するのに好適な任意の器具であることができ、取り付け手段から延び、ブラシ又はスポンジであってもよい適用面を含むヘッド部分にて終止するネック部分を含むことができる。好ましくは、アプリケータヘッドはブラシを含む。典型的には、ネック部分は、20mm〜100mmの長さ及び5mm〜115mmの直径を有する。
管に加えて、アプリケータは、電動アプリケータヘッドを駆動する手段を含んでいてもよい。このような手段の例としては、駆動シャフト又はギア配置が挙げられる。
【0033】
(口腔用組成物)
(粘度)
本発明の口腔用組成物は、選択された粘度特性を有する流体組成物である。理論に束縛されるものではないが、所与の内部断面積及び長さの管を通って口腔用組成物をポンプ輸送するのに必要な圧力は、管の大きさによって規定される剪断速度での口腔用組成物の粘度に比例すると考えられている。ポンプ輸送圧力の制限によって、電動ポンプの場合にエネルギーを最小限にするために、又は手動ポンプについての過剰の力を必要としないためには、本発明の口腔用組成物は、好ましくは25℃、剪断速度
【0034】
【数4】

でη(Pa・s単位)以下の粘度を有し、ここでη及び
【0035】
【数5】

は次の式によって定義され:
【0036】
【数6】

且つ式中、A及びyはそれぞれ、口腔用組成物をポンプを介して貯蔵器からアプリケータヘッドへ輸送するために使用される管の内部断面積(mm2)及び長さ(mm)である。剪断速度
【0037】
【数7】

でη未満の粘度を有する口腔用組成物は、上記A及びyに関して規定された管を通ってポンプ輸送するのに好適である。管が複数の異なる内部断面積を有する場合、粘度は、管の全体の長さ(y)が、管の最小内部断面積に等しい内部断面積(A)を有するように計算される。管中に含まれる製品がその長さに沿ってポンプ輸送されるときに管が拡張する場合、断面積は、管の最大拡張時における面積として決定される。
【0038】
以下の表1は、本発明の口腔処理システムに用いるのに好ましい管の長さ及び内部断面積の組み合わせの例、並びに式1に従う、口腔処理システムに使用するための口腔用組成物の必須粘度限界を示す。
【0039】
【表1】

さらに、本発明の口腔用組成物は、剪断速度20s-1にて、0.001Pa・s〜780Pa・s、好ましくは0.1Pa・s〜500Pa・s、より好ましくは1Pa・s〜100Pa・sの粘度を有する。
【0040】
本明細書にて特に規定がない限り、本明細書で言及される粘度は、組成物に適用されるいかなる特定の事前の剪断力もなく、本発明の組成物に対して測定されるものであるが、実際は、カリメド(Carrimed)レオメーターは測定を行う特定のプログラムされた剪断速度まで強めるので、少量の剪断力が必然的に組成物に適用されていると理解されるべきである。剪断力のより正確な適用の効果、例えば組成物が管を通ってブラシヘッドにポンプ輸送される場合に得られる効果を模擬するために、粘度はまた、規定のプログラムされた剪断力によりカリメド(Carrimed)にて測定されることもできる。本発明の口腔用組成物は、剪断速度1s-1で少なくとも10Pa・sの「後剪断」粘度を有するのが好ましい。本明細書で使用するとき、「後剪断粘度」とは、組成物を30秒間0s-1〜450s-1の剪断速度で線形掃引し、続いて30秒間450s-1〜0s-1の剪断速度で第2の線形掃引した後の1s-1における組成物の粘度を意味し、後剪断粘度は、450s-1〜0s-1までの第2の剪断速度掃引における1s-1の粘度として測定される。スパチュラを用いてカリメド(Carrimed)CSL2 100レオメーターのベースプレートに試料を充填し、次いで指数関数的に減衰する圧縮設定を用いて、適切なギャップ間隔(普通は500μm)にプレートを共に配置する。次いで、試料を5分間平衡にさせ、続いて試験プロトコルを開始する。
【0041】
口腔用組成物が一旦分配されたら、アプリケータヘッドから流れ落ちるのを防止するために、剪断速度1s-1で少なくとも10Pa・sの後剪断粘度を有するのが好ましい。好ましくは、本明細書に用いる口腔用組成物は、25℃、剪断速度1s-1で少なくとも25Pa・sの後剪断粘度を有する。
【0042】
さらに、組成物の粘度が管を通るポンプ輸送のような剪断応力の増大によって一旦低下したら、大きい剪断応力が除かれた後に組成物が直ちにその低剪断粘度に戻るように、本発明の口腔用組成物は限定されたヒステリシスを有するのが好ましい。好ましくは、本発明の口腔用組成物は、0s-1〜450s-1の初期剪断速度掃引中に剪断速度1s-1で測定される初期粘度と、450s-1−1〜0s-1の第2の剪断速度掃引中に剪断速度1s−1で測定される後剪断粘度との比が、10:1未満、より好ましくは5:1未満、さらにより好ましくは2:1未満である。初期粘度と後剪断粘度との比は、本発明の口腔用組成物に存在するヒステリシスのレベルの指標であることを見出した。10を超える比は、口腔用組成物が、高剪断力に曝された後で大きすぎるヒステリシスを示し、そのため剪断応力が除かれた後にその高剪断速度の前の粘度に戻ることが制限されることを示す。
【0043】
組成物をポンプ輸送する手段が直接容積式ポンプ(direct displacement pump)を含む場合、口腔用組成物は、剪断速度
【0044】
【数8】

でη(Pa・s単位)以下の粘度を有するのが好ましく、ここでη及び
【0045】
【数9】

は次の式によって定義される:
【0046】
【数10】

【0047】
以下の表2は、本発明の口腔処理システムに用いるのに好ましい管の長さ及び内部断面積の組み合わせの例、並びに式2に従う、口腔処理システムに直接容積式ポンプ(direct displacement pump)を使用するための口腔用組成物の好ましい粘度限界を示す。
【0048】
【表2】

より好ましくは、組成物をポンプ輸送する手段が容積式ポンプを含む場合、口腔用組成物は、剪断速度
【0049】
【数11】

でη(Pa・s単位)以下の粘度を有するのが好ましく、ここでη及び
【0050】
【数12】

は次の式によって定義される:
【0051】
【数13】

【0052】
以下の表3は、本発明の口腔処理システムに用いるのに好ましい管の長さ及び内部断面積の組み合わせの例、並びに式3に従う、口腔処理システムに容積式ポンプを使用するための口腔用組成物の好ましい粘度限界を示す。
【0053】
【表3】

より好ましくは、組成物をポンプ輸送する手段がダイアフラムポンプを含む場合、口腔用組成物は、剪断速度
【0054】
【数14】

でη(Pa・s単位)以下の粘度を有するのが好ましく、ここでη及び
【0055】
【数15】

は次の式によって定義される:
【0056】
【数16】

【0057】
以下の表4は、本発明の口腔処理システムに用いるのに好ましい管の長さ及び内部断面積の組み合わせの例、並びに式4に従う、口腔処理システムに使用するための口腔用組成物のより好ましい粘度限界を示す。
【0058】
【表4】

さらにより好ましくは、組成物をポンプ輸送する手段がダイアフラムポンプを含む場合、口腔用組成物は、剪断速度
【0059】
【数17】

でη(Pa・s単位)以下の粘度を有するのが好ましく、ここでη及び
【0060】
【数18】

は次式によって定義される:
【0061】
【数19】

より好ましい実施形態において、組成物をポンプ輸送する手段がダイアフラムポンプを含む場合、口腔用組成物は、剪断速度
【0062】
【数20】

でη(Pa・s単位)以下の粘度を有するのが好ましく、ここでη及び
【0063】
【数21】

は次式によって定義される:
【0064】
【数22】

上記式によって定義される限度内の粘度を有する口腔用組成物は、口腔用組成物をポンプ輸送するための手段を含む口腔処理システムに用いるのに優れており、ここでこの口腔用組成物は、管を介して貯蔵器からアプリケータにポンプ輸送される。本願にて定義されたものを超える粘度を有する組成物は、非常に粘稠であるので、規定の直径及び長さの管を通って効率良くポンプ輸送できない。このような組成物は、規定の内部断面積及び長さの管を流れることもあるが、これらの組成物を効率的な送達流速で有効に輸送するために必要な力は、電池駆動式ポンプによって効率良く供給されることのできる力、又は消費者によるポンプアクチベータの手動操作から供給されることのできる力を超える。
【0065】
剪断応力及び剪断速度を測定するために使用される装置(例えば、本明細書にて用いられるカリメド(Carrimed)CSL2 100レオメーター)は、
【0066】
【数23】

についての式によって示されるいくつかの剪断速度を達成できないと考えられている。このような場合、そのような剪断速度での口腔用組成物の粘度は、ハーシェル−バルクレイ(Herschel-Bulkley)モデルを用いて測定される。口腔用組成物の剪断応力は、0〜450s-1にわたる剪断速度の関数として、又はこの範囲内で少なくとも40個の均等に分配された剪断速度を用いて、部分的に断裂することなく口腔用組成物に適用され得る最大剪断速度として測定される。データは、次式に適合させることによってモデル化される:
【0067】
【数24】

式中、τは剪断応力であり、τ0は降伏応力であり、
【0068】
【数25】

は剪断速度であり、κは粘稠度(1s-1での粘度)であり、nは剪断指数である。
τ0、κ及びnの値が決定されたら、高剪断速度での口腔用組成物の粘/-度を予測するために必要な剪断速度で次の式を適用する:
【0069】
【数26】

さらに、本発明の口腔用組成物は、剪断速度450s-1にて10Pa・s未満の粘度を有するのが好ましい。より好ましくは、口腔用組成物は、剪断速度450s-1で、5Pa・s未満、さらにより好ましくは2Pa・s未満の粘度を有する。驚くべきことに、本明細書に用いる組成物は、口腔ケアシステムの毛ヘッドに適切に付加されることができるように高剪断速度にてこのような低い粘度が必要であることを見出した。本明細書の粘度よりも実質的に高い剪断粘度を有する組成物は、分配には不適切な流速を有することがわかった。
【0070】
さらに、本発明に用いられる口腔用組成物は、ポンプがその活性化によってその中に含有される口腔用組成物を吐き出したら、ポンプ回復力が100N未満である場合に、口腔用組成物のポンプへの流速が、少なくとも0.2mL/sとなるような粘度を有するのが好ましい。これによって、ポンプは製品の次の分配分を効率よく補充することができる。
【0071】
さらに、水に16.67%スラリーとして希釈される場合に本発明の口腔用組成物が、剪断速度1s-1で0.1Pa・sより大きい粘度を有するのが好ましい。これは、口腔にて希釈される場合に、消費者によるアプリケータの過度の操作又は圧力適用なしに口腔に保持可能となるのに十分高い粘度を有する口腔用組成物を与えるのに有利である。より好ましくは、本発明に従って使用される口腔用組成物は、水に16.67%スラリーとして希釈される場合に、剪断速度1s-1で0.2Pa・sを超え、さらにより好ましくは剪断速度1s-1で0.3Pa・sを超える粘度を有する。剪断速度1s-1で0.1Pa・sを超える希釈粘度を有する口腔用組成物は、より大きな消費者順応性と良好な洗浄効率とを導くことを見出した。これは、口腔組織上で消費者が口腔処理システムによってかけられる圧力を小さくし、口の中で希釈された組成物を保持するという結果であると考えられている。かけられた圧力が低下すると、より良好で効率のよい洗浄作用が得られ、口腔組織の刺激が低減するという結果になる。このような2つの特徴は、改善された印象を消費者に与えるので、消費者順応性が増大する。
【0072】
口腔用組成物のレオロジーは、増粘剤の種類及び濃度、さらに任意成分の種類及び濃度にも影響を受ける。異なる増粘剤は、ある剪断速度で同様の粘度を与えるために異なる濃度で使用できることは当業者に既知である。しかし、増粘剤は、一連の剪断速度にわたって異なる粘度特性を示す場合がある。一部の増粘剤又は増粘化システム、例えば合成ヘクトライト粘土を含むものは、中程度〜高程度のヒステリシスを示し、高剪断速度に曝された後の低剪断速度では、組成物のその初期粘度への回復が制限されるが、高度に剪断減粘性であるので望ましい。他の増粘剤は、本明細書に使用可能とするのには十分な剪断減粘をしない。
【0073】
口腔用組成物の剪断減粘特性を維持するために、高剪断粘度を過剰に増大させる材料を高濃度で含まないようにするのが好ましい。このような材料の例としては、グリセリン、ソルビトールシロップ及び水素添加デンプン加水分解産物(水素添加グルコースシロップとしても既知)のようなニュートン液体が挙げられる。これらの材料は、保湿剤及び任意成分として望ましい一方で、高濃度で添加される場合に、組成物の減粘特性を本明細書に用いるのに不適切となるように変えてしまうことがある。大部分の液体成分は、それらが普通交換されている水よりも高い粘度を有する。これには、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール(PEG)のような他の保湿剤が挙げられる。水をこのような成分の1つと交換する場合、口腔用組成物は、高及び低剪断速度の両方でより高い粘度を有する。
【0074】
さらに、研磨材のような粒子状固体が高濃度とならないようにするのが好ましい。これらの材料は、口腔用組成物における剪断減粘性の程度を低減し、それらをポンプ及び管を介して輸送するのに不適切にする。高濃度の粒子状固体を含む口腔用組成物は、貯蔵器からポンプに引き込まれることができない場合があり、その結果ポンプがブロックされることになることを見出した。
【0075】
(増粘剤)
配合物は、一体化器具を通る適切な流速を可能にするために高剪断速度で十分低い粘度を有する一方で、一旦分配されたら製品がブラシから流れ落ちないために高剪断速度に曝された後で、低剪断速度で十分高い粘度を有することが必要である。一体化器具の配合物のための最適な増粘剤又は増粘化システムは、低剪断速度(1s-1)で流体粘度を増大させなければならない一方で、より高い剪断速度では可能な限りほとんど粘度を増大させない。これらの目的を満たすために、これらの増粘剤又は増粘化システムは、配合物に高度の疑塑性を付与するはずであり、それによって配合物は剪断速度が増大するにつれて粘度が顕著に減少する。
【0076】
典型的には、最大レベルの疑塑性を付与する増粘剤は、コロイダルシリカ及びヘクトライト粘土のような電荷−電荷相互作用又は水素結合によって構造を形成するものである。流速の観点から、これらの材料は高度に剪断減粘性の理想的な特性を有する。架橋ネットワークを形成する増粘剤、例えばキサンタンガムを含む多糖類誘導体又はカルボマーを含む合成ポリマーも、高度の疑塑性を与える。鎖の交絡のみによって構造を構築する増粘剤、例えばセルロースガムも疑塑性であるが、三次元オーダーを有するものより疑塑性のレベルが低い傾向にある。
【0077】
増粘剤は、「増粘化システム」を形成するために単独で又は組み合わせて使用されてもよい。一部の増粘剤、例えばヘクトライトは、第2の増粘剤の非存在下で使用される組成物の相分離を生じ得る。同様に、個々の増粘剤が使用できるレベルには制限があり、必要なレオロジー的特性を達成するためにさらなる増粘剤の添加が必要な場合もある。
【0078】
上述したように、ベントナイト粘土及びヘクトライト粘土、例えばラポナイトを含む組成物は、高度に剪断減粘性であり、そのため本発明に用いるのに望ましい。しかし、これらの増粘剤を含む組成物は、高剪断速度に曝された後、達成可能な後剪断粘度が制約されるが中程度〜高度のヒステリシスを示す。さらに、これらの増粘剤は、フッ化ナトリウムのような特定の口腔ケア活性物質と共に使用するのに不向きである。キサンタンガム及びカラゲーナンのようなより好ましい多糖類ガムを含む組成物は、ラポナイト又はベントナイト粘土を含むものと同程度の剪断減粘性を示さないが、分配後にはヒステリシスを示し難い。そのため、本明細書にて確立されたレオロジー要件を達成するために適切な増粘剤及び濃度を選択する必要がある。
【0079】
特定の増粘剤又は増粘剤の組み合わせに関して、製品が高剪断力で好適な流速を有することができ、毛の中に及び/又は毛上に残すために高剪断速度に曝された後に組成物の構造を維持できるように適当なレオロジー的特性を達成することは、増粘剤又は増粘剤の組み合わせが用いられる配合濃度に大きく依存する。典型的には、増粘剤の濃度を増加させると、低剪断速度での粘度及び高剪断速度での粘度の両方が増大することになる。そのため、組成物がポンプ輸送され、毛に残ることが可能となる増粘剤濃度の領域がある。増粘剤又は増粘剤の組み合わせの最適濃度はまた、より長い鎖長がより大きな粘度をもたらすように、通常分子量又はポリマー鎖長の関数として使用される材料の等級によって決定される。増粘剤はまた、配合物の他の成分との相乗的な相互作用を示す場合があり、それによって高剪断速度及び低剪断速度の両方で適当な粘度を達成するために必要な濃度が変わってしまう。多くの他の要因が、特定の配合物中の特定増粘剤の選択を左右し得る。増粘剤上の特定電荷は、例えば他の成分との所望でない相互作用を回避するために必要となる場合がある。
【0080】
本発明に好適な増粘剤は、有機及び無機増粘剤、並びにこれらの混合物を含む。無機増粘剤としては、ヘクトライト及び誘導体、水酸化ケイ素、ケイ酸三及び四マグネシウム誘導体、ベントナイト、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましい無機増粘剤は、ヘクトライト及び誘導体、水酸化ケイ素、並びにこれらの混合物である。有機増粘剤としては、キサンタンガム、カラギーナン及び誘導体、ジェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクレロチウムガム及び誘導体、プルラン、ラムサンガム(rhamsan gum)、ウェランガム、コンニャク、カードラン、カルボマー、アルギン、アルギン酸、アルギネート及び誘導体、ヒドロキシエチルセルロース及び誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース及び誘導体、デンプンホスフェート誘導体、グアーガム及び誘導体、デンプン及び誘導体、無水マレイン酸とアルケンとのコポリマー及び誘導体、セルロースガム及び誘導体、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、ポロキサマー及び誘導体、ポリアクリレート及び誘導体、メチルセルロース及び誘導体、エチルセルロース及び誘導体、アガー及び誘導体、アラビアゴム及び誘導体、ペクチン及び誘導体、キトサン及び誘導体、樹脂性ポリエチレングリコール、例えばPEG−XM(式中、Xは1である)、カラヤゴム、イナゴマメゴム、納豆ゴム、ビニルピロリドンとアルケンとのコポリマー、トラガカントガム、ポリアクリルアミド、キチン誘導体、ゼラチン、βグルカン、デキストリン、デキストラン、シクロデキストリン、メタクリレート、微結晶セルロース、ポリクアテルニウム、ファセラレンガム(furcellaren gum)、ガッチガム(ghatti gum)、オオバコガム、マルメロガム(quince gum)、タマリンドガム、カラマツガム、タラガム(tara gum)、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、キサンタンガム、カラギーナン及び誘導体、ジェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクレロチウムガム及び誘導体、プルラン、ラムサンガム(rhamsan gum)、ウェランガム、コンニャク、カードラン、カルボマー、アルギン、アルギン酸、アルギネート及び誘導体、ヒドロキシエチルセルロース及び誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース及び誘導体、デンプンホスフェート誘導体、グアーガム及び誘導体、デンプン及び誘導体、無水マレイン酸とアルケンとのコポリマー及び誘導体、セルロースガム及び誘導体、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、ポロキサマー及び誘導体、並びにこれらの混合物である。より好ましいのは、キサンタンガム、カラギーナン及び誘導体、ジェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクレロチウムガム及び誘導体、プルラン、ラムサンガム(rhamsan gum)、ウェランガム、コンニャク、カードラン、並びにこれらの混合物である。
【0081】
増粘剤の量は、0.5重量%〜4重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%、より好ましくは0.5重量%〜2重量%の範囲であってもよい。
【0082】
(界面活性剤)
本発明の口腔用組成物は、約0.1重量%を超える界面活性剤又は界面活性剤混合物を含む。ラウリル硫酸ナトリウムのような一般的な原料は、より低い活性度の水溶液として供給され得るけれども、本明細書に記載されている界面活性剤濃度は100%の有効物質基準である。
【0083】
界面活性剤は、表面から汚れを除去すると共に、除去された汚れを懸濁させるための泡を生成することによって口腔洗浄には重要である。好適な界面活性剤濃度は、組成物全体の約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約0.25重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約5重量%である。本明細書に用いるのに好適な界面活性剤としては、陰イオン性、両性、非イオン性、双極性及び陽イオン性界面活性剤が挙げられるが、陰イオン性、両性、非イオン性及び双極性界面活性剤(及びこれらの混合物)が好ましい。
【0084】
本明細書で有用な陰イオン性界面活性剤としては、アルキルラジカルの炭素原子数が10〜18個である水溶性のアルキル硫酸塩及びアルキルエーテル硫酸塩、並びに炭素原子数10〜18個の脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類のアニオン性界面活性剤の例である。ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。好ましい実施形態では、口腔用組成物は、少なくとも約0.125%、好ましくは少なくとも約0.5%、より好ましくは少なくとも約2%の陰イオン性界面活性剤を含む。
【0085】
本発明に有用で好適な陽イオン性界面活性剤は、約8〜18個の炭素原子を含有する1つのアルキル長鎖を有する脂肪族四級アンモニウム化合物の誘導体として広く定義されることができ、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロリド;セチルピリジニウムクロリド;塩化ベンザルコニウム;セチルトリメチルアンモニウムブロミド;ジ−イソブチルフェノキシエチル−ジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ココナツアルキルトリメチルアンモニウムニトライト;セチルピリジニウムフロリドなどである。特定の陽イオン性界面活性剤はまた、本明細書に開示された組成物中で殺菌剤としても作用することができる。
【0086】
本発明の組成物に用い得る好適な非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド基(本質的には親水性)と、本質的には脂肪族及び/又は芳香族であってもよい有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物として広く定義されることができる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、ポロキサマー;ソルビタンジ−イソステアレートのようなソルビタン誘導体;PEG−30硬化ヒマシ油のような硬化ヒマシ油のエチレンオキシド縮合物;脂肪族アルコール又はアルキルフェノールのエチレンオキシド縮合物;エチレンオキシドと、プロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物との縮合から得られる生成物;長鎖第三級アミンオキシド;長鎖三級ホスフィンオキシド;長鎖ジアルキルスルホキシド;及びこうした材料の混合物が挙げられる。これらの材料は、口腔用組成物のために構築された粘度に過剰に寄与することなく、泡を安定化するのに有用である。
【0087】
双極性界面活性剤は、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記載されることができ、その際、脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、その際、脂肪族置換基の内の1個は約8〜約18炭素原子を含有し、1個は例えばカルボキシル、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのような陰イオン性の水可溶化基を含有する。好ましい双極性界面活性剤としては、US−A−5,180,577に開示されているベタイン界面活性剤が挙げられる。
【0088】
(液体キャリア材料)
本発明の口腔用組成物は、約50%を超える液体キャリア材料を含む。水が通常は存在する。商業的に好適な口腔用組成物の調製に用いられる水は、好ましくは脱イオン化され、有機不純物を含むべきでない。水は、一般に本明細書の液体歯磨剤組成物の少なくとも10重量%、好ましくは約20重量%〜70重量%で含まれる。より好ましくは、組成物は、少なくとも約30%の水、好適には約30%〜約50%の水を含む。このような水の量は、添加される遊離水に加えて、ソルビトールのような他の材料及び界面活性剤溶液により導入されるものを包含する。
【0089】
一般に液体キャリアはさらに、1以上の保湿剤を含む。好適な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、及びその他の食用多価アルコール、例えば低分子量ポリエチレングリコールを約15%〜約50%の濃度で含む。泡立ち特性と耐乾燥性との最良のバランスをとるために、水全体と保湿剤全体との比は、好ましくは約0.65:1〜1.5:1、好ましくは約0.85:1〜1.3:1である。
【0090】
本明細書の口腔用組成物の高剪断速度における粘度は、組成物中に存在するニュートン液体の粘度によって大きく影響される。本明細書で使用するとき、「ニュートン液体」は、均一な剪断応力が粘性率と剪断速度との積である法則に一致する液体材料を含む。これらは、グリセリン若しくは水のような純粋な液体、又はソルビトール水溶液のような溶媒中の溶質溶液であってもよい。ニュートン液体の非ニュートン口腔用組成物粘度に対する寄与のレベルは、組み込まれるニュートン液体の濃度によって決まる。水は、通常は口腔用組成物に多量に存在し、25℃で約1mPa・sのニュートン粘度を有する。グリセリン及びソルビトール溶液のような保湿剤は、通常は水より顕著に大きいニュートン粘度を有する。結果として、保湿剤の全濃度、水と保湿剤の比、及び保湿剤の選択は、口腔用組成物の高剪断速度での粘度を決定するのに重要である。
【0091】
ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びこれらの混合物のような一般の保湿剤が使用できるが、使用される特定濃度及び比は、保湿剤の選択によって異なる。ソルビトールが使用されてもよいが、その比較的高いニュートン粘度により、口腔用組成物の高剪断速度粘度に大きく寄与するので、通常は組成物の45重量%を超える濃度では組み込むことができない。逆に言えば、プロピレングリコールは、ソルビトールより低いニュートン粘度を有するのでより高濃度で使用してもよく、故に口腔用組成物の高剪断速度粘度にそれ程寄与しない。グリセリンは、ソルビトールとポリエチレングリコールとの間の中間的なニュートン粘度を有する。
【0092】
エタノールも口腔用組成物に存在してもよい。これらの量は、0.5重量%〜5重量%、最適には1.5重量%〜3.5重量%の範囲であってもよい。エタノールは、有用な溶媒であることができ、香味の影響を向上させるのに役立つこともあるが、この後者の観点では普通は低濃度でのみ用いられる。プロピレングリコールのような非エタノール系溶媒も使用してもよい。また本明細書で有用なのは、低分子量のポリエチレングリコールである。
【0093】
(その他の成分)
本明細書の口腔用組成物は、通常は、研磨材、フッ化物イオン源、キレート剤、抗菌剤、増粘剤、シリコーンオイル及びその他の補助剤、例えば防腐剤及び着色剤のような種々の他の構成成分を含む。
【0094】
(研磨材)
本発明の口腔用組成物は、歯科用研磨材を含んでいてもよい。研磨材は、歯を磨き、及び/又は表面の付着物を除去するように作用する。本明細書での使用が考慮される研磨材料は、歯の象牙質を過度に研磨しない任意の材料であることができる。好適な研磨材としては、例えば、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、ピロリン酸カルシウム、β相ピロリン酸カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、無水リン酸カルシウム、不溶性のメタリン酸ナトリウムなどのような不溶性のリン酸塩研磨材が挙げられる。また好適なのは、チョーク型研磨材、例えば炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、キセロゲル、ヒドロゲル、エアロゲル及び沈殿物を含むシリカ、アルミナ及びそれらの水和物、例えばαアルミナ三水和物、アルミノケイ酸塩、例えば焼成ケイ酸アルミニウム及びケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びケイ酸ジルコニウム、例えば三ケイ酸マグネシウム及び熱硬化性重合樹脂、例えば尿素とホルムアルデヒドとの粒子状縮合生成物、ポリメチルメタクリレート、粉末化ポリエチレン、並びにUS−A−3,070,510(1962年12月25日)に開示されているようなその他のものである。研磨材の混合物を使用することもできる。砥粒研磨物質は、一般に約0.1〜30μm、好ましくは約1〜15μmの平均粒径を有する。
【0095】
本明細書に記載される口腔用組成物は、好ましくは約70〜約200、より好ましくは約70〜約140、最も好ましくは約80〜約125の放射性象牙質研磨(「RDA」)値を有する。RDA値は、ヘファーレン(Hefferren)著、ジャーナル・オブ・デンタル・リサーチ(Journal of Dental Research)、7月〜8月、1976年、563〜573頁に示された、また米国特許第4,340,583号、同第4,420,312号、及び同第4,421,527号(ウェイソン(Wason))に記載されている方法に従って測定される。
【0096】
非研磨材料、例えばポリホスフェートもRDAの値に寄与し得る。しかし、RDAの値を、このような材料の非存在下で研磨材について測定することができる。本発明の組成物において、5%充填で使用される場合、研磨材自体は、約70〜約140、より好ましくは約80〜約125のRDAを有するのが好ましい。5%充填での研磨材のRDAを、次の技術を適用することによって測定することができる。試験組成物は、50%のグリセリン、44%の水、5%の研磨材及び1%のキサンタンガムを含み、キサンタンガムをグリセリンに混合して、水を添加し、混合した後、研磨材を添加して混合することにより調製される。次いでこの試験組成物のRDAは、標準RDA方法を用いて測定されて、5%充填時の研磨材のRDAの測定値を得ることができる。
【0097】
本明細書の組成物の洗浄性能を評価する別の尺度は、堆積薄膜に対する効果を評価することである。本明細書に記載される口腔用組成物はまた、好ましくは少なくとも約70、好ましくは約70〜約140、より好ましくは約80〜約125の薄膜洗浄率(「PCR」)値を有する。PCR洗浄値は、「ガラス器内での歯磨剤を用いる染みの除去(In Vitro Removal of Stain With Dentifrice)」、G.K.ストッキィ(G.K.Stookey)、T.A.バークハード(T.A.Burkhard)及びB.R.シェメルホーン(B.R.Schemerhorn)、J.Dental Research、61、1236〜9、1982年に記載されているPCR試験方法によって測定される。
【0098】
種々の種類のシリカ歯科用研磨材は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に研磨することなく、極めて優れた歯の洗浄及び研磨性能を提供する。シリカ研磨材は、US−A−3,538,230(パダー(Pader)ら、1970年3月2日発行)、及びUS−A−3,862,307(ジギウリオ(DiGiulio)、1976年6月21日発行)に記載されているシリカキセロゲルのような沈殿シリカ又はシリカゲル、例えば「シロイド(Syloid)」の商品名でW.R.グレース・アンド・カンパニー、デイビソン・ケミカル・ディビジョン(W.R.Grace & Company,Davison Chemical Division)によって販売されるシリカキセロゲルがよい。好適な沈殿シリカには、ソルボシル(Sorbosil)AC43及びAC33の商品名でINEOSによって販売されるものが含まれる。好ましいのは、100gのシリカあたり30g〜100gの吸油性を有するシリカである。吸油性レベルの低いシリカは、ほとんど構造化しないので、より高度に構造化する、故に高い吸油性レベルを有するシリカと同程度に口腔用組成物の粘度を構築しないことを見出した。本明細書で使用するとき、吸油性は、25℃でシリカが吸収できる亜麻仁油の最大量を測定することによって測定される。
【0099】
好適な研磨材濃度は、約0%〜約20%、好ましくは10%未満、例えば1%〜10%である。3%〜5%の研磨材濃度が好ましい。高濃度の研磨材を含む口腔用組成物は、本発明に用いるのに好適なレオロジー的特性を有さないことを見出した。理論に束縛されるものではないが、より高濃度の研磨材を含む口腔用組成物は、一旦分配された後に安定性について良好な低剪断粘度を有するけれども、より高剪断速度下では良好なポンプ補充及び流出特性を与えるのに十分な減粘性を示さないと考えられている。
【0100】
(フッ化物イオン源)
虫歯予防のために、普通はフッ化物イオン源が口腔用組成物に存在する。フッ化物源には、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化スズ、モノフルオロリン酸スズ、及びモノフルオロリン酸ナトリウムが挙げられる。好ましいのはフッ化ナトリウムである。好適な濃度は、液体歯磨剤の重量で、利用可能なフッ化物イオンを25〜2500ppmを与える。
【0101】
(キレート剤)
別の好ましい任意薬剤は、抗歯石剤(anticalculus agent)としても価値のあるキレート剤である。好適なキレート剤としては、有機酸及びそれらの塩、例えば酒石酸及びその製薬上許容できる塩、クエン酸及びアルカリ金属クエン酸塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。キレート剤は、細菌の細胞壁に見出されるカルシウムを錯化し得る。キレート剤はまた、このバイオマスが損なわれないように保持するのを助けるカルシウムの架橋からカルシウムを取り除くことにより歯垢を崩壊させることができる。しかし、カルシウムに対する親和性が高すぎるキレート剤を使用することも可能である。これは、歯の脱塩化をもたらし、本発明の目的及び意図に反するものである。好ましいキレート剤は、カルシウム結合定数約101〜105を有し、歯垢及び歯石の形成の減少と共に改善された洗浄を提供する。本発明に用いるのに好適なキレート剤の量は、約0.1%〜約2.5%、好ましくは約0.5%〜約2.5%、より好ましくは約1.0%〜約2.5%である。酒石酸塩キレート剤は、単独で又は他の任意のキレート剤と組み合わせて用いることができる。
【0102】
本発明のキレート剤として用いるのに特に好適な別の群の薬剤は、抗歯石剤として有用な、水溶性ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、及びピロリン酸塩である。本発明の組成物に用いられるピロリン酸塩は、アルカリ金属ピロリン酸塩のいずれかであることができる。本発明の組成物中に有用なピロリン酸塩の有効量は、一般に少なくとも1.0%のピロリン酸塩イオン、好ましくは約1.5%〜約6%のこうしたイオンを提供するのに十分である。ピロリン酸塩はカーク・オスマー(Kirk-Othmer)、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第2版、第15巻、インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers)(1968年)に、より詳細に記載されている。
【0103】
好ましいのは、水溶性ポリリン酸塩、例えばトリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム及びヘキサメタリン酸ナトリウムである。この種類の他の長鎖抗歯石剤は、PCT国際公開特許WO98/22079に記載されている。また、水溶性ジホスホン酸塩も好ましい。好適な可溶性ジホスホン酸塩としては、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,−ジホスホネート(EHDP)及びアザ−シクロヘプタン−ジホスホネート(AHP)が挙げられる。トリポリリン酸塩及びジホスホン酸塩は、それらが、あまり水溶性でない化学染み除去剤と同程度の粘度を構築することなく、抗歯石活性及び染み除去活性の両方を提供し、水中での加水分解に関して安定であるので特に好ましい。低粘度を維持するという理由から本組成物に含まれることのできる制限された研磨材充填量により、可溶性ポリリン酸塩及びジホスホン酸塩は、脱染み活性物質として有益である。理論に束縛されるものではないが、これらの成分は、歯のエナメル質表面から染みの付いた薄膜を取り除くことによって染みを除くと考えられている。水溶性ポリリン酸塩及びジホスホン酸塩の好適な濃度は、口腔用組成物の約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約5重量%、より好ましくは約1.5重量%〜約3重量%である。本明細書に用いるのにより好ましいのは、トリポリリン酸のアルカリ金属塩である。
【0104】
本発明で使用するのに好適なキレート剤のさらに別の可能性のある群は、陰イオン性高分子ポリカルボキシレートである。こうした材料は当該技術分野において周知であり、その遊離酸又は部分的に若しくは好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属塩(例えばカリウム、好ましくはナトリウム)若しくはアンモニウム塩の形態で使用される。追加の高分子ポリカルボキシレートは、US−A−4,138,477(ガファル(Gaffar))、及びUS−A−4,183,914号(ガファル(Gaffar)ら)に開示されており、無水マレイン酸とスチレン、イソブチレン又はエチルビニルエーテルとのコポリマー、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸及びポリマレイン酸、及びユニロイヤル(Uniroyal)ND−2として入手可能な、MWが1,000ほどに低いスルホアクリルオリゴマーが挙げられる。
【0105】
(抗菌剤)
抗菌剤も本発明の組成物に含まれるのに有用である。種々広範な抗菌剤が使用でき、それらにはスズ塩、例えばピロリン酸スズ及びグルコン酸スズ;亜鉛塩、例えば乳酸亜鉛及びクエン酸亜鉛;銅塩、例えばビスグリシン銅(copper bisglycinate);四級アンモニウム塩、例えば塩化セチルピリジニウム及び塩化テトラデシルエチルピリジニウム;ビス−ビグアニド塩;並びに非イオン性抗菌剤、例えばトリクロサンが含まれる。特定の香味油、例えばチモールも抗菌活性を有する場合がある。このような薬剤は、米国特許第2,946,725号(ノリス(Norris)ら、1960年6月26日)、及び米国特許第4,051,234号(ジエスク(Gieske)ら、1977年9月27日)に開示されている。PCT国際公開特許WO99/43290に記載されている亜塩素酸ナトリウムも有用である。
【0106】
存在する場合、抗菌剤は、通常は約0.01%〜約10%の濃度で含まれる。スズ及び陽イオン性抗菌剤の濃度は、染み付き問題を回避するために5%未満、好ましくは1%未満に維持されるのが好ましい。
好ましい抗菌剤は、米国特許第5,037,637号に記載されているもののような、非陽イオン性抗菌剤である。特に好ましい抗菌剤は、2’,4,4’−トリクロロ−2−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル(トリクロサン)である。
【0107】
(シリコーンオイル)
シリコーンオイルは、本組成物中の任意成分である。シリコーンオイルは、PCT国際公開特許WO96/19191に開示されているように、歯垢バリアとして有用である。好適な種類のシリコーンオイルとしては、ジメチコン、ジメチコノール、ジメチコンコポリオール及びアミノアルキルシリコーンが挙げられるが、これらに限定されず、好ましいシリコーンオイルは、ジメチコンコポリオール及びアミノアルキルシリコーンから、より好ましくはジメチコンコポリオールから選択される。シリコーンオイルは、一般に約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約3重量%の濃度で存在する。
【0108】
(他の補助剤)
甘味剤、例えばサッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、アセスルファムK、アスパルテーム、スクロースなどは、約0.1重量%〜5重量%の濃度で含まれてもよい。香味料、防腐剤、不透明化剤、及び着色剤を含む他の補助剤も組み込まれてもよい。代表的な着色剤は、D&C黄色10号、FD&C青色1号、FD&C赤色40号、D&C赤色33号及びこれらの組み合わせである。着色剤の濃度は、0.0001〜0.1%の範囲であってもよい。
【実施例】
【0109】
以下の実施例によって、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0110】
【表5】

1ラポナイトD
2ブラノース(Blanose)7M8SF
【0111】
上記実施例の口腔用組成物は、ヒートシールされたアルミニウムプラスチック積層体から製造された真空排気された圧縮性袋に包装された。袋は、スナップ−ロックコネクタを介して0.3mLのダイアフラムチャンバー容積を有するダイアフラムポンプの入口ノズルに取り付けられた。ポンプの出口ノズルは、円形断面の内部断面積が3.14mm2、長さが120mmのシリコーン管に連結された。ポンプから遠位のシリコーン管の末端部は、ブラシアプリケータのヘッドにてシリコーンスリット逆止め弁で止められた。全体の袋/ポンプ/管組立体は、ユーザーの手によって快適に握られるサイズの電動歯ブラシのハウジング内に収容され、ダイアフラムポンプのドームが、組成物をポンプ輸送するためにハウジングの外側から手動で押し下げられるようになっていた。ポンプドームが手動で押し下げられたとき、上記実施例の口腔用組成物は、ユーザーによって過剰の適用力を必要とすることなく、およそ0.3mL/sの流速で分配された。一旦分配されたら、口腔用組成物は、1s-1での許容可能な粘度に素早く到達した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔を処理するための口腔用組成物の使用であって、この使用が、ユーザーの手に快適に握られ得る一体型ハウジングを含むハンドヘルド型歯ブラシの貯蔵器から、内部断面積A及び長さyの管を介して前記歯ブラシの出口に前記口腔用組成物をポンプ輸送することを含み、前記ハウジングが前記貯蔵器を収容し、ここでAは0.0025mm2〜25mm2であり、yは10mm〜300mmであり、前記組成物が、剪断速度
【数1】

でη(Pa・s単位)以下の粘度を有することを特徴とし、ここでη及び
【数2】

が次の式によって定義され:
【数3】

且つ前記組成物がさらに、剪断速度1s-1で少なくとも10Pa・sの粘度を有する、前記使用。
【請求項2】
前記歯ブラシが電動歯ブラシである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記口腔用組成物が、容積式ポンプによってポンプ輸送される、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記管の長さと内部断面積との比が、少なくとも1:1mm-1である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
【数4】

である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記容積式ポンプがダイアフラムポンプを含む、請求項3に記載の使用。
【請求項7】
【数5】

である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記口腔用組成物が、少なくとも0.2mL/sの流速で容積式ポンプに供給されることをさらに特徴とし、ここで前記ポンプの回復力が100N未満である、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
請求項1に記載の使用のための口腔用組成物であって、前記口腔用組成物が:
a)ヘクトライト及び誘導体、水酸化ケイ素、三級及び四級ケイ酸マグネシウム誘導体、ベントナイトキサンタンガム、カラギーナン及び誘導体、ジェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクレロチウムガム及び誘導体、プルラン、ラムサンガム(rhamsan gum)、ウェランガム、コンニャク、カードラン、カルボマー、アルギン、アルギン酸、アルギネート及び誘導体、ヒドロキシエチルセルロース及び誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース及び誘導体、デンプンホスフェート誘導体、グアーガム及び誘導体、デンプン及び誘導体、無水マレイン酸とアルケンとのコポリマー及び誘導体、セルロースガム及び誘導体、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、ポロキサマー及び誘導体、ポリアクリレート及び誘導体、メチルセルロース及び誘導体、エチルセルロース及び誘導体、アガー及び誘導体、アラビアゴム及び誘導体、ペクチン及び誘導体、キトサン及び誘導体、樹脂ポリエチレングリコール、例えばPEG−XM(ここで、Xは1以上である)、カラヤゴム、イナゴマメガム、納豆ゴム、ビニルピロリドンとアルケンとのコポリマー、トラガカントゴム、ポリアクリルアミド、キチン誘導体、ゼラチン、βグルカン、デキストリン、デキストラン、シクロデキストリン、メタクリレート、微結晶セルロース、ポリクアテルニウム、ファセラレンガム(furcellaren gum)、ガッチガム(ghatti gum)、オオバコガム、マルメロガム、タマリンドガム、カラマツガム、タラガム(tara gum)、並びにこれらの混合物から選択される、0.5%を超えて4%までの増粘化成分と;
b)20%未満の不溶性固体と;
c)20%〜70%の全体の水と;
d)ポリオール及びポリエチレングリコールから選択される、20%を超える保湿剤と
を含み、前記組成物が、剪断速度20s-1で0.001Pa・s〜780Pa・s未満、及び剪断速度1s-1で少なくとも10Pa・sの粘度を有する、前記口腔用組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の口腔用組成物であって:
a)キサンタンガム、カラギーナン及び誘導体、ジェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクレロチウムガム及び誘導体、プルラン、ラムサンガム(rhamsan gum)、ウェランガム、コンニャク、カードラン、カルボマー、アルギン、アルギン酸、アルギネート及び誘導体、ヒドロキシエチルセルロース及び誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース及び誘導体、デンプンホスフェート誘導体、グアーガム及び誘導体、デンプン及び誘導体、無水マレイン酸とアルケンとのコポリマー及び誘導体、セルロースガム及び誘導体、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、ポロキサマー及び誘導体、ヘクトライト及び誘導体、水酸化ケイ素、並びにこれらの混合物から選択される、0.5%を超えて4%までの増粘化成分と;
b)10%未満の不溶性固体と;
c)ポリオール及びポリエチレングリコールから選択される、30%〜60%の保湿剤と;
d)全体の30%〜60%の水と
を含む、前記口腔用組成物。
【請求項11】
キサンタンガム、カラギーナン及び誘導体、ジェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクレロチウムガム及び誘導体、プルラン、ラムサンガム(rhamsan gum)、ウェランガム、コンニャク、カードラン、ヘクトライト及び誘導体、水酸化ケイ素、並びにこれらの混合物から選択される、0.5%を超えて2%までの増粘化成分を含む、請求項10に記載の口腔用組成物。
【請求項12】
トリポリリン酸及びジホスホン酸のアルカリ金属塩、好ましくはトリポリリン酸のアルカリ金属塩から成る群から選択される、0.1%〜10%の抗歯石剤を含む、請求項10に記載の口腔用組成物。
【請求項13】
前記口腔用組成物が、水に16.67%のスラリーとして希釈される場合に、剪断速度1s-1で0.1Pa・sを超える、好ましくは0.2Pa・sを超える、より好ましくは0.3Pa・sを超える粘度を有することをさらに特徴とする、請求項10に記載の口腔用組成物。
【請求項14】
a)1%〜10%の研磨材と;
b)20%〜70%の全体の水と;
c)ポリオール及びポリエチレングリコールから選択される、少なくとも10%の保湿剤と;を含む、口腔用組成物であって、
前記組成物が、70〜200のRDAを有し、剪断速度1s-1で少なくとも10Pa・sの粘度を有する、前記口腔用組成物。
【請求項15】
1%〜10%の水溶性のポリリン酸塩又はジホスホン酸塩を含む、請求項16に記載の口腔用組成物。
【請求項16】
口腔処理システムに使用するための貯蔵器であって、この貯蔵器が:
a)請求項9〜15のいずれか1項に記載の口腔用組成物と;
b)前記貯蔵器を口腔用処理システムに連結する手段と
を含む、前記貯蔵器。

【公表番号】特表2006−501044(P2006−501044A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501069(P2005−501069)
【出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/030815
【国際公開番号】WO2004/032674
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】