説明

古紙パルプ含有量の検出方法、検出装置、及び画像形成装置。

【課題】本発明は、近赤外スペクトルの主成分分析時に、本発明における第1の波数帯域を除外せずに主成分分析を行う場合に比べて、検出対象の記録媒体における古紙パルプ含有量を精度よく検出する、古紙パルプ含有量の検出方法を提供する。
【解決手段】回帰線作成処理実行部12Aと、古紙パルプ含有量検出部12Bと、を備え、主成分分析時に、回帰線作成用に用いる古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体の近赤外スペクトルの主成分分析時、及び古紙パルプ含有量を検出する対象の記録媒体の近赤外スペクトルの主成分分析時に、酸素原子と水素原子との伸縮振動による吸収に対応する第1の波数帯域以外の波数帯域について主成分分析を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙パルプ含有量の検出方法、検出装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紙質識別方法として、波長800nmから2200nmまでの2種類の光を用いて側光し、該測光値の吸光度差を用いて紙葉類の紙質を識別する方法が提案されている。
また、特許文献2には、1300〜1500nmの波長範囲でフーリエ変換型近赤外分析装置により近赤外吸収スペクトルを測定し、測定した近赤外吸収スペクトルについて、吸光度変換処理、一次微分処理、二次微分処理、及び標準化の処理のうち、1または2以上を組み合わせて処理を行うことで、用紙のてん料及び含有量の少なくとも一方の含有量判別データを求め、含有量判別データと、予め定められた含有量基準データと、を照合し、偽造防止を必要とする用紙の真偽判別を行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−245511
【特許文献2】特開2005−275603
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、近赤外スペクトルの主成分分析時に、本発明における第1の波数帯域を除外せずに主成分分析を行う場合に比べて、検出対象の記録媒体における古紙パルプ含有量を精度よく検出する、古紙パルプ含有量の検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、
古紙パルプ含有量の異なる複数種類の第1の記録媒体の近赤外スペクトルと、該複数種類の第1の記録媒体の各々の古紙パルプ含有量を示す含有量データと、を取得する第1の取得ステップと、
前記第1の取得ステップにより取得した、前記複数種類の第1の記録媒体の各々の近赤外スペクトルにおける、酸素原子と水素原子との伸縮振動による吸収に対応する第1の波数帯域以外の波数帯域について、主成分分析を行い主成分分析モデルを作成する第1の主成分分析ステップと、
前記複数種類の第1の記録媒体の各々について、前記第1の主成分分析ステップによって得られた複数の主成分のうちの第1主成分に対する主成分得点を演算する第1の演算ステップと、
前記第1の演算ステップによって演算された前記複数種類の第1の記録媒体の各々の主成分得点と、前記第1の取得ステップにより取得した該複数種類の第1の記録媒体の各々の前記含有量データと、の相関に基づいて回帰分析を行い、回帰式を算出する回帰式算出ステップと、
古紙パルプ含有量の検出対象である第2の記録媒体の近赤外スペクトルを取得する第2の取得ステップと、
前記第2の取得ステップにより取得した、前記第2の記録媒体の近赤外スペクトルについて、前記第1の取得ステップにより取得した前記複数種類の第1の記録媒体の各々の近赤外スペクトルと比較し、前記第1の主成分分析ステップで作成した主成分分析モデルに基づいて、複数の主成分のうちの第1主成分に対する主成分得点を演算する第2の演算ステップと、
前記回帰式算出ステップによって算出された回帰式を用いて、前記第2の演算ステップによって得られた主成分得点に対応する古紙パルプ含有量を導出することによって、前記第2の記録媒体の古紙パルプ含有量を検出する検出ステップと、
を含む古紙パルプ含有量の検出方法である。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記第1の波数帯域が、4500cm−1以上4600cm−1以下の波数帯域、及び7020cm−1以上7280cm−1以下の波数帯域である請求項1に記載の古紙パルプ含有量の検出方法である。
請求項3に係る発明は、前記第1の波数帯域が、4190cm−1以上4270cm−1以下の波数帯域、4500cm−1以上4670cm−1以下の波数帯域、4900cm−1以上5360cm−1以下の波数帯域、7000cm−1以上7300cm−1以下の波数帯域である請求項1または請求項2に記載の古紙パルプ含有量の検出方法である。
【0007】
請求項4に係る発明は、
古紙パルプ含有量の異なる複数種類の第1の記録媒体の近赤外スペクトルと、該複数種類の第1の記録媒体の各々の古紙パルプ含有量を示す含有量データと、を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得した、前記複数種類の第1の記録媒体の各々の近赤外スペクトルにおける、酸素原子と水素原子との伸縮振動による吸収に対応する第1の波数帯域以外の波数帯域について、主成分分析を行い主成分分析モデルを作成する第1の主成分分析手段と、
前記複数種類の第1の記録媒体の各々について、前記第1の主成分分析手段によって得られた複数の主成分のうちの第1主成分に対する主成分得点を演算する第1の演算手段と、
前記第1の演算手段によって演算された前記複数種類の第1の記録媒体の各々の主成分得点と、前記第1の取得手段により取得した該複数種類の第1の記録媒体の各々の前記含有量データと、の相関に基づいて回帰分析を行い、回帰式を算出する回帰式算出手段と、
古紙パルプ含有量の検出対象である第2の記録媒体の近赤外スペクトルを取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得した、前記第2の記録媒体の近赤外スペクトルについて、前記第1の取得ステップにより取得した前記複数種類の第1の記録媒体の各々の近赤外スペクトルと比較し、前記第1の主成分分析手段で作成した主成分分析モデルに基づいて、複数の主成分のうちの第1主成分に対する主成分得点を演算する第2の演算手段と、
前記回帰式算出手段によって算出された回帰式を用いて、前記第2の演算手段によって得られた主成分得点に対応する古紙パルプ含有量を導出することによって、前記第2の記録媒体の古紙パルプ含有量を検出する検出手段と、
を備えた検出装置である。
【0008】
請求項5に係る発明は、前記第1の波数帯域が、4500cm−1以上4600cm−1以下の波数帯域、及び7020cm−1以上7280cm−1以下の波数帯域である請求項4に記載の検出装置である。
請求項6に係る発明は、前記第1の波数帯域が、4190cm−1以上4270cm−1以下の波数帯域、4500cm−1以上4670cm−1以下の波数帯域、4900cm−1以上5360cm−1以下の波数帯域、7000cm−1以上7300cm−1以下の波数帯域である請求項4または請求項5に記載の検出装置である。
【0009】
請求項7に係る発明は、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の検出装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、近赤外スペクトルの主成分分析時に、本発明における第1の波数帯域を除外せずに主成分分析を行う場合に比べて、検出対象の記録媒体における古紙パルプ含有量を精度よく検出する、古紙パルプ含有量の検出方法が提供される。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、主成分分析時に除外する波数帯域として、本発明における波数帯域を用いない場合に比べて、更に精度良く、高速且つ簡易的に記録媒体の古紙パルプ含有量が検出される。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、主成分分析時に除外する波数帯域として本発明における波数帯域を用いない場合に比べて、更に精度良く、高速且つ簡易的に記録媒体の古紙パルプ含有量が検出される。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、近赤外スペクトルの主成分分析時に、本発明における第1の波数帯域を除外せずに主成分分析を行う場合に比べて、検出対象の記録媒体における古紙パルプ含有量が精度よく検出される。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、主成分分析時に除外する波数帯域として、本発明における波数帯域を用いない場合に比べて、更に精度良く、高速且つ簡易的に記録媒体の古紙パルプ含有量が検出される。
【0015】
請求項6に係る発明によれば、主成分分析時に除外する波数帯域として本発明における波数帯域を用いない場合に比べて、更に精度良く、高速且つ簡易的に記録媒体の古紙パルプ含有量が検出される。
【0016】
請求項7に係る発明によれば、本発明における検出装置を備えない場合に比べて、画像記録対象の記録媒体の古紙パルプ含有量に応じた画像記録処理が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る検出装置を示す機能ブロック図である。
【図2】(A)、(B)近赤外スペクトルを測定する装置の一例を示す模式図である。
【図3】回帰線作成に用いられる、古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体の近赤外スペクトルの一例を示す線図である。
【図4】(A)、(B)、(C)図3に示す近赤外スペクトルに前処理を行った後のスペクトルの一例を示す線図である。
【図5】古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体毎の、第1主成分得点、第2主成分得点の分布状況を示すグラフである。
【図6】回帰線作成処理実行部による処理によって得られた回帰線の一例を示す線図である。
【図7】回帰線を用いて、検出対象の記録媒体の古紙パルプ含有量を、回帰式によって示される回帰線を用いて求めた一例を示す線図である。
【図8】本実施の形態にかかる検出装置における古紙パルプ含有量導出ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図9】本実施の形態の画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図10】本実施の形態の画像形成装置で実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る検出装置10は、記録媒体に近赤外領域(波数帯域 4000cm−1以上12500cm−1以下)の光を照射することで該記録媒体の近赤外スペクトルを測定する測定装置38(詳細後述)と、古紙パルプ含有量を示す情報や各種情報を入力するための入力装置36、測定装置38から入力された近赤外スペクトルを示す情報や入力装置36から入力された古紙パルプ含有量を示す情報等に基づいて、検出対象の記録媒体の古紙パルプ含有量を導出する古紙パルプ含有量導出ルーチンを実現するための導出プログラムを格納したコンピュータ12と、コンピュータ12での処理結果を出力する出力部34と、を備えている。
【0020】
測定装置38は、記録媒体に近赤外領域の光を照射することで、記録媒体の近赤外スペクトルを測定する近赤外分光法を用いた装置である。なお、近赤外分光法では、禁制遷移を観測するため、吸光度は一般に小さい。すなわち、近赤外光は、赤外光や紫外光及び可視光に比べて測定対象の試料(本実施の形態では記録媒体)への透過あるいは内部への浸透が生じやすいことから、非破壊で測定対象の記録媒体の内部の材質や状態が識別される。
【0021】
この測定装置38としては、近赤外スペクトルを測定する公知の装置を用いればよく、分散型近赤外分光光度計や光学フィルターを使用した近赤外分光光度計を用いてもよいし、フーリエ変換型近赤外分光光度計を用いてもよい。
例えば、測定装置38として、フーリエ変換型近赤外分光光度計を用いる場合には、図2(A)に示す測定装置38Aのように、光源39A、干渉計39B、検出器39C、増幅器(図示省略)、信号処理部39D等を含んだ構成が挙げられる。
光源39Aとしては、近赤外領域の波数帯域の光(4000cm−1以上12500cm−1以下)を照射する光源が用いられる。具体的には、光源39Aとしては、ハロゲンランプ、タングステンランプ、キセノンランプ、発光ダイオード、レーザー等が挙げられる。干渉計39Bには、マイケルソン干渉計、トランセプト干渉計、及び偏光干渉計などが挙げられる。検出器39Cはとしては、半導体検出器(シリコン、硫化鉛、インジウム・ガリウム・ヒ素、インジウム・アンチモン等)のほか、光電子増倍管も用いられる。信号処理部39Dでは、検出器39Cで検出され図示を省略する増幅器で増幅された干渉波形を、フーリエ変換により近赤外スペクトルへ読み替える。そして、得られた近赤外スペクトルを示す情報は、コンピュータ12へ出力される。
【0022】
なお、測定装置38において、検出器39Cの設置される位置は、記録媒体への測定光を妨げる位置以外であれば、どのような位置であってもよい。このため、測定装置38としては、図2(A)に示す測定装置38Aのように、測定対象の記録媒体11を透過した測定光Aを検出器39Cで検出する方法(所謂、透過法)を用いた装置であってもよいし、図2(B)に示す測定装置38Bのように、測定対象の記録媒体内部から反射した測定光Aを検出器39Cで検出する方法(所謂、拡散反射法ないしはインタラクタンス法)を用いた装置であってもよいし、これらを組み合わせた方法(透過反射法)を用いた装置であってもよい。
【0023】
なお、本実施の形態の検出装置10で古紙パルプ含有量の検出対象、及び後述する回帰式作成のために用いる記録媒体としては、非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、特殊紙などの印刷用紙、コピー(PPC)用紙、フォーム用紙などの情報用紙、インクジェットカラープリンター用塗工紙、OCR用紙、感熱紙などが挙げられる。
【0024】
また、これらの記録媒体に含まれるバージンパルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹晒亜硫酸パルプ(LBSP)、針葉樹晒亜硫酸パルプ(LUSP)、広葉樹未晒亜硫酸パルプ(LUSP)、針葉樹未晒亜硫酸パルプ(NUSP)、ソーダパルプ等の木材及びその他の繊維原料を化学的に処理して作成されたパルプ等が挙げられる。
【0025】
また、これらの記録媒体に含まれる、古紙パルプとしては、製本、印刷工場、裁断所等において発生する裁落、損紙、幅落とした古紙である上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙を解離した古紙パルプと、上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙、更紙等に、平版、凸版、凸版印刷等や、電子写真方式、感熱方式、熱転写方式、感圧記録方式、インクジェット記録方式、カーボン紙などにより印字された古紙、及び水性、油性インクや、鉛筆等で筆記した古紙を解離後脱離したパルプ等が挙げられる。
【0026】
なお、近赤外光は、記録媒体を透過しやすいため、近赤外スペクトルの測定時には、これらの記録媒体を重ね合わせた状態で測定した方が、記録媒体の内部の情報を多く得られるためより好ましい。ただし、記録媒体の坪量により透過のし易さは異なってくるため、坪量の大きな記録媒体では重ね合わせは少なくてもよく、記録媒体に応じて適宜選択すればよい。
【0027】
出力部34としては、コンピュータ12において導出された結果を出力する装置であればよく、公知の表示装置や、印刷装置や、外部記憶装置や、コンピュータ等の外部装置が挙げられる。また、入力装置36としては、各種情報を入力するときに操作者によって操作される装置であればよく、例えば、キーボードやタッチパネル等が挙げられるがこれらに限られない。
【0028】
コンピュータ12は、CPU(中央処理装置)、後述する古紙パルプ含有量導出ルーチンを実現するための導出プログラムを記憶したROM(リードオンリーメモリー)、データ等を記憶するRAM(ランダムアクセスメモリ)、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。このコンピュータ12をハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、図1に示すように、コンピュータ12は、後述する回帰式を算出する回帰線作成処理実行部12Aと、検出対象の記録媒体の古紙パルプ含有量を検出する古紙パルプ含有量検出部12Bと、を含んで構成されている。
【0029】
回帰線作成処理実行部12Aは、古紙パルプ含有量取得部14、近赤外スペクトル取得部16A、前処理部18A、前処理結果記憶部20A、主成分分析部24、主成分得点演算部26A、回帰式算出部28A、及び回帰式記憶部32Aを含んで構成されている。
【0030】
まず、回帰線作成処理実行部12Aによって処理が行われるに先立ち、本実施の形態の検出装置10では、回帰式作成用に、互いに古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体(本発明の検出方法の第1の記録媒体に相当する)が用意される。なお、これらの、回帰線作成処理時に用意される記録媒体における古紙パルプ含有量は、予め既知であるとする。なお、本実施の形態において、「古紙パルプ含有量」とは、記録媒体中のパルプ100質量%に含まれる古紙パルプの含有量(質量%)を示している。
【0031】
なお、この回帰式作成用に用いられる、古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体の数(種類数)としては、2種類以上であればよいが、より精度の高い回帰線作成の観点から、3種類以上が好ましく、4種類以上が更に好ましく、種類数が多くなるほど好ましい。
また、この回帰式作成用に用いられる、古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体としては、記録媒体における古紙パルプ含有量が0質量%である記録媒体と、該含有量が100質量%である記録媒体を少なくとも含むことが好ましい。回帰式作成用に用いられる古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体として、記録媒体における古紙パルプ含有量が0質量%である記録媒体と、記録媒体における古紙パルプ含有量が100質量%である記録媒体と、を少なくとも用いると、古紙パルプに由来するスペクトルの違いが顕著になり、また主成分分析モデルの適用範囲も、記録媒体における古紙パルプ含有量が0質量%から100質量%の間の全領域に適用されることとなる。このため、古紙パルプ含有量を求めるための後述する回帰式として、より精度の高い(古紙パルプ含有量の検出精度の高い)回帰式が得られると考えられる。
【0032】
近赤外スペクトル取得部16Aは、上記、回帰式作成用に用意された古紙パルプ含有量が既知である複数種類の記録媒体について、測定装置38から入力された近赤外スペクトルの測定結果を取得して前処理部18Aへ出力する。近赤外スペクトル取得部16Aから近赤外スペクトルを受け付けた前処理部18Aでは、受け付けた近赤外スペクトルについて、前処理を行う。
【0033】
この前処理とは、近赤外スペクトルの特徴の強調を行ったり、スペクトルの複雑さや吸収バンドの重なりの影響等を減ずるために行われる処理であって、スペクトルの一次微分処理、二次微分処理、正規化などの数学的前処理を示している。なお、この前処理としては、多重散乱補正(MSC)や、標準正規変量(SNV)変換を更に組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態では、前処理部18Aにおける前処理としては、得られた近赤外スペクトルについて、対数スペクトルの演算処理、一次微分処理、標準正規変量処理(SNV:Standard Normal Variate)を順に施すことで、前処理を行う。この順でこれらの前処理を行うと、上記順序で前処理を実施しない場合に比べて散乱の影響を抑制することができ、固体のばらつきが少なくなるという効果が得られると考えられる。
【0034】
なお、上記対数スペクトルの演算処理では、近赤外スペクトルRについて、log(1/R)を求めてもよいし、logRをもとめてもよい。このような対数スペクトルの演算処理では、スペクトルにおける大きな数値に対する小さな数値の強調が行われる。また、上記一次微分処理では、波長に依存しない縦軸方向への平行移動効果が除外され、且つ重なり合ったピークの分離が行われる。また、上記SNV処理では、近赤外線スペクトルの固体によるばらつきが補正される。
【0035】
前処理部18Aにおいて、上述の前処理が行われることによって、例えば、下記スペクトルが得られる。
例えば、図3に示すように、近赤外スペクトル取得部16Aから、古紙パルプ含有量が0質量%の記録媒体の近赤外スペクトル50Aと、古紙パルプ含有量50質量%の記録媒体の近赤外スペクトル50Bと、古紙パルプ含有量100質量%の記録媒体の近赤外スペクトル50Cと、の各々が得られたとする。
そして、これらの近赤外スペクトル(50A、50B、50C)の各々について、前処理部18Aによって上記前処理として、対数スペクトルの演算処理(log(1/R)(R:近赤外スペクトル))、一次微分処理、及び標準正規変量処理(SNV)がこの順に行われることによって、図4(A)、図4(B)、図4(C)に示す近赤外スペクトル(51A、51B、及び51C)が得られる。
【0036】
前処理結果記憶部20Aでは、前処理部18Aで前処理された近赤外スペクトルを、入力装置36によって入力され古紙パルプ含有量取得部14で取得された、記録媒体の古紙パルプ含有量を示す情報に対応づけて記憶する。なお、この古紙パルプ含有量を示す情報は、回帰式作成時において測定装置38によって近赤外スペクトルを読取るときに、ユーザによる入力操作等によって入力装置36で入力され、古紙パルプ含有量取得部14で取得されたものである。このため、前処理結果記憶部20Aには、測定装置38で近赤外スペクトルを測定した記録媒体の古紙パルプ含有量を示す情報に、該記録媒体の前処理された近赤外スペクトルが対応づけて記憶される。
【0037】
そして、回帰式作成用に用意された、古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体について上記と同様の処理が行われて、前処理結果記憶部20Aに、回帰式作成用に用意された該複数種類の記録媒体についての、古紙パルプ含有量を示す情報及び近赤外スペクトルが記憶されると、主成分分析部24において、主成分分析が行われる。
【0038】
主成分分析部24では、前処理結果記憶部20Aに記憶された、古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体の近赤外スペクトルにおける、除外波数帯域以外の近赤外線の波数帯域について、主成分分析を行ない、主成分分析モデルを作成する。この主成分分析モデルとは、近赤外スペクトルから、後述する複数の主成分の各々の主成分得点を導きだすための数式である。上記除外波数帯域を示す情報は、主成分分析部24に設けられた記憶部25に予め記憶されている。なお、この除外波数帯域とは、本発明の古紙パルプ含有量の検出方法における、第1の波数帯域に相当する。
【0039】
この除外波数帯域とは、本実施の形態の検出装置10において、近赤外スペクトルの主成分分析を行うときに、主成分分析の対象から除外する波数帯域であって、該近赤外領域における、酸素原子と水素原子との伸縮振動(水酸基におけるO−Hの伸縮振動)に起因する吸収ピークの現れる領域に対応する波数帯域である。この除外波数帯域としては、特に、記録媒体に含まれる、てん料や、内添薬品等における、水素結合したOH基のO−Hの伸縮運動に起因する鋭い吸収ピークのあらわれる波数帯域が挙げられ、具体的には、4500cm−1以上4600cm−1以下の波数帯域及び7020cm−1以上7280cm−1以下の波数帯域であることが好ましい。
【0040】
主成分分析部24において、上記古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体の近赤外スペクトルについて、近赤外波数帯域(4000cm−1以上12500cm−1以下)における、上記除外波数帯域(4500cm−1以上4600cm−1以下の波数帯域及び7020cm−1以上7280cm−1以下の波数帯域)以外の波数帯域の主成分分析を行うことによって、記録媒体に含まれるてん料や内転薬品などの主成分分析時の演算への影響が除外される。
【0041】
なお、上記除外波数帯域としては、4190cm−1以上4270cm−1以下の波数帯域、4500cm−1以上4670cm−1以下の波数帯域、4900cm−1以上5360cm−1以下の波数帯域、及び7000cm−1以上7300cm−1以下の波数帯域であることが更に好ましい。これらの除外波数帯域は、水素結合したOH基のO−Hの伸縮運動に起因する鋭い吸収ピークの現われる波数帯域に加えて、環境湿度や紙水分の影響によって現われるO−Hの伸縮運動に起因する吸収ピークの現われる波数帯域及び、該O−Hの伸縮運動に起因する吸収ピークの現われる波数帯域に重なる他の振動に由来する幅広い吸収ピークの影響が除外されることから、より好ましい。
【0042】
また、さらに、上記除外波数帯域としては、上記に挙げた波数帯域に加えて、10000cm−1以上12500cm−1以下の波数帯域を除外波数帯域に加えることが更に好ましい。この10000cm−1以上12500cm−1以下の波数帯域の吸収ピークには、ノイズが含まれることが多いことから、主成分分析時には除外することが好ましい。
【0043】
なお、主成分分析時に、上述のような除外波数帯域を設けることで、主成分分析を行う近赤外スペクトルの持つ情報量が少なくなるが、上述のように、本実施の形態の検出装置10においては、主成分分析時には記録媒体の近赤外スペクトルにおける除外波数帯域以外の近赤外線の波数帯域について主成分分析を行なうことで、結果的に、より精度の良い回帰式(回帰線、詳細後述)が作成され、より精度良く記録媒体の古紙パルプ含有量が検出される。
【0044】
ここで、主成分分析とは、多変量データを統合して新たな総合指標を作り出すための手法であり、多くの変数に重み(ウェイト)をつけて少数の合成変数を作る手法である。また、重みの計算では、固有値展開を利用し、合成変数ができるだけ多く元の変数の情報量を含むようにする。
【0045】
次に、本実施の形態における、古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体の近赤外スペクトルにおける、除外波数帯域以外の近赤外線の波数帯域について、主成分分析を行なう方法について、具体的に説明する。
【0046】
まず、上記処理によって取得され前処理された、古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体の近赤外スペクトルにおける、上記除外波長帯域以外の波数帯域のスペクトルの各々をサンプリングデータとして、相関行列(例えば、M×NもしくはM×Mの相関行列(M≧N))を計算し、相関行列を固有値展開して、固有値と固有ベクトルとを算出する。そして、固有値が大きい順に固有ベクトルを並べて、大きい固有値に対応する固有ベクトルから順に、第1主成分、第2主成分・・・、第N主成分とする。
ここで、各サンプリングデータは、古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体の近赤外スペクトル(但し、上記除外波数帯域を除いたスペクトル)であるので、古紙パルプ含有量の違いが、サンプリングデータの変化に最も大きく影響する要因であり、第1主成分が、記録媒体に含まれる古紙パルプ含有量に依存する成分となる。
【0047】
そこで、主成分得点演算部26Aでは、上記主成分分析部24において主成分分析された、古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体の近赤外スペクトルの上記除外波数帯域以外のスペクトルの各々の主成分分析結果のうちの、第1主成分の主成分得点を演算する。
このため、主成分得点演算部26Aでは、回帰式作成用に用意された古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体についての、上記第1主成分の主成分得点が演算される。
【0048】
この主成分得点の演算は、上記主成分分析部24における主成分分析において求められた、第1主成分に対応する軸(ベクトル)へ射影を行った得点を読取ることによって得られる。
【0049】
例えば、近赤外スペクトル取得部16Aから、古紙パルプ含有量0質量%の記録媒体の近赤外スペクトル50Aと、古紙パルプ含有量50質量%の記録媒体の近赤外スペクトル50Bと、古紙パルプ含有量100質量%記録媒体の近赤外スペクトル50Cと、の各々として、図3に示す近赤外スペクトル(50A、50B、50C)を取得したとする。そして、これらについて前処理部18Aによって前処理がなされた後に、主成分分析部24で主成分分析が行われ、主成分得点演算部26Aにおいて主成分得点が演算された場合の、主成分得点の演算結果の一例を図5に示した。
図5では、X軸が第1主成分得点を表し、Y軸が第2主成分得点を表している。そして、図5中、古紙パルプ含有量0質量%の記録媒体の第1主成分得点及び第2主成分得点の分布状況をプロット52CAで示し、古紙パルプ含有量50質量%の記録媒体の第1主成分得点及び第2主成分得点の分布状況をプロット52Bで示し、古紙パルプ含有量100質量%の記録媒体の第1主成分得点及び第2主成分得点の分布状況をプロット52Cで示した。
【0050】
回帰式算出部28Aでは、上記主成分得点演算部26Aにおいて演算された主成分得点と、該主成分得点に対応する記録媒体の古紙パルプ含有量と、の相関に基づいて回帰分析を行い、回帰式を算出する。
この回帰式は、具体的には、図6に示すように、横軸に古紙パルプ含有量、縦軸に第1主成分の主成分得点をとって、上記主成分得点演算部26Aで得られた主成分得点と古紙パルプ含有量とに対応する位置の各々をプロットし(図6中、プロット54A、54B、54C参照)、これらのプロットから回帰線Lまでの距離の総和が最小となるような回帰式を求めることで得られる。なお、本実施の形態では、図6に示すように、曲線状の回帰線L(すなわち、多項式の回帰線)によって示される回帰式が得られる場合を説明するが、記録媒体の種類によって、必ずしも曲線状の回帰線が得られるとは限られず、直線状の回帰線が得られることもある。
【0051】
回帰式記憶部32Aでは、回帰式算出部28Aで算出された、古紙パルプ含有量と、第1主成分得点と、の相関から求められた回帰式を記憶する。
【0052】
なお、上述のように、回帰式(回帰線)は、回帰式作成用に用いられる古紙パルプ含有量の異なる記録媒体から得られた第1主成分の主成分得点と、古紙パルプ含有量と、の相関に基づいて得られることから、この回帰式作成に用いる古紙パルプ含有量の異なる記録媒体の数(種類数)は、上述のように、種類数が多くなるほど、古紙パルプ含有量検出対象の記録媒体における、古紙パルプ含有量の検出精度が向上する。
【0053】
次に、コンピュータ12に含まれる、古紙パルプ含有量検出部12Bについて説明する。
【0054】
古紙パルプ含有量検出部12Bは、回帰線作成処理実行部12Aで作成された回帰線を用いて、検出対象の記録媒体の古紙パルプ含有量を検出する機能部である。
具体的には、図1に示すように、古紙パルプ含有量検出部12Bは、近赤外スペクトル取得部16B、前処理部18B、前処理結果記憶部20B、主成分分析部24、主成分得点演算部26B、及び古紙パルプ含有量導出部30Bを含んで構成されている。
【0055】
近赤外スペクトル取得部16Bは、上記近赤外スペクトル取得部16Aと同様にして、古紙パルプ含有量の検出対象の記録媒体の近赤外スペクトルを、測定装置38から取得する。なお、近赤外スペクトル取得部16Aと異なる点は、得られる近赤外スペクトルを示す記録媒体が、古紙パルプ含有量が未知である、古紙パルプ含有量を検出する対象の記録媒体である点である。
【0056】
前処理部18Bでは、近赤外スペクトル取得部16Bで取得された、検出対象の記録媒体の近赤外スペクトルについて、前処理部18Aと同様にして前処理を行う。この前処理結果は、前処理結果記憶部20Bに記憶される。主成分分析部24では、この前処理結果記憶部20Bに記憶された、前処理された近赤外スペクトルについて、上記前処理結果記憶部20Aに記憶された、上記複数種類の第1の記録媒体の各々の近赤外スペクトルと比較を行う。そして、前処理結果記憶部20Bに記憶された、前処理された近赤外スペクトルについて、上記回帰線作成処理実行部12Aにおける処理において主成分分析部24で作成した主成分分析モデルに基づいて、複数の主成分のうちの第1主成分に対する、主成分得点を主成分得点演算部26Bで演算する。
【0057】
古紙パルプ含有量導出部30Bでは、上記回帰線作成処理実行部12Aの処理によって回帰式記憶部32Aに記憶された回帰式を用いて、主成分得点演算部26Bで演算された検出対象の記録媒体の主成分得点から、古紙パルプ含有量を導出する。
例えば、図6及び図7に示す回帰線Lによって示される回帰式が、回帰式記憶部32Aに記憶されていた場合には、該回帰式を用いて、主成分得点演算部26Bで演算された第1主成分の主成分得点に対応する古紙パルプ含有量を求めることによって、検出対象の記録媒体の古紙パルプ含有量が容易に求められる。
【0058】
次に、コンピュータ12で行われる、本実施の形態に係る古紙パルプ含有量導出ルーチンについて図8を用いて説明する。
【0059】
まず、ステップ100において、回帰線作成処理実行部12Aにおいて処理を実行する回帰式作成モードであるか否かを判断する。ステップ100の判断は、例えば、検出装置10に図示を省略する操作部を設けてコンピュータ12に信号授受可能に接続し、この図示を省略する操作部が操作者によって操作されて、該操作部から回帰式作成モードであることを示す信号が入力されたことを判別することによって行われる。
【0060】
ステップ100で肯定されると、ステップ102へ進み、古紙パルプ含有量を示す情報を入力装置36から取得するまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ104へ進み、取得した古紙パルプ含有量を示す情報を前処理結果記憶部20Aへ記憶する。
【0061】
次のステップ106では、前記ステップ102で、古紙パルプ含有量を示す情報の入力された記録媒体の近赤外スペクトルを、測定装置38から取得する。そして、次のステップ108において、取得した近赤外スペクトルについて前処理を行う。次のステップ110では、上記ステップ108で前処理した近赤外スペクトルを、上記ステップ104で前処理結果記憶部20Aに記憶した古紙パルプ含有量を示す情報に対応づけて、該前処理結果記憶部20Aに記憶する。
【0062】
次のステップ112では、上記ステップ102〜ステップ110の処理を、予め定めた数であるN回行ったか否かを判別し、否定されると上記ステップ102へ戻り、肯定されるまで上記ステップ102〜ステップ112の処理を繰り返す。なお、このN回とは、回帰線作成に用いる、古紙パルプ含有量の異なる複数種類の記録媒体の数(種類数)を示しており、予め記憶しておけばよい。例えば、回帰線作成に用いる、古紙パルプ含有量の異なる記録媒体の種類数を4種類とする場合には、N回として、4を示す値を予め記憶しておけばよい。
なお、この回数Nについては、図示を省略する操作部の操作によって、随時書換え可能としてもよいが、上述したように、回帰線作成に用いる記録媒体の種類数は2以上で且つ多いほど好ましいことから、回数Nについても、この種類数に対応する数を予め定めて記憶しておけばよい。
【0063】
上記ステップ112で肯定されると、ステップ114へ進み、古紙パルプ含有量が既知の記録媒体の近赤外線スペクトルについて、上述の除外波数帯域以外の波数帯域について、上述した主成分分析を行い、主成分分析モデルを作成する。そして、次のステップ116では、複数種類の記録媒体の各々について、第1主成分に対する主成分得点を演算し、次のステップ118ではステップ116で得られた主成分得点に基づいて、回帰式を算出する。次のステップ120では、ステップ118で算出された回帰式を回帰式記憶部32Aに記憶した後に、本ルーチンを終了する。
【0064】
すなわち、上記ステップ100〜ステップ120の処理が行われることによって、上述の回帰線作成処理実行部12Aで行われる処理が行われて回帰式が求められ、回帰式記憶部32Aに記憶される。
【0065】
一方、上記ステップ100で否定されると、ステップ122へ進み、古紙パルプ含有量検出部12Bにおいて処理を実行する古紙パルプ含有量検出モードであるか否かを判断あする。ステップ122の判断は、例えば、検出装置10に図示を省略する操作部を設けてコンピュータ12に信号授受可能に接続し、この図示を省略する操作部が操作者によって操作されて、該操作部から古紙パルプ含有量の算出モードであることを示す信号が入力されたことを判別することによって行われる。
【0066】
ステップ122で否定されると、本ルーチンを終了し、ステップ122で肯定されると、ステップ124へ進む。
【0067】
ステップ122では、古紙パルプ含有量を検出する対象の記録媒体について、近赤外スペクトルを測定装置38から取得する。そして、次のステップ126において、取得した近赤外スペクトルについて前処理を行う。次のステップ127では、上記ステップ126で前処理した近赤外スペクトルを、前処理結果記憶部20Bに記憶する。
【0068】
次のステップ128では、上記ステップ127で前処理結果記憶部20Bに記憶した、前処理済の近赤外スペクトルから、第1主成分に対する主成分得点を演算する。そして、次のステップ132では、上述した回帰線作成処理(ステップ100〜ステップ120)における上記ステップ120の処理によって回帰式記憶部32Aに記憶された回帰式を用いて、上記ステップ130で演算した主成分得点に対応する古紙パルプ含有量を導出する。このステップ134の処理によって、検出対象の記録媒体の古紙パルプ含有量が検出される。
【0069】
次のステップ136では、ステップ134による導出結果を出力部34に出力した後に、本ルーチンを終了する。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態の検出装置10においては、主成分分析時において、近赤外スペクトルについて、上述した除外波数帯域以外の近赤外領域の主成分分析を行い、分析結果に基づいた回帰線の作成及び古紙パルプ含有量の導出を行うので、精度良く古紙パルプ含有量が検出される。
【0071】
(画像形成装置)
上述した本実施の形態の検出装置10は、画像形成装置に搭載してもよい。
図9には、本実施の形態の検出装置10を搭載した画像形成装置の一例として、フルカラーで且つ、所謂、タンデム方式の画像形成装置の構成の一例を示したが、このような構成に限られない。
【0072】
図9に示す画像形成装置200は、電子写真感光体から構成される4つの像保持体201a〜201dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置202a〜202d、露光装置214a〜214d、現像装置203a〜203d、一次転写装置(一次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置204a〜204dが配置されている。
【0073】
中間転写ベルト207は、張力を付与する部材としての張架ロール206a、固定ロール206b、206c、中間転写ベルト207に駆動を与える部材としてのドライブロール212、および二次転写位置で中間転写ベルト207を支持する部材としての背面ロール208に張架されている。
【0074】
なお、以下では、中間転写ベルト207を搬送する上記張架ロール206a、固定ロール206b、206c、二次転写ロール209および背面ロール208を総称する場合には、張架ロール221と称して説明する場合がある。
【0075】
これらの複数の張架ロール221は、円柱状に構成されている。張架ロール206a、および背面ロール208は、ドライブロール212が図示を省略する駆動部によって軸方向を回転軸として回転駆動されることで従動回転される。そして、中間転写ベルト207は、これらの張架ロール、ドライブロール212および背面ロール208によって搬送されることで、周方向(図9中、矢印A方向、すなわち、搬送方向)に搬送される。
【0076】
一次転写ロール205a〜205dは、像保持体201a〜201dの各々との間で、間に中間転写ベルト207を挟むように中間転写ベルト207の内周面側に接触配置されている。この一次転写ロール205a〜205dの各々と、像保持体201a〜201dの各々と、の間の領域が一次転写領域となる。この一次転写領域の各々には、一次転写ロール205a〜205dの各々によって一次転写電流が印加され、これによって、像保持体201a〜201dの各々上に保持されていたトナー像が、中間転写ベルト207上に転写される。また、画像形成装置200には、中間転写ベルト207および二次転写ベルト216を介して、背面ロール208と二次転写ロール209が対向配置されている。二次転写ベルト216は、二次転写ロール209とロール206dによって搬送される。この二次転写ロール209が中間転写ベルト207および二次転写ベルト216を介して背面ロール208に接触する領域が二次転写領域となり、二次転写ロール209と背面ロール208との接触部には二次転写電圧が印加される。
【0077】
紙等の記録媒体215は、給紙トレイ213に配置されており、搬送ローラ217、搬送ローラ218、及び搬送ローラ219によって、給紙トレイ213から搬送経路へと搬送されて、二次転写領域へと搬送される。二次転写領域へと搬送された記録媒体215は、中間転写ベルト207の表面に接触しながら中間転写ベルト207と二次転写ロール209との間を矢印Bの方向に搬送され、その後、定着装置210を通過する。これによって、中間転写ベルト207上に保持されていたトナー像が記録媒体215に転写され、定着装置210によってトナー像が記録媒体215上に定着される。
【0078】
画像形成装置200には、更に、転写後の中間転写ベルト207と接触するように、中間転写ベルトクリーニング装置211が配置されており、中間転写ベルト207上のトナーや紙粉等の異物が除去される。
【0079】
上記構成の画像形成装置200には、装置各部を制御する制御部220が設けられており、この制御部220は、信号授受可能に装置各部に接続されている。
【0080】
また、画像形成装置200には、検出装置10が設けられている。検出装置10は、検出装置10における測定装置38を、トナー像を転写される前の記録媒体215の近赤外スペクトルの測定可能な位置に設けた構成とすればよい。例えば、給紙トレイ213から搬送経路に搬送され、且つトナー像を転写される前の状態の記録媒体の近赤外スペクトルを測定可能な位置(図9参照)に、検出装置10を設けた構成とすればよい。また、例えば、給紙トレイ213上に検出装置10における測定装置38が設けられるように、構成してもよい。
【0081】
そして、この検出装置10のコンピュータ12を、画像形成装置200の制御部220に信号授受可能に接続した構成とすればよい。詳細には、図1に示す出力部34に代えて、画像形成装置200の制御部220を古紙パルプ含有量導出部30Bに信号授受可能に接続した構成とすればよい。また、入力装置36及び図示を省略する操作部につながる信号線を、画像形成装置200の制御部220に電気的に接続した構成とすればよい。
【0082】
次に、画像形成装置200の制御部220で実行される処理の一例を図10を用いて説明する。
【0083】
図10に示すように、ステップ300では、古紙パルプ含有量導出処理を実行する。ステップ300の処理は、検出装置10のコンピュータ12へ、古紙パルプ含有量検出モードであることを示す信号を出力する処理である。
【0084】
なお、検出装置10では、予め上記ステップ100〜ステップ120によって示される、上述した回帰線作成処理実行部12Aにおける処理が実行されて、回帰式記憶部32Aに回帰式が既に作成されて記憶されているものとする。
また、検出装置10が画像形成装置200に搭載された場合には、検出装置10のコンピュータ12で行われる上述したステップ122の古紙パルプ含有量検出モードか否かの判断を、制御部220から古紙パルプ含有量検出モードであることを示す信号が入力されたか否かを判別することによって行うようにすればよい。
【0085】
次のステップ302では、検出装置10から古紙パルプ含有量を示す情報を取得するまで否定判断を繰り返し、肯定されると、ステップ304へ進む。このステップ302では、例えば、検出装置10が画像形成装置200に搭載された場合には、検出装置10のコンピュータ12で行われる上述したステップ136の処理における、古紙パルプ含有量の出力先を、出力部34に代えて制御部220となるようにすればよい。
【0086】
次のステップ304では、上記ステップ302で取得した古紙パルプ含有量の記録媒体に、画像データに基づく画像を形成する画像形成処理を行うための画像形成条件を設定する。
【0087】
この画像形成条件としては、制御部220に設けられた記憶部220Aに、予め、画像記録対象の記録媒体の古紙パルプ含有量を示す情報に対応する、画像形成条件を示す情報を記憶しておいて、ステップ302で取得した古紙パルプ含有量を示す情報に対応する画像形成条件を示す情報を読取り、読み取った画像形成条件を設定することで行われる。
【0088】
この画像形成条件としては、定着条件や、転写条件が挙げられる。この定着条件としては、定着装置210における定着温度、定着装置210における定着速度、定着装置における定着時の圧力(定着時に記録媒体に加えられる圧力)が挙げられる。また、転写条件としては、記録媒体にトナー像を転写するとき、すなわち背面ロール208と二次転写ロール209による二次転写時における、転写電流値、転写電圧値、及び転写時の圧力が挙げられる。
【0089】
具体的には、これらの画像形成条件は、予め、基準となる特定の古紙パルプ含有量(以下、基準含有量とする)である記録媒体に画像を形成するときの上記定着条件、転写条件を基準条件として定めておく。そして、上記ステップ202で取得した記録媒体における古紙パルプ含有量が、上記基準含有量より多くなるほど、上述の、定着温度、定着時の圧力、転写電流値、転写電圧値、及び転写時の圧力のうちの少なくとも1つが大きく(高く)なるように、これらの条件を調整する値を予め定めておいて、古紙パルプ含有量を示す情報に対応づけて予め記憶しておけばよい。
同様に、上記ステップ302で取得した記録媒体における古紙パルプ含有量が、上記基準含有量より少なくなるほど、上述の、定着温度、定着時の圧力、転写電流値、転写電圧値、及び、転写時の圧力のうちの少なくとも1つが小さく(低く)なるように、これらの条件を調整する値を予め定めておいて、古紙パルプ含有量を示す情報に対応づけて予め記憶しておけばよい。
【0090】
次のステップ306では、ステップ304で設定された画像形成条件で、記録媒体に画像を形成する画像形成処理を行った後に、本ルーチンを終了する。このステップ300〜ステップ306の処理は、画像形成装置200において画像を形成する対象の記録媒体1枚1枚について実行される。
【0091】
なお、記録媒体に含まれる古紙パルプ含有量が多いほど、記録媒体の強度低下やカール(反り)が生じる。また、記録媒体に含まれる古紙パルプ含有量が多いほど、紙粉の発生により筋状の画像欠陥や、紙送り不良が発生しやすくなる。このため、検出装置10を搭載した画像形成装置200とし、上記ステップ302〜ステップ306の処理が行われることによって、画像形成対象の記録媒体に含まれる古紙パルプ含有量に応じて、最適な画像形成条件で画像形成が行われることとなる。このため、記録媒体に含まれる古紙パルプ含有量に依存せず、記録媒体に記録される画像の画質向上が図れると考えられる。
【0092】
<<試験例>>
【0093】
以下に本発明を、試験例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の試験例にのみ限定されるものではない。
【0094】
(試験例1)
記録媒体の近赤外スペクトルを測定する測定装置(図1中、測定装置38参照)として、近赤外分析装置NIRFLEX N−500(日本ビュッヒ(株)製)を用意した。また、この測定装置を、上記に説明したコンピュータ12に電気的に接続し、上記導出プログラムを記憶し、この導出プログラムによる、検出対象の記録媒体の古紙パルプ含有量を導出する古紙パルプ含有量導出ルーチンを実行する試験用検出装置を作成した。
【0095】
次に、回帰線作成用の記録媒体として、古紙パルプ含有量0質量%の上級印刷紙(平和紙業社製、商品名 エイブルCoC)と、古紙パルプ含有量50質量%の上級印刷紙(理想科学工業社製、商品名 RG環境用紙理想の友II)と、古紙パルプ含有量100質量%の上級印刷紙(王子製紙社製、商品名 OKプリンス上質エコG100)と、を用意して、上記試験用検出装置を用いて、回帰線作成処理実行部12Aによる処理を実行し、回帰式作成処理(上記ステップ100〜ステップ120の処理)を行った。
【0096】
なお、除外波長帯域は、以下のAに示す除外波長帯域とした。また、近赤外スペクトルにおける近赤外領域は、4000cm−1以上10000cm−1以下の波数帯域とした。また、回帰式作成時、及び古紙パルプ含有量の測定時に記録媒体の重ね合せ数は、1枚とした。
【0097】
さらに、前処理時の演算法としては、下記に示す、前処理時の演算法Xを用いた。
【0098】
<除外波数帯域>
・除外波数帯域A:4550±50cm−1、及び7150±130cm−1
・除外波数帯域B:4230±40cm−1、4585±85cm−1、5130±230cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域C:4230±100cm−1、4585±85cm−1、5130±230cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域D:4230±40cm−1、4585±150cm−1、5130±230cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域E:4230±40cm−1、4585±85cm−1、5130±300cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域F:4230±40cm−1、4585±85cm−1、5130±300cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域G:4200±40cm−1、4585±85cm−1、5130±230cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域H:4230±20cm−1、4585±85cm−1、5130±230cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域I:4230±40cm−1、4530±85cm−1、5130±230cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域J:4230±40cm−1、4585±30cm−1、5130±230cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域K:4230±40cm−1、4585±85cm−1、5000±230cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域L:4230±40cm−1、4585±85cm−1、5130±100cm−1、及び7150±150cm−1
・除外波数帯域M:4230±40cm−1、4585±85cm−1、5130±230cm−1、及び7050±150cm−1
・除外波数帯域N:4230±40cm−1、4585±85cm−1、5130±230cm−1、及び7150±50cm−1
・除外波数帯域O:4000cm−1以上10000cm−1以下の波数帯域
【0099】
―評価―
次に、古紙パルプ含有量の検出対象の記録媒体として、古紙パルプ含有量25質量%の上級印刷紙(武蔵工業社製、商品名 環境紙64gRJ64FSC−A0R)と、古紙パルプ含有量50質量%の上級印刷紙(理想科学工業社製、商品名 RG環境用紙理想の友II)と、古紙パルプ含有量70質量%の上級印刷紙(理想科学工業社製、商品名 理想環境用紙NW)と、を用意して、これらの記録媒体の各々について上記試験用検出装置を用いて、古紙パルプ含有量検出部12Bによる処理を実行し、これらの記録媒体における古紙パルプ含有量を検出した。
【0100】
そして、これらの古紙パルプ含有量が25質量%、50質量%、及び70質量%の各々の、検出対象の記録媒体の古紙パルプ含有量の検出結果について、実際の古紙パルプ含有量に対する精度を求めた。なお、評価基準は下記のとおりとし、評価結果を表1に示した。
【0101】
――評価基準−−
◎:実際の古紙パルプ含有量に対する検出した古紙パルプ含有量の値が±5質量%以内の誤差である場合。
○:実際の古紙パルプ含有量に対する検出した古紙パルプ含有量の値が±10質量%以内の誤差である場合。
△:実際の古紙パルプ含有量に対する検出した古紙パルプ含有量の値が±15質量%以内の誤差である場合。
×:実際の古紙パルプ含有量に対する検出した古紙パルプ含有量の値が±15質量%よりも大きな誤差である場合。
【0102】
(試験例2〜試験例20、比較試験例1〜比較試験例18)
上記試験例1において、回帰式作成時に用いた記録媒体の枚数、主成分分析時の除外波数帯域の種類、記録媒体の種類、近赤外スペクトル測定時の記録媒体の重ねあわせ枚数、及び前処理時の演算法を、表1に示したものに代えた以外は、試験例1と同様にして回帰式作成を行い、試験例と同様にして、古紙パルプ含有量が20質量%、50質量%、及び70質量%の各々の、検出対象の記録媒体について、試験用検出装置を用いて測定した古紙パルプ含有量の、実際の古紙パルプ含有量に対する精度を、下記式で求めた。なお、評価基準は下記のとおりとし、評価結果を表1に示した。
【0103】
なお、表1中、PPC用紙とは、再生PPC用紙(富士ゼロックスインターフィールド社製)であり、古紙パルプ含有量0質量%のPPC用紙としては、富士ゼロックスインターフィールド社製、商品名 P紙を用い、古紙パルプ含有量50質量%のPPC用紙としては富士ゼロックスインターフィールド社製、商品名 SGを用い、古紙パルプ含有量100質量%のPPC用紙としては富士ゼロックスインターフィールド社製、商品名 GR100を用いた。
【0104】
また、表1中、試験例3及び試験例4では、回帰式作成に用いた記録媒体の枚数は2枚であるが、この試験例3及び試験例4においては、回帰式作成用の記録媒体としては、古紙パルプ含有量0質量%の上級印刷紙(平和紙業社製、商品名 エイブルCoC)と、古紙パルプ含有量100質量%の上級印刷紙(王子製紙社製、商品名 OKプリンス上質エコG100)を用いた。
【0105】
【表1】

【0106】
表1に示されるように、本試験例における装置では、比較試験例に比べて、記録媒体における古紙パルプ含有量が精度良く得られた。
【符号の説明】
【0107】
10 検出装置、14 古紙パルプ含有量取得部、16A,16B 近赤外スペクトル取得部、18A,18B 前処理部、20A,20B 前処理結果記憶部、24 主成分分析部、26A,26B 主成分得点演算部、28A 回帰式算出部、30B 古紙パルプ含有量導出部、32A 回帰式記憶部、38 測定装置、200 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙パルプ含有量の異なる複数種類の第1の記録媒体の近赤外スペクトルと、該複数種類の第1の記録媒体の各々の古紙パルプ含有量を示す含有量データと、を取得する第1の取得ステップと、
前記第1の取得ステップにより取得した、前記複数種類の第1の記録媒体の各々の近赤外スペクトルにおける、酸素原子と水素原子との伸縮振動による吸収に対応する第1の波数帯域以外の波数帯域について、主成分分析を行い、主成分分析モデルを作成する第1の主成分分析ステップと、
前記複数種類の第1の記録媒体の各々について、前記第1の主成分分析ステップによって得られた複数の主成分のうちの第1主成分に対する主成分得点を演算する第1の演算ステップと、
前記第1の演算ステップによって演算された前記複数種類の第1の記録媒体の各々の主成分得点と、前記第1の取得ステップにより取得した該複数種類の第1の記録媒体の各々の前記含有量データと、の相関に基づいて回帰分析を行い、回帰式を算出する回帰式算出ステップと、
古紙パルプ含有量の検出対象である第2の記録媒体の近赤外スペクトルを取得する第2の取得ステップと、
前記第2の取得ステップにより取得した、前記第2の記録媒体の近赤外スペクトルについて、前記第1の取得ステップにより取得した前記複数種類の第1の記録媒体の各々の近赤外スペクトルと比較し、前記第1の主成分分析ステップで作成した主成分分析モデルに基づいて、複数の主成分のうちの第1主成分に対する主成分得点を演算する第2の演算ステップと、
前記回帰式算出ステップによって算出された回帰式を用いて、前記第2の演算ステップによって得られた主成分得点に対応する古紙パルプ含有量を導出することによって、前記第2の記録媒体の古紙パルプ含有量を検出する検出ステップと、
を含む古紙パルプ含有量の検出方法。
【請求項2】
前記第1の波数帯域が、4500cm−1以上4600cm−1以下の波数帯域、及び7020cm−1以上7280cm−1以下の波数帯域である請求項1に記載の古紙パルプ含有量の検出方法。
【請求項3】
前記第1の波数帯域が、4190cm−1以上4270cm−1以下の波数帯域、4500cm−1以上4670cm−1以下の波数帯域、4900cm−1以上5360cm−1以下の波数帯域、7000cm−1以上7300cm−1以下の波数帯域である請求項1または請求項2に記載の古紙パルプ含有量の検出方法。
【請求項4】
古紙パルプ含有量の異なる複数種類の第1の記録媒体の近赤外スペクトルと、該複数種類の第1の記録媒体の各々の古紙パルプ含有量を示す含有量データと、を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段により取得した、前記複数種類の第1の記録媒体の各々の近赤外スペクトルにおける、酸素原子と水素原子との伸縮振動による吸収に対応する第1の波数帯域以外の波数帯域について、主成分分析を行い、主成分分析モデルを作成する第1の主成分分析手段と、
前記複数種類の第1の記録媒体の各々について、前記第1の主成分分析手段によって得られた複数の主成分のうちの第1主成分に対する主成分得点を演算する第1の演算手段と、
前記第1の演算手段によって演算された前記複数種類の第1の記録媒体の各々の主成分得点と、前記第1の取得手段により取得した該複数種類の第1の記録媒体の各々の前記含有量データと、の相関に基づいて回帰分析を行い、回帰式を算出する回帰式算出手段と、
古紙パルプ含有量の検出対象である第2の記録媒体の近赤外スペクトルを取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得した、前記第2の記録媒体の近赤外スペクトルについて、前記第1の取得ステップにより取得した前記複数種類の第1の記録媒体の各々の近赤外スペクトルと比較し、前記第1の主成分分析手段で作成した主成分分析モデルに基づいて、複数の主成分のうちの第1主成分に対する主成分得点を演算する第2の演算手段と、
前記回帰式算出手段によって算出された回帰式を用いて、前記第2の演算手段によって得られた主成分得点に対応する古紙パルプ含有量を導出することによって、前記第2の記録媒体の古紙パルプ含有量を検出する検出手段と、
を備えた検出装置。
【請求項5】
前記第1の波数帯域が、4500cm−1以上4600cm−1以下の波数帯域、及び7020cm−1以上7280cm−1以下の波数帯域である請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1の波数帯域が、4190cm−1以上4270cm−1以下の波数帯域、4500cm−1以上4670cm−1以下の波数帯域、4900cm−1以上5360cm−1以下の波数帯域、7000cm−1以上7300cm−1以下の波数帯域である請求項4または請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の検出装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−257242(P2011−257242A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131387(P2010−131387)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】