可動体のアシスト装置
【課題】単純な構成で誤動作状態からの復帰を可能とするとともに部品の破損を回避でき
る可動体のアシスト装置を提供すること。
【解決手段】実施形態にかかる可動体のアシスト装置は、支持体と前記支持体に相対的に移動する可動体とのいずれか一方側に設けられる当受体と、前記支持体と前記可動体とのいずれか他方側に設けられた基体と、前記当受体と係合及び係合解除可能であり、前記基体に対して第1位置と第2位置に至る移動経路に沿って移動可能であるとともに、前記移動経路から退避する方向に移動しつつ揺動可能に設けられた当接体と、前記当接体を付勢する付勢機構と、を備える。
る可動体のアシスト装置を提供すること。
【解決手段】実施形態にかかる可動体のアシスト装置は、支持体と前記支持体に相対的に移動する可動体とのいずれか一方側に設けられる当受体と、前記支持体と前記可動体とのいずれか他方側に設けられた基体と、前記当受体と係合及び係合解除可能であり、前記基体に対して第1位置と第2位置に至る移動経路に沿って移動可能であるとともに、前記移動経路から退避する方向に移動しつつ揺動可能に設けられた当接体と、前記当接体を付勢する付勢機構と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の可動体の動作を補助する可動体のアシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引き戸等の可動体の動作を補助するため、付勢機構を用いて強制移動をする可動体のアシスト装置が知られている。このような可動体のアシスト装置では、戸枠側には当受体が設けられ、引き戸側には当受体に係合可能な当接体が設けられている。当接体は待機位置と引き込み位置でスライド移動可能であり、付勢機構としての引張りコイルばねに連結されている。当接体は例えば先端に樹脂製の係合部を有し、この係合部が当受体と係合及び係合解除可能になっている。
【0003】
引き戸が閉めきられていない開位置にあるとき、当接体は、引張りコイルばねを最も引き伸ばした状態で待機位置保持されている。開位置から操作者が引き戸を閉位置に移動させると、その途中で当接体が当受体に突き当たり、当受体を捕捉する。同時に、待機位置での保持が解かれ、当接体が当受体を捕捉したまま引張りコイルばねに引張られて引込位置に向かって移動する。このため、この移動寸法の分引き戸が強制的に移動させられる。
【0004】
引き戸が閉位置にあるとき、当接体は、引張りコイルばねを圧縮した状態となっている。この閉位置から操作者が引き戸を開位置に向けて移動させると、引張りコイルばねを引張りながら引き戸が移動する。所定位置に至ると当接体が当受体を開放し、再び待機位置へ保持される。
【0005】
可動体のアシスト装置では、当接体が当受体に係合しないまま当接体が引込位置に位置する状態となる場合がある。この状態から復帰させる機構として、当接体に斜めのガイド面を設け、当受体との当接により当受体から退避する下向きに圧力を作用させて回動することにより当受体と当接体とを係合させることが行われている(例えば特許文献1参照)。このアシスト装置では、当接体は軸を中心として回動することで当受体に再係合するように所定の形状に構成され、当接体を収容した枠体が下向きに弾性変形するように形成され、かつ、枠体の変形を許容する隙間を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−169723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した技術では、次のような問題がある。すなわち、上記技術は軸を固定したまま当接体を回動させる構成であり、部品の変形をともなうと共に複雑な寸法設定が必要となる。
【0008】
そこで本発明は、単純な構成で誤動作状態からの復帰を可能とするとともに部品の破損を回避できる可動体のアシスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態にかかる可動体のアシスト装置は、支持体と前記支持体に相対的に移動する可動体とのいずれか一方側に設けられる当受体と、前記支持体と前記可動体とのいずれか他方側に設けられた基体と、前記当受体と係合及び係合解除可能であり、前記基体に対して第1位置と第2位置に至る移動経路に沿って移動可能であるとともに、前記移動経路から退避する方向に移動しつつ揺動可能に設けられた当接体と、前記当接体を付勢する付勢機構と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誤動作状態からの復帰を可能とするとともに部品の破損を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかるアシスト装置を備えた引き戸の動作を示す説明図。
【図2】同実施形態にかかるアシスト装置を備えた引き戸の動作を示す説明図。
【図3】同実施形態にかかるアシストユニットの斜視図。
【図4】同実施形態にかかるストライカの斜視図。
【図5】同実施形態にかかるアシスト装置の側面図。
【図6】同実施形態にかかるアシストユニットの平面図。
【図7】同実施形態にかかるアシスト装置の正常時の動作を示す説明図。
【図8】同実施形態にかかるアシスト装置の誤作動時の動作を示す説明図。
【図9】第2実施形態にかかるアシスト装置の斜視図。
【図10】同アシスト装置の側面図。
【図11】同アシスト装置の正常時の動作を示す説明図。
【図12】同アシスト装置の誤作動時の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態かかる可動体のアシスト装置1について、図1乃至図8を参照して説明する。各図中矢印X,Y,Zはそれぞれ互いに直交する3方向を示す。ここでは例えばX軸はスライド方向に、Y軸は幅方向に、Z軸は上下方向に、それぞれ沿っている。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0013】
図1及び図2に示すように、アシスト装置1は、可動体及び支持体のうち一方に設けられる当受体としてのストライカ10と、可動体及び支持体のうち他方に設けられるアシストユニット20と、を備えて構成される。
【0014】
本実施形態において、例えば支持体は戸枠F、可動体は引き戸Mであり、可動体としての引き戸Mにアシストユニット20が設けられ、支持体としての戸枠Fにストライカ10が設けられる場合について例示する。
【0015】
図1に示すように、戸枠Fは、上枠F1、左枠F2、右枠F3、及び下枠を備えている。上枠F1にはスライド方向に沿う引き戸溝F4が形成されており、この引き戸溝F4に引き戸Mがスライド可能に収められている。
【0016】
引き戸Mの上端部には、スライド方向に沿ってアシストユニット20を収める溝M1が形成されている。なお、ここでは一枚の引き戸Mに着目し、左側が戸先側、右側が戸尻側とする。引き戸Mの戸先側である左端部には取っ手M2が形成されている。
【0017】
図1に示すように引き戸Mが左枠F2に接していない開状態を第1状態、図2に示すように戸先側の移動終了位置に移動されきって左枠F2に当接した閉状態を第2状態とする。
【0018】
アシスト装置1は、戸枠Fに設けられたストライカ10と、引き戸Mに設けられたアシストユニット20と、を備える。
【0019】
アシストユニット20は、引き戸Mの上端部の溝M1に設けられた基体としてのハウジング21と、ハウジング21のスライド方向一方側(図1中左側)の端部に収められ待機位置と引込位置との間でスライド移動可能に支持された当接体としてのラッチ22と、ラッチ22をハウジング21に対してスライド方向他方側(図1中右側)に付勢する付勢機構23と、ラッチ22に連結されラッチ22のスライド移動に抵抗力を付与して緩衝する制動機構24と、を備えている。
【0020】
戸枠Fの上端の引き戸溝F4には、左端から一定の位置にストライカ10が設けられている。図5に示すように、ストライカ10は、上枠F1に取り付けられる板状の取付部材11と、Y軸に直交する面をなし上枠F1から下方に突出する係合突起部12と、を有して構成されている。引き戸Mの移動により、係合突起部12が引き戸Mの上部の溝M1を通ってラッチ22に係合してアシストユニット20内に入り込み、あるいはアシストユニット20から出て解放されるようになっている。係合突起部12の端面は被押圧部32cを押圧する押圧面12aを形成し、係合突起部12のX方向一端側には上方に向かって凹む第1係合凹部12b(第1係合部)が形成されている。係合突起部12の端部にはY方向に突出する係合爪12cが形成されている。係合爪12cの裏側においてY方向両端が上方に向かって凹む三角形状の第2の係合凹部12d(第2係合部)が形成されている。第2の係合凹部12dは第1の係合凹部12bよりもスライド方向他端側(図5中右側)に配置されている。
【0021】
正常時における第1の動作と第2の動作の際にラッチ22のフック部32fが第1係合凹部12bに進入し、係合突起部12がキャッチャ32に捕捉される。また、誤作動復帰時における第3の動作の際にはラッチ22のY方向両側の一対の薄い板状のフック部32fが第2係合凹部12dに進入し、係合爪12cがキャッチャ32に捕捉される。これらの係合によりストライカ10がラッチ22に係合して、一体に移動するようになる。
【0022】
図3,5,6に示すように、ハウジング21は、上面開口でスライド方向に細長い箱状を成している。ハウジング21の後方部分は、Z方向中央に仕切板25が設けられ、上側の上部室25a、下側の下部室25bが形成されている。上部室25aの一端側は開放され、上部室25aを挟む側壁21a,21aの間にラッチベース31が収まるようになっている。なお、図3及び図5においては内部構造の説明のためにハウジング21の一部を切欠して断面を示している。
【0023】
ハウジング21の側壁21a,21aの一端側にはスリット27が設けられている。このスリット27は、X軸に沿って待機位置(第1位置)と引込位置(第2位置)に至って延びる主ガイド路27aと、主ガイド路27aの前端部の待機位置から湾曲して下方に延びる待機路27bと、主ガイド路27aの後方部分の引込位置から分岐して下方及び前方に向かって円弧状に湾曲して延びる退避路27cと、を連続して有した形状となっている。退避路27cは退避動作の際に第2軸部を中心とした円弧状を形成する。
【0024】
このスリット27には、ラッチ22の前端部に形成された第2軸部32dが回転可能に係合する。またスリット27における第2軸部32dよりも後方位置には、第1軸部32bが回転可能かつスライド移動可能に係合する。さらにスリット27の主ガイド路27aにはラッチベース31の突起部31aがスライド移動可能に係合する。
【0025】
ハウジング21の下部室25bには引張コイルばね41の端部をハウジング21に対して固定するための連結部21bが形成されている。連結部21bは例えば側壁21a,21a間に掛け渡された軸状部材であり、この連結部21bに引張コイルばね41の他端側が取り付けられる。
【0026】
図3,5,6に示すように、ラッチ22は、ラッチベース31と、ラッチベース31の先端部に回動可能に連結したカム部32と、を備え、ハウジング21内の側壁21a,21a間に移動可能に支持されている。
【0027】
ラッチベース31はX方向に細長形成された突起部31aを有している。突起部31aのスリット27への係合によりハウジング21の上部室25aを形成する一対の側壁21a,21aの間にラッチベース31がスライド可能に保持される。ラッチベース31の先端部には退避路27cに沿う円弧状の溝31bを有する支持片31cが設けられている。
【0028】
カム部32は、Y方向に沿う軸心C1を有するとともにY方向に突出する一対の第1軸部32bを有している。この第1軸部32bがスリット27及び溝31bに挿通され回転可能かつスリット27内を移動可能に係合されている。
【0029】
カム部32は、第1軸部32bを中心に第1回動方向R1及びその逆の第2回動方向R2に回動可能に設けられている。カム部32は、その外周部において時計回りに順番に、キャッチャ32aと、被押圧部32cと、被付勢部31eと、一対の第2軸部32dと、を有して構成されている。
【0030】
キャッチャ32aはカム部32の先端側に設けられ、R1方向に突出する一対のフック部32fを有している。フック部32fはY方向両側にそれぞれ設けられ、三角形の板状部材を有している。
【0031】
被押圧部32cはカム部32の上部において上方に突出形成され、可動体の移動によりストライカ10の当接面12aに当接して引込方向に押圧される。
【0032】
一対の第2軸部32dは、キャッチャ32aに形成されY方向に沿う軸心C2を有するとともにY方向に突出形成され、スリット27内に移動可能に係合している。
【0033】
被付勢部32eは、カム部32の下部に設けられ、第2軸部32dよりも後方かつ下方に位置している。この被付勢部32eはハウジング21の下部に配置され、引張コイルばね41の一端41aが連結されている。この引張りコイルばね41により被付勢部32eが常時引込方向に引張られる。
【0034】
付勢機構23は、第1の付勢手段としての引張コイルばね41で構成されている。引張コイルばね41は、ハウジング21の下部において、軸方向がスライド方向に沿うように配置されている。引張コイルばね41の一端はラッチ22の下部の被付勢部31eに連結され、他端はハウジング21の連結部21bに連結されている。この引張コイルばね41は、待機状態にあるラッチ22を引込方向に付勢することで待機路27bに引っ掛けて保持させる機能と、主ガイド路27aにあるラッチ22を引込方向に付勢して強制移動させる機能と、ラッチ22をR2方向に付勢する機能と、を有している。
【0035】
制動機構24は、ハウジング21の上部室25a内に設けられたピストンダンパ50を有して構成される。ピストンダンパ50は、内部に流体が封入されたシリンダ51と、シリンダ51内でラッチ22のスライド軸X上を往復動するピストンと、このピストンに連結されたピストンロッド52とを有している。
【0036】
ピストンロッド52の端部はハウジング21に固定され、ピストンに対向するシリンダ51の外側端部がラッチ22の後端に接続されている。
【0037】
制動機構24は、シリンダ51内に納められたピストンの動作にシリンダ51内の流体の流体対向を作用させることで、シリンダ51もしくはピストンロッド52の押し込み及び引張り動作に対して抵抗力を付与してラッチ22のハウジング21に対するスライド動作を制動する。なおシリンダ51に封入される流体としては典型的にはシリコンオイルなどの粘性流体が用いられるがこれに限られず、気体を用いてもよい。
【0038】
以下、本実施形態にかかるアシスト装置1の動作について図7及び図8を参照して説明する。
【0039】
図1及び図7<a>に示すように、引き戸Mがストライカ10に到達していない第1状態では、ラッチ22の第2軸部32dが待機路27bに引っかかり引張コイルばね41によって引張られることで保持され、ラッチ22がハウジング21の端部の待機位置に保持されている。
【0040】
第1状態から第2状態とする第1の動作について説明する。第1状態から操作者が引き戸Mを左側の戸当りF1に向かって移動させることにより、図7<b>に示すように引き戸Mが第1の所定位置に至ると、ラッチ22がストライカ10に当接する。すると、ストライカ10が被押圧部32cを後方に押し込むことにより、第1軸部32bを中心としてカム部32がR1方向に回動する。
【0041】
この回動によって、図7<c>に示すように、カム部32の先端のフック部32fがストライカ10に係合し、ラッチ22にストライカ10が捕捉される。また、カム部32がR1方向に回動すると同時に下方の第2軸部32dが上方に移動して主ガイド路27aに入り込む位置に至り、待機路27bへの保持が解除されるとともに、主ガイド路27aの中心線であるスライド軸Xに沿って移動可能な状態となる。
【0042】
そして、図7<d>に示すように、引張コイルばね41の復元力によりハウジング21及び引き戸Mに対して右方にラッチ22が相対移動して引込位置まで相対移動させられる。この移動に伴い支持体F及びストライカ10に対して引き戸M及びハウジング21がスライド方向一端側に相対的に強制移動させられる。このとき制動機構24により抵抗力が付与され、緩衝しながらゆっくり自動的に引き戸Mが閉まる方向に移動することとなる。
【0043】
次に、図2及び図7<d>に示す第2状態から第1状態とする第2の動作について説明する。この第2の動作では上記第1の動作と逆に図7<d>、<c>、<b>、<a>の順で動作する。引き戸Mが左側の終了位置に移動し切った第2状態から引き戸Mを右側に移動させる操作をすると、引張コイルばね41の付勢力に抗してラッチ22がストライカ10を捕捉したまま引き戸M及びハウジング21に対して一端側に相対移動しながら、引き戸Mが右側に移動する(図7<c>)。このとき、ラッチ22の後端はピストンダンパ50のピストンロッド52に連結されているため、ピストンを移動させつつシリンダ51内の流体の抵抗力を受ける。
【0044】
所定位置に至ると、図7<b>に示すように、被押圧部32cからストライカ10が離れて引張りコイルばね41の復元力により第1軸部32bを中心としてカム部32がR
2方向に回動する。この回動によりフック部32fが係合凹部13cから抜け出てストライカ10との係合が解除される。同時に第2軸部32dは主ガイド路27aの前端の待機位置に至り、第2軸部32dが下方の待機路27bに入り込むとともに、引張りコイルばね41により再び待機位置に保持される待機状態に戻る。この後、引き戸Mの移動は引張コイルばね41の付勢力から開放される。そしてストライカ10が解放され、図7<a>の第1状態に戻る。
【0045】
次に、第3の動作として、例えば誤作動等によりラッチ22がストライカ10に係合しないまま引込位置に移動してしまった第3の状態からの復帰動作について説明する。
【0046】
図8<a>に示すように、ストライカ10との係合が解除された状態でラッチ22が引込位置にある第3の状態から、引き戸Mが支持体に対して第1方向に移動すると、図8<b>に示すように、カムb32の一部(ここではフック部32f)がストライカ10に当接し、後方に押圧される。この押圧により、カム部32は、第2軸部32dを中心として、第1軸部32bが退避路27cに沿って下方に移動しつつR1方向に回動しながら揺動する。この揺動により、キャッチャ32aのフック部32fの上端が第2状態よりも下方に退避することで、ストライカ10がフック部32fを乗越え可能となり、X方向に沿って移動することでラッチ22に係合可能な位置まで引込方向に移動可能となる。
【0047】
図8<c>に示すように、ストライカ10の爪部12cがフック部32fを乗越えると、引張りコイルばね41の復元力によりカム部32がR2方向に回動して、フック部32fが係合凹部12dに挿入することでストライカ10とラッチ22が係合する。この係合状態で引き戸Mを第2方向(移動終了位置から離間する方向)に移動させると、図8<d>に示すように、ストライカ10がラッチ22に捕捉された状態で、主ガイド路27aに沿って移動する。そして所定位置に至ると、当接体と前記当受体との係合が解除されるとともに前記当接体が待機位置に保持される前記第1の状態に復帰する。
【0048】
本実施形態によれば、誤動作状態からの復帰を可能とするとともに部品の破損を回避できる。すなわち、ラッチ22を移動中心線であるスライド軸Xから退避させながら揺動することにより、第3の状態から第1の状態への復帰が可能となる。また、ラッチ22を下方に移動させながら揺動する構成としたことにより、高さ寸法の許容範囲が大きく、寸法設定が容易である。また、この退避によりストライカ10とラッチ22とが衝突を防ぎ破損を回避することが可能である。また、自動復帰の際に部品を弾性変形させる必要がないため、弾性樹脂疲労等による部品の破損を防止でき、長期間性能を保つことが出来る。
【0049】
さらに、本実施形態によれば、ラッチ22を2軸構造として1つのスリット27内を移動するだけの単純な構成で、複数の異なる動作をすることが可能となる。
【0050】
また引張コイルばね41は、待機状態にあるラッチ22を引込方向に付勢することで待機路27bに引っ掛けて保持させる機能と、主ガイド路27aにあるラッチ22を引込方向に付勢して強制移動させる機能と、ラッチ22をR2方向に付勢する機能と、を有しており、単純な構成で複数の異なる機能を果たすことが出来る。
【0051】
[第2実施形態]
以下第2実施形態にかかる可動体のアシスト装置2について、図9乃至図12を参照して説明する。図9はアシスト装置2の一部を示す斜視図であり、カム132、ガイド部材140及びストライカ110を示している。図10はアシスト装置2を一部切欠して断面で示す側面図であり、図11は正常時の動作、図12は誤作動復帰時の動作を示す説明図である。
【0052】
アシスト装置2のストライカ110は板状部材を折曲形成した構造とした。アシスト装置2では、カム132にガイド係合部132eを設け、引っ張りコイルばね41とカム132との間にガイド部材140を介在させて連結し、引っ張りコイルばね41の動作を規制するように構成した。この他の構成及び動作については上記第1実施形態にかかる可動体のアシスト装置1と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0053】
ストライカ110は、一枚の板状の金属板を板金加工等により曲折して成形され、上枠F1に取り付けられる板状の取付部材111と、上枠F1から下方に突出する係合突起部112と、一体に備えている。取付部材11は、一対の平板上のベース111aと、ベース111aに設けられ、上枠F1に木螺子等の締結部材によりベース111aを上枠F1に固定する孔部111bと、を備えている。
【0054】
係合突起部12は、Y方向からの側面視で上方が開口する「コ」の字形状に形成されている。係合突起部112は、一方のベース111aと連続する板状の第1係合部113と、他方のベース111aと連続する板状の第2係合部114と、第1係合部113及び第2係合部114を連続させる連結部115と、を備えている。
【0055】
第1係合部113は、係合突起12の引き戸Mの移動終了位置側(第1方向側)に配置され、第2係合部114は、他方側(第2方向側)に配置される。第1係合部113の移動終了位置側の面は正常時にラッチ22のフック部132fと係合する第1の係合面113aを形成する。第2係合部114の移動終了位置側の端面は誤作動復帰時にフック部132fと係合する第2の係合面114aを形成する。また、第2係合部114の第2の係合面114aとは反対側の第2方向側の面は被押圧部132cを押圧する押圧面114bを形成する。
【0056】
連結部115は、第1係合部113の下端と第2係合部114の下端との間に渡される板状部材であり、そのY方向の幅が第1係合部113及び第2係合部114のY方向の幅よりも小さく形成されている。誤作動復帰時にはこの連結部115のY方向の両脇の空間に後述するラッチ22の一対のフック部132fが進入可能となるように設定されている。
【0057】
アシスト装置2のラッチ22は、ラッチベース31と、ラッチベース31の先端部に回動可能に連結したカム部132と、を備え、ハウジング21内の側壁21a,21a間に移動可能に支持されている。カム部132はレール部材140を介して引張りコイルばね41に連結されている。
【0058】
カム部132は、上記第1実施形態にかかるカム32と同様に、Y方向に沿う軸心C1を有するとともにY方向に突出する一対の第1軸部132bを有している。
【0059】
第1軸部132bはスリット27及び溝31bに挿通され回転可能かつスリット27内を移動可能に係合されている。誤作動復帰時には、第1軸部32bが退避路27cに沿って下方に移動しながら、カム部32が第2軸部32dを中心としてR1方向に回動しながら揺動する。
【0060】
カム部132は、第1軸部132bを中心に第1回動方向R1及びその逆の第2回動方向R2に回動可能に設けられている。カム部132は、その外周部において時計回りに順番に、キャッチャ132aと、被押圧部132cと、被付勢部132eと、一対の第2軸部132dと、を有して構成されている。
【0061】
キャッチャ132aはカム132の先端側に設けられ、R1方向に突出する一対のフック部132fを有している。フック部132fはY方向両側にそれぞれ設けられ、第1回動方向R1に突出する三角形の板状部材を有している。
【0062】
被押圧部132cはカム部32の上部において上方に突出形成され、可動体の移動によりストライカ110の押圧面114bに当接して引込方向に押圧される。
【0063】
一対の第2軸部132dは、キャッチャ132aに形成されY方向に沿う軸心C2を有するとともにY方向に突出形成され、スリット27内に移動可能に係合している。
【0064】
被付勢部132eは、補助移動体としてのガイド部材140を介在して間接的に引張りコイルばね41によって常時引き込み位置側に付勢されている。被付勢部132eは、カム132の第2軸部32dよりも後方の位置からR1方向に下方かつ前方に向かって突出形成される一対のガイド片132hを有して構成される。これらのガイド片132hの間にガイド部材140のガイドレール141が進入可能になっている。ガイド片132hの先端部132iがガイド部材140の係合壁141と当接し、ラッチ22の動作に応じてガイド部材140の前後位置を規制する。
【0065】
ガイド部材140はハウジング21内の側壁21a,21a間にスライド方向に沿って移動可能に支持されている。ガイド部材140の下部にはX方向に沿って延びるガイドレール142が立設されている。ガイドレール142はガイド部材140のY方向中央位置に形成され、前部分において前側の高さが増加するように傾斜している。ガイドレール142がガイド片132hの間に保持されてガイド部材140とカム132とが直線移動可能に係合している。ガイドレール142の前端にはZY平面を形成する係合壁141が立設形成されている。両係合壁141はガイドレール142のY方向両側に形成され、両ガイド片132hの先端部132iに当接している。
【0066】
ガイド部材140の他端側には引張コイルばね41の一端41aが係止されて連結される連結部143が形成されている。連結部143は例えば引張りコイルばね41の端部が収容されて係止される収容部143aが凹み形成されている。引張りコイルばね41によりガイド部材140が常時引込方向に引張られ、先端部132iと係合壁141とが常時当接するようになっている。
【0067】
カム132のR1及びR2方向の回動動作及び直線動作に伴って被付勢部132eの先端部132iが上下方向及び前後方向に移動すると、先端部132iに押されてガイド部材140が前後方向に移動する。すなわち、先端部132iの前後及び上下移動はガイド部材140の前後方向(X方向)のみの移動に変換されることになる。
【0068】
引張コイルばね41は、第1実施形態と同様にハウジング21の下部において、軸方向がスライド方向に沿うように配置されている。引張コイルばね41の一端はラッチ22の下部のガイド部材140に係止され、他端はハウジング21の連結部21bに連結されている。この引張コイルばね41は、ガイド部材140を介在して待機状態にあるラッチ22を引込方向に付勢することで待機路27bに引っ掛けて保持させる機能と、主ガイド路27aにあるラッチ22を引込方向に付勢して強制移動させる機能と、ラッチ22をR2方向に付勢する機能と、を有している。
【0069】
アシスト装置2の動作について図11及び図12を参照して説明する。第1状態から第2状態とする第1の動作について図11を参照して説明する。図11<a>に示す第1状態から操作者が引き戸Mを左側の移動終了位置である戸当りF1に向かって第1方向に移動させることにより、引き戸Mが第1の所定位置に至ると、ラッチ22がストライカ110に当接する。すると、図11<b>に示すように、ストライカ110が被押圧部132cを後方に押し込むことにより、第1軸部132bを中心としてカム部132がR1方向に回動する。
【0070】
この回動によってカム部132の先端のフック部132fがストライカ110に係合し、ラッチ22にストライカ110が捕捉されると同時に、下方の第2軸部132dが上方に移動して主ガイド路27aに入り込む位置に至り、待機路27bへの保持が解除されるとともに、主ガイド路27aの中心線であるスライド軸Xに沿って移動可能な状態となる。そして、引張コイルばね41の復元力によりハウジング21及び引き戸Mに対して右方にラッチ22が相対移動して引込位置まで相対移動させられる。この移動に伴い支持体F及びストライカ10に対して引き戸M及びハウジング21がスライド方向一端側に相対的に強制移動させられる。
【0071】
ここで、カム部132のR1方向の回動動作に伴い、先端部132iはハウジング21に対して前方かつ下方に相対移動する。このときガイド部材140は係合壁141に当接したまま先端部132iが係合壁141に対して下方に摺動しながら、係合壁141を前方に押圧することになる。そして、前後方向に移動可能なガイド部材140は引っ張りコイルばね41を伸ばしながら前方に移動する。このとき引張りコイルばね41の他端側はスライド方向前後に移動するが、上下方向には移動しないため、引張りコイルばね41のZ方向の位置は一定に維持される。第2状態から第1状態とする第2の動作では上記第1の動作と逆に図11<b>、<a>の順で動作する。
【0072】
図12に示すように誤作動状態から復帰する第3の動作の際には、図12<a>に示すようにストライカ110との係合が解除された状態でラッチ22が引込位置にある第3の状態から、引き戸Mが支持体に対して第1方向に移動すると、カム132bの一部(ここではフック部132f)がストライカ110に当接し、後方に押圧される。この押圧により、図12<b>に示すように、カム部132は、第2軸部132dを中心として、第1軸部132bが溝部31b及び退避路127cに沿って下方に移動しつつR1方向に回動しながら揺動する。
【0073】
この揺動により、キャッチャ132aのフック部132fの上端が第2状態よりも下方に退避することで、ストライカ110がフック部132fを乗越え可能となり、X方向に沿って移動することでラッチ22に係合可能な位置まで相対移動可能となる。
【0074】
カム132の第1軸部132bが退避路127cに沿って下方に移動しつつR1方向に回動しながら揺動すると、先端部132iはハウジング21に対して前方かつ下方に移動する。このとき先端部132iが係合壁141に当接したまま係合壁141に対してZ方向に摺動しつつ、係合壁141をスライド方向前方に押圧することとなる。そしてガイド部材140は引っ張りコイルばね41を伸ばしながら前方に移動する。このとき引張りコイルばね41の端部41aはスライド方向前後に移動するが、上下方向には移動しないため、引張りコイルばね41のZ方向の位置が一定に維持される。
【0075】
ストライカ110の第2係合部114がフック部132fを乗越えると、上記第1実施形態と同様に引張りコイルばね41の復元力によりカム部132がR2方向に回動して、図12<c>に示すように、フック部132fが連結部115の両脇に進入して第2の係合面114aと干渉することでストライカ110とラッチ22が係合する。この係合状態で引き戸Mを第2方向(移動終了位置から離間する方向)に移動させるとストライカ110がラッチ22に捕捉された状態で、主ガイド路27aに沿って移動する。そして所定位置に至ると、ストライカ110とラッチ22との係合が解除されるとともにラッチ22が待機位置に保持される第1の状態に復帰する。
【0076】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、第2実施形態にかかるアシスト装置2では、引張りコイルばね41の上下方向の移動を規制し、スライド方向に沿う伸縮運動のみに変換することで、引張りコイルばね41の可動範囲を規制することができ、小型化が可能となる。すなわち、引張りコイルばね41をラッチ22に直接連結する場合にはラッチ22の回動に伴ってZ方向に変位するが、本実施形態においてはラッチ22の回動動作を、ガイド部材140の係合壁141に当接させてスライド方向の移動に変換することにより、引張りコイルばね41の変位をスライド方向(X方向)のみとし、Z方向の位置を一定に保つことが可能となる。したがって、ハウジング21における引張りコイルばね41を収容するスペースを小さく抑え、アシスト装置2全体の小型化が可能となる。
【0077】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成や材質等は上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。
【0078】
例えば上記実施形態においては、可動体としての引き戸M側にアシストユニット20を備え、支持体としての戸枠F側にストライカ10を設けた場合について例示したが、これに限られるものではなく、可動体側にストライカ10を、支持体側にアシストユニット20を、それぞれ設けてもよい。上記第1実施形態と第2実施形態は異なる構造のストライカ10,110を例示したがこれに限られるものではなく、例えば組み合わせを変更してもよい。
【0079】
また、上記実施形態においては可動体が引き戸Mである場合について例示したが、吊り戸、昇降式のスライドドア等、他の可動体にも本発明を適用可能である。
【0080】
なお、本実施形態においては、正常時用と誤作動復帰時用とで個別の係合部凹部12b、12dを設け、フック部32fが異なる位置に係合する場合を例示したが、正常時用と誤作動復帰時用とで同じ位置に係合するようにしてもよい。この場合にも退避方向に揺動することで上記実施形態と同様に退避して再係合可能となる。
【0081】
上記実施形態においては一枚の引き戸Mに着目して説明したが、実際には同様の引き戸M及びアシストユニット20が2以上備えられている場合にも本発明を適用できる。
【0082】
さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。
【符号の説明】
【0083】
1、2…アシスト装置、10,110…ストライカ(当受体)、11…取付部材、12…係合突起部、12b…第1係合凹部、12c…係合爪、12d…第2係合凹部、
20…アシストユニット、21…ハウジング(基体)、21a.21a…側壁、
21b…連結部、22…ラッチ(当接体)、23…付勢機構、24…制動機構、
27…スリット、27a…主ガイド路、27b…待機路、27c…退避路、
31…ラッチベース、32,132…カム部、32a,132a…キャッチャ、32b,132b…第1軸部、32c,132c…被押圧部、32d,132d…第2軸部、32e…被付勢部、132e…ガイド係合部、32f,132f…フック部、132h…ガイド片、132i…先端部、140…ガイド部材、141…係合壁、50…ピストンダンパ、51…シリンダ、52…ピストンロッド。
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の可動体の動作を補助する可動体のアシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引き戸等の可動体の動作を補助するため、付勢機構を用いて強制移動をする可動体のアシスト装置が知られている。このような可動体のアシスト装置では、戸枠側には当受体が設けられ、引き戸側には当受体に係合可能な当接体が設けられている。当接体は待機位置と引き込み位置でスライド移動可能であり、付勢機構としての引張りコイルばねに連結されている。当接体は例えば先端に樹脂製の係合部を有し、この係合部が当受体と係合及び係合解除可能になっている。
【0003】
引き戸が閉めきられていない開位置にあるとき、当接体は、引張りコイルばねを最も引き伸ばした状態で待機位置保持されている。開位置から操作者が引き戸を閉位置に移動させると、その途中で当接体が当受体に突き当たり、当受体を捕捉する。同時に、待機位置での保持が解かれ、当接体が当受体を捕捉したまま引張りコイルばねに引張られて引込位置に向かって移動する。このため、この移動寸法の分引き戸が強制的に移動させられる。
【0004】
引き戸が閉位置にあるとき、当接体は、引張りコイルばねを圧縮した状態となっている。この閉位置から操作者が引き戸を開位置に向けて移動させると、引張りコイルばねを引張りながら引き戸が移動する。所定位置に至ると当接体が当受体を開放し、再び待機位置へ保持される。
【0005】
可動体のアシスト装置では、当接体が当受体に係合しないまま当接体が引込位置に位置する状態となる場合がある。この状態から復帰させる機構として、当接体に斜めのガイド面を設け、当受体との当接により当受体から退避する下向きに圧力を作用させて回動することにより当受体と当接体とを係合させることが行われている(例えば特許文献1参照)。このアシスト装置では、当接体は軸を中心として回動することで当受体に再係合するように所定の形状に構成され、当接体を収容した枠体が下向きに弾性変形するように形成され、かつ、枠体の変形を許容する隙間を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−169723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した技術では、次のような問題がある。すなわち、上記技術は軸を固定したまま当接体を回動させる構成であり、部品の変形をともなうと共に複雑な寸法設定が必要となる。
【0008】
そこで本発明は、単純な構成で誤動作状態からの復帰を可能とするとともに部品の破損を回避できる可動体のアシスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態にかかる可動体のアシスト装置は、支持体と前記支持体に相対的に移動する可動体とのいずれか一方側に設けられる当受体と、前記支持体と前記可動体とのいずれか他方側に設けられた基体と、前記当受体と係合及び係合解除可能であり、前記基体に対して第1位置と第2位置に至る移動経路に沿って移動可能であるとともに、前記移動経路から退避する方向に移動しつつ揺動可能に設けられた当接体と、前記当接体を付勢する付勢機構と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、誤動作状態からの復帰を可能とするとともに部品の破損を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかるアシスト装置を備えた引き戸の動作を示す説明図。
【図2】同実施形態にかかるアシスト装置を備えた引き戸の動作を示す説明図。
【図3】同実施形態にかかるアシストユニットの斜視図。
【図4】同実施形態にかかるストライカの斜視図。
【図5】同実施形態にかかるアシスト装置の側面図。
【図6】同実施形態にかかるアシストユニットの平面図。
【図7】同実施形態にかかるアシスト装置の正常時の動作を示す説明図。
【図8】同実施形態にかかるアシスト装置の誤作動時の動作を示す説明図。
【図9】第2実施形態にかかるアシスト装置の斜視図。
【図10】同アシスト装置の側面図。
【図11】同アシスト装置の正常時の動作を示す説明図。
【図12】同アシスト装置の誤作動時の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態かかる可動体のアシスト装置1について、図1乃至図8を参照して説明する。各図中矢印X,Y,Zはそれぞれ互いに直交する3方向を示す。ここでは例えばX軸はスライド方向に、Y軸は幅方向に、Z軸は上下方向に、それぞれ沿っている。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0013】
図1及び図2に示すように、アシスト装置1は、可動体及び支持体のうち一方に設けられる当受体としてのストライカ10と、可動体及び支持体のうち他方に設けられるアシストユニット20と、を備えて構成される。
【0014】
本実施形態において、例えば支持体は戸枠F、可動体は引き戸Mであり、可動体としての引き戸Mにアシストユニット20が設けられ、支持体としての戸枠Fにストライカ10が設けられる場合について例示する。
【0015】
図1に示すように、戸枠Fは、上枠F1、左枠F2、右枠F3、及び下枠を備えている。上枠F1にはスライド方向に沿う引き戸溝F4が形成されており、この引き戸溝F4に引き戸Mがスライド可能に収められている。
【0016】
引き戸Mの上端部には、スライド方向に沿ってアシストユニット20を収める溝M1が形成されている。なお、ここでは一枚の引き戸Mに着目し、左側が戸先側、右側が戸尻側とする。引き戸Mの戸先側である左端部には取っ手M2が形成されている。
【0017】
図1に示すように引き戸Mが左枠F2に接していない開状態を第1状態、図2に示すように戸先側の移動終了位置に移動されきって左枠F2に当接した閉状態を第2状態とする。
【0018】
アシスト装置1は、戸枠Fに設けられたストライカ10と、引き戸Mに設けられたアシストユニット20と、を備える。
【0019】
アシストユニット20は、引き戸Mの上端部の溝M1に設けられた基体としてのハウジング21と、ハウジング21のスライド方向一方側(図1中左側)の端部に収められ待機位置と引込位置との間でスライド移動可能に支持された当接体としてのラッチ22と、ラッチ22をハウジング21に対してスライド方向他方側(図1中右側)に付勢する付勢機構23と、ラッチ22に連結されラッチ22のスライド移動に抵抗力を付与して緩衝する制動機構24と、を備えている。
【0020】
戸枠Fの上端の引き戸溝F4には、左端から一定の位置にストライカ10が設けられている。図5に示すように、ストライカ10は、上枠F1に取り付けられる板状の取付部材11と、Y軸に直交する面をなし上枠F1から下方に突出する係合突起部12と、を有して構成されている。引き戸Mの移動により、係合突起部12が引き戸Mの上部の溝M1を通ってラッチ22に係合してアシストユニット20内に入り込み、あるいはアシストユニット20から出て解放されるようになっている。係合突起部12の端面は被押圧部32cを押圧する押圧面12aを形成し、係合突起部12のX方向一端側には上方に向かって凹む第1係合凹部12b(第1係合部)が形成されている。係合突起部12の端部にはY方向に突出する係合爪12cが形成されている。係合爪12cの裏側においてY方向両端が上方に向かって凹む三角形状の第2の係合凹部12d(第2係合部)が形成されている。第2の係合凹部12dは第1の係合凹部12bよりもスライド方向他端側(図5中右側)に配置されている。
【0021】
正常時における第1の動作と第2の動作の際にラッチ22のフック部32fが第1係合凹部12bに進入し、係合突起部12がキャッチャ32に捕捉される。また、誤作動復帰時における第3の動作の際にはラッチ22のY方向両側の一対の薄い板状のフック部32fが第2係合凹部12dに進入し、係合爪12cがキャッチャ32に捕捉される。これらの係合によりストライカ10がラッチ22に係合して、一体に移動するようになる。
【0022】
図3,5,6に示すように、ハウジング21は、上面開口でスライド方向に細長い箱状を成している。ハウジング21の後方部分は、Z方向中央に仕切板25が設けられ、上側の上部室25a、下側の下部室25bが形成されている。上部室25aの一端側は開放され、上部室25aを挟む側壁21a,21aの間にラッチベース31が収まるようになっている。なお、図3及び図5においては内部構造の説明のためにハウジング21の一部を切欠して断面を示している。
【0023】
ハウジング21の側壁21a,21aの一端側にはスリット27が設けられている。このスリット27は、X軸に沿って待機位置(第1位置)と引込位置(第2位置)に至って延びる主ガイド路27aと、主ガイド路27aの前端部の待機位置から湾曲して下方に延びる待機路27bと、主ガイド路27aの後方部分の引込位置から分岐して下方及び前方に向かって円弧状に湾曲して延びる退避路27cと、を連続して有した形状となっている。退避路27cは退避動作の際に第2軸部を中心とした円弧状を形成する。
【0024】
このスリット27には、ラッチ22の前端部に形成された第2軸部32dが回転可能に係合する。またスリット27における第2軸部32dよりも後方位置には、第1軸部32bが回転可能かつスライド移動可能に係合する。さらにスリット27の主ガイド路27aにはラッチベース31の突起部31aがスライド移動可能に係合する。
【0025】
ハウジング21の下部室25bには引張コイルばね41の端部をハウジング21に対して固定するための連結部21bが形成されている。連結部21bは例えば側壁21a,21a間に掛け渡された軸状部材であり、この連結部21bに引張コイルばね41の他端側が取り付けられる。
【0026】
図3,5,6に示すように、ラッチ22は、ラッチベース31と、ラッチベース31の先端部に回動可能に連結したカム部32と、を備え、ハウジング21内の側壁21a,21a間に移動可能に支持されている。
【0027】
ラッチベース31はX方向に細長形成された突起部31aを有している。突起部31aのスリット27への係合によりハウジング21の上部室25aを形成する一対の側壁21a,21aの間にラッチベース31がスライド可能に保持される。ラッチベース31の先端部には退避路27cに沿う円弧状の溝31bを有する支持片31cが設けられている。
【0028】
カム部32は、Y方向に沿う軸心C1を有するとともにY方向に突出する一対の第1軸部32bを有している。この第1軸部32bがスリット27及び溝31bに挿通され回転可能かつスリット27内を移動可能に係合されている。
【0029】
カム部32は、第1軸部32bを中心に第1回動方向R1及びその逆の第2回動方向R2に回動可能に設けられている。カム部32は、その外周部において時計回りに順番に、キャッチャ32aと、被押圧部32cと、被付勢部31eと、一対の第2軸部32dと、を有して構成されている。
【0030】
キャッチャ32aはカム部32の先端側に設けられ、R1方向に突出する一対のフック部32fを有している。フック部32fはY方向両側にそれぞれ設けられ、三角形の板状部材を有している。
【0031】
被押圧部32cはカム部32の上部において上方に突出形成され、可動体の移動によりストライカ10の当接面12aに当接して引込方向に押圧される。
【0032】
一対の第2軸部32dは、キャッチャ32aに形成されY方向に沿う軸心C2を有するとともにY方向に突出形成され、スリット27内に移動可能に係合している。
【0033】
被付勢部32eは、カム部32の下部に設けられ、第2軸部32dよりも後方かつ下方に位置している。この被付勢部32eはハウジング21の下部に配置され、引張コイルばね41の一端41aが連結されている。この引張りコイルばね41により被付勢部32eが常時引込方向に引張られる。
【0034】
付勢機構23は、第1の付勢手段としての引張コイルばね41で構成されている。引張コイルばね41は、ハウジング21の下部において、軸方向がスライド方向に沿うように配置されている。引張コイルばね41の一端はラッチ22の下部の被付勢部31eに連結され、他端はハウジング21の連結部21bに連結されている。この引張コイルばね41は、待機状態にあるラッチ22を引込方向に付勢することで待機路27bに引っ掛けて保持させる機能と、主ガイド路27aにあるラッチ22を引込方向に付勢して強制移動させる機能と、ラッチ22をR2方向に付勢する機能と、を有している。
【0035】
制動機構24は、ハウジング21の上部室25a内に設けられたピストンダンパ50を有して構成される。ピストンダンパ50は、内部に流体が封入されたシリンダ51と、シリンダ51内でラッチ22のスライド軸X上を往復動するピストンと、このピストンに連結されたピストンロッド52とを有している。
【0036】
ピストンロッド52の端部はハウジング21に固定され、ピストンに対向するシリンダ51の外側端部がラッチ22の後端に接続されている。
【0037】
制動機構24は、シリンダ51内に納められたピストンの動作にシリンダ51内の流体の流体対向を作用させることで、シリンダ51もしくはピストンロッド52の押し込み及び引張り動作に対して抵抗力を付与してラッチ22のハウジング21に対するスライド動作を制動する。なおシリンダ51に封入される流体としては典型的にはシリコンオイルなどの粘性流体が用いられるがこれに限られず、気体を用いてもよい。
【0038】
以下、本実施形態にかかるアシスト装置1の動作について図7及び図8を参照して説明する。
【0039】
図1及び図7<a>に示すように、引き戸Mがストライカ10に到達していない第1状態では、ラッチ22の第2軸部32dが待機路27bに引っかかり引張コイルばね41によって引張られることで保持され、ラッチ22がハウジング21の端部の待機位置に保持されている。
【0040】
第1状態から第2状態とする第1の動作について説明する。第1状態から操作者が引き戸Mを左側の戸当りF1に向かって移動させることにより、図7<b>に示すように引き戸Mが第1の所定位置に至ると、ラッチ22がストライカ10に当接する。すると、ストライカ10が被押圧部32cを後方に押し込むことにより、第1軸部32bを中心としてカム部32がR1方向に回動する。
【0041】
この回動によって、図7<c>に示すように、カム部32の先端のフック部32fがストライカ10に係合し、ラッチ22にストライカ10が捕捉される。また、カム部32がR1方向に回動すると同時に下方の第2軸部32dが上方に移動して主ガイド路27aに入り込む位置に至り、待機路27bへの保持が解除されるとともに、主ガイド路27aの中心線であるスライド軸Xに沿って移動可能な状態となる。
【0042】
そして、図7<d>に示すように、引張コイルばね41の復元力によりハウジング21及び引き戸Mに対して右方にラッチ22が相対移動して引込位置まで相対移動させられる。この移動に伴い支持体F及びストライカ10に対して引き戸M及びハウジング21がスライド方向一端側に相対的に強制移動させられる。このとき制動機構24により抵抗力が付与され、緩衝しながらゆっくり自動的に引き戸Mが閉まる方向に移動することとなる。
【0043】
次に、図2及び図7<d>に示す第2状態から第1状態とする第2の動作について説明する。この第2の動作では上記第1の動作と逆に図7<d>、<c>、<b>、<a>の順で動作する。引き戸Mが左側の終了位置に移動し切った第2状態から引き戸Mを右側に移動させる操作をすると、引張コイルばね41の付勢力に抗してラッチ22がストライカ10を捕捉したまま引き戸M及びハウジング21に対して一端側に相対移動しながら、引き戸Mが右側に移動する(図7<c>)。このとき、ラッチ22の後端はピストンダンパ50のピストンロッド52に連結されているため、ピストンを移動させつつシリンダ51内の流体の抵抗力を受ける。
【0044】
所定位置に至ると、図7<b>に示すように、被押圧部32cからストライカ10が離れて引張りコイルばね41の復元力により第1軸部32bを中心としてカム部32がR
2方向に回動する。この回動によりフック部32fが係合凹部13cから抜け出てストライカ10との係合が解除される。同時に第2軸部32dは主ガイド路27aの前端の待機位置に至り、第2軸部32dが下方の待機路27bに入り込むとともに、引張りコイルばね41により再び待機位置に保持される待機状態に戻る。この後、引き戸Mの移動は引張コイルばね41の付勢力から開放される。そしてストライカ10が解放され、図7<a>の第1状態に戻る。
【0045】
次に、第3の動作として、例えば誤作動等によりラッチ22がストライカ10に係合しないまま引込位置に移動してしまった第3の状態からの復帰動作について説明する。
【0046】
図8<a>に示すように、ストライカ10との係合が解除された状態でラッチ22が引込位置にある第3の状態から、引き戸Mが支持体に対して第1方向に移動すると、図8<b>に示すように、カムb32の一部(ここではフック部32f)がストライカ10に当接し、後方に押圧される。この押圧により、カム部32は、第2軸部32dを中心として、第1軸部32bが退避路27cに沿って下方に移動しつつR1方向に回動しながら揺動する。この揺動により、キャッチャ32aのフック部32fの上端が第2状態よりも下方に退避することで、ストライカ10がフック部32fを乗越え可能となり、X方向に沿って移動することでラッチ22に係合可能な位置まで引込方向に移動可能となる。
【0047】
図8<c>に示すように、ストライカ10の爪部12cがフック部32fを乗越えると、引張りコイルばね41の復元力によりカム部32がR2方向に回動して、フック部32fが係合凹部12dに挿入することでストライカ10とラッチ22が係合する。この係合状態で引き戸Mを第2方向(移動終了位置から離間する方向)に移動させると、図8<d>に示すように、ストライカ10がラッチ22に捕捉された状態で、主ガイド路27aに沿って移動する。そして所定位置に至ると、当接体と前記当受体との係合が解除されるとともに前記当接体が待機位置に保持される前記第1の状態に復帰する。
【0048】
本実施形態によれば、誤動作状態からの復帰を可能とするとともに部品の破損を回避できる。すなわち、ラッチ22を移動中心線であるスライド軸Xから退避させながら揺動することにより、第3の状態から第1の状態への復帰が可能となる。また、ラッチ22を下方に移動させながら揺動する構成としたことにより、高さ寸法の許容範囲が大きく、寸法設定が容易である。また、この退避によりストライカ10とラッチ22とが衝突を防ぎ破損を回避することが可能である。また、自動復帰の際に部品を弾性変形させる必要がないため、弾性樹脂疲労等による部品の破損を防止でき、長期間性能を保つことが出来る。
【0049】
さらに、本実施形態によれば、ラッチ22を2軸構造として1つのスリット27内を移動するだけの単純な構成で、複数の異なる動作をすることが可能となる。
【0050】
また引張コイルばね41は、待機状態にあるラッチ22を引込方向に付勢することで待機路27bに引っ掛けて保持させる機能と、主ガイド路27aにあるラッチ22を引込方向に付勢して強制移動させる機能と、ラッチ22をR2方向に付勢する機能と、を有しており、単純な構成で複数の異なる機能を果たすことが出来る。
【0051】
[第2実施形態]
以下第2実施形態にかかる可動体のアシスト装置2について、図9乃至図12を参照して説明する。図9はアシスト装置2の一部を示す斜視図であり、カム132、ガイド部材140及びストライカ110を示している。図10はアシスト装置2を一部切欠して断面で示す側面図であり、図11は正常時の動作、図12は誤作動復帰時の動作を示す説明図である。
【0052】
アシスト装置2のストライカ110は板状部材を折曲形成した構造とした。アシスト装置2では、カム132にガイド係合部132eを設け、引っ張りコイルばね41とカム132との間にガイド部材140を介在させて連結し、引っ張りコイルばね41の動作を規制するように構成した。この他の構成及び動作については上記第1実施形態にかかる可動体のアシスト装置1と同様であるため、共通する説明を省略する。
【0053】
ストライカ110は、一枚の板状の金属板を板金加工等により曲折して成形され、上枠F1に取り付けられる板状の取付部材111と、上枠F1から下方に突出する係合突起部112と、一体に備えている。取付部材11は、一対の平板上のベース111aと、ベース111aに設けられ、上枠F1に木螺子等の締結部材によりベース111aを上枠F1に固定する孔部111bと、を備えている。
【0054】
係合突起部12は、Y方向からの側面視で上方が開口する「コ」の字形状に形成されている。係合突起部112は、一方のベース111aと連続する板状の第1係合部113と、他方のベース111aと連続する板状の第2係合部114と、第1係合部113及び第2係合部114を連続させる連結部115と、を備えている。
【0055】
第1係合部113は、係合突起12の引き戸Mの移動終了位置側(第1方向側)に配置され、第2係合部114は、他方側(第2方向側)に配置される。第1係合部113の移動終了位置側の面は正常時にラッチ22のフック部132fと係合する第1の係合面113aを形成する。第2係合部114の移動終了位置側の端面は誤作動復帰時にフック部132fと係合する第2の係合面114aを形成する。また、第2係合部114の第2の係合面114aとは反対側の第2方向側の面は被押圧部132cを押圧する押圧面114bを形成する。
【0056】
連結部115は、第1係合部113の下端と第2係合部114の下端との間に渡される板状部材であり、そのY方向の幅が第1係合部113及び第2係合部114のY方向の幅よりも小さく形成されている。誤作動復帰時にはこの連結部115のY方向の両脇の空間に後述するラッチ22の一対のフック部132fが進入可能となるように設定されている。
【0057】
アシスト装置2のラッチ22は、ラッチベース31と、ラッチベース31の先端部に回動可能に連結したカム部132と、を備え、ハウジング21内の側壁21a,21a間に移動可能に支持されている。カム部132はレール部材140を介して引張りコイルばね41に連結されている。
【0058】
カム部132は、上記第1実施形態にかかるカム32と同様に、Y方向に沿う軸心C1を有するとともにY方向に突出する一対の第1軸部132bを有している。
【0059】
第1軸部132bはスリット27及び溝31bに挿通され回転可能かつスリット27内を移動可能に係合されている。誤作動復帰時には、第1軸部32bが退避路27cに沿って下方に移動しながら、カム部32が第2軸部32dを中心としてR1方向に回動しながら揺動する。
【0060】
カム部132は、第1軸部132bを中心に第1回動方向R1及びその逆の第2回動方向R2に回動可能に設けられている。カム部132は、その外周部において時計回りに順番に、キャッチャ132aと、被押圧部132cと、被付勢部132eと、一対の第2軸部132dと、を有して構成されている。
【0061】
キャッチャ132aはカム132の先端側に設けられ、R1方向に突出する一対のフック部132fを有している。フック部132fはY方向両側にそれぞれ設けられ、第1回動方向R1に突出する三角形の板状部材を有している。
【0062】
被押圧部132cはカム部32の上部において上方に突出形成され、可動体の移動によりストライカ110の押圧面114bに当接して引込方向に押圧される。
【0063】
一対の第2軸部132dは、キャッチャ132aに形成されY方向に沿う軸心C2を有するとともにY方向に突出形成され、スリット27内に移動可能に係合している。
【0064】
被付勢部132eは、補助移動体としてのガイド部材140を介在して間接的に引張りコイルばね41によって常時引き込み位置側に付勢されている。被付勢部132eは、カム132の第2軸部32dよりも後方の位置からR1方向に下方かつ前方に向かって突出形成される一対のガイド片132hを有して構成される。これらのガイド片132hの間にガイド部材140のガイドレール141が進入可能になっている。ガイド片132hの先端部132iがガイド部材140の係合壁141と当接し、ラッチ22の動作に応じてガイド部材140の前後位置を規制する。
【0065】
ガイド部材140はハウジング21内の側壁21a,21a間にスライド方向に沿って移動可能に支持されている。ガイド部材140の下部にはX方向に沿って延びるガイドレール142が立設されている。ガイドレール142はガイド部材140のY方向中央位置に形成され、前部分において前側の高さが増加するように傾斜している。ガイドレール142がガイド片132hの間に保持されてガイド部材140とカム132とが直線移動可能に係合している。ガイドレール142の前端にはZY平面を形成する係合壁141が立設形成されている。両係合壁141はガイドレール142のY方向両側に形成され、両ガイド片132hの先端部132iに当接している。
【0066】
ガイド部材140の他端側には引張コイルばね41の一端41aが係止されて連結される連結部143が形成されている。連結部143は例えば引張りコイルばね41の端部が収容されて係止される収容部143aが凹み形成されている。引張りコイルばね41によりガイド部材140が常時引込方向に引張られ、先端部132iと係合壁141とが常時当接するようになっている。
【0067】
カム132のR1及びR2方向の回動動作及び直線動作に伴って被付勢部132eの先端部132iが上下方向及び前後方向に移動すると、先端部132iに押されてガイド部材140が前後方向に移動する。すなわち、先端部132iの前後及び上下移動はガイド部材140の前後方向(X方向)のみの移動に変換されることになる。
【0068】
引張コイルばね41は、第1実施形態と同様にハウジング21の下部において、軸方向がスライド方向に沿うように配置されている。引張コイルばね41の一端はラッチ22の下部のガイド部材140に係止され、他端はハウジング21の連結部21bに連結されている。この引張コイルばね41は、ガイド部材140を介在して待機状態にあるラッチ22を引込方向に付勢することで待機路27bに引っ掛けて保持させる機能と、主ガイド路27aにあるラッチ22を引込方向に付勢して強制移動させる機能と、ラッチ22をR2方向に付勢する機能と、を有している。
【0069】
アシスト装置2の動作について図11及び図12を参照して説明する。第1状態から第2状態とする第1の動作について図11を参照して説明する。図11<a>に示す第1状態から操作者が引き戸Mを左側の移動終了位置である戸当りF1に向かって第1方向に移動させることにより、引き戸Mが第1の所定位置に至ると、ラッチ22がストライカ110に当接する。すると、図11<b>に示すように、ストライカ110が被押圧部132cを後方に押し込むことにより、第1軸部132bを中心としてカム部132がR1方向に回動する。
【0070】
この回動によってカム部132の先端のフック部132fがストライカ110に係合し、ラッチ22にストライカ110が捕捉されると同時に、下方の第2軸部132dが上方に移動して主ガイド路27aに入り込む位置に至り、待機路27bへの保持が解除されるとともに、主ガイド路27aの中心線であるスライド軸Xに沿って移動可能な状態となる。そして、引張コイルばね41の復元力によりハウジング21及び引き戸Mに対して右方にラッチ22が相対移動して引込位置まで相対移動させられる。この移動に伴い支持体F及びストライカ10に対して引き戸M及びハウジング21がスライド方向一端側に相対的に強制移動させられる。
【0071】
ここで、カム部132のR1方向の回動動作に伴い、先端部132iはハウジング21に対して前方かつ下方に相対移動する。このときガイド部材140は係合壁141に当接したまま先端部132iが係合壁141に対して下方に摺動しながら、係合壁141を前方に押圧することになる。そして、前後方向に移動可能なガイド部材140は引っ張りコイルばね41を伸ばしながら前方に移動する。このとき引張りコイルばね41の他端側はスライド方向前後に移動するが、上下方向には移動しないため、引張りコイルばね41のZ方向の位置は一定に維持される。第2状態から第1状態とする第2の動作では上記第1の動作と逆に図11<b>、<a>の順で動作する。
【0072】
図12に示すように誤作動状態から復帰する第3の動作の際には、図12<a>に示すようにストライカ110との係合が解除された状態でラッチ22が引込位置にある第3の状態から、引き戸Mが支持体に対して第1方向に移動すると、カム132bの一部(ここではフック部132f)がストライカ110に当接し、後方に押圧される。この押圧により、図12<b>に示すように、カム部132は、第2軸部132dを中心として、第1軸部132bが溝部31b及び退避路127cに沿って下方に移動しつつR1方向に回動しながら揺動する。
【0073】
この揺動により、キャッチャ132aのフック部132fの上端が第2状態よりも下方に退避することで、ストライカ110がフック部132fを乗越え可能となり、X方向に沿って移動することでラッチ22に係合可能な位置まで相対移動可能となる。
【0074】
カム132の第1軸部132bが退避路127cに沿って下方に移動しつつR1方向に回動しながら揺動すると、先端部132iはハウジング21に対して前方かつ下方に移動する。このとき先端部132iが係合壁141に当接したまま係合壁141に対してZ方向に摺動しつつ、係合壁141をスライド方向前方に押圧することとなる。そしてガイド部材140は引っ張りコイルばね41を伸ばしながら前方に移動する。このとき引張りコイルばね41の端部41aはスライド方向前後に移動するが、上下方向には移動しないため、引張りコイルばね41のZ方向の位置が一定に維持される。
【0075】
ストライカ110の第2係合部114がフック部132fを乗越えると、上記第1実施形態と同様に引張りコイルばね41の復元力によりカム部132がR2方向に回動して、図12<c>に示すように、フック部132fが連結部115の両脇に進入して第2の係合面114aと干渉することでストライカ110とラッチ22が係合する。この係合状態で引き戸Mを第2方向(移動終了位置から離間する方向)に移動させるとストライカ110がラッチ22に捕捉された状態で、主ガイド路27aに沿って移動する。そして所定位置に至ると、ストライカ110とラッチ22との係合が解除されるとともにラッチ22が待機位置に保持される第1の状態に復帰する。
【0076】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、第2実施形態にかかるアシスト装置2では、引張りコイルばね41の上下方向の移動を規制し、スライド方向に沿う伸縮運動のみに変換することで、引張りコイルばね41の可動範囲を規制することができ、小型化が可能となる。すなわち、引張りコイルばね41をラッチ22に直接連結する場合にはラッチ22の回動に伴ってZ方向に変位するが、本実施形態においてはラッチ22の回動動作を、ガイド部材140の係合壁141に当接させてスライド方向の移動に変換することにより、引張りコイルばね41の変位をスライド方向(X方向)のみとし、Z方向の位置を一定に保つことが可能となる。したがって、ハウジング21における引張りコイルばね41を収容するスペースを小さく抑え、アシスト装置2全体の小型化が可能となる。
【0077】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。また、各部の具体的構成や材質等は上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。
【0078】
例えば上記実施形態においては、可動体としての引き戸M側にアシストユニット20を備え、支持体としての戸枠F側にストライカ10を設けた場合について例示したが、これに限られるものではなく、可動体側にストライカ10を、支持体側にアシストユニット20を、それぞれ設けてもよい。上記第1実施形態と第2実施形態は異なる構造のストライカ10,110を例示したがこれに限られるものではなく、例えば組み合わせを変更してもよい。
【0079】
また、上記実施形態においては可動体が引き戸Mである場合について例示したが、吊り戸、昇降式のスライドドア等、他の可動体にも本発明を適用可能である。
【0080】
なお、本実施形態においては、正常時用と誤作動復帰時用とで個別の係合部凹部12b、12dを設け、フック部32fが異なる位置に係合する場合を例示したが、正常時用と誤作動復帰時用とで同じ位置に係合するようにしてもよい。この場合にも退避方向に揺動することで上記実施形態と同様に退避して再係合可能となる。
【0081】
上記実施形態においては一枚の引き戸Mに着目して説明したが、実際には同様の引き戸M及びアシストユニット20が2以上備えられている場合にも本発明を適用できる。
【0082】
さらに、上記実施形態の構成要件のうち一部を省略しても本発明を実現可能である。
【符号の説明】
【0083】
1、2…アシスト装置、10,110…ストライカ(当受体)、11…取付部材、12…係合突起部、12b…第1係合凹部、12c…係合爪、12d…第2係合凹部、
20…アシストユニット、21…ハウジング(基体)、21a.21a…側壁、
21b…連結部、22…ラッチ(当接体)、23…付勢機構、24…制動機構、
27…スリット、27a…主ガイド路、27b…待機路、27c…退避路、
31…ラッチベース、32,132…カム部、32a,132a…キャッチャ、32b,132b…第1軸部、32c,132c…被押圧部、32d,132d…第2軸部、32e…被付勢部、132e…ガイド係合部、32f,132f…フック部、132h…ガイド片、132i…先端部、140…ガイド部材、141…係合壁、50…ピストンダンパ、51…シリンダ、52…ピストンロッド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と前記支持体に相対的に移動する可動体とのいずれか一方側に設けられる当受体と、
前記支持体と前記可動体とのいずれか他方側に設けられた基体と、前記当受体と係合及び係合解除可能であり、前記基体に対して第1位置と第2位置に至る移動経路に沿って移動可能であるとともに、前記移動経路から退避する方向に移動しつつ揺動可能に設けられた当接体と、前記当接体を付勢する付勢機構と、を備えることを特徴とする可動体のアシスト装置。
【請求項2】
前記基体には、前記移動経路に沿って前記第1位置から前記第2位置に至って形成された主ガイド路と、前記主ガイド路の前記第2位置から曲がる退避路と、を連続して有するスリットが設けられ、
前記当接体は前記スリットに係合する第1軸部及び第2軸部を有し、前記第1位置において前記第1軸部を中心として第1回動方向に回動することで前記当受体と係合可能であり、前記第1軸部を中心として第1回動方向と反対の第2回動方向に回動することで前記係合を解除可能であり、前記移動経路から退避する際には前記主ガイド路にある前記第2軸部を中心として回動するとともに前記第1軸部が前記退避路に沿って移動しながら揺動することを特徴とする請求項1記載の可動体のアシスト装置。
【請求項3】
前記当接体の移動に抵抗力を付与する制動機構をさらに備え、
第1の動作では、前記当接体が前記第1位置に保持された第1状態から、前記可動体が前記支持体に対して第1方向に移動することにより、前記第1位置での保持が解除されるとともに前記当接体と前記当受体が係合した状態で前記付勢機構により前記当接体が第2方向に付勢されて移動することで、前記可動体が前記支持体に対して強制移動させられ、前記当接体と前記当受体が係合状態で前記第2位置に配される第2状態となり、
第2の動作では、前記当接体と前記当受体が係合状態で前記第2位置に配される第2状態から、前記可動体が前記支持体に対して前記第2方向に移動しながら前記当接体及び前記当受体が第1位置に向かって移動して所定位置に至ると、前記当接体と前記当受体との係合が解除されるとともに前記当接体が前記第1位置に保持される前記第1の状態となり、
第3の動作では、前記当接体と前記当受体の係合が解除された状態で前記当接体が前記第2位置にある第3の状態から、前記可動体が前記支持体に対して第1方向に移動すると、前記第2位置にある前記当接体が一時的に前記移動経路から退避しつつ、前記当受体が前記当接体と係合可能な位置まで第2方向に相対移動して前記当接体と係合し、係合状態で前記可動体が第1方向に移動しながら前記当接体及び前記当受体が第1位置に向かって移動して所定位置に至ると、前記当接体と前記当受体との係合が解除されるとともに前記当接体が前記第1位置に保持される前記第1の状態に復帰する、ことを特徴とする請求項2記載の可動体のアシスト装置。
【請求項4】
前記スリットは前記主ガイド路の前記第1位置から曲がる待機路を一体に有し、
前記当接体は、前記スリット内を移動可能な第1軸部を中心に回動するカム部を備え、
前記カム部は、前記可動体の移動により前記当受体に当接して押圧される被押圧部と、前記回動により前記当受体に係合及び係合及び係合解除可能なキャッチャと、前記スリット内を移動可能な第2軸部と、前記付勢機構によって前記第2方向に引張られる被付勢部と、を有し、
前記第1の動作では、前記可動体の前記第1方向への移動により、前記被押圧部が当受体に押圧されて前記カム部が第1回動方向に回動することにより、前記キャッチャにて前記当受体を捕捉すると同時に、前記第2軸部が前記待機路から前記主ガイド路に移動し、
前記第2の動作では、前記可動体の前記第2方向への移動により、前記被押圧部が当受体から離れて前記カム部が前記第2回動方向に回動することにより、前記キャッチャにて前記当受体を開放すると同時に、前記第2軸部が前記主ガイド路から前記待機路に移動し、
前記第3の動作では、前記可動体の前記第1方向への移動により、前記被押圧部が当受体に押圧されることにより、前記カム部が前記第2軸部を中心に一時的に前記第1回動方向に回動しながら前記第1軸部が前記退避路に移動する、ことを特徴とする請求項3記載の可動体のアシスト装置。
【請求項5】
前記当受体は、前記第1及び第2の動作において前記キャッチャが係合する第1係合部と、前記第3の動作において前記キャッチャが係合する第2係合部と、を有し、前記第2係合部は前記第1係合部よりも先端側に配置されることを特徴とする請求項4記載の可動体のアシスト装置。
【請求項6】
前記付勢機構は、その一端が前記当接体に連結され、その他端が前記ハウジングまたは前記可動体及び支持体のうちの他方側に連結された引張コイルばねを有し、
前記待機状態にある前記当接体を前記第2方向に付勢することで前記待機路に引っ掛けて保持させる機能と、
前記主ガイド路にある前記当接体を前記第2方向に付勢して移動させる機能と、
前記当接体を第2の回動方向に付勢する機能と、
を有する特徴とする請求項2乃至5のいずれか記載の可動体のアシスト装置。
【請求項7】
前記制動機構は、その一方が前記当接体に連結され、他方が前記基体または前記可動体及び支持体のうちの他方側にそれぞれ連結されるシリンダとピストンロッドを有するピストンダンパであって、前記シリンダに対するピストンロッドの押し込み及び引っ張り動作に対してシリンダ内の流体の抵抗力を付与することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の可動体のアシスト装置。
【請求項8】
前記カムの前記被付勢部と前記付勢機構とは、前記付勢機構の位置を規制するガイド部材を介して係合することを特徴とする請求項4記載の可動体のアシスト装置。
【請求項9】
前記付勢機構は、その一端が前記ガイド部材に連結され、その他端が前記基体または前記可動体及び支持体のうちの他方側に連結された引張コイルばねを有し、
前記ガイド部材は前記被付勢部に当接するとともに前記付勢機構によって前記第1方向に付勢され、前記カムの動作に伴って前記基体または前記可動体及び支持体のうちの他方側に対して前記第1方向及び前記第2方向に沿って相対移動可能に構成されたことを特徴とする請求項8記載の可動体のアシスト装置。
【請求項10】
前記ガイド部材は、前記被付勢部と当接係合する係合壁と、前記付勢機構に連結される連結部と、を備え、
前記ガイド部材の前記係合壁に沿って前記被付勢部が摺動しながら前記係合壁を押圧することにより、前記カムの回動に伴う前記被付勢部の変位を直線移動に変換して前記付勢機構に伝達することを特徴とする請求項9記載の可動体のアシスト装置。
【請求項11】
前記ガイド部材は、前記被付勢部と係合するガイドレールを備えるとともに前端部に前記係合壁が設けられ、
前記被付勢部は前記カムの前記第2軸体よりも後方の位置から前記第1回動方向に突出するガイド片を備え、
前記ガイド片の先端部が前記係合壁に当接することにより、前記ガイド部材を介して前記付勢機構により前記カムの前記被付勢部が第1方向に付勢されることを特徴とする請求項10記載の可動体のアシスト装置。
【請求項1】
支持体と前記支持体に相対的に移動する可動体とのいずれか一方側に設けられる当受体と、
前記支持体と前記可動体とのいずれか他方側に設けられた基体と、前記当受体と係合及び係合解除可能であり、前記基体に対して第1位置と第2位置に至る移動経路に沿って移動可能であるとともに、前記移動経路から退避する方向に移動しつつ揺動可能に設けられた当接体と、前記当接体を付勢する付勢機構と、を備えることを特徴とする可動体のアシスト装置。
【請求項2】
前記基体には、前記移動経路に沿って前記第1位置から前記第2位置に至って形成された主ガイド路と、前記主ガイド路の前記第2位置から曲がる退避路と、を連続して有するスリットが設けられ、
前記当接体は前記スリットに係合する第1軸部及び第2軸部を有し、前記第1位置において前記第1軸部を中心として第1回動方向に回動することで前記当受体と係合可能であり、前記第1軸部を中心として第1回動方向と反対の第2回動方向に回動することで前記係合を解除可能であり、前記移動経路から退避する際には前記主ガイド路にある前記第2軸部を中心として回動するとともに前記第1軸部が前記退避路に沿って移動しながら揺動することを特徴とする請求項1記載の可動体のアシスト装置。
【請求項3】
前記当接体の移動に抵抗力を付与する制動機構をさらに備え、
第1の動作では、前記当接体が前記第1位置に保持された第1状態から、前記可動体が前記支持体に対して第1方向に移動することにより、前記第1位置での保持が解除されるとともに前記当接体と前記当受体が係合した状態で前記付勢機構により前記当接体が第2方向に付勢されて移動することで、前記可動体が前記支持体に対して強制移動させられ、前記当接体と前記当受体が係合状態で前記第2位置に配される第2状態となり、
第2の動作では、前記当接体と前記当受体が係合状態で前記第2位置に配される第2状態から、前記可動体が前記支持体に対して前記第2方向に移動しながら前記当接体及び前記当受体が第1位置に向かって移動して所定位置に至ると、前記当接体と前記当受体との係合が解除されるとともに前記当接体が前記第1位置に保持される前記第1の状態となり、
第3の動作では、前記当接体と前記当受体の係合が解除された状態で前記当接体が前記第2位置にある第3の状態から、前記可動体が前記支持体に対して第1方向に移動すると、前記第2位置にある前記当接体が一時的に前記移動経路から退避しつつ、前記当受体が前記当接体と係合可能な位置まで第2方向に相対移動して前記当接体と係合し、係合状態で前記可動体が第1方向に移動しながら前記当接体及び前記当受体が第1位置に向かって移動して所定位置に至ると、前記当接体と前記当受体との係合が解除されるとともに前記当接体が前記第1位置に保持される前記第1の状態に復帰する、ことを特徴とする請求項2記載の可動体のアシスト装置。
【請求項4】
前記スリットは前記主ガイド路の前記第1位置から曲がる待機路を一体に有し、
前記当接体は、前記スリット内を移動可能な第1軸部を中心に回動するカム部を備え、
前記カム部は、前記可動体の移動により前記当受体に当接して押圧される被押圧部と、前記回動により前記当受体に係合及び係合及び係合解除可能なキャッチャと、前記スリット内を移動可能な第2軸部と、前記付勢機構によって前記第2方向に引張られる被付勢部と、を有し、
前記第1の動作では、前記可動体の前記第1方向への移動により、前記被押圧部が当受体に押圧されて前記カム部が第1回動方向に回動することにより、前記キャッチャにて前記当受体を捕捉すると同時に、前記第2軸部が前記待機路から前記主ガイド路に移動し、
前記第2の動作では、前記可動体の前記第2方向への移動により、前記被押圧部が当受体から離れて前記カム部が前記第2回動方向に回動することにより、前記キャッチャにて前記当受体を開放すると同時に、前記第2軸部が前記主ガイド路から前記待機路に移動し、
前記第3の動作では、前記可動体の前記第1方向への移動により、前記被押圧部が当受体に押圧されることにより、前記カム部が前記第2軸部を中心に一時的に前記第1回動方向に回動しながら前記第1軸部が前記退避路に移動する、ことを特徴とする請求項3記載の可動体のアシスト装置。
【請求項5】
前記当受体は、前記第1及び第2の動作において前記キャッチャが係合する第1係合部と、前記第3の動作において前記キャッチャが係合する第2係合部と、を有し、前記第2係合部は前記第1係合部よりも先端側に配置されることを特徴とする請求項4記載の可動体のアシスト装置。
【請求項6】
前記付勢機構は、その一端が前記当接体に連結され、その他端が前記ハウジングまたは前記可動体及び支持体のうちの他方側に連結された引張コイルばねを有し、
前記待機状態にある前記当接体を前記第2方向に付勢することで前記待機路に引っ掛けて保持させる機能と、
前記主ガイド路にある前記当接体を前記第2方向に付勢して移動させる機能と、
前記当接体を第2の回動方向に付勢する機能と、
を有する特徴とする請求項2乃至5のいずれか記載の可動体のアシスト装置。
【請求項7】
前記制動機構は、その一方が前記当接体に連結され、他方が前記基体または前記可動体及び支持体のうちの他方側にそれぞれ連結されるシリンダとピストンロッドを有するピストンダンパであって、前記シリンダに対するピストンロッドの押し込み及び引っ張り動作に対してシリンダ内の流体の抵抗力を付与することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の可動体のアシスト装置。
【請求項8】
前記カムの前記被付勢部と前記付勢機構とは、前記付勢機構の位置を規制するガイド部材を介して係合することを特徴とする請求項4記載の可動体のアシスト装置。
【請求項9】
前記付勢機構は、その一端が前記ガイド部材に連結され、その他端が前記基体または前記可動体及び支持体のうちの他方側に連結された引張コイルばねを有し、
前記ガイド部材は前記被付勢部に当接するとともに前記付勢機構によって前記第1方向に付勢され、前記カムの動作に伴って前記基体または前記可動体及び支持体のうちの他方側に対して前記第1方向及び前記第2方向に沿って相対移動可能に構成されたことを特徴とする請求項8記載の可動体のアシスト装置。
【請求項10】
前記ガイド部材は、前記被付勢部と当接係合する係合壁と、前記付勢機構に連結される連結部と、を備え、
前記ガイド部材の前記係合壁に沿って前記被付勢部が摺動しながら前記係合壁を押圧することにより、前記カムの回動に伴う前記被付勢部の変位を直線移動に変換して前記付勢機構に伝達することを特徴とする請求項9記載の可動体のアシスト装置。
【請求項11】
前記ガイド部材は、前記被付勢部と係合するガイドレールを備えるとともに前端部に前記係合壁が設けられ、
前記被付勢部は前記カムの前記第2軸体よりも後方の位置から前記第1回動方向に突出するガイド片を備え、
前記ガイド片の先端部が前記係合壁に当接することにより、前記ガイド部材を介して前記付勢機構により前記カムの前記被付勢部が第1方向に付勢されることを特徴とする請求項10記載の可動体のアシスト装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−207517(P2012−207517A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238531(P2011−238531)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
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