説明

可動式長尺物用リール

【課題】従来の走行巻取り式リールでは、走行巻取り中の逆走行によるリール部の逆回転防止の制御操作は、その都度クラッチ等の手動にて行っており、逆走行によるホース等長尺物の解け過ぎ解消の制御加減の操作が難しく、作業の操作性・効率性に問題があった。
【解決の手段】
走行移動巻取り式リールでの巻取り状態において、ホース等長尺物の巻乱れ等の矯正や方向変更など、装置の一時的な逆走行によるリール部の逆回転を防止し、ホース等長尺物の解け過ぎを防ぐ装置である。また、リール部の回転が停止された状態であっても更なる装置の前後方向への走行移動で逆回転防止装置は解除されて、ホース等長尺物の巻取りや引出しが行える装置であり、これらが、台車取手部の操作だけで、ホース等長尺物の引回しや巻取り及びリール部の逆回転の防止が自動的に行える装置の可動式長尺物用リールの逆回転防止装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
可動式長尺物用リールの逆走行による、リール部の逆回転を防止する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、走行巻取り式リールの、逆回転制御を行う装置として、摩擦板の圧接「特許文献1」を利用したものやクラッチ等「特許文献2」の手動操作による制御を行うもの他、釣具用リールの爪「特許文献3」等による開閉装置などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案出願公開 H01-169574 「ホースリール」
【特許文献2】特許出願公告 S55-5475 「スプレイ-散布車」
【特許文献3】実用新案公開 H06-013473 「リールの逆転防止装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の手動操作によるリール部の逆回転を防止する制御方法では、ホース等長尺物の巻取り中における巻乱れの矯正や方向変更等、一時的な装置の逆走行によるリール部の逆回転で、ホース等長尺物がリール部の内部側から弛み解け互いに絡み合いしいてはドラム縁から外れて各所に絡まるなど作業に支障が生じており、摩擦板の接圧やクラッチ等の制御又は爪等の開閉などの手動操作による制御を行っても、ホース等長尺物の解け過ぎの制御が難しく完全な解消には至らず、操作性・効率性にも乏しいものであった。
【0005】
この上記の作業操作を、装置の停止状態から引出しや巻取りの作業状態にするだけの通常の作業操作の中で、リール部の逆回転の防止や解除が自動的に行える可動式長尺物用リールの逆回転防止装置を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明 可動式長尺物用リールの逆回転防止装置は、ホース等長尺物の走行巻取り時において台車の方向変更等の一時的な逆走行による、リール部の逆回転を防止し、ホース等長尺物の解け過ぎ等を防止する装置である。
【0007】
(1)取手付き台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであって、リール部ドラムの両外側には軸化された受動輪が設けられており、台車部には軸受金具を遥動可能に止める支点が設けられ、軸受金具にはリール部の受動輪が回転可能に支えられて台車の支点に止められている。取手を倒し台車を傾斜させる事で、台車部の支点に止められた軸受金具はリール部・受動輪を支えたまま、台車の前方側から支点の後方側へ揺動回動し車輪と接触する。受動輪と車輪との接触連動により走行移動でホース等長尺物の巻取りが行える構造であって、
【0008】
台車部又は軸受金具の何れかには逆回転防止金具を止める支点が設けられ、その支点には逆回転防止金具が揺動可能に止められている。台車部の傾斜によるリール部・受動輪の遥動で車輪との接触連動回転が可能な状態となり、同時に逆回転防止金具も受動輪の外周側又は内周側に接触し、接触したままでリール部の巻取り回転が行われる。装置の逆走行によるリール部の逆回転で受動輪と逆回転防止金具との接触抵抗が増しリール部の回転は停止され、リール部の逆回転の防止が可能である事を特徴とする、可動式長尺物用リール。
【0009】
(2)逆回転防止金具と受動輪の外周側又は内周側の接触部には、鋸歯型等の凹凸等滑り止め構造を設ける事で互いの接触抵抗を増し確実な逆回転の防止が可能に構成されている事を特徴とする、(1)に記載の可動式長尺物用リール。
【0010】
(3)ホース等長尺物の走行巻取り時の逆走行によるリール部の回転が停止された状態においても、装置の更なる巻取りの前進走行では、逆回転防止金具と受動輪との接触抵抗は起こらずに、ホース等長尺物の巻取りは行われる。
【0011】
また、装置を引張る後退の逆走行においては、リール部は回転停止状態のままホース等長尺物に引張られて、車輪の前方側の台車部に遥動回動されて車輪から離れる、同時に逆回転防止装置も解除されて、ホース等長尺物の引出しが可能な状態となる事を特徴とする、(1)ないし(2)に記載の可動式長尺物用リール。
【0012】
したがって、受動輪には逆回転防止金具が接触した状態で回転巻取りが行われる構造で、逆回転防止金具との接触部は受動輪だけに限らずドラム等の接触でも可能に構成され、また、逆回転防止金具の形状や取付け位置等は夫々に構成可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明、可動式長尺物用リールの逆回転防止装置を用いれば、装置の逆走行によるリール部逆回転の都度、手動操作で行っていた逆回転防止の制御や開放操作の煩わしさが取り除かれ、取手を倒し台車を傾斜して走行移動するだけの通常作業の操作で、リール部の逆回転の防止や開放が自動的に行われ、装置の逆走行によるホース等長尺物の解け過ぎを防止し、さらに、逆走行によるリール部の停止された状態であっても、更なる装置の前後方向への走行移動で逆回転防止装置は解除される。これら逆回転防止の制御・開閉操作が台車取手部の作業操作だけで自動的に行える、可動式長尺物用リールの逆回転防止装置である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】は、装置全体を示す平面図視の説明図で、各部の要部構成を示した図。
【図2】は、装置停止の状態で、散水作業や装置格納の状態で、逆回転防止金具7は受動輪2 から離れ開放されたホース等長尺物の引出し可能な状態を示している。
【図3】は、台車3を傾斜した走行移動が可能なで状態の図である。車輪1と受動輪2が離れた状態で、逆回転防止装置の開放された、ホース等長尺物の引出しも可能な図を示している。
【図4】は、車輪1と受動輪2とが接触した連動回転可能な状態の図であり、逆回転防止金具7と受動輪2とが接触した状態で、走行巻取りの行える逆回転の防止が可能な図である。
【図5】は、受動輪2の軸内部に逆回転防止装置を設けた図で、受動輪2の内周面と逆回転防止金具7とが接触した状態を示した、ホース等長尺物の走行巻取りの行える図である。
【図6】は、軸受金具5とリール部・受動輪2の断面を示した図で、逆回転防止金具7が受動輪2の外周面に接触可能な位置関係を示した説明図である。
【図7】は、受動輪2の内周面に逆回転防止金具7が接触可能に構成された、軸受金具5とリール部・受動輪2の断面を示した説明図である。
【図8】は、逆回転防止金具7を台車3部の支点6に遥動可能に設けた説明図で、受動輪2と逆回転防止金具7とが接触した状態の側面視の説明図である、
【図9】は、本発明、可動式長尺物用リールをホースリールとして製作実施したイメージの図である。台車部3を傾斜した走行移動巻取りの状態であり、逆回転防止金具7と受動輪2とが接触したリール部の逆回転防止が可能に構成された図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明を図面により説明する。
【0016】
図1は、本発明の可動式長尺物用リールの概略構成を示す平面視の説明図。
【0017】
図2は、本可動式長尺物用リール停止状態の概略構成を示す側面視説明図であり、台車3の前方を接地した装置停止の状態で、装置の格納又は散水等の作業を行える状態であり、車輪1と受動輪2とが離れた状態で、受動輪2と逆回転防止金具7の接触部も開放されたホース等長尺物の引出し可能な状態を示した側面視の図である。
【0018】
図3は、本可動式長尺物用リールの走行移動可能な状態の側面視説明図である。台車3の取手部を車輪1の後方側に倒し台車部3を傾斜させた状態であっても、リール部の遥動は無く、逆回転防止金具7も開放された状態が維持された、装置の走行移動やホース等長尺物の引出しが可能な状態を示した図である。
【0019】
図4は、本可動式長尺物用リールの走行巻取り状態の側面視説明図である。台車3の取手部を更に後方側に倒す事で、リール部・受動輪2を台車3の支点4後方の車輪1側に遥動回動させ、車輪1と接触が行われ、同時にリール部・受動輪2を支持した軸受金具5の支点6も受動輪2の上側に回動する、支点6に止められた逆回転防止金具7は自重により自動的に下側の受動輪2に接触する、装置の逆走行によるリール部の逆回転で接触抵抗が増し、リール部の回転は停止され逆回転防止が可能に構成された側面視説明図である。
【0020】
図5は、逆回転防止金具7を受動輪2の内部側の軸受金具5に設けた側面視要部説明図である、逆回転防止金具7を軸受金具5の支点6に揺動可能に止め、受動輪2の内周面に逆回転防止金具7が接触し、装置の逆走行によるリール部の逆回転で接触抵抗が増し、リール部の逆回転防止が可能に構成されており、車輪1と受動輪2とが接触した連動回転可能なホース等長尺物の走行巻取りが行える状態を示している。
【0021】
また図示はないが、(図5)の台車部3の前方を接地した装置の停止(図2)又はの移動可能な状態(図3)においては、リール部・受動輪2は車輪1から離れ前方側に遥動回動し台車部3前方にて止まり、同時に軸受金具5の支点6も受動輪2の上部に遥動回動されて、支点6に止められた逆回転防止金具7は自重により受動輪2内周部から離れ支点6に吊下り、逆回転防止装置は解除されホース等長尺物の引出しが可能な状態となる。
【0022】
図6は、リール部と軸受金具5の断面視の説明図である。逆回転防止金具7を受動輪2の外周面に接・離可能に設けた形状を示している。
【0023】
図7は、逆回転防止装置を受動輪2内側の軸受部に設けたリール部と軸受金具5の断面視の説明図である。逆回転防止金具7を受動輪2の内周面に接・離可能に設けた状態の断面形状を示した図。
【0024】
図8は、逆回転防止金具7を台車部3の支点6に遥動可能に設けた側面視の説明図である。ホ−ス等長尺物巻取りの状態で、台車部3の支点6に止められた逆回転防止金具7が受動輪2の上部外周面に接触した、リール部の逆回転防止が可能に構成された説明図である。
【0025】
図9は、本装置をホースリールとして製作したイメージの図である。ホース等長尺物の走行巻取り状態で、受動輪2と逆回転防止金具7とが接触したままリール部の巻取り回転が行われる状態を示しており、装置の逆走行による受動輪2と逆回転防止金具7との接触抵抗が増しリール部の回転は停止し、逆回転防止が可能に構成された説明図である。
【0026】
上記説明するように 本可動式長尺物用リールの逆回転防止装置は、受動輪2と車輪1との接触連動によるホース等長尺物の走行移動巻取り状態において、装置の一時的な逆走行によるリール部の逆回転を防止する装置であり、リール部・受動輪2の外周面又は内周面には逆回転防止金具7が接触した状態で走行巻取りが行われ、逆走行による受動輪2と逆回転防止金具7との接触抵抗の増加によりリール部の回転が停止され、リール部の逆回転防止が可能に構成されている。
【0027】
受動輪2と逆回転防止金具7の接触部には凹凸等の滑り止め構造が設けられ、リール部の逆回転防止がより効果的に行われるよう構成されている。
【0028】
さらに、逆走行によるリール部の回転が停止された状態であっても、 さらに 装置を押して行う前進の巻取り走行では、受動輪1と逆回転防止金具7との間の接触抵抗は起こらずに、ホース等長尺物の巻取が容易に行われる構造である。
【0029】
また、逆走行によるリール部の回転が停止された状態でも、装置をさらに引張っる逆走行を行えば、リール部は回転停止のままホース等長尺物に引張られ、車輪1側から離れ台車部3の前方側に遥動回動する、同時に逆回転防止金具7の支点6も受動輪2の下側に遥動回動し逆回転防止金具7は自重により受動輪2から離れ前方へ遥動してリールの停止状態は解除され、ホース等長尺物の引出し可能な状態となる。
【0030】
したがって、リール部・受動輪2と車輪1とが接触した連動巻取りの状態では、逆回転防止金具7が受動輪2に接触したままでリール部の回転が行われ、装置の逆走行によるリール部の逆回転で接触抵抗が増し回転は停止する、また、リール部受動輪2と車輪1とが離れた状態では、逆回転防止金具7も受動輪2から離れ、逆回転防止金具は開放され、装置の移動やホース等長尺物の引出が抵抗なく行われる。
【実施例】
【0031】
図9は、本発明可動式長尺物用リールをホースリールとして試作実施したイメージの図である。車輪1と受動輪2が接触した状態で、装置を押して行うホース等長尺物の走行巻取り状態の図である。逆回転防止金具7は受動輪2に接触した状態で走行巻取りが行われている。また、装置を引張る逆走行では、逆回転防止金具7と受動輪2との接触抵抗が増しリール部の回転は停止され、ホース等長尺物の解け過ぎが防げる構造である。
【0032】
前記、逆回転防止装置によるリール部の回転が停止された状態であっても、更なる前進走行ではホース等長尺物の巻取りが行われ、また逆走行の後退走行では、リール部はホース等長尺物に引張られ、車輪1から離れ台車部3の前方に遥動回動される。同時に逆回転防止金具7の支点6も受動輪2の下側に回動され、逆回転防止金具7は自重により前方側に遥動し受動輪2から離れ接触部は解除されて、ホース等長尺物の引き出し可能な態に切替わる、これらが、取手部の操作だけで行える事を特徴としている。
【符号の説明】
【0033】
1、車輪
2、受動輪
3、台車
4、台車部に設けた軸受金具の支点
5、軸受金具
6、軸受金具に設けた逆回転防止金具の支点
7、逆回転防止金具
8、ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取手付き台車部にリール部が設けられた可動式長尺物用リールであって、
リール部の軸受金具又は台車部の何れかに設けられた支点には、逆回転防止金具が遥動可能に止められ遥動範囲において、逆回転防止金具とリール部の外周面又は内周面との接・離が可能に構成されている事を特徴とする。可動式長尺物用リール。
【請求項2】
リール部の外周面又は内周面と逆回転防止金具との接触部には、リール部の逆回転を防止する為の凹凸等滑り止め構造が設けられる事を特徴とする、請求項1に記載の可動式長尺物用リール。
【請求項3】
装置台車の逆走行によるリール部の回転が停止された状態であっても、台車部の更なる前・後方向への走行移動によってリール部の回転停止の状態が解除され、ホース等長尺物の巻取り又は引出し走行が可能に構成されている事を特徴とする、請求項1ないし請求項2に記載の可動式長尺物用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−6231(P2011−6231A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153214(P2009−153214)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(506005400)
【Fターム(参考)】