可動磁石を含む磁気コンベヤシステム、装置及び方法
開示されるものは、ハウジングとその中の可動磁石とを備えた磁気カップリングを有する磁気コンベヤシステム及び装置である。可動磁石は、一つの次元において実質的に束縛され、別の次元において動くように適合されている。可動磁石は、試料ラックの引力発生部分と磁気結合し、ラックを運搬面に沿って移動させるように適合されている。試料ラック中の開口した試料容器からのこぼれを最小限にしながらも試料ラックの移送しやすさが提供される。コンベヤシステムを作動させる方法が他の態様と同様に提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、試料ラックを臨床分析器との間で行き来させるための装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動化試験システム(たとえば臨床分析器)における体液試料(「検体」とも呼ぶ)の試験においては、試料容器(たとえば試験管、試料カップ、バイアルなど)が、試料ラック中、コンベヤシステムに沿って試験システムまで運ばれることがある。一つのタイプのコンベヤシステムは、試料ラックに磁気結合して、ラックを運搬面に沿って移動させる。ラックに磁気結合する行為は、動作中、試料容器中の流体試料のこぼれの一因となることがある。したがって、試料容器及び試料ラックが臨床分析器との間で行き来されるとき試料容器及び試料ラックを比較的混乱させず、それによって試料容器からのこぼれの傾向を低下させる装置、システム及び方法が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第一の態様による、改良された磁気コンベヤシステムが提供される。磁気コンベヤシステムは、一つ以上の試料容器を収容する試料ラック(引力発生部分を含む)がそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面、及び運搬面に隣接する状態で位置し、運搬面の方向に沿って移動可能な磁気カップリングを含み、磁気カップリングが、ハウジングと、ハウジングに対して動き、動作中、磁気カップリングが試料ラックの近くを横切るとき引力発生部分と磁気結合するように適合された可動磁石とを含み、ハウジング内の可動磁石の相対動が、運搬面に対して平行な方向において実質的に阻止され、運搬面に対して垂直な方向において移動可能である。
【0004】
方法の側面における、試料ラックを運ぶ改良された方法が提供される。試料ラックを運ぶ方法は、一つ以上の試料容器を収容する試料ラック(引力発生部分を含む)がそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面を提供すること、ハウジング及び可動磁石を含む磁気カップリングをその上に有するコンベヤコンポーネントを提供すること、及びコンベヤコンポーネントを移動させて、磁気カップリングが運搬面上の試料ラックに隣接する状態に配置されて、動く磁石が引力発生部分と磁気結合して試料ラックをコンベヤ面上で運ぶようにすることを含み、ハウジング内の可動磁石の相対動が、運搬面に対して平行な方向において実質的に阻止され、運搬面に対して垂直な方向において移動可能である。
【0005】
装置の側面における、改良された試料ラックコンベヤ装置が提供される。装置は、ベルト面を含むコンベヤベルトと、コンベヤベルト上に提供された磁気カップリングとを含み、磁気カップリングが、ハウジングと、ハウジングに対して動き、動作中、磁気カップリングが試料ラックの近くを横切るとき試料ラックの引力発生部分と磁気結合するように適合された可動磁石とを含み、ハウジング内の可動磁石の相対動が、ベルト面に対して平行な方向において実質的に阻止され、ベルト面に対して垂直な方向において移動可能である。
【0006】
本発明のさらに他の側面、特徴及び利点は、本発明を実施するための考えられる最良の形態を含むいくつかの例示的な実施態様及び具現化を示すことにより、以下の詳細な説明から容易に明らかになる。本発明はまた、他の実施態様及び異なる実施態様が可能であり、そのいくつかの詳細が、いずれも本発明の精神及び範囲を逸することなく、様々な点において変更されることができる。したがって、図面及び詳細な説明は、例示的な性質のものと見なされるべきであり、限定的と見なされるべきではない。図面は、必ずしも一定の尺度で描かれてはいない。本発明は、本発明の精神及び範囲に入るすべての変形、等価及び代替を包含するとしている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来技術の固定磁石を含む例示的な磁気コンベヤシステムの側面図である。
【図2】本発明の実施態様による、試料ラックと整列しない状態で示された磁気カップリングを含む例示的な磁気コンベヤシステムの側断面図である。
【図3】本発明の実施態様による、試料ラックと整列した磁気カップリングを含む例示的な磁気コンベヤシステムの側断面図である。
【図4】本発明の実施態様による、臨床分析器のためのラック送りシステムの一部として設けられた磁気コンベヤシステムの等角図である。
【図5】本発明の実施態様による、複数の磁気カップリングを含む磁気コンベヤ装置の等角図である。
【図6】本発明の実施態様による、試料ラックを運ぶ複数の磁気カップリングを含む磁気コンベヤシステムの側断面図である。
【図7】本発明の実施態様の磁気カップリングのハウジングの等角図である。
【図8】本発明の実施態様の磁気カップリングのハウジングの平面図である。
【図9】本発明の実施態様の磁気カップリングのハウジングの側面図である。
【図10】本発明の実施態様の磁気カップリングのハウジングの下面図である。
【図11】本発明の実施態様の図10のハウジングを線111−11から見た側断面図である。
【図12】本発明の実施態様の可動磁石の等角図である。
【図13】本発明の実施態様の吸収材の等角図である。
【図14】本発明の実施態様の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
図1に明確に示すような従来技術の磁気コンベヤシステム10において、コンベヤベルト14に取り付けられた磁気カップリング12は、試料ラック17の強磁性部材16と磁気結合して試料ラックをコンベヤ面18に沿って移動させる固定磁石15を含む。試料ラック17は、一つ以上の試料容器19を担持し、鋼板のような強磁性部材16をその底部に含む。運ぶ磁石の強さを増すことが輸送の信頼性を改善する。本発明者らは、運ぶ磁石の磁場強さが増すと、磁気カップリング12の磁石15が試料ラック17に接近するとき、そのような従来技術システムが、受け入れがたい速さでラック17を加速するおそれがあることを認識した。これが、磁気カップリング12の方向へのラック17の飛び跳ね及び開口した試料容器19に含まれた試料流体のこぼれを招くおそれがある。このこぼれ状態は、患者試料の損失を招き、臨床分析器(図示せず)、コンベヤ面18を汚染し、おそらくは、運ばれる試料容器中の試料流体を、他の試料容器19に含まれた他の試料流体と混合させ、おそらくは、清浄/メンテナンスのための分析器ダウンタイムを必要とさせるおそれがあるため、受け入れがたい。
【0009】
前述の課題に鑑みると、磁気コンベヤシステムによって運ばれるときの試料ラックの飛び跳ねによって生じる、そのような試料容器からのこぼれの傾向を減らすという、未だ対処されていない要請がある。この要請に対処するために、本発明のいくつかの側面による実施態様は、可動磁石を含む磁気コンベヤシステム及び磁気コンベヤ装置を提供する。磁気コンベヤシステムは、一つ以上の試料容器を収容する試料ラックがそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面(たとえば低摩擦平坦面)を含む。試料ラックは引力発生部分を含む。磁気カップリングが、運搬面に隣接する状態で(たとえばその下に)位置し、運搬面の方向に沿って(たとえば線形ベクトル経路に沿って)移動可能である。磁気カップリングは、ハウジングと、ハウジングに対して動くように適合された可動磁石とを含む。動作中、可動磁石は、磁気カップリングが運搬面上の試料ラックの近くを横切るとき、試料ラックの引力発生部分と磁気結合する。ハウジング内の可動磁石の相対動は、運搬面に対して平行な方向においては実質的に阻止されるが、運搬面に対して垂直な方向においては(たとえば、ハウジング内のチャネルの軸に沿っては)自由に移動可能である。その結果、磁気カップリングがラックに接近するとき、可動磁石はより運搬面の近くまで移動する。したがって、磁気カップリングが試料ラックと整列するとき、試料ラックに作用する引張り力を減らすことなく、試料ラックの加速は減少する。これが、こぼれを比較的少なくすることができる。
【0010】
以下、図2〜14を参照して、本発明のこれら及び他の態様及び特徴を説明する。
【0011】
図2及び3に明確に示すような本発明の第一の実施態様による、磁気コンベヤシステム200を説明する。磁気コンベヤシステム200は、一つ以上の試料容器206を収容する試料ラック204がその上を運ばれるように適合されている運搬面202を含む。試料容器206は、試験管、カップ、バイアル又は他の形態の容器であることができ、運ばれる試料流体207(たとえば血液、血漿、尿、間質液など)を受けるように適合されている。試料ラック204は、ボディ205及びボディ中に提供された、鋼スラグ、パック又は板のような強磁性部材であることができる引力発生部分208を含む。たとえば、引力発生部分208は、ステンレス鋼材料(たとえば400系ステンレス)のような強磁性材料から製造されることができる。場合によっては、引力発生部分208は、亜鉛めっきのような表面めっきを有する強磁性材料から製造されることもできる。引力発生部分208は、ラック204のボディ205の底に形成された凹みの中に受けられ、接着剤、プレス嵌め又は適当な機械的手段(ボルト締め又はねじ締め)によってその中に固定されることができる。試料ラック204のボディ205はプラスチック又は他の適当な低摩擦材料であることができる。コンベヤ面202は一般に平坦な低摩擦面であることができる。たとえば、コンベヤ面202は、厚さ約0.09インチ(約2.3mm)のアルミニウム板上に提供された薄いTeflon(登録商標)コーティングを有することもできる。しかし、非磁性材料を板材として使用することもできる。
【0012】
磁気コンベヤシステム200はさらに、運搬面202に隣接する状態で移動するように位置し、構成された一つ以上の磁気カップリング210(好ましくは複数の磁気カップリング210)を含む。たとえば、磁気カップリング210は、運搬面202の、ラック204とは反対の側(たとえば運搬面202の下)に提供されることができる。一つ以上の磁気カップリング210は、前進動を示す矢印211によって示すように、運搬面202の方向に沿って相対的に移動可能である。しかし、本コンベヤシステム200は、前進又は後退のいずれの方向、すなわち、コンベヤシステム200の一端に提供された臨床分析器との間を行き来する方向にラック202を運ぶために使用されることができることが理解されよう。
【0013】
各磁気カップリング210は、ハウジング212と、ハウジング212のチャネル215の中に受けられた可動磁石214とを含む。可動磁石214は、ハウジング212に対してチャネル215中で動き(たとえば滑動し)、動作中、コンベヤコンポーネント216の移動によって磁気カップリング210が試料ラック204の近くを横切るとき、引力発生部分208と磁気結合するように適合されている。一つの例示的なコンベヤコンポーネント216は、運搬面202に隣接する経路に沿って磁気カップリング210を移動させるように構成されているコンベヤベルトである。しかし、チェーン、バンド、ケーブル、ストラップ、ボールねじ、リニア軸受けなどの適当なコンベヤコンポーネント216を使用することもできる。
【0014】
ハウジング212のチャネル215内の可動磁石214の相対動は、運搬面202の平面に対して平行な方向においては実質的に阻止される(たとえば、図2及び3に示すような側方動)。可動磁石214は、運搬面202の平面に対して垂直な方向(たとえば、図示するように垂直方向)においては自由に動く(たとえば往復運動する)ことができる。具体的には、可動磁石214は、ハウジング212中、ハウジング212中に形成されたチャネル215の側壁218によって横方向の動きを阻止されるが、チャネル215の軸に沿っては動くことを許される。磁石214がチャネル内で滑動するが、固まることのないよう、側壁218と磁石214との間にはわずかな間隙/あそびがあってもよい。磁石214は、試料ラック204と結合するために自由運動の方向に動くのに十分な強さである磁場強さを有する必要がある。いくつかの実施態様においては、チャネル215内での軸方向への磁石214の動きを支援するために、ばね(図示せず)が加えられてもよい。例示的なハウジング212のさらなる図が図7〜11に示されている。
【0015】
図2〜3に示す実施態様において、側壁218は、磁石がハウジング212中のチャネル215の軸に沿って(たとえば図示するように垂直方向に)自由に滑動することができるよう、可動磁石214の径方向周りのいくつかの径方向位置に配置され、かつそれからわずかに離間した二つ以上の垂直方向のリブを含むことができる。側壁218のリブは、狭い幅を有することができ、チャネル215と磁石214との間の滑り接触面積を減らすことによって磁石214に作用する摩擦を減らすことができる。ハウジング212は、摩擦を減らすための他の手段、たとえば適当な潤滑(たとえばオイル、Teflon(登録商標)、グラファイトなど)を含むこともできる。さらに、ハウジング212は、低摩擦材料、たとえば成形又は機械加工されることもできる処理されたプラスチック(たとえばLUBRILOY(商標))によりなることもできる。LUBRILOY(商標)は、SABIC Innovative Plastics社から市販されているポリカーボネート材料である。
【0016】
ハウジング212は、ボルト締め、ねじ締め、接着剤結合、クランプ締めなどの適当な手段によってコンベヤコンポーネント216(たとえばベルト)に接続されることができる。他の実施態様において、ハウジング212は、コンベヤコンポーネント216と一体になるように形成されることもできる。たとえば、ハウジング212の一部分がコンベヤベルトのポリウレタンベルトに一体に結合されることもできる。
【0017】
本実施態様において、磁石214は、ネオジム磁石のような適当な高強度磁石であることができる。磁石214は、亜鉛めっきのようなめっき面を含むことができ、装填されたラック204を運搬面202に沿って引くために必要な適当な強さであることができる。ディスク形を有し、約0.25インチ(約6.4mm)の軸方向厚さ(t)及び約0.625インチ(約15.9mm)の外径(d)を有する38MGOディスク形磁石(図12を参照)が、引力発生部分208を十分に引き寄せるということが見いだされ、五つの試料容器206を装填されたラック204の重量の半分をコンベヤシステム200の運搬面202に沿って滑らかに引くのに十分である。
【0018】
コンベヤシステム200は、図4に示すようなコンベヤアセンブリ416の一部であることができる。コンベヤアセンブリは、一つ以上の試料容器206を収容する一つ以上の試料ラック204をコンベヤ面202に沿って運搬面の端部202Aにおける位置まで運ぶ(又はその位置との間で行き来させる)ように適合されている。運搬面の端部202Aは、試料ラック204が臨床分析器(図示せず)によってアクセスされることができる位置であることができる。たとえば、端部202Aに位置するラック全体206が取り出され、臨床分析器の中に配置され、そこで、試料容器206に収容された試料流体に対して試験が実施されることもできるし、端部202Aにおいてプローブ(図示せず)が簡単に試料容器にアクセスすることもできる。
【0019】
図2〜3に示す実施態様のようないくつかの実施態様による、チャネル215は、可動磁石214が、図2に示す「休止位置」から図3に示す「賦活位置」まで動くとき、その衝撃を減衰させるように適合されている、その少なくとも一端に位置し、配置された吸収材219を含むことができる。賦活位置において、動く磁石214は、引力発生部分208にもっとも近い固定位置に引き寄せられ、そこまで移動し、すなわち、吸収材219と接触する。可動磁石214が移動する間隙距離(g)は、設計上の考慮、たとえばラック204及び試料容器206の重量ならびに磁石214の強さに依存して異なることがあるが、約0.187インチ(約4.8mm)の間隙が、本明細書に記載される磁石214にとって十分であることがわかった。間隙(g)は、図3に示すように、磁気カップリング210が経路に沿って移動し、ラック204の近くに来たとき磁石214がそれ自体をハウジング中で賦活位置まで引き上げることができるよう、十分に小さいものであるべきである。
【0020】
図13に明確に見られる吸収材219は、動く磁石214が賦活位置まで動くときその音及び/又は衝撃を減らすように適合されている適当な吸収性材料から製造されることができる。たとえば、吸収材219は、固体もしくは発泡エラストマー材料、たとえばシリコーン又は合成もしくは天然ゴム材料、ばね、フェルト材料などであることができる。厚さ約0.1875インチ(約5mm)のディスク形シリコーンフォームパッドが、本明細書に記載される磁石214の衝撃を十分に減衰するということがわかった。吸収材219は、接着剤など(たとえば感圧接着剤)によってハウジング212の下面に固定され、チャネル215の端部に配置されることができる。
【0021】
図5の実施態様のようないくつかの実施態様においては、各試料ラック204の重量の半分だけが、二つの協働する横並びの磁石カップリング210それぞれに沿って引かれる。たとえば、図5及び6に明確に示すようなコンベヤシステム200の磁気コンベヤ装置518は、磁石カップリング210が、ラック204の各端に提供された引き寄せ部分208(試料ラック204の各端に一つずつ)を引き寄せるとき、ラック204をコンベヤ面202に沿って引く。したがって、磁気コンベヤシステム200は、試料ラック204が運搬面202に沿って横切るとき、それらを均等に、回転なしで運ぶことができる。
【0022】
図5〜6から見てとれるように、磁気コンベヤ装置518は、コンベヤコンポーネント216(たとえばコンベヤベルト)が上に載せられるいくつかのコンベヤホイール520を含むことができる。ホイール520は、車軸などによってフレーム522に対して回転するように取り付けられることができ、ホイール520及びコンベヤコンポーネント216は、適当なモータ524及び駆動システム526によって駆動されることができる。コンベヤコンポーネント216及びホイール520は、ホイール520に対して牽引力を提供するのに役立つコグを含むことができる。
【0023】
本発明のいくつかの態様による磁気コンベヤシステム200、磁気コンベヤ装置518及び方法を使用する一つの利点は、試料ラック204が運搬面202に沿って運ばれるとき、ラック204の横方向加速(飛び跳ね)を減らすことにより、開口した試料容器206中の流体試料のこぼれの傾向を最小限にすることができることである。しかし、ラック204を運搬面202に沿って引く運搬(引張り)力は、固定磁石構成に比較しても減少しない。さらには、試料ラック204の運搬速度を従来システムに比較して増すことができる。さらには、横方向に拘束された磁石設計が、より小さく、よりコンパクトな磁気カップリング210の設計を可能にして、おそらくは、より小さなコンベヤホイール、単位長あたりより多数のカップリング(すなわち、より高いカップリング密度)をもたらす。さらに、コンベヤシステム200は、搬送面202に沿った試料ラック204の二方向移動に容易に適合される。
【0024】
以下、図14を参照して本発明の方法の動作をさらに詳細に説明する。試料ラックを運ぶ方法1400は、1402において、一つ以上の試料容器206を収容する試料ラック(引力発生部分208を含む)がそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面202を提供すること、1404において、ハウジング212及び可動磁石214を含む磁気カップリング210をその上に有するコンベヤコンポーネント216を提供すること、及び、1406において、コンベヤコンポーネント216を移動させて、磁気カップリング210が運搬面202上で試料ラック204に隣接する状態に配置されて、動く磁石214が引力発生部分208と磁気結合して試料ラック204をコンベヤ面202上で運ぶようにすることを含み、ハウジング212内の可動磁石214の相対動が、運搬面202に対して平行な方向において実質的に阻止され、運搬面202に対して垂直な方向において自由に移動可能である。
【0025】
本発明は、様々な変形及び代替形態が可能であるが、その特定のシステム及び装置実施態様ならびにその方法が実例として図面に示され、本明細書において詳細に説明された。しかし、これは、本発明を、開示された特定のシステム、装置又は方法に限定することを意図したものではなく、それどころか、意図は、本発明の精神及び範囲に入るすべての変形、等価及び代替を包含することである。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、試料ラックを臨床分析器との間で行き来させるための装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動化試験システム(たとえば臨床分析器)における体液試料(「検体」とも呼ぶ)の試験においては、試料容器(たとえば試験管、試料カップ、バイアルなど)が、試料ラック中、コンベヤシステムに沿って試験システムまで運ばれることがある。一つのタイプのコンベヤシステムは、試料ラックに磁気結合して、ラックを運搬面に沿って移動させる。ラックに磁気結合する行為は、動作中、試料容器中の流体試料のこぼれの一因となることがある。したがって、試料容器及び試料ラックが臨床分析器との間で行き来されるとき試料容器及び試料ラックを比較的混乱させず、それによって試料容器からのこぼれの傾向を低下させる装置、システム及び方法が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第一の態様による、改良された磁気コンベヤシステムが提供される。磁気コンベヤシステムは、一つ以上の試料容器を収容する試料ラック(引力発生部分を含む)がそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面、及び運搬面に隣接する状態で位置し、運搬面の方向に沿って移動可能な磁気カップリングを含み、磁気カップリングが、ハウジングと、ハウジングに対して動き、動作中、磁気カップリングが試料ラックの近くを横切るとき引力発生部分と磁気結合するように適合された可動磁石とを含み、ハウジング内の可動磁石の相対動が、運搬面に対して平行な方向において実質的に阻止され、運搬面に対して垂直な方向において移動可能である。
【0004】
方法の側面における、試料ラックを運ぶ改良された方法が提供される。試料ラックを運ぶ方法は、一つ以上の試料容器を収容する試料ラック(引力発生部分を含む)がそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面を提供すること、ハウジング及び可動磁石を含む磁気カップリングをその上に有するコンベヤコンポーネントを提供すること、及びコンベヤコンポーネントを移動させて、磁気カップリングが運搬面上の試料ラックに隣接する状態に配置されて、動く磁石が引力発生部分と磁気結合して試料ラックをコンベヤ面上で運ぶようにすることを含み、ハウジング内の可動磁石の相対動が、運搬面に対して平行な方向において実質的に阻止され、運搬面に対して垂直な方向において移動可能である。
【0005】
装置の側面における、改良された試料ラックコンベヤ装置が提供される。装置は、ベルト面を含むコンベヤベルトと、コンベヤベルト上に提供された磁気カップリングとを含み、磁気カップリングが、ハウジングと、ハウジングに対して動き、動作中、磁気カップリングが試料ラックの近くを横切るとき試料ラックの引力発生部分と磁気結合するように適合された可動磁石とを含み、ハウジング内の可動磁石の相対動が、ベルト面に対して平行な方向において実質的に阻止され、ベルト面に対して垂直な方向において移動可能である。
【0006】
本発明のさらに他の側面、特徴及び利点は、本発明を実施するための考えられる最良の形態を含むいくつかの例示的な実施態様及び具現化を示すことにより、以下の詳細な説明から容易に明らかになる。本発明はまた、他の実施態様及び異なる実施態様が可能であり、そのいくつかの詳細が、いずれも本発明の精神及び範囲を逸することなく、様々な点において変更されることができる。したがって、図面及び詳細な説明は、例示的な性質のものと見なされるべきであり、限定的と見なされるべきではない。図面は、必ずしも一定の尺度で描かれてはいない。本発明は、本発明の精神及び範囲に入るすべての変形、等価及び代替を包含するとしている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来技術の固定磁石を含む例示的な磁気コンベヤシステムの側面図である。
【図2】本発明の実施態様による、試料ラックと整列しない状態で示された磁気カップリングを含む例示的な磁気コンベヤシステムの側断面図である。
【図3】本発明の実施態様による、試料ラックと整列した磁気カップリングを含む例示的な磁気コンベヤシステムの側断面図である。
【図4】本発明の実施態様による、臨床分析器のためのラック送りシステムの一部として設けられた磁気コンベヤシステムの等角図である。
【図5】本発明の実施態様による、複数の磁気カップリングを含む磁気コンベヤ装置の等角図である。
【図6】本発明の実施態様による、試料ラックを運ぶ複数の磁気カップリングを含む磁気コンベヤシステムの側断面図である。
【図7】本発明の実施態様の磁気カップリングのハウジングの等角図である。
【図8】本発明の実施態様の磁気カップリングのハウジングの平面図である。
【図9】本発明の実施態様の磁気カップリングのハウジングの側面図である。
【図10】本発明の実施態様の磁気カップリングのハウジングの下面図である。
【図11】本発明の実施態様の図10のハウジングを線111−11から見た側断面図である。
【図12】本発明の実施態様の可動磁石の等角図である。
【図13】本発明の実施態様の吸収材の等角図である。
【図14】本発明の実施態様の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
図1に明確に示すような従来技術の磁気コンベヤシステム10において、コンベヤベルト14に取り付けられた磁気カップリング12は、試料ラック17の強磁性部材16と磁気結合して試料ラックをコンベヤ面18に沿って移動させる固定磁石15を含む。試料ラック17は、一つ以上の試料容器19を担持し、鋼板のような強磁性部材16をその底部に含む。運ぶ磁石の強さを増すことが輸送の信頼性を改善する。本発明者らは、運ぶ磁石の磁場強さが増すと、磁気カップリング12の磁石15が試料ラック17に接近するとき、そのような従来技術システムが、受け入れがたい速さでラック17を加速するおそれがあることを認識した。これが、磁気カップリング12の方向へのラック17の飛び跳ね及び開口した試料容器19に含まれた試料流体のこぼれを招くおそれがある。このこぼれ状態は、患者試料の損失を招き、臨床分析器(図示せず)、コンベヤ面18を汚染し、おそらくは、運ばれる試料容器中の試料流体を、他の試料容器19に含まれた他の試料流体と混合させ、おそらくは、清浄/メンテナンスのための分析器ダウンタイムを必要とさせるおそれがあるため、受け入れがたい。
【0009】
前述の課題に鑑みると、磁気コンベヤシステムによって運ばれるときの試料ラックの飛び跳ねによって生じる、そのような試料容器からのこぼれの傾向を減らすという、未だ対処されていない要請がある。この要請に対処するために、本発明のいくつかの側面による実施態様は、可動磁石を含む磁気コンベヤシステム及び磁気コンベヤ装置を提供する。磁気コンベヤシステムは、一つ以上の試料容器を収容する試料ラックがそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面(たとえば低摩擦平坦面)を含む。試料ラックは引力発生部分を含む。磁気カップリングが、運搬面に隣接する状態で(たとえばその下に)位置し、運搬面の方向に沿って(たとえば線形ベクトル経路に沿って)移動可能である。磁気カップリングは、ハウジングと、ハウジングに対して動くように適合された可動磁石とを含む。動作中、可動磁石は、磁気カップリングが運搬面上の試料ラックの近くを横切るとき、試料ラックの引力発生部分と磁気結合する。ハウジング内の可動磁石の相対動は、運搬面に対して平行な方向においては実質的に阻止されるが、運搬面に対して垂直な方向においては(たとえば、ハウジング内のチャネルの軸に沿っては)自由に移動可能である。その結果、磁気カップリングがラックに接近するとき、可動磁石はより運搬面の近くまで移動する。したがって、磁気カップリングが試料ラックと整列するとき、試料ラックに作用する引張り力を減らすことなく、試料ラックの加速は減少する。これが、こぼれを比較的少なくすることができる。
【0010】
以下、図2〜14を参照して、本発明のこれら及び他の態様及び特徴を説明する。
【0011】
図2及び3に明確に示すような本発明の第一の実施態様による、磁気コンベヤシステム200を説明する。磁気コンベヤシステム200は、一つ以上の試料容器206を収容する試料ラック204がその上を運ばれるように適合されている運搬面202を含む。試料容器206は、試験管、カップ、バイアル又は他の形態の容器であることができ、運ばれる試料流体207(たとえば血液、血漿、尿、間質液など)を受けるように適合されている。試料ラック204は、ボディ205及びボディ中に提供された、鋼スラグ、パック又は板のような強磁性部材であることができる引力発生部分208を含む。たとえば、引力発生部分208は、ステンレス鋼材料(たとえば400系ステンレス)のような強磁性材料から製造されることができる。場合によっては、引力発生部分208は、亜鉛めっきのような表面めっきを有する強磁性材料から製造されることもできる。引力発生部分208は、ラック204のボディ205の底に形成された凹みの中に受けられ、接着剤、プレス嵌め又は適当な機械的手段(ボルト締め又はねじ締め)によってその中に固定されることができる。試料ラック204のボディ205はプラスチック又は他の適当な低摩擦材料であることができる。コンベヤ面202は一般に平坦な低摩擦面であることができる。たとえば、コンベヤ面202は、厚さ約0.09インチ(約2.3mm)のアルミニウム板上に提供された薄いTeflon(登録商標)コーティングを有することもできる。しかし、非磁性材料を板材として使用することもできる。
【0012】
磁気コンベヤシステム200はさらに、運搬面202に隣接する状態で移動するように位置し、構成された一つ以上の磁気カップリング210(好ましくは複数の磁気カップリング210)を含む。たとえば、磁気カップリング210は、運搬面202の、ラック204とは反対の側(たとえば運搬面202の下)に提供されることができる。一つ以上の磁気カップリング210は、前進動を示す矢印211によって示すように、運搬面202の方向に沿って相対的に移動可能である。しかし、本コンベヤシステム200は、前進又は後退のいずれの方向、すなわち、コンベヤシステム200の一端に提供された臨床分析器との間を行き来する方向にラック202を運ぶために使用されることができることが理解されよう。
【0013】
各磁気カップリング210は、ハウジング212と、ハウジング212のチャネル215の中に受けられた可動磁石214とを含む。可動磁石214は、ハウジング212に対してチャネル215中で動き(たとえば滑動し)、動作中、コンベヤコンポーネント216の移動によって磁気カップリング210が試料ラック204の近くを横切るとき、引力発生部分208と磁気結合するように適合されている。一つの例示的なコンベヤコンポーネント216は、運搬面202に隣接する経路に沿って磁気カップリング210を移動させるように構成されているコンベヤベルトである。しかし、チェーン、バンド、ケーブル、ストラップ、ボールねじ、リニア軸受けなどの適当なコンベヤコンポーネント216を使用することもできる。
【0014】
ハウジング212のチャネル215内の可動磁石214の相対動は、運搬面202の平面に対して平行な方向においては実質的に阻止される(たとえば、図2及び3に示すような側方動)。可動磁石214は、運搬面202の平面に対して垂直な方向(たとえば、図示するように垂直方向)においては自由に動く(たとえば往復運動する)ことができる。具体的には、可動磁石214は、ハウジング212中、ハウジング212中に形成されたチャネル215の側壁218によって横方向の動きを阻止されるが、チャネル215の軸に沿っては動くことを許される。磁石214がチャネル内で滑動するが、固まることのないよう、側壁218と磁石214との間にはわずかな間隙/あそびがあってもよい。磁石214は、試料ラック204と結合するために自由運動の方向に動くのに十分な強さである磁場強さを有する必要がある。いくつかの実施態様においては、チャネル215内での軸方向への磁石214の動きを支援するために、ばね(図示せず)が加えられてもよい。例示的なハウジング212のさらなる図が図7〜11に示されている。
【0015】
図2〜3に示す実施態様において、側壁218は、磁石がハウジング212中のチャネル215の軸に沿って(たとえば図示するように垂直方向に)自由に滑動することができるよう、可動磁石214の径方向周りのいくつかの径方向位置に配置され、かつそれからわずかに離間した二つ以上の垂直方向のリブを含むことができる。側壁218のリブは、狭い幅を有することができ、チャネル215と磁石214との間の滑り接触面積を減らすことによって磁石214に作用する摩擦を減らすことができる。ハウジング212は、摩擦を減らすための他の手段、たとえば適当な潤滑(たとえばオイル、Teflon(登録商標)、グラファイトなど)を含むこともできる。さらに、ハウジング212は、低摩擦材料、たとえば成形又は機械加工されることもできる処理されたプラスチック(たとえばLUBRILOY(商標))によりなることもできる。LUBRILOY(商標)は、SABIC Innovative Plastics社から市販されているポリカーボネート材料である。
【0016】
ハウジング212は、ボルト締め、ねじ締め、接着剤結合、クランプ締めなどの適当な手段によってコンベヤコンポーネント216(たとえばベルト)に接続されることができる。他の実施態様において、ハウジング212は、コンベヤコンポーネント216と一体になるように形成されることもできる。たとえば、ハウジング212の一部分がコンベヤベルトのポリウレタンベルトに一体に結合されることもできる。
【0017】
本実施態様において、磁石214は、ネオジム磁石のような適当な高強度磁石であることができる。磁石214は、亜鉛めっきのようなめっき面を含むことができ、装填されたラック204を運搬面202に沿って引くために必要な適当な強さであることができる。ディスク形を有し、約0.25インチ(約6.4mm)の軸方向厚さ(t)及び約0.625インチ(約15.9mm)の外径(d)を有する38MGOディスク形磁石(図12を参照)が、引力発生部分208を十分に引き寄せるということが見いだされ、五つの試料容器206を装填されたラック204の重量の半分をコンベヤシステム200の運搬面202に沿って滑らかに引くのに十分である。
【0018】
コンベヤシステム200は、図4に示すようなコンベヤアセンブリ416の一部であることができる。コンベヤアセンブリは、一つ以上の試料容器206を収容する一つ以上の試料ラック204をコンベヤ面202に沿って運搬面の端部202Aにおける位置まで運ぶ(又はその位置との間で行き来させる)ように適合されている。運搬面の端部202Aは、試料ラック204が臨床分析器(図示せず)によってアクセスされることができる位置であることができる。たとえば、端部202Aに位置するラック全体206が取り出され、臨床分析器の中に配置され、そこで、試料容器206に収容された試料流体に対して試験が実施されることもできるし、端部202Aにおいてプローブ(図示せず)が簡単に試料容器にアクセスすることもできる。
【0019】
図2〜3に示す実施態様のようないくつかの実施態様による、チャネル215は、可動磁石214が、図2に示す「休止位置」から図3に示す「賦活位置」まで動くとき、その衝撃を減衰させるように適合されている、その少なくとも一端に位置し、配置された吸収材219を含むことができる。賦活位置において、動く磁石214は、引力発生部分208にもっとも近い固定位置に引き寄せられ、そこまで移動し、すなわち、吸収材219と接触する。可動磁石214が移動する間隙距離(g)は、設計上の考慮、たとえばラック204及び試料容器206の重量ならびに磁石214の強さに依存して異なることがあるが、約0.187インチ(約4.8mm)の間隙が、本明細書に記載される磁石214にとって十分であることがわかった。間隙(g)は、図3に示すように、磁気カップリング210が経路に沿って移動し、ラック204の近くに来たとき磁石214がそれ自体をハウジング中で賦活位置まで引き上げることができるよう、十分に小さいものであるべきである。
【0020】
図13に明確に見られる吸収材219は、動く磁石214が賦活位置まで動くときその音及び/又は衝撃を減らすように適合されている適当な吸収性材料から製造されることができる。たとえば、吸収材219は、固体もしくは発泡エラストマー材料、たとえばシリコーン又は合成もしくは天然ゴム材料、ばね、フェルト材料などであることができる。厚さ約0.1875インチ(約5mm)のディスク形シリコーンフォームパッドが、本明細書に記載される磁石214の衝撃を十分に減衰するということがわかった。吸収材219は、接着剤など(たとえば感圧接着剤)によってハウジング212の下面に固定され、チャネル215の端部に配置されることができる。
【0021】
図5の実施態様のようないくつかの実施態様においては、各試料ラック204の重量の半分だけが、二つの協働する横並びの磁石カップリング210それぞれに沿って引かれる。たとえば、図5及び6に明確に示すようなコンベヤシステム200の磁気コンベヤ装置518は、磁石カップリング210が、ラック204の各端に提供された引き寄せ部分208(試料ラック204の各端に一つずつ)を引き寄せるとき、ラック204をコンベヤ面202に沿って引く。したがって、磁気コンベヤシステム200は、試料ラック204が運搬面202に沿って横切るとき、それらを均等に、回転なしで運ぶことができる。
【0022】
図5〜6から見てとれるように、磁気コンベヤ装置518は、コンベヤコンポーネント216(たとえばコンベヤベルト)が上に載せられるいくつかのコンベヤホイール520を含むことができる。ホイール520は、車軸などによってフレーム522に対して回転するように取り付けられることができ、ホイール520及びコンベヤコンポーネント216は、適当なモータ524及び駆動システム526によって駆動されることができる。コンベヤコンポーネント216及びホイール520は、ホイール520に対して牽引力を提供するのに役立つコグを含むことができる。
【0023】
本発明のいくつかの態様による磁気コンベヤシステム200、磁気コンベヤ装置518及び方法を使用する一つの利点は、試料ラック204が運搬面202に沿って運ばれるとき、ラック204の横方向加速(飛び跳ね)を減らすことにより、開口した試料容器206中の流体試料のこぼれの傾向を最小限にすることができることである。しかし、ラック204を運搬面202に沿って引く運搬(引張り)力は、固定磁石構成に比較しても減少しない。さらには、試料ラック204の運搬速度を従来システムに比較して増すことができる。さらには、横方向に拘束された磁石設計が、より小さく、よりコンパクトな磁気カップリング210の設計を可能にして、おそらくは、より小さなコンベヤホイール、単位長あたりより多数のカップリング(すなわち、より高いカップリング密度)をもたらす。さらに、コンベヤシステム200は、搬送面202に沿った試料ラック204の二方向移動に容易に適合される。
【0024】
以下、図14を参照して本発明の方法の動作をさらに詳細に説明する。試料ラックを運ぶ方法1400は、1402において、一つ以上の試料容器206を収容する試料ラック(引力発生部分208を含む)がそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面202を提供すること、1404において、ハウジング212及び可動磁石214を含む磁気カップリング210をその上に有するコンベヤコンポーネント216を提供すること、及び、1406において、コンベヤコンポーネント216を移動させて、磁気カップリング210が運搬面202上で試料ラック204に隣接する状態に配置されて、動く磁石214が引力発生部分208と磁気結合して試料ラック204をコンベヤ面202上で運ぶようにすることを含み、ハウジング212内の可動磁石214の相対動が、運搬面202に対して平行な方向において実質的に阻止され、運搬面202に対して垂直な方向において自由に移動可能である。
【0025】
本発明は、様々な変形及び代替形態が可能であるが、その特定のシステム及び装置実施態様ならびにその方法が実例として図面に示され、本明細書において詳細に説明された。しかし、これは、本発明を、開示された特定のシステム、装置又は方法に限定することを意図したものではなく、それどころか、意図は、本発明の精神及び範囲に入るすべての変形、等価及び代替を包含することである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の試料容器を収容し引力発生部分を含む試料ラックがそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面と、前記運搬面に隣接する状態で位置し前記運搬面の方向に沿って移動可能な磁気カップリングとを含み、
前記磁気カップリングが、ハウジングと、前記ハウジングに対して動き、動作中、前記磁気カップリングが前記試料ラックの近くを横切るとき前記引力発生部分と磁気結合するように適合された可動磁石とを含み、
前記ハウジング内の前記可動磁石の相対動が、前記運搬面に対して平行な方向において実質的に阻止され、前記運搬面に対して垂直な方向において移動可能である磁気コンベヤシステム。
【請求項2】
前記ハウジングが、前記可動磁石がその中で平行移動するチャネルを含む、請求項1記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項3】
前記チャネルが、前記可動磁石の衝撃を減衰するように適合されている吸収材をその少なくとも一つの端部に含む、請求項2記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項4】
前記引力発生部分が強磁性部材である、請求項1記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項5】
前記強磁性部材が磁気等級を有するステンレス鋼である、請求項4記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項6】
前記引力発生部分が前記試料ラックの底部分に配置されている、請求項1記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項7】
前記磁気カップリングがコンベヤコンポーネントに取り付けられ、前記コンベヤコンポーネントによって前記運搬面の方向に沿って移動可能である、請求項1記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項8】
前記可動磁石が前記試料ラックに隣接する状態に配置されたとき、前記可動磁石が、前記ハウジング中に形成されたチャネルの中を垂直方向に動く、請求項1記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項9】
前記可動磁石の賦活位置と休止位置との間の距離が約4mm〜6mmである、請求項7記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項10】
試料ラックを運ぶ方法であって、
一つ以上の試料容器を収容し引力発生部分を含む前記試料ラックがそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面を提供すること、
ハウジング及び可動磁石を含む磁気カップリングをその上に有するコンベヤコンポーネントを提供すること、及び
前記コンベヤコンポーネントを移動させて、前記磁気カップリングが前記運搬面上の前記試料ラックに隣接する状態に配置されて、動く磁石が前記引力発生部分と磁気結合して前記試料ラックをコンベヤ面上で運ぶようにすることを含み、
前記ハウジング内の前記可動磁石の相対動が、前記運搬面に対して平行な方向において実質的に阻止され、前記運搬面に対して垂直な方向において移動可能である方法。
【請求項11】
ベルト面を含むコンベヤベルトと、前記コンベヤベルト上に提供された磁気カップリングとを含み、
前記磁気カップリングが、ハウジングと、前記ハウジングに対して動き、動作中、前記磁気カップリングが試料ラックの近くを横切るとき前記試料ラックの引力発生部分と磁気結合するように適合された可動磁石とを含み、
前記ハウジング内の前記可動磁石の相対動が、前記ベルト面に対して平行な方向において実質的に阻止され、前記ベルト面に対して垂直な方向において移動可能である試料ラックコンベヤ装置。
【請求項1】
一つ以上の試料容器を収容し引力発生部分を含む試料ラックがそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面と、前記運搬面に隣接する状態で位置し前記運搬面の方向に沿って移動可能な磁気カップリングとを含み、
前記磁気カップリングが、ハウジングと、前記ハウジングに対して動き、動作中、前記磁気カップリングが前記試料ラックの近くを横切るとき前記引力発生部分と磁気結合するように適合された可動磁石とを含み、
前記ハウジング内の前記可動磁石の相対動が、前記運搬面に対して平行な方向において実質的に阻止され、前記運搬面に対して垂直な方向において移動可能である磁気コンベヤシステム。
【請求項2】
前記ハウジングが、前記可動磁石がその中で平行移動するチャネルを含む、請求項1記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項3】
前記チャネルが、前記可動磁石の衝撃を減衰するように適合されている吸収材をその少なくとも一つの端部に含む、請求項2記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項4】
前記引力発生部分が強磁性部材である、請求項1記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項5】
前記強磁性部材が磁気等級を有するステンレス鋼である、請求項4記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項6】
前記引力発生部分が前記試料ラックの底部分に配置されている、請求項1記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項7】
前記磁気カップリングがコンベヤコンポーネントに取り付けられ、前記コンベヤコンポーネントによって前記運搬面の方向に沿って移動可能である、請求項1記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項8】
前記可動磁石が前記試料ラックに隣接する状態に配置されたとき、前記可動磁石が、前記ハウジング中に形成されたチャネルの中を垂直方向に動く、請求項1記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項9】
前記可動磁石の賦活位置と休止位置との間の距離が約4mm〜6mmである、請求項7記載の磁気コンベヤシステム。
【請求項10】
試料ラックを運ぶ方法であって、
一つ以上の試料容器を収容し引力発生部分を含む前記試料ラックがそれに沿って運ばれるように適合されている運搬面を提供すること、
ハウジング及び可動磁石を含む磁気カップリングをその上に有するコンベヤコンポーネントを提供すること、及び
前記コンベヤコンポーネントを移動させて、前記磁気カップリングが前記運搬面上の前記試料ラックに隣接する状態に配置されて、動く磁石が前記引力発生部分と磁気結合して前記試料ラックをコンベヤ面上で運ぶようにすることを含み、
前記ハウジング内の前記可動磁石の相対動が、前記運搬面に対して平行な方向において実質的に阻止され、前記運搬面に対して垂直な方向において移動可能である方法。
【請求項11】
ベルト面を含むコンベヤベルトと、前記コンベヤベルト上に提供された磁気カップリングとを含み、
前記磁気カップリングが、ハウジングと、前記ハウジングに対して動き、動作中、前記磁気カップリングが試料ラックの近くを横切るとき前記試料ラックの引力発生部分と磁気結合するように適合された可動磁石とを含み、
前記ハウジング内の前記可動磁石の相対動が、前記ベルト面に対して平行な方向において実質的に阻止され、前記ベルト面に対して垂直な方向において移動可能である試料ラックコンベヤ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−518251(P2013−518251A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550101(P2012−550101)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2011/021810
【国際公開番号】WO2011/091108
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(507269175)シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2011/021810
【国際公開番号】WO2011/091108
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(507269175)シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
【Fターム(参考)】
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