説明

可変プレート熱交換器

特定の速度分布が必要とされ又は特異な熱伝達分布が必要とされる場合の化学反応を行うような高度な動作の能力がある熱交換器が提供され、該熱交換機は、処理材料(1)貫流する熱伝達流体を含む複数の別個の熱伝達要素又はゾーンを含み、熱伝達流体が各熱伝達要素又はゾーンに個別に送達及び除去される単一の熱交換器(8)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理材料がプレート表面上を流れるプレート熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
本設計の基本的な目的は、特定の速度分布が要求されるか、又は通常ではない熱伝達分布が必要とされる実施する化学反応などのより高度な動作が可能な熱交換器を構築することである。本熱交換器の機能要件の幾つかは以下の通りである。
・独立して設定又は制御することができる複数の熱伝達要素から構成される熱伝達表面の選択。
・可変プレート間隔を有する複数のステージの選択。
・処理導管内の異なる点に器具及び付属品を取り付ける選択。
・いずれかのプレートに処理材料を注入する、又はこれから処理材料を除去する選択。
・洗浄又は修正のために処理導管を開く選択。
・上記に説明した機能性能を具現化するが、高度の標準化及びモジュール構造を保持する熱交換器の設計。
【0003】
上記に説明した性能を得るために、異なる種類のプレート熱交換器が必要とされ、本明細書でこれを説明する。
【0004】
本明細書では、熱交換器内で加熱又は冷却することが求められる材料を「処理材料」と呼ぶ。処理材料は、液体、エマルジョン、超臨界流体、蒸気、ガス、ペースト、固体粒子、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0005】
語句「処理導管」は、処理材料が通過する空間(チャネル、パイプ、プレート間のギャップ、その他など)を意味する。
【0006】
語句「処理導管面積」とは、処理材料が通過するアパーチャの所与の点における断面積を意味する。
【0007】
本明細書では、語句「均一流」とは、処理導管の面全体にわたって実質的に一定である、処理導管を(層流又は乱流で)通過する処理材料の速度分布を記述するのに使用される。また「均一流」とは、処理導管内にポケット部又はデッドスペースがないことを意味する。用語「実質的に」は、導管壁によって生じる抗力作用又は他のいずれかの影響の結果としてある程度の速度のばらつきが発生する理由から使用される。均一流は、本発明が対象とする多くのタイプの処理において望ましい流れ条件である。しかしながら、均一流は本発明の全ての用途において見られるわけではない。例えば、蒸気凝縮器は、ガスと凝縮液体との組み合わせを含むことができる。ガス及び液体は異なる速度で進むことになる。また本発明は、パルス流を用いることができるシステムに好適であり、このような場合、過渡的な逆流及び逆混合が観察されることになる。場合によっては、処理導管の内部幾何形状に起因して、均一流条件を達成することができない。幾つかの場合(多くの凝縮負荷等の)では、均一流条件は必要ではない場合がある。
【0008】
熱伝達表面に熱を送達又は除去するために流体が使用される場合、該流体は、本明細書では「熱伝達流体」と呼ばれる。熱伝達流体は、ガス又は液体とすることができる。また本発明は、電気加熱及び冷却等の他の手段によって熱を送達又は除去するシステムにも適用可能である。
【0009】
本明細書における「熱伝達周辺長」という表現は、処理材料の中外に熱を伝える役割を果たす処理材料と接触状態にある湿潤周辺部の長さを指す。熱伝達周辺長に処理導管(一定の面積のものと仮定して)の所与の区分の長さを乗算すると、当該区分における熱伝達面積が得られる。
【0010】
本明細書における語句「可変容積」とは、処理導管に沿った異なる点において処理導管面積の異なる熱交換器を説明するために記載されている。「可変容積」の簡単な実施例は、パイプに沿った異なる点で直径が変化する円形パイプ(例えば、外面を冷却又は加熱ジャケットが巻かれたもの)であろう。直径の変化は、直径の段階的変化(又は漸次的変化)により得ることができる。また、変位挿入体を用いるか、又は2つのプレートの間隔(この間を処理材料が流れる)を変更することによるなど、処理導管面積を変更する他の方法もある。
【0011】
本明細書における語句「可変熱流束」とは、熱伝達表面を複数のゾーンに分割して、各ゾーンに加える加熱又は冷却量を独立して設定又は制御することができる熱交換器を説明するために記載されている。処理材料又は熱伝達流体の温度が変化するに伴って熱流束が変化すると仮定すると、熱流束変化はあらゆる熱交換器の特性であると言える。
【0012】
本明細書における語句「可変プレート熱交換器」とは、本発明により提供される熱交換器の新規の設計を指し、これは、従来の熱交換器としての使用に好適であり、「可変容積」又は「可変熱流束」熱交換器、或いはこれらの組み合せとして用いることができる。
【0013】
本明細書の関連における語句「プレート間隔」とは、2つの熱交換器プレート間の離隔距離を表し、処理材料を運ぶ2つのプレート間のギャップに相当する。従って、この関連では、大きなプレートギャップは、これに伴い大きな処理導管面積をもたらす。
【0014】
本明細書では、プレート熱交換器は、熱伝達表面としての役割を果たす一連の平坦リーフ部を有し、リーフ間の空間が処理導管としての役割を果たす熱交換器である。
【0015】
本明細書では、語句「プレートスタック」とは、単一の機械の一部としてグループ化された熱交換器プレートのグループを意味する。
【0016】
本明細書では用いていないが、語句「可変出力」は、「可変容積」又は「可変熱流束」と関連して用いることができ、こうした方法を用いて不均一な加熱又は冷却性能を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
熱交換器は、設計目的で単一ステージシステムとして扱われることが多い。その結果、加熱又は冷却容量及び/又は処理導管面積を特定の大きさにするための基準として単一の設計値が用いられる。しかしながら実際には、熱交換器内の異なる点で熱負荷が著しく異なる可能性がある。また、処理材料の比容積(例えばガス冷却)又は質量流量(例えば洗浄器)も異なる点では異なる可能性がある。これらの局所変化を考慮しない場合、熱交換器はある区域では過大(熱伝達容量及び処理導管面積に関して)となり、他の区域では過小となる可能性がある。
【0018】
熱交換器内での不均一な熱負荷の問題を例示するために、図1は、周囲に冷却ジャケット(2)がある長いパイプを通じて流れる処理材料(1)を示している。パイプ内に温度プローブ(4)が配置され、冷却パイプから現れる処理材料の温度を計測する。この温度プローブからの信号をコントローラ(3)に取り込み、これを用いてジャケット冷却を調整する。このことによって、操作者の最終生成物の温度を制御することが可能になる。図1では、処理材料がパイプ内に入るときの20℃からパイプから出るときの10℃まで冷却されたと仮定している。従って、この事例では、本システム内の処理材料温度は、常に20℃と10℃との間にある。
【0019】
次に、処理材料(1)が、熱を発生している2つの化学物質(5及び6)の反応混合物である場合の図2について考察する。熱交換器を単一ステージとして設計する場合、最終温度は仕様範囲内であるが、2つの化学物質が接触するゾーンは極めて高温になる。処理材料が熱交換器を下流側に進むにつれて、この「ホットスポット」(7)において発生する熱は徐々に除去される。
【0020】
ホットスポットは、生成物を損ない、又は不要な反応を助長する恐れがあるので極めて望ましくない可能性がある。同様にコールドスポット(吸熱反応の場合)も好ましくない可能性がある。ホットスポットを排除するために追加の冷却が加えられる場合、ホットスポットの下流側の生成物もより高レベルの冷却に曝されることになる。この結果、生成物温度が低過ぎることになり、これは、ホットスポットの下流側ゾーンにおける望ましい処理変化を抑制する可能性がある。或いは過冷却は、生成物に損傷を与え、或いは氷又は蝋状物質を形成させる可能性がある。熱伝達条件への著しい変化(凝縮負荷の変化又は処理材料の粘度が変化している場合など)が引き起こされる熱交換器において、制御問題も生じる可能性がある。熱交換器が単一の熱伝達ステージとして動作する場合、冷凍、沸騰、又は熱損傷の何らかの形態(処理の性質に応じて)を引き起こす可能性のある極めて厳しい温度制御動特性となることがある。従って、全体に同じ処理導管幾何形状を有し、処理温度を1つの点(通常は放出点)でのみ制御する熱交換器は、ある特定の処理カテゴリ、及び特に変化する発熱又は吸熱活動が観察されるもの或いは熱交換器内で物理性的特性が変化しているものにおいては理想的ではない。システムを通過するときに通常ではない温度分布を要する処理、又は他の介在する加熱又は冷却作用(例えば強い撹拌)が存在する可能性がある処理においても、上記熱交換器は理想的ではない。
【0021】
上記に説明した問題に対する解決策は、処理導管内の異なる点において異なる量の加熱又は冷却出力(生成物の単位体積当たりの)を適用することができるより複雑な冷却(又は加熱)デバイスの使用を必要とする。しかしながらこの着想は新規のものではない。例えば、連続する重合化反応のためのカラムは、該カラム内の異なるステージにおいて複数の独立して制御する熱交換器を有することができる。食品及びプラスチック産業で使用される押し出し器は、複数の独立して制御する加熱及び冷却要素を用いることができる。複数の熱交換器を直列に用いて多ステージの原理を実現した実施例もある。本発明の好ましい設計は、熱交換器内の複数のゾーンに基づいて、加熱及び冷却を調整する手段を利用するものである。熱伝達周辺長に対する処理導管面積の比を修正する(「可変容積」)こと、又は熱交換器内の異なる点において加熱又は冷却流束を変更する(「可変熱流束」)ことによって、特定の加熱又は冷却特性を変更することができる。
【0022】
幾つかの動作では、処理材料が熱交換器を通過するにときに該処理材料の比容積が変化する可能性がある(例えば、ガスの冷却及び加熱)。他の場合には、熱交換器に沿って通過するガスの質量が変化する可能性がある(凝縮又は洗浄)。熱交換器が、小さいがその長さに沿って均一な処理導管面積を有する場合、処理材料の速度は、該処理材料が熱交換器の中を通過するときに変化することなる。これは欠点を有する可能性がある。幾つかのゾーンにおける高速度は、浸食及び/又は腐食を助長する可能性がある。また高速度であることによって、液滴が熱交換器の外に運ばれる可能性がある。また高速度であることにより、処理材料を移送するためにより高い圧力降下を必要とし、これによってシステムを構築及び動作させるのにコスト高となる可能性がある。このことに対する解決策は、過大な処理導管を有することである。しかしながら、この結果、幾つかの区分が極めて低い処理材料速度を有することになる。このような場合には、このことによって望ましくない場合がある不均一な流れ方式で処理材料が進む可能性がある。また処理材料が低速で進んでいる場合、一般に熱伝達効率は低い。このことに加えて、不必要に大きな処理導管を有する熱交換器はより大きくなり、構築するのによりコスト高となる。また、処理材料が実質的に一定の比容積を有するが、物理特性又は質量流量が変化した区分において生成物に対する汚染又は熱損傷を阻止する等、他の理由から処理材料速度を変更するのが望ましい場合がある。前述と同様に、これらの問題は、「可変容積」及び/又は「可変熱流束」を用いて様々に解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、プレート間隔(均一及び不均一なプレート間隔の両方)を選択する完全な自由をユーザに与えるプレート熱交換器の設計を提供する。また本発明は、各プレートへの別個の熱伝達流体供給源を有し、必要に応じてあらゆるプレートの中外に処理材料をパイプ接続することができる。また本発明は、ユーザが各プレートに様々な器具又は付属品を取り付けることを可能にする設計特徴部を有する。このことによって本発明には従来の熱交換器よりも優れた性能が与えられ、「可変容積」及び/又は「可変熱流束熱交換器」として使用するための理想的な設計となる。
【0024】
プレート熱交換器は十分に確立した概念であり、これに関してAPV及びAlfa Laval等の企業によって数多くの特許が出願されている。しかしながら、多くの理由から、従来のプレート熱交換器は「可変容積」又は「可変熱流束」の概念には好適ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
可変プレート熱交換器
この新しい可変プレート設計についての考察及び解決策を以下の節で検討する。
【0026】
(a)可変プレート−可変容積
従来のプレート熱交換器は、プレートパックで構成されており、所与のプレートパック内の個々のプレートは共通のプレート間隔を有する(但し、同じ熱交換器フレーム内に幾つかの異なるタイプのプレートパックを取り付けることができる)。
【0027】
本発明の好ましい設計は、2つ以上の異なるプレート間隔を内部に有するプレートパックを用いる。また処理導管は、直接熱伝達プレートを通過することができ、必要に応じてプレート間導管に溶接又はシールなしにこのことを行うことができる。或いは、プレートスタック内のあらゆる点においてプレートの中外に処理導管を方向転換することができる。また熱伝達流体導管を外側から各プレートに供給することができ、処理材料から密封されるが囲まれる空間を通る必要はない。図10は、可変プレート設計の単一のプレートを示している。これは単一の材料ブロックから又は層状に作ることができる。プレートの薄い面を通じて一端から他端の近くまでスロット(熱伝達流体スロット)(12)が作成される。このスロット(12)は、熱伝達流体チャンバとして用いられる。このチャンバは、熱伝達流体(16)のための流路を生成するために密封することができる。処理材料(13)が1つのプレートから次のプレートへと通過することを可能にするために、一端において第2の孔(処理材料スロット)(15)がプレートを通して真っ直ぐに切り開かれている。プレートの周辺にシール(14)が取り付けられ、2つのプレートを互いに押圧したときに密封チャンバを生成するようにする。図11の(21)のようなシム又はスペーサを用いて、2つのプレート間の離隔距離を制御することができる。交互する側部に処理スロットが設けられ、各プレートの全面にわたって処理流体を流すようにする。図11は、大きな多ステージ可変プレート熱交換器を生成するためにどのようにして複数のプレートを交互する方向で互いにスタックすることができるかを例示している。
【0028】
図11は、処理材料が底部(18)から流入して頂部(19)において流出する、5つのプレートで構成された4ステージ熱交換器を示している。熱交換器のいずれの端部にもヘッダープレート(20)が取り付けられる。プレートはスペーサ(21)及びガスケットと共に組み立てられ、締め付けボルト(22)(又は他の何らかの方法)を用いて共に押圧することができる。図示のように、処理材料が熱交換器を通って進むと、プレート間隔は(この実施例では)次第に大きくなる(これは、早期のステージにおいて熱発散が最も強い発熱反応に好適となる)。凝縮器の場合では、プレート空間は開始部において大きくなり、熱交換器を通って次第に小さくなる傾向がある。
【0029】
図12は、システム全体にわたって自由排出特性をもたらすために楔形設計をどのように用いることができるかを示している。図を簡易化するために、可変プレート間隔を示していない。
【0030】
本発明により提供される設計では、処理導管面積又は熱周辺長のいずれかを修正する(熱交換器を通る異なる点において)ことによって、熱伝達周辺長に対する処理導管面積の比を変えることができるが、本発明の好ましい設計は、導管路の単位長さ当たりの熱伝達面積が一定のままであることである。
【0031】
(b)可変プレート:「可変熱流束」
上節(a)で説明した設計法は、可変流束システムとして用いるのに役立つ。図に示すように、図10において流れの矢印(16)で示されるように、側部のパイプを通じて各プレートに独立して熱伝達流体が送達される。この構成によって、設計者は、各熱伝達パイプ上にいずれかの形態のコントローラ又はレギュレータを取り付けることが可能になる。或いは、設計者は、各プレートに異なる温度の熱伝達流体を供給することができる(但し、これはより複雑な制御システムを必要とする)。各プレート上の熱流束を独立して変更する能力によって「可変熱流束」システムがもたらされる。
【0032】
また単一のプレート(又は複数のプレート)上に複数の熱流束ステージを生成することもできる。図18は、熱伝達表面をゾーン(38)に分割することによって、単一のプレートをどのように複数の熱流束ステージに分けることができるかを示している。この実施例では、3つのゾーン(38)を単一のプレート上に生成している。処理材料は、前のプレート(36)からスロットを通じて流入し、プレート表面(39)に沿って流れて、スロット(37)で次のプレートに流出する。各熱伝達ゾーンでは、熱伝達流体はゾーンに流入(40)して流出(41)する。必要に応じて、入口パイプと出口パイプ(40及び41)を互いに接合し、単一の長い導管を生成することができる。この構成によって、ユーザは、最小限の修正で単一のゾーンから複数のゾーンに変化させる選択肢が与えられることになる。
【0033】
(c)可変プレート−プレート分離
従来のプレート熱交換器は、通常1mmと5mmの間の均一なプレートギャップを有する。本発明の好ましい設計は、0.01mm未満から100mmを超えて変化する可能性がある複数のプレートギャップを用いることができる。しかしながら、典型的な範囲は、0.5mmと50mmとの間となる。処理導管内に触媒材料が含まれる場合には、プレート間隔は10mm(又はより小さい)から300mm(又はより大きい)まで変化することができる。異なるプレートのプレート間隔は、2倍以上変化することができる。場合によっては、異なるプレート間隔は、3倍以上変化することができ、幾つかの場合には、プレート間隔は、5倍以上変化することができる。
【0034】
プレート間隔は、0.01m・s-1未満から20m・s-1を超えて変化することができる所要速度分布によって決定付けられる。しかしながら通常、速度は、0.05m・s-1から10m・s-1の範囲内にあることになる。処理材料がガス又は蒸気である場合には、速度は上記の数値よりも10倍の大きさになることができる。プレート上でバッフルを用いて、プレート全体にわたってより長い流路を生成し、これによって処理材料速度を上昇させ、均一な流れ、より良好な混合、又はより良好な熱伝達条件を促進することができる。
【0035】
(d)可変プレート−プレート密封
従来のプレート熱交換器は、互いにクランプされた特徴付けプレートとガスケットとを用いる。また、可変プレート熱交換器においても同じ解決策を用いることができる。しかしながら本発明の好ましい設計は、所要プレート分離距離に応じて変化することができる異なる解決策を用いることができる。
【0036】
極めて小さい間隔では、スペーサではなく簿肉のガスケットと共にプレートを互いに押圧することができる。この場合には、プレートが互いに接触又は極めて近接するように設計することができ、一方又は両方のプレートの表面内で輪郭を切削することによって流れチャネルが生成される。
【0037】
僅かに大きな間隔では、図14はスペーサを備えた密封構成を示している。ここでは、プレートの周辺の硬質スペーサ又はシム(30)によってプレート分離が生成される。シールを形成するために、この内側にガスケット又はOリング(29)を置く。
【0038】
図15は、より大きなプレート分離構成を示している。図示のスペーサ(32)は、該スペーサの頂面及び底面(この図ではシール材料はスペーサの湿潤面を保護するためにも用いられている)上にシール(31)を有する。或いはOリングを用いることができる。
【0039】
プレートスペーサは、プレートの一方端から他方端にテーパ付けするように設計することができる。このことによって、処理導管面積に対する熱伝達周辺長の比をプレート全体にわたって(処理流路の方向で)変化させることが可能になる。
【0040】
(e)可変プレート:「可変容積」及び「可変熱流束」ステージ
従来のプレート熱交換器は、「可変容積」又は「可変熱流束」概念を使用しない。
【0041】
本発明の好ましい設計は、異なるプレートステージ上で処理導管面積に対する熱伝達周辺長の2つ以上の比を用いることになる。幾つかの用途では、異なるプレートステージ上で処理導管面積に対する熱伝達周辺長の3つ以上、4つ以上、5つ以上、或いは10以上の比を用いるのが好ましいことになる。
【0042】
或いは、本発明の好ましい設計は、プレート温度を設定又は制御する独立した手段を有する2つ以上のプレートを用いることになる。幾つかの用途では、3つ以上のかかるプレート(又はプレートのグループ)を用いることができ、幾つかの場合には、この数は4つ以上、5つ以上、或いは10以上とすることができる。
【0043】
或いは、本発明の好ましい設計は、独立して設定又は制御することができる加熱(又は冷却)分布を有する各プレート(又は幾つかのプレート)上で2つ以上のゾーンを用いることになる。幾つかの用途では、独立して設定又は制御することができる加熱(又は冷却)分布を有する各プレート(又は幾つかのプレート)上で3つ以上、4つ以上、5つ以上、或いは10以上のゾーンを用いるのが好ましいことになる。
【0044】
或いは、本発明の好ましい設計は、単一のプレートステージ上で処理導管面積に対する熱伝達周辺長の連続的に変化する比を用いることができる。これは、楔形処理導管を用いることによってもたらすことができる。これは、プレートを分離するための楔形スペーサを用いて、又はプレート上に深さが変化する流れ溝を切削することによって達成することができる。
【0045】
或いは、本発明の好ましい設計は、上記に説明したステージ概念の組み合せを用いることができる。可変プレート熱交換器は、2から200を上回るステージを有することができる。
【0046】
(f)可変プレート:同時加熱及び冷却
従来のプレート熱交換器は加熱又は冷却を用いている。加熱及び冷却の組み合せが必要とされる場合には、プレートパックの分割が必要となる。可変プレート熱交換器の設計により、プレートパックに対して分割又は特殊な修正を行うことなく各プレートへの加熱及び冷却提供のあらゆる組み合せが可能になる。
【0047】
(g)可変プレート:製作の標準化
従来のプレート熱交換器は、「可変容積」又は「可変熱流束」、或いは更に複雑な流れ手法などの非標準的な特徴の範囲が制限されている。例えば、従来のプレート熱交換器のプレート間隔は、プレート形状自体によって決まる。本発明の設計も同じ製作技術を用いることができる。しかしながら、好ましい設計では、プレート間のギャップを決定するために別個の構成部品を用いている(但し、この構成部品は組み立て中に一方又は両方のプレートに溶接することができる)。これによって、プレート(これらは高価な構成部品である)を標準化ユニットとして設計し、異なるプレート間隔又は異なる熱流束条件において用いることが可能となる。また、楔形スペーサを用いることによって、連続的に変化する処理導管面積を有する処理導管の製作が容易になる。
【0048】
また、熱伝達のために、図10の(12)で示されているスロットを設けることにより、標準プレート用に様々な異なる加熱及び冷却(加熱)構成を用いることができる。例えば、空間内の複数の小さなパイプ又は開放(或はバッフル付き)導管を利用可能な電熱器を用いることができる。
【0049】
可変プレート設計はまた、処理流体及び熱伝達流体の流路をあらゆるプレート上で熱交換器の内外に方向転換することができるので、標準構成部品を用いた複雑な流れ方式に十分に適している。
【0050】
(h)可変プレート:処理導管幾何形状
従来のプレート熱交換器の個々のプレートへの側部アクセスは、プレート間隔と同程度の幅しかない。ほとんどの場合において、この幅は5mmよりも小さく、多くの場合2mmよりも小さい。途中にガスケットがある(全て溶接されたシステム以外)ので、プレート内部にアクセスすることにも問題がある。このことは、プレートパック内に器具又は付属品を取り付けるための余地がほとんどないことを意味する。また、プレートパックが組み立てられた後では、器具を取り付け又は取り外す余地が事実上存在しない。
【0051】
従来のプレート熱交換器では、熱伝達流体導管の容積の実質的増加をもたらすことなしにプレート間処理導管(図10において(12)で示されている)の長さを変更することはできない。また、プレート空間処理導管の長さが長くされる程、熱伝達流体導管のサイズのこの増加は拡大し続ける。本発明の好ましい設計は、熱伝達流体導管の容量を増加させることなく、プレート間処理導管の長さを増大することができる(プレートの厚さに起因してプレートの2つの側面が熱伝達流体の別個の供給を必要とする点に到達した場合を除くが、これは、熱伝達流体導管の容量における単発のステップ増加である)。
【0052】
従来のプレート熱交換器は、パイプ導管を用いて、プレートとの間で処理材料を送達及び除去する。このパイプ導管のサイズを変更するには、異なるガスケットサイズ、プレート内の異なる孔サイズ、及び異なるパイプサイズを必要とする。本発明の好ましい設計は、単一の構成部品を変更することによってプレート間の処理導管サイズを修正することを可能する。スロット(図10において(15)で示されている)の機械加工又はプレート内の孔開けによって好ましいサイズを得ることができる。必要に応じてプレートはまた、大きなスロットを有するように設計され、好ましい分布を得るために用いる異なる孔サイズ又はスロットを備えた挿入プレートを有することができる。本発明の設計により、プレート間処理導管に器具を取り付けることが可能となり、かかる器具は、プレートパック本体の内側にあって、処理流体によって完全に囲むことができる(必要に応じて)。
【0053】
要求に応じて、図10におけるアイテム(15)として示されているプレート間処理導管のサイズは、その特定の熱交換器の範囲に必要とされる可能性がある最大面積の処理導管面積を有する(単一のスロットか又は一連の孔であるかに関わらず)。このことは、プレートスタック上のあらゆる位置において単一プレート設計を用いることができることを意味する。しかしながら、この原理を用いない事例もある(例えば、プレート間の処理材料の保持量を最小にする必要がある場合)。
【0054】
本発明の好ましい設計では、処理材料へのアクセスはプレート間隔によって制限されない。図10のプレート間処理導管(15)は、熱伝達プレートの不可欠な部分として形成することができる。熱伝達プレートをより幅広に(及びより長く)することによって、プレート間処理導管を要求通りの大きさに作ることができる。プレートの側部又は背部を貫通する孔を作成することによって、温度プローブなどの機器、排出管、サンプル点、器具プローブ、非常時対応具、及び注入点を必要な箇所のどこにでも取り付けることができる。またこうした器具は、プレートパックの組み立て後に追加又は除去することができる。
【0055】
従来のプレート熱交換器は、ガスケット又は溶接に基づいて熱伝達流体から処理材料を遮断するプレート間処理導管を有する。本発明の好ましい設計では、熱伝達流体と処理材料とが互いに相互汚染するのを防ぐために、ガスケット、溶接、又は継ぎ手を用いなくてもよい。また、「可変プレート」熱交換器の好ましい設計は、二重プレート設計を必要としない。
【0056】
また、あらゆる点においてプレートの内外に処理材料を経路変更することもできる(他の箇所で説明され図21において示されている)。
【0057】
また、あらゆる点においてプレートの下から(熱伝達側から)処理材料へのアクセスを行うことができる。この場合、図10の熱伝達スロット(12)の一部を貫通して通り抜ける。或いは、処理材料には、十分な厚さがあるスペーサ内の孔を通ってアクセスすることができる。これは図11の(21)で示されている。
【0058】
(i)可変プレート:熱伝達流体導管の幾何形状
従来のプレート熱交換器のプレートでは、熱伝達流体は独立した導管を用いて各プレートに供給されず、熱伝達導管は、プレートパックの本体を通過する。本発明の好ましい設計は、各プレートの独立した温度制御(又は監視)を容易にするために熱伝達流体導管が側部から各プレートに進入するものである。図11では、「+」記号は、システムに流入する熱伝達流体を表し、「−」記号は、システムから流出する熱伝達流体を表す(熱伝達流体の流れの方向は任意である)。これによって、同じプレートスタック内の異なるプレート上で同時に加熱及び冷却流体を用いることが可能になり、更に、同じスタック内の個々のプレート上で異なる熱伝達流体及び異なる温度制御手法を用いることが可能になる。
【0059】
(j)可変プレート:プレートサイズ
従来の熱交換器のプレートは、ある範囲の異なるサイズで構築される。本発明の好ましい設計では、プレート面積(一方側の)は、従来のあらゆるプレート熱交換器と同じサイズとすることができ、10mm2未満から10m2を超えて変更することができるが、通常は100mm2から1m2の範囲内にある。
【0060】
(k)可変プレート:内部特徴
従来のプレート熱交換器は、きれいな亀裂無しの完全な排出内部特徴を有さない。本発明の好ましい設計では、きれいな内部特徴を有することができ、完全に排出することができ、且つポケット部又は閉塞部がないものとすることができる熱交換器を目的とする。また好ましい設計は、各プレートステージ(又は方向に応じて1つおきのプレートステージ)に排出管を取り付けること、又は全てのプレートが単一の点に排出するようなプレート特徴を有することによって、完全に排出可能になる必要がある。
【0061】
必要に応じて、内部表面に汚れ又は生成物を捕獲する可能性のある鋭利なコーナーがないように、プレート間処理導管を特徴付けることができる。
【0062】
(l)可変プレート:洗浄及び解体
処理導管表面の検査、洗浄、又は修正のために、従来のプレート熱交換器を開ける必要がある場合には、少なくとも3つの継ぎ手でシールを破断しなければならない。本発明の好ましい設計を用いると、処理導管表面の検査、洗浄、又は修正のために処理プレートを開けることができ、これは、2つを超えない継ぎ手を切断することによって達成することができる。プレートスペーサがプレートの一方に溶接されている場合には、1つの継ぎ手のみを切断するだけでよい。幾つかの用途では、本発明の好ましい設計向けに2つよりも多い継ぎ手を用いることができる点を認識されたい。
【0063】
(m)可変プレート:流れ方式
従来の熱交換器は、直交流、並列流、又は対向流といった比較的少数の選択肢に限定される。本発明の好ましい設計は、並列、対向、直交流、又はこれらの混合流を含み(処理材料又は熱伝達流体のいずれにおいても)、完全に融通性のあるものとすることができるシステムである。この融通性の理由は、あらゆるプレート上でプレートパックの内外に熱伝達流体及び処理材料を経路変更することができるためである。これによって流れ方式において完全な融通性がもたらされる。例として(発熱処理において用いることができるもの)、処理材料は4つのプレートを並列に通り、続いて2つのプレートを並列に通った後、更に5つの単一プレートを直列に通って流れることができる。並列及び直列流を共に使用できることは、1つのステージ上で幅狭プレート空間が容量制約を示す可能性がある場合において機能拡張するのに有用である。幾つかの場合には、プレートをスキップすることができ、又は1つのプレートからの処理流体を別のプレートのための熱伝達流体として用いることができる(熱回収の目的で)。
【0064】
(n)可変プレート:流れ分布
従来のプレート熱交換器は、プレートの全幅をカバーしない導管を介して処理材料が各プレートに流入及び流出する流れパターンを有する。「可変容積」及び「可変熱流束」熱交換器では同様の流れ方式が許容可能である。しかしながら、本発明の好ましい設計は(多くの用途において)、プレート全体にわたって均一な処理材料速度及び厚さを維持するものである。これを行わない場合には、熱交換器全体にわたる不均一な処理材料温度及び/又は(異なる反応ステージにおける生成物の)逆混合、更に滞留ポケットをもたらす可能性がある。この機器を用いることができる多くの用途(化学反応等)は、従来の熱伝達システムよりも低い流量に基づいている可能性があり、上記に説明したような問題は一般的に低い流量でより顕著であることを認識されたい。処理流体の流路全体にわたって処理材料及び加熱(又は冷却)を均一に分配することが望ましい。
【0065】
本発明の好ましい設計では、図10のアイテム15で示されているプレートの全幅から処理材料を供給して、プレートの全幅を介してプレートから排出することにより、良好な流れ分布を得ることができる。プレート間スロット(42)の代わりとして、プレート面全体にわたって複数のプレート間孔を開けることができる。プレート間孔近傍の不均一な速度分布の影響を低減するために、これらの小さい孔をスロット又はより大きな浅い孔内に設けることができる。
【0066】
比較的長く(処理流体の方向で)且つ幅狭の熱交換器は、プレート上で交差混合に向けてより大きな余地を提供し且つプレート幅による配向の傾向が低くなるので、幾つかの用途では望ましいものとすることができる。
【0067】
或いは、特に幅狭のプレート間隔を用いる場合には、より多くの比較的短いプレートも望ましいものとすることができる。短いプレートを用いることによって、熱伝達表面の欠陥(これは流れ分布にけるバイアスを助長することになる)の影響が低減される。
【0068】
熱伝達表面の特徴付けを用いて、熱伝達面積、熱伝達係数を改善し、熱交換器の表面全体にわたって処理材料のある程度の交差混合を誘起することができる。
【0069】
処理材料と同じ流れ方向に従い、流路を一連の並列チャネルに分割するのに用いることができる特徴付けリッジ又はバッフル(プレートギャップの全高にわたる)を有することによって、良好な流れ分布を促進させることができる。
【0070】
従来のプレート熱交換器は、プレート上で全幅(又はほぼ全幅)のバッフルを使用しない。本発明の好ましい設計では、全幅バッフル及びほぼ全幅のバッフルを用いることができる。全幅バッフル(流れ制御バッフル)を用いて、均一流を生成することができる(全流路にわたって一連の小孔又はスロットを有することによって)。異なる種類のバッフル(混合バッフル)を用いて、混合目的でプレート上の小孔を通じて全ての処理材料を引き出すことができる。必要に応じて、プレート全体にわたって複数の流れ制御及び混合バッフルを用いることができる。別の種類のバッフル(流れ誘導バッフル)を用いて、処理材料がより長い経路を介してプレート全体にわたって(左右又は上下に)進むよう誘起することができる。このタイプのバッフル構成を用いて、プレート間隔が幅広である場合に実質的に均一な流れを維持することができる。
【0071】
(o)可変プレート:熱伝達
従来のプレート熱交換器は、熱交換器プレート間の全空間を通じて直接熱伝達流体を通過させる。本発明の設計は、同様の解決策を可能とし、図10のスロット(12)を内部バッフル(熱伝達流体の好ましい流れ分布をもたらすための)を備えるかどうかに関わらずプレナムとして用いることができる。
【0072】
別の技術は、熱伝達流体を送達するために1つ又はそれ以上の小さな熱伝達導管を用いるものである。低容積熱交換器は、国際特許公開WO2004/017007A2で説明されている。低容積設計では、伝導性材料の介在層を用いて熱伝達流体導管と熱伝達表面との間で熱を伝達する。このことは、より効率的でより均一な熱伝達を含む幾つかの理由から望ましい。極めて少ない保持量の熱伝達流体を用いることができ、極めて低い流量でも良好な制御及び効率的な熱伝達の可能性が維持される。この効率的な熱伝達の利点は、熱平衡熱量測定において有用である。
【0073】
低容積設計では、伝導性プレートを用いて熱伝達流体からの熱が処理熱伝達表面に伝達される。国際特許公開WO2004/017007A2は、クランプ又はバネ付勢機構によって伝導性プレートをどのように熱伝達表面に取り付けることができるか、更に銅プレートと熱伝達表面との間の空気を除去するために伝導性マット又はグリスを用いることができることを説明している。可変プレート設計上で同じ概念を用いることができる。小さいプレートの場合、図16に示すように熱伝達パイプ(熱伝達流体を運ぶ)(33)は、処理プレート間に挟んだ熱伝導性シートに外部から接続することができる。本発明の好ましい設計では、伝導性プレートは熱伝達スロット内で用いることができる。伝導性プレートに対する代替形態は、熱伝導性充填材を用いて、熱伝達流体導管と熱伝達表面との間で熱を伝達させることである。以下の選択肢を用いることができる。
・金属等の良好な熱伝導性材料でプレート間の空間を満たすことができる。これには、融点が低く熱伝導性が良好であるので、鉛、銀、錫、アルミニウム、及び銅のような材料が理想的である。小さなパイプが挿入された後にプレート間の空間の中にこれらの材料を溶融させることができる(処理導管材料が融解しないと仮定する)。
・銅粉末等の伝導性固体でプレート間の空間を満たすことができる。異なる粉末粒径の混合物を用いて、最良の充填密度を得ることができる。また、銅粒子、銅粉末、及び微細カーボンブラックなどの混合物を用いて、良好な充填密度を得ることができる。システムが充填されると、インサート法又は他の方法を用いて粉末を所定位置に圧縮することができる。或いは、熱硬化又は熱可塑性材料を用いて1つの銅パイプ(複数のパイプ)の周りに熱伝達要素をキャストすることができる。次いで、これを2つのプレートのリーフ間の図22の(59)で示す位置に挿入することができる。
・プレート間の空間は、上記で説明したように固体で充填し、次いで、空気を排除するためにシリコーン油などの不活性液体で充填することができる。かかる充填操作は、空気を低減するために真空及び/又は高温下で行うことができる。次に、システムは、プレート又は充填材料の層で密封することができる。或いは、伝導性固体は、プラスチック、合成ゴム、又はポリマー材料中に埋め込むことができる。或いは、いずれかの形態のグリスを用いることができる。
・流体を用いて熱伝達流体パイプから処理熱伝達表面へ熱を伝達させることができる。この流体は可能な限り熱伝導性を有する必要がある。
【0074】
図17は、熱伝達流体パイプ(34)が2つの処理プレート間に挟まれた「低容積」設計を示している。この場合では、2つの熱伝達流体パイプが示されている。これは平面図を示している(図10で特徴付けられる図と同様の処理スロット(35)を有するプレートを示している)。
【0075】
熱伝達流体は、各プレート内で様々な並列流、対向流、及び直交流構成で送達することができる。これは、熱伝達流体用の流れプレナム或いは単一又は複数の小さな銅パイプを用いて達成することができる。並列流及び対向流方式の使用は、加熱又は冷却の不均一性を低減するのに用いることができる。
【0076】
幾つかのプレートでは、片面のみを加熱又は冷却することができる。幾つかの用途では、比較的肉厚のプレートを有するのが望ましいとすることができる(例えば大きなプレート間導管をもたらすため)。極めて肉厚のプレートでは、プレートの各側面に別個の加熱(又は冷却)供給源を設けるのが好ましいとすることができる。他の場合には、楔形プレートが好ましいとすることができる。
【0077】
(p)可変プレート:特殊付属品
図19は、プレート間スロット(42)にどのように器具を取り付けることができるかを示している。温度又はpHなどを計測するためにスロット中にプローブ(43)を取り付けることができる。処理導管まで終始切り開くことなく、温度プローブ(44)用にポケットを製作することもできる。
【0078】
処理はプレート厚によって影響されない(ステージ間の処理材料ホールドアップ容積の僅かな増第を除く)。従って、プレート間スロット内により大きなプローブを装着するために熱伝達プレートをより肉厚に作ることができる(必要に応じて)。
【0079】
プレート間スロット(42)又は孔はまた、排出凝縮、洗浄、又は汚染除去等の操作のための排出点を備え付けることができる。熱交換器が凝縮器として使用される場合には、プレートを通じて処理材料の流れが上下に通過するように熱交換器を配向することができる。より低いプレート間スロットに排出点を備え付けることができる。
【0080】
熱交換器内の異なるプレートに処理材料を追加するのが望ましいとすることができる。プレート全体にわたる均一な追加も望ましいとすることができる。図20は、あらゆるプレート全体にわってどのように追加を行うことができるかを示している。この実施例では、プレートの間のプレート間スロット(47)に複数の反応物の注入ノズル(46)が孔空けされる。次いで、反応物が単一の反応物追加導管(50)から共通の反応物流れスロット(48)(スロットカバー(49)で密封された)を通って供給される。スロットの代わりに孔が用いられる場合(プレート間の処理材料の流れのために)には、注入点の孔は、ベンチュリ効果をもたらす目的で直角又はより傾斜した角度で遮るように空けることができる。
【0081】
幾つかの場合には、処理材料をプレートの端部で熱交換器から外に経路変更することが必要な場合がある。例えば、ある器具に生成物の一部(又は全て)を通過させる必要がある場合など、このことが必要とされることがある。或いは、ユーザは、処理材料を一連のプレートを通って並列に(各プレートを通る直列流ではなく)通過さることを望む可能性がある。或いはユーザは、処理材料をステージ間ブースタポンプに通過させ、最初の数プレートで過剰な圧力を生成することなく熱交換器によるより大きな圧力降下を得ることを望む可能性がある。図21は、プレートの片側面上の熱伝達ゾーン(56)を覆って流れる(51)生成物が処理スロット(53)に到達するバイパス構成を例示している。次いで、該生成物は、熱交換器(54)の側部上のパイプを介してシステム外に配管され、プレートの下面上の第2のスロット(55)に戻される。次に、生成物は、プレートの他方の側面上の伝達ゾーンの下側を越えて流出する(52)。処理材料パイプはまた、側部ではなく熱交換器の端部から取り出すこともできる。
【0082】
特殊な付属品(排出管、サンプル点、追加点、温度ポケット、その他)は、プレートに沿ったあらゆる点で取り付けることができる。これは、プレートの側部が熱伝達プレナム又はプレートスペーサ(十分肉厚である場合)を介して容易にアクセス可能であることに起因する。
【0083】
図10に示す可変プレート設計は、定置洗浄システム(CIP)に役立つ。スプレーノズルは、処理材料スロット(15)の周囲のプレートに孔空けされ、又は処理スロットとガスケットとの間の肩部上に装着することができる。スプレー点はまた、プレートを分離するスペーサ(図11のアイテム21)内に取り付けることもできる。
【0084】
(q)可変プレート:製作
可変プレート熱交換器は、プラスチック、鋼、合金、ガラス、グラスライニング鋼、プラスチックライニング鋼、チタニウム、タンタル、新合金、ステンレス鋼、及び様々な他の材料といったあらゆる通常の材料で構築することができる。プレートはまた、保護層を生成するためにライニング又は液浸、或いはいずれか他の手段でコーティングすることができる。プレートの厚さは、圧力及び温度等の動作条件に応じて0.5mm厚未満から10mm厚を超えるものとすることができる。
【0085】
可変プレート熱交換器用プレートは、キャスト、機械加工、又は区分で製作し、互いに溶接することができる。プレートはまた、材料の2つ又は3つの層から製作し、溶接、ハンダ付け、ガスケット、接着、又は他の何らかの方法によって互いに接合することができる。図22は、熱伝達スロット(59)を生成するためにガスケット(58)で密封された処理スロット(57)を有する3層システムを示している。プレートが層状に製作される場合には、プレート幅全体にわたり抽気孔(60)を設け、熱伝達流体又は処理流体のいずれかによる漏出が確実に互いを交差汚染しないようにすることができる。
【0086】
好ましい場合には、付随するスペーサと共に2つのプレートを互いに溶接することができる。洗浄、保守、又は修正のためにアクセスが必要な場合には、プレートはガスケットで互いに押圧することができる。ガスケットの材料は、金属、合成ゴム、天然ゴム、プラスチック、幾つかの材料の複合材(PTFEエンベロープガスケットなど)とすることができる。必要に応じて、2つのシール間に漏出チャネルを有する二重シール構成を用いることもできる。
【0087】
処理導管における代替の製作方法は、2つの長いストリップの材料(金属等)を一連の経路に折り畳み、次いで側部パネルと共に密封して、封じ込め容積を形成することである。次に、外側から折り畳み部に熱伝達表面を挿入することができる。
【0088】
可変熱流束制御
本節は、発明者らの特許出願GB0509742.3で説明されている可変熱流束制御の説明を包含する。これによって本発明の主題である「可変プレート熱交換器」設計に有用な性能向上をもたらすことができる。
【0089】
可変熱流束制御の原理は、熱伝達表面を複数の区分に分割し、各区分が熱伝達表面の温度を設定又は制御する独立した手段を有するというものである。図3は、手動弁(V1からV6)を用いて各ステージに対する冷却又は加熱力を調節することができる、処理材料(1)を輸送するパイプの周囲の多ステージ熱交換器(8)を示している。
【0090】
図3の熱交換器(8)は6つの要素に分割されている。各要素は、手動作動弁(V1からV6)及び温度計測器具(T1からT6)を有する。ステージ弁(V1からV6)は、各ステージの冷却力が異なるように調節することができる。前述と同様に、発明者らは、2つの化学物質(5及び6)が互いに反応し、この作用が熱を発生させると仮定した。熱交換器は、2つの化学反応物の流れを導通させることによって設定することができる。次いで、温度T1が許容範囲内に入るまで弁V1を調節する。次に、弁V2を同じ手法で調節する。全ての熱伝達要素が調整されるまで、この処理が繰り返される。このように設定される熱交換器は、熱交換器を通じてはるかに均一な温度分布(又は処理要求に適する非均一分布)をもたらすことになる。それぞれの反応熱が既知である場合には、反応器は、不活性流体で設定され、加熱又は冷却条件を適切にすることができる。
【0091】
熱交換器全体にわたる望ましい温度分布は平坦ではない可能性があり、場合によっては、加熱及び冷却要素の組み合せをも用いて、理想的な温度分布を得ることができる。
【0092】
システムが調整されると、単一の自動主弁(V7)を用いて、冷却(又は流体加熱)をオンにし、温度コントローラ(3)を用いて最終温度(T7)を調整することができる。V7に手動弁を用いることもできる点に留意されたい。このタイプの熱交換器の制御特性は従来のシステムとは異なる。主弁(V7)が調節される(作動条件の変化に適応させるために)と、熱交換器全体にわたる温度分布も影響されることになる。これらの条件下での温度分布の最適調整は、中断される可能性があるとしても、依然としてどのようなステージ間調整のないシステムよりも優れていることになる。
【0093】
熱交換器が異なる処理動作に用いられる場合には、手動のステージ弁をセットとして調整し、他の処理動作では異なるセットと交換することができる。
【0094】
図4には代替設計が示されている。これは、熱伝達流体の実質的に一定の流れ(必要に応じて熱交換器の周囲で再循環させることができる)を用いるが、主弁(V7)を用いて熱伝達流体のより低温(又はより高温)の流れを混和させることによって熱伝達流体の供給温度を修正する。
【0095】
図4に示す設計に関する利点は、処理熱負荷とは関係なく、高流量の熱伝達流体を利用することができる点である。
【0096】
図5に示すような熱交換器(8)を調整するために自動弁を用いることができる。
【0097】
図5に示す設計では、測温体(T1からT6)を用いてそれぞれの弁(V1からV6)の位置を制御する。すなわち、V1を制御するためにT1を用いる、等である(図面を簡単にする目的で、個々のコントローラは図示されていない)。自動弁に伴う利点は、弁の位置を自動的に設定又は修正することができ、弁位置に関する情報をソフトウェア内に記憶することができる点である。この実施例では、図3及び図4で参照した主弁(V7)が図示されていない。この設計では、V6が最終処理温度の制御を可能にすることから、V7は必須ではない。
【0098】
「可変熱流束」(又は「可変容積」)熱交換器は、概略図である図6(図の簡略化のために弁及び制御の詳細は示されていない)に示すように、熱量測定器として用いることもできる。
【0099】
図6に示す器具は、熱伝達流体における質量流量計(m)、入口熱伝達流体温度(Tin)、及び出口熱伝達流体温度(Tout)を含む。入口及び出口熱伝達流体の比熱(Cpin及びCpout)は、公開文献から実験的に、又は既知の数学的関係から求めることができる。熱伝達流体(q)が得た又は失った熱は、以下のように計算される。
q=(m・Cpin・Tin)−(m・Cpout・Tout) (W)
【0100】
熱交換器の制御手法が熱伝達流体の入口温度に基づく(熱伝達流体の質量流量ではなく)場合には、システムは再循環ループを用いることができる。この場合、再循環ループに注入される新規の熱伝達流体の質量流量を計測し、該熱伝達流体が流入及び流出するときの温度差を計測することによって、熱平衡(熱伝達流体の質量流量及び温度シフト)を求めることができる。あらゆる熱量測定法と同様、システムは、周囲ロス、ポンプエネルギー、その他についてゼロに合わせることが必要となる。
【0101】
処理材料に関する熱平衡も同様の方法によって実施することができる(処理材料が熱交換器を通過するときの質量流量及び温度変化を計測することによる)。
【0102】
全体の熱平衡は反応効率に関する情報を提供し、ユーザが処理供給量、作動温度、再循環率、その他のようなパラメータに関して知的判断を行うことを可能にする。
【0103】
代替の温度制御手法は、図7に示すように、固定のステージ弁の位置(V1からV6)を用いて、これらの弁を多ポート弁に対して開いた状態でカスケード接続するものである。
【0104】
図7に示す設計は、手動ステージ弁(V1からV6)を用いており、これらは、上記で説明した方法を用いて設定される。多ポート弁を用いて、熱交換器をオンにし、熱交換器から出る生成物の温度を制御する。多ポート弁により、ユーザは、熱交換器からの出口温度を制御することが可能になる。この設計では、バックエンドで幾つかの同様に調整されたステージ(例えばステージ3から6)を設けて最終温度に向けた制御にある程度の線形性をもたせるのが望ましいとすることができる。
【0105】
自動ステージ弁及び多ポート弁を有する熱交換器が図8に示されており、ここでは共通パイプ(9)は高温(又は低温)の熱伝達流体源である。
【0106】
図8に示す設計により、ユーザは、異なる熱伝達面積を有してシステムを設定することが可能になる。これは、熱量測定の感度を修正すること、又は温度制御動特性を変更することに有用である。
【0107】
可変容積熱交換器設計
本節は、発明者らの特許出願GB0509742.3で保護される「可変容積」熱交換器についての設計原理の説明を包含する。これは、「可変プレート熱交換器」設計の一部として用いることができる概念の1つである。
【0108】
「可変容積」の原理を例証する最良の方法は、表1で説明する加工された実施例を用いることである。この実施例は発熱反応に基づいており、この実施例で用いられる数値は単に例示の目的で作成されている。
【0109】
処理材料が6つのステージのプレート熱交換器を通過していると仮定する。反応は11.4秒を要し、6000ジュール(生成物1kg当たり)の熱を発散する。システムを設計するために、処理データをより詳細に調べる必要がある。熱負荷は、下記の表に示しているように同程度のエンタルピー放出をもたらす6回の成分に分割することができる。熱負荷は、より多くの成分に分割することができ、或いは異なる比率に割り振ることができる(例えば、導管に沿った熱伝達係数の変化に対して補償するためにエンタルピー値を修正することができる)
【0110】
表1
反応中の熱放出率

【0111】
反応の初速度は極めて速く、その後、漸次的に遅くなる。従って、図9に示すように、冷却プレート(10)間の好ましいプレート間隔は、処理材料(11)が熱交換器を通って移動するにつれて漸次的に大きくする必要がある。
【0112】
熱交換器内のステージ当たりに必要とされる冷却力(q)を計算することは可能である。この例示的な計算では、熱交換器は6つのステージシステムとして設計され、各ステージが1000ジュール(1kg当たり)を除去し、生成物は1kgs-1の速度で反応器に供給されると仮定している。
【0113】
すなわち表1から、第1ステージの熱負荷は1000Jであり、滞留時間は0.2秒であることが必要とされる。
【0114】
以下の式では、下付数字(1、2、3、4、5、6)を用いて、ある条件が関連のステージ番号に適用されることを示している。下付文字を用いていない場合、全てのステージに同じパラメータが適用されることを意味する。
【0115】
第1ステージの冷却力(q)は、
q=Q/θ1 (W)
であり、ここで、
Q=このステージで放出された総熱量 (J)
θ1=第1ステージの滞留時間 (s)
であり、従って、
1=1000/0.2=5000 (W)
となる。
【0116】
ステージ当たりに必要とされる熱伝達面積(A)を計算することが可能である。例示的な計算では、全てのステージが同じ熱伝達面積を有し、熱伝達係数が1000W・m-2・K-1、処理は30℃で動作され、冷却ジャケットは0℃であると仮定する。
【0117】
各ステージでの所要熱伝達面積(A)は、
A=q/(U・□T) (m2
であり、ここで、
q=各ステージでの熱負荷 (W)
U=全体の熱伝達係数 (W・m-2・K-1
□T=各ステージでの温度差 (K)
であり、従って、第1ステージでは、
A=5000/(1000×30)=0.167m2
となる。
注:このタイプの熱交換器では、全てのプレートは同じ面積を有し、従って、第1プレートのサイズ決めにより全てのプレートのプレート寸法が設定される。
【0118】
次に、各プレートステージ長(L)を計算する。例示的な計算では、プレートは幅の長さの3倍と仮定する。
各ステージでのプレート長(L)は、
L=3W (m)
であり、ここで、
W=プレート幅 (m)
である。
第1ステージにおけるプレート長はまた、
L=A/W (m)
であり、ここで、
A=ステージ当たりの熱伝達面積 (m2
W=プレート幅 (m)
である。
第1ステージのプレート面積は熱伝達面積の半分である点に留意されたい。この理由は、第1ステージの流れチャネルのいずれの側にも2つの並列プレートがあるためである。
従って、Wに代入して、
L=[3×0.0835]0.5=0.2360.5=0.5 (m)
となる。
【0119】
次に、各ステージの幅(W)を計算する。ステージの幅は、
W=L/3 (m)
であり、ここで、
L=各ステージ長 (m)
W=0.5/3=0.167 (m)
である。
【0120】
次いで、第1ステージ(V1)での処理材料の線形速度を導出する。
第1ステージでの線形速度(V1)は、
1=L/θ1 (m・s-1
であり、ここで、
L=ステージの流路長 (m)
θ1=第1ステージの滞留時間 (s)
であり、従って、
1=0.5/0.2=2.5 (m・s-1
となる。
【0121】
次の段階は、処理材料の容積流量(G)を求めることである。処理材料の密度(□)を800kg・m-3と仮定する。
容積流量(G)は、
G=m/□ (m3・s-1
であり、ここで、
m=処理材料の質量流量 (kg・s-1
□=処理材料の密度 (kg・m-3
であり、従って、
G=1/800=0.00125 (m3・s-1
となる。
【0122】
ここで第1ステージ(a1)の処理導管面積を計算することができる。
1=GV1 (m2
ここで、
G=容積流量 (m3・s-1
1=処理材料の線形速度 (m.s-1
1=0.00125/2.5=0.0005 (m2
である。
【0123】
ここで、第1ステージでのプレート分離ギャップ(Z1)を決定することができる。
プレート分離ギャップ(Z1)は、
1=a1/W
であり、ここで、
1=第1ステージの処理導管面積 (m2
W=プレート幅 (m)
1=0.0005/0.167=0.003 (m)
である。
【0124】
従って、この設計のプレートは長さ500mm及び幅167mmである。第1ステージでのプレート分離は3mmである。
【0125】
次いで、第2ステージ(Z2)でのプレート分離ギャップは同じ手法で導出することができる。
第1ステージと同じ方法を用いて、
2=L/θ2=0.5/0.4=1.25 (m・s-1
2=G/V2=0.00125/1.25=0.001 (m2
2=a2/W=0.001/0.167=0.006 (m)
2=6mm
となる。
【0126】
全てのステージの速度及びプレート間隔(3、4、5、及び6についての計算は示されていない)を下記の表2に示す。
【0127】
表2
6ステージの流体速度及びプレート間隔

【0128】
これらの結果から分かるように、プレート間隔は後方のステージにおいて極めて大きくなる(この特定の反応に対して)。これは、流体分布上の問題を生じる可能性がある。1つの選択肢は、後方のステージにおいてバッフルを取り付けることである(処理流体の有効経路長を増大させるため)。別の選択肢は、最後の数ステージを異なるタイプの熱伝達デバイスで実施することである。例えば、最後の数ステージは、大きな撹拌バッチ槽内で、又はループ設計を用いて実施することができる。これはまた、カスケード接続の中間サイズ撹拌容器を用いて半バッチモードを行うこともできる。或いは、均一流が必要とされる場合、反応は、長いパイプ(冷却を加えた)内で、又は脈動流を伴うより太いパイプ(冷却を加えた)内で実施することができる。
【0129】
各ステージのより厳密な分析を行い、個々のプレート全体にわたる温度分布を評価することができる。これにより、十分に均一な温度分布を得るためには6つより多くのステージが必要とされることが判明する可能性がある。幾つかの場合には、特定の温度分布をもたらすために、ステージ当たりの冷却力を不均一な方法で変更する必要がある可能性がある。幾つかの場合には、これには同じ熱交換器上で加熱及び冷却の両方が必要となる可能性がある。適切なプレート構成が達成されると、プレートに「可変熱流束」技術を適用し、処理温度分布を修正又は微調整することができる。これによって、プレートギャップの更なる機械的修正の必要性が排除される。
【0130】
プレートの間隔を慎重に取ることによって、熱伝達表面の温度を変更する必要性を排除することができると言える。実際に、可変容積設計の全体の基礎は、正しい解決策を利用する場合、単一の温度コントローラが熱交換器全体にわたって好ましい加熱又は冷却分布を提供することができる(熱交換器の異なる部分において冷却又は加熱要件が異なるとしても)ことである。「可変容積」は良好な解決策ではあるが、複数の独立して制御される熱伝達ゾーンの追加の又は代替的な選択肢は、以下の様々な理由から有用な改良である。
・プレート間隔に対する表面面積の比をどれ程高く変更することができるかについては限界がある。熱交換器が一連の小さなパイプとして設計される場合には、パイプが極めて小さくなるにつれて閉塞が問題となり始めることになる。熱交換器が一連のプレートとして設計される場合には、プレートが互いに近接するにつれて閉塞と配向が問題となる。他方、処理導管面積に対する熱伝達周辺長の比が小さくなり過ぎると、流れ分布の問題が生じる可能性があり、或いは、機器構築コストが多大になる恐れがある。
・実際には、ユーザは、熱交換器を再構築することを必要ことせずに熱交換器の作動条件を変更することを望む可能性がある。これは、ユーザが異なる温度分布を試すのを望むことに起因する場合がある。これはまた、熱交換器が異なる生成物又は異なる生成物供給率を扱う必要があることによる場合がある。
・熱交換器のサイズを決定するための設計方法は、現実の条件に対する完璧な解決策を提供しない。計算は通常、数多くの近似及び仮定を含む。処理条件はまた、現実には変化する可能性がある(例えば、送達温度又は処理材料の流れ)。あらゆる設計を微調整する能力は制御システムの重要な機能である。
【0131】
従って、「可変容積」との組み合せた「可変熱流束」の使用は、「可変容積」単独よりも望ましい設計改善である(幾つかの用途では)。
【0132】
「可変容積」及び「可変熱流束」熱交換器の設計
本節では、「可変容積」及び「可変熱流束」の両方の原理は、幾つかの熱交換器設計に対して適用することができるが、本発明の「可変プレート熱交換器」はこれらの原理を組み込むことにおいて特に強力な設計上の解決策であることを概説する。
【0133】
前節での実施例では、発熱反応を6つの反応ステージに分割し、各ステージが所与の時間期間にわたって同様のエンタルピーを有していた。或いは問題は、処理材料の比容積が変化している(ガス冷却器など)場合、質量流量が変化している(凝縮器など)場合、又は他の理由により異なる熱伝達状態が必要とされる場合の用途に対して当てはまる可能性がある。いずれの場合においても、問題は、最終的には特定の速度分布を得ることに帰着する。速度は、圧力降下、流体混合、流れ分布、熱伝達、機器サイズ、その他に密接な関係がある。最適設計は、連続的に変化する(例えば楔形の)処理導管面積、又は複数の(但し異なる)固定処理導管面積ステージ、或いは両方の方法の組み合せでの「可変容積」の使用を含むことができる。従って、凝縮器は、1つ又は2つの楔形処理導管に続いて並列の処理導管(同じ又は異なる処理導管面積を有する)を有することができる。望ましい速度分布が既知となると、各ステージにおける処理材料条件(望ましい速度、質量流量、比容積)及び各ステージにおける熱伝達状態を決定することによって、処理導管面積を各ステージ(通常は第1ステージから始める)について求めることができる。ステージ数が決定されると、ステージ当たりの熱伝達面積を計算することができ、或いは代替的に、ステージ当たりの熱伝達面積が決定されると、ステージ数を計算することができる。
【0134】
可変容積の概念により、ユーザは、より小さく且つより効率的な熱交換器を設計することが可能になる。プレート熱交換器の場合には、サイズの低減は、プレート数の削減、プレートの縮小、又はプレート間の間隔の短縮という形態をとることができる。
【0135】
「可変容積」及び「可変熱流束」の概念は、あるタイプの処理用途の熱交換器に対し様々な利点を与える。様々な熱交換器をこれらのモードのいずれにおいても動作するように適合させることができるが、以下のように、特に重要な3つの一般的なクラスの熱交換器がある。
【0136】
・貫入熱伝達要素を有する熱交換器
熱交換器は、処理材料内の様々な貫入熱伝達表面(内部コイル、パイプ、又はプレートなど)を用いて設計することができる。しかしながら、熱伝達表面へのどのような変更も処理導管面積に影響を与えるので、貫入熱伝達表面は複雑な設計関係を有する。また貫入熱伝達表面は、洗浄が困難であり、閉塞に対し脆弱な可能性がある。貫入熱伝達表面はまた、不均一な流れ及び/又は滞留ポケット部等の最適以下の流れ分布をもたらす可能性がある。このことは、処理において望ましくなく、カスタム設計又は修正が困難になる可能性がある。
【0137】
・単純な幾何学的特徴を有する熱交換器
好ましい解決策は、処理導管が単純な内部幾何形状を有し(熱伝達条件及び流れ特性を改良するための表面特徴付けを別として)、処理導管封入表面を熱伝達表面としてのみ用いて、且つ処理材料内にリーフコイル又はパイプ等の突起部のない熱交換器である。この概念を簡単に現わしたものは、加熱/冷却表面で囲まれた円形(又は他の単純な幾何学的形状)のパイプである。所与のパイプ直径において、適用することができる加熱又は冷却量は、流体速度及びパイプ直径に依存する。異なる直径からなる一連の接続パイプを用いることによって、処理導管面積に対する熱伝達周辺長さは、処理の異なるステージにおける熱伝達要求を満たすように適合させることができる。所与のパイプサイズに対する加熱又は冷却容量を変更するために、処理材料速度が変更される。残念ながら、所与のパイプ直径に対する流れ容量の最適範囲は限られており、処理導管面積に対する熱伝達周辺長さの比は、パイプ直径が増大するに伴って小さくなる。この理由から、単純な導管手法は不十分な拡大又は縮小特性しか有さない。
【0138】
プレート設計
プレート熱交換器は、単純なパイプ概念に対する改善である。このプレート熱交換器は、熱伝達周辺長さと処理導管面積との間の単純な関係を有する(プレート間隔を変化させることによって)。これは、閉塞がなく、構築及び洗浄が容易である。従って、プレート解決策は、「可変容積」熱交換器における良好な解決策である。
【0139】
処理の利点
本発明の可変プレート熱交換器は、多くの点で従来のプレート熱交換器を上回る利点を有する。この可変プレート熱交換器は、従来の熱交換器(均一なプレート間隔を有する)と同じ方法で一般的な加熱及び冷却負荷に対して構築することができる。しかしながら、ユーザがプレート間隔を定めることができるので、所与の用途において質量流容量に対する熱伝達容量の理想的な比で熱交換器を設定することができる。従って、プレート間隔を変化させることにより、同じ熱交換器プレートを処理材料の高い又は低いスループットで使用するように適合させることができる。また本設計の熱交換器は、より良好な熱伝達特性、排出点、サンプル点、1つ又はそれ以上のプレート上のインラインの配管器具、追加点、ステージ間ブーストポンプ、並びに熱伝達流体及び処理流体のための流れ方式におけるより柔軟な選択肢を有することができる。また本設計は、より清浄な内部幾何形状及び自由排出特性(並びに必要に応じて定置洗浄)を提供する。
【0140】
また可変プレート設計は、「可変容積」及び「可変熱流束」原理を利用する上で理想的である。これらの全ての利点及び使用を以下で検討する。
【0141】
(a)均一な温度制御
温度制御は、多くの処理動作に不可欠である。従来の温度制御技術は、最終生成物の極めて良好な温度制御を提供することができるが、常にホットスポット又はコールドスポットの阻止に優れている訳ではない。処理内での温度の過渡偏差は望ましくない場合がある。例えば、温度偏差は、反応の発生を様々に停止させ、又は誤ったタイプの処理変化(誤った反応など)を助長する可能性がある。幾つかの場合には、温度偏差は、危険な暴走反応を引き起こす可能性がある。また温度偏差は、処理内で沸騰、凍結、又は燃焼などの望ましくない変化を発生させる可能性がある。重合化処理の場合には、不要な過渡温度偏差は、生成物の品質に影響を与える可能性がある。極めて良好な温度制御により、幾つかの処理における選択性を向上させ、より良好な収量及び品質をもたらすことができる。可変容積原理を用いることによって、不均一な処理熱負荷(単位体積当たり基準で)にも関わらず熱交換器全体で均一な温度分布が維持されるような方法で熱交換器の熱伝達性能を特徴付けることができる。幾つかの場合には、熱交換器内の1つの点において強力な加熱又は冷却が望ましい場合があるが、別の場合においては、損傷を引き起こす可能性がある(例えば、感熱性生成物において粘度が変化している場合)。可変容積の原理は、ユーザが必要に応じて加熱又は冷却を緩和することを可能にする。
【0142】
可変熱流束制御の更なる機能により、可変容積特徴が最適以下である場合でも、ユーザは、熱交換器全体で理想に近い加熱又は冷却分布を達成することができる。用途の幾つかの実施例(発熱及び吸熱処理における)を下記に示す。
i)有機化学反応
ii)無機化学反応
iii)重合化
iv)結晶化
v)バイオ処理
【0143】
(b)不均一熱伝達条件
熱を発散/吸収することができる又はできない幾つかの処理では、処理変化をもたらすために処理材料をその好ましい温度範囲の上又は下にする必要がある。かかる動作では、必要な変化が完了した後に可能な限り迅速に処理温度を許容範囲値に戻すことが一般に望ましい。ミルクの低温殺菌はかかる処理の実施例である。このタイプの動作に対する好ましい解決策は、システム全体にわたり特定の温度分布を提供することができる単一の機器である。「可変熱流束」概念は、この動作において理想的であり、単一の熱交換器内で複雑な(及び修正可能な)温度分布を生成すことを可能にする。加熱区分と冷却区分との間の処理導管は極めて短いので、温度を低下させる際の遅延が極めて短い。これにより可変容積及び可変熱流束概念は、食品、化学、薬剤、及びバイオ化学処理における幾つかのタイプの熱伝達動作において理想的なものとなる。
【0144】
また、可変熱流束熱交換器(可変容積特徴を有する又は有さない)は、より高度な制御手法にも用いることができる。例えば、供給材料の穏やかな温度上昇(極めて弱い冷却を適用することによる)に続いて、反応器の終端で強力な冷却を可能にすることが望ましい場合がある。他の場合には、加熱と冷却を同時に用いることが望ましい場合がある。例えば、極めて強力な発熱の反応物は、極めて低温条件(反応を抑制するため)で混合し、反応を開始させるために熱伝達表面の小区分で加温することができる。これを行うことによって、反応物は、十分に混合され、反応が始まるときに熱伝達表面上の理想的な位置にあることができる。状況によっては、所与の熱交換器は、幾つかの加熱及び冷却サイクルを用いることができる。
【0145】
可変容積及び可変熱流束概念は、処理材料の物理的特性の変化が問題を生じさせる可能性のある処理動作に有効である。例えば、幾つかの食品処理用途では、処理材料が熱交換器を通過するときの処理材料の粘度の変化は、熱伝達特性に影響を及ぼす可能性があり、その結果、生成物に熱損傷、又は凍結もしくは沸騰を生じさせることがある。可変容積及び/又は可変熱流束を用いることによって、あるステージでは強力な加熱又は冷却を加えることができ、他のステージでは穏やかな熱伝達条件を適用することができる。
【0146】
(c)可変容積処理
「可変容積」概念は、比容積又は質量流量が変化する処理材料を扱う上で理想的である。実施例は、ガスの加熱及び冷却、並びに液体の凝縮又は蒸発を含む。これらの用途における「可変容積」は、性能、サイズ、コスト、効率、及び所与の熱交換器を通る圧力降下の最適化に対してより良好な余地を提供する。このことによって、より良好な性能を与え、構築がより安価になり、動作のエネルギー効率がより高い熱交換器の可能性がもたらされる。可変熱流束は、かかる処理において熱伝達係数及び/又は熱負荷が著しく変化する可能性があれば、こうした用途において更なる利点となることができる。
【0147】
凝縮負荷の場合、良好な結果のために可変容積と可変熱流束との組み合せを用いることができる。これは、ガスから湿気又は揮発性化合物を除去するように設計されたシステムに特に有用である。脆弱なステージでは氷又は蝋状物の形成を監視することができる(温度、凝縮物の流れ、圧力降下、氷を検出するための近接スイッチ、電気的連続性、熱伝達流体における温度変化、その他を用いる)。氷又は蝋状物が形成し始めると、所与のステージ(又はステージのグループ)内の熱流束を修正し、問題を阻止することができる。次に、これを補償するために、必要に応じて他のステージで冷却力を増大させることができる。従って、熱交換器は、手動弁で設定するか、或いは結氷の兆候を連続して監視して必要に応じて調節することができる。別の制御手法(「可変熱流束」を用いる必要のないもの)は、氷形成を監視して、システム全体の温度を調節するものである。別の制御手法(「可変熱流束」を用いる必要のないもの)は、氷形成を監視して図7に示すような熱伝達面積を制御するものである。
【0148】
(d)加熱及び冷却力の改善
幾つかのタイプの反応は、従来の熱伝達機器には過剰な熱を発散又は吸収する。この反応の実施例は、反応の過渡温度上昇(又は降下)が生成物に損傷を与え又は何らかの方法で処理に影響を与える化学反応である。幾つかの場合には、この影響は、動作中の反応を全く阻止する可能性があるが、他の場合には溶剤で反応混合物を希釈することによって問題に対処する。
【0149】
化学反応が熱を発散している場合、処理材料が熱伝達表面上を通過するときに速度を上昇させて、且つ処理材料の層の厚さを低減することによって、所与の時間内に適用することができる冷却(及び処理材料の単位体積当たりの)を増大することができる。しかしながら、速度が上昇し層(2つの熱伝達表面の間の)が薄くなると、流体を移動させるために必要な圧力が増大する。最終的には、所与の速度に対して処理導管をどのように簿肉にすることができるかに対して圧力降下が限定要因となる。熱交換器が、一定の処理導管面積を備えた処理導管を有する場合には、高い圧力降下は、熱発散(又は吸収)が最も活発な場所ではなく、ユニット全体にわたって当てはまる必要がある。従って、圧力降下単独に基づいて、可変容積設計は、処理からの熱発散(又は吸収)が不均一な場合に常に良好な熱伝達性能を提供することができる。このことは、可変容積原理に基づいて構築された熱交換器が、より強力な発熱温度又はより高濃度の反応混合物を制御できることを意味する。これは、より速い反応、良好な選択性、希釈剤の使用の低減、その他のような多くの利点を有する。
【0150】
(e)構築コスト及びエネルギー節約
多くの従来の熱交換器は、標準化の利点のために設計上の妥協案を採用する。例えば、従来のプレート熱交換器用のプレートは、特定のプレート間隔のためにある形状に型抜きされる。この点において、標準設計は、理想よりも幅狭の処理導管特徴を用いなければならない可能性がある。これに対する代償として動作コストが高くなる(過度の降下に起因して)。或いは、選択された処理導管特徴が、理想よりも幅広になる可能性がある。この場合には、構築コスト及び熱交換器サイズが理想よりも大きくなる可能性がある。また処理導管の最適以下のサイズ決定は、結果として汚染(低速度において)及び浸食(高速度において)などの他の問題を生じる可能性がある。可変容積熱交換器は、遙かに高度な最適化になる。可変プレート熱交換器は、この最適化を妥当なコストで達成することを可能にする。その結果、かかる熱交換器はより良好に機能することになり、多くの場合これらは構築及び/又は動作がより安価になる。
【0151】
(f)他の効率
可変プレート熱交換器の熱伝達流体は、各プレートに個別に配管され、処理導管でも同じことを達成することができる。従って、熱回収システム等の幾つかの流れ方式を用いることができる。(例えば、処理供給材料が処理排出材料によって加熱される場合)
【0152】
(g)処理制御の改善
処理を監視する能力は、処理制御及び最適化において重要な要因である。可変プレート設計により、ユーザは、熱交換器全体にわたって異なる温度分布を監視及び評価することが可能になる。また可変プレート設計は、中間点において分析用のサンプルを採取する簡易的な手段を提供する。熱交換器を通る温度分布は、様々な分布に調整することができる。処理によって発散又は吸収される熱を監視することができる。また可変プレート設計は、良好な拡張特性(より幅広のプレート、複数のプレート、又は複数ユニット)を有する。これらの特徴は、可変プレート設計を研究開発、拡張、及びフルサイズの製造プラントにおける理想的なツールにする。
【0153】
用途
下記に説明する用途のいずれにおいても可変プレート設計は理想的な解決策である。幾つかの場合において、可変プレート熱交換器は、「可変容積」又は「可変熱流束」と共に、又はなしで用いることができる。
・可変熱流束、可変容積、及び可変プレート設計の技術は、プロセス産業において有用である。これらは、バッチ処理、半連続処理、及び連続処理で用いることができる。バッチ又は半連続処理で上記技術を用いる場合には、処理表面全体の流れを得るために、可変プレート、可変容積、又は可変熱流束熱交換器を再循環ループ内に備えるのが好ましい。これらのタイプの用途では、より良好な反応選択性、より高速な処理、及び原材料の使用削減などの利点を享受することができる。また処理導管面積に関して、処理負荷に対して熱交換器のサイズを良好に決定することができる(処理導管面積がプレート全体にわたって均一である場合でも)。
・可変容積及び可変プレート熱交換器は、熱交換器内で特定の温度分布が必要とされる用途において有用である。これは、多くの化学、薬剤、及びバイオ薬剤処理、更に食品産業における多くの処理を含む。
・可変プレート熱交換器は、触媒を用いる反応に理想的である。かかる用途では、「可変熱流束」も有用な付加である。触媒材料は、熱伝達表面上にコーティングすることができ、又はいずれかの形態の固体として処理導管内に含むことができる。
・可変容積、可変熱流束、及び可変プレート熱交換器は、空間又は構築コスト(サイズの理由から)が重要な検討事項である用途において有用である。実施例は、道路車両、油井掘削装置、船舶、航空機、海外設備、ビルディング、冷凍システム、加熱及び換気システム、その他を含む。大型システムの場合、大きな金属シートパネルとプレート間に挟む小さな銅パイプ(加熱又は冷却用)を用いて(実施可能な熱伝導性充填材の使用と共に)低コスト熱交換器要素を作成することができる。
・可変容積及び可変プレート熱交換器は、運用コストにおいて圧力降下が重要な検討事項である用途に有用である。これは、バルク化学物質及び石油化学物質産業に見られるガス及び蒸気系を圧縮、膨張、加熱、又は冷却するための機器を含む。またこれは、加熱及び換気システム、及び冷凍システムなどのガス及び蒸気用の他の大型システムを含む。
・可変プレート熱交換器は、清浄な内部及び良好な自己排出特性が望ましい場合の用途がある(可変容積又は可変熱流束と共に、又はなしで)。これに適する用途は、薬剤及び精密化学用途の処理凝縮器を含む。
・可変プレート熱交換器は、洗浄のための分解が望ましい用途に理想的である。これは、食品産業及び薬剤製造を含むが、断続的な洗浄が望ましい他の製造処理も含む。
・可変容積、可変プレート、及び可変熱流束熱交換器は、ガス流から湿気及び溶剤を除去するのに理想的である。この点に関して、化学又は薬剤処理からの汚染物質の軽減のため、或いは燃焼処理を冷却するためにこれらの熱交換器を用いることができる。
・可変プレート熱交換器は、熱伝達面積に関係して特定の導管サイズが必要とされる、又は最小コストで導管サイズを修正する選択肢が要求される熱交換器用途において用いることができる。この点に関して、可変プレート熱交換器は、バルク処理の液体又は水を加熱及び冷却するような多くの用途を有する。
・可変プレート熱交換器及び可変容積交換器は、核反応における熱伝達のための蒸気発生、水道工業、化学産業、石油化学産業において用いることができる。これらは、家庭用冷暖房システム、家庭用温水器、及び冷蔵庫等の用途で用いることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理材料が貫通して流れる熱伝達流体を含む複数の別個の熱伝達要素又はゾーンを備えた単一の熱交換器であって、
前記熱伝達流体が前記各熱伝達要素又はゾーンに個別に送達及び除去される、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
プレート熱交換器であることを特徴とする、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
2つ以上のプレートを備える、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記処理材料が1つのプレートから次のプレートに直接通過することを可能にするために前記熱交換器の本体内に孔が設けられている、
請求項2又は請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記処理材料が前記熱伝達流体導管に流入するのを阻止するためのシール又は溶接を含まない、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記熱伝達流体が前記処理流体導管に流入するのを阻止するためにシールが必要とされない、
請求項3ないし5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
各プレートの内外への前記処理材料の流れのために前記熱交換器の実質的に全幅にわたるスロット又は連続孔が設けられている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記プレートが少なくとも1つのスペーサによって離隔して保持される、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記スペーサが前記熱伝達プレートとは別個のアイテムである、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記スペーサが、前記処理導管の端部から他方の端部までプレート間隔が変化するように特徴付けられている、
請求項8又は9に記載の熱交換器。
【請求項11】
加熱及び冷却の両方が異なるプレート又はプレートの異なる区分に適用される、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記処理材料が、前記プレート又はあらゆるプレートの内外に配管される、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項13】
排出点、追加点、又は安全パイプから選択される付属品が設けられている、
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項14】
1つ又は2以上のプレートが器具を備える、
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記器具が、前記熱交換器を分解することなくアクセス又は取り外すことができる、
請求項14に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記処理流体が、前記熱交換器を並列流又は直列流、或いはこれらの組み合せで通過することができる、
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記流れパターンが、プレートパックを分解することなく変更することができる、
請求項16に記載の熱交換器。
【請求項18】
1つのプレート又はプレートゾーンからの前記処理流体が、別のプレート又はプレートゾーン上で熱伝達流体として用いられる、
請求項16又は請求項17に記載の熱交換器。
【請求項19】
前記流れ構成は、前記プレートパックを分解することなく確立することができる、
請求項18に記載の熱交換器。
【請求項20】
プレート組立体が少なくとも3層で生成され、前記層のうちの2つが熱伝達層としての役割を果たし、第3の層が前記2つの熱伝達層の間のスペーサとしての役割を果たす、
請求項1ないし19のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項21】
化学反応のための連続反応器として、
請求項1ないし20のいずれか1項に記載の熱交換器の使用。
【請求項22】
前記反応は重合化反応である、
請求項21に記載の使用。
【請求項23】
バッチ又は連続処理のための熱交換器として請求項1から請求項20のいずれかに記載の熱交換器の使用。
【請求項24】
凝縮器として請求項1から請求項20のいずれかに記載の熱交換器の使用。
【請求項25】
バッチ処理のためのオーバーヘッド凝縮器として請求項24に記載の使用。
【請求項26】
汚染軽減のための凝縮器としての請求項1から請求項20のいずれかに記載の熱交換器の使用。
【請求項27】
精密化学物質及び薬剤化合物の製造における請求項1から請求項20のいずれかに記載の熱交換器の使用。
【請求項28】
組み立て時に処理材料の流れの通路を提供する一連の熱交換器プレートと、該プレートと共に組み立てられた時に前記処理流体の流れのための前記通路用のプレート間隔を定めるスペーサとを備えている、
ことを特徴とする請求項1から20のいずれかに記載の熱交換器の生産のための構成部品の集合。

【公表番号】特表2008−540992(P2008−540992A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510512(P2008−510512)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004549
【国際公開番号】WO2006/120026
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507375694)アッシュ モリス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】