可搬便器
【課題】肘掛けを無段階で昇降させて高さを微調整することができる可搬便器を提供する。
【解決手段】可搬便器本体に取り付けた固定筒4内に可動筒5を上下スライド自在に挿着すると共に肘掛け3を可動筒5の上端部に設ける。固定筒4内にシャフト6を直立させて取り付けると共に可動筒5をシャフト6に被挿する。隣り合うピンの間の空間が一直線上に位置するようにリンクプレートをジグザグ状に屈曲したチェーン式クランプ具10を、上端を自由端とした状態で下端を可動筒5の下端部に連結して取り付ける。チェーン式クランプ具10の空間内にシャフト6を挿通し、ジグザグの角度が大きいときにピン間にシャフト6がクランプされ且つジグザグの角度が小さいときにピンによるシャフト6のクランプが解除されるようにする。チェーン式クランプ具10の上端部を押圧してジグザグの角度が小さくなるように操作するクランプ解除具11を備える。
【解決手段】可搬便器本体に取り付けた固定筒4内に可動筒5を上下スライド自在に挿着すると共に肘掛け3を可動筒5の上端部に設ける。固定筒4内にシャフト6を直立させて取り付けると共に可動筒5をシャフト6に被挿する。隣り合うピンの間の空間が一直線上に位置するようにリンクプレートをジグザグ状に屈曲したチェーン式クランプ具10を、上端を自由端とした状態で下端を可動筒5の下端部に連結して取り付ける。チェーン式クランプ具10の空間内にシャフト6を挿通し、ジグザグの角度が大きいときにピン間にシャフト6がクランプされ且つジグザグの角度が小さいときにピンによるシャフト6のクランプが解除されるようにする。チェーン式クランプ具10の上端部を押圧してジグザグの角度が小さくなるように操作するクランプ解除具11を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両側に肘掛けを設けた椅子型の可搬便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主として介護用に用いられる便器として、例えば特許文献1にみられるような可搬便器Aがある。この可搬便器Aは図14のように、上面に便座1を設けて形成した椅子型の可搬便器本体2からなるものであり、可搬便器本体2の両側には肘掛け3が設けてある。
【0003】
この肘掛け3は、便座1に着座した人の座位姿勢を安定させるために必要であり、また便座1から立ち上がる際や、便座1に座る際に体を支えるためにも、肘掛け3は必要である。
【0004】
一方、主として介護用に用いられるこの種の可搬便器Aは、ベッドの横に置いて使用されることが多い。そしてベッドに寝ている人が可搬便器Aを使用するために着座するときには、ベッドのサイドに腰掛けて、そのまま尻をベッドから可搬便器Aの便座1へと横滑りするように移動させることによって、可搬便座Aに着座する移乗を行ない、また可搬便器Aからベッドに戻るときは、逆に便座1の上からベッドの上へと尻を横滑りに移動させることによって、ベッドへ戻る移乗を行なうようにすれば、尻の横滑り移動という楽な動作で移乗を容易に行なうことができる。
【0005】
このように尻を横滑りに移動させて可搬便器Aに着座したり、ベッドに戻ったりする場合、尻の移動は可搬便器Aの側部を通して行なわれるために、可搬便器Aの両側の肘掛け3のうち、ベッドの側の肘掛け3はこの移乗の動作の邪魔になる。
【0006】
しかし上記の特許文献1のものでは、肘掛け3は可搬便器本体2にネジ止めによって固定されており、可搬便器Aに着座したり、ベッドに戻ったりする移乗の動作の度に、肘掛け3を取り外したり取り付けたりすることは、困難であり、尻を横滑りに移動させて可搬便器Aに着座したり、ベッドに戻ったりする移乗の動作をすることは、実際上できない。
【0007】
これに対して、特許文献2の可搬便器では、肘掛け3を昇降可能に形成してある。すなわち、図15に示す扁平筒状の案内部材23を可搬便器本体2の両側の側面に固定し、肘掛け3を上端に設けた筒状の肘掛け基部24が案内部材23内に上下スライド自在に取り付けてある。肘掛け基部24には所定間隔で上下複数個所に開口25が穿設してあり、肘掛け基部24の上端部にレバー26が設けてある。また開口25と対応する箇所に凹部27を設けた被拘束部材28が肘掛け基部24内に差し込んで挿着してあり、被拘束部材28はバネ29で上方へ弾撥付勢してある。そして図15のように、バネ30で弾撥付勢されるストッパ31が肘掛け基部24の開口25に差し込まれるようになっている。
【0008】
このものにあって、バネ29で弾撥付勢されて被拘束部材28が上動した状態では、図16(a)に示すように、被拘束部材28の各凹部27は肘掛け基部24の各開口25と合致した位置にあり、ストッパ31は凹部27に嵌まり込むように開口25に深く差し込まれ、ストッパ31が開口25に係合された状態になる。従ってこの状態ではストッパ31でロックされ、肘掛け基部24は案内部材23内を上下にスライドすることができず、肘掛け3を所定高さに固定することができる。
【0009】
次に、図16(a)の状態でレバー26を引き上げると、図16(b)のように被拘束部材28はバネ29に抗して押し下げられる。このように被拘束部材28が下動した状態では、図16(b)に示すように、被拘束部材28の各凹部27は肘掛け基部24の各開口25の間に位置して、各開口25は被拘束部材28で閉塞されることになり、ストッパ31はバネ30に抗して押し出され、開口25に対するストッパ31の係合が解除される。従ってこの状態ではロックが解除され、肘掛け基部24を案内部材23内で上下にスライドさせることができるものであり、所定高さに肘掛け3を昇降させた後、レバー26の引き上げを解除すると、バネ29の弾撥付勢で被拘束部材28が上動し、上記の図16(a)と同様にストッパ31が開口25に係合して、肘掛け3を所定高さに昇降させた位置で固定することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−206694号公報
【特許文献2】特開2006−87461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2のものでは、上記のように肘掛け3を所定高さに昇降させた位置で固定することができるようになっているので、肘掛け3を最大限下降させることによって、肘掛け3が邪魔になることなく尻を滑らせる動作を行なうことができ、可搬便器Aに着座したり、ベッドに戻ったりする移乗を容易に行なうことができるものである。
【0012】
そして、特許文献2のものにあって、肘掛け基部24に所定間隔で上下複数設けた開口25にストッパ31が係合することによって、肘掛け3を昇降させた高さ位置に固定することができるものであり、肘掛け3の高さを調整することもできる。
【0013】
しかし、肘掛け3の高さは、可搬便器Aを使用する人の体の大きさに合わせて微妙に調整できることが必要である。これに対して特許文献2のものでは、肘掛け3を固定できる高さは開口25の位置に特定されるので、肘掛け3の高さ調整は段階的にしか行なうことができないものであり、可搬便器Aを使用する人の体の大きさに合わせて肘掛け3の高さを微調整することができず、使い勝手に問題を有するものであった。
【0014】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、肘掛けを下降させた状態で側方から尻を滑らせた移乗の動作を容易に行なうことができ、しかも肘掛けを無段階で昇降させて高さを微調整することができると共に、肘掛けを昇降調整する作業を容易に行なうことができる可搬便器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る可搬便器は、便座1を設けた椅子型の可搬便器本体2と、可搬便器本体2の両側に設けられた肘掛け3とを備えて形成される可搬便器Aにおいて、可搬便器本体2の側部に縦向きに取り付けた固定筒4内に可動筒5を上下スライド自在に挿着すると共に肘掛け3を可動筒5の上端部に設けることによって、肘掛け3を昇降可能に形成し、固定筒4内にシャフト6を直立させて取り付けると共に可動筒5をシャフト6に被挿し、複数のリンクプレート7をピン8で回動自在に連結したチェーン9によって形成され、隣り合うピン8の間の空間が一直線上に位置するようにリンクプレート7をジグザグ状に屈曲したチェーン式クランプ具10を、その上端のリンクプレート7を自由端とした状態でその下端のリンクプレート7を可動筒5の下端部に連結して取り付け、このチェーン式クランプ具10の上記空間内にシャフト6を挿通して、リンクプレート7のジグザグの角度が大きいときに隣り合うピン8間にシャフト6がクランプされ且つリンクプレート7のジグザグの角度が小さいときにピン8によるシャフト6のクランプが解除されるようにし、チェーン式クランプ具10の上端部を下方へ押圧してリンクプレート7のジグザグの角度が小さくなるように操作するクランプ解除具11を備えて成ることを特徴とするものである。
【0016】
可動筒5を上方へ引き上げる際には、チェーン式クランプ具10のチェーン9のリンクプレート7は、シャフト6との摺接抵抗でジグザグの角度が小さくなって、クランプが解除された状態となり、また可動筒5を押し下げる際には、リンクプレート7はシャフト6との摺接抵抗でジグザグの角度が大きくなって、クランプが働く状態となるものであり、可動筒5の上端に設けた肘掛け3を引き上げて上昇させた任意の高さに固定することができるものである。またクランプ解除具11を操作してチェーン式クランプ具10の上端部を下方へ押圧し、リンクプレート7のジグザグの角度が小さくなるようにすると、クランプが解除されて可動筒5を下方へ押し下げることができるものであり、可動筒5の上端に設けた肘掛け3を押し下げて下降させた任意の高さに固定することができるものである。このようにして、肘掛け3を無段階で昇降させた任意の高さに固定することができ、肘掛け3の高さを微調整することができるものであり、また肘掛け3を最下端まで下降させることによって、肘掛け3が邪魔になることなく側方から尻を滑らせて移乗する動作を容易に行なうことができるものである。しかも、可動筒5を引き上げて肘掛け3を上昇させるときにはクランプが作用せず、クランプ解除具11を操作するのは可動筒5を押し下げて肘掛け3を下降させるときだけでよいものであり、肘掛け3を昇降調整する作業を容易に行なうことができるものである。
【0017】
また本発明は、上記のクランプ解除具11を、肘掛け3に設けた操作ボタン12と、可動筒5内に設けられ、操作ボタン12の操作によって下動し、その下端部でチェーン式クランプ具10の上端のリンクプレート7を押圧する押圧杆13とを備えて形成して成ることを特徴とするものである。
【0018】
この発明によれば、操作ボタン12を操作する簡単な動作でチェーン式クランプ具10のクランプを解除することができ、肘掛け3を昇降調整する作業を容易に行なうことができるものである。
【0019】
また本発明は、上記の操作ボタン12を、肘掛け3の上面に開口して形成したボタン孔14内に、その上面がボタン孔14の上面開口より下側に位置するように配置して設けて成ることを特徴とするものである。
【0020】
この発明によれば、操作ボタン12を操作しながら肘掛け3を下降させる調整作業を容易に行なうことができると共に、ボタン孔14内の引っ込んだ位置に配置されている操作ボタン12を不用意に操作するようなことを防ぐことができ、肘掛け3を固定した状態を誤って解除するようなことがなくなるものである。
【0021】
また本発明は、肘掛け3に、操作ボタン12が配置される上記ボタン孔14の上面開口を開閉するシャッター15を設けて成ることを特徴とするものである。
【0022】
この発明によれば、シャッター15を開かない限り、操作ボタン12を操作することができないものであり、操作ボタン12を不用意に操作するようなことを確実に防ぐことができるものである。
【0023】
また本発明は、可搬便器本体2の背部に設けられた背凭れ16と、上記の昇降可能な肘掛け3の間に、この肘掛け3が上昇した位置と同じ高さ位置で固定された固定肘掛け17を設けて成ることを特徴とするものである。
【0024】
この発明によれば、可搬便器本体2に座った人が肘掛け3に肘を掛けるにあたって、肘の一部を固定肘掛け17によっても支えることができ、昇降可能に形成した肘掛け3に過大な荷重が作用することを防ぐことができるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、可動筒5を上方へ引き上げる際には、チェーン式クランプ具10のクランプが解除された状態となり、可動筒5を押し下げる際には、クランプが働く状態となるものであり、可動筒5の上端に設けた肘掛け3を引き上げて上昇させた任意の高さに固定することができると共に、またクランプ解除具11を操作してチェーン式クランプ具10の上端部を下方へ押圧すると、クランプが解除されて可動筒5を下方へ押し下げることができるものであり、可動筒5の上端に設けた肘掛け3を押し下げて下降させた任意の高さに固定することができるものである。このようにして、肘掛け3を無段階で昇降させた任意の高さに固定することができ、肘掛け3の高さを微調整することができるものであり、また肘掛け3を最下端まで下降させることによって、肘掛け3が邪魔になることなく側方から尻を滑らせて移乗する動作を容易に行なうことができるものである。しかも、可動筒5を引き上げて肘掛け3を上昇させるときにはクランプが作用せず、クランプ解除具11を操作するのは可動筒5を押し下げて肘掛け3を下降させるときだけでよいものであり、肘掛け3を昇降調整する作業を容易に行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ肘掛けの昇降機構を示す断面図である。
【図2】同上の可搬便器の全体を示す斜視図である。
【図3】同上の可搬便器の全体を示すものであり、(a)は肘掛けを上端位置に上昇させた状態の側面図、(b)は肘掛けを下端位置に下降させた状態の側面図である。
【図4】肘掛けと支柱を示す斜視図である。
【図5】(a)は図4から肘掛けを除いた状態の斜視図、(b)は図5(a)から固定筒を除いた状態の斜視図である。
【図6】(a)は図5(b)から肘掛けを除いた状態の斜視図、(b)は図6(a)のスライドブロックの一部を除いた状態の一部の拡大した斜視図である。
【図7】図4の上端部の部分の一部破断拡大図である。
【図8】チェーン式クランプ具の一例の斜視図である。
【図9】チェーン式クランプ具の一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ正面図、(c)はリンクプレートの正面図である。
【図10】肘掛けを示すものであり、(a)は上面側からの斜視図、(b)は下面側からの斜視図である。
【図11】チェーン式クランプ具の他の一例を示す概略図である。
【図12】チェーン式クランプ具のさらに他の一例のピンを示す斜視図である。
【図13】チェーン式クランプ具のさらに他の一例を示す概略断面図である。
【図14】従来例の可搬便器を示す斜視図である。
【図15】従来例の肘掛けの昇降機構を示す分解斜視図である。
【図16】従来例の肘掛けの昇降機構を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図2は本発明の可搬便器Aの一例を示すものであり、可搬便器本体2は、箱状の便器外郭体35の下面に脚36を設けると共に便器外郭体35の背部に背凭れ16を設け、便器外郭体35の上面に便座1を設けることによって、椅子型に形成してある。便座1の下側において、便器外郭体35内には、排泄物受け容器(図示省略)が取り出し自在に収容してあり、便座1に座って用を足した人の排泄物を排泄物受け容器に受けることができるようにしてある。また便座1の背部側において便器外郭体35に局部洗浄装置37が設けてあり、用を足した人の局部を洗浄することができるようにしてある。
【0029】
背凭れ16は、便器外郭体35の後端部に立設した背凭れ支柱39と、背凭れ支柱39の上端部に設けた背凭れクッション40からなるものである。また便器外郭体35の両側の側面に下端部を固定して固定支柱41が立設してあって、この固定支柱41の上端と背凭れ支柱39の側面との間に固定肘掛け17が取り付けてあり、可搬便器本体2の後部の両側に固定肘掛け17を設けるようにしてある。
【0030】
肘掛け3はこの固定肘掛け17の前側に配置されるものであり、可搬便器本体2の前部の両側に設けるようにしてある。肘掛け3は固定筒4と可動筒5からなる昇降機構を備えた支柱42によって可搬便器本体2に取り付けられるものである。
【0031】
固定筒4は上下が開口する縦長の筒で形成されるものであり、図1、図4、図5(a)に示すようにその側面に上下一対の固定具43が取り付けてある。各固定具43にはネジ穴44が設けてあり、このネジ穴44にネジをねじ込むことによって固定具43で可搬便器本体4の便器外郭体35の両側面に、固定筒4を取り付けるようにしてある。上下一対の固定具43のうち、上の固定具43にはストッパー片45が突設してあり、図1(a)のように、このストッパー片45は固定筒4に設けた孔を通して固定筒4の内周に突出させるようにしてある。固定筒4の下端の開口はキャップ46で閉塞してあるが、固定筒4の下端部内にシャフト支持ブロック47がネジ48止めで固定してある。そしてこのシャフト支持ブロック47によって固定筒4内にシャフト6が縦に立設してある。シャフト6は図1に示すように下端がシャフト支持ブロック47に固定されるものであり、上端をフリーな自由端として固定筒4の軸中心に配置されるものである。
【0032】
可動筒5は上下が開口する縦長の筒で形成されるものであり、固定筒4の内径より小さい外径の同心形状に形成してある。可動筒5の上端外面には、図5(b)のように一対の肘掛け取付金具51が固定してあり、この肘掛け取付金具51によって可動筒5の上端に肘掛け3を取り付けるようにしてある。
【0033】
可動筒5の下端部には図1に示すようにスライドブロック52が取り付けてある。スライドブロック52は筒状に形成されるものであり、図6(a)のように一対の半筒状のブロック半体52aを合体して形成されるものである。スライドブロック52は上部を可動筒5の下端部内に差し込んで、ネジ53で固定するようにしてある。スライドブロック52の下端部は可動筒5の下方へ突出しており、この可動筒5の下方へ突出するスライドブロック52の下端部は可動筒5の外周より外方へ張り出し、スライド部54として形成してあり、スライド部54にはコロ55が設けてある。
【0034】
スライドブロック52内には図6(b)のようにチェーン式クランプ具10が取り付けてある。チェーン式クランプ具10は、鎖伝動装置に用いられるチェーン9を用いて形成されるものである。すなわち、平行に一対配置した一組のリンクプレート7の一端に他の一組のリンクプレート7の一端をピン8で回動自在に連結すると共に各対のリンクプレート7同士をこのピン8で結合し、この一組のリンクプレート7の他端に他の一組のリンクプレート7の一端をピン8で回動自在に連結すると共に各対のリンクプレート7同士をこのピン8で結合し、以下同様して複数のリンクプレート7をピン8で回動自在に連結することによって、チェーン9を形成することができる。そしてこのチェーン9を隣り合うリンクプレート7が「く」字形になるようにジグザグ状に屈曲すると、図8に示すように、一対の平行なリンクプレート7と、リンクプレート7の両端のピン8とで囲まれる空間が、一直線に並んで連続することになる。すなわち、リンクプレート7を連結しているピン8は、一つ置きのものと他の一つ置きのものがそれぞれ一直線に且つ平行に並び、この一つ置きのピン8間に一直線に連通する空間が形成されるものである。
【0035】
このようにチェーン9をジグザグ状に屈曲して形成されるチェーン式クランプ具10は、スライドブロック52の内側に縦に配置されるものであり、チェーン式クランプ具10の下端のリンクプレート7を連結プレート56によってスライドブロック52に取り付けるようにしてある。従ってチェーン式クランプ具10の上端はフリーな状態になっている。チェーン式クランプ具10をこのように装着したスライドブロック52を上記のように可動筒5の下端部内に挿着することによって、図1に示すように、チェーン式クランプ具10を可動筒5の下端部内に取り付けることができるものである。
【0036】
また、可動筒5にはクランプ解除具11が装着してある。クランプ解除具11は操作ボタン12と押圧杆13を備えて形成されるものであり、押圧杆13は可動筒5より小径の上下が開口する筒体によって形成してある。操作ボタン12は図7に示すように円板状の押さえ板58の下面に軸部59を突設して形成されるものであり、軸部59の中段部の外面に係止突部60が突設してある。操作ボタン12は係止突部60より下側の軸部59を押圧杆13の上端開口部内に差し込み嵌合することによって、押圧杆13の上端に固定してある。押圧杆13の下端には、図1及び図6(b)に示すように筒状の押圧スライダー61が取り付けてある。この押圧スライダー61の外径は上記のスライドブロック52の上部の内径とほぼ等しく、内径は上記のシャフト6の外径とほぼ等しく形成してある。
【0037】
そして可動筒5の上端部の内周にはガイド筒62が取り付けてあり、ガイド筒62の内周を通して押圧杆13を可動筒5内に差し込んで取り付けてある。このように押圧杆13を可動筒5内に差し込んで挿着すると、図1及び図6(b)に示すように、押圧杆13の下端に設けた押圧スライダー61がスライドブロック52の上部内に挿入され、スライドブロック52内のチェーン式クランプ具10の上端に押圧スライダー61の下端が近接して配置されるようになっている。また図7のように、ガイド筒62の内周の下端部には下係止突部63が突設してあり、この下係止突部63と操作ボタン12の係止突部60の間にコイルスプリング64が設けてある。従って、スプリング64に抗して操作ボタン12を押して下動させると、操作ボタン12と共に押圧杆13も可動筒5内を下動し、また操作ボタン12を押す力を解除すると、スプリング64の弾撥力で操作ボタン12は上動し、押圧杆13も可動筒5内を上動する。
【0038】
可動筒5は固定筒4内に上端の開口から差し込んで挿着されるものであり、このように固定筒4に可動筒5を差し込んだ状態で、固定筒4の上端部に筒状のガイドブッシュ67を取り付けるようにしてある。ガイドブッシュ67の内径は可動筒5の外径とほぼ等しく形成してあり、また可動筒5の下端部に取り付けた上記スライドブロック52のスライド部54の外径は固定筒4の内径とほぼ等しく形成してあり、従って、可動筒5の外周面がガイドブッシュ67の内周面に、スライドブロック52のスライド部54の外周面が外筒4の内周面に、それぞれ密接して摺動する状態で、可動筒5をがたつきなくスムーズに上下にスライドさせることができるものである。
【0039】
そしてこのように可動筒5を固定筒4内に差し込む際に、同時に、シャフト6を可動筒5の下端部のスライドブロック52内に下端から被挿し、さらにクランプ解除具11の押圧杆13内に下端の押圧スライダー61を通してシャフト6を被挿するようにしてある。またこのとき、図6(b)に示すように、スライドブロック52内のチェーン式クランプ具10内の空間内にも下端から上端へと突き抜けるようにシャフト6が被挿されるものである。
【0040】
ここで、チェーン式クランプ具10が折り畳まれてジグザグの角度が小さい状態では、図9(a)のように隣り合うリンクプレート7がなす角度θが小さくなり、図9(c)の上の図のようにリンクプレート7の傾斜角度が小さくなる。またチェーン式クランプ具10が引き伸ばされてジグザグの角度が大きい状態では、図9(b)のように隣り合うリンクプレート7がなす角度θが大きくなり、図9(c)の下の図のようにリンクプレート7の傾斜角度が大きくなる。そして図9(c)の下の図のようにリンクプレート7の傾斜角度が大きいときの、隣り合うピン8の水平方向(シャフト6の長手方向と垂直な方向)での内法寸法W2は、図9(c)の上の図のようにリンクプレート7の傾斜角度が小さいときの、隣り合うピン8の水平方向(シャフト6の長手方向と垂直な方向)での内法寸法W1よりも小さくなる。ここで、シャフト6の幅寸法WはW2と同じ寸法に形成してある。
【0041】
上記のようにして、昇降機構を備えた支柱42を図1のように形成することができるものであり、固定筒4に設けた固定具43によって可搬便器本体2の便器外郭体35の両側の外面に支柱42を取り付けることによって、図2のように可搬便器本体2の両側に肘掛け3を設けることができるものである。
【0042】
肘掛け3は上記のように可動筒5の上端部に設けた一対の肘掛け取付金具51によって、可動筒5の上端部に取り付けるようにしてある。すなわち、この肘掛け取付金具51は図5のように、縦片70と、縦片70の下端に外側方へ突出して設けた横片71から、断面L字形に形成されるものであり、横片71の外側縁にはガイド用切欠部72が設けてある。また肘掛け3の中央部には、その下面に肘掛け3の長手方向に沿って長い長凹部73が下方へ開口して形成してあり、この長凹部73の上底面の中央部に上下に開口するボタン孔14が穿設してある。そして図10(b)のように、長凹部73に下側から可動筒5の上端部および肘掛け取付金具51の縦片70を差し込んだ状態で、肘掛け取付金具51の横片71の上に肘掛け3を載置し、この状態で横片71のビス孔75を通してビス77を肘掛け3にねじ込むことによって、可動筒5の上端部に肘掛け3を固定して取り付けることができるものである。このように可動筒5に肘掛け3を取り付けた際には、図7や図10(a)に示すように、クランプ解除具11の操作ボタン12はボタン孔14内に収容されるようになっている。
【0043】
また15はシャッターであり、下面が開口する断面コ字形に形成してあって、肘掛け3に上側から嵌め込んで取り付けてある。シャッター15の両側下端には内方へ突出して係止ガイド片76が設けてあり、この係止ガイド片76を肘掛け3の下面に係止させてある。そして図10(b)のように係止ガイド76は肘掛け取付金具51の横片71のガイド用切欠部72内に位置させてあり、係止ガイド片76がガイド用切欠部72内をスライドする範囲で、シャッター15を肘掛け3の長手方向に沿った前後方法にスライド自在にしてある。シャッター15をこのようにスライド移動させることによって、図2に示すように操作ボタン12を収容したボタン孔14の上面開口をクローズにしたり、図7や図10(a)のようにボタン孔14の上面開口をオープンにしたりすることができるものである。
【0044】
上記のように可搬便器本体2の両側に肘掛け3を設けて形成される本発明の可搬便器Aにあって、可動筒5を上限まで引き上げて肘掛け3を最上端位置に上昇させると、図2及び図3(a)に示すように、肘掛け3は固定肘掛け17と同じ高さに揃い、また固定肘掛け17の前側に肘掛け3が位置して、肘掛け3と固定肘掛け17とが前後に連続するようにしてある。このとき、図1(b)に示すように、可動筒5の下端部に設けたスライドブロック52のスライド部54が、固定筒4に取り付けた固定具43のストッパー片45に係止されることによって、可動筒5の上限位置が規制されている。
【0045】
このように、肘掛け3と固定肘掛け17が前後に一体的に連続するようになっているので、可搬便器本体2の便座1に座って用を足す人は、肘掛け3から固定肘掛け17に跨って肘を掛けて、体重を肘掛け3と固定肘掛け17の両方に掛けることができるものである。このため、固定筒4と可動筒5からなる一本の支柱42で肘掛け3を支持するようにしても、肘掛け3に過大な荷重が作用することがなくなり、安定して肘をかけることができるものである。また、肘掛け3が前後にぐらついたりすることなく一本の支柱42で安定して支持するために、肘掛け3の前後方向の長さを短く形成してあるが、肘掛け3と背凭れ16の間に固定肘掛け17を設けることによって、肘掛け3と背凭れ16の間に大きな隙間があくようなことを防ぐことができるものである。
【0046】
上記のように肘掛け3を上昇させた状態で、肘掛け3に体重などが掛かって、可動筒5を下方へ移動させる力が作用すると、可動筒5の下動によってチェーン式クランプ具10の下端のリンクプレート7に、図9(b)のイ矢印のように連結プレート56を介して引き下ろす力が作用する。すると、チェーン式クランプ具10に挿通されているシャフト6に対するチェーン式クランプ具10のピン8の摺接抵抗で、チェーン式クランプ具10が引き伸ばされてリンクプレート7のジグザグの角度θが大きくなり、隣り合うピン8の水平方向(シャフト6の長手方向と垂直な方向)での内法寸法W2がシャフト6の幅寸法Wと同じになる。そしてこのように隣り合うピン8の水平方向での内法寸法W2がシャフト6の幅寸法Wと同じになると、チェーン式クランプ具10の各隣り合うピン8の間にシャフト6がクランプされ、シャフト6に対してチェーン式クランプ具10がクランプ固定されることになる。従って、チェーン式クランプ具10はシャフト6に沿って下動することができず、可動筒5も下動することができないものであり、肘掛け3が下降することはない。このため、肘掛け3を上昇させた状態に保持して、肘掛け3に肘を掛けて使用することができるものである。
【0047】
次に、可搬便器本体2の側方から尻を滑らせて移乗する動作を容易に行なうことができるように、肘掛け3を最下端まで下降させるにあたっては、まず図3(a)のようにシャッター15を後方へスライドさせて、図7や図10(a)のようにボタン孔14の上面を開口させ、クランプ解除具11の操作ボタン12をスプリング64に抗して押し下げる。すると、操作ボタン12の下動によって押圧杆13が可動筒5内を下動し、押圧杆13の下端部に設けた押圧スライダー61の下端でチェーン式クランプ具10の上端のリンクプレート7が下方へ押さえられる。このようにチェーン式クランプ具10の上端が下方へ押えられると、チェーン式クランプ具10は図9(b)のようにジグザグの角度θが大きい引き伸ばされた状態から、図9(a)のようにジグザグの角度θが小さい折り畳まれた状態になる。そしてこのようにリンクプレート7のジグザグの傾斜角度が小さくなると、隣り合うピン8の水平方向(シャフト6の長手方向と垂直な方向)での内法寸法W1がシャフト6の幅寸法Wよりも大きくなり、隣り合うピン8の間にシャフト6がクランプされる状態が解除され、シャフト6に対するチェーン式クランプ具10のクランプが解除される。従って、このように操作ボタン12を押し下げてチェーン式クランプ具10のクランプを解除した状態で可動筒5を押し下げると、図9(a)のイ矢印のようにチェーン式クランプ具10はシャフト6に沿って下動するものであり、可動筒5を固定筒4内に沿って下動させることができ、肘掛け3を下降させることができるものである。
【0048】
このようにして、図3(b)のように肘掛け3を便座1と同じレベルの最下端にまで下降させることによって、可搬便器本体2の一方の側方を開放状態にすることができるものであり、可搬便器本体2の側方から尻を滑らせて移乗する動作を容易に行なうことができるものである。
【0049】
次に、可動筒5を引き上げて上動させると、チェーン式クランプ具10の下端のリンクプレート7に、図9(a)(b)のロ矢印のように引き上げる力が作用する。そしてチェーン式クランプ具10が元々図9(a)のようにジグザグの角度θが小さい折り畳まれた状態であるときには、チェーン式クランプ具10は折り畳まれた状態のまま、図9(a)のロ矢印のようにシャフト6に沿って上動する。またチェーン式クランプ具10が図9(b)のようにジグザグの角度θが大きい引き伸ばされた状態であって、シャフト6に対してチェーン式クランプ具10がクランプされている場合には、図9(b)のロ矢印のように引き上げる力が作用すると、シャフト6に対するチェーン式クランプ具10のピン8の摺接抵抗で、チェーン式クランプ具10は引き伸ばされた状態から図9(a)のようにジグザグの角度θが小さい折り畳まれた状態になり、図9(a)のロ矢印のようにシャフト6に沿って上動する。
【0050】
このように、可動筒5を引き上げて上動させるときには、チェーン式クランプ具10のクランプが自動的に解除されるものであり、クランプ解除具11の操作ボタン12を操作する必要なく、可動筒5を固定筒4内に沿って引き上げて肘掛け3を上昇させる操作を容易に行なうことができるものである。
【0051】
また、上記のように操作ボタン12を押してチェーン式クランプ具10のクランプを解除した状態で可動筒5を押し下げて下動させ、肘掛け3を任意の高さ位置に下降させることができる。そしてこの状態で操作ボタン12を押す力を解除すると、スプリング64の弾撥力で操作ボタン12は上動し、押圧杆13も可動筒5内を上動するため、押圧杆13の押圧スライダー61によるチェーン式クランプ具10の上端の押圧が解除される。このようにチェーン式クランプ具10の上端の押圧が解除されると、可動筒5に押し下げる力が働いたときに、チェーン式クランプ具10が既述の図9(b)のようにジグザグの角度θが大きくなるように引き伸ばされ、クランプ状態になる。従って、肘掛け3を任意の高さ位置に調整した状態で固定することができるものである。
【0052】
さらに上記のように、可動筒5を引き上げて上動させ、肘掛け3を任意の高さ位置に上昇させることができる。そしてこの任意の高さ位置で可動筒5に押し下げる力が働いたときに、チェーン式クランプ具10が既述の図9(b)のようにジグザグの角度θが大きくなるように引き伸ばされ、クランプ状態になる。従って、肘掛け3を任意の高さ位置に調整した状態で固定することができるものである。
【0053】
このように、可動筒5は昇降させた任意の高さ位置に固定することができるものであり、肘掛け3を連続した無段階の高さ位置に調整することができるものである。従って、肘掛け3を無段階で昇降させて高さを微調整することができ、使い勝手が良好なものになるものである。
【0054】
上記のように、肘掛け3を下降させるときには、クランプ解除具11の操作ボタン12を操作する必要があり、操作ボタン12を操作しない限り肘掛け3が降下するようなことはない。このため、例えば肘掛け3に肘を掛けている状態で、不用意に肘掛け3が降下するようなことを防ぐことができる。しかも、操作ボタン12は肘掛け3のボタン孔14内に、ボタン孔14の上面開口より下側に位置するように配置してあるので、操作ボタン12を不用意に押してしまうようなことを防ぐことができ、さらにシャッター15をスライドさせて図2のようにボタン孔14の上面開口をシャッター15で閉じておけば、操作ボタン12を不用意に押してしまうことを確実に防ぐことができるものである。
【0055】
図11はチェーン式クランプ具10の他の実施の形態を示すものであり、リンクプレート7を回動自在に連結するピン8を、断面非円形に形成してある。図11の実施の形態では、ピン8の断面を楕円形乃至長円形に形成して非円形にしてあるが、多角形断面にして非円形にするようにしてもよい。
【0056】
ここで、上記の図9(b)のようにチェーン式クランプ具10が引き伸ばされると、隣り合うピン8の水平方向での内法寸法W2が小さくなって、隣り合うピン8の間にシャフト6がクランプされ、シャフト6に対してチェーン式クランプ具10をクランプ固定することができる。しかしピン8が自由に回転することができると、クランプ状態であってもピン8の転動によって、シャフト6に沿ってチェーン式クランプ具10が移動可能になることがある。チェーン9においてピン8は隣り合う一対のリンクプレート7のうち一方のリンクプレート7には回動自在に連結されているが、他方のリンクプレート7にはかしめ固定されており、通常は自由に回転することはできない。しかし場合によってはかしめが緩んだりしてピン8が回転可能になることがあり、このときにはシャフト6の表面をピン8が転動することによってチェーン式クランプ具10が移動するおそれがある。これに対して、図11の実施の形態のように、ピン8の断面を非円形に形成すれば、ピン8がシャフト6の表面を転動することを防ぐことができるものであり、シャフト6に対するチェーン式クランプ具10のクランプ固定状態を確実に保持することができるものである。
【0057】
図12の実施の形態では、ピン8を軸部8aと偏心部8bとから形成するようにしてある。シャフト6の表面に接する偏心部8bは軸部8aから偏心しているので、この場合も、ピン8がシャフト6の表面を転動することを防ぐことができるものであり、シャフト6に対するチェーン式クランプ具10のクランプ固定状態を確実に保持することができるものである。
【0058】
図13の実施の形態では、ピン8を曲げ変形するバネ材質で形成してり、隣り合うピン8間にシャフト6をクランプしたときに、ピン8が曲げ変形するようにしてある。曲げ変形しているピン8はシャフト6の表面を転動することができないものであり、この場合も、シャフト6に対するチェーン式クランプ具10のクランプ固定状態を確実に保持することができるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 便座
2 可搬便器本体
3 肘掛け
4 固定筒
5 可動筒
6 シャフト
7 リンクプレート
8 ピン
9 チェーン
10 チェーン式クランプ具
11 クランプ解除具
12 操作ボタン
13 押圧杆
14 ボタン孔
15 シャッター
16 背凭れ
17 固定肘掛け
【技術分野】
【0001】
本発明は、両側に肘掛けを設けた椅子型の可搬便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主として介護用に用いられる便器として、例えば特許文献1にみられるような可搬便器Aがある。この可搬便器Aは図14のように、上面に便座1を設けて形成した椅子型の可搬便器本体2からなるものであり、可搬便器本体2の両側には肘掛け3が設けてある。
【0003】
この肘掛け3は、便座1に着座した人の座位姿勢を安定させるために必要であり、また便座1から立ち上がる際や、便座1に座る際に体を支えるためにも、肘掛け3は必要である。
【0004】
一方、主として介護用に用いられるこの種の可搬便器Aは、ベッドの横に置いて使用されることが多い。そしてベッドに寝ている人が可搬便器Aを使用するために着座するときには、ベッドのサイドに腰掛けて、そのまま尻をベッドから可搬便器Aの便座1へと横滑りするように移動させることによって、可搬便座Aに着座する移乗を行ない、また可搬便器Aからベッドに戻るときは、逆に便座1の上からベッドの上へと尻を横滑りに移動させることによって、ベッドへ戻る移乗を行なうようにすれば、尻の横滑り移動という楽な動作で移乗を容易に行なうことができる。
【0005】
このように尻を横滑りに移動させて可搬便器Aに着座したり、ベッドに戻ったりする場合、尻の移動は可搬便器Aの側部を通して行なわれるために、可搬便器Aの両側の肘掛け3のうち、ベッドの側の肘掛け3はこの移乗の動作の邪魔になる。
【0006】
しかし上記の特許文献1のものでは、肘掛け3は可搬便器本体2にネジ止めによって固定されており、可搬便器Aに着座したり、ベッドに戻ったりする移乗の動作の度に、肘掛け3を取り外したり取り付けたりすることは、困難であり、尻を横滑りに移動させて可搬便器Aに着座したり、ベッドに戻ったりする移乗の動作をすることは、実際上できない。
【0007】
これに対して、特許文献2の可搬便器では、肘掛け3を昇降可能に形成してある。すなわち、図15に示す扁平筒状の案内部材23を可搬便器本体2の両側の側面に固定し、肘掛け3を上端に設けた筒状の肘掛け基部24が案内部材23内に上下スライド自在に取り付けてある。肘掛け基部24には所定間隔で上下複数個所に開口25が穿設してあり、肘掛け基部24の上端部にレバー26が設けてある。また開口25と対応する箇所に凹部27を設けた被拘束部材28が肘掛け基部24内に差し込んで挿着してあり、被拘束部材28はバネ29で上方へ弾撥付勢してある。そして図15のように、バネ30で弾撥付勢されるストッパ31が肘掛け基部24の開口25に差し込まれるようになっている。
【0008】
このものにあって、バネ29で弾撥付勢されて被拘束部材28が上動した状態では、図16(a)に示すように、被拘束部材28の各凹部27は肘掛け基部24の各開口25と合致した位置にあり、ストッパ31は凹部27に嵌まり込むように開口25に深く差し込まれ、ストッパ31が開口25に係合された状態になる。従ってこの状態ではストッパ31でロックされ、肘掛け基部24は案内部材23内を上下にスライドすることができず、肘掛け3を所定高さに固定することができる。
【0009】
次に、図16(a)の状態でレバー26を引き上げると、図16(b)のように被拘束部材28はバネ29に抗して押し下げられる。このように被拘束部材28が下動した状態では、図16(b)に示すように、被拘束部材28の各凹部27は肘掛け基部24の各開口25の間に位置して、各開口25は被拘束部材28で閉塞されることになり、ストッパ31はバネ30に抗して押し出され、開口25に対するストッパ31の係合が解除される。従ってこの状態ではロックが解除され、肘掛け基部24を案内部材23内で上下にスライドさせることができるものであり、所定高さに肘掛け3を昇降させた後、レバー26の引き上げを解除すると、バネ29の弾撥付勢で被拘束部材28が上動し、上記の図16(a)と同様にストッパ31が開口25に係合して、肘掛け3を所定高さに昇降させた位置で固定することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−206694号公報
【特許文献2】特開2006−87461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2のものでは、上記のように肘掛け3を所定高さに昇降させた位置で固定することができるようになっているので、肘掛け3を最大限下降させることによって、肘掛け3が邪魔になることなく尻を滑らせる動作を行なうことができ、可搬便器Aに着座したり、ベッドに戻ったりする移乗を容易に行なうことができるものである。
【0012】
そして、特許文献2のものにあって、肘掛け基部24に所定間隔で上下複数設けた開口25にストッパ31が係合することによって、肘掛け3を昇降させた高さ位置に固定することができるものであり、肘掛け3の高さを調整することもできる。
【0013】
しかし、肘掛け3の高さは、可搬便器Aを使用する人の体の大きさに合わせて微妙に調整できることが必要である。これに対して特許文献2のものでは、肘掛け3を固定できる高さは開口25の位置に特定されるので、肘掛け3の高さ調整は段階的にしか行なうことができないものであり、可搬便器Aを使用する人の体の大きさに合わせて肘掛け3の高さを微調整することができず、使い勝手に問題を有するものであった。
【0014】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、肘掛けを下降させた状態で側方から尻を滑らせた移乗の動作を容易に行なうことができ、しかも肘掛けを無段階で昇降させて高さを微調整することができると共に、肘掛けを昇降調整する作業を容易に行なうことができる可搬便器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る可搬便器は、便座1を設けた椅子型の可搬便器本体2と、可搬便器本体2の両側に設けられた肘掛け3とを備えて形成される可搬便器Aにおいて、可搬便器本体2の側部に縦向きに取り付けた固定筒4内に可動筒5を上下スライド自在に挿着すると共に肘掛け3を可動筒5の上端部に設けることによって、肘掛け3を昇降可能に形成し、固定筒4内にシャフト6を直立させて取り付けると共に可動筒5をシャフト6に被挿し、複数のリンクプレート7をピン8で回動自在に連結したチェーン9によって形成され、隣り合うピン8の間の空間が一直線上に位置するようにリンクプレート7をジグザグ状に屈曲したチェーン式クランプ具10を、その上端のリンクプレート7を自由端とした状態でその下端のリンクプレート7を可動筒5の下端部に連結して取り付け、このチェーン式クランプ具10の上記空間内にシャフト6を挿通して、リンクプレート7のジグザグの角度が大きいときに隣り合うピン8間にシャフト6がクランプされ且つリンクプレート7のジグザグの角度が小さいときにピン8によるシャフト6のクランプが解除されるようにし、チェーン式クランプ具10の上端部を下方へ押圧してリンクプレート7のジグザグの角度が小さくなるように操作するクランプ解除具11を備えて成ることを特徴とするものである。
【0016】
可動筒5を上方へ引き上げる際には、チェーン式クランプ具10のチェーン9のリンクプレート7は、シャフト6との摺接抵抗でジグザグの角度が小さくなって、クランプが解除された状態となり、また可動筒5を押し下げる際には、リンクプレート7はシャフト6との摺接抵抗でジグザグの角度が大きくなって、クランプが働く状態となるものであり、可動筒5の上端に設けた肘掛け3を引き上げて上昇させた任意の高さに固定することができるものである。またクランプ解除具11を操作してチェーン式クランプ具10の上端部を下方へ押圧し、リンクプレート7のジグザグの角度が小さくなるようにすると、クランプが解除されて可動筒5を下方へ押し下げることができるものであり、可動筒5の上端に設けた肘掛け3を押し下げて下降させた任意の高さに固定することができるものである。このようにして、肘掛け3を無段階で昇降させた任意の高さに固定することができ、肘掛け3の高さを微調整することができるものであり、また肘掛け3を最下端まで下降させることによって、肘掛け3が邪魔になることなく側方から尻を滑らせて移乗する動作を容易に行なうことができるものである。しかも、可動筒5を引き上げて肘掛け3を上昇させるときにはクランプが作用せず、クランプ解除具11を操作するのは可動筒5を押し下げて肘掛け3を下降させるときだけでよいものであり、肘掛け3を昇降調整する作業を容易に行なうことができるものである。
【0017】
また本発明は、上記のクランプ解除具11を、肘掛け3に設けた操作ボタン12と、可動筒5内に設けられ、操作ボタン12の操作によって下動し、その下端部でチェーン式クランプ具10の上端のリンクプレート7を押圧する押圧杆13とを備えて形成して成ることを特徴とするものである。
【0018】
この発明によれば、操作ボタン12を操作する簡単な動作でチェーン式クランプ具10のクランプを解除することができ、肘掛け3を昇降調整する作業を容易に行なうことができるものである。
【0019】
また本発明は、上記の操作ボタン12を、肘掛け3の上面に開口して形成したボタン孔14内に、その上面がボタン孔14の上面開口より下側に位置するように配置して設けて成ることを特徴とするものである。
【0020】
この発明によれば、操作ボタン12を操作しながら肘掛け3を下降させる調整作業を容易に行なうことができると共に、ボタン孔14内の引っ込んだ位置に配置されている操作ボタン12を不用意に操作するようなことを防ぐことができ、肘掛け3を固定した状態を誤って解除するようなことがなくなるものである。
【0021】
また本発明は、肘掛け3に、操作ボタン12が配置される上記ボタン孔14の上面開口を開閉するシャッター15を設けて成ることを特徴とするものである。
【0022】
この発明によれば、シャッター15を開かない限り、操作ボタン12を操作することができないものであり、操作ボタン12を不用意に操作するようなことを確実に防ぐことができるものである。
【0023】
また本発明は、可搬便器本体2の背部に設けられた背凭れ16と、上記の昇降可能な肘掛け3の間に、この肘掛け3が上昇した位置と同じ高さ位置で固定された固定肘掛け17を設けて成ることを特徴とするものである。
【0024】
この発明によれば、可搬便器本体2に座った人が肘掛け3に肘を掛けるにあたって、肘の一部を固定肘掛け17によっても支えることができ、昇降可能に形成した肘掛け3に過大な荷重が作用することを防ぐことができるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、可動筒5を上方へ引き上げる際には、チェーン式クランプ具10のクランプが解除された状態となり、可動筒5を押し下げる際には、クランプが働く状態となるものであり、可動筒5の上端に設けた肘掛け3を引き上げて上昇させた任意の高さに固定することができると共に、またクランプ解除具11を操作してチェーン式クランプ具10の上端部を下方へ押圧すると、クランプが解除されて可動筒5を下方へ押し下げることができるものであり、可動筒5の上端に設けた肘掛け3を押し下げて下降させた任意の高さに固定することができるものである。このようにして、肘掛け3を無段階で昇降させた任意の高さに固定することができ、肘掛け3の高さを微調整することができるものであり、また肘掛け3を最下端まで下降させることによって、肘掛け3が邪魔になることなく側方から尻を滑らせて移乗する動作を容易に行なうことができるものである。しかも、可動筒5を引き上げて肘掛け3を上昇させるときにはクランプが作用せず、クランプ解除具11を操作するのは可動筒5を押し下げて肘掛け3を下降させるときだけでよいものであり、肘掛け3を昇降調整する作業を容易に行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ肘掛けの昇降機構を示す断面図である。
【図2】同上の可搬便器の全体を示す斜視図である。
【図3】同上の可搬便器の全体を示すものであり、(a)は肘掛けを上端位置に上昇させた状態の側面図、(b)は肘掛けを下端位置に下降させた状態の側面図である。
【図4】肘掛けと支柱を示す斜視図である。
【図5】(a)は図4から肘掛けを除いた状態の斜視図、(b)は図5(a)から固定筒を除いた状態の斜視図である。
【図6】(a)は図5(b)から肘掛けを除いた状態の斜視図、(b)は図6(a)のスライドブロックの一部を除いた状態の一部の拡大した斜視図である。
【図7】図4の上端部の部分の一部破断拡大図である。
【図8】チェーン式クランプ具の一例の斜視図である。
【図9】チェーン式クランプ具の一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ正面図、(c)はリンクプレートの正面図である。
【図10】肘掛けを示すものであり、(a)は上面側からの斜視図、(b)は下面側からの斜視図である。
【図11】チェーン式クランプ具の他の一例を示す概略図である。
【図12】チェーン式クランプ具のさらに他の一例のピンを示す斜視図である。
【図13】チェーン式クランプ具のさらに他の一例を示す概略断面図である。
【図14】従来例の可搬便器を示す斜視図である。
【図15】従来例の肘掛けの昇降機構を示す分解斜視図である。
【図16】従来例の肘掛けの昇降機構を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図2は本発明の可搬便器Aの一例を示すものであり、可搬便器本体2は、箱状の便器外郭体35の下面に脚36を設けると共に便器外郭体35の背部に背凭れ16を設け、便器外郭体35の上面に便座1を設けることによって、椅子型に形成してある。便座1の下側において、便器外郭体35内には、排泄物受け容器(図示省略)が取り出し自在に収容してあり、便座1に座って用を足した人の排泄物を排泄物受け容器に受けることができるようにしてある。また便座1の背部側において便器外郭体35に局部洗浄装置37が設けてあり、用を足した人の局部を洗浄することができるようにしてある。
【0029】
背凭れ16は、便器外郭体35の後端部に立設した背凭れ支柱39と、背凭れ支柱39の上端部に設けた背凭れクッション40からなるものである。また便器外郭体35の両側の側面に下端部を固定して固定支柱41が立設してあって、この固定支柱41の上端と背凭れ支柱39の側面との間に固定肘掛け17が取り付けてあり、可搬便器本体2の後部の両側に固定肘掛け17を設けるようにしてある。
【0030】
肘掛け3はこの固定肘掛け17の前側に配置されるものであり、可搬便器本体2の前部の両側に設けるようにしてある。肘掛け3は固定筒4と可動筒5からなる昇降機構を備えた支柱42によって可搬便器本体2に取り付けられるものである。
【0031】
固定筒4は上下が開口する縦長の筒で形成されるものであり、図1、図4、図5(a)に示すようにその側面に上下一対の固定具43が取り付けてある。各固定具43にはネジ穴44が設けてあり、このネジ穴44にネジをねじ込むことによって固定具43で可搬便器本体4の便器外郭体35の両側面に、固定筒4を取り付けるようにしてある。上下一対の固定具43のうち、上の固定具43にはストッパー片45が突設してあり、図1(a)のように、このストッパー片45は固定筒4に設けた孔を通して固定筒4の内周に突出させるようにしてある。固定筒4の下端の開口はキャップ46で閉塞してあるが、固定筒4の下端部内にシャフト支持ブロック47がネジ48止めで固定してある。そしてこのシャフト支持ブロック47によって固定筒4内にシャフト6が縦に立設してある。シャフト6は図1に示すように下端がシャフト支持ブロック47に固定されるものであり、上端をフリーな自由端として固定筒4の軸中心に配置されるものである。
【0032】
可動筒5は上下が開口する縦長の筒で形成されるものであり、固定筒4の内径より小さい外径の同心形状に形成してある。可動筒5の上端外面には、図5(b)のように一対の肘掛け取付金具51が固定してあり、この肘掛け取付金具51によって可動筒5の上端に肘掛け3を取り付けるようにしてある。
【0033】
可動筒5の下端部には図1に示すようにスライドブロック52が取り付けてある。スライドブロック52は筒状に形成されるものであり、図6(a)のように一対の半筒状のブロック半体52aを合体して形成されるものである。スライドブロック52は上部を可動筒5の下端部内に差し込んで、ネジ53で固定するようにしてある。スライドブロック52の下端部は可動筒5の下方へ突出しており、この可動筒5の下方へ突出するスライドブロック52の下端部は可動筒5の外周より外方へ張り出し、スライド部54として形成してあり、スライド部54にはコロ55が設けてある。
【0034】
スライドブロック52内には図6(b)のようにチェーン式クランプ具10が取り付けてある。チェーン式クランプ具10は、鎖伝動装置に用いられるチェーン9を用いて形成されるものである。すなわち、平行に一対配置した一組のリンクプレート7の一端に他の一組のリンクプレート7の一端をピン8で回動自在に連結すると共に各対のリンクプレート7同士をこのピン8で結合し、この一組のリンクプレート7の他端に他の一組のリンクプレート7の一端をピン8で回動自在に連結すると共に各対のリンクプレート7同士をこのピン8で結合し、以下同様して複数のリンクプレート7をピン8で回動自在に連結することによって、チェーン9を形成することができる。そしてこのチェーン9を隣り合うリンクプレート7が「く」字形になるようにジグザグ状に屈曲すると、図8に示すように、一対の平行なリンクプレート7と、リンクプレート7の両端のピン8とで囲まれる空間が、一直線に並んで連続することになる。すなわち、リンクプレート7を連結しているピン8は、一つ置きのものと他の一つ置きのものがそれぞれ一直線に且つ平行に並び、この一つ置きのピン8間に一直線に連通する空間が形成されるものである。
【0035】
このようにチェーン9をジグザグ状に屈曲して形成されるチェーン式クランプ具10は、スライドブロック52の内側に縦に配置されるものであり、チェーン式クランプ具10の下端のリンクプレート7を連結プレート56によってスライドブロック52に取り付けるようにしてある。従ってチェーン式クランプ具10の上端はフリーな状態になっている。チェーン式クランプ具10をこのように装着したスライドブロック52を上記のように可動筒5の下端部内に挿着することによって、図1に示すように、チェーン式クランプ具10を可動筒5の下端部内に取り付けることができるものである。
【0036】
また、可動筒5にはクランプ解除具11が装着してある。クランプ解除具11は操作ボタン12と押圧杆13を備えて形成されるものであり、押圧杆13は可動筒5より小径の上下が開口する筒体によって形成してある。操作ボタン12は図7に示すように円板状の押さえ板58の下面に軸部59を突設して形成されるものであり、軸部59の中段部の外面に係止突部60が突設してある。操作ボタン12は係止突部60より下側の軸部59を押圧杆13の上端開口部内に差し込み嵌合することによって、押圧杆13の上端に固定してある。押圧杆13の下端には、図1及び図6(b)に示すように筒状の押圧スライダー61が取り付けてある。この押圧スライダー61の外径は上記のスライドブロック52の上部の内径とほぼ等しく、内径は上記のシャフト6の外径とほぼ等しく形成してある。
【0037】
そして可動筒5の上端部の内周にはガイド筒62が取り付けてあり、ガイド筒62の内周を通して押圧杆13を可動筒5内に差し込んで取り付けてある。このように押圧杆13を可動筒5内に差し込んで挿着すると、図1及び図6(b)に示すように、押圧杆13の下端に設けた押圧スライダー61がスライドブロック52の上部内に挿入され、スライドブロック52内のチェーン式クランプ具10の上端に押圧スライダー61の下端が近接して配置されるようになっている。また図7のように、ガイド筒62の内周の下端部には下係止突部63が突設してあり、この下係止突部63と操作ボタン12の係止突部60の間にコイルスプリング64が設けてある。従って、スプリング64に抗して操作ボタン12を押して下動させると、操作ボタン12と共に押圧杆13も可動筒5内を下動し、また操作ボタン12を押す力を解除すると、スプリング64の弾撥力で操作ボタン12は上動し、押圧杆13も可動筒5内を上動する。
【0038】
可動筒5は固定筒4内に上端の開口から差し込んで挿着されるものであり、このように固定筒4に可動筒5を差し込んだ状態で、固定筒4の上端部に筒状のガイドブッシュ67を取り付けるようにしてある。ガイドブッシュ67の内径は可動筒5の外径とほぼ等しく形成してあり、また可動筒5の下端部に取り付けた上記スライドブロック52のスライド部54の外径は固定筒4の内径とほぼ等しく形成してあり、従って、可動筒5の外周面がガイドブッシュ67の内周面に、スライドブロック52のスライド部54の外周面が外筒4の内周面に、それぞれ密接して摺動する状態で、可動筒5をがたつきなくスムーズに上下にスライドさせることができるものである。
【0039】
そしてこのように可動筒5を固定筒4内に差し込む際に、同時に、シャフト6を可動筒5の下端部のスライドブロック52内に下端から被挿し、さらにクランプ解除具11の押圧杆13内に下端の押圧スライダー61を通してシャフト6を被挿するようにしてある。またこのとき、図6(b)に示すように、スライドブロック52内のチェーン式クランプ具10内の空間内にも下端から上端へと突き抜けるようにシャフト6が被挿されるものである。
【0040】
ここで、チェーン式クランプ具10が折り畳まれてジグザグの角度が小さい状態では、図9(a)のように隣り合うリンクプレート7がなす角度θが小さくなり、図9(c)の上の図のようにリンクプレート7の傾斜角度が小さくなる。またチェーン式クランプ具10が引き伸ばされてジグザグの角度が大きい状態では、図9(b)のように隣り合うリンクプレート7がなす角度θが大きくなり、図9(c)の下の図のようにリンクプレート7の傾斜角度が大きくなる。そして図9(c)の下の図のようにリンクプレート7の傾斜角度が大きいときの、隣り合うピン8の水平方向(シャフト6の長手方向と垂直な方向)での内法寸法W2は、図9(c)の上の図のようにリンクプレート7の傾斜角度が小さいときの、隣り合うピン8の水平方向(シャフト6の長手方向と垂直な方向)での内法寸法W1よりも小さくなる。ここで、シャフト6の幅寸法WはW2と同じ寸法に形成してある。
【0041】
上記のようにして、昇降機構を備えた支柱42を図1のように形成することができるものであり、固定筒4に設けた固定具43によって可搬便器本体2の便器外郭体35の両側の外面に支柱42を取り付けることによって、図2のように可搬便器本体2の両側に肘掛け3を設けることができるものである。
【0042】
肘掛け3は上記のように可動筒5の上端部に設けた一対の肘掛け取付金具51によって、可動筒5の上端部に取り付けるようにしてある。すなわち、この肘掛け取付金具51は図5のように、縦片70と、縦片70の下端に外側方へ突出して設けた横片71から、断面L字形に形成されるものであり、横片71の外側縁にはガイド用切欠部72が設けてある。また肘掛け3の中央部には、その下面に肘掛け3の長手方向に沿って長い長凹部73が下方へ開口して形成してあり、この長凹部73の上底面の中央部に上下に開口するボタン孔14が穿設してある。そして図10(b)のように、長凹部73に下側から可動筒5の上端部および肘掛け取付金具51の縦片70を差し込んだ状態で、肘掛け取付金具51の横片71の上に肘掛け3を載置し、この状態で横片71のビス孔75を通してビス77を肘掛け3にねじ込むことによって、可動筒5の上端部に肘掛け3を固定して取り付けることができるものである。このように可動筒5に肘掛け3を取り付けた際には、図7や図10(a)に示すように、クランプ解除具11の操作ボタン12はボタン孔14内に収容されるようになっている。
【0043】
また15はシャッターであり、下面が開口する断面コ字形に形成してあって、肘掛け3に上側から嵌め込んで取り付けてある。シャッター15の両側下端には内方へ突出して係止ガイド片76が設けてあり、この係止ガイド片76を肘掛け3の下面に係止させてある。そして図10(b)のように係止ガイド76は肘掛け取付金具51の横片71のガイド用切欠部72内に位置させてあり、係止ガイド片76がガイド用切欠部72内をスライドする範囲で、シャッター15を肘掛け3の長手方向に沿った前後方法にスライド自在にしてある。シャッター15をこのようにスライド移動させることによって、図2に示すように操作ボタン12を収容したボタン孔14の上面開口をクローズにしたり、図7や図10(a)のようにボタン孔14の上面開口をオープンにしたりすることができるものである。
【0044】
上記のように可搬便器本体2の両側に肘掛け3を設けて形成される本発明の可搬便器Aにあって、可動筒5を上限まで引き上げて肘掛け3を最上端位置に上昇させると、図2及び図3(a)に示すように、肘掛け3は固定肘掛け17と同じ高さに揃い、また固定肘掛け17の前側に肘掛け3が位置して、肘掛け3と固定肘掛け17とが前後に連続するようにしてある。このとき、図1(b)に示すように、可動筒5の下端部に設けたスライドブロック52のスライド部54が、固定筒4に取り付けた固定具43のストッパー片45に係止されることによって、可動筒5の上限位置が規制されている。
【0045】
このように、肘掛け3と固定肘掛け17が前後に一体的に連続するようになっているので、可搬便器本体2の便座1に座って用を足す人は、肘掛け3から固定肘掛け17に跨って肘を掛けて、体重を肘掛け3と固定肘掛け17の両方に掛けることができるものである。このため、固定筒4と可動筒5からなる一本の支柱42で肘掛け3を支持するようにしても、肘掛け3に過大な荷重が作用することがなくなり、安定して肘をかけることができるものである。また、肘掛け3が前後にぐらついたりすることなく一本の支柱42で安定して支持するために、肘掛け3の前後方向の長さを短く形成してあるが、肘掛け3と背凭れ16の間に固定肘掛け17を設けることによって、肘掛け3と背凭れ16の間に大きな隙間があくようなことを防ぐことができるものである。
【0046】
上記のように肘掛け3を上昇させた状態で、肘掛け3に体重などが掛かって、可動筒5を下方へ移動させる力が作用すると、可動筒5の下動によってチェーン式クランプ具10の下端のリンクプレート7に、図9(b)のイ矢印のように連結プレート56を介して引き下ろす力が作用する。すると、チェーン式クランプ具10に挿通されているシャフト6に対するチェーン式クランプ具10のピン8の摺接抵抗で、チェーン式クランプ具10が引き伸ばされてリンクプレート7のジグザグの角度θが大きくなり、隣り合うピン8の水平方向(シャフト6の長手方向と垂直な方向)での内法寸法W2がシャフト6の幅寸法Wと同じになる。そしてこのように隣り合うピン8の水平方向での内法寸法W2がシャフト6の幅寸法Wと同じになると、チェーン式クランプ具10の各隣り合うピン8の間にシャフト6がクランプされ、シャフト6に対してチェーン式クランプ具10がクランプ固定されることになる。従って、チェーン式クランプ具10はシャフト6に沿って下動することができず、可動筒5も下動することができないものであり、肘掛け3が下降することはない。このため、肘掛け3を上昇させた状態に保持して、肘掛け3に肘を掛けて使用することができるものである。
【0047】
次に、可搬便器本体2の側方から尻を滑らせて移乗する動作を容易に行なうことができるように、肘掛け3を最下端まで下降させるにあたっては、まず図3(a)のようにシャッター15を後方へスライドさせて、図7や図10(a)のようにボタン孔14の上面を開口させ、クランプ解除具11の操作ボタン12をスプリング64に抗して押し下げる。すると、操作ボタン12の下動によって押圧杆13が可動筒5内を下動し、押圧杆13の下端部に設けた押圧スライダー61の下端でチェーン式クランプ具10の上端のリンクプレート7が下方へ押さえられる。このようにチェーン式クランプ具10の上端が下方へ押えられると、チェーン式クランプ具10は図9(b)のようにジグザグの角度θが大きい引き伸ばされた状態から、図9(a)のようにジグザグの角度θが小さい折り畳まれた状態になる。そしてこのようにリンクプレート7のジグザグの傾斜角度が小さくなると、隣り合うピン8の水平方向(シャフト6の長手方向と垂直な方向)での内法寸法W1がシャフト6の幅寸法Wよりも大きくなり、隣り合うピン8の間にシャフト6がクランプされる状態が解除され、シャフト6に対するチェーン式クランプ具10のクランプが解除される。従って、このように操作ボタン12を押し下げてチェーン式クランプ具10のクランプを解除した状態で可動筒5を押し下げると、図9(a)のイ矢印のようにチェーン式クランプ具10はシャフト6に沿って下動するものであり、可動筒5を固定筒4内に沿って下動させることができ、肘掛け3を下降させることができるものである。
【0048】
このようにして、図3(b)のように肘掛け3を便座1と同じレベルの最下端にまで下降させることによって、可搬便器本体2の一方の側方を開放状態にすることができるものであり、可搬便器本体2の側方から尻を滑らせて移乗する動作を容易に行なうことができるものである。
【0049】
次に、可動筒5を引き上げて上動させると、チェーン式クランプ具10の下端のリンクプレート7に、図9(a)(b)のロ矢印のように引き上げる力が作用する。そしてチェーン式クランプ具10が元々図9(a)のようにジグザグの角度θが小さい折り畳まれた状態であるときには、チェーン式クランプ具10は折り畳まれた状態のまま、図9(a)のロ矢印のようにシャフト6に沿って上動する。またチェーン式クランプ具10が図9(b)のようにジグザグの角度θが大きい引き伸ばされた状態であって、シャフト6に対してチェーン式クランプ具10がクランプされている場合には、図9(b)のロ矢印のように引き上げる力が作用すると、シャフト6に対するチェーン式クランプ具10のピン8の摺接抵抗で、チェーン式クランプ具10は引き伸ばされた状態から図9(a)のようにジグザグの角度θが小さい折り畳まれた状態になり、図9(a)のロ矢印のようにシャフト6に沿って上動する。
【0050】
このように、可動筒5を引き上げて上動させるときには、チェーン式クランプ具10のクランプが自動的に解除されるものであり、クランプ解除具11の操作ボタン12を操作する必要なく、可動筒5を固定筒4内に沿って引き上げて肘掛け3を上昇させる操作を容易に行なうことができるものである。
【0051】
また、上記のように操作ボタン12を押してチェーン式クランプ具10のクランプを解除した状態で可動筒5を押し下げて下動させ、肘掛け3を任意の高さ位置に下降させることができる。そしてこの状態で操作ボタン12を押す力を解除すると、スプリング64の弾撥力で操作ボタン12は上動し、押圧杆13も可動筒5内を上動するため、押圧杆13の押圧スライダー61によるチェーン式クランプ具10の上端の押圧が解除される。このようにチェーン式クランプ具10の上端の押圧が解除されると、可動筒5に押し下げる力が働いたときに、チェーン式クランプ具10が既述の図9(b)のようにジグザグの角度θが大きくなるように引き伸ばされ、クランプ状態になる。従って、肘掛け3を任意の高さ位置に調整した状態で固定することができるものである。
【0052】
さらに上記のように、可動筒5を引き上げて上動させ、肘掛け3を任意の高さ位置に上昇させることができる。そしてこの任意の高さ位置で可動筒5に押し下げる力が働いたときに、チェーン式クランプ具10が既述の図9(b)のようにジグザグの角度θが大きくなるように引き伸ばされ、クランプ状態になる。従って、肘掛け3を任意の高さ位置に調整した状態で固定することができるものである。
【0053】
このように、可動筒5は昇降させた任意の高さ位置に固定することができるものであり、肘掛け3を連続した無段階の高さ位置に調整することができるものである。従って、肘掛け3を無段階で昇降させて高さを微調整することができ、使い勝手が良好なものになるものである。
【0054】
上記のように、肘掛け3を下降させるときには、クランプ解除具11の操作ボタン12を操作する必要があり、操作ボタン12を操作しない限り肘掛け3が降下するようなことはない。このため、例えば肘掛け3に肘を掛けている状態で、不用意に肘掛け3が降下するようなことを防ぐことができる。しかも、操作ボタン12は肘掛け3のボタン孔14内に、ボタン孔14の上面開口より下側に位置するように配置してあるので、操作ボタン12を不用意に押してしまうようなことを防ぐことができ、さらにシャッター15をスライドさせて図2のようにボタン孔14の上面開口をシャッター15で閉じておけば、操作ボタン12を不用意に押してしまうことを確実に防ぐことができるものである。
【0055】
図11はチェーン式クランプ具10の他の実施の形態を示すものであり、リンクプレート7を回動自在に連結するピン8を、断面非円形に形成してある。図11の実施の形態では、ピン8の断面を楕円形乃至長円形に形成して非円形にしてあるが、多角形断面にして非円形にするようにしてもよい。
【0056】
ここで、上記の図9(b)のようにチェーン式クランプ具10が引き伸ばされると、隣り合うピン8の水平方向での内法寸法W2が小さくなって、隣り合うピン8の間にシャフト6がクランプされ、シャフト6に対してチェーン式クランプ具10をクランプ固定することができる。しかしピン8が自由に回転することができると、クランプ状態であってもピン8の転動によって、シャフト6に沿ってチェーン式クランプ具10が移動可能になることがある。チェーン9においてピン8は隣り合う一対のリンクプレート7のうち一方のリンクプレート7には回動自在に連結されているが、他方のリンクプレート7にはかしめ固定されており、通常は自由に回転することはできない。しかし場合によってはかしめが緩んだりしてピン8が回転可能になることがあり、このときにはシャフト6の表面をピン8が転動することによってチェーン式クランプ具10が移動するおそれがある。これに対して、図11の実施の形態のように、ピン8の断面を非円形に形成すれば、ピン8がシャフト6の表面を転動することを防ぐことができるものであり、シャフト6に対するチェーン式クランプ具10のクランプ固定状態を確実に保持することができるものである。
【0057】
図12の実施の形態では、ピン8を軸部8aと偏心部8bとから形成するようにしてある。シャフト6の表面に接する偏心部8bは軸部8aから偏心しているので、この場合も、ピン8がシャフト6の表面を転動することを防ぐことができるものであり、シャフト6に対するチェーン式クランプ具10のクランプ固定状態を確実に保持することができるものである。
【0058】
図13の実施の形態では、ピン8を曲げ変形するバネ材質で形成してり、隣り合うピン8間にシャフト6をクランプしたときに、ピン8が曲げ変形するようにしてある。曲げ変形しているピン8はシャフト6の表面を転動することができないものであり、この場合も、シャフト6に対するチェーン式クランプ具10のクランプ固定状態を確実に保持することができるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 便座
2 可搬便器本体
3 肘掛け
4 固定筒
5 可動筒
6 シャフト
7 リンクプレート
8 ピン
9 チェーン
10 チェーン式クランプ具
11 クランプ解除具
12 操作ボタン
13 押圧杆
14 ボタン孔
15 シャッター
16 背凭れ
17 固定肘掛け
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座を設けた椅子型の可搬便器本体と、可搬便器本体の両側に設けられた肘掛けとを備えて形成される可搬便器において、可搬便器本体の側部に縦向きに取り付けた固定筒内に可動筒を上下スライド自在に挿着すると共に肘掛けを可動筒の上端部に設けることによって、肘掛けを昇降可能に形成し、固定筒内にシャフトを直立させて取り付けると共に可動筒をシャフトに被挿し、複数のリンクプレートをピンで回動自在に連結したチェーンによって形成され、隣り合うピンの間の空間が一直線上に位置するようにリンクプレートをジグザグ状に屈曲したチェーン式クランプ具を、その上端のリンクプレートを自由端とした状態でその下端のリンクプレートを可動筒の下端部に連結して取り付け、このチェーン式クランプ具の上記空間内にシャフトを挿通して、リンクプレートのジグザグの角度が大きいときに隣り合うピン間にシャフトがクランプされ且つリンクプレートのジグザグの角度が小さいときにピンによるシャフトのクランプが解除されるようにし、チェーン式クランプ具の上端部を下方へ押圧してリンクプレートのジグザグの角度が小さくなるように操作するクランプ解除具を備えて成ることを特徴とする可搬便器。
【請求項2】
上記のクランプ解除具を、肘掛けに設けた操作ボタンと、可動筒内に設けられ、操作ボタンの操作によって下動し、その下端部でチェーン式クランプ具の上端のリンクプレートを押圧する押圧杆とを備えて形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の可搬便器。
【請求項3】
上記の操作ボタンを、肘掛けの上面に開口して形成されたボタン孔内に、その上面がボタン孔の上面開口より下側に位置するように配置して設けて成ることを特徴とする請求項2に記載の可搬便器。
【請求項4】
肘掛けに、操作ボタンが配置される上記ボタン孔の上面開口を開閉するシャッターを設けて成ることを特徴とする請求項3に記載の可搬便器。
【請求項5】
可搬便器本体の背部に設けられた背凭れと、上記の昇降可能な肘掛けの間に、この肘掛けが上昇した位置と同じ高さ位置で固定された固定肘掛けを設けて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の可搬便器。
【請求項1】
便座を設けた椅子型の可搬便器本体と、可搬便器本体の両側に設けられた肘掛けとを備えて形成される可搬便器において、可搬便器本体の側部に縦向きに取り付けた固定筒内に可動筒を上下スライド自在に挿着すると共に肘掛けを可動筒の上端部に設けることによって、肘掛けを昇降可能に形成し、固定筒内にシャフトを直立させて取り付けると共に可動筒をシャフトに被挿し、複数のリンクプレートをピンで回動自在に連結したチェーンによって形成され、隣り合うピンの間の空間が一直線上に位置するようにリンクプレートをジグザグ状に屈曲したチェーン式クランプ具を、その上端のリンクプレートを自由端とした状態でその下端のリンクプレートを可動筒の下端部に連結して取り付け、このチェーン式クランプ具の上記空間内にシャフトを挿通して、リンクプレートのジグザグの角度が大きいときに隣り合うピン間にシャフトがクランプされ且つリンクプレートのジグザグの角度が小さいときにピンによるシャフトのクランプが解除されるようにし、チェーン式クランプ具の上端部を下方へ押圧してリンクプレートのジグザグの角度が小さくなるように操作するクランプ解除具を備えて成ることを特徴とする可搬便器。
【請求項2】
上記のクランプ解除具を、肘掛けに設けた操作ボタンと、可動筒内に設けられ、操作ボタンの操作によって下動し、その下端部でチェーン式クランプ具の上端のリンクプレートを押圧する押圧杆とを備えて形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の可搬便器。
【請求項3】
上記の操作ボタンを、肘掛けの上面に開口して形成されたボタン孔内に、その上面がボタン孔の上面開口より下側に位置するように配置して設けて成ることを特徴とする請求項2に記載の可搬便器。
【請求項4】
肘掛けに、操作ボタンが配置される上記ボタン孔の上面開口を開閉するシャッターを設けて成ることを特徴とする請求項3に記載の可搬便器。
【請求項5】
可搬便器本体の背部に設けられた背凭れと、上記の昇降可能な肘掛けの間に、この肘掛けが上昇した位置と同じ高さ位置で固定された固定肘掛けを設けて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の可搬便器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−50600(P2011−50600A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202879(P2009−202879)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(506218756)パナソニック電工ライフテック株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(506218756)パナソニック電工ライフテック株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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