説明

可搬型耐候性試験装置

【課題】 可搬型耐候性試験装置の提供。
【解決手段】 可搬型耐候性試験装置は、可搬型ハウジングと、ハウジング内に配設されて少なくとも1つの試験片を保持するように構成された試験片保持具と、ハウジング内に試験片保持具から所定距離をおいて配設された取付ボードと、取付ボード上に配設されて試験片の試験面へ向けて紫外線を放射するように構成された紫外線光源と、電源および紫外線光源と結合して動作する電源回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね耐候性試験装置に関し、さらに詳細には、可搬型耐候性試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光の放射および他の風化作用にさらされて劣化する傾向があるプラスチックおよび他の構成材料、ならびに塗料および表面処理のような外部被覆物の製造業者は、多くの場合、このような製品が今後何年もの曝露によって、どのような変化を受けるのか知りたがっている。しかしながら、通常、このような製造業者は、このような材料を風化作用にさらすために標準的条件下で要するよりも、はるかに短い時間でこの情報を必要としている。したがって、はるかに短時間の屋外暴露により、風化作用を加速する加速耐候性試験装置が開発されたことにより、製造業者の製品が5年間または10年間にわたる実際の屋外暴露を経た後、どのように耐えうるかを測定するために、製造業者が実際に5年間または10年間の間、待つ必要がなくなった。
【0003】
塗装面、布地、プラスチックシート、および他の材料の加速経年特性を試験するための屋内用加速耐候性試験装置は公知である。このような試験は、前記の試験対象材料を太陽光に近い人工光源からの高強度照射に曝露することにより実施され、テストチェンバー内部の温度および/または湿度が調整され、時には高温・高湿度にされた状態で実施される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、上述の屋内用加速耐候性試験装置は、テストチェンバーおよび当該装置の他の様々な構成部品を収容する大きなキャビネットを含む。テストチェンバーは、耐候性試験用の多数の試験片を収容できる。しかしながら、これらの屋内用耐候性試験装置は他の場所に容易に移動させることができない。耐候性試験装置の可搬性により、任意の場所で試験片を試験することが可能となる。さらに、これらの屋内用耐候性試験装置のテストチェンバーは、多数の試験片を収容できるため、少数の試験片を試験する場合、費用がかかりかつ非効率的であろう。
【0005】
したがって、可搬型耐候性試験装置のための技術に対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された原理を発展させて、かつ理解する目的で、図面で示された好ましい実施例に言及がなされると共に、特定の文言が、同一物を説明するために用いられる。しかしながら、その言及および説明が範囲の限定を意図しないことは理解されるであろう。図示された装置のそのような変更およびさらなる修正、ならびにそのようなさらなる応用は、開示された原理であり、本開示が関連する技術分野の当業者が、通常、想起すると想定されるように本明細書において示されている。
【0007】
本開示の1つの主要な態様に従って、耐候性試験装置は、可搬型ハウジングと、ハウジング内に配置されて、かつ少なくとも1つの試験片を保持するように構成された試験片保持具と、ハウジング内に試験片保持具から所定距離をおいて配置された取付ボードと、取付ボード上に配置されて、かつ試験片の試験面に向かって紫外線を放射するように構成された紫外線光源と、電源および紫外線光源と結合して動作する電源回路と、を含む。
【0008】
本開示の他の主要な態様に従って、耐候性試験装置は、可搬型ハウジングと、ハウジング内に配置され、かつハウジングの外部から操作可能で、少なくとも1つの試験片を保持するように構成された試験片保持具と、ハウジング内に配置された取付ボードと、取付ボード上に配置されると共に、試験片に向かって紫外線を放射するように構成された少なくとも1つの紫外線光源と、ハウジング内に配置されて、かつ電源と結合して動作すると共に、紫外線光源と結合して動作して紫外線光源に電力を提供する電源回路と、ハウジング内に結合して動作する冷却装置と、を含む。
【0009】
本開示の他の主要な態様に従って、耐候性試験方法は、可搬型ハウジング内に配置されて、かつハウジングの外部から手を伸ばして操作可能な試験片保持具に、試験片を載置するステップと、ハウジング内に配置された取付ボードに取り付けられて、かつ試験片保持具に対して位置調整された紫外線光源に、電力を供給するステップと、紫外線光源を用いて、試験片に向かって紫外線を放射するステップと、紫外線光源と試験片保持具との間に配置された拡散板を用いて、紫外線光源から試験片に向かって放射された紫外線を拡散するステップと、ハウジングの内部を冷却するステップと、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を参照すると、本開示の教示に基づいて構成された耐候性試験装置10が示されている。装置10は、可搬型ハウジング12を含み、その中に試験片14を設置して、少なくとも1つの紫外線光源16からの紫外線に試験片14を曝露することができる。可搬型ハウジング12は、ハウジング12内の温度を調整する外部ファン18を備える。所望時に、ハウジング内に手が届くように枢動可能に、アクセスパネル20がハウジング12上に配設されている。アクセスパネル20は、操作者がアクセスパネル20を開閉するためにつかむことができるハンドル22を備える。アクセスパネル20が開けられると、試験片14はハウジング内に設置でき、試験片保持具24で保持される。また、試験片14は、アクセスパネル20を介して容易に取り外すことができる。
【0011】
図2〜図4を参照すると、装置10内の構成部品が詳細に示されている。通常、試験片14は矩形である。したがって、試験片保持具24は、間隔をあけて設けられた一対の溝形材として形成することができ、この一対の溝形材が、試験片14の端部を受容して、耐候性試験の間、試験片14を所定の位置に保持することができる。装置10は、支持ベース30を備え、この支持ベース30上に、装置10の試験片保持具24およびここで説明する様々な構成部品を、支持のために取り付けることができる。
【0012】
紫外線光源16は、取付ボード32に支持されており、その取付ボード32は、全体として試験片保持具24と平行に支持ベース30上に取り付けられている。紫外線光源16は、紫外線を試験片14の方向に向けるように、取付ボード32上に位置決めされている。紫外線が試験片14上で均一に分散するように、紫外線光源16と試験片保持具24との間に拡散板34を配設してもよい。紫外線光源16は、単一の紫外線光源16、または複数の紫外線光源36として構成されうると共に、発光ダイオード、有機発光ダイオード、または他の半導体紫外線光源として構成されうる。
【0013】
紫外線光源16は発熱するため、取付ボード32およびハウジング12内の温度を上昇させうる。さらに、試験片14の温度は、紫外線光源16からの熱の影響を受けるだろう。取付ボード32および紫外線光源16を冷却するために、装置10はヒートシンク38を備え、それは取付ボード32の裏面に取り付けられている。ヒートシンク38により、取付ボードおよび紫外線光源16は伝導冷却される。また、ヒートシンク38による冷却速度を高めるために、装置10は内部ファン40を備えることができ、それはハウジング12内に配置され、支持ベース30に取り付けることができ、ヒートシンク38に向かって気流を起こすようになされている。したがって、内部ファン40により、ヒートシンク38は対流冷却され、それによって、取付ボード32および紫外線光源16もまた冷却される。
【0014】
装置10は電源回路42を備え、この電源回路42は、装置10の様々な構成部品に電源を提供すると共に、装置10の動作を制御する。電源回路42は、全体として参照番号44で示される多数の特定用途向け集積回路および様々な電子部品を含むことができる。電子部品44は、紫外線光源16、ファン18および40、ならびに電力を必要としうる装置10の他の構成部品に電源を提供できる。電源回路42は、支持ベース30上に取り付けられうる。
【0015】
図示されていないが、電源回路42を、支持ベース30と単純に一体化することも可能であり、したがって、支持ベース30を、その上に電源回路42の様々な構成部品44が取り付けられ、かつ接続される回路基板のようにすることもできる。しかしながら、開示された例では、電源回路42は、支持ベース30から分離して示されている。
【0016】
電源回路42は、電源プラグ46を介して外部電源から電力を受ける。電源プラグ46は、ハウジング12の外部から手が届き、典型的な家庭電化製品および他の消費者用電子装置で使用されている電気プラグであればよい。したがって、電源プラグ46は、電源プラグ46を電源(すなわち、壁コンセント。図示せず)に接続できる延長コードなどを介して、任意の電源から電力を受けることができる。
【0017】
また、上述したように、電源回路42は、試験片14の耐候性試験を制御する構成部品を備えている。したがって、電源回路42は、紫外線光源16の出力を制御して、試験片14への照射を調整できる。また、電源回路42は、ハウジング12内の温度を制御して、それによって試験片14の温度を調整できる。図示されていないが、装置10は、ハウジング12内の温度および試験片14の温度を測定するためにハウジング12に配設された様々な温度センサーを備えることができる。このようなセンサーからの温度読取値は、電源回路42に伝達されうる。そして、電源回路42は、内部ファン40および外部ファン18の動作を制御して、ハウジング12内の温度を調整できる。
【0018】
図1および図4を参照すると、ハウジング12は、操作者が持ち運びできるような大きさとされている。試験片14に対し安定した試験を行うため、すなわち、試験片14が紫外線光源16から安定した照射を受けるようにするために、ハウジング12は、その中からの光の漏出を減少させるように遮光されている。さらに、ハウジング12は、外乱の影響を受けることなく、ハウジング12内の環境を一貫して制御できるように、耐候型でありうる。
【0019】
さらに、特定の好ましい実施例が図示されて、説明されたが、本開示の教示を逸脱することなく、変更および修正を行うことができることは、当業者にとって明白であろう。前述の説明および添付図面で示された事柄は、あくまで例を示すために提供されたに過ぎず、限定として提供されたものではない。関連技術に基づいて適正な観点から考慮するとき、本開示の実際の範囲は、添付の請求項において明示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
特定の実施例が図面で示されている。しかしながら、本開示は、添付図面で示された配置および手段に限定されない。
【0021】
【図1】本開示の教示に基づいて構成された可搬型耐候性試験装置の側面斜視図である。
【図2】図1の可搬型耐候性試験装置の内部の斜視図である。
【図3】図1の可搬型耐候性試験装置の内部の上面図である。
【図4】図1の可搬型耐候性試験装置の内部の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型ハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、少なくとも1つの試験片を保持するよう構成された試験片保持具と、
前記試験片保持具から所定距離をおいて前記ハウジング内に配置された取付ボードと、
前記取付ボードに配置され、前記試験片の試験面へ向けて紫外線を放射するよう構成された紫外線光源と、
電源および前記紫外線光源と結合して動作する電源回路と
を備えることを特徴とする耐候性試験装置。
【請求項2】
前記紫外線光源は、有機発光ダイオード、発光ダイオード、または半導体紫外線デバイスからなるグループから選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項3】
前記電源回路は、前記ハウジング内に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項4】
前記ハウジングに配置されると共に、前記電源回路と結合して動作する電源プラグをさらに備え、
前記電源回路は、前記電源プラグを介して前記電源から電力を受ける
ことを特徴とする請求項3に記載の耐候性試験装置。
【請求項5】
前記ハウジング内と結合して動作する冷却装置をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項6】
前記冷却装置は、前記取付ボードと結合して動作するヒートシンクである
ことを特徴とする請求項5に記載の耐候性試験装置。
【請求項7】
前記冷却装置は、前記取付ボードと結合して動作するファンである
ことを特徴とする請求項5に記載の耐候性試験装置。
【請求項8】
前記ハウジングの開口を覆って取り付けられた冷却ファンをさらに備える
ことを特徴とする請求項5に記載の耐候性試験装置。
【請求項9】
前記紫外線光源と前記試験片保持具との間に配置された拡散板をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、遮光されている
ことを特徴とする請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項11】
前記ハウジングは、耐候型である
ことを特徴とする請求項1に記載の耐候性試験装置。
【請求項12】
可搬型ハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングの外部から操作可能とされ、少なくとも1つの試験片を保持するよう構成された試験片保持具と、
前記ハウジング内に配置された取付ボードと、
前記取付ボードに配置され、前記試験片へ向けて紫外線を放射するよう構成された少なくとも1つの紫外線光源と、
前記ハウジング内に配置され、電源と結合して動作すると共に、前記紫外線光源と結合して動作して、前記紫外線光源に電力を供給する電源回路と、
前記ハウジング内と結合して動作する冷却装置と
を備えることを特徴とする耐候性試験装置。
【請求項13】
前記紫外線光源は、有機発光ダイオード、発光ダイオード、または半導体紫外線デバイスからなるグループから選択される
ことを特徴とする請求項12に記載の耐候性試験装置。
【請求項14】
前記ハウジングに配置されると共に、前記電源回路と有効に結合する電源プラグをさらに備え、
前記電源回路は、前記電源プラグを介して前記電源から電力を受ける
ことを特徴とする請求項12に記載の耐候性試験装置。
【請求項15】
前記冷却装置は、前記取付ボードと結合して動作するヒートシンクである
ことを特徴とする請求項12に記載の耐候性試験装置。
【請求項16】
前記冷却装置は、前記取付ボードと結合して動作するファンである
ことを特徴とする請求項12に記載の耐候性試験装置。
【請求項17】
前記ハウジングの開口を覆って取り付けられた冷却ファンをさらに備える
ことを特徴とする請求項12に記載の耐候性試験装置。
【請求項18】
前記紫外線光源と前記試験片保持具との間に配置された拡散板をさらに備える
ことを特徴とする請求項12に記載の耐候性試験装置。
【請求項19】
前記ハウジングは、遮光されている
ことを特徴とする請求項12に記載の耐候性試験装置。
【請求項20】
前記ハウジングは、耐候型である
ことを特徴とする請求項12に記載の耐候性試験装置。
【請求項21】
可搬型ハウジング内に配置されると共に前記ハウジング外から操作可能な試験片保持具に、試験片を設置するステップと、
前記ハウジング内に配置された取付ボードに取り付けられると共に前記試験片保持具に対して位置調整された紫外線光源に、電力を供給するステップと、
前記紫外線光源を用いて、前記試験片へ向けて紫外線を放射するステップと、
前記紫外線光源と前記試験片保持具との間に配置された拡散板を用いて、前記紫外線光源から前記試験片へ向けて放射された前記紫外線を拡散するステップと、
前記ハウジング内を冷却するステップと
を含むことを特徴とする耐候性試験方法。
【請求項22】
前記紫外線光源は、有機発光ダイオード、発光ダイオード、または半導体紫外線デバイスからなるグループから選択される
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記冷却するステップは、前記ハウジングの開口を覆って取り付けられた冷却ファンを用いて、前記ハウジング内に気流を発生させるステップを含む
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記冷却するステップは、前記取付ボードと結合して動作するヒートシンクを用いて、前記取付ボードを冷却するステップを含む
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記冷却するステップは、前記取付ボードと結合して動作するファンを用いて、前記取付ボードを冷却するステップを含む
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate