説明

可搬性局所的酸素療法システム

本発明は、慢性非治癒性創傷を治療するための局所的酸素療法システムを提供する。システムは、極めて可搬性であるように構成され、治療の間、患者を完全に歩行可能であるようにする局所的酸素療法システムは、酸素源と、創傷包帯カプセルとを含む。酸素源は、小型圧縮酸素シリンダと、酸素流出口チューブを通して、創傷包帯カプセルの内部に酸素を送達する小型圧力調整器とを含む。酸素源は、創傷包帯カプセルに直接取り付けられるか、または統合され得る。代替として、酸素源および創傷包帯カプセルは、可撓性チューブによって接続される別個のモジュールであり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性非治癒性創傷を治療するための局所的酸素療法システムおよび方法に関する。システムは、極めて可搬性であるように構成され、治療の間、患者を完全に歩行可能であるようにする。
【背景技術】
【0002】
米国疾病対策予防センターは、米国において、毎年約570万人の患者が慢性非治癒性創傷に罹患しており、総治療コストは、年間約$200億であると推定している。慢性非治癒性創傷は、多くの場合、糖尿病性潰瘍、静脈鬱滞性潰瘍、褥瘡性潰瘍(床擦れ、褥瘡)、術後感染症、および壊疽性病巣の結果である。これらのような慢性創傷は、治癒することなく、何ヶ月も続く可能性がある。四肢の切断は、例えば、感染症または壊疽のため、生命を脅かす慢性創傷の最終治療手段である。慢性非治癒性創傷の治癒を加速させるために、種々の療法が考案されている。
【0003】
高圧酸素療法−患者は、典型的には、気圧の2から3倍に加圧された高圧チャンバ内で治療され、100%酸素を呼吸させられる。本療法は、創傷の治癒を加速させるのに効果的であることが示されているが、主に、高圧チャンバの構築および運用コストのため、本療法は、高価である。本療法はまた、時間がかかり、患者にとって、不便である。患者は、治療のために、週数回、病院または診療所に来院しなければならず、各治療セッションは、典型的には、数時間続き、創傷が適切に治療されるまで、数ヶ月の治療を必要とする場合がある。
【0004】
局所的酸素チャンバ−身体の罹患領域が、可撓性または剛体のチャンバ内に封入され、チャンバは、100%酸素で充填される。酸素は、圧縮酸素タンクまたは酸素濃縮器によって供給されることができる。本療法は、高圧酸素療法より低コスト、かつ可搬性であって、一部の患者は、自宅で治療を受けることができる。
【0005】
しかしながら、依然として、時間がかかり、毎週90分のセッションを必要とし、その間、患者は、不動のままでなければならない。本療法は、断続的であるため、より継続的に適用される場合ほど効果的ではない場合がある。
【0006】
経真皮的継続酸素療法−バッテリ駆動式電気化学的酸素濃縮器が、創傷上に定置された絆創膏下に挿入される、小型可撓性カニューレを通して、100%酸素を供給する。電気化学的酸素濃縮器は、特許文献1(「Oxygen Producing Bandage and Method」)に説明されている。本療法は、最大15日間継続し、酸素濃縮器は、非常に小型であって、患者を完全に歩行可能にする。しかしながら、酸素濃縮器からの酸素の流量は、非常に少量であって、毎時わずか3mlであって、完全使い捨て式酸素濃縮器は、7から15日毎に交換されなければならず、療法のコストを大幅に増加させる。15日用の使い捨て式酸素濃縮器の現在のコストは、$700または治療1日あたり約$47である。
【0007】
故に、極めて可搬性であって、治療の間、患者を完全に歩行可能にし、種々の治療計画を提供し、慢性非治癒性創傷のより経済的治療を提供する潜在性を有する、慢性非治癒性創傷を治療するための局所的酸素療法システムを提供することは有益となるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,578,022号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、慢性非治癒性創傷を治療するための局所的酸素療法システムを提供する。システムは、極めて可搬性であるように構成され、治療の間、患者を完全に歩行可能であるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明による、局所的酸素療法システムの切断側面図である。
【図2】図2は、外形保護筐体が、内側の酸素源を示すように除去された、図1の局所的酸素療法システムの上面図である。
【図3】図3は、可撓性体によって、酸素源に接続された、剛体または半剛体ドームの形状の創傷包帯カプセルを示す。
【図4】図4は、可撓性体によって、酸素源に接続された、薄型かつ形状適合性の創傷包帯カプセルを示す。
【図5】図5は、本発明による、複数のストラップによって、患者の下肢に取り付けられた、局所的酸素療法システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
局所的酸素療法システム100は、酸素源102と、創傷包帯カプセル104とを含む。酸素源102は、図1および2に示されるように、創傷包帯カプセル104に直接取り付けられるか、または統合され得る。図1は、切断側面図であって、図2は、内側の酸素源102を示すように、外形保護筐体148が除去された上面図である。代替として、酸素源102および創傷包帯カプセル104は、図3および4に示されるように、可撓性チューブ106によって接続される別個のモジュールであり得る。酸素源102、創傷包帯カプセル104、および可撓性チューブ106は、システムの簡単な組立または補正のためのルアー継手または迅速接続/切断継手108を有し得る。創傷包帯カプセル104は、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、あるいは治療される創傷または創傷を覆うための任意の都合の良い形状であることができる。創傷包帯カプセル104はまた、肢または患者の身体の別の部分の周囲に適合するように、管状または円筒形構成に形成される、あるいは形成可能であることができる。
【0012】
一好ましい実施形態では、酸素源102は、小型圧縮酸素110シリンダと、流出口チューブ116を通して、創傷包帯カプセル104の内部に酸素を送達する、小型圧力調整器112とを含む(随意に、可撓性チューブ106を介して接続される)。本実施形態では、圧縮酸素シリンダ110は、約2.5インチの長さ、0.73インチの直径であって、約3000psiに圧縮された酸素を含む。圧縮酸素シリンダ110の他のサイズおよび圧力もまた、システム内で使用することができる。小型圧力調整器112は、好ましくは、酸素源が、気圧またはそれを若干上回る、毎時0−10mlの流量の酸素を供給することができるように、圧力を0−20psiに調整するために、調節可能である。随意に、酸素源は、圧力調整器112の下流に、較正されたオリフィス、調節可能オリフィス、多孔性流量制限器、または他の流量制御デバイス114を含み、酸素の流量を制御し得る。随意に、オン/オフ弁もまた、含まれ得る。本サイズでは、圧縮酸素シリンダ110は、毎時10mlの流量で約5日、毎時5mlで約10日、または毎時3mlで約17日間にわたって、局所的酸素療法のための十分な容量を有する。必要な療法用の流量は、主に、治療される創傷または複数の創傷を覆うために必要とされる創傷包帯カプセルのサイズによって決定されるであろう。
【0013】
代替実施形態では、酸素源は、固定圧力調整器を利用し得る。較正されたオリフィスと連結され、固定圧力調整器は、酸素の確実な事前設定流量を送達することが可能である。
【0014】
圧縮酸素シリンダを伴う酸素源は、図1および2におけるように、創傷包帯カプセルに直接取り付けられるか、または統合されることができるように、十分に小型である。酸素源が、図3および4におけるように、別個のモジュール内にある場合、保護筐体146内に定置され、創傷包帯カプセルに隣接する身体に取り付けられることができるか、または患者のベルトにクリップ留めされるか、あるいは患者の衣服にピン留めされることができる。治療システム全体の重量は、わずか数オンスであって、したがって、患者は、局所的酸素療法が、継続的または断続的に行われている間、自由に歩き回ること、仕事をすること、または運動することができる。患者の歩行性を維持することは、特に、下肢における、創傷治癒プロセスのために重要である循環性を維持するために、特に重要である。また、患者は、活動的かつ生産的であることができ、療法を受けるために、日常的日課を妨害される必要がないため、全体的医療コストが削減される。
【0015】
圧縮酸素シリンダは、典型的には、使用される酸素の流量に応じて、約5から17日毎に交換されるであろうが、多くの場合、所望に応じて、それ以上またはそれ未満で交換され得る。代替として、2つ以上の圧縮酸素シリンダが、酸素源内に提供され、より長い療法および/またはより高い流量を提供し得る。圧力調整器に接続された中空管状スパイク118は、圧縮酸素シリンダの先端を穿刺し、シリンダの内部に接続する一方、同時に、スパイクの周囲にシールを生成する。随意に、Oリングまたは他の密封部材122が提供され、シリンダ110と管状スパイク118との間にシールを形成するのを支援し得る。好ましくは、ネジ、カム、レバー、またはトグル等の機構120が提供され、圧縮酸素シリンダの先端を穿刺するための機械的利点を向上させる。機構は、シリンダをスパイクに向かって移動させるか、またはスパイクをシリンダに向かって移動させることができる。安全上、機構はまた、依然として、シリンダ内に圧力が存在する間、圧縮酸素シリンダが、スパイクから分離されるのを防止する。選択肢の1つは、シリンダが解放される前に、シリンダからの圧力を安全に通気させる、中間位置を伴う機構を構成することである。
【0016】
随意に、酸素源は、20から100%の範囲内の酸素レベルを達成するために、周囲空気と酸素を混合するように構成され得る。
【0017】
随意に、酸素源は、2つ以上のガスを創傷包帯カプセルに送達するように構成され得る。ガスは、混合され得るか、あるいは連続的または交互に送達され得る。例えば、窒素または二酸化炭素が、低酸素または無酸素の1つ以上の周期を提供するように、初期および/または定期的に送達され得る。低酸素は、組織の除去および血管の成長因子を増加させることが示されており、それらは、創傷治癒に貢献する。低酸素の周期に続く、高酸素濃度周期は、創傷治癒プロセスを加速させるであろう。別の選択肢は、他の療法効果を有するガスと、酸素との混合または交互送達であろう。例えば、酸化窒素を投与し、血管拡張を生じさせ、創傷への血液の灌流を増加させ、治癒を加速させることができる。
【0018】
代替として、酸素源は、圧縮混合ガス、例えば、HELIOXまたはNITROX混合物の単一シリンダを利用し得る。
【0019】
創傷包帯カプセルは、多くの異なる構成で作製され得る。図3は、治療の間、創傷を被覆および保護する、剛体または半剛体ドーム130の形状における、創傷包帯カプセル104を示す。ドームの底は、治療される患者の肢、胴体、または他の領域の表面に適合するように成形することができる。
【0020】
一代替例では、ドーム形創傷包帯カプセルは、高圧の圧力、すなわち、気圧を上回る圧力の印加によって拡張する、不浸透性弾性材料から作製され得る。ドーム内に貯蔵された弾性エネルギーは、創傷包帯カプセル内に圧力を維持するのを支援することができる。創傷包帯カプセルへの流入口上に随意の栓または一方向弁132を閉鎖することによって、ドームの弾性材料は、酸素源が切断された時でも、長期間、内部圧力を維持することができる。
【0021】
創傷包帯カプセルは、過度の加圧を防止するための圧力逃し弁124を含むか、またはシール126が、過度の圧力が印加されると、圧力逃し弁として作用するように構成され得る。
【0022】
随意に、創傷包帯カプセルは、それを除去する必要なく、創傷包帯カプセルの内部との接続を確立するためのポートまたは一方向弁128とともに作製され得る。ポートまたは弁は、湿気および薬剤等の材料を導入するために使用することができる。注射器針または噴霧器を、ポートまたは弁を通して、挿入することができる。
【0023】
図4は、患者の衣服下に目立たないように装着することができるように、より薄型かつより形状適合性である、創傷包帯カプセル104を示す。創傷包帯カプセル104は、異なる身体部分に適合するための外形にされるか、または患者の身体の略任意の部分に適合することができるように、可撓性であり得る。随意に、可撓性創傷包帯カプセルは、創傷包帯カプセルが、治療される患者の肢、胴体、または他の領域の表面に適合するよう、手動で成形することができるように、リムに沿って埋設された、なまし銅またはアルミニウムワイヤ等の可鍛性部材134を有し得る。創傷包帯カプセルの本実施形態は、可撓性であり得るが、好ましくは、療法のために使用される圧力で伸長可能ではなく、そうでなければ、創傷包帯カプセルは、加圧時に、顕著に膨張し得る。随意に、金属ワイヤ、またはより硬いプラスチック部材、あるいは成形リブ等の支持部材136は、可撓性創傷包帯カプセルにわたって、創傷を保護し、可撓性創傷包帯カプセルが、内部ガス圧力が印加された場合に、過度に膨張することを防止するのを支援するであろう。
【0024】
創傷包帯カプセルは、高圧、等圧、または低圧の圧力の印加を可能にするように構成され得る。異なる種類の圧力を印加するために、創傷包帯カプセルは、ガスに対して、不浸透性であって、患者の身体の表面に対して、良好なシールを提供すべきである。等圧の圧力を印加するために、創傷包帯カプセルは、浸透性、不浸透性、または半浸透性であってもよく、患者の身体の表面に対するシールは、それほど重要ではない。等圧印加のために、創傷包帯カプセルは、所与の酸素の流量に対して、創傷部位において、所望の酸素の濃度を維持するために十分であるべきである。したがって、効果的創傷治癒療法を維持するために、酸素の流量と創傷包帯カプセルの浸透性との間に均衡が存在する。
【0025】
密封機構126は、創傷部位において、酸素の所望の療法濃度を維持するために、患者の身体に対して、創傷包帯カプセル104のリムを密封し、創傷を十分に囲むために提供され得る。密封機構126は、軟質エラストマーリムシール、エラストマー発泡体シール、膨張可能リムシール(治療圧力より高い圧力まで膨張される)、流体充填リムシール等として構成され得る。好ましくは、密封機構は、創傷包帯カプセルに取り付けられる。代替として、別個の密封機構が使用され得る。例えば、滅菌エラストマー発泡体のシートを創傷部位の周囲に適合するように裁断し、次いで、創傷包帯カプセルを発泡体に対して着座させ、シールを提供することができる。利便性のために、発泡体のシートは、片側または両側に、接触接着剤を有し得る。代替として、またはこれらの機構に加え、皮膚に対するシールは、人工肛門用器具のために使用される種類の水膠性接着剤等のゲル(固体または半固体)あるいは皮膚適合性の低反応接着剤、あるいは接着テープによって提供され得る。ある場合には、高強度接着剤は、慢性創傷を患う多くの患者が、脆弱皮膚を有し、接着剤の除去による傷害が、治癒を減速させ、慢性創傷自体とさえなり得るため、禁忌である場合がある。
【0026】
随意に、低反応包帯等の保護層を、創傷包帯カプセルの取り付けに先立って、皮膚に適用することができる。
【0027】
代替実施形態では、創傷包帯カプセルは、創傷に酸素を送達するために、包帯下に定置された可能性チューブ106の端部を伴う、従来の閉鎖包帯であり得る。包帯は、浸透性または半浸透性障壁層によって被覆され、創傷領域からの酸素の拡散を制限し得る。
【0028】
代替として、または前述の取り付け方法に加え、図5に示されるように、1つ以上のストラップ140が提供され、局所的酸素療法システム100またはその創傷包帯カプセル構成要素を患者に取り付け得る。好ましくは、ストラップは、通気性の弾性材料から成り、随意に、何らかの発泡体パッドまたは他のクッション材料を含み得る。ストラップは、患者の肢または胴体の周囲に巻かれ、褥瘡が生成されないように、取り付け力を分散させるであろう。ストラップは、創傷包帯カプセルに取り付けられてもよく、単に、巻着され、定位置に保持し得る。ストラップは、マジックテープ(登録商標)締結具、スナップ、バックル、接触接着剤、または他の周知の締結機構を使用して、取り付け得る。代替として、弾性帯が、創傷包帯カプセル上に着用され得る。別の代替例として、ストラップの代わりに、接着テープが使用され得る。ストラップは、適合性リムシールおよび/または接着剤と組み合わせて、創傷包帯カプセルを定位置に保持し、創傷包帯カプセル内の高圧の圧力を維持するのを支援するであろう。
【0029】
高圧の圧力は、拡散によって、酸素を組織中により効果的に駆動させるであろう。しかしながら、局在性高圧力は、血液の循環、ならびにその領域へのリンパ球および線維芽細胞の移動に干渉し得、したがって、局在性高圧の圧力は、断続的にのみ使用されるべきである。酸素源は、周期的圧力が、治療計画に従って印加されるように、プログラム可能に作製され得る。高圧、等圧、または低圧圧力間の交替は、機械作動または電気作動弁を使用して、達成することができる。流量および/または圧力は、拍動されてもよく、これは、血液および組織中への酸素の吸収を改善し得る。
【0030】
代替として、創傷包帯カプセルは、外部手動加圧または機械的加圧を可能にするように構成され得る。創傷包帯カプセルは、外部から押圧することによって、加圧することができる、蛇腹、伸縮式構造、またはアンビュ(ambu)のように成形され得る。レバーまたは他の機構を使用して、機械的利点を向上させ得る。ストラップ、ラッチ、ラチェット、バネ、または他の機構は、圧力が印加されると、それを維持するように提供され得る。代替として、モータおよび/または自動機構は、処方された治療計画に従って、圧力を機械的に増減させるように提供され得る。
【0031】
ポート、リザーバ、またはチャンバ142は、圧縮酸素が、非常に乾燥する可能性が高いため、酸素源および/または創傷包帯カプセル内に提供され、創傷および包帯の湿度を維持するように、湿気を導入し得る。湿気は、創傷包帯カプセルおよび/または酸素の流入量に導入される、水蒸気あるいは霧の形態で提供されることができる。自動湿度制御システムが、湿度センサ、貯水槽、および注入器または蒸発器とともに提供され得る。
【0032】
創傷包帯カプセル内の別のポート、リザーバ、またはチャンバ144もまた、創傷に薬剤を導入するために使用され得る。薬剤は、創傷の表面に噴霧、注入、または送達することできる。薬剤は、局所麻酔剤、消毒剤、抗生物質、酸化窒素および/または組織成長因子等の治癒促進剤を含むことができる。
【0033】
局所的酸素療法システムは、どの治療計画が所望されるか、または、最も有効であることが分かっているかに応じて、酸素および他のガスの断続的または継続的送達のために使用することができる。典型的には、創傷包帯カプセルは、吸収性創傷包帯上に適用され、創傷からのいかなる滲出液も吸収するであろう。随意に、吸収性創傷包帯は、局所的酸素療法システムの短期間または断続的使用の場合、省略され、酸素と創傷との間の無制限の接触を可能にし、創傷治療の間、創傷の観察を可能にすることができる。随意に、創傷包帯カプセルまたはその一部は、透明であって、治療の間、創傷の観察を可能にし得る。
【0034】
随意に、局所的酸素療法システムは、電子、機械、または電気機械的制御システムを含み、局所的酸素療法の圧力、流量、組成、持続時間、およびタイミングを制御および/または変動させることができる。
【0035】
局所的酸素療法システムは、再使用可能に構成することができ、圧縮酸素シリンダのみ、周期的に交換する必要がある。代替として、創傷包帯カプセルおよび/または酸素源を含む、局所的酸素療法システムの一部または全部を使い捨て式に作製することができる。別の代替例として、圧縮酸素シリンダは、シリンダをより大きな圧縮酸素タンクから再充填することができるように、シリンダ上に、または別様に、それに接続された流入口弁を追加することによって、再充填可能に作製することができる。
【0036】
局所的酸素療法は、他の周知のモダリティ、例えば、亜音速、音速、または超音波振動、光線力学的療法、または低レベルレーザ治療と組み合わせることができる。随意に、局所的酸素療法システムは、創傷あるいは周りの皮膚を加熱および/または冷却するための特徴を含んでもよい。例えば、組織は、局在血液循環を増加させるため、または炎症に対抗するために冷却され得る。随意に、これらの付加的特徴は、最大患者可動性を可能にするために、バッテリ駆動され得る。
【0037】
本発明は、本発明を実践するための例示的実施形態および最良の形態に関して、本明細書に説明されたが、種々の特徴および実施形態の多くの修正、改良、ならびに部分的組み合わせ、適応および変形例が、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明に成され得ることは、当業者には明白となるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬性局所的酸素療法システムであって、
圧縮酸素を含む小型ガスシリンダと、
流入口と流出口とを有する小型圧力調整器であって、前記圧力調整器の流入口は、前記ガスシリンダに接続されている、小型圧力調整器と、
患者の身体の外部部分を被覆または封入するように構成された内部を有する創傷包帯カプセルであって、前記創傷包帯カプセルの内部は、前記圧力調整器の流出口に接続されている、創傷包帯カプセルと
を備え、前記可搬性局所的酸素療法システムは、通常歩行に干渉することなく、患者によって装着可能なように定寸および構成されている、システム。
【請求項2】
前記小型ガスシリンダおよび前記圧力調整器は、単一装着式ユニットとして、前記創傷包帯カプセルに統合されている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項3】
前記小型ガスシリンダおよび前記圧力調整器は、第1の装着式モジュール内に構成され、前記創傷包帯カプセルは、第2の装着式モジュール内に構成され、可撓性チューブが、前記圧力調整器の流出口を前記創傷包帯カプセルの内部に接続している、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項4】
前記圧力調整器の流出口と前記創傷包帯カプセルの内部との間に接続された流量制限器をさらに備えている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項5】
前記圧力調整器は、0−20PSIの範囲内の調節可能流出口圧力を提供する、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項6】
前記圧力調整器は、0−20PSIの範囲内の固定流出口圧力を提供する、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項7】
前記圧力調整器は、前記創傷包帯カプセルの内部に0−10ml/時の酸素の流量を提供する、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項8】
前記創傷包帯カプセルは、ドーム形である、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項9】
前記創傷包帯カプセルの内部の圧力が所定のレベルを超えた場合にガスを放出するように構成された圧力逃し弁をさらに備えている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項10】
前記創傷包帯カプセルのリムを前記患者の皮膚に密封するための密封機構をさらに備えている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項11】
前記密封機構は、前記創傷包帯カプセルの内部の圧力が所定のレベルを超えた場合にガスを放出させることによって、圧力逃し弁として作用するように構成されている、請求項10に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項12】
前記密封機構は、軟質エラストマーリムシールを備えている、請求項10に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項13】
前記密封機構は、エラストマー発泡体シールを備えている、請求項10に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項14】
前記密封機構は、膨張可能リムシールを備えている、請求項10に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項15】
前記密封機構は、流体充填リムシールを備えている、請求項10に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項16】
前記創傷包帯カプセルは、不浸透性である、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項17】
前記創傷包帯カプセルは、浸透性である、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項18】
前記創傷包帯カプセルは、半浸透性である、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項19】
前記創傷包帯カプセルを前記患者に取り付けるためのストラップをさらに備えている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項20】
前記創傷包帯カプセルを前記患者から除去することなく、材料を前記創傷包帯カプセルの内部に導入するために構成されたポートをさらに備えている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項21】
前記創傷包帯カプセルを前記患者から除去することなく、材料を前記創傷包帯カプセルの内部に導入するために構成された一方向弁をさらに備えている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項22】
前記創傷包帯カプセルは、可撓性であり、それによって、前記創傷包帯カプセルは、治療される前記患者の身体の表面に適合するように成形されることができる、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項23】
前記創傷包帯カプセルのリムに沿って埋設された可鍛性部材をさらに備え、それによって、前記創傷包帯カプセルは、治療される前記患者の身体の表面に適合するように成形されることができる、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項24】
所定の治療計画に従って、前記創傷包帯カプセルの内部の圧力を循環させる手段をさらに備えている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項25】
所定の治療計画に従って、高圧、等圧、および/または低圧の圧力間で前記創傷包帯カプセルの内部の圧力を循環させる手段をさらに備えている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項26】
前記創傷包帯カプセルの内部の圧力を拍動させる手段をさらに備えている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。
【請求項27】
前記創傷包帯カプセルの内部を手動で加圧する手段をさらに備えている、請求項1に記載の可搬性局所的酸素療法システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−508075(P2013−508075A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535194(P2012−535194)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/002832
【国際公開番号】WO2011/049633
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512103550)
【出願人】(512103505)
【Fターム(参考)】